JP4014720B2 - ステップドリル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステップドリルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ステンレス等の難切削材料に穴を形成するための装置としてボール盤等が使用されている。前記ボール盤等の先端にはドリルが取り付けられている。図4は従来のステップドリル(以下、単にドリルという)41を示す側面図である。図4において、SKH55等の高速度工具鋼鋼材により形成されたドリル41はシャンク42及びボデー43を有している。
【0003】
シャンク42は、その外周面に押付面42aが形成され、図示しないボール盤のチャックに取着される。
ボデー43は図5に示すように、2条の溝44と2条のランド群45を有している。各ランド群45はそれぞれ外径の異なる第1〜第9のランド46〜54を備えている。図4に示すように、各ランド46〜54はそれぞれ主切刃46a〜54a及び副切刃46b〜54bを備えている。そして、シャンク42をボール盤等のチャックに取り付けた後、ドリル41を回転させると、各切刃46a〜54a、46b〜54bが加工物を切削することにより加工物に穴が形成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、高速度工具鋼鋼材により形成されたドリル41を使用してステンレス等の難切削材料に穴を形成する場合には、切刃46a〜54a、46b〜54bが摩耗しやすいという問題があった。即ち、従来のドリル41は高速度工具鋼鋼材を用いて切断、レース、フライス、焼入、サンド等の各工程を行うことにより製造される。従って、ドリル41の各切刃46a〜54a、46b〜54bも高速度工具鋼鋼材により形成されている。高速度工具鋼鋼材は耐熱性に乏しく、温度上昇により硬度を失うという欠点をもつ。その結果、ドリル41を使用してステンレス等の難切削材料に穴を形成する場合には硬度が不十分となり、高速度工具鋼鋼材からなる各切刃46a〜54a、46b〜54bが摩耗しやすいという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、切刃が摩耗しにくいステップドリルを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために請求項1の発明では、ボデーに切屑を排出するための溝と、該溝にて分割され、該ボデーにそれぞれ段差状に形成された複数のランドと、該ランドの先端から延出形成されたドリル先端部とを備えたステップドリルにおいて、前記ランドの前記溝とで形成されるエッジ部であって、該ステップドリル回転方向のエッジ部には超硬材料からなる切刃を形成し、前記ドリル先端部の前記溝とで形成されるエッジ部であって、該ステップドリル回転方向のエッジ部には超硬材料からなる切刃を形成し、前記各ランドはそれぞれ土台部及び錐台部を備え、前記錐台部の外周面の外径は先端にゆくほど線形に縮径形成され、最も先端側の錐台部の軸方向の長さは最も先端側の土台部及び他の錐台部の軸方向の長さよりも長くしたことを特徴とするステップドリルをその要旨としている。
【0009】
(作用)
請求項1の発明では、ステップドリルを回転させるとエッジ部に形成された切刃により加工物が切削される。ここで、切刃は耐摩耗性の優れた高い硬さを有する超硬材料から形成される。従って、ステンレス等の難切削材料を切削する場合にも、ステップドリルの切刃の摩耗が低減される。
【0010】
また、請求項1の発明では、各ランドにはそれぞれ土台部及び錐台部が形成される。
