JP4014159B2 - ウェネルト電極及びそれを用いている荷電粒子銃 - Google Patents

ウェネルト電極及びそれを用いている荷電粒子銃 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蒸着装置、種々の材料の改質などに用いられる荷電粒子銃の構造、特にウェネルト電極の形状に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
蒸着装置などでは、電子銃によるビームを偏向してターゲット(試料)に照射して蒸着する場合、蒸着膜の厚み、その均一性、蒸着効率などを向上させる必要があり、これら目的を達成するため、今までにウェネルト電極を用いた電子銃が多数提案されている。
【0003】
従来では図12に示すように、電子銃のウェネルト電極1はいずれも、ウェネルト電極1の中央に設けられた開口1aにおける電界が開口1aの中心点に対して対称になるように、開口1aが円形で、その開口1aの周囲の形状、例えば傾斜面1bの角度θを一様に形成している(例えば、特許文献1、特許文献2)。
【0004】
このように、ウェネルト電極1の開口1aにおける電界を対称にすると共に、開口1aの周囲をすり鉢形状、つまり所望の傾斜面1bとすることによって、円筒状の電子ビームの電流密度を一様にしている。なお、2はウェネルト電極1の開口1aに設けられたフィラメント部材であり、加熱によって電子を放出する。3はアノード電極で、4はウェネルト電極1とアノード電極3との間に直流高電圧を印加する直流高電圧電源であり、これらはフィラメント部材2から放出された電子を加速する。
【0005】
また、図13で示すように、図12のような機構Mで形成された電子ビームをヘルムホルツコイルなどによる磁界Hによって、大きく偏向、例えば270度円弧状に曲げて集束し、るつぼ11のターゲット12に照射してターゲットである金属材料を溶融蒸発させ、蒸気13を得るものもある(例えば、特許文献3)。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−180663号公報
【特許文献2】
特開2001−283758号公報
【特許文献3】
特開平5−174761号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1の場合、光軸線に対してあまり大きく偏向されない電子ビームEBを得るには問題ないが、このようにして得られた電子ビームEBを特許文献2に示すように、磁界Hの作用によって大きく偏向されて円弧状に曲げる場合、磁界の方向性からx−y平面でx方向、y方向双方とも同じように集束された焦点を得るのは非常に難しいという問題がある。
【0008】
図13では、電子ビームEBの途中の点Aでは紙面正面から見ると、電子ビームEBは集束されているが、実際上は、紙面の左右から見ると、集束されておらず、ある長さを持つ。そして、紙面正面から見ると、集束されていなくても、紙面の左右から見ると、集束されている点もある。つまり、前に述べたようにx方向、y方向から見て同じように同一点に集束させることは難しい。
【0009】
いずれにせよ、従来のウェネルト電極の形状では、偏向磁界の方向、磁場分布の不均一性などからビーム形状の制御、特にビームを円弧状に偏向したとき、荷電粒子ビームのターゲット面における電流密度を向上させることが困難である。
【0010】
