JP4014340B2 - アルカリ電池セパレータ用不織布の製造方法 - Google Patents

アルカリ電池セパレータ用不織布の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルカリ電池セパレータ用不織布とその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、電池の充放電にともなう内部抵抗と内部圧力の上昇を低く抑える事ができ、しかも、活物質の移動やデンドライトによる微小短絡が発生しにくく、サイクル寿命の長いアルカリ電池用セパレータ及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アルカリ二次電池は、充放電特性、過充放電特性に優れ、長寿命で繰り返し使用できるため、小型軽量化の著しい電子機器に広く使用されている。
密閉型のアルカリ二次電池では、電解液量を少なくし、その電池セパレータとして、従来より、繊維径の太いナイロン繊維、あるいはポリオレフィン系繊維を使用した高目付重量の不織布が用いられてきた。
そして、負極の未充電活物質の容量を正極の未充電活物質の容量よりも大きくして、充電末期に、正極の充電が負極の充電よりも先に終わって、正極から酸素ガスが発生するように電池を構成する。このようにすることによって充電末期に正極から発生する酸素ガスは、該不織布の繊維間の孔部を通過して負極に到達し、負極の表面で電気化学的に還元されて消費され、電解液へと戻される。このようにして、ガスの蓄積を防いで密閉電池内の内部圧力の著しい上昇を防止するとともに、電解液の減少を防止している。このような電池では、該不織布の構成繊維、或いはその繊維間に保持された電解液が正負極間のイオン伝導を担っている。
【0003】
上記のように、従来のアルカリ二次電池では、電解液量を少なくすると、負極における酸素ガス吸収性能が向上して、電池の内部圧力の上昇が抑えられる。そして、短時間に充電しようとして大きい電流で充電すると、過充電時の酸素ガスの発生速度が大きくなるので、電池内部圧力の上昇を防ぐためには、電解液量をできるだけ少なくして、酸素ガス吸収性能を向上させる必要がある。
【0004】
一方、電解液量を少なくすると、電池の内部抵抗が高くなって、高率放電時の分極が大きくなる。
そこで、内部抵抗を著しく高くすることなく、しかも、負極における酸素ガス吸収性能が高い電解液量の範囲を選択する。
【0005】
ところが、従来の密閉型のアルカリ二次電池では充電電流が大きく、しかも放電電流が大きい場合に、内部圧力上昇を抑制して、しかも放電時の分極を小さくするための範囲が著しく狭いという不都合があった。このような場合には、電池の製造工程のバラツキなどによって、電池の内部圧力上昇が高い電池や高率放電時の分極が大きい電池が発生する危険が大きくなる。
そこで、電池の内部抵抗を低く抑えることができ、しかも、負極での酸素ガス吸収性能を良くする為に、酸素透過性の良いアルカリ電池セパレータ用不織布が望まれている。
【0006】
次に、アルカリ電池セパレータ用不織布の製造方法として、ウェブに水流を作用させて繊維同士を交絡する、いわゆる水流交絡法が知られている。一般的な水流交絡法では、水を噴射するノズルが長尺状のウェブの移動方向に対して、直角方向に配置固定されているため、ウェブの移動方向に水流による交絡軌跡が残り、このようにして得られた不織布をアルカリ電池セパレータとして使用すると、水流による交絡軌跡、つまり、比較的大きな孔を有している為、電池の充放電時に生じる樹枝状の金属の析出、いわゆるデンドライトの成長、または電極活物質の移動による微小短絡が生じやすく、サイクル寿命が短かくなるという問題があった。
【0007】
そのため、水流交絡法によって交絡軌跡が生じないように、ノズルを回転運動及び/または単振動させながら水を噴射する方法(特公昭61−60186号公報、特公平1−18181号公報、特開平3−14693号公報など)や、ノズルとウェブのとの間に網や開口板を設置し、水を散乱させる方法(特開平5−239753号公報)などが提案されている。しかしながら、このような方法で水流交絡しても、ある程度の交絡軌跡が残り、根本的な解決方法ではなかった。
【0008】
一方、交絡軌跡を目立たなくさせる方法として、繊維ウェブに絡合処理を施して、疎な部分が混在した絡合繊維ウェブを形成した後、この絡合繊維ウェブの片面に、繊維状物の分散液を流下させて、少なくともこの繊維ウェブの疎な部分に、この繊維状物を付着させる方法(特開平7−272709号公報)が提案されている。しかしながら、この方法においては、電池セパレータとしての製造工程が煩雑となるばかりか、充放電サイクルを繰り返した場合や表面処理する際に、付着させた繊維状物の脱落が起き、やはり、根本的な解決方法ではなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、電池の充放電にともなう内部抵抗と内部圧力の上昇を低く抑えることができ、しかも、活物質の移動やデンドライトによる微小短絡が発生しにくく、サイクル寿命の長いアルカリ電池用セパレータ用不織布およびその製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記問題点を解決するために鋭意研究した結果、本発明のアルカリ電池セパレータ用不織布およびその製造方法を発明するに至った。
【0013】
本発明のアルカリ電池セパレータ用不織布の製造方法において、第の発明は直径1〜12μmの極細繊維と熱融着型複合繊維から構成されたアルカリ電池セパレータ用不織布の製造方法において、湿式抄造法で抄紙し、乾燥させ、弾性率25kgf/m2以上の原布を得た後、その原反に水流交絡処理を行い、親水化処理する事を特徴とするものである。
