JP4013093B2 - バリアリブ形成用エレメント及びこれを用いたバリアリブの製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイパネルのバリアリブの形成に好適なバリアリブ形成用エレメント、これを用いたバリアリブの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にプラズマディスプレイパネルのバリアリブは、例えば、信学技報Vol.89 No.377 P.69、信学技報Vol.91 No.407 P.49、特開平2−301934号公報等に記載されるように、厚膜スクリーン印刷法、又はサンドブラスト法によって形成されている。
【0003】
しかしながら、スクリーン印刷法の場合、100μm以上の高い障壁を得るためには多数回の繰返し印刷が必要である、プラズマディスプレイパネルの市場シェアとして期待される40インチ以上の大画面パネルを形成する際には、スクリーンメッシュの伸縮により位置精度が低下する、画素密度の高精細化が難かしい等の問題がある。
【0004】
一方、サンドブラスト法は、基材上に一様に形成した障壁層上にレジストパターンを形成し、基材上面へブラスト材を噴射することで、レジストパターン被覆部以外を削り出してバリアリブを形成する。そのため画素密度がレジストパターンの解像度に依存し高精細化が可能であるという特長をもつ。しかしながら、高価な障壁材を削りだし、廃棄するため、非常にコストが高くなる、障壁材は一般に鉛化合物を含有しており、削りだされた障壁材の廃棄による環境汚染がある、高厚膜の場合には障壁の底部が広がり矩形形状の障壁が得難い等の問題がある。
【0005】
そこで、上記した問題を解消するための、これらと異なる手法として、厚膜レリーフパターンを製造し、その間隙に障壁となるバリアリブ材料を埋め込むことでバリアリブを製造する、アディティブ法(フォト埋め込み法)が提案されている。この製造方法の場合、バリアリブの位置精度に優れ、バリアリブの形状に優れ、余分なバリアリブ材料が極めて少量のため低コスト、低公害である等の特長を持つことが可能となる。
【0006】
しかしながら、フォト埋め込み法の場合、レリーフパターンの間隙へバリアリブ材料を埋め込むためには、バリアリブ材料をペースト状にし、スクリーン印刷法を用いる必要がある。したがって、埋め込み前にバリアリブ材料を充分撹拌し、バリアリブ材料中に含まれる各成分の分散性を確認する必要があり、また、プラズマディスプレイパネルのバリアリブは、100μm〜250μmの厚膜にしなければならないため、スクリーン印刷工程を数回繰り返す必要があり、場合によってはレリーフパターンを除去する際に、レリーフパターン上の不必要なバリアリブ材料を研磨等によって除去する必要があるため、工程が複雑で長いという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
請求項1及び2記載の発明は、プラズマディスプレイパネルのバリアリブ製造工程を短縮化でき、形状の優れたバリアリブを形成できるバリアリブ形成用エレメントを提供するものである。
請求項3記載の発明は、プラズマディスプレイパネルのバリアリブ製造工程を短縮化でき、形状の優れたバリアリブを形成できるバリアリブの製造法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、支持体フィルム上に、バリアリブ形成用樹脂組成物層を有してなるバリアリブ形成用エレメントに関する。
また、本発明は、バリアリブ形成用樹脂組成物層が、無機材料及び有機バインダーを含むものである前記バリアリブ形成用エレメントに関する。
また、本発明は、除去可能な複数のレリーフパターンの設けられた基板上に、前記バリアリブ形成用エレメントをバリアリブ形成用樹脂組成物層が前記基板に接するようして積層し、次いで前記複数のレリーフパターンの間隙に前記バリアリブ形成用樹脂組成物層を埋め込んだ後、レリーフパターンを除去して基板上にバリアリブ形成用樹脂組成物からなるパターンを形成し、このパターンを焼成することを特徴とするバリアリブの製造法に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のバリアリブ形成用エレメントは、支持体フィルム上に、バリアリブ形成用樹脂組成物層を有してなる。
