JP4013370B2 - 植物におけるdna断片の獲得方法とその利用 - Google Patents

植物におけるdna断片の獲得方法とその利用 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は遺伝子工学及び分子遺伝学の分野を用いた植物のDNA断片の獲得とこれらを活用した植物、特に林木の育種方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
育種における典型的な手法は、経験者による発現形質の観察データや分析データを基にした優良個体候補の選抜に始まる。これらの優良個体候補は検定試験を経過したのち、正式な優良個体として保存される(品種の登録)。更には、選抜された優良個体間の交配により親形質の良い形質を併せ持った後代個体の作出を行うことが重要である。多くの生物種において選抜あるいは交雑育種の歴史は様々であるが、例えば、林木等の場合はそれ自身の成長に時間がかかることから特に交雑育種の歴史は浅く、これからの成果が期待される。
育種上有用とされる形質の多くは、多くの生理学的現象が統合された結果として現れる(例えば、林木の場合では材の性質、材の密度など)。1つ1つの現象は個体の特つすべての遺伝子情報(ゲノム)に規定され、必要に応じて発現していると考えられる。しかしながら、実際に鍵となる生理学的現象を正確に把握することや、個々の現象の連携システムを知ることは非常に困難である。実際の育種では、何世代にも及ぶ遺伝家系を作製し、後代検定により有用形質の絞り込みを行うことが一般的である。近年表現形質に加えて、酵素や核酸の分子生物学的解析データを1つの形質のように扱うようになった。これによって、無作為ではあるもののゲノム上のマーカー数が飛躍的に高まった。ある遺伝家系にこのような多くのマーカーを適用し、得られる多型データを統計学的に処理することで、その家系に特有な遺伝子連鎖地図が作製されるようになった。地図上のマーカーが適度に分散しかつ多数存在すれば、理論的にはある表現形質と強く連鎖するマーカーが見出せると考えられ、すなわち、統計遺伝学的なレベルでの形質判定が可能と思われる。しかしながら、いままでのところ、こうした分子マーカーを選抜基準として作用させた選抜の実施を公に報告した例はない。これの要因として、後述する問題点が考えられる。
【0003】
ゲノムには何らかの遺伝子情報を規定している部分(コード領域)とそれ以外の部分〔非コード領域(機能などは不明、繰り返し、反復などの塩基配列一次構造上の特徴が認められている)〕が存在する。非コード領域はゲノムの大部分を占めており、コード領域はゲノム全体に点在している。一般的に活用されている分子マーカー(特にDNAに由来するもの)は、無作為に獲得されることがほとんどであり、多くの分子マーカーがこのような非コード領域に由来することが否めない。すなわち、現行の分子マーカーは個々の形質発現とは無関係な任意なものである。したがって、ゲノム上の個体間差あるいは種間差によっては、任意の分子マーカーが普遍的に作用できない場合が生じる。すなわち、林木などを含め多くの生物種では、個体毎のヘテロ性が認められるため、育種への応用を考えた場合に、現状のマーカーでは特定個体を母材に用いた場合にのみ有効でしかない可能性が高い。このような状況を打開するために、有用形質の判定が可能で、かつヘテロ性にとらわれない普遍的な利用が可能な育種マーカーの獲得が望まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、植物において、育種目標となる形質の発現に関わる遺伝子あるいは遺伝子群に由来するDNA断片を単離することを目的とする。また、本発明は、該DNA断片を解析することによって得られるプロモーター配列の利用、更には該DNA断片を育種における選抜指標として活用する育種方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明を概説すれば、(1)植物を材料とし、ゲノム比較によって得られる多型DNA断片を収集した後、これをRNA由来の標識プローブを用いて選抜されたDNA断片を得ることを特徴とする植物におけるDNA断片の獲得方法、(2)(1)記載の方法により得られるすべてのDNA断片、(3)(2)記載のDNA断片をコードする遺伝子、(4)(3)記載の遺伝子の少なくとも一部を含み、プロモーター活性を有するDNA、(5)(4)記載のDNAを含む発現ベクター、(6)(5)記載の発現ベクターを保持する細胞に由来するか、これを含む形質転換植物、(7)(2)記載のDNA断片を指標とすることを特徴とする植物の育種方法からなる。
【0006】
本発明者らは、育種目標となる形質の発現に関わる遺伝子あるいは遺伝子群の存在を見出す方法を検討した。多くの植物種においては、人為的な選抜が行われた作物品種と異なり、個体間の遺伝子型にばらつきが見られるため(高いヘテロ性)、形質発現に顕著な差が認められることが多い。すなわち、形質発現の差が大きい個体間のゲノム比較を行うことにより、ゲノム上の差異を拾い上げることが可能であると構想した。