本発明は、電子ビーム又はイオンビームのような荷電粒子ビームのターゲットにおける焦点の電流密度を向上させると共に、均一化させるために、ターゲット面に荷電粒子ビームを合わせたり、あるいはターゲットの形状に合った断面形状をもつ荷電粒子ビームを形成するために荷電粒子ビームの焦点位置を調整できるようにすることを主目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、中央に開口を有し、前記開口の周辺部の傾斜面がなす角度が部分的に異なるウェネルト電極は、荷電粒子ビームの放出方向であるz方向と垂直で互いに直交する方向をx方向、y方向とすると、前記傾斜面とz方向との傾斜角度が、x方向からy方向にかけて連続的に変化し、前記y方向の磁界が作用することによって、前記荷電粒子ビームが円弧状に曲げられ、前記 x 方向から見た荷電粒子ビームの焦点と、前記y方向から見た荷電粒子ビームの焦点とがターゲットで一致するように、前記開口周辺部の前記x方向の傾斜角度θ1、前記y方向の傾斜角度θ2が選定されていることを特徴とするウェネルト電極である
【0029】
【発明の実施の形態および実施例】
本発明は、ウェネルト電極の開口周辺における荷電粒子ビームの放出方向に対する傾斜面の角度θの大きさによって、荷電粒子ビームの集束位置がウェネルト電極から離れたり、近づき、傾斜面の角度θ(ウェネルト電極の上面と傾斜面との間の角度)を最適化することによって、荷電粒子ビームの焦点の位置を決定できるという知見に基づき、ウェネルト電極の開口周辺を部分部分によって傾斜角度を異ならせることで、開口付近の電界を対称にせず、適切に非対称とすることによって、ターゲットでの荷電粒子ビームの形状を所望なものにすることを特徴にしている。(請求項1に含まれる効果と考えています)
ここで荷電粒子とは、電子、それよりも質量の大きなイオン、イオンの一部分が外に飛び出して荷電された分子など荷電された粒子を意味するものとする。
【0030】
図1ないし図5によって、本発明の荷電粒子銃の1実施例である電子銃について説明を行う。図1は、ウェネルト電極1の開口1a近傍の傾斜角度θを示す図である。ウェネルト電極1の開口1aには、加熱によって電子を放出するフィラメント部材2が配置され、アノード電極3はウェネルト電極1から所定距離離れて配置される。電子ビームの集束と加速とを行うウェネルト電極1とアノード電極3との間に高電圧を印加する直流高電圧電源4を備える。ここで、ウェネルト電極1とアノード電極3との間の距離を調整できるように、ウェネルト電極1又はアノード電極3を可動にしておけば都合が良い。
【0031】
図2ないし図4は、ウェネルト電極1の開口1a近傍の角度θを変えただけであり、ウェネルト電極1とアノード電極4との間の距離、直流高電圧電源4の電圧、磁界Hなど他は同じ条件にして、電子ビームの軌跡の変化と焦点の位置とがどのように変わるかを実験した結果の一例を示す図である。
【0032】
ここで、z方向とはフィラメント部材2が電子を放出する方向を言い、x方向、y方向とはz方向に対して直角で互いに直交する方向を言う。
【0033】
図2は、ウェネルト電極1の開口1a周辺部が電子ビームEBの放出方向に対し斜めになっておらず、角度θが一様に90度の場合である。
【0034】
図2(A)は磁界(磁場)Hが存在しない場合であり、フィラメント部材2の加熱によって放出された電子ビームEBは直進し、アノード電極3の近くで焦点Fを結び、その後再び放散する。
【0035】
図2(B)は、紙面の表側から裏側に向かう磁界が存在する場合、つまり、磁界の方向がz−x面に対して垂直方向にある場合の電子ビームEBに軌跡を示す。電子ビームEBは磁界Hの働きによって円弧状に曲げられて進み、電子ビームEBの焦点Fはアノード電極3の比較的近傍にあり、るつぼ5のターゲット6では集束性が悪く、広がっている。
【0036】
図2(C)は、磁界方向に対して垂直になる方向、つまり、z−y面に対して垂直になる方向から電子ビームEBを見た図であり、紙面の左右方向である矢印方向の磁界Hの働きによって円弧状に曲げられた電子ビームEBの焦点Fはターゲット6よりもフィラメント部材2寄りに存在する。
【0037】
したがって、ウェネルト電極1の開口1aの角度θが一様に90度の場合には、電子ビームEBの集束性が、z−x面、z−y面において悪く、x方向、y方向のいずれの側から見ても焦点Fはターゲットに結ばれず、このようなビーム形状の電子ビームによるx−y平面の溶け跡は、図2(D)に示すようにx方向に長い楕円状となる。