本発明におけるバリアリブ形成用エレメントは、バリアリブ形成用樹脂組成物層を構成する各成分を有機溶剤に均一に溶解又は分散した溶液(バリアリブ形成用樹脂組成物溶液)を、支持体フィルム上に塗布、乾燥し、バリアリブ形成用樹脂組成物層を形成することにより得られる。
【0010】
前記支持体フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン等からなる厚さ5〜100μm程度のフィルムが挙げられる。
前記塗布方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、ナイフコート法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、バーコート法、カーテンコート法等が挙げられる。
前記乾燥の温度は、60〜130℃とすることが好ましく、乾燥時間は、3分〜1時間とすることが好ましい。
前記した支持体フィルム及びバリアリブ形成用樹脂組成物層を有するバリアリブ形成用エレメントは、バリアリブ形成用樹脂組成物層の上に、さらにカバーフィルムが積層されていてもよい。
そのようなカバーフィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等からなる厚さ5〜100μm程度のフィルムが挙げられる。
このようにして得られるバリアリブ形成用エレメントは、ロール状に巻いて保管し、あるいは使用できる。
【0011】
バリアリブ形成用樹脂組成物層の厚さは、レリーフパターン上面を覆うバリアリブ形成用樹脂組成物層の厚さを1μm以下と極めて薄くでき、後の工程でレリーフパターンの除去前にレリーフパターン上面を覆うバリアリブ形成用樹脂組成物層を除去することを不必要にできるかあるいは容易に除去することができる点から、レリーフパターンが設けられた基板の単位面積当たりのレリーフパターンとレリーフパターンの空隙の容積(V2)と単位面積当たりのバリアリブ形成用樹脂組成物層の体積(V1)の比((V1)/(V2))が、1〜1.2の範囲となるような厚さにすることが好ましく、1.02〜1.18の範囲となるような厚さにすることがより好ましく、1.05〜1.15の範囲となるような厚さにすることが特に好ましい。ここで、(V1)/(V2)が1未満である場合には、レリーフパターンとレリーフパターンの間隙にバリアリブ形成用樹脂組成物を充分に埋め込めない傾向があり、また、(V1)/(V2)が2を超える場合には、レリーフパターン上面を覆う不必要なバリアリブ形成用樹脂組成物層の厚さが大きくなる傾向がある。
上記の点を考慮したバリアリブ形成用樹脂組成物層の厚さは、概ね10〜200μmである。
【0012】
バリアリブ形成用樹脂組成物層は、100℃での粘度が1〜1×107Pa・secであることが好ましく、2〜1×106Pa・secであることがより好ましく、5〜1×105Pa・secであることが特に好ましく、10〜1×104Pa・secであることが極めて好ましい。この100℃での粘度が、1Pa・sec未満では、室温での粘度が低くなりすぎてバリアリブ形成用エレメントとした場合に、バリアリブ形成用樹脂組成物層が流動により端部から滲み出す傾向があり、フィルム形成性が低下する傾向がある。また、1×107Pa・secを超えると、レリーフパターンとレリーフパターンの間隙へのバリアリブ形成用樹脂組成物層の埋め込み性が低下する傾向がある。
【0013】
本発明のバリアリブ形成用エレメントの製造に用いられるバリアリブ形成用樹脂組成物溶液は、無機材料、有機バインダー、有機溶剤等を含んでなる。
上記無機材料としては、ガラス粉末、アルミナ(Al2O3)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化バリウム、酸化カリウム、酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化カドミウム、酸化銅、酸化マグネシウム、酸化マンガン、酸化ビスマス等の金属酸化物、顔料などが使用される。
上記ガラス粉末のガラス組成としては、PbO・B2O3・SiO2、PbO・B2O3、ZnO・B2O3・SiO2等が挙げられる。
これら無機材料の軟化点は、350〜1,000℃、粒度は、0.1〜30μmであることが、作業性、障壁の強度等の点から好ましい。