ここで、錐台部の外周面の外径は先端にゆくほど線形に縮径形成される。そして、最も先端側の錐台部の軸方向の長さは他の錐台部の軸方向の長さよりも長くされる。即ち、最も先端側の錐台部の外周面の斜度は他の錐台部の外周面の斜度よりも緩やかとなる。従って、最も先端側の錐台部に形成された切刃による切削時の切削抵抗は、他の錐台部に形成された切刃による切削時の切削抵抗よりも小さくなる。その結果、最も先端側の錐台部に形成された切刃は、他の錐台部に形成された切刃よりも欠け難くなり、ステップドリルの寿命を長くすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。図1において、ステップドリル(以下、単にドリルという)1はSCM440等のクロムモリブデン鋼鋼材によりなる超硬ドリルであって、ステンレス板等の難切削材料に穴を形成するために使用される。
【0013】
ドリル1は、基端部に形成された丸棒状のシャンク2と、そのシャンク2から先端部に向かって略円錐状に形成されたボデー3とを有している。シャンク2は、その外周面に3つの押付面2aが(図1では1つのみ図示)形成され、図示しないボール盤のチャックに取着される。
【0014】
ボデー3は、先端に行くほど先細となる略円錐形状であって、その基端部から先端部に向かって断面V字状の2条の溝4がドリル1の中心軸線L1を中心として対称位置に形成されている。そして、ボデー3には、この2条の溝4にて2条のランドとしてのランド群5が形成される。従って、この2条のランド群5もドリル1の中心軸線L1を中心として対称位置に形成されている。この2条のランド群5の先端部にドリル先端部6が形成されている。
【0015】
ランド群5はそれぞれ外径の異なる段差状に形成された7個の第1〜第7ランド11〜17を備えている。各第1〜第7ランド11〜17は、それぞれ土台部11a〜17aと錐台部11b〜17bを有している。
【0016】
ドリル1の最も基端部に形成された一対の第1ランド11は、その長さ(中心軸線L1に沿った長さ、以下同様とする)が6ミリに設定されている。第1ランド11はそれぞれ土台部11aと錐台部11bを有している。土台部11aはドリル1の中心軸線L1を中心とする断面扇形であって、その外周面の外径(ドリル1の中心軸線L1を垂直に通り対称位置にある相対向する第1ランド11の土台部11aの外周面間の距離、以下同様とする)は22ミリに設定している。
【0017】
第1ランド11の錐台部11bは、前記土台部11aから先端側に延出形成されている。錐台部11bはドリル1の中心軸線L1を中心とする断面扇形であって、その外周面の外径は先端にゆくほど線形に縮径している。本実施形態では、錐台部11bの外周面の外径は、基端が土台部11aの外径と同じで22ミリ、先端が第2ランド12の土台部12aの外径と同じ20ミリに設定されている。
【0018】
第2ランド12は第1ランド11の先端側に形成され、その長さが5ミリに設定されている。第2ランド12はそれぞれ第1ランド11の錐台部11bの先端から延出された土台部12aと、その土台部12aの先端から延出された錐台部12bを有している。土台部12aはドリル1の中心軸線L1を中心とする断面扇形であって、その外周面の外径は20ミリに設定している。
【0019】
第2ランド12の錐台部12bは、前記土台部12aから先端側に延出形成されている。錐台部12bはドリル1の中心軸線L1を中心とする断面扇形であって、その外周面の外径は先端にゆくほど線形に縮径している。本実施形態では、錐台部12bの外周面の外径は、基端が土台部12aの外径と同じで20ミリ、先端が第3ランド13の土台部13aの外径と同じ18ミリに設定されている。
【0020】
以後、第6ランド16まで各ランド13〜16は段差的に形成される。因みに、第3〜第6ランド13〜16の長さはそれぞれ5ミリである。又、第3ランド13の土台部13aの外径は18ミリ、第4ランド14の土台部14aの外径は16ミリ、第5ランド15の土台部15aの外径は14ミリ、第6ランド16の土台部16aの外径は12ミリとなる。
【0021】
第7ランド17は、第6ランド16の先端側に形成され、その長さが17ミリに設定されている。第7ランド17はそれぞれ第6ランド16の錐台部16bの先端から延出された土台部17aと、その土台部17aの先端から延出された錐台部17bを有している。土台部17aはドリル1の中心軸線L1を中心とする断面扇形であって、その外周面の外径は10ミリに設定している。土台部17aは、その長さが4ミリに設定されている。