【0038】
次に図3は、ウェネルト電極1の開口1aの周辺部の角度θが一様に110度の場合を示す。
【0039】
図3(A)は磁界Hが存在しない場合であり、電子ビームEBはあまり曲がらずに直進し、図2(A)の場合に比べて、アノード電極3から遠い位置に焦点Fが形成される。
【0040】
図3(B)は、図2(B)と同様に紙面の表側から裏側に向かう磁界Hが存在する場合、つまり、磁界Hの方向がz−x面に対して垂直方向にある場合の電子ビームEBに軌跡を示す。電子ビームEBは、磁界Hの働きによって円弧状に曲げられて進み、磁界方向(y方向)から見たときの焦点Fは、図2(B)の場合よりもアノード電極3から離れており、るつぼ5のターゲット6面での集束性は良くない。
【0041】
図3(C)は、図2(C)と同様に、磁界方向に対して垂直になるz−y面における(x方向から見た)電子ビームEBであり、紙面の左右方向である矢印方向の磁界Hの働きによって円弧状に曲げられた電子ビームEBの焦点Fは、ターゲット6面に存在することを示している。このことは、y方向から見たx方向の焦点Fは合っていないが、x方向から見たy方向の電子ビームEBの焦点Fは合っていることを示している。
【0042】
したがって、このようなビーム形状の電子ビームによるx−y平面の溶け跡は、ビーム形状は図3(D)に示すように、x方向に長径で、y方向には短径となる。
【0043】
更に、ウェネルト電極1の開口1aの角度θを一様に広げて135度にすると、図4(A)、(B)、(C)に示すように焦点Fはアノード電極3から更に離れた位置、別の言い方をすれば、るつぼ5に近寄った位置で結ばれる。したがって、図4(B)に示すように、紙面の表側から裏側に向かう磁界Hが存在する場合の電子ビームEBの軌跡は、磁界Hの働きによって円弧状に曲げられて進み、磁界方向から見たときの焦点Fは、図3(B)の場合よりもアノード電極3から離れ、るつぼ5のターゲット6面の近傍で集束される。
【0044】
しかし、図4(C)に示すように、磁界方向に対して垂直の方向、つまり、z−y面における電子ビームEBは、紙面の左右方向である矢印方向(y方向)の磁界Hの働きによって円弧状に曲げられるが、その焦点Fはターゲット6面から先の方向、つまり、るつぼ5の下方向の位置で結ばれるのが分かる。
【0045】
したがって、この場合のビーム形状はx方向、y方向とも焦点は合っていないが、ほぼ両方向に均衡がとれており、このようなビーム形状の電子ビームによるx−y平面の溶け跡は、図4(D)に示すように比較的円に近い形となる。
【0046】
更に、ウェネルト電極1の開口1aの角度θを一様に広げて160度にすると、電子ビームEBは図5(A)では集束せず、図5(B)、(C)ではその焦点Fがアノード電極3から更に離れた位置で結ばれる。図5(B)に示すように、紙面の表側から裏側に向かう磁界Hが存在する場合の電子ビームEBの軌跡は、磁界Hの働きによって円弧状に曲げられて進み、磁界方向、つまりy方向から見たときの焦点Fはるつぼ5のターゲット6面で集束、焦点Fはターゲット6に合致する。
【0047】
しかし、図5(C)に示すように、磁界方向に対して垂直の方向、つまり、x方向から見たy方向の電子ビームEBは、紙面の左右方向である矢印方向の磁界Hの働きによって円弧状に曲げられ、その焦点Fはターゲット6の先の方向、つまり、るつぼ5の下方向の位置で結ばれるのが分かる。
【0048】
したがって、このようなビーム形状の電子ビームによるx−y平面の溶け跡は、図5(D)に示すようにx方向が短径で、y方向は長径の形状となる。
【0049】
この実験からは、ウェネルト電極1の開口1aの角度θを110度にすると、x方向から見たy方向の電子ビームEBの焦点Fがターゲット6面で結ばれ、ウェネルト電極1の開口1aの角度θを160度にすると、y方向から見たx方向の電子ビームEBの焦点Fがターゲット6面で結ばれることが分かる。