ゲノム比較についての具体的な手段としては、近年複数の方法が開示されており、リシチン(Lisitsyn)らにより示されたゲノム比較法であるレプリゼンテーション ディファレンス アナリシス(representation difference analysis)を用いた。この方法により、ゲノム間差異に由来すると考えられるDNA断片が多く検出される。これらのDNA断片は、両ゲノム間で認められる多型部位を直接反映した結果として得られるが、多くのDNA断片は特定の遺伝子をコードしていない非コード領域に由来すると考えられる。これらを1つ1つ解析することは困難であることから排除する方法を構想した。そうすることによって、コード領域に由来するDNA断片のみを獲得することができる。
本発明者らは解析の対象となる個体から全RNAを抽出し、これを鋳型に用いて相補的なDNA(cDNA)を作製し、この際に化学標識物質を作用させてcDNAの化学標識を行った。先に述べたゲノム間差異に由来するDNA断片をアクリルアミドゲル電気泳動にて分画した後、ナイロンメンブランに転写、固定後、常法に従ってハイブリダイゼーションを行い、ポジティブなDNA断片をいくつか検出した。また、これらの断片をプローブに用いて常法に従いゲノムに対してハイブリダイゼーションを行い、ゲノム間差異を反映した多型が検出されることにより、本発明を完成した。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。
以下に、本発明の実施の形態として、本発明におけるゲノム比較法、及び本発明のDNA断片の利用法を詳細に説明する。なお、DNAの切断、連結、大腸菌の形質転換、遺伝子の塩基配列決定、ハイブリダイゼーション等の遺伝子組換えに必要な一般的な方法は、各操作に使用する市販の試薬、機械装置等に添付されている説明書や実験書〔例えば、1982年、コールド スプリング ハーバーラボラトリー発行、T.マニアティス(T.Maniatis)ほか著、モレキュラー・クローニング、ア・ラボラトリー・マニュアル( Molecular Cloning,A Laboratory Manual)参照〕に記載されている方法に従った。
【0008】
<1>ゲノム比較並びにRNA由来の標識プローブを用いて選抜されたDNA断片の獲得
本発明におけるゲノム比較並びにRNA由来の標識プローブを用いて選抜されたDNA断片の獲得方法、並びに該方法により得られるDNA断片は、第1に、植物組織、例えばアカシアの植物組織由来のゲノムDNAをゲノム比較法によってDNA断片として収集・選抜することを特徴とする。
ゲノム比較法については、イン ゲル コムペティティブ リアソシエーション(in gel competitive reassociation)(IGCR)法〔ヨコタ H、(Yokota H.)ほか、1990〕、リストリクション ランドマーク ゲノム スキャニング(restriction landmark genome scanning)(RLGS)法〔ハタダ I、(Hatada I.)ほか1991〕、既述のレプリゼンテーション ディファレンス アナリシス(RDA)法(リシチン N.、1993)が挙示される。RDA法については、宝酒造社から解析用キットが販売されている。上記のどの方法を用いても、任意の植物ゲノムを材料として多型検出が可能である。
更に、本発明のゲノム比較並びにRNA由来の標識プローブを用いて選抜されたDNA断片の獲得方法並びにDNA断片は、最終的に、上記で得られるDNA多型断片に対し、ゲノム比較の材料として用いた個体よりRNAを抽出し、ファルマシア・アマシャム社製の逆転写酵素を用いてcDNAを合成する際に、例えばロッシュ・ダイアグノスティクス社製の標識物質であるジゴキシニゲン-dUTP(DIG)を混合して作製されたDIG標識cDNAをプローブに用いて、常法によりハイブリダイゼーションを行い、ポジティブなバンドを選択することを特徴とする。
上記の工程によって得られたDNA断片は、ゲノム比較並びにRNA由来の標識プローブを用いて選抜されたDNA断片である。上記方法により、比較対象となる植物間においてゲノム上の差異に由来し、かつ何らかの遺伝子発現を伴う領域、すなわち、比較対象とした個体間の形質差異の要因となっている遺伝子の一部を取得することができる。
【0009】
本発明により、対象となる形質発現を司る遺伝子の存在、あるいは発現の有無を判定するための指標(DNAマーカー)を単離する方法が確立され、これらの指標は具体的には育種における選抜マーカーとして活用することが可能である。
本発明により得られたDNA断片の具体的な提示は後述の実施例の項で詳細に説明する。
【0010】
<2>本発明のDNA断片に由来するプロモーター領域の単離、及び解析
本発明によって得られるDNA断片は、対象となる形質発現を司る重要な遺伝子の一部に由来することから、得られたDNA断片を解析することによって、容易にプロモーター領域を獲得することが可能である。
