JP4014355B2 - 排気ガス還流装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、内燃機関の排気ガスの一部を還流弁により流量制御して吸気通路に還流する排気ガス還流装置(EGR装置)に関し、詳細には、排気通路と還流弁とを連通接続する流入路の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、内燃機関の排気ガスの一部を吸気通路に還流する排気ガス還流装置を設けることにより、最高燃焼温度を低下させてNOXの発生を抑制し、またポンピングロスを低減して燃費を改善することが行われている。この排気ガス還流装置において、還流排気ガスの流量を制御する還流弁は内燃機関のシリンダヘッドに取り付けられる一方で、排気通路からの還流排気ガスの取出口は、排気マニホルドまたはその下流側に取り付けられた排気管に設けられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、還流排気ガスの取出口が、排気マニホルドの下流側、排気管または排気管に設けられた触媒の下流に設けられるものでは、還流排気ガスの取出口が排気通路の比較的下流側に位置することになり、シリンダヘッドに取り付けられる還流弁と排気通路とを連通接続する排気ガス還流装置の流入路の長さが長くなる。そのため、還流排気ガスは、排気通路から取り出された直後から流入路を流れて還流弁に至る間に、外気に放熱することより冷却されやすく、還流排気ガス中に含まれているカーボンおよびHCが酸化されることなく、還流弁の弁体や還流弁内の通路にカーボン等が付着物(デポジット)となって堆積し、その堆積した付着物が還流排気ガスの流通を妨げ、還流弁による所期の流量制御が困難となることがあった。
【0004】
そこで、流入路での放熱量を減少させるために、流入路を短くすることも考えられるが、取出口および還流弁との配置の関係上最低限必要となる通路長があり、その通路長ではやはり還流排気ガスが外気に放熱して冷却されやすいため、還流弁での付着物の堆積を抑制する効果的な手段とはなり得ない。
【0005】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、請求項1ないし請求項記載の発明は、簡単な構造により、還流弁に至るまでの流入路を流れる還流排気ガスの温度低下を抑制して、還流弁におけるカーボン等の付着物の堆積を抑制することができる排気ガス還流装置を提供することを目的とする。
【0006】
そして、請求項記載の発明は、さらに、多気筒内燃機関において、流入路から排気ガスの一部が還流排気ガスとして取り出されることで、排気通路に設けられる空燃比センサの検出値に対する各気筒の寄与の割合が異なるものとなることを防止することができる排気ガス還流装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
本願の請求項1記載の発明は、内燃機関の排気通路と還流弁とを連通接続する流入路に流入した還流排気ガスを、該還流弁により流量制御して前記内燃機関の吸気通路に還流する排気ガス還流装置において、前記内燃機関は車両に搭載された内燃機関であり、前記排気通路を形成する排気通路管が、前記内燃機関の機関本体の、走行風に対して下流側に配置され、上流端が前記排気通路管の、走行風の方向において前記機関本体に対向する対向面で連通接続されて前記流入路を形成する流入管が、前記機関本体と前記排気通路管との間に位置する保温部を有し、前記保温部は、前記走行風の方向において前記機関本体と前記排気通路管とに挟まれて形成された空間内に配置され、かつ、前記排気通路管の、前記走行風に対して下流側に位置することなく、前記空間内で前記上流端から前記還流弁に向かって延びている排気ガス還流装置である。
【0008】