【0050】
この結果を確認するために、更にウェネルト電極1の開口1aの角度θを別の種々の一様な角度にし、直流高電圧電源4の電圧値、磁界Hの強さなどを変化させて、シミュレーションを行ったところ、y方向から見た電子ビームEBの焦点Fをターゲット6面で結ぶウェネルト電極1の開口1aの角度θ1が存在し、またx方向から見た電子ビームEBの焦点Fがターゲット6面で結ばれるウェネルト電極1の開口1aの別の角度θ2がそれぞれ存在することを確認した。
【0051】
この結果による知見を基に、磁界Hの働きによって電子ビームEBが円弧状に曲げられるとき、電子ビームEBの外側と内側を含め全体がターゲット6で焦点を持つような曲率半径で曲げられるように、ウェネルト電極の開口から放射外方向に延びる傾斜面の角度を部分的に別々に形成すると共に、それらの間を連続的に角度を変化させることによって、ターゲット面における電子ビームの電流密度とその均一性を向上させることができるウェネルト電極1の1実施例について、図6によって説明する。
【0052】
図6(A)はこのウェネルト電極1の正面図を示し、図6(B)は直線x−xにおける断面図を示し、図6(C)は直線y−yにおける断面図を示し、図6(D)は斜視図であり、図6(E)は電子ビームの照射によるx−y平面での溶け跡を示す。この実施例のウェネルト電極1は、開口1aを中央として傾斜面1bによって形成された楕円形を有する。傾斜面1bの角度は連続的に変化することが好ましい。
【0053】
図6(B)、図6(C)から明らかなように、直線x−xにおける断面では傾斜面1bの角度θ1は緩やかであり、開口1aを中心として双方のx方向に等しい角度の傾斜である。直線y−yにおける断面の傾斜は、直線x−xにおける断面に比べて急傾斜になっており、開口1aを中心として双方のy方向に等しい角度θ2の傾斜である。図2ないし図5に対応させれば、直線x−xにおける傾斜面1bの角度θ1は大きく(例えば160度)、直線y−yにおける傾斜面1bの角度θ2は小さい(例えば110度)。ここで、x−y間における傾斜面の角度は角度θ1からθ2まで連続的に変化するのが好ましい。
【0054】
ウェネルト電極1をこのような構造にすることにより、電子ビームEBに作用する電界の傾度(角度)がx方向とy方向とでは違うようになり、磁界の作用によって、x方向側とy方向側との焦点距離が同じになる。
【0055】
このように電子ビームEBに作用する傾度の強さを部分部分で別々にすることによって、前述のように磁界Hの作用で電子ビームEBが円弧状に曲げられるときに、電子ビームEBの焦点Fを一点に合わせることができる。このことによって、図6(E)に示すように、十分に集束された円形状の焦点Fをターゲット面に形成することができる。
【0056】
以上から分かるように、開口1a近傍部の傾斜角度θ1、θ2は、磁界Hの方向における電子ビームEBの焦点と、磁界Hの方向と垂直な方向における電子ビームEBの焦点とがターゲット面で一致するように、選定される。
【0057】
次に、図7によってウェネルト電極の別の1実施例について説明する。図6で示された参照記号と同じ記号は同じ名称の部材を示すものとする。図7(A)はこのウェネルト電極1の正面図を示し、図7(B)は直線x−xにおける断面図を示し、図7(C)は直線y−yにおける断面図を示す。
【0058】
この実施例のウェネルト電極1は、開口1aを中央として変則的な楕円形状の傾斜面1bを有する。図7(A)、図7(B)から分かるように、x方向の傾斜面1bの紙面右側の傾斜角度θ1は、紙面左側の傾斜角度θ1’よりも大きい(θ1>θ1’)。つまり、紙面右側の傾斜面は紙面右側の傾斜面と比べて緩やかである。また、図7(C)から分かるように、y方向の傾斜面1bの傾斜角度θ2は双方向とも等しいが、傾斜角度θ2は傾斜角度θ1、θ1’よりも小さい(θ2<θ1’<θ1)。