【0022】
第7ランド17の錐台部17bは、前記土台部17aから先端側に延出形成され、その長さは本実施形態では13ミリに設定している。錐台部17bはドリル1の中心軸線L1を中心とする断面扇形であって、その外周面の外径は先端にゆくほど線形に縮径している。本実施形態では、錐台部17bの外周面の外径は、基端が土台部17aの外径と同じで10ミリ、先端が6ミリに設定されている。従って、最も先端側にある第7ランド17の錐台部17bの軸方向の長さは他の錐台部11b〜16bよりも長い。
【0023】
このように形成された第1〜第7ランド11〜17の土台部11a〜17a及び錐台部11b〜17bにおいて、前記溝4とで形成されるエッジ部であって、該ドリル1回転方向のエッジ部にはそれぞれ切刃21a〜27a、21b〜27bが形成されている。尚、説明の便宜上、第1〜第7ランド11〜17の各土台部11a〜17aに形成した切刃を副切刃21a〜27aといい、第1〜第7ランド11〜17の錐台部11b〜17bに形成した切刃を主切刃21b〜27bという。副切刃21a〜27a及び主切刃21b〜27bは、本実施形態では超硬材料としての超硬合金チップ(例えば、JISで定義されたM40)をそのエッジ部にロー付けし、そのロー付けしたチップに対してチタンコーティングをして形成している。
【0024】
ドリル先端部6は、前記第7ランド17の錐台部17bの先端から延出形成され、ドリル先端の形状を形成している。本実施形態では、ドリル先端部6の長さは1.7ミリに設定されている。そして、各先端部6において前記溝4とで形成されるエッジ部であって、該ドリル1回転方向のエッジ部にはそれぞれ切刃28が形成されている。切刃28は、本実施形態では超硬合金チップ(例えば、JISで定義されたM40)をそのエッジにロー付けし、そのロー付けしたチップに対してチタンコーティングをして形成している。又、その切刃28から反回転方向の先端部6の面を逃げ面6aとなるように形成している。さらに、各先端部6が互いに交差する先端稜線をチゼルエッジ6bとなるように形成されている。
【0025】
従って、ドリル1が図2において矢印方向に回転すると、切刃28によって加工物への穴あけが開始される。この加工の際の切屑は溝4を通って排出される。
次に上記のように構成されたドリル1の製造方法について簡単に説明する。
【0026】
ドリル1は切断、レース、フライス、焼入、サンド、刃付、チタンコーティング等の各工程を行うことにより製造される。
まず切断工程において、SCM440等のクロムモリブデン鋼鋼材を円柱状等に切断し、レース工程に移る。
【0027】
レース工程では、円柱状のクロムモリブデン鋼鋼材(ワーク)を旋盤のバイトにて略円錐状に加工する。即ち、送り量及び切込量を予め設定して、ワーク及びバイトのうち少なくともいずれか一方を移動させ、シャンク2及びボデー3を形成し、フライス工程に移る。
【0028】
次に、フライス工程において、前記略円錐状のワークに対してフライス盤のフライスにて加工を行う。即ち、ボデー3に溝4を形成するとともに、シャンク2に押付面2aを形成し、焼入工程に移る。
【0029】
焼入工程では、フライス工程後のワークを所定の高温状態から急冷する。即ち、クロムモリブデン鋼鋼材を硬化させ、サンド工程に移る。
次に、サンド工程において、焼入工程後のワークの表面を研磨する。即ち、焼入工程時に生じた酸化層を取り除き、刃付工程に移る。
【0030】
刃付工程では、サンド工程後のワークに切刃を取り付ける。即ち、ボデー3の先端部及び各ランド11〜17において、溝4とで形成されるエッジ部であって、該ドリル1回転方向のエッジ部にそれぞれ切刃を取り付ける。ここで、サンド工程後のワークと切刃とをロー付けにより一体化する。そして、余分なローを研磨して取り除き、チタンコーティング工程に移る。本実施形態では切刃は超硬合金チップにより構成されている。
【0031】
次に、チタンコーティング工程において、超硬合金チップの表面にチタンコーティングを施し、切刃の摩耗を低減する。即ち、切刃の表面にチタン薄膜が形成され、切削時には直接切刃が加工物に接触しないため、切屑の溶着が低減されるとともに、切刃の摩耗が低減される。