この請求項1記載の発明によれば、その上流端を含めて、車両に搭載された内燃機関の機関本体の背後に位置することになる流入管の保温部に対して、車両が走行している際に発生する走行風は、機関本体により遮蔽されるので、走行風により保温部が冷却されることは殆どなく、さらに機関本体と排気通路管との間は走行風から遮蔽された空間が形成され、しかもその空間は排気通路管からの放熱により高温雰囲気状態となっており、該高温雰囲気中に流入管の上流端を含む保温部がある。そのため、流入管が長くなったとしても、流入管から外気への放熱量が減少して、流入管を流れる還流排気ガスは、排気通路から取り出された直後から、その温度低下が抑制され、還流排気ガス中のカーボンおよびHCの酸化が促進されるので、カーボン等が、還流弁の弁体や還流弁内の還流排気ガスの通路に付着するのが抑制される。
【0009】
その結果、流入管に保温部を設けるという簡単な構造により、還流弁にカーボン等が付着して堆積することが抑制されて、還流弁が付着物により詰まるなどして、還流弁による所期の流量制御が行われなくなることを防止できるという効果が奏される。
【0010】
請求項2記載の発明は、前記内燃機関は多気筒内燃機関であり、前記排気通路管は、各気筒からの排気ガスが流れる複数の分岐管と、前記各分岐管からの排気ガスが集合する集合管とを備える排気マニホルドであり、前記分岐管は、前記集合管において前記上流端が連通接続される前記対向面側で気筒配列方向に並んで配置され、前記集合管には空燃比センサが設けられ、前記上流端は前記空燃比センサの下流に位置することを特徴とする請求項1記載の排気ガス還流装置である。
【0011】
この請求項2記載の発明によれば、空燃比センサが集合部に設けられることで、排気ガス中の酸素濃度等を検出する空燃比センサが、気筒間での空燃比のばらつきの影響を受けにくくなっている。また、流入管の上流端が空燃比センサの下流に位置するので、流入管7から排気ガスの一部が還流排気ガスとして取り出されることにより、気筒間での排気ガスの排出量にばらつきが生じて、前記空燃比センサの検出値に対して各気筒の寄与する割合が異なるものとなることが防止され、ひいては空燃比センサによる正確な空燃比制御が可能となる。
【0012】
請求項3記載の発明は、前記排気通路管は前記機関本体を構成するシリンダヘッドに取り付けられ、前記還流弁は、前記排気通路管が取り付けられるのと同じ側の前記シリンダ ヘッドの側面に取り付けられることを特徴とする請求項1または2記載の排気ガス還流装置である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の実施例を図1ないし図12を参照して説明する。
図1および図2を参照して、本願発明の実施例と共通する部分を備える第1部分実施例を説明する。
気ガス還流装置が適用される内燃機関は、車両用の火花点火式の直列4気筒4サイクル内燃機関であって、しかもシリンダヘッドに設けられる燃料噴射弁から燃焼室内に直接燃料が噴射される筒内噴射式のもので、排気ガス中の酸素濃度等を検出することで空燃比に比例した出力を発生するリニア空燃比センサを使用した空燃比制御により、希薄燃焼が行われる内燃機関である。
【0014】
この内燃機関は、オイルパン、シリンダブロック、シリンダヘッドおよびシリンダヘッドカバー(いずれも図示されず)が順次組み付けられて、これら部材により機関本体を構成する。シリンダブロックに摺動自在に嵌合された4つのピストンとの間で4つの燃焼室をそれぞれ形成するシリンダヘッドには、気筒毎に、燃焼室に連通する吸気ポートおよび排気ポートが設けられる。燃焼室側の開口が吸気弁により開閉される前記吸気ポートの、シリンダヘッドの側面側の開口は、フランジを介してシリンダヘッドに取り付けられる吸気マニホルドの4つの分岐管にそれぞれ連通接続され、一方、燃焼室側の開口が排気弁により開閉される前記排気ポートのシリンダヘッドの側面側の開口は、フランジ2を介してシリンダヘッドに取り付けられた排気マニホルド1の4つの分岐管31,32,33,34にそれぞれ連通接続される。
【0015】
排気マニホルド1は、4つの気筒からの排気ガスがそれぞれ流れる前記分岐管31,32,33,34と、各分岐管31,32,33,34からの排気ガスが集合する集合部である集合管4とを備え、それら分岐管31,32,33,34の下流端は2列に収束された状態で集合管4に連通接続され、そのうち気筒配列方向の両端部に位置する気筒である第1,第4気筒にそれぞれ属する第1,第4分岐管31,34は、集合管4において後述する流入管7の上流端7aが位置する側面側で2列に気筒配列方向に並んで配置され、気筒配列方向において、両端の第1,第4気筒の間の中間に位置する気筒である第2,第3気筒にそれぞれ属する第2,第3分岐管32,33は、集合管4の、前記上流端7aが位置する側面とは反対側の側面側で2列に気筒配列方向に並んで配置される。