【0014】
また、上記発明の製造方法において、好ましくは湿式抄造法で抄紙し、湿紙ウェブの含水率を70〜85%にした後、線圧30kg/cm以上のタッチロールでヤンキードライヤーに押し当てながら乾燥させることを特徴とするものである。
【0015】
また、上記発明の製造方法において、好ましくは水流交絡処理として、各ノズルヘッド水圧が100kg/cm2以下であり、少なくとも1台のノズルヘッドに挿入されるノズルのピッチ間隔が0.3mm以下であることを特徴とするものである。
【0016】
さらに、上記発明の製造方法において、好ましくは親水化処理が、コロナ放電処理、大気圧プラズマ放電処理、フッ素化処理の少なくとも1種であることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のアルカリ電池セパレータ用不織布の製造方法について、詳細に説明する。本発明は、直径12μm以下の極細繊維と熱融着型複合繊維からなるものであり、後述するアルカリ電池セパレータ用不織布の製造方法により製造されることを特徴とするものである。
【0018】
ウェットフラジール通気度とは、内部圧力上昇に関係するものである。該不織布のウェットフラジール通気度が低い場合、充電末期に正極から発生する酸素ガスが、該不織布の繊維間の孔部を通過して負極に到達しにくい為、負極表面で電気化学的に還元されて容易に消費できなくなる。その結果、酸素ガスの蓄積が起きて、密閉電池内の内部圧力が著しく上昇し、安全弁が作動して、電解液の漏れが発生し、電池の内部抵抗が上昇するために、充放電特性の低下を招くことになる。
ウェットフラジール通気度は、繊維径の太い繊維を使用するか、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維の配合率を高めるか、水流交絡処理の処理エネルギーを増やして、該不織布に大きめの孔を開けるか、また、該不織布の電解液保持能力を高める等の方法のいずれか、もしくは上記方法の組み合わせによって高めることができる。
【0019】
一般的に、アルカリ電池セパレータ用不織布の目付重量と厚み、そして、電解液量は、電池の用途や種類に応じて、適宜選択され、調整されているが、ここでのウェットフラジール通気度は、該不織布の空隙率を58%に調整して後、0.0072g/cm2のイオン交換水を保持させて測定したものである。
該不織布の空隙率は、(1−ρ/ρ0)×100から算出される値であり、ρは該不織布の密度で、目付重量/厚みから算出される値である。また、ρ0は不織布構成繊維全体の比重である。
【0020】
ウェットフラジール通気度が0.5cm/sec未満では、上述の通り、酸素ガスの蓄積が起きて、密閉電池内の内部圧力が著しく上昇し、安全弁が作動して、電解液の漏れが発生し、電池の内部抵抗が上昇するために、充放電特性の低下およびサイクル寿命の低下を招くことになる。
一方、ウェットフラジール通気度が5.0cm/secを超えた場合、該不織布の電解液保持性も低くなり、充電末期に正極から発生する酸素ガスが、該不織布の繊維間の孔部を通過する際に、孔部に保持された電解液を一緒に押し出してしまい、負極側に電解液が偏在する為、酸素ガスを負極表面で効率的に電気化学的に還元し消費できなくなる。また、該不織布の電解液量が減少する為、電池の内部抵抗が上昇する。その結果、密閉電池内の内部圧力の著しい上昇と充放電特性の低下を招くことになる。
従って、ウェットフラジール通気度は、0.5〜5.0cm/secが好ましく、更に好ましくは、1.0〜4.0cm/secであり、最も好ましくは、1.5〜3.0cm/secである。
【0021】
電気抵抗とは、電池の内部抵抗に関係するものである。該不織布の電気抵抗が高い場合、電池の内部抵抗が上がり、充放電特性が悪化する。内部抵抗を下げるためには、電解液量を増加すれば良いが、負極での酸素ガス吸収性能とのバランスが有る。
該不織布の電気抵抗は、極細繊維を配合して、電解液の保持性を高めるか、ウェットフラジール通気度を高めるか、繊維表面に電解液を保持できる繊維を配合する等の方法のいずれか、もしくは上記方法の組み合わせによって下げることができる。
該不織布の電気抵抗は4.0×E−4Ω・100cm2/枚以下とすることで、電池の内部抵抗の上昇を抑えることができる。また、大電流で急速充放電を行う用途で使用する場合の電気抵抗は、3.0×E−4Ω・100cm2/枚以下が更に好ましい。
【0022】
ルカリ電池セパレーター用不織布は、これらウェットフラジール通気度並びに電気抵抗に対して、特定物性値を維持することによって、電池の内部圧力の上昇、並びに内部抵抗を低く抑え、良好な充放電特性とサイクル寿命特性を備えたものとすることができる。
【0023】
次に、アルカリ電池セパレーター用不織布では、構成繊維の粗密、或いは水流交絡処理での交絡軌跡により発生するピンホール状の孔を特定物性値以下に保持させることで、樹枝状の金属の析出による微小短絡、いわゆるデンドライトによる微小短絡、または電極活物質の移動による微小短絡を防止することができる。すなわち、画像解析装置で計測したピンホール状の平均孔面積が2.00×E−4mm2以下であり、その孔面積率が0.15%以下の場合である。
【0024】
ピンホール状の平均孔面積が小さいほど、また、その孔面積率が低いほど、樹枝状の金属の析出による微小短絡、または電極活物質の移動による短絡を防止することができ、そのため、サイクル寿命が長く、電池として信頼性が優れる。