【0032】
次に、上記のように構成された本実施形態のドリル1の作用を説明する。
シャンク2を図示しないボール盤のチャックに取り付けた後、ドリル1を回転させ、図示しない加工物(本実施形態では板厚2ミリのステンレス板)にφ10の穴を形成するものとする。この場合、まずドリル1を回転させ、ボール盤のレバーを操作してドリル1の先端を加工物の方へ移動させる。すると、チゼルエッジ6bが加工物の表面に接触し、切刃28が加工物を切削し始める。
【0033】
さらに、同方向にドリル1を移動させると、ドリル1の移動距離分だけ切刃28により加工物が切削される。即ち、ドリル1の加工物の表面からの移動距離がドリル先端部6の長さと同一(本実施形態では1.7ミリ)となった時には、加工物には底面の直径が6ミリ、深さ1.7ミリの反円錐状をなす穴が形成されることとなる。又、前記穴を形成した際に生じた切刃28により切削された加工物の切屑は、各溝4を介して排出される。
【0034】
さらに、同方向にドリル1を移動させると、切刃28が加工物の裏面方向に向かって切削を続けるとともに、主切刃27bが加工物を切削する。ここで、主切刃27bは加工物に対して、前記切刃28の切削による穴の形成の続きを行う。即ち、主切刃27bは、切刃28の切削により形成された穴に対して、連続的に徐々に穴の径を大きくしていく。
【0035】
やがて、ドリル1の加工物の表面からの移動距離が3.7ミリとなった時には、加工物には裏面の開口の直径が6ミリ、表面の開口の直径が約6.6ミリの反円錐台状をなす穴が形成される。尚、ドリル1の加工物の表面からの移動距離が3.7ミリとなった時とは、前記先端部6(長さ1.7ミリ)が完全に板厚2ミリのステンレス板の裏面から突出した状態を意味する。
【0036】
さらに、同方向にドリル1を移動させると、主切刃27bが加工物を切削する。やがて、ドリル1の加工物の表面からの移動距離が14.7ミリとなった時には、加工物には裏面の開口の直径が約9.4ミリ、表面の開口の直径が10ミリの反円錐台状をなす穴が形成される。尚、ドリル1の加工物の表面からの移動距離が14.7ミリとなった時とは、前記主切刃27bを備えた錐台部17bの基端と、加工物の表面とが面一となった状態を意味する。
【0037】
さらに、同方向にドリル1を移動させると、副切刃27aが加工物を切削する。ここで、副切刃27aは加工物に対して、前記主切刃27bの切削による穴の形成の続きを行う。即ち、副切刃27aは、主切刃27bの切削により形成された穴に対して、径の異なる穴(円錐台状の穴)の内側面を一定の径(10ミリ)に統一する。その結果、加工物にはφ10(直径10ミリ)の円板状の穴が形成される。又、前記穴を形成した際に生じた副切刃27aにより切削された加工物の切屑は、各溝4を介して排出される。
【0038】
上記のように加工物にφ10の穴が形成されたところで、同方向へのドリル1の移動を停止し、ボール盤のレバーを操作してドリル1の先端を今までとは反対の方向へ移動させる。そして、ドリル1の回転を停止させる。従って、上記の作業によって、本実施形態では加工物(板厚2ミリのステンレス板)に1個の穴(φ10)が形成される。
【0039】
従って、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、切刃28、主切刃27b及び副切刃27aにより加工物の切削を行い、該加工物にφ10の穴を形成した。即ち、切刃28、主切刃27b及び副切刃27aを連続して形成し、後段の切刃が前段の切刃の切削の続きを行うようにした。言い換えると、切刃28により加工物に穴を形成した後、主切刃27bにより加工物に穴を形成し、その後、副切刃27aにより加工物に穴を形成した。
【0040】