【0016】
また、集合管4に設けられたフランジ5には、下流端がマフラに連通接続される排気管(図示されず)が連通接続されることで、排気ガスが、排気ポート、排気マニホルド1、排気管さらにはマフラを通って外気に放出される。ここで、排気マニホルド1および排気管により構成される排気通路管は、排気ポートと共に排気通路を形成する。
【0017】
内燃機関の排気ガスの一部を還流排気ガスとして吸気通路に還流する排気ガス還流装置は、流入路、還流弁6および流出路を備え、流入路および流出路は還流排気ガスの還流路を構成する。内燃機関の排気通路と還流弁6とを連通接続する流入路を形成する流入管7において、還流排気ガスの取出口を形成する流入管7の上流端7a(流入路の上流端でもある)は、排気通路において、各分岐管31,32,33,34の下流端よりも下流の位置に設けられる前記空燃比センサの位置、すなわち前記空燃比センサの、集合管4における取付口8の位置よりも下流の位置で、集合管4に連通接続され、その下流端7bは、還流弁6の弁ハウジング6aに設けられた入口ポート(図示されず)に連通接続される。
【0018】
そして、前記空燃比センサが集合管4に設けられることで、排気ガス中の酸素濃度等を検出する空燃比センサが、気筒間での空燃比のばらつきの影響を受けにくくなっている。
【0019】
また、流入管7の上流端7aが前述の位置にあることで、流入管7から排気ガスの一部が還流排気ガスとして取り出されることにより、気筒間での排気ガスの排出量にばらつきが生じて、前記空燃比センサの検出値に対して各気筒の寄与する割合が異なるものとなることが防止される。
【0020】
還流弁6は、排気マニホルド1のフランジ2が取り付けられるのと同じ側のシリンダヘッドの側面に、第4分岐管34の側方において、弁ハウジング6aに設けられたフランジ6bにより取り付けられる。この還流弁6は、その弁体がDCモータまたはステッピングモータにより駆動されるもので、図示されない制御装置からの制御信号によって、その弁開度が内燃機関の運転状態に応じて制御され、流量制御された還流排気ガスが、前記流出路を通って吸気通路に還流される。
【0021】
還流弁6のフランジ6bには、還流弁6により流量制御された還流排気ガスの出口ポート6cが設けられ、該出口ポート6cは、シリンダヘッドに設けられるヘッド内通路(図示されず)と、上流端が該ヘッド内通路に連通接続され、下流端が吸気通路に連通接続される通路とで構成される前記流出路に連通接続される。
【0022】
以下、流入管7および排気マニホルド1について、さらに説明する。
排気マニホルド1は、両フランジ2,5の間において、ステー9を介して排気マニホルド1に取り付けられた遮熱カバー10によりその略全体が覆われている。この遮熱カバー10は、気筒配列方向に略沿った分割面10cで2分割される2つのカバー10a,10bからなり、排気マニホルド1から発せられる熱が遮熱カバー10の外部に伝達されることを抑制している。そのため、遮熱カバー10内は、排気マニホルド1からの放熱により高温雰囲気状態となることから、この遮熱カバー10は流入管7に対しては保温カバーとして機能する。
【0023】
流入管7の一部は、集合管4と接続された上流端7aから、第4分岐管34におけるフランジ2の近傍に至る範囲で、すなわち、遮熱カバー10で覆われている範囲内で、流入管7の上流端7aから筒状の集合管4の軸線に沿って、さらに集合管4から上流端7aが位置する側面側で集合管4と連通接続されて、排気ポートに向かって途中に湾曲部を有して延びる第4分岐管34に沿って延びると共に、集合管4および第4分岐管34に近接した位置に配置されていて、流入管7の近接部7cを構成する。そして、フランジ2側の近接部7cから下流端7bに至る流入管7の部分は、第4分岐管34から逸れて還流弁6の入口ポートに達している。
【0024】