無機材料中、ガラス粉末の含有量は、形成される障壁の強度、焼成時の形状保持性の点から、30〜75重量%とすることが好ましい。
【0014】
有機バインダーは焼成前までパターン状に形成されたバイリアリブ形成用樹脂組成物の形状を保持する目的で使用されるもので、公知のポリマー、オリゴマー、モノマー等から構成される。これらの有機バインダーは、非硬化系でもでもよく、硬化系の場合は、熱硬化系、光硬化系のいずれでもよい。
前記ポリマーとしては、例えば、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリ酢酸ビニル、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体、エチレンとアクリル酸エステルとの共重合体、塩化ビニルと酢酸ビニルとの共重合体、スチレンとアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルとの共重合体、ビニルトルエンとアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルとの共重合体等が挙げられる。
オリゴマーとしては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等が挙げられる。
モノマーとしては、例えば、グリシジルメタクリレート、ブチルアクリレート等が挙げられる。
【0015】
有機バインダーには、2−ヘプタデシルイミダゾール、過酸化ベンゾイル、ジアミノジフェニルメタン等の有機バインダーを硬化系とするための触媒あるいは硬化剤、ポリエチレングリコールジアセテート、ポリプロピレングリコールジアセテート等の可塑剤、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のシランカップリング剤などを添加することもできる。
有機バインダーの使用量は、無機材料の総量100重量部に対して、10〜300重量部とすることが好ましい。この含有量が10部未満であると、バイリアリブ形成用樹脂組成物をパターン状に形成することが困難となる傾向があり、300重量部を超えると、バイリアリブ形成用樹脂組成物中の有機物を焼成により熱分解、消失させる工程でその熱分解、消失前の溶融段階で流動性が過大となりバイリアリブ形成用樹脂組成物の形状保持性劣る傾向がある。
【0016】
上記有機溶剤としては、例えば、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、テトラメチルスルホン、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、クロロホルム、塩化メチレン、メチルアルコール、エチルアルコール等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。有機溶剤の使用量は、バイリアリブ形成用樹脂組成物溶液の粘度が20〜200ポイズとなるような量とすることが好ましく、そのような使用量は、概ね無機材料100重量部に対して10〜100重量部程度である。有機溶剤の使用量が10重量部未満であるとバイリアリブ形成用樹脂組成物溶液の粘度が大きすぎて塗布性が低下する傾向があり、100重量部を超えると乾燥後の目減りが大きすぎ所望の膜厚を得ににくくなる傾向がある。
【0017】
バリアリブは、除去可能な複数のレリーフパターンの設けられた基板上にバリアリブ形成用エレメントをバリアリブ形成用樹脂組成物層が前記基板に接するようして積層して前記複数のレリーフパターンの間隙に前記バリアリブ形成用樹脂組成物層を埋め込んだ後、レリーフパターンを除去して基板上にバリアリブ形成用樹脂組成物からなるパターンを形成し、このパターンを焼成することにより製造することができる。
【0018】
上記基板は、例えば、セラミック板、プラスチック板、ガラス板等が挙げられる。この基板上には、絶縁層、電極、保護層等が設けられていてもよい。
【0019】
基板上にレリーフパターンを形成する方法は、所定の樹脂組成物を用い、印刷法を適用するか写真法を適用することにより行いうるが、レリーフパターンの精度の点からは写真法が好ましい。
写真法は、基板上に感光性樹脂組成物層を形成し、この感光性樹脂組成物層をパターン状に露光し、現像して基板上にレリーフパターンを形成する方法である。