【0059】
ウェネルト電極1をこのような構造にした場合には、開口1aに働く電界の傾度、つまり電子ビームEBに作用する電界の傾度はx方向とy方向とで異なり、また、x方向では電子ビームEBに対して紙面右側と左側とで電界の作用が異なってくる。つまり、電界の傾度の違いによって、傾斜角度が小さい順(θ2<θ1’<θ1)に円弧状に曲げる力が強く働き、これら傾斜角度を適切に選定することによって、x方向、y方向から見て電子ビームEBを一点に集束させることができる。
【0060】
図8は、前記実施例のウェネルト電極1を用いて、電子ビームを270度円弧状に偏向した例を示す。図8(A)、図8(B)はx方向、y方向のどちらから見ても電子ビームの焦点が合っている状態を示し、図8(C)はその電子ビームによる溶け跡を示す。このように電子ビームを270度偏向した場合には、蒸着を例にあげると、蒸着物や積層された蒸着物の落下によって、フィラメント部材が汚染されるのを防ぐことができる。また、蒸着物の浮遊による電極間の放電の発生を防ぐことができるなどの効果を奏する。
【0061】
次に、図9によって本発明の別の一実施例を説明する。図1ないし図8で用いた記号と同一の記号は同じ名称の部材を示すものとする。
【0062】
前記実施例のような傾斜面をもつウェネルト電極1は、電子ビームEBの放出方向に対して垂直な面で90度ないし1回転できるように、回転支持機構7によって支承されている。図示しないが、回転支持機構7は荷電粒子銃の外部から自在に回転角度を制御できるようになっている。
【0063】
図示しないターゲット面における電子ビームの集束状況、つまり焦点の状態を観察しながら、回転支持機構7を僅かずつ回転させることによってウェネルト電極1をある角度回し、ウェネルト電極1の開口周辺部の傾斜面の位置を僅かずつ回転させることによって、x方向、y方向のいずれから見ても電子ビームの焦点が不図示のターゲット面に形成されるように、電子ビームの加速電圧や磁界の強さなどに対するウェネルト電極1の開口周辺部の傾斜面の不整合を補正することを特徴としている。
【0064】
次に、図10により本発明の別の実施例を説明する。図1ないし図9で用いた記号と同一の記号は同じ名称の部材を示すものとする。
【0065】
前記実施例のような傾斜面をもつウェネルト電極1は、電子ビームEBの放出方向と同じ方向に前進、後退可能な直動支持機構8によって支承されている。図示しないが、直動支持機構8は荷電粒子銃の外部から自在に回転角度を制御できるようになっている。
【0066】
直動支持機構8が後退することによって、ウェネルト電極1とアノード電極3との間の間隔は広がり、電子ビームEBの焦点の位置はアノード電極3から更に離れる。そして、直動支持機構8が前進することによって、ウェネルト電極1とアノード電極3との間の間隔は狭くなり、電子ビームEBの焦点の位置はアノード電極3側に近づく。
【0067】
したがって、図示しないターゲット面における電子ビームの集束状況、つまり焦点の状態を観察しながら、直動支持機構8を僅かずつ前進又は後退させることによってウェネルト電極1の位置を調整し、x方向、y方向のいずれから見ても電子ビームの焦点を不図示のターゲット面に形成させるように、電子ビームの加速電圧や磁界の強さなどに対するウェネルト電極1の開口周辺部の傾斜面の不整合を補正することを特徴としている。
【0068】
また、この実施例ではウェネルト電極1を前進又は後退させたが、アノード電極3を前進又は後退させてもよく、あるいは双方を動かしても勿論良い。
【0069】
なお、図示していないが、図9と図10に示した実施例を組み合わせ、ウェネルト電極1を回転させると共に、前進又は後退させるようにして、x方向、y方向のいずれから見ても電子ビームの焦点を不図示のターゲット面に形成させることもできる。
【0070】
