JP4013244B2 - 耐振性ラミネートフィルム及び不透過性ホース - Google Patents

耐振性ラミネートフィルム及び不透過性ホース Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は耐振性ラミネートフィルム及び不透過性ホースに関する。更に詳しくは、本発明は、金属箔の使用によって高度の流体不透過性を示すと共に繰り返し振動等に起因する金属箔の亀裂もしくは破断の発生を有効に防止する耐振性ラミネートフィルムと、この耐振性ラミネートフィルムを流体不透過層として組込んだ不透過性ホースとに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境への配慮から、燃料輸送用ホースや冷媒輸送用ホース等における輸送流体に対する不透過性が重視されている。従来の、例えばNBR・PVC(アクリロニトリルブタジエンゴムとポリ塩化ビニルとのブレンド)等からなるゴムホースは、このような不透過性の要求に対して十分に対応できない。
【0003】
ゴムよりも流体バリア性の高い樹脂材を用い、ホースの一部に曲げ形状やコルゲート形状(蛇腹形状)を持たせて振動吸収性や組付け性に対応したホースも提案されている。しかしながら今後、燃料等の透過規制は一層の強化が予想され、他面では炭酸ガス冷媒や燃料電池で使用される水素ガス等の透過性の高い流体に対応する必要もある。
【0004】
そのため、更に対策を進め、極めて高度の流体不透過性を期待できる薄い金属層(例えば金属箔)をホースに組み込むことが考えられている。ところで、金属箔等の薄い金属層は、金属の材料特性もあって破断を起こし易い。金属箔が例えば自動車用の燃料輸送用ホースや冷媒輸送用ホース等に組み込まれた場合、厳しい繰り返し振動を頻繁に受けるため、そのような問題が特に顕著である。
【0005】
このような点も勘案して、金属箔を保護しながら流体バリア層として利用する最も代表的な使用形態が金属箔ラミネートフィルムであると考えられる。金属箔ラミネートフィルムとは、通常、金属箔の両側面に接着剤を用いて薄い樹脂フィルム層を接着させたものである。例えば特開2000−2375号公報や特開2001−165358号公報等において、このような金属箔ラミネートフィルムや、これを流体バリア層として組み込んだ不透過性ホースが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本願発明者の実験によれば、上記のような構成を備える通常の金属箔ラミネートフィルムは、例えば自動車用ホース等のように特に厳しい振動耐久性を要求される用途においては、金属箔の破断防止に関して必ずしも十分な振動耐久性を示さないことが分かった。
【0007】
本願発明者は、その原因を究明する過程で、金属箔とその隣接層の弾性率に注目した。即ち、金属箔と、その両側の接着剤層と、更にその両側の樹脂フィルム層からなる通常の5層構造の金属箔ラミネートフィルムにおいて、金属箔は極めて高弾性率(一般的に5000MPa を超える)であるのに対し、隣接する接着剤層は極めて低弾性率(一般的に高接着力のポリエステル系接着剤等を用いるため、1MPa にも満たない弾性率であり、実際には0.1〜0.6MPa 程度)である。しかもその両側の樹脂フィルム層として、一般的にはポリエチレンテレフタレート(PET )、ポリアミド6(PA6 )、ポリイミド(PI)等の樹脂を用いることが多いため、弾性率が500MPa を超える。
【0008】
本願発明者の実験により、このような弾性率勾配の極端なアンバランスが金属箔の振動耐久性を阻害していることが確認された。従って、金属箔ラミネートフィルムの複層構造における上記の如き弾性率勾配の極端なアンバランスを是正することが、金属箔に十分な振動耐久性を与えるために極めて有効であることが判明した。更に、このような弾性率勾配の是正の際に、併せて接着剤層及び/又は樹脂フィルム層を可及的に薄くすると振動耐久性が一層向上することも、実験的に確認された。
【0009】