ここで、近接した位置とは、排気ガスにより加熱されて高温となっている排気マニホルド1の放熱により高温となった雰囲気中に流入管7の近接部7cが位置することで、流入管7内を流れる還流排気ガス中に含まれているカーボンおよびHCの酸化が促進される高さの還流排気ガスの温度が維持される程度の間隔を有する位置であり、この間隔は、内燃機関等により発生する振動により、流入管7と集合管4および第4分岐管34とが互い接触しない程度で、最大限小さくされるのが好ましい。
【0025】
したがって、流入管7の近接部7cは排気マニホルド1からの放熱による高温雰囲気中にあるため、近接部7cを流れる還流排気ガスは、排気通路から取り出された直後から、その温度低下が抑制され、その中に含まれているカーボンおよびHCの酸化が促進される。また、第4分岐管34は、集合管4における上流端7aが位置する側面側に配置されているため、近接部7cが、排気マニホルド1の集合管4から第4分岐管34にかけて、それら管4,34に近接した位置で、かつそれら管4,34に沿って延びる際にも、近接部7cを大きく屈曲させることなく、近接した状態を実現できる。
【0026】
このように構成された第1部分実施例の効果について説明する。
排気通路から取り出された還流排気ガスを還流弁6に供給する流入管7が、集合管4および第4分岐管34に近接した位置で、かつ集合管4および第4分岐管34に沿って延びている近接部7cを有するので、流入管7の近接部7cは、排気ガスにより高温となっている集合管4および第4分岐管34からの熱により高温となっている雰囲気中にある。そのため、該近接部7cでは、流入管7から外気への放熱量が減少して、流入管7での還流排気ガスの温度低下が抑制されるので、還流排気ガスの高温状態が維持されて、排気ガス中に酸素が存在する機関運転時である希薄燃焼での機関運転時に、排気ガス中に存在する酸素により還流排気ガス中のカーボンおよびHCの酸化が促進されることから、カーボン等が、還流弁6の弁体や還流弁6内の還流排気ガスの通路に付着するのが抑制される。
【0027】
その結果、流入管7に近接部7cを設けるという簡単な構造により、還流弁6の弁体や還流弁6の通路にカーボン等が付着して堆積することが抑制されて、還流弁6が付着物により詰まるなどして、還流弁6による所期の流量制御が行われなくなることを防止できる。
【0028】
しかも、接近部は、集合管4と接続される上流端7aから第4分岐管34におけるフランジ2の近傍に至る範囲で延びているため、排気通路から取り出された直後から還流弁6の直前まで還流排気ガスの温度低下が抑制されることで、比較的長い時間、還流排気ガスの高温状態が維持されるので、この間のカーボンおよびHCの酸化の促進により、還流弁6でのカーボン等の付着が抑制される。
【0029】
流入管7および排気マニホルド1は、両フランジ2,5間に設けられた遮熱カバー10により覆われているため、遮熱カバー10内は排気マニホルド1からの放熱で、遮熱カバー10がない場合に比べて一層高温の雰囲気状態となる。それゆえ、この遮熱カバー10は流入管7に対しては保温カバーとして機能し、この高温雰囲気中に流入管7があることから、流入管7から外気への放熱量はさらに減少して、流入管7を流れる還流排気ガスの温度低下が一層抑制され、結果として、流入管7および排気マニホルド1を共に遮熱カバー10で覆うという簡単な構造により、還流弁6でのカーボン等の付着が抑制される。
【0030】
また、流入管の上流端は、集合管に設けられる空燃比センサの下流に位置するので、流入管から排気ガスの一部が還流排気ガスとして取り出されることで、気筒間での排気ガスの排出量にばらつきが生じて、空燃比センサの検出値に対して各気筒の寄与する割合が異なるものとなることが防止される。
【0031】
その結果、排気ガスの一部が還流排気ガスとして取り出されることによって、排気通路に設けられる空燃比センサの検出値に対する各気筒の寄与する割合が異なることを防止することができ、ひいては空燃比センサによる正確な空燃比制御による希薄燃焼が可能となる。
【0032】
次に、図3を参照して、本願発明の実施例を説明する。この実施例は、第1部分実施例とは、排気マニホルド1、機関本体11および流入管7の配置関係の点および遮熱カバー10がない点で主として相違し、その他は基本的に同一の構成を有するものである。そのため、同一の構成に関する説明を省略し、主として排気マニホルド1、機関本体11および流入管7の配置関係について説明する。なお、第1部分実施例と同一の部材および第1部分実施例の部材に対応する部材については、同一の符号を付した。