ここで、主切刃27bが形成された最も先端側の錐台部17bの軸方向の長さを他の錐台部11b〜16bの軸方向の長さよりも長くした。即ち、最も先端側の錐台部17bの外周面の斜度を他の錐台部11b〜16bの外周面の斜度よりも緩やかに形成した。従って、最も先端側の錐台部17bに形成された主切刃27bによる切削時の切削抵抗は、他の錐台部11b〜16bに形成された主切刃21b〜26bによる切削時の切削抵抗よりも小さくなる。その結果、該主切刃27bは該主切刃21b〜26bよりも欠け難くなり、ドリル1の寿命を長くすることができる。
【0041】
(2)本実施形態では、切刃28、主切刃27b及び副切刃27a等を超硬合金チップにより構成したため、該切刃の摩耗が低減される。即ち、超硬合金は耐摩耗性の優れた高い硬さを有するため、該切刃の摩耗が低減される。従って、ステンレス等の難切削材料に穴を形成する場合にも、該切刃の摩耗が低減され、ドリル1の寿命を長くすることができる。
【0042】
(3)本実施形態では、第1〜第7ランド11〜17の各土台部11a〜17aに形成した副切刃21a〜27a、第1〜第7ランド11〜17の錐台部11b〜17bに形成した主切刃21b〜27b、及びドリル先端部6に形成した切刃28を超硬合金チップにより構成した。従って、加工物にφ10以外の穴、例えば、φ12、φ14、φ16、φ18、φ20、φ22の穴を形成する場合にも、超硬合金が有する耐摩耗性の優れた高い硬さにより、該切刃の摩耗が低減される。その結果、ステンレス等の難切削材料に穴を形成する場合にも、該切刃の摩耗が低減され、ドリル1の寿命を長くすることができる。
【0043】
(4)本実施形態では、2条のランド群5を備え、各ランド群5にそれぞれ副切刃21a〜27a、主切刃21b〜27b、及び切刃28を設けたため、1条当たりの各切刃が受ける切削抵抗を小さくすることができる。従って、1条のランドしか備えないドリルよりも該切刃の摩耗が低減され、ドリル1の寿命を長くすることができる。
【0044】
(5)本実施形態では、副切刃21a〜27a、主切刃21b〜27b、及び切刃28の表面にチタンコーティングを施したため、各切刃の摩耗が低減される。即ち、各切刃の表面にチタン薄膜が形成され、切削時には直接切刃が加工物に接触しないため、切屑の溶着が低減されるとともに、切刃の摩耗が低減される。その結果、ドリル1の寿命を長くすることができる。
【0045】
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記実施形態では、副切刃21a〜27a、主切刃21b〜27b、及び切刃28に超硬材料としての超硬合金(例えば、JISで定義されたM40)を設けたが、超硬合金の代わりに超硬材料としてのステライト、セラミック、サーメット、窒化ボロン、ダイヤモンド等を設けてもよい。又、M40の代わりに、それ以外の超硬合金、例えば、JISで定義されたP分類(P01、P10〜P40)、M分類(M10〜M30)、K分類(K01、K10〜K30)、Z分類(Z01、Z10〜Z30)、V分類(V10〜V60)、E分類(E1、E3〜E5)等を設けてもよい。このようにした場合には、前記実施形態における(1)〜(5)に記載の効果が得られる。
【0046】
又、M40以外の超硬合金、ステライト、セラミック、サーメット、窒化ボロン、ダイヤモンド等において、M40よりも耐摩耗性の優れた高い硬さを有する超硬材料を各切刃、ボデー3全体又はドリル1全体に設けた場合には、前記実施形態における(1)〜(5)に記載の効果に加えて、次のような効果が得られる。即ち、各切刃、ボデー3全体又はドリル1全体の摩耗がさらに低減され、ドリル1の寿命をさらに長くすることができる。
【0047】
・また、前記実施形態では、2条のランド群5を備えたドリル1としたが、1条のランドしか備えないドリルや3条以上のランド群を備えたドリルとしてもよい。このようにした場合には、前記実施形態における(1)〜(5)に記載の効果に加えて、次のような効果が得られる。即ち、ランド群の条数を多くし、各ランド群にそれぞれ切刃を設けた場合には、1条当たりの各切刃が受ける切削抵抗を小さくすることができる。従って、該切刃の摩耗がより低減され、ドリル1の寿命をより長くすることができる。
【0048】