そこで本発明は、上記の知見に基づき、金属箔に対して十分な振動耐久性を与える耐振性ラミネートフィルムを提供すること、及びこの耐振性ラミネートフィルムの有効な利用形態を提供することを、解決すべき課題とする。本願発明者は、上記知見に基づき、歪み量が5%以下ないしは3%以下の振動に対して金属箔が破断しない耐振性ラミネートフィルムを構成することに成功し、本願発明を完成した。
【0010】
【課題を解決するための手段】
(第1発明の構成)
上記課題を解決するための本願第1発明(請求項1に記載の発明)の構成は、金属箔の両側面に接着剤層を介して樹脂フィルム層を接着させた金属箔ラミネートフィルムにおいて、
前記接着剤層を構成する接着剤がエポキシ変性樹脂系接着剤であり、あるいはエポキシ変性樹脂系接着剤にポリアミド樹脂成分及び/又はフェノキシ樹脂成分を添加したものであり、この接着剤層の130°Cにおける弾性率が1MPa 以上であると共に、前記樹脂フィルム層の構成材料がエチレンビニルアルコール共重合体( EVOH )又はポリプロピレン( PP )であり、この樹脂フィルム層の130°Cにおける弾性率が500 MPa 以下である、耐振性ラミネートフィルムである。
【0014】
第2発明の構成)
上記課題を解決するための本願第2発明(請求項2に記載の発明)の構成は、前記第1発明に係る接着剤層の厚さが5μm以下であり、及び/又は、樹脂フィルム層の厚さが15μm以下である、耐振性ラミネートフィルムである。
【0015】
第3発明の構成)
上記課題を解決するための本願第3発明(請求項3に記載の発明)の構成は、前記第1発明又は第2発明に係る金属箔がアルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金(ステンレス鋼を含む)、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、金又は銀からなる、耐振性ラミネートフィルムである。
【0016】
第4発明の構成)
上記課題を解決するための本願第4発明(請求項4に記載の発明)の構成は、前記第1発明〜第3発明に係る耐振性ラミネートフィルムが、少なくとも自動車用ホースへの使用を含む振動耐久性を要求される用途に用いられるものである、耐振性ラミネートフィルムである。
【0017】
第5発明の構成)
上記課題を解決するための本願第5発明(請求項5に記載の発明)の構成は、第1発明〜第4発明に係る耐振性ラミネートフィルムを流体不透過層として組込んだ、不透過性ホースである。
【0018】
第6発明の構成)
上記課題を解決するための本願第6発明(請求項6に記載の発明)の構成は、前記第5発明に係る不透過性ホースが以下のいずれか1以上に該当する、不透過性ホースである。
1)任意の産業分野で振動耐久性を要求される用途に用いられる。
2)自動車用の液体燃料用ホース、気体燃料用ホース又は冷媒用ホース。
3)少なくとも一部にコルゲート形状部を備えるホース。
【0019】
【発明の作用・効果】
(第1発明の作用・効果)
従来の金属箔ラミネートフィルムにおいて、弾性率勾配の極端なアンバランスをもたらす最大の原因は、通常は1MPa にも満たないと言う接着剤層の極端な低弾性率である。接着剤の種類の選択や配合剤の調整等の手段により、接着剤層の弾性率を1MPa 以上に向上させることは十分に可能である。接着剤層の弾性率を1MPa 以上に、とりわけ5MPa 以上に設定すると、金属箔ラミネートフィルムの振動耐久性が顕著に改善される。
【0020】
(第2発明の作用・効果)
接着剤層の弾性率を第1発明のように1MPa 以上に向上させる手段は多様に考慮できるが、特に好ましい手段が、接着剤層を構成する接着剤として、エポキシ変性樹脂系接着剤、あるいはエポキシ変性樹脂系接着剤にポリアミド樹脂成分及び/又はフェノキシ樹脂成分を添加した接着剤を用いることである。
【0021】
(第3発明の作用・効果)
金属箔ラミネートフィルムにおいて、樹脂フィルム層の弾性率を500MPa 以下に低減させることも、弾性率勾配の極端なアンバランスを是正するために有効であり、接着剤層の弾性率を1MPa 以上に設定すると共に樹脂フィルム層の弾性率を500MPa 以下に低減させると、金属箔ラミネートフィルムの振動耐久性向上効果がより顕著になる。
