JP4012996B2 - マニピュレータの制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
マニピュレータの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ロボットで組立動作を行うとき、穴に差し込んである物体を抜き取る作業を行うことがある。この作業では、抜き取る方向以外に力が加わると、物体が穴に噛んで抜けにくくなることがあるが、物体を把持するエンドエフェクタ部分にコンプライアンス(柔らかさ)を持たせて加わる力を吸収する機能を備えさせ、無理な力が加わるのを防ぐ方法があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、抜き取る方向がずれていた場合、抜き取っていくにつれて方向の誤差が位置の誤差となってあらわれるため、エンドエフェクタ部分がバネもしくは仮想バネ機構によるコンプライアンス特性を持っていたとしても力を吸収できなくなり、結局は物体が穴に噛んで抜けにくくなるという問題があった。
【0004】
本発明の目的は、無理な力が加わらずに挿入および引き出し動作を行うことができるマニピュレータの制御装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のマニピュレータの制御装置は、周りから円筒拘束または直動拘束またはねじ拘束を受けた作業対象物体の挿入および引き出し操作を行うマニピュレータの制御装置であって、先端にハンドを備えたマニピュレータを、入力される指令に従ってコンプライアンス制御するマニピュレータ制御部と、把持命令を受けて、マニピュレータ制御部にハンドにより作業対象物体を把持させる指令を生成する把持指令生成部と、移動命令を受けて、マニピュレータ制御部にマニピュレータを移動させる指令を生成する移動指令生成部と、ハンド部分に設定したハンド座標系の位置姿勢を検出するハンド位置姿勢検出手段と、制御装置の制御周期毎のハンドの位置姿勢を記憶する位置姿勢記憶部と、位置姿勢記憶部より得られる複数の座標位置姿勢から、作業対象物体が挿入又は引き出される穴の実際の軸方向を算出して、移動指令生成部に送る軸方向算出演算部とを有し、移動指令生成部は、移動命令を受けて、マニピュレータ制御部にマニピュレータを実際の軸方向に沿って移動させる指令を生成する。
【0006】
また、周りから円筒拘束または直動拘束またはねじ拘束を受けた作業対象物体の挿入および引き出し操作を行うマニピュレータの制御装置であって、多指ハンドを備えたマニピュレータを、入力される指令に従ってコンプライアンス制御するマニピュレータ制御部と、把持命令を受けて、マニピュレータ制御部に多指ハンドにより作業対象物体を把持させる指令を生成する把持指令生成部と、移動命令を受けて、マニピュレータ制御部にマニピュレータを移動させる指令を生成する移動指令生成部と、指先位置検出手段とハンド座標算出手段によりハンドに設定した座標系の位置姿勢を算出するハンド位置姿勢検出手段と、制御装置の制御周期毎の多指ハンドの位置姿勢を記憶する位置姿勢記憶部と、位置姿勢記憶部より得られる複数の座標の位置姿勢から、作業対象物体が挿入又は引き出される穴の実際の軸方向を算出して、移動指令生成部に送る軸方向算出演算部とを有し、移動指令生成部は、移動命令を受けて、マニピュレータ制御部にマニピュレータを実際の軸方向に沿って移動させる指令を生成してもよい。
【0007】
従って、先端のハンド部にコンプライアンス特性を備えたマニピュレータにおいて、円筒拘束、直動拘束、ねじ拘束を持った部品間の挿入および引き出し操作を行うにあたり、拘束の拘束軸を推定することによって、推定した方向に挿入および引き出しの方向を修正することができる。
【0008】
また、マニピュレータが、指先にコンプライアンス特性を備え、かつ指先位置の検出手段を備える複数指を有するハンドを備えたものであっても、適用できる。
【0009】