【0011】
<3>本発明のDNA断片に由来するプロモーター領域を導入した形質転換植物の作製
上記で示したプロモーター領域の少なくとも一部を含む領域の下流に、植物細胞で発現させることを所望する任意の遺伝子のコード領域部分を順方向に転写されるように結合し、形質転換ベクターに組込んで組換えDNAを作製する。この際、形質転換に利用可能なベクターは植物の形質転換法に応じて異なる。例えば、パーティクルガン法、PEG法、エレクトロポレーション法(電気穿孔法)等により植物細胞を形質転換する際には、例えばブルースクリプト(Bluescript)(ストラータジーン社製)等の大腸菌で利用可能なプラスミドベクターが形質転換ベクターとして使用できる。また、リーフディスク法、インフィルトレーション法等のアグロバクテリウム感染法によって植物体や植物細胞を形質転換する際には、例えばTiプラスミド由来のpBI121(クローンテック社製)等のバイナリーベクターが利用可能である。
植物細胞の形質転換は、パーティクルガン法、PEG法、エレクトロポレーション法、アグロバクテリウム感染法によって植物細胞あるいは植物体に組換えDNAを導入することによって可能である。なお、植物細胞に導入した組換えDNAは植物のゲノムDNAに組込まれることが望ましい。
形質転換植物体、あるいは形質転換植物細胞は、形質転換に用いる組換えDNA中にカナマイシンやハイグロマイシン等に対する薬剤耐性遺伝子を組込んでおくことによって、これらの薬剤を含む寒天固定培地上あるいは液体培地中で栽培あるいは培養することにより安定的に維持することが可能である。
本発明のDNA断片に由来するプロモーター領域は、シロイヌナズナやタバコのような双子葉植物、イネやトウモロコシのような単子葉植物、ポプラ、ユーカリ、アカシア等の木本性植物の植物体及び植物細胞に導入可能である。
本発明におけるプロモーター活性を有するDNAの制御下にある遺伝子としては、あらゆる外来遺伝子が考えられる。特にレポーター遺伝子を結合した組換えDNAを導入した植物体では、育種の対象となる形質を向上させるための薬剤のスクリーニングに用いるなどの利用方法があり、これらの産業の発展にも貢献することが可能である。
【0012】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されない。
【0013】
実施例1 ゲノム比較並びにRNA由来の標識プローブを用いて選抜されたDNA断片の獲得
「材料と方法」
ゲノム比較法として、RDA法を用いた。材料にはアカシア属のアウリカリフォルミス種の兄弟個体群より、成長差の著しい2個体を用いた。これらは同時期に播種し、同一の環境下で栽培を行い2年を経過した段階では樹高で約50センチの差が認められた。根本径についても約2センチの差が認められた。各々の葉から常法により調製したゲノムDNAを用いてリシチンらの方法に従い、ゲノムサブトラクションを行った。
【0014】
上記の2個体より、全RNAを抽出した。抽出方法は日尾野らの方法(特開平8−80191号)に従った。当該抽出方法の発明は、木本性植物組織をバナジルリボヌクレオシド化合物及び臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムを含有する緩衝液中で処理することを特徴とする木本性植物からの核酸抽出方法に関する。
得られたRNA及びオリゴヌクレオチド〔配列表の配列番号1(5'-GGGAGGCCCCTTTTTTTTTTTTTTTT-3')〕を基にファルマシア社製のcDNA合成キットを用いて一本鎖cDNAを作製した。得られた一本鎖cDNAの5'末端側に宝酒造社製のターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ及びデオキシグアニンを用いて十数個のグアニン鎖を連結した。
次いで2種のオリゴヌクレオチド〔配列表の配列番号1、及び配列表の配列番号2(5'-AAGGAATTCCCCCCCCCCCCCC-3')〕をプライマーに用いたPCR法によってcDNA断片の増幅を行った。この際の増幅反応溶液中に、ロッシュ・ダイアグノスティクス社製の標識物質であるジゴキシニゲン-dUTP(DIG)を混合することにより、増幅DNAを化学標識し、cDNA由来の発現プローブとした。
リシチンらの方法により得られたサブトラクション後のDNA断片を、アクリルアミドゲル電気泳動法により分画後、日本エイドー社製の核酸転写装置を用いて、ロッシュ・ダイアグノスティクス社製のナイロン膜に転写し、サブトラクションフィルターとした。上記の発現プローブを用いて、これらのフィルターのハイブリダイゼーションを常法に従い行った。
ポジティブなDNA断片をインビトロゲン社製のTAクローニングキットを用いてサブクローニングし、ダイデオキシ法により塩基配列を決定した。
【0015】
「結果」