【0022】
(第4発明の作用・効果)
樹脂フィルム層の弾性率を第3発明のように500MPa 以下に低減させる手段は多様に考慮できるが、特に好ましい手段が、樹脂フィルム層の構成材料としてEVOH又はPPを用いることである。
【0023】
(第5発明の作用・効果)
周知のように、材料層の弾性率はその層の厚さによっては変わらない。しかしながら本願発明者は、金属箔ラミネートフィルムにおける接着剤層や樹脂フィルム層を薄くすると、金属箔の振動耐久性が一層向上することを実験的に見出した。具体的には、接着剤層の厚さを5μm以下とし、及び/又は、樹脂フィルム層の厚さを15μm以下とすることが有効である。
【0024】
このような効果を生じる理由は明確ではないが、金属箔を挟む材料層が同一弾性率であっても、これらをより薄膜化することにより、相対的に脆弱層である接着剤層に負荷する歪みを低減させると言う効果を生じるのではないか、と推定している。
【0025】
(第6発明の作用・効果)
耐振性ラミネートフィルムに用いる金属箔の構成材料は任意に選択されるが、コスト、加工性等の面からアルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金(ステンレス鋼を含む)、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、金又は銀が好ましい。薄肉化に適している点、低コストである点、弾性率値が比較的低い点等から、アルミニウム又はアルミニウム合金が特に好ましい。
【0026】
(第7発明の作用・効果)
耐振性ラミネートフィルムは、金属箔に基づく高度の流体不透過性を示し、かつ優れた振動耐久性を示すので、少なくとも自動車用ホースへの使用を含む振動耐久性を要求される用途に用いることが、より有利である。
【0027】
(第8発明の作用・効果)
第8発明の不透過性ホースは第1発明〜第7発明に係る耐振性ラミネートフィルムを組込んでいるので、高度の流体不透過性と優れた振動耐久性とを期待することができる。
【0028】
(第9発明の作用・効果)
不透過性ホースは、好ましくは、任意の産業分野で振動耐久性を要求される用途に用いられ、又は自動車用の液体燃料用ホース、気体燃料用ホース又は冷媒用ホースとして用いられる。又、不透過性ホースは少なくとも一部にコルゲート形状部を備えるホースとすることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
次に、第1発明〜第9発明の実施の形態について説明する。以下において単に「本発明」と言うときは第1発明〜第9発明を一括して指している。
【0030】
〔耐振性ラミネートフィルム〕
本発明に係る耐振性ラミネートフィルムは、金属箔の両側面に接着剤層を介して樹脂フィルム層を接着させた金属箔ラミネートフィルム構造を有する。そして少なくとも、接着剤層の弾性率が1MPa 以上、特に好ましくは5MPa 以上である。より好ましくは、後述のように、接着剤層、樹脂フィルム層、金属箔に対して種々の限定が付される。耐振性ラミネートフィルムは、その全体として5%以上の破断伸びを示すように構成することが好ましい。
【0031】
接着剤層の上記弾性率や後述する樹脂フィルム層の弾性率は環境温度等によって幾分の変化を示すため、これらの弾性率は、より厳密には使用環境における弾性率を言う。しかし実際問題としては、耐振性ラミネートフィルムが例えば摂氏数百度を超えるような環境で使用されることは考え難い。そのため、室温もしくは常温における弾性率と使用環境における弾性率とは、その差異を無視できる程に近似すると考えて良い。
【0032】
後述の実施例において示すように、本発明の耐振性ラミネートフィルムに係る接着剤層の弾性率は、130°Cの使用環境において1MPa 以上である。ところで、例えば耐振性ラミネートフィルムの代表的な用途である自動車用の不透過性ホースにおいては、その使用環境(自動車のエンジンルーム内)温度は80°C程度である。材料の弾性率値は環境温度の低下に従って大きくなることが常識であるから、本発明の耐振性ラミネートフィルムに係る接着剤層の弾性率は、いずれも、80°Cの使用環境温度において少なくとも1MPa 以上である。