ピンホール状の平均孔面積及びその面積率は、極細繊維の配合率を高くするか、目付け重量を大きくするか、水流交絡処理において、構成繊維の交絡度合いを少なくするか、或いは、より弾性率の高い原反を用いるか、柱状水流圧を下げること等の方法のいずれか、もしくは上記方法の組み合わせによって、平均孔面積を小さく、そのその孔面積率を低くできる。
【0025】
ピンホール状の平均孔面積が2.00×E−4mm2を超えた場合、特に、正極および負極が膨潤しやすく、また、デンドライトが成長しやすい、微弱電流で充電し続ける電池において、微小短絡が起きやすくなり、サイクル寿命が低下する危険が高まる。
また、ピンホール状の平均孔面積が2.00×E−4mm2以下でも、その孔面積率が0.15%を超えた場合は、上記と同様に微小短絡が起きやすくなり、サイクル寿命が低下する危険が高まる。
【0026】
続いて、本発明で用いる構成繊維について説明する。
【0027】
本発明に用いる繊維の種類としては、アルカリ電解液に対し耐久性を有するもの、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維や、エチレンビニルアルコール共重合体などCOOH、SO3H、OH、COOM、SO3M、OM(Mは軽、重金属)などの親水基を持つポリオレフィン系繊維や、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン10、ナイロン12等のポリアミド系繊維等の単独または、組み合わせたものが使用できる。
【0028】
また、上記樹脂成分の単一樹脂成分のみからなる繊維や、これらの樹脂成分を適宜組み合わせた、同芯円または偏芯の芯鞘型、サイドバイサイド型などの複合繊維や、その断面において一方の成分が、他方の成分の間に介在して少なくとも2個以上に分割できる分割型複合繊維などを使用できる。
【0029】
本発明に用いる繊維の繊維径は、該不織布が使用される電池用途に応じて、適宜選択すれば良い。
該不織布のウェットフラジール通気度、電気抵抗、ピンホール状の平均孔面積およびその孔面積率を良好な特定物性値に維持するには、繊維の表面積を大きくでき、電解液との親和性と保持性に優れる直径1〜12μmの繊維が好ましく、直径1〜10μmの繊維が更に好ましい。
繊維直径が1μmより小さい場合は、該不織布の強度面が弱くなり、形成される空隙が小さくなりすぎて、ウェットフラジール通気度が小さくなり、内部圧力の上昇が起きやすい為、好ましくない。
【0030】
直径1〜12μmの繊維を得るには、2種類以上のポリオレフィン系樹脂成分からなり、湿式抄造法におけるパルパー、或いはビーターでの繊維離解や水流交絡処理での高圧水流による流体流などの物理的作用によって容易に分割できる上述の分割型複合繊維が好適に使用できる。その中でも、ポリオレフィン重合体とエチレンビニルアルコール共重合体とが接合された複合繊維は容易に分割させやすい最も好適な組み合わせである。
【0031】
本発明で用いられる熱融着型複合繊維は、融着樹脂成分で繊維間を強固に結合し、配合した各種繊維の効果を引き出す役目をする。また、湿式抄造時に弾性率の高い原布を得るために使用される。また、融けた融着部分が偏平となり、活物質の移動を防止する。
熱融着型複合繊維としては、ポリオレフィン系重合体を芯成分とし、エチレンビニルアルコール共重合体、あるいはポリエチレンを鞘成分とした芯鞘型複合繊維や上記と同じ樹脂成分からなる並列型複合繊維や海島型複合繊維などが好適に使用できる。
特に、ポリオレフィン系重合体を芯成分とし、エチレンビニルアルコール共重合体を鞘成分とした芯鞘型複合繊維は、エチレンビニルアルコール共重合体樹脂成分が加圧下90℃程度で湿熱接着性を持つため、芯成分よりも約70℃も低温度で接着性が得られ、電解液との親和性も高く、後述の親水化処理をしやすい点から好ましい。
【0032】
熱融着型複合繊維の繊維径としては、10〜25μmが好ましい。繊維径が25μmを超えた場合、ウェブの濃淡ムラ、いわゆる目付不良が発生しやすく、また、電解液保液性が低下するので好ましくない。一方、繊維径が10μm未満では、接着点が多くなる為、ウェットフラジール通気度が低下し、内部圧力上昇を招くおそれがある。
【0033】
本発明での繊維の配合率は、該不織布が使用される電池用途に応じて、適宜選択すれば良い。
例えば、微弱電流で充電し続ける用途に使用される場合には、正極が膨潤しやすく、また、デンドライトが成長しやすい為、該不織布のピンホール状の孔は、できるだけ小さい方が良く、直径1〜12μmのポリオレフィン系の極細繊維を70重量%〜90重量%と熱融着型複合繊維を10〜30重量%使用するのが好ましい。
また、急速大電流での充放電を繰り返す用途で使用される場合には、該不織布のウェットフラジール通気度が高い方が良く、また、電気抵抗が低い方が良いため、直径1〜12μmのポリアミド系極細繊維、或いは親水基を持つポリオレフィン系極細繊維を好ましくは70重量%〜90重量%、更に好ましくは、60重量%〜80重量%と熱融着型複合繊維を10〜40重量%使用するのが好ましい。
【0034】
直径1〜12μmの極細繊維および熱融着型複合繊維の繊維長としては、5〜15mmが好ましい。繊維長が15mmを超えた場合、湿式抄造法では繊維の分散性が難しくなり、濃淡ムラ等の良好なウェブ形成ができなくなる。一方、繊維長が5mm未満では、水流交絡時、繊維が動きやすくなるため、分割型複合繊維を極細繊維に分割しにくくなり、繊維交絡も弱くなる。
【0035】
次に、本発明のアルカリ電池セパレータ用不織布の製造方法について述べる。