上記手段により、移動軸方向が指令とずれていた場合でも、動作の過程で方向が修正され、無理な力が加わらずに挿入および引き出し動作を行うことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0011】
(発明の第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態のブロック構成図とマニピュレータの斜視図、図2は本発明における方向算出方法の説明図である。
【0012】
本発明の第1の実施の形態のマニピュレータの制御装置100は、先端のハンド1にコンプライアンス特性を備えたマニピュレータ2を、入力される指令に従ってコンプライアンス制御するマニピュレータ制御部3と、把持命令4を受けて、マニピュレータ制御部3にハンド1により作業対象物体8を把持させる指令を生成する把持指令生成部6と、移動命令5を受けて、マニピュレータ制御部3にマニピュレータ2を軸方向に沿って移動させる指令を生成する移動指令生成部7と、指令する軸方向に沿って移動指令を実行し、指令する軸方向10が作業対象物体8の実際の拘束にしたがった軸方向とずれていると、ずれの分だけ作業対象物体8とハンド1には力が加わり、ハンド1がコンプライアンス特性を備えていることにより、ハンド1は実際の軸方向17に沿って動き、微少移動後のハンド1の位置姿勢をハンド座標系14の位置によって検出するハンド位置姿勢検出手段11と、微少移動毎のハンド1の位置姿勢を記憶する位置姿勢記憶部12と、移動(抜取)方向の修正命令9を受けて、位置姿勢記憶部12より得られる複数のハンド1の位置姿勢から、実際に移動した軸方向17を算出し、実際に移動した軸方向17を移動指令生成部5に送る軸方向算出演算部とから構成され、 移動指令生成部は、移動命令5を受けて、マニピュレータ制御部3にマニピュレータ2を実際に移動した軸方向17に沿って移動させる指令を生成する。
【0013】
次に、本発明の第1の実施の形態のマニピュレータの制御装置100の動作について説明する。
【0014】
図1において、マニピュレータ制御部3は、入力される指令に従ってハンド1を備えたマニピュレータ2をコンプライアンス制御する。ここで、ハンド位置姿勢検出手段11は、ハンド部分に設定したハンド座標系14の位置姿勢を検出する。作業対象物体8は、周りから直動拘束を受けている。本発明の方法によって、作業対象物体8の挿入および引き出し動作を行うには、まず、把持命令4によってハンドに作業対象物体8を把持させ、その後移動命令5によってマニピュレータ2を指令する軸方向10に沿って移動させる。把持指令生成部6と移動指令生成部7は、各命令を受けてマニピュレータ制御部にマニピュレータ2を動作させる指令を生成する。ここで、移動(抜取)方向の修正命令9を出して、移動命令5で指定された指令する軸方向10を修正する。
【0015】
以下、移動方向の修正方向を詳細に説明する。図2において、初めハンド座標系は作業対象物体8を把持して初めのハンド座標系の位置15にある。ここで、指令する軸方向10に沿って移動指令を実行したとき、この方向が作業対象物体8の実際の拘束にしたがった移動軸方向とずれていると、ずれの分だけ作業対象物体8とハンド1には力が加わるが、マニピュレータ2がコンプライアンス特性を備えているので、ハンド1は実際の軸方向17に沿って動き、微少移動後のハンド座標系の位置16に移動する。この際、ハンド1の位置姿勢検出手段11によってハンド座標系の位置(ハンド1の位置姿勢)15、16が検出されると、実際に移動した方向が算出できる。この移動の際、ハンド1が作業対象物体8を把持しており、ハンド1と作業対象物体8との位置関係が変わらなければ、実際に移動した方向が、実際の移動軸方向17を示す。図1の位置姿勢記憶部12ではこうした微少移動毎にハンド位置姿勢を記憶し、軸方向算出演算部13では位置姿勢記憶部12より得られる複数の座標位置姿勢から、実際に移動した軸方向17を算出する。こうして実際に移動した軸方向17が算出されると、移動中の随時、この実際に移動した軸方向17は移動指令生成部7に送られ、移動指令生成部7の軸方向の指令値として新たに使われる。したがって、指令する軸方向10を実際の軸方向17に修正しながら移動命令5を実行することができる。