【0033】
耐振性ラミネートフィルムは、その実用に当たり、比較的低い弾性率(例えば2MPa 未満)を示す一対の弾性体層、例えばそのような弾性率を示す一対のゴム層により挟まれた状態で使用することが、金属箔の振動耐久性を一層向上させるために好ましい。
【0034】
弾性体層を構成するゴムの種類は特に制約がなく、例えば天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン・プロピレンゴム(EPM)、エチレン・プロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、シリコーンゴム(Q)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、塩素化ポリエチレンゴム(CPE)、エピクロルヒドリンゴム(CHR/CHC)、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、アクリルゴム(ACM)、ウレタンゴム(U)、多硫化ゴム(T)、NBR・PVC、水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴム(H−NBR)、フッ素ゴム(FKM)等を任意に選択して使用できる。例えば接着性樹脂フィルム層が前記第5発明に係る(1)〜(3)のいずれかの樹脂からなる場合においては、ゴム加硫時にこれらの樹脂と加硫接着するような配合であるゴムが好ましい。
【0035】
〔耐振性ラミネートフィルムの用途〕
本発明に係る耐振性ラミネートフィルムの用途は限定されないが、少なくとも流体不透過層として流体輸送用ホースやパッキン等のシール材に用いることが好ましく、その内でも振動耐久性を要求される用途、とりわけ厳しい繰り返し振動を頻繁に受ける自動車用ホース等に用いることが好ましい。
【0036】
〔接着剤層〕
接着剤層を構成する接着剤は、上記の弾性率を示す限りにおいて、その種類や配合内容を限定されない。好ましくは、エポキシ変性樹脂系接着剤、あるいはエポキシ変性樹脂系接着剤にポリアミド樹脂成分及び/又はフェノキシ樹脂成分を添加したものが用いられる。
【0037】
接着剤層の厚さは任意に設定することができるが、金属箔の振動耐久性を一層向上させるためには、その厚さを5μm以下とすることが好ましい。なお、接着力を確保できないような過剰に薄い(例えば、1μm未満の)接着剤層は好ましくない。接着剤層は、180度剥離による接着強度試験(180度ピール試験)で10gf/cm以上の接着力を示せば十分である。
【0038】
〔樹脂フィルム層〕
樹脂フィルム層の構成は限定されない。耐振性ラミネートフィルムにおける金属箔の振動耐久性を一層向上させるため、樹脂フィルム層の弾性率を500MPa以下、さらには200MPa 以下とすることが、より好ましい。樹脂フィルム層の弾性率を上記のように設定するために、樹脂フィルム層の構成材料として、例えばEVOH又はPPを好ましく用いることができる。
【0039】
樹脂フィルム層の厚さも限定されないが、耐振性ラミネートフィルムにおける金属箔の振動耐久性を一層向上させるため、好ましくは厚さを15μm以下とする。なお、金属箔保護フィルムとしての樹脂フィルム層の機能を確保できないような過剰に薄い(例えば、1μm未満の)樹脂フィルム層は好ましくない。
【0040】
〔金属箔〕
金属箔を構成する金属種、金属箔の厚さ、材料特性等は特段に限定されない。金属箔の構成材料としてはアルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金(ステンレス鋼を含む)、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、金又は銀が好ましく、とりわけアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔が好ましい。
【0041】