上記のウェットフラジール通気度、電気抵抗、平均孔面積およびその孔面積率を特定物性値とするアルカリ電池セパレーター用不織布の製造方法としては、湿式抄造法で抄紙し、乾燥させ、弾性率25kgf/m2以上の原反を得た後、水流交絡処理し、親水化処理するものである。
ここで、弾性率は原反流れ方向に対して、引張強度試験の弾性領域の傾きから求めた値をいう。
【0036】
本発明のアルカリ電池セパレータ用不織布における原反は、湿式抄造法で製造する。例えば、直径1〜12μmのポリオレフィン系極細繊維と熱融着型複合繊維をパルパーにより水中で分散させ、アジテーター等の緩やかな撹拌のもと、均一な抄紙用スラリーとし、この抄紙用スラリーを円網、長網、傾斜式等のワイヤーの少なくとも1つを有する抄紙機を用いて抄紙し、ヤンキードライヤー等を用いて熱融着型複合繊維の溶融温度もしくは軟化温度以上の温度で乾燥させ、弾性率25kgf/m2の原反を製造する。
原反の弾性率は、後述する含水率70〜85%の湿紙ウェブに対して、乾燥温度が高いほど、また、ヤンキードライヤーに押しつける線圧が高いほど、高めることができるが、後加工処理を効率的に行うには、原反の弾性率は、25〜60kgf/m2が好ましく、30〜50kgf/m2が更に好ましい。
【0037】
本発明においては、弾性率25kgf/m2以上を有する原反に後述の水流交絡処理を行うことで、不織布内部に酸素ガスを通過させるのに必要な微細な空隙を多数形成させ得る為、該不織布のウェットフラジール通気度は0.5〜5.0cm/secのものが得られる。また、アルカリ電解液の保持性能が向上するため、電気抵抗も4.0×E−4Ω・100cm2 /枚以下にすることができる。更に、水流交絡処理を施しても、原反に交絡軌跡が入りにくくなり、ピンホール状の平均孔面積が2.00×E−4mm2以下であり、その孔面積率が0.15%以下の不織布を容易に得ることができる。
【0038】
原反の弾性率が25kgf/m2未満の場合には、熱融着型複合繊維の接着点が不足しているために、水流交絡処理をした際、配合した構成繊維が動きやすく、交絡軌跡が入りやすくなり、比較的大きなピンホール状の孔が形成されるようになり、活物質の移動やデンドライトによる微小短絡が発生しやすくなる。
【0039】
本発明において、弾性率25kgf/m2以上を有する原反の製造方法としては、特に限定されるものではないが、湿式抄造法で得られた湿紙ウェブを含水率70〜85%に調整した後、105〜140℃のヤンキードライヤーに線圧30kg/cm以上のタッチロールで加圧しながら、乾燥と同時に熱処理することで容易に得られることを見い出した。
【0040】
つまり、湿紙ウェブをヤンキードライヤーで乾燥させる際に、湿紙ウェブの含水率が70%未満であると、湿紙ウェブを載せて走行する抄紙フェルトがタッチロール通過時に、構成繊維である熱融着型複合繊維が抄紙フェルトに付着して安定抄造できなくなる。また、湿紙ウェブの含水率が85%を越えると、湿紙ウェブをタッチロールでヤンキードライヤーに押しつけた際に、紙層が破壊されて、地合の良好な原反が得られなくなる。
従って、湿紙ウェブの含水率が70〜85%の場合に、安定抄造が可能であり、予めプレスロ−ルで湿紙ウェブの含水率を調整することが好ましい。
【0041】
次に、弾性率25kgf/m2以上の原反を得るには、湿紙ウェブがタッチロールを通過する瞬間に、紙層を圧縮し緻密化する必要があり、タッチロールの線圧が30kg/cm以上必要である。タッチロールの線圧が30kg/cm未満であると、紙層の緻密化が不十分となる結果、弾性率25kgf/m2以上の原反が得られなくなる。
【0042】
次に、水流交絡処理について述べる。
水流交絡処理は、湿式抄造法で製造された原反を開孔率40%以下、1つの開孔の大きさが0.04mm2以下の多孔質の支持体上に積載し、原反上方から高圧柱状水流を噴射し、高圧柱状水流と原反を相対的に移動させ、構成繊維を3次元的に交絡させる。原反と高圧柱状水流を相対的に移動させる方法としては、コンベアー式の支持体あるいはドラム式の支持体を回転運動させる方法が簡便である。
【0043】
高圧柱状水流を打ち込み、構成繊維を交絡させるためのノズル径は、60〜200μmの範囲が好ましく、ピンホール状の平均孔面積とその孔面積率を小さく抑える点から、80〜150μmの範囲が更に好ましい。また、ノズルのピッチ間隔は、0.2〜1.2mmが好ましく、ウェットフラジール通気度を大きく、電気抵抗を小さくする点から、0.3〜0.6mmが更に好ましい。
これらのノズルは、構成繊維の種類、坪量、加工速度、水圧を考慮し、十分な交絡が得られる範囲でノズルヘッドの数を変え、用いることができる。また、交絡回数も任意に選ぶことができる。
【0044】
水圧は50〜200kg/cm2の範囲で用いることが可能である。また、高圧柱状水流で加工する前に、水中に、更に好ましくは、30〜40℃の温水にサチュレートすることで、交絡の水圧を低減することが可能である。加工速度は5〜200m/分の範囲で用いることが可能である。
【0045】
水流交絡処理の交絡エネルギーとしては、原反の弾性率によるが、2.00〜4.00kw/kg/mの範囲が好ましい。この範囲であれば、該不織布のウェットフラジール通気度、電気抵抗、平均孔面積及びその面積率を良好な物性値に調整することが可能である。
4.00kw/kg/mを超えた交絡エネルギーを原反に与えても、該不織布のウェットフラジール通気度および電気抵抗に変化は無く、逆に、ピンホール状の平均孔面積とその孔面積率が大きくなるため、活物質の移動やデンドライトにより微小短絡が発生しやすくなる傾向である。
一方、交絡エネルギーが2.00kw/kg/m未満の場合は、該不織布内部に微細な空隙が充分に形成されないために、ウェットフラジール通気度が低くなり、電気抵抗も高くなる傾向である。