【0020】
基板上に感光性樹脂組成物層を形成する方法としては、感光性樹脂組成物を基板上に直接塗布し、必要に応じて乾燥する方法、感光性フィルムを用い、ラミネータにより感光性フィルムの感光性樹脂層を基板上に積層することにより基板上に感光性樹脂層を設ける方法等があるが、環境衛生の点、レリーフパターンの膜厚(高さ)を大きくできる点から、後者の感光性フィルムを用いる方法が好ましい。感光性フィルムは、支持フィルム及び感光性樹脂層を有するもので、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等の支持フィルム上に、感光性樹脂組成物を塗布し、必要に応じて乾燥して感光性樹脂組成物層を形成することにより製造される。前記感光性樹脂組成物は、特に制限なく公知のものを使用でき、例えば、ネガ型感光性樹脂組成物、ポジ型感光性樹脂組成物等を挙げることができる。ポジ型感光性樹脂組成物としては、特に制限なく公知のものを使用できるが、例えば、1,2−ナフトキノンジアジド系化合物、o−ニトロベンジル系化合物等を用いた光可溶性基生成型の組成物、オニウム塩等を用いた光酸発生・酸分解型の組成物等が挙げられる。
【0021】
ネガ型感光性樹脂組成物としては、特に制限なく公知のものを使用できるが、例えば(a)エチレン性不飽和化合物(b)カルボキシル基含有フィルム性付与ポリマ及び(c)光重合開始剤を必須成分として含有し、他に必要に応じて、 (d)染料又は顔料(e)その他添加物(f)有機溶剤を含んだ光重合型の組成物が挙げられる。
このような感光性樹脂組成物を用いて基板上に形成された感光性樹脂組成物層は、所定パターンのネガマスクを通して活性光線を照射する等により、パターン状に露光され、必要に応じて加熱された後、現像により感光性樹脂組成物層が選択的に除去されて基板上に複数のレリーフパターンが形成される。現像方法としては、特に制限されず、ウェット現像、ドライ現像等が挙げられる。ウェット現像の場合は、感光性樹脂組成物に対応した現像液を用いる。現像液としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の弱アルカリ性の希薄水溶液が挙げられ、現像方式は、浸漬方式、スプレイ方式等が挙げられる。
また、現像後に基板上に形成されたレリーフパターンを、強度、耐溶剤性等の向上の目的で、加熱及び/又は露光してもよい。
得られるレリーフパターンの厚さ(高さ)は、50〜250μm程度であり、ストライプ型又は長方形型のレリーフパターンであれば、その幅は50〜250μmである。
【0022】
このようにして形成されたレリーフパターンを有する基板上へのバリアリブ形成用エレメントを積層は、バリアリブ形成用エレメントにカバーフィルムが存在しているときは、そのカバーフィルムを除去後、レリーフパターンの設けられた面に、バリアリブ形成用樹脂組成物層が接するようにして、ラミネーターを使用して圧着ロールで圧着すること等により行うことができる。
【0023】
圧着ロールは、加熱圧着できるように加熱手段を備えたものであってもよく、圧着する場合の加熱温度は、10〜150℃とすることが好ましく、20〜135℃とすることがより好ましく、30〜130℃とすることが特に好ましい。この加熱温度が、10℃未満では、バリアリブ形成用樹脂組成物層のレリーフパターンの間隙への埋め込み性が低下する傾向があり、140℃を超えると、バリアリブ形成用樹脂組成物層が熱硬化する傾向がある。
また、圧着時の圧着圧力は、線圧で50〜1×105N/mとすることが好ましく、2.5×102〜5×104N/mとすることがより好ましく、5×102〜4×104N/mとすることが特に好ましい。この圧着圧力が、50N/m未満では、バリアリブ形成用樹脂組成物層のレリーフパターンの間隙への埋め込み性が低下する傾向があり、1×105N/mを超えると、レリーフパターンが破壊される傾向がある。
【0024】
バリアリブ形成用樹脂組成物層のレリーフパターンの間隙への埋め込み性を向上させる目的で、レリーフパターンの設けられた基板を30〜140℃で0.5〜20分間程度予熱処理することが好ましい。
また、同様の目的で、上記圧着ロールの表面が、厚さ200〜400μm程度のゴム、プラスチック等の柔軟性に富んだ材質で構成されてなるものを使用することもできる。