金属箔の厚さは、フレキシビリティとピンホール発生防止との兼ね合い等の観点から、6〜30μm程度であることが好ましい。金属箔の破断防止の観点から、破断伸びが5%以上である金属箔を用いることも好ましい。
【0042】
〔不透過性ホース〕
本発明に係る不透過性ホースには、少なくとも上記いずれかの耐振性ラミネートフィルムを組込んでいる。不透過性ホースにおける耐振性ラミネートフィルム以外のホース構成要素については限定されず、その他のゴム層、樹脂層、補強層等の各種のホース構成要素を耐振性ラミネートフィルムの内周側及び/又は外周側に任意に備えることができる。前記したように、耐振性ラミネートフィルムが一対のゴム層により挟まれている構成が特に好ましい。これらの各種ホース構成要素中において、耐振性ラミネートフィルムが不透過性ホースの内層、中間層、外層のいずれを構成するかは任意である。
【0043】
不透過性ホースのより好ましい具体例として次のいずれかに示すホース構成要素からなるものを挙げることができる。下記において左側が最内層のホース構成要素を示し、右側へ順に外層側のホース構成要素を示し、「不透過層」とは本発明に係る耐振性ラミネートフィルムを示す。
1)不透過層/ゴム層又は樹脂層
2)不透過層/ゴム層又は樹脂層/補強糸層
3)不透過層/ゴム層又は樹脂層/補強糸層/ゴム層又は樹脂層
4)ゴム層又は樹脂層/不透過層/ゴム層又は樹脂層
5)ゴム層又は樹脂層/不透過層/ゴム層又は樹脂層/補強糸層
6)ゴム層又は樹脂層/不透過層/ゴム層又は樹脂層/補強糸層/ゴム層又は樹脂層。
【0044】
不透過性ホースの全体的形状には限定がない。例えば、ストレートな管形状を有する直管状ホース、曲り形状を有する曲り管状ホース、一部分又は大部分がコルゲート形状でその他の部分が直管状又は曲り管状とされたコルゲートホース、のいずれの形態も取ることができる。
【0045】
不透過性ホースに耐振性ラミネートフィルムを組み込む方法は限定されない。例えば、耐振性ラミネートフィルムを一旦テープ状に形成した後、これをホース中に縦添え巻きやスパイラル巻きによって管状又はコルゲート管状に構成することもできるし、公知の適宜な方法によって初めから管状又はコルゲート管状の耐振性ラミネートフィルムを形成し、不透過性ホースに組み込むこともできる。「縦添え巻き」とは、テープ状の耐振性ラミネートフィルムを長手方向(ホース軸方向)に沿って巻回することにより筒状体を構成する方法を言い、「スパイラル巻き」とは、テープ状の耐振性ラミネートフィルムをスパイラル方向に巻いて筒状体を構成する方法を言う。
【0046】
不透過性ホースは、種々の流体(液体あるいは気体)の輸送に限定なく使用されるものである。特に、任意の産業分野で振動耐久性を要する用途に好ましく使用される。とりわけ、厳しい繰り返し振動を頻繁に受ける自動車用の流体輸送用ホースに好適である。例えば、ガソリン自動車用のガソリンやアルコール混合ガソリン等に用いる燃料ホース、プロパンガス用のホース、燃料電池車用の水素ガスやメタノール等に用いる燃料ホース、フロンや炭酸ガス等に用いる冷媒ホースの他、エアホース等にも任意に使用することができる。
【0047】
【実施例】
〔実施例1〕
(耐振性ラミネートフィルムの作製)
厚さ20μmのアルミニウム箔(JIS A8079:130°Cにおける弾性率が7664MPa )の両面に、それぞれ5種類の接着剤(いずれも厚さが3μm)を用いて、いずれも厚さ15μmの EVOH 製の延伸樹脂フィルム(130°Cにおける弾性率が143MPa )を貼合わせ、5種類の耐振性ラミネートフィルムもしくは比較用ラミネートフィルムを作製した。
【0048】
上記の5種類の接着剤として、▲1▼130°Cにおける弾性率が0.1MPa であるポリエステル−イソシアネート系接着剤、▲2▼130°Cにおける弾性率が0.6MPa であるポリエステル−イソシアネート系接着剤、▲3▼130°Cにおける弾性率が1.0MPa である、エポキシ変性樹脂系接着剤、▲4▼130°Cにおける弾性率が3.0MPa である、エポキシ変性樹脂に対してポリアミド樹脂成分及びフェノキシ樹脂成分を添加した接着剤、▲5▼130°Cにおける弾性率が6.9MPaである、エポキシ変性樹脂に対してポリアミド樹脂成分及びフェノキシ樹脂成分を添加した接着剤、をそれぞれ用いた。