【0046】
本発明において、交絡エネルギ−E(kw/kg/m)は、下記数式1で規定されるものである。
【0047】
【数1】
Figure 0004014340
【0048】
数式1において、Eは交絡エネルギー(kw/kg/m)を表し、Fは流量(m3/h)を表し、Pは圧力(kg/cm2)を表し、Wは坪量(kg/m2)を表し、Sは速度(m/h)を表し、HWは原反巾(mm)を表す。
【0049】
次に、水流交絡処理を施した不織布の電解液親和性を向上させる為、親水化処理を施す。親水化処理としては、コロナ放電処理、大気圧プラズマ処理、フッ素化処理等を用いることができる。
【0050】
コロナ放電処理は、高電圧発生機に接続した電極と、シリコンラバーなどでカバーした金属ロール間に適度の間隙を設け、高周波で数千〜数万Vの電圧をかけ、高圧コロナを発生させ、この間隔に上記の方法で得られた交絡不織布を適度な速度で走らせ、該不織布面にコロナを生成したオゾン、あるいは、酸化窒素を反応させて、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ペルオキシド基を生成させる事により、該不織布に対する電解液の親和性を向上させる表面改質法である。
【0051】
大気圧プラズマ処理は、対向する電極の少なくとも一方の電極表面にポリイミド、雲母、セラミック、ガラス等の個体誘電体を配設した誘電体被覆電極を有するプラズマ反応装置に、ヘリウムおよびアルゴンと酸素から本質的になる気体組成物を導入し、大気圧下でプラズマ励起を行って、対向する電極の間に位置する交絡不織布表面を酸化およびエッチングして電解液親和性を向上させる表面改質法である。
【0052】
フッ素処理は、窒素ガス、あるいはアルゴンガスなどで希釈したフッ素ガスと酸素ガス、二酸化炭素ガス、二酸化硫黄ガス等の一種類のガスとの混合ガスをウェブに接触させて、交絡不織布表面にカルボキシル基、カルボニル基、水酸基を生成させて電解液親和性を向上させる表面改質法である。
【0053】
なお、交絡不織布に上記親水化処理を施した後、電解液により分解しても自己放電に悪影響を及ぼさない例えば、ノニオン系の界面活性剤などの濡れ剤で塗布あるいは含浸処理しても良い。
【0054】
また、本発明のアルカリ電池セパレータ用不織布の目付重量や厚みは、限定するものではないが、好適に使用しうるためには、目付が小さく、薄すぎると短絡が発生しやすく、目付が大きく厚くなりすぎると、高容量の電池を得にくいため、目付45〜80g/m2、厚みはマイクロメータで測定して100〜200μmであるのが好ましい。そのため、ゴム−ゴム、スチール−スチール、スチール−ゴム、コットン−スチール、コットン−コットンの組み合わせで、カレンダー処理を行って厚み調整をしても良い。
【0055】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。なお、実施例中における、部、%はすべて重量によるものである。
【0056】
実施例1
MFRが40の結晶性ポリプロピレン繊維とエチレン含有量が38モル%、MFRが40で、ケン化度99.6%のエチレンビニルアルコール共重合体によって構成される繊度3デニール、繊維分割後0.2デニール(3.9μm)、繊維長6mmの分割型複合繊維を70部と、MFRが40の結晶性ポリプロピレンを芯成分とし、エチレン含有量が38モル%、MFRが40で、ケン化度99.6%のエチレンビニルアルコール共重合体を鞘成分とした繊維径17.5μm、繊維長10mmの芯鞘型熱融着繊維を15部と、繊維径10.4μm、繊維長10mmのポリプロピレン繊維を15部の配合率で、丸網抄紙機による湿式抄造法で、坪量58.6g/m2、弾性率29.6kgf/m2、幅50cmの原反を作製した。
【0057】
次に、この原反を100メッシュのステンレスワイヤーである多孔質支持体上に搬送し、高圧柱状水流により水流交絡処理を行い、交絡不織布を得た。
水流交絡処理条件は、ノズルヘッドを3ヘッド用い、第1ヘッドがノズル径120μm、0.6mmピッチのノズルで水圧60kg/cm2、第2ヘッドがノズル径100μm、0.6mmピッチのノズルで水圧80kg/cm2、第3ヘッドがノズル径100μm、0.6mmピッチのノズルで水圧90kg/cm2で、加工速度が15.0m/分である。水流交絡処理は、まず片面に行い、次に同じ条件で裏面を行った。この時の交絡エネルギーは2.1kg/kw/mである。
次に、水流交絡後の原反を120℃の熱風式乾燥機で乾燥し、交絡不織布を得た。
【0058】
次に、交絡不織布の両面に電極20mm×600mm、誘電体ハイバロン3.2mmを用いてコロナ処理を施し、最後に、常温でカレンダー処理を行って、厚さ152μmのアルカリ電池セパレータ用不織布を得た。
【0059】
実施例2
表裏の水流交絡処理条件として、実施例1と同じノズルを使用し、第1ヘッド水圧90kg/cm2、第2ヘッド水圧120kg/cm2、第3ヘッド水圧130kg/cm2で、加工速度15.0m/分にし、交絡エネルギーを3.9kw/kg/mにした以外は、実施例1と同様の方法でアルカリ電池セパレータ用不織布を得た。
【0060】
実施例3
繊維径7.9μm、繊維長5mmのナイロン6繊維を70部と、実施例1で使用した芯鞘型熱融着繊維を30部の配合率で、丸網抄紙機による湿式抄造法で、坪量65.3g/m2、弾性率42.5kgf/m2、幅50cmの原反を作製した。