また、同様の目的で、5×104Pa以下の減圧下で、上記した圧着及び加熱圧着による積層の操作を行うこともできる。
また、積層が終了した後、30〜200℃の範囲で、1〜120分間加熱することもでき、この時、バリアリブ形成用樹脂組成物層上に支持体フィルムが存在する場合には、その支持体フィルムを必要に応じて除去してもよい。
【0025】
本発明のバリアリブ形成用エレメントの前記した加熱圧着時の加熱条件、圧着圧力条件及びレリーフパターンが設けられた基板の予備加熱条件や、バリアリブ形成用樹脂組成物の膜厚等の各条件の組み合わせ適宜選択することにより、レリーフパターン上面を覆うバリアリブ形成用樹脂組成物層の厚さを1μm以下と極めて薄くすることができる。
【0026】
このようにして基板上のレリーフパターンの間隙にバリアリブ形成用樹脂組成物を埋込み、埋め込まれたバリアリブ形成用樹脂組成物を必要に応じて加熱又は露光して硬化し、次いで、レリーフパターンを除去する。
なお、レリーフパターンを除去する前に、レリーフパターン上面を覆う不必要なバリアリブ形成用樹脂組成物を薬液処理、研磨等により除去してもよい。
レリーフパターンは種々の方法で除去できるが、例えば、レリーフパターンの除去を剥離液を用いて行う場合、使用する剥離液としては、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの1〜10重量%水溶液が挙げられる。この濃度が1重量%未満の場合、剥離の効果が小さいために剥離時間がかかりすぎる傾向があり、また、10重量%を超える場合には、バリアリブ形成用樹脂組成物を侵す傾向がある。
剥離液の温度については、特に限定されず、レリーフパターンの剥離を好適に行う条件を適宜設定すればよく、剥離方式としては、浸漬方式、スプレイ方式のいずれも好適であり、浸漬方式及びスプレイ方式を併用してもよい。なお、レリーフパターンをバリアリブ形成用樹脂組成物とともに焼成することにより除去することも可能である。
【0027】
レリーフパターンの除去後、基板上に残ったパターン状のバリアリブ形成用樹脂組成物から樹脂バインダー等の有機物を除去して、強度、ガス不透過性等を向上する目的で、パターン状のバリアリブ形成用樹脂組成物を焼成する。この焼成の温度と時間は、350〜580℃、1〜20時間程度である。
このようにして製造された基板上のバリアリブの厚さ(高さ)は、50〜250μm程度であり、その幅は20〜150μm程度である。
【0028】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。
製造例1
〔バリアリブ形成用エレメントの製造〕
表1に示す材料を、ライカイ機を用いて15分間混合し、バリアリブ形成用樹脂組成物層用溶液(A−1)を作製した。
【0029】
【表1】
【0030】
得られた、バリアリブ形成用樹脂組成物層用溶液(A−1)を、50μmの厚さのポリエチレンテレフタレートフィルム上に均一に塗布し、110℃の熱風対流式乾燥機で10分間乾燥して溶剤を除去し、バリアリブ形成用樹脂組成物層を形成した。得られたバリアリブ形成用樹脂組成物層の厚さは50μmであった。次いで、バリアリブ形成用樹脂組成物層の上に、さらに、25μmの厚さのポリエチレンフィルムを、カバーフィルムとして張り合わせて、バリアリブ形成用エレメント(i)を作製した。
【0031】
製造例2
〔バリアリブ形成用エレメントの製造〕
表2に示す材料を、ライカイ機を用いて15分間混合し、バリアリブ形成用樹脂組成物層用溶液(A−2)を作製した。
【0032】
【表2】
【0033】
得られた、バリアリブ形成用樹脂組成物層用溶液(A−2)を、50μmの厚さのポリエチレンテレフタレートフィルム上に均一に塗布し、110℃の熱風対流式乾燥機で10分間乾燥して溶剤を除去し、バリアリブ形成用樹脂組成物層を形成した。得られたバリアリブ形成用樹脂組成物層の厚さは50μmであった。次いで、バリアリブ形成用樹脂組成物層の上に、さらに、25μmの厚さのポリエチレンフィルムを、カバーフィルムとして張り合わせて、バリアリブ形成用エレメント(ii)を作製した。
【0034】
実施例1
〔レリーフパターンの形成〕