【0049】
次に、上記の各耐振性ラミネートフィルムもしくは比較用ラミネートフィルムの両側面に厚さ1mmの未加硫EPDMシートを貼合わせ、160°C×30分の熱加硫を行って積層体を作製した後、一定のダンベル試験片形状に切断し、評価用試料とした。
【0050】
(ラミネートフィルムの評価)
上記の評価用試料について、130°C雰囲気下において300回/分の条件でX%の伸びを与える引張振動を繰り返した。そして所定の耐久回数終了時に評価用試料を回収し、積層構造の外側層を剥がすことにより金属箔を露出させ、拡大鏡を用いて金属箔の破断(亀裂)の有無を観察した。
【0051】
その結果を図1に示す。図1において、縦軸は試料に与えた繰り返し変位量(上記の引張振動における伸び量X%)を示し、横軸は耐久回数(金属箔に亀裂が発生するまでに与えた引張振動の繰り返し回数)を示す。横軸の数値は、例えば「1.E+07」とある場合、X%の伸びを与える引張振動を1000万回与えた時に亀裂が発生していないことを示す。図1の結果から見ると、接着剤の弾性率が高い方がラミネートフィルムの振動耐久性が高く、特に接着剤の弾性率が1.0MPa 以上である耐振性ラミネートフィルムにおいては3%までの繰り返し伸びに対して十分な振動耐久性を備えることが判明した。
【0052】
〔実施例2〕
上記実施例1における接着剤が▲3▼である例において、その接着剤層の厚さが上記の3μmである場合の他、1μm、10μm、20μmである場合について、実施例1の場合と同様にダンベル試験片形状の評価用試料を作製し、かつ、実施例1の場合と同様の方法で振動耐久性を評価した。
【0053】
その結果を図2に示す。図2における表記の要領は図1の場合と同様である。図2の結果から見ると、接着剤層の厚さが薄い方が耐振性ラミネートフィルムの振動耐久性が高い。そして接着剤の塗りムラ等による接着不良等を考慮すると、接着剤層の厚さは5μm以下、とりわけ3μm以下であることが好ましい。
【0054】
〔実施例3〕
上記実施例1における接着剤が▲3▼である例において、その接着剤により貼合わせる厚さ15μmの樹脂フィルムが、上記の EVOH 製の延伸樹脂フィルム(130°Cにおける弾性率が143MPa )である場合の他、無延伸 EVOH フィルム(130°Cにおける弾性率が26MPa )、PA6 フィルム(130°Cにおける弾性率が505MPa )、PET フィルム(130°Cにおける弾性率が699MPa )、PIフィルム(130°Cにおける弾性率が1509MPa)である場合について、実施例1の場合と同様にダンベル試験片形状の評価用試料を作製し、かつ、実施例1の場合と同様の方法で振動耐久性を評価した。
【0055】
その結果を図3に示す。図3における表記の要領は図1の場合と同様である。図3の結果から見ると、樹脂フィルム層の弾性率が低い方が耐振性ラミネートフィルムの振動耐久性が高く、樹脂フィルム層の弾性率が200MPa 以下、とりわけ150MPa 以下であると振動耐久性が著しく向上する。特に上記無延伸 EVOHフィルムを用いた場合、4.5%までの繰り返し伸びに対して十分な振動耐久性を備えることが判明した。
【0056】
〔実施例4〕
上記実施例3における樹脂フィルム層が無延伸 EVOH フィルム(130°Cにおける弾性率が26MPa )である例において、その樹脂フィルム(無延伸 EVOHフィルム)層の厚さが上記の15μmである場合の他、30μm、50μmである場合について、実施例1の場合と同様にダンベル試験片形状の評価用試料を作製し、かつ、実施例1の場合と同様の方法で振動耐久性を評価した。
【0057】
その結果を図4に示す。図4における表記の要領は図1の場合と同様である。図4の結果から見ると、樹脂フィルム層の厚さが薄い方が耐振性ラミネートフィルムの振動耐久性が高く、特に厚さが15μm以下であれば4.5%までの繰り返し伸びに対して十分な振動耐久性を備えることが判明した。
【0058】
〔比較例〕