次に、図11により本発明の別の実施例を説明する。図1ないし図10で用いた記号と同一の記号は同じ名称の部材を示すものとする。
【0071】
前記実施例のような傾斜面をもつウェネルト電極1は、電子ビームEBの放出方向に対して揺れ動く揺動機構9によって支承され、揺動機構9が紙面の表裏方向にある角度(例えば数度)回ることによって、ウェネルト電極1は揺動する。ウェネルト電極1が揺動することによって、電子ビームEBに対してウェネルト電極1がある角度を持つようになり、ウェネルト電極1の開口周辺部の電界の傾度が変化するので、電子ビームEBの焦点位置が変化する。
【0072】
したがって、図示しないターゲット面における電子ビームの集束状況、つまり焦点の状態を観察しながら、揺動機構9を僅かずつ揺動させることによって、x方向、y方向のいずれから見ても電子ビームの焦点を不図示のターゲット面に形成させるように、電子ビームの加速電圧や磁界の強さなどに対するウェネルト電極1の開口周辺部における傾斜面の不整合を補正することを特徴としている。
【0073】
また、この実施例ではウェネルト電極1だけを揺動させたが、ウェネルト電極1と一緒にアノード電極3を揺動させてもよい。
【0074】
以上の実施例ではいずれも、ウェネルト電極1の開口1aを真円状で説明し、電子ビームを一点だけに集束し、x方向、y方向いずれの側から見ても真円状の焦点を形成する例を述べたが、ターゲットの形状に合わせて真円状以外の焦点の形状、例えば楕円形状の焦点をターゲット面に形成するために、ウェネルト電極1の開口1aを真円以外の形状、例えば楕円形にしてもよい。この場合にも、楕円形開口1aの周辺部の傾斜面の角度をx方向とy方向で別々なものにし、ウェネルト電極1の方向と角度の調整、ウェネルト電極1とアノード電極3との間隔の調整などを行って、電子ビームの焦点を楕円形状にすると同時に、その楕円形焦点のエネルギー密度がほぼ一様になるようにする。
【0075】
また、以上の説明から容易に理解できるように、ウェネルト電極1の開口周辺部における傾斜面の角度を別々なものに設定し、ウェネルト電極1の方向と角度の調整、ウェネルト電極1とアノード電極3との間隔の調整などを行うことによって、電子ビームの焦点の径を所望の大きさにできる。
【0076】
また、以上の実施例では、所望の傾斜面を形成することが可能な厚みをもつ金属板を欠削加工によって削って、開口周辺部に所望の傾斜面を形成したが、折り曲げが可能な程度の厚みの金属板を用い、予め作製しておいた、所望の傾斜をもつ鋳型で成形することによって、部分部分で種々の傾斜角度をもつウェネルト電極を比較的容易に作ることができる。
【0077】
また、適当な太さを持つ断面円形状の金属線を楕円形状などに曲げて所望の形状の無端状の金属輪を作り、その金属輪を開口1aの周りにろう付けなどにより固定することによって、前述効果に近い効果を得ることができる。更に、少しずつ内径の大きな前述のような金属輪を作り、それらを複数個積み重ねて固定することによって、それら金属輪の内壁で前述のような傾斜面を形成することによって、前述とほぼ同様な効果が得られる上に、コスト的に有利である。
【0078】
また、以上の実施例ではいずれも電子を放出するフィラメント部材を電子源として用いたが、イオンを放出する熱陰極を用いたイオン源、荷電された分子を放出する分子源を用い、それらから放出されるイオン又は荷電分子を、ウェネルト電極とアノード電極と直流高電圧電源とで加速し、磁界で円弧状に曲げる荷電粒子銃におけるウェネルト電極にも前述と同様な構造をそのまま適用することができる。
【0079】
【発明の効果】
本発明によれば、電子ビーム又はイオンビームのような荷電粒子ビームのターゲットにおける焦点の電流密度を向上させると共に、均一化することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を説明するための荷電粒子銃の概略を示す図である。