メタクリル酸メチル/アクリル酸エチル/メタクリル酸共重合体(重量比53/30/17、重量平均分子量10万)の41重量%メチルセロソルブ/トルエン(重量比8:2)溶液137g(固形分55g)、ビスフェノールAポリオキシエチレンジメタクリート34g、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β−メタクリロイルオキシエチル−O−フタレート11g、安定剤(AW−500、川口化学株式会社製)0.1g、トリブロモメチルフェニルスルフォン1.2g、シリコーンレベリング剤(SH−193、トーレシリコン株式会社製)0.04g、1,7ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン0.2g、ベンジルジメチルケタール3g、ロイコクリスタルバイオレット1.0g、マラカイトグリーン0.05g、トルエン7g、メチルエチルケトン13g及びメタノール3gを配合し、感光性樹脂組成物の溶液を得た。
【0035】
この感光性樹脂組成物の溶液を20μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム上に均一に塗布し、110℃の熱風対流式乾燥機で約10分間乾燥して感光性フィルムを得た。感光性樹脂層の乾燥後の膜厚は50μmであった。
次いで、得られた感光性フィルムを基板の上に3層貼り合わせて、150μm厚さの感光性樹脂層を形成した。基板として、ガラス板(3.0mm厚)を用いた。ラミネートはラミネートロール温度130℃、ロール圧4.0kgf/cm2、速度1.0m/分の条件で行った。
次に、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にネガマスクを載置し、3KW高圧水銀灯(HMW−590、オーク製作所製)で80mJ/cm2の露光を行った。露光後5分以内に80℃で10分加熱した。
【0036】
次いで、ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がした後、30℃、1重量%炭酸ソーダ水溶液でスプレー現像を行った。次いで、20℃、0.5重量%塩化水素水溶液で浸漬処理し、水洗、水切り、80℃で5分乾燥後、7KWメタルハライドランプ(HMW−680、オーク製作所製)で2J/cm2露光した。次いで 、150℃で100分加熱した。
これにより、断面形状が矩形で厚膜のレリーフパターンが設けられた基板(板ガラス3mm厚、縦10cm×横10cm、ライン/スペース=150/70μm、レリーフ厚150μm)を製造できた。
【0037】
〔バリアリブの形成〕
このようなレリーフパターンが設けられた基板のレリーフパターン形成された側に、製造例1で得られたバリアリブ形成用エレメント(i)のポリエチレンフィルムを剥がしながら、ラミネータ(日立化成工業(株)製、商品名HLM−1500型)を用いて、ラミネート温度が100℃、ラミネート速度が0.5m/分、圧着圧力(シリンダ圧力)が4×105Pa(厚さが3mm、縦10cm×横10cmの基板を用いたため、この時の線圧は9.8×103N/m)で、ポリエチレンテレフタレートフィルムを介してバリアリブ形成用樹脂組成物層を圧着して積層し、バリアリブ形成用樹脂組成物層をレリーフパターンの間隙に埋め込んだ。
なお、この時の(V1)/(V2)は1.05であった。
【0038】
次に、バリアリブ形成用エレメント(i)のレリーフパターンと接していない面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、160℃、45分間加熱し、バリアリブ形成用樹脂組成物を硬化した。
次いで、45℃、5重量%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬、レリーフパターンを剥離して除去し、基板上にバリアリブ形成用樹脂組成物からなるパターンを形成した。
次いで、このパターンをマッフル炉を使用し、空気中で焼成してバリアリブを得た。焼成条件は、室温から400℃まで昇温速度が3℃/分で昇温し、400℃で30分間保持、さらに、550℃まで昇温速度が5℃/分で昇温し、550℃で30分間保持、室温まで冷却するものとした。
以上において、レリーフパターンを剥離して除去する際の剥離時間を測定し、また、バリアリブの断面を、実体顕微鏡及び電子顕微鏡で観察し、その形成状況を評価し、結果を表3に示した。
【0039】
実施例2
実施例1において、製造例1で得られたバリアリブ形成用エレメント(i)を、製造例2で得られたバリアリブ形成用エレメント(ii)に代えた以外は、実施例1と同様に行い、結果を表3に示した。