表裏の水流交絡処理条件として、実施例1と同じノズルを使用し、第1ヘッド水圧70kg/cm2、第2ヘッド水圧80kg/cm2、第3ヘッド水圧90kg/cm2で、加工速度15.0m/分にし、交絡エネルギーを2.1kw/kg/mにした以外は、実施例1と同様の方法でアルカリ電池セパレータ用不織布を得た。
【0061】
実施例4
実施例1で使用した分割型複合繊維を50部と、ポリプロピレン繊維を20部と、MFRが40の結晶性ポリプロピレンを芯成分とし、高密度ポリエチレンを鞘成分とした繊維径15.2μm、繊維長10mmの芯鞘型熱融着繊維を30部の配合率で、丸網抄紙機による湿式抄造法で、坪量50.1g/m2、弾性率27.5kgf/m2、幅50cmの原反を作製し、実施例1と同じ水流交絡条件で交絡処理を行い、交絡エネルギー2.5kw/kg/mとした以外は、実施例1と同様の方法でアルカリ電池セパレータ用不織布を得た。
【0062】
実施例5
実施例1で、坪量58.6g/m2、弾性率39.8kgf/m2の原反を作製した後、表裏の水流交絡条件として、第1ヘッドがノズル径120μm、0.3mmピッチのノズルで水圧60kg/cm2、第2ヘッドがノズル径100μm、0.6mmピッチのノズルで水圧80kg/cm2、第3ヘッドがノズル径100μm、0.6mmピッチのノズルで水圧90kg/cm2で、加工速度が15.0m/分とし、交絡エネルギーを2.8kg/kw/mにした以外は、実施例1と同様の方法でアルカリ電池セパレータ用不織布を得た。
【0063】
実施例6
表裏の水流交絡処理条件として、実施例5と同じノズルを使用し、第1ヘッド水圧70kg/cm2、第2ヘッド水圧100kg/cm2、第3ヘッド水圧100kg/cm2で、加工速度は15.0m/分にし、交絡エネルギーを3.5kw/kg/mにした以外は、実施例5と同様の方法でアルカリ電池セパレータ用不織布を得た。
【0064】
実施例7
実施例1で使用した分割型複合繊維を75部と、熱融着型複合繊維を20部と、ポリプロピレン繊維を5部の配合率とし、坪量58.1g/m2、弾性率49.0kgf/m2の原反を使用した以外は、実施例6と同様の方法でアルカリ電池セパレータ用不織布を得た。
【0065】
実施例8
実施例5で、コロナ放電処理の代わりに、交絡不織布の両面に大気圧プラズマ処理を行った以外は、実施例5と同様の方法でアルカリ電池セパレータ用不織布を得た。大気圧プラズマ処理方法としては、プラズマ反応装置内の上下電極板に厚み0.8mmのミカタイトD581を極板よりやや大きく切ってシリコングリースで貼着し、ガス流入口からプラズマ反応装置内にヘリウムガス70容量%、アルゴンガス20容量%、酸素10容量%の混合ガスを流入させて、プラズマ反応装置内の空気が完全に混合ガスと置換した時に、高周波プラズマを20秒間照射させた。
【0066】
実施例9
実施例5で、コロナ放電処理の代わりに、交絡不織布の両面にフッ素2.6容量%、酸素73.7容量%、窒素23.7容量%からなる混合ガスでフッ素処理を行った以外は、実施例5と同様の方法でアルカリ電池セパレータ用不織布を得た。
【0067】
比較例1
実施例1と同じ配合率の坪量58.2g/m2、弾性率24.2kgf/m2の原反に、実施例2と同様の水流交絡処理を行った以外は、実施例1と同様の方法でアルカリ電池セパレータ用不織布を得た。
【0068】
比較例2
繊維径14μm、繊維長51mmのナイロン6繊維50部と、繊維径16μm、繊維長51mmのナイロン66繊維50部とを混合してパラレルカードでウッブを作製し、加熱ロールで加熱処理と厚み調整して、アルカリ電池セパレータ用不織布を得た。
【0069】
比較例3
繊維径10.4μm、繊維長38mmのポリプロピレン繊維30部と、繊維径12.9μm、繊維長51mmのプロピレン繊維30部とMFRが40の結晶性ポリプロピレンを芯成分とし、高密度ポリエチレンを鞘成分とした繊維径19.5μm、繊維長51mmの芯鞘型熱融着繊維を40部を混合してパラレルカードでウッブを作製し、噴霧装置にてノニオン性界面活性剤を対繊維当たり0.3%付着させた後、乾燥し、加熱ロールで加熱処理と厚み調整して、アルカリ電池セパレータ用不織布を得た。
【0072】
実施例10
実施例1と同じ配合率から成る含水率70%の湿紙ウェブを120度のヤンキードライヤーに線圧30kg/cmのタッチロールで押しつけながら乾燥させ、坪量58.6g/m2、弾性率29.6kgf/m2の原反を作製した以外は、実施例2と同様の方法でアルカリ電池セパレータ用不織布を得た。
【0073】
実施例11
実施例10で、湿紙ウェブの含水率を85%にした以外は、実施例10と同様の方法でアルカリ電池セパレータ用不織布を得た。
【0074】
実施例12
実施例10で、湿紙ウェブの含水率を75%、タッチロールの線圧を35kg/cmとした以外、実施例10と同様の方法でアルカリ電池セパレータ用不織布を得た。
【0075】
比較例4
実施例10で、湿紙ウェブの含水率を65%とした場合、105〜120度のヤンキードライヤーで湿紙ウェブを乾燥すると、タッチロール出口でフェルト汚れが発生する為、ヤンキードライヤ温度を100度に下げて原反を製造した以外、実施例10と同様の方法でアルカリ電池セパレータ用不織布を得た。
【0076】
比較例5
実施例10で、タッチロール線圧を25kg/cmとした場合、105〜120度のヤンキードライヤーで湿紙ウェブを乾燥すると、タッチロール出口でフェルト汚れが発生する為、ヤンキードライヤ温度を100度に下げて原反を製造した以外、実施例10と同様の方法でアルカリ電池セパレータ用不織布を得た。
【0077】
比較例6