サブトラクションが十分に作用した場合、材料に同一のゲノムを用いたときは、理論的にはDNA断片が残存しないことになる。しかしながら、実際の条件下では多くのDNA断片が認められることが判明した。これはゲノム上における細かな差異に因るものと考えられ、ヘテロ性を有する生物を材料に用いた場合にはこれらをいかにして排除するかが必要である。これに対応する手段として、本発明者らは同一個体間におけるサブトラクションを行うことによって、内在性のヘテロ変異の検出を試みた。すなわちこれを対照実験として用いることにより、目的とする個体間のサブトラクション結果に対比させることで本来の個体間におけるゲノム比較を正確に判断できるように工夫した。これは発現プローブを用いたハイブリダイゼーションにおいても反映できるためヘテロ性の高い材料を用いる場合の必須条件と言える。
【0016】
実験対象とした2個体について、相互にサブトラクションを行い最終的に6つのDNA断片を獲得した(図1参照)。
なお、図1は、アカシアにおけるゲノムサブトラクション(上段)及び発現プローブによるハイブリダイゼーション(下段)の結果を示す図である。
図1は個体番号2(成長の良いアカシア個体)をサブトラクションされる側(testerと示した)とし、個体番号4(成長のよくないアカシア個体)をサブトラクションする側(driverと示した)に用いた場合の結果である。サブトラクションは原法に従い3回連続して行っており、制限酵素は3種類(BamHI, EcoRI, HindIII)を用いた。 tester及びdriver双方とも個体番号2となっているものは、比較のための対照実験として行った同一個体間によるサブトラクションを示す。図1中の丸印は、サブトラクションにより選抜されてきたDNA断片の中で、更に発現プローブと相補的であると判断されるものを示す。
【0017】
得られたDNA断片を実験に用いた2種のアカシアのゲノムに対してサザン分析を行い、多型が認められることを確認した。
【0018】
【発明の効果】
本発明により、植物よりゲノム比較によって得られる多型DNA断片を収集した後、これをRNA由来の標識プローブを用いて選抜されたDNA断片を得るための方法が確立された。これによって、個体に特異的な形質発現の有無を判定でき、かつゲノム上のヘテロ性にとらわれない普遍的な育種マーカーの獲得が可能となった。更には、本方法により得られるDNA断片がコードする遺伝子、あるいはプロモーター領域を利用することによって人為的な発現調節も可能である。
【0019】
【配列表】
Figure 0004013370
【0020】
Figure 0004013370
【0021】
Figure 0004013370

【図面の簡単な説明】
【図1】アカシアにおけるゲノムサブトラクション(上段)及び発現プローブによるハイブリダイゼーション(下段)の結果を示す図である。

Claims (9)

  1. 材木植物種において形質の発現に関わる遺伝子又は遺伝子群に由来するDNA断片を獲得する方法であって、
    材木植物を材料とし、形質発現の差が大きい個体間のゲノムサブトラクションによって多型DNA断片を収集し、
    RNA由来の標識プローブを用いて多型DNA断片に対してハイブリダイゼーションを行うことによりDNA断片を選抜し、
    同一個体間においてもゲノムサブトラクションを行って、前記選抜されたDNA断片と対比することによりヘテロ変異を検出する、
    ことを含む前記方法。
  2. 標識プローブが、個体から抽出した全RNAを鋳型に用いて作製したcDNAを標識したものである、請求項1記載の方法。
  3. 形質発現の差が大きい個体間のゲノムサブトラクションが兄弟個体群間のゲノムサブトラクションである、請求項1又は2記載の方法。
  4. 材木植物種がアカシア属に属する植物種である、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  5. アカシア属に属する植物種がアカシア属のアウリカリフォルミス種である、請求項4記載の方法。
  6. ゲノムサブトラクションをRDA法によって行う、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
  7. 標識プローブがジゴキシニゲン標識プローブである、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
  8. cDNAが、配列番号1の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド及び配列番号2の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いて、PCR法によって増幅することにより作製される、請求項2記載の方法
  9. 多型DNA断片をアクリルアミドゲル電気泳動で分画した後でハイブリダイゼーションを行う、請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。
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