【0040】
比較例1
実施例1と同様にレリーフパターンが設けられた基板を製造し、形成したレリーフパターン上に、バリアリブ材料としてのリブペースト(製品名TR−0994、太陽インキ製造(株)製)をスキージを使用して均一にレリーフパターンの間隙に埋込んだ後、3分間の減圧(5トール)脱泡を行い、80℃で30分間乾燥した。このようなリブペースト埋込み→減圧脱泡→乾燥工程をさらに2回繰返した。次に、160℃、45分間加熱しバリアリブ材料を硬化した。
次いで、45℃、5重量%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して、レリーフパターンを剥離して除去しようとしたが、除去不能であった。
以上の結果を表3に示した。
【0041】
【表3】
表3中バリアリブ形状が良好とは、レリーフパターンとレリーフパターンの間隙の形状に対応した形状が得られていることを意味する。
【0042】
表3から、バリアリブ形成用エレメントを使用した実施例1及び実施例2は、レリーフパターン上の不必要なバリアリブ材料を除去するための研磨工程を行わなくても、レリーフパターンを良好に剥離除去でき、得られるバリアリブの形状も良好であることが分かった。
一方、バリアリブ形成用エレメントを使用しなかった比較例1は、レリーフパターン上の不必要なバリアリブ材料を除去するための研磨工程を行わなかったため、レリーフパターンを剥離除去することができないことが分かった。
【0043】
【発明の効果】
請求項1及び2記載のバリアリブ形成用エレメントは、プラズマディスプレイパネルのバリアリブ製造工程を短縮化でき、形状の優れたバリアリブを形成できるものである。
請求項3記載のバリアリブの製造法は、プラズマディスプレイパネルのバリアリブ製造工程を短縮化でき、形状の優れたバリアリブを形成できるものである。
Claims (3)
- 支持体フィルム上に、バリアリブ形成用樹脂組成物層を有してなるバリアリブ形成用エレメント。
- バリアリブ形成用樹脂組成物層が、無機材料及び有機バインダーを含むものである請求項1記載のバリアリブ形成用エレメント。
- 除去可能な複数のレリーフパターンの設けられた基板上に、請求項1又は2記載のバリアリブ形成用エレメントをバリアリブ形成用樹脂組成物層が前記基板に接するようして積層し、次いで前記複数のレリーフパターンの間隙に前記バリアリブ形成用樹脂組成物層を埋め込んだ後、レリーフパターンを除去して基板上にバリアリブ形成用樹脂組成物からなるパターンを形成し、このパターンを焼成することを特徴とするバリアリブの製造法。
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JP4340098A JP4013093B2 (ja) | 1998-02-25 | 1998-02-25 | バリアリブ形成用エレメント及びこれを用いたバリアリブの製造法 |
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JP4340098A JP4013093B2 (ja) | 1998-02-25 | 1998-02-25 | バリアリブ形成用エレメント及びこれを用いたバリアリブの製造法 |
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JPH11240096A JPH11240096A (ja) | 1999-09-07 |
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JP5989444B2 (ja) * | 2012-07-31 | 2016-09-07 | スタンレー電気株式会社 | 液晶表示装置 |
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- 1998-02-25 JP JP4340098A patent/JP4013093B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JPH11240096A (ja) | 1999-09-07 |
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