実施例10で、湿紙ウェブの含水率を65%、タッチロール線圧を25kg/cmとした場合、105〜120度のヤンキードライヤーで湿紙ウェブを乾燥すると、タッチロール出口でフェルト汚れが発生する為、ヤンキードライヤ温度を100度に下げて原反を製造した以外、実施例10と同様の方法でアルカリ電池セパレータ用不織布を得た。
【0078】
実施例1〜12および比較例1〜で作製したアルカリ電池セパレータ用不織布について、下記の測定方法により特性値を測定し、また、評価方法により評価し、その特性値および性能評価結果を表1と表2に示した。
【0079】
<測定方法>
[坪量]
坪量の評価としては、温度20℃、相対湿度65%の試験室に放置し、水分平衡に調整した後、50mm×200mmの試験片10枚を電子天秤で小数点3桁まで測定し、1m2当たりの目付重量(g/m2)に換算し、その平均値を示した。
【0080】
[厚さ]
厚さの評価としては、直径6.3mmのダイヤルシックスネスゲージ(マイクロメータ)を用いて、試験片5枚のそれぞれ異なる6箇所で厚さ(μm)を測定し、その平均値を示した。
【0081】
[ウェットフラジール通気度]
ウェットフラジール通気度の評価としては、カトーテック社製通気性試験機(KES−F8−AP1)を用いて、アルカリ電池セパレータ用不織布の空隙率を58%に調整した後、0.0072g/m2の脱イオン水(水温20℃)を保持させた際の通気抵抗を測定し、通気度(cm/sec)に換算した。
アルカリ電池セパレータ用不織布として、電池内部圧力上昇を良好な状態に抑える為には、0.5〜5.0cm/secの範囲にする必要がある。
【0082】
[電気抵抗]
電気抵抗の評価としては、70mm×70mmの試験片を8枚採取し、JISC2313に準じ、電解液として、20℃における比重1.30のKOH水溶液、電流電極として、1種のニッケル板、電圧電極として、直径5mmの1種のカドミウム棒を使用して、KOH水溶液中でイオン伝導がアルカリ電池セパレータ用不織布によって阻害される程度(Ω・100cm2/枚)を測定し、その平均値を示した。
電池内部抵抗を良好な状態に抑え、急速充放電を可能にする為には、アルカリ電池セパレータ用不織布の電気抵抗は、4.0×E−4Ω・100cm2/枚以下が必要である。
【0083】
[平均孔面積とその面積率]
平均孔面積とその面積率の評価方法としては、20mm×50mmの試験片を8枚採取し、ニレコ社製画像解析装置(LUZEX5000)を用いて、試験片の下方から光を当てた際に、構成繊維の密度むらや水流交絡跡で発生する濃淡画像を顕微鏡で取り込み、2値化画像処理して、淡部を不織布表面のピンホール状の孔として、平均孔面積(mm2)とその面積率(%)を測定し、その平均値を示した。
【0084】
<評価方法>
[電池作製]
正極及び負極に、それぞれ公知の帯状の焼結式水酸化ニッケル電極及び焼結式カドミウム電極を1枚ずつ用い、これらの電極の間に上記の実施例及び比較例のアルカリ電池セパレータ用不織布を介在させて、この該セパレータ不織布を引っ張りながら捲回した。そして、これを円筒形の金属ケースに収納し、比重1.30の水酸化カリウムを主体とするアルカリ電解液を注入し、安全弁付きの電池蓋を取り付けて、公称容量が0.7Ahの単3形の密閉式ニッケルカドミウム電池を20個製作した。
電池の化成を行う為に、25℃において10時間率の電流で15時間充電し、1時間率の電流で端子電圧が0.8Vになるまで放電するという充放電を4回繰り返した。
上記の方法で密閉式ニッケルカドミウム電池を作製し、下記の評価方法により、電池評価を行った。
【0085】
[電池の内部抵抗と内部圧力上昇]
化成済みの10個の電池について、25℃において1時間率の電流で1.2時間充電し、1時間率の電流で端子電圧が1.0Vになるまで放電するという充放電を50サイクル繰り返した。
50サイクルの充放電後の1kHz交流法による内部抵抗(mΩ)と、充電末期の内部圧力上昇(kg)を測定し、その平均値を示した。
内部抵抗値に対し、20mΩ以下を◎、21〜23mΩ以下を○、24〜25mΩを△、26mΩ以上を×で表した。電池特性として、実使用可能レベルは△以上であるが、急速充電大電流放電する場合は○以上である事が好ましい。
内部圧力上昇値に対し、2.4kg以下を◎、2.5〜3.0kgを○、3.1〜5.0kgを△、5.1kg以上を×で表した。電池特性として、実使用可能レベルは△以上であるが、急速充電大電流放電する場合は○以上である事が好ましい。
【0086】
[低レート寿命]
化成済みの残り10個の電池について、25℃において20時間率の電流で30時間充電し、1時間率の電流で端子電圧が1.0Vになるまで放電するという充放電サイクル繰り返した。
低レート寿命において、80サイクル未満を×、81〜150サイクルを△、151〜200サイクルを○、201サイクル以上を◎で表した。電池特性として、実使用可能レベルは△以上であるが、低レートで充電する電池種に使用する場合は○以上である事が好ましい。
【0087】
【表1】
Figure 0004014340
【0088】
【表2】
Figure 0004014340
【0089】
評価;表1の実施例1〜4は、直径1〜12μmの極細繊維と熱融着型複合繊維から構成され、湿式抄造法で抄紙し、乾燥させ、弾性率25kgf/m2以上の原布を得た後、水流交絡処理と親水化処理して、不織布のウェットフラジール通気度が0.5〜5.0cm/sec、電気抵抗が4.0×E−4Ω・100cm2/枚以下であるアルカリ電池セパレータ用不織布の場合であるが、電池の内部抵抗及び内部圧力上昇が低く、良好な電池特性を示した。また、ウェットフラジール通気度が高い程、また、電気抵抗が低い程、電池の内部抵抗及び内部圧力上昇が良好な傾向にある。尚、実施例1は、ウェットフラジール通気度が、0.5cm/sec、電気抵抗が4.0×E−4Ω・100cm2/枚で、電池の内部抵抗及び内部圧力上昇が高めで、電池の実使用上の限界レベルであった。実施例4は、平均孔面積が2.04×E−4mm2 で、低レート寿命が短く、電池の実使用上の限界レベルであった。