上記実施例4における無延伸 EVOH フィルム層の厚さが15μmである場合に係る耐振性ラミネートフィルム(以下、「積層構造B」と言う)と対比するため、次の比較例を準備した。即ち、実施例1の場合と同じアルミニウム箔の両面に、実施例1の▲2▼に係る接着剤(厚さ3μm)を用いて、厚さ25μmの延伸PET樹脂フィルム(130°Cにおける弾性率が699MPa )を貼合わせ、比較用ラミネートフィルム(積層構造A)を作製した。
【0059】
この比較用ラミネートフィルムについて実施例1の場合と同様にダンベル試験片形状の評価用試料を作製し、かつ、実施例1の場合と同様の方法で振動耐久性を評価した。この積層構造Aに係る比較用ラミネートフィルムの評価結果を、図4に既に示した積層構造Bに係る耐振性ラミネートフィルムの評価結果と共に、図5に示す。両者における振動耐久性の差異は顕著である。
【0060】
〔実施例5〕
上記実施例3における樹脂フィルム層が無延伸 EVOH フィルム(130°Cにおける弾性率が26MPa )である例において、その接着剤を前記▲5▼に変更した場合について、実施例1の場合と同様にダンベル試験片形状の評価用試料(積層構造C)を作製し、かつ、実施例1の場合と同様の方法で振動耐久性を評価した。その結果を図5に併せて示すが、この場合の積層構造Cに係る耐振性ラミネートフィルムは5%までの繰り返し伸びに対して十分な振動耐久性を備えることが判明した。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の評価結果を示すグラフ線図である。
【図2】実施例の評価結果を示すグラフ線図である。
【図3】実施例の評価結果を示すグラフ線図である。
【図4】実施例の評価結果を示すグラフ線図である。
【図5】実施例の評価結果を示すグラフ線図である。

Claims (6)

  1. 金属箔の両側面に接着剤層を介して樹脂フィルム層を接着させた金属箔ラミネートフィルムにおいて、
    前記接着剤層を構成する接着剤がエポキシ変性樹脂系接着剤であり、あるいはエポキシ変性樹脂系接着剤にポリアミド樹脂成分及び/又はフェノキシ樹脂成分を添加したものであり、この接着剤層の130°Cにおける弾性率が1MPa 以上であると共に、前記樹脂フィルム層の構成材料がエチレンビニルアルコール共重合体( EVOH )又はポリプロピレン( PP )であり、この樹脂フィルム層の130°Cにおける弾性率が500 MPa 以下であることを特徴とする耐振性ラミネートフィルム。
  2. 前記接着剤層の厚さが5μm以下であり、及び/又は樹脂フィルム層の厚さが15μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の耐振性ラミネートフィルム。
  3. 前記金属箔がアルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金(ステンレス鋼を含む)、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、金又は銀からなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の耐振性ラミネートフィルム。
  4. 前記耐振性ラミネートフィルムが、少なくとも自動車用ホースへの使用を含む振動耐久性を要求される用途に用いられるものであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の耐振性ラミネートフィルム。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の耐振性ラミネートフィルムを流体不透過層として組込んだことを特徴とする不透過性ホース。
  6. 前記不透過性ホースが以下のいずれか1以上に該当することを特徴とする請求項5に記載の不透過性ホース。
    1)任意の産業分野で振動耐久性を要求される用途に用いられる。
    2)自動車用の液体燃料用ホース、気体燃料用ホース又は冷媒用ホース。
    3)少なくとも一部にコルゲート形状部を備えるホース。
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