【0033】
内燃機関が車両に搭載された状態で、排気マニホルド1が、内燃機関の機関本体11の、図中矢印で示す走行風に対して下流側に配置され、集合管4と接続される流入管7の上流端7aは、集合管4と機関本体11との間であって、集合管4の、走行風の方向において機関本体11に対する対向面で、連通接続されており、該上流端7aから還流弁6の入口ポートに至る流入管7の略全体が、走行風に関して機関本体11の下流側の背後に位置しており、しかも、流入管7の一部は、上流端7aからフランジ2の近傍に至る範囲で、機関本体11と排気マニホルド1との間に位置する保温部7dを構成する。
【0034】
このように構成された実施例の効果について説明する。
略全体が、車両に搭載された内燃機関の機関本体11の背後に位置することになる流入管7に対して、車両が走行している際に発生する走行風は、機関本体11により遮蔽されるので、走行風により流入管7が冷却されることは殆どなく、さらに機関本体11と排気マニホルド1との間は走行風から遮蔽された空間が形成され、しかもその空間は排気マニホルド1からの放熱により高温雰囲気状態となっており、該高温雰囲気中に、上流端7aからフランジ2の近傍に至る範囲での流入管7の一部である保温部7dがある。したがって、保温部 7d は、走行風の方向において機関本体 11 と排気マニホルド1とに挟まれて形成された前記空間内に配置され、かつ、図3に示されるように、排気マニホルド1の、走行風に対して下流側に位置することなく、前記空間内で上流端 7a から還流弁6に向かって延びている。そのため、流入管7から外気への放熱量が減少して、流入管7を流れる還流排気ガスは、排気通路から取り出された直後から、その温度低下が抑制され、還流排気ガスの高温状態が維持されるので、還流排気ガス中のカーボンおよびHCの酸化が促進されて、カーボン等が、還流弁6の弁体や還流弁6内の還流排気ガスの通路に付着するのが抑制される。その結果、流入管7に保温部7dを設けるという簡単な構造により、第1部分実施例と同様の効果が奏される。
【0035】
次に、図4および図5を参照して、本願発明の実施例と共通する部分を備える第2部分実施例を説明する。この第2部分実施例は、第1部分実施例とは、流入管7と第4分岐管34との配置関係が主として相違し、その他は基本的に同一の構成を有するものである。そのため、同一の構成に関する説明を省略し、主としてその配置関係について説明する。なお、第1部分実施例と同一の部材および第1部分実施例の部材に対応する部材については、同一の符号を付した。
【0036】
流入管7は、集合管4の接続部から第1部分実施例と同様に、集合管4および第4分岐管34に沿って延びており、しかも、図5に図示されるように、その外周面が、第4分岐管34の外周面に接触している接触部7eを有している。流入管7の接触部7eでは、お互いの管7,34は、面接触、この第2部分実施例では平面からなる接触面で面接触しており、しかもその接触面は、第4分岐管34の、集合管4との接続部の近傍から、フランジ2の近傍に至る範囲に存している。この接触面の面積の大きさは、大きいほど好ましく、流入管7についていえば、流入管7の外周面の面積のうち、第4分岐管34との接触面の面積が、外気との接触面の面積よりも大きくすることが、流入管7からの放熱量を減少させる観点からは好ましい。
【0037】
このように構成された第2部分実施例の効果について説明する。
流入管7の外周面が、第4分岐管34の、集合管4との接続部の近傍から、フランジ2の近傍に至る範囲で、第4分岐管34に沿って、その外周面に接触した状態で延びる接触部7eを有しているので、流入管7には、接触部7eの、第4分岐管34の外周面と接触している外周面を通じて第4分岐管34の熱が伝達されるので、流入管7の温度低下が抑制されると共に、接触部7eの外周面の第4分岐管34との接触している部分の面積分だけ、流入管7の放熱面積が減少する。そのため、流入管7は第4分岐管34から受熱すると同時に、流入管7から外気への放熱量が減少して、流入管7を流れる還流排気ガスの温度低下が抑制され、還流排気ガスの高温状態が維持されるので、還流排気ガス中のカーボンおよびHCの酸化が促進されて、カーボン等が、還流弁6の弁体や還流弁6内の還流排気ガスの通路に付着するのが抑制される。その結果、流入管7に接触部7eを設けるという簡単な構造により、第1部分実施例と同様の効果が奏される。