【図2】本発明を説明するためのウェネルト電極の開口周辺部の傾斜角度と荷電粒子ビームの軌跡との関係を示す図である。
【図3】本発明を説明するためのウェネルト電極の開口周辺部の傾斜角度と荷電粒子ビームの軌跡との関係を示す図である。
【図4】本発明を説明するためのウェネルト電極の開口周辺部の傾斜角度と荷電粒子ビームの軌跡との関係を示す図である。
【図5】本発明を説明するためのウェネルト電極の開口周辺部の傾斜角度と荷電粒子ビームの軌跡との関係を示す図である。
【図6】本発明に係るウェネルト電極の一実施例を示す図である。
【図7】本発明に係るウェネルト電極の一実施例を示す図である。
【図8】本発明に係るウェネルト電極の一実施例を用いて電子ビームを270度円弧状に曲げる例を示す図である。
【図9】本発明に係る荷電粒子銃の一実施例を説明するための図である。
【図10】本発明に係る荷電粒子銃の別の一実施例を説明するための図である。
【図11】本発明に係る荷電粒子銃の別の一実施例を説明するための図である。
【図12】従来の電子銃の一例を説明するための図である。
【図13】従来の電子銃の別の一例を説明するための図である。
【符号の説明】
1…ウェネルト電極、
1a…開口、
1b…開口周辺部の傾斜面、
2…フィラメント部材、
3…アノード電極、
4…直流高電圧電源、
5…るつぼ、
6…ターゲット(試料)、
7…回転支持機構、
8…直動支持機構、
9…揺動機構、
EB…電子ビーム、
H…磁界。

Claims (5)

  1. 中央に開口を有し、前記開口の周辺部の傾斜面がなす角度が部分的に異なるウェネルト電極は、荷電粒子ビームの放出方向であるz方向と垂直で互いに直交する方向をx方向、y方向とすると、前記傾斜面とz方向との傾斜角度が、x方向からy方向にかけて連続的に変化し、
    前記y方向磁界が作用することによって、前記荷電粒子ビームが円弧状に曲げられ、前記 x 方向から見た荷電粒子ビームの焦点と、前記y方向から見た荷電粒子ビームの焦点とがターゲットで一致するように、前記開口周辺部の前記x方向の傾斜角度θ1、前記y方向の傾斜角度θ2が選定されていることを特徴とするウェネルト電極。
  2. 荷電粒子を放射する荷電粒子放出部材と、中央に開口を有するウェネルト電極と、アノード電極と、前記ウェネルト電極と前記アノード電極との間に直流高電圧を印加する直流高電圧電源と、荷電粒子ビームが照射されるターゲットと、前記荷電粒子ビームの軌道を円弧状に曲げる磁界を形成する磁界形成手段とを具備する荷電粒子銃において、
    前記ウェネルト電極は、荷電粒子ビームの放出方向であるz方向と垂直で互いに直交する方向をx方向、y方向とすると、前記y方向磁界が作用することによって、前記荷電粒子ビームが円弧状に曲げられ、前記x方向から見た荷電粒子ビームの焦点と、前記y方向から見た荷電粒子ビームの焦点とがターゲットで一致するように、前記開口の周辺部の傾斜面がなす角度が、前記x方向傾斜角度θ1、前記y方向傾斜角度θ2選定され、前記傾斜面とz方向との傾斜角度が、x方向からy方向にかけて連続的に変化していることを特徴とする荷電粒子銃
  3. 請求項において、
    前記ウェネルト電極は、前記開口の中心点を中心にして、前記荷電粒子線の放射方向とほぼ直交する平面において回転可能であることを特徴とする荷電粒子銃。
  4. 請求項2又は請求項において、
    前記ウェネルト電極は、前記開口の中心点を中心にして、前記荷電粒子ビームの放出方向に対してある角度で揺動することが可能であることを特徴とする荷電粒子銃。
  5. 請求項2ないし請求項のいずれか1項において、
    前記ウェネルト電極と前記アノード電極との間隔を調整するために、前記ウェネルト電極と前記アノード電極の一方又は双方が可動となっていることを特徴とする荷電粒子銃。
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