又、ランド群の条数を少なくするとともに、溝の条数を少なくし、1条当たりの溝の幅を広くした場合には、穴を形成する際に生じる切刃により切削される加工物の切屑を、該溝を介してより排出し易くすることができる。又、ランド群の条数が少ない程ドリルの形状を簡単なものにすることができるため、簡単に製造でき、安価なドリルを提供することができる。さらに、高価な超硬合金等の超硬材料の使用量が削減でき、安価なドリルを提供することができる。
【0049】
・さらに、前記実施形態では、第7ランド17の錐台部17bの外周面の外径を、基端を10ミリ、先端を6ミリに設定したとともに、軸方向の長さを13ミリに設定し、他の錐台部11b〜16bよりも長くしたが、次のような構成としてもよい。該錐台部17bの軸線方向の途中に断面扇形をなす1つ又は複数の土台部を設け、その外周面の外径を6ミリ又は8ミリ等に設定する。そして、該土台部において溝4とで形成されるエッジ部であって、該ドリル回転方向のエッジ部には、超硬合金等の超硬材料を備えた副切刃を設ける。
【0050】
このようにした場合には、前記実施形態における(1)〜(5)に記載の効果に加えて、加工物にφ10よりも小さなφ6やφ8等の穴を形成することができるという効果が得られる。
【0051】
・さらに又、前記実施形態では、副切刃21a〜27a、主切刃21b〜27b、及び切刃28の表面にチタンコーティングを施したが、チタンコーティングの代わりにテフロンコーティング等を施してもよい。このようにした場合には、前記実施形態における(1)〜(5)に記載の効果に加えて、耐薬品性に優れたドリルとすることができるという効果が得られる。
【0052】
次に、前記実施形態及び別例から把握できる請求項に記載した発明以外の技術的思想について、それらの効果と共に以下に記載する。
(1)請求項1に記載のステップドリルにおいて、切刃にはチタンコーティングが施されたことを特徴とする。従って、この(1)に記載の発明によれば、切刃の表面にチタン薄膜が形成され、切削時には直接切刃が加工物に接触しないため、切屑の溶着が低減されるとともに、切刃の摩耗が低減される。その結果、ステップドリルの寿命を長くすることができるという効果が得られる。
【0054】
【発明の効果】
以上詳述したように請求項1に記載の発明によれば、ステップドリルの寿命を長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態のステップドリルを示す側面図。
【図2】 同じくステップドリルを示す正面図。
【図3】 同じくステップドリルを示す側面図。
【図4】 従来のステップドリルを示す側面図。
【図5】 従来のステップドリルを示す正面図。
【符号の説明】
1…ステップドリル、
3…ボデー、
4…溝、
5…ランドとしてのランド群、
11a〜17a…土台部、
11b〜17b…錐台部、
21a〜27a…切刃としての副切刃、
21b〜27b…切刃としての主切刃、
28…切刃。
Claims (1)
- ボデー(3)に切屑を排出するための溝(4)と、該溝(4)にて分割され、該ボデー(3)にそれぞれ段差状に形成された複数のランド(5)と、該ランド(5)の先端から延出形成されたドリル先端部(6)とを備えたステップドリルにおいて、
前記ランド(5)の前記溝(4)とで形成されるエッジ部であって、該ステップドリル回転方向のエッジ部には超硬材料からなる切刃(21a〜27a、21b〜27b)を形成し、
前記ドリル先端部(6)の前記溝(4)とで形成されるエッジ部であって、該ステップドリル回転方向のエッジ部には超硬材料からなる切刃(28)を形成し、
前記各ランド(5)はそれぞれ土台部(11a〜17a)及び錐台部(11b〜17b)を備え、
前記錐台部(11b〜17b)の外周面の外径は先端にゆくほど線形に縮径形成され、
最も先端側の錐台部(17b)の軸方向の長さは最も先端側の土台部(17a)及び他の錐台部(11b〜16b)の軸方向の長さよりも長くしたことを特徴とするステップドリル。
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