【0038】
次に、図6ないし図9を参照して、本願発明の実施例と共通する部分を備える3部分実施例を説明する。この第3部分実施例は、第1部分実施例とは、流入路および第4分岐管34の構造が主として相違し、その他は基本的に同一の構成を有するものである。そのため、同一の構成に関する説明を省略し、主として流入路および第4分岐管34の構造について説明する。なお、第1部分実施例と同一の部材および第1部分実施例の部材に対応する部材については、同一の符号を付した。
【0039】
この第3部分実施例において、第4分岐管34は、第1部分実施例の第4分岐管34よりも大径とされ、流入路は、図7ないし図9に図示されるように、第4分岐管34内において、第4分岐管34内の排気通路に沿って設けられた仕切部材である仕切板12により区画形成された通路からなる管内通路部Pを有する。それゆえ、該管内通路部Pは、第4分岐管34に沿って延びる一対のフランジ部12a(図9参照)で第4分岐管34の内周に固定された仕切板12により排気通路と隔てられ、第4分岐管34内の排気通路を流れる排気ガスの熱は、仕切板12を介して管内通路部Pを流れる還流排気ガスに伝達される。
【0040】
そして、管内通路部Pの上流端は、図7に図示されるように、集合管4内で下流に延びて設けられた延長管13に連通接続される。この延長管13の(排気通路での排気ガスの流れに対する)上流端13aは、仕切板12の(排気通路での排気ガスの流れに対する)下流端12bおよび第4分岐管34の内周面に接して、それらと接続され、延長管13の(排気通路での排気ガスの流れに対する)下流端13bは、前記空燃比センサの取付口8の下流に位置しており、この下流端13bにより、流入路の上流端が形成される。
【0041】
一方、管内通路部Pの下流端は、図6、図8および図9に図示されるように、第4分岐管34におけるフランジ2の近傍ので、第4分岐管34の外側に設けられ第4分岐管34の管壁を貫通する接続管7fの上流端に連通接続され、該接続管7fの下流端が、還流弁6の入口ポートに連通接続される。接続管7fの上流端は、円筒状の接続管7fの端部において、端面から周面にかけて還流排気ガスの流れに対向して開口する開口部7f1を有する。なお、仕切板12の、排気ガスに対する上流端は、管内通路部Pを閉塞すべく、第4分岐管34の内周との間に設けられた略半月形状の閉塞板14により塞がれる。
【0042】
したがって、管内通路部Pの上流端から流入した還流排気ガスは、管内通路部Pから接続管7fを経て還流弁6に供給される。それゆえ、この第3部分実施例では、流入路を形成する流入管7は、管内通路部Pを形成する第4分岐管34の一部および仕切板12、延長管13、そして接続管7fにより形成される。
【0043】
このように構成された第3部分実施例の効果について説明する。
流入路の、第4分岐管34内に区画形成された管内通路部Pでは、還流排気ガスに、仕切板12を通じて排気ガスの熱が伝達されるので、流入路を流れる還流排気ガスの温度低下が抑制されると共に、流入路の一部が仕切板12で形成される分だけ外気への放熱面積が減少する。また、延長管13においては、還流排気ガスは全周面を通じて排気ガスから受熱する。そのため、流入路を流れる還流排気ガスは排気ガスから受熱すると同時に、流入路から外気への放熱量が減少して、流入路を流れる還流排気ガスの温度低下が一層抑制され、還流排気ガスの高温状態が維持されるので、還流排気ガス中のカーボンおよびHCの酸化が促進されて、カーボン等が、還流弁6の弁体や還流弁6内の還流排気ガスの通路に付着するのが抑制される。
【0044】
また、流入路は、第4分岐管34内に形成されるため、流入路を形成する管路配置がコンパクトになり、排気系を構成する管路配置がコンパクトになる。
【0045】
その結果、流入路の一部を管内通路部Pで構成するという簡単な構造により、第1部分実施例と同様の効果が奏されるうえ、排気系を構成する管路配置がコンパクトになり、ひいては内燃機関がコンパクトになるという効果が奏される。