【0090】
実施例5〜7は、原反の弾性率を高め、各ノズルヘッド水圧が100kg/cm2以下で、少なくとも1台のノズルヘッドに挿入されるノズルのピッチ間隔が0.3mm以下のものを用いて水流交絡処理を行った為、微細な空隙が多数形成されており、結果として、電池の内部抵抗及び内部圧力上昇が良好で、特に、低レート寿命が良好で、サイクル寿命の信頼性に優れるものであった。
【0091】
親水化処理として、実施例8は大気圧プラズマ処理を行い、実施例9はフッ素処理を行った場合であるが、電池の内部抵抗及び内部圧力上昇は低く、更に、低レート寿命は長く、コロナ処理(実施例5)と同じく優れた電池特性を示した。
尚、親水化処理として、コロナ処理と大気圧プラズマ処理とフッ素処理を比較した場合、電気抵抗は大気圧プラズマ処理の場合が最も高く、フッ素処理の場合が最も低くなり、その序列で内部圧力上昇が良好な傾向であった。しかしながら、フッ素処理は、生産コストが高い上、作業安全性の課題がある為、全体的にコロナ処理が最も好ましい親水化処理方法である。
【0092】
比較例1は、実施例2と同じ条件で水流交絡処理を行い、電池特性としては内部抵抗及び内部圧力上昇が低く、充放電特性に優れるが、原布の弾性率が25kgf/m2未満である為、不織布表面にはピンホール状に見える水流交絡跡が大きく残り、平均孔面積及びその面積率が大きく、結果として、低レート寿命が短く、サイクル寿命特性の信頼性が低いものであった。
【0093】
比較例2は、ナイロン繊維を用いて乾式カード法で製造したアルカリ電池セパレータ用不織布の場合であるが、電池特性としては内部抵抗及び内部圧力上昇が低く、充放電特性に優れるが、構成繊維の密度むらに起因するピンホール状に見える孔が不織布表面に無数存在し、平均孔面積及びその面積率も大きく、結果として、低レート寿命が短く、サイクル寿命特性の信頼性が低いものであった。
【0094】
表1の比較例3は、電池の内部抵抗および内部圧力上昇が高く、電池として実使用できないレベルであった。
【0096】
表2の実施例10〜12は、アルカリ電池セパレータ用不織布の製造におけるより好ましい製造方法の場合であるが、湿式抄造法で湿紙ウェブを含水率70〜85%に調整した後、線圧30kg/cm以上のタッチロールでヤンキードライヤーに押し当てながら乾燥させることで、弾性率25kgf/m2以上の原反を容易に得ることができ、水流交絡処理しても、水流交絡跡がつきにくくなり、また、ピンホール状の平均孔面積及びその面積率を小さくできる。その結果、充放電特性に優れ、充放電サイクルを繰り返した際の微小短絡が防止できる。
【0097】
一方、表2の比較例4〜6は、請求項の範囲以外で原反を製造した場合であるが、ヤンキードライヤー温度が105〜120度では、湿紙ウェブを載せた抄紙フェルトがタッチロールを通過した際に、熱融着型複合繊維が抄紙フェルトにくっついて、安定抄造ができなかった。ヤンキードライヤー温度を100度まで下げた場合、原反を得ることができたが、弾性率が25kgf/m2以下のものとなり、水流交絡処理した場合、比較例1と同様に、電池特性として、内部抵抗及び内部圧力上昇が低く、充放電特性に優れるものが得られた。しかしながら、不織布表面にはピンホール状に見える水流交絡跡が大きく残り、数値的にも平均孔面積及びその面積率が大きく、電池特性として低レート寿命が短く、サイクル寿命特性の信頼性が低いものとなった。
【0098】
【発明の効果】
本発明のアルカリ電池セパレータ用不織布の製造方法は、湿式抄造法で抄紙し、好ましくは、湿紙ウェブの含水率を70〜85%とし、線圧30kg/cm以上のタッチロールでヤンキードライヤーに押し当てながら乾燥させ、弾性率25kgf/m2以上の原布を得た後、各ノズルヘッド水圧100kg/cm2以下で、少なくとも1台のノズルヘッドに挿入されるノズルのピッチ間隔が0.3mm以下で水流交絡処理を行い、親水化処理する。その結果、本発明により、高容量、急速充電大電流放電、長寿命、高信頼性等の高度な特性が必要なコードレス機器用として好適に使用することができる。

Claims (4)

  1. 直径1〜12μmの極細繊維と熱融着型複合繊維から構成されたアルカリ電池セパレータ用不織布の製造方法において、湿式抄造法で抄紙し、乾燥させ、弾性率25kgf/m 2 以上の原布を得た後、その原反に水流交絡処理を行い、親水化処理する事を特徴とするアルカリ電池セパレータ用不織布の製造方法。
  2. 湿式抄造法で抄紙し、湿紙ウェブの含水率を70〜85%にした後、線圧30kg/cm以上のタッチロールでヤンキードライヤーに押し当てながら乾燥させることを特徴とする請求項1記載のアルカリ電池セパレータ用不織布の製造方法。
  3. 水流交絡処理での各ノズルヘッド水圧が100kg/cm 2 以下であり、少なくとも1台のノズルヘッドに挿入されるノズルのピッチ間隔が0.3mm以下であることを特徴とする請求項1または2記載のアルカリ電池セパレータ用不織布の製造方法。
  4. 親水化処理が、コロナ放電処理、大気圧プラズマ放電処理、フッ素化処理の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1、2または3記載のアルカリ電池セパレータ用不織布の製造方法。
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