【0046】
次に、図6、図10ないし図12を参照して、本願発明の実施例と共通する部分を備える4部分実施例を説明する。この第4部分実施例は、3部分実施例とは、流入路の構造が主として相違し、その他は基本的に同一の構成を有するものである。そのため、同一の構成に関する説明を省略し、主として流入路の構造について説明する。なお、第3部分実施例と同一の部材および第3部分実施例の部材に対応する部材については、同一の符号を付した。
【0047】
この第4部分実施例において、流入路を形成する流入管7は、第4分岐管34内に配置されて、第4分岐管34に、その長手方向の適当な位置において、周方向に間隔をおいて設けられた複数のかしめ部からなる保持部15により保持される内管7gを有し、この内管7gは、第4分岐管34を外管として二重管を構成する。それゆえ、排気ガスは、内管7gと外管である第4分岐管34との間に形成される環状の流路断面を有する排気通路を流れ、その排気ガスの熱は、内管7gの外周面全面から内管7g内を流れる還流排気ガスに伝達される。
【0048】
そして、流入管7を構成する内管7gの上流端は、図10に図示されるように、第4分岐管34の下流端から集合管4内でさらに下流に延びて、前記空燃比センサの取付口8の下流に位置し、流入路の上流端を形成している。
【0049】
一方、内管7gの下流端は、図11に図示されるように、第4分岐管34におけるフランジ2の近傍で、第4分岐管34の径方向に屈曲すると共に第4分岐管34を貫通して第4分岐管34の外周面から突出している。そして、第4分岐管34の外側に設けられた接続管7fが、その突出した下流端に嵌合することで、内管7gが接続管7fに連通接続され、該接続管7fの下流端が、還流弁6の入口ポートに連通接続される。
【0050】
したがって、内管7gの上流端から流入した還流排気ガスは、内管7gから接続管7fを経て還流弁6に供給される。それゆえ、この第4部分実施例では、流入路を形成する流入管7は、内管7gおよび接続管7fにより形成される。
【0051】
このように構成された第4部分実施例の効果について説明する。
流入管7と第4分岐管34との二重管の部分では、流入管7は、流路断面が環状の排気通路に囲まれることになって外気に露出することがなく、その管壁の全周面から排気ガスの熱が伝達されるため、流入管7を流れる還流排気ガスの温度低下は極めて少ないものとなる。そのため、流入管7は二重管の部分で管壁の全周面を通じて排気ガスから受熱することで、流入管7を流れる還流排気ガスの温度低下が一層抑制され、還流排気ガスの高温状態が維持されるので、還流排気ガス中のカーボンおよびHCの酸化が促進されて、カーボン等が、還流弁6の弁体や還流弁6内の還流排気ガスの通路に付着するのが抑制される。
【0052】
また、流入路は、第4分岐管34内に形成されるため、流入路を形成する管路配置がコンパクトになり、排気系を構成する管路配置がコンパクトになる。その結果、流入管7の一部を二重管の内管7gで構成するという簡単な構造により、第3部分実施例と同様の効果が奏される。
【0053】
以下、前述した実施例の一部の構成を変更した実施例について、変更した構成に関して説明する。
前記第3部分実施例では、仕切板12は平板から構成されたが、曲面を有する板であってもよく、また仕切板を第4分岐管34と一体成形して構成することもできる。
【0054】
前記各実施例では、流入管7(または流入路)の上流端は、排気マニホルド1に位置していたが、排気マニホルド1の下流端に連通接続される排気管に位置してもよい。また、内燃機関は、前記各実施例では4気筒内燃機関であったが、4気筒以外の多気筒内燃機関であってよい。
【0055】
前記各実施例では、内燃機関は、空燃比センサを使用して希薄燃焼を行う内燃機関であったが、該空燃比センサを使用しない火花点火式の内燃機関であってもよく、また圧縮着火式の内燃機関であってもよい。そして、これらの場合には、第3部分実施例で、管内通路部Pの上流端は、集合管4内の任意の位置であってよく、例えば第4分岐管34の下流端まで延びる仕切板により形成されて、第4分岐管34の下流端と同じ位置にあってもよいし、同様に、第4部分実施例で、内管7gの上流端は、集合管4内の任意の位置であってよく、例えば第4分岐管34の下流端と同じ位置であってもよい。
【0056】
さらに、第4部分実施例では、二重管の部分において、内管7gにより流入路の一部が形成され、その内管7gの周囲に排気通路が形成されたが、前記空燃比センサを使用しない火花点火式の内燃機関の場合は、内管が第4分岐管とされて排気通路を形成し、その内管と外管とにより形成される通路が流入路とされてもよく、その場合は、流入路の上流端は、第4分岐管(内管)の下流端よりも、排気通路の排気ガスの流れに関して上流側または同じ位置に位置することになる。この場合、流入路の内周側では、第4分岐管からの受熱により還流排気ガスの温度低下が抑制されるが、流入路の外周側からは放熱し易くなるので、第1部分実施例と同様に、遮熱カバー10で排気マニホルド1を覆うことが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明の第1部分実施例である排気ガス還流装置が適用された内燃機関の排気マニホルドの正面図である。
【図2】 図1の排気マニホルドの側面図である。
【図3】 本願発明の実施例である排気ガス還流装置が適用された内燃機関の排気マニホルドの面図である。
【図4】 本願発明の第2部分実施例である排気ガス還流装置が適用された内燃機関の排気マニホルドの正面図である。
【図5】 図4のV−V線断面図である。
【図6】 本願発明の第3部分実施例である排気ガス還流装置が適用された内燃機関の排気マニホルドの後面図である。
【図7】 図6の排気ガス還流装置の流入路の上流端付近の要部断面図である。
【図8】 図6の排気ガス還流装置の流入路の下流端付近の要部断面図である。
【図9】 図8のIX−IX線断面図であり、接続管の一部を断面で示す図である。
【図10】 本願発明の第4部分実施例である排気ガス還流装置の流入路の上流端付近の要部断面図である。
【図11】 図10の排気ガス還流装置の流入路の下流端付近の要部断面図である。
【図12】 図11のXII−XII線断面図である。
【符号の説明】
1…排気マニホルド、2…フランジ、31,32,33,34…分岐管、4…集合管、5…フランジ、6…還流弁、7…流入管、7a…上流端、7c…近接部、7d…保温部、7e…接触部、8…取付口、9…ステー、10…遮熱カバー、
11…機関本体、12…仕切板、13…延長管、14…閉塞板、15…保持部、
P…管内通路部。

Claims (3)

  1. 内燃機関の排気通路と還流弁とを連通接続する流入路に流入した還流排気ガスを、該還流弁により流量制御して前記内燃機関の吸気通路に還流する排気ガス還流装置において、
    前記内燃機関は車両に搭載された内燃機関であり、
    前記排気通路を形成する排気通路管が、前記内燃機関の機関本体の、走行風に対して下流側に配置され、
    上流端が前記排気通路管の、走行風の方向において前記機関本体に対向する対向面で連通接続されて前記流入路を形成する流入管が、前記機関本体と前記排気通路管との間に位置する保温部を有し、
    前記保温部は、前記走行風の方向において前記機関本体と前記排気通路管とに挟まれて形成された空間内に配置され、かつ、前記排気通路管の、前記走行風に対して下流側に位置することなく、前記空間内で前記上流端から前記還流弁に向かって延びていることを特徴とする排気ガス還流装置。
  2. 前記内燃機関は多気筒内燃機関であり、
    前記排気通路管は、各気筒からの排気ガスが流れる複数の分岐管と、前記各分岐管からの排気ガスが集合する集合管とを備える排気マニホルドであり、
    前記分岐管は、前記集合管において前記上流端が連通接続される前記対向面側で気筒配列方向に並んで配置され、
    前記集合管には空燃比センサが設けられ、
    前記上流端は前記空燃比センサの下流に位置することを特徴とする請求項1記載の排気ガス還流装置。
  3. 前記排気通路管は前記機関本体を構成するシリンダヘッドに取り付けられ、
    前記還流弁は、前記排気通路管が取り付けられるのと同じ側の前記シリンダヘッドの側面に取り付けられることを特徴とする請求項1または2記載の排気ガス還流装置。
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