【0016】
作業対象物体8の受ける拘束が円筒拘束やねじ拘束の場合も、ハンドに設定したハンド座標系14の位置および姿勢の軌跡を検出することによって、拘束の軸方向が計算により推定できる。これらの算出方法については、既存の方法があるのでここでは述ベない。
【0017】
(発明の第2の実施の形態)
図3は本発明の第2の実施の形態のブロック構成図とマニピュレータの斜視図、図4は多指ハンドにおけるハンド位置姿勢検出手段の説明図である。
【0018】
本方法が有効に働くには、ハンドが把持物体を確実に把持して、ハンドと作業対象物体8との位置関係が変わらないことが必要である。様々な物体を確実に把持するのに、多指ハンドを使う方法がある。図3に示すように、マニピュレータが多指ハンド18を備え、各指にもコンプライアンス特性を備えさせると、同様の方法で作業対象物体8を操作することができる。
【0019】
本発明の第2の実施の形態のマニピュレータの制御装置200は、先端の多指ハンド18の各指にコンプライアンス特性を備えたマニピュレータ2を、入力される指令に従ってコンプライアンス制御するマニピュレータ制御部3と、把持命令4を受けて、マニピュレータ制御部3に多指ハンド18により作業対象物体8を把持させる指令を生成する把持指令生成部6と、移動命令5を受けて、マニピュレータ制御部3にマニピュレータ2を軸方向に沿って移動させる指令を生成する移動指令生成部5と、指令する軸方向10に沿って移動指令を実行し、指令する軸方向10が作業対象物体8の実際の拘束にしたがった軸方向とずれていると、ずれの分だけ作業対象物体8と多指ハンド18には力が加わり、多指ハンド18がコンプライアンス特性を備えていることにより、多指ハンド18は実際の軸方向に沿って動き、微少移動後の多指ハンド18の位置姿勢を指先位置検出手段とハンド座標系14の位置によって検出するハンド位置姿勢検出手段11と、微少移動毎の多指ハンド18の位置姿勢を記憶する位置姿勢記憶部12と、移動(抜取)方向の修正命令9を受けて、位置姿勢記憶部12より得られる複数の多指ハンド18の位置姿勢から、実際に移動した軸方向を算出し、実際に移動した軸方向を移動指令生成部7に送る軸方向算出演算部13とから構成され、
移動指令生成部7は、移動命令5を受けて、マニピュレータ制御部3にマニピュレータ2を実際に移動した軸方向に沿って移動させる指令を生成する。
【0020】
次に、本発明の第2の実施の形態のマニピュレータの制御装置200の動作について説明する。
【0021】
図3において、マニピュレータ2は多指ハンド18を備え、マニピュレータ制御部3は、多指ハンド18の各指をコンプライアンス制御する。ここで、ハンド位置姿勢検出手段11は、指先位置検出手段とハンド座標算出手段よりハンドに設定した座標系の位置姿勢を算出する。図4において、丸印○は多指ハンド18の指先位置を表し、作業対象物体8を把持したとき、各指先は、物体表面に接している。多指ハンド18の指先が、適当なコンプライアンス特性を備えるようにコンプライアンス制御され、かつ適当な把持力をもって作業対象物体8を把持していれば、指先と作業対象物体8との位置関係は保たれる。多指ハンド18が3本指を備えていれば、3本指の指先位置より3本指の指先のなす平面19が一意に定まり、図心などの基準点を設けることによってハンドの座標系14が規定できる。このマニピュレータ2と制御装置においても、前述の図1、図2に示した方法で、指令する軸方向10を実際の軸方向に修正しながら移動命令を実行することができる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、先端のハンド部にコンプライアンス特性を備えたマニピュレータにおいて、円筒拘束、直動拘束、ねじ拘束を持った部品間の挿入および引き出し操作を行うにあたり、拘束の拘束軸を推定することによって、推定した方向に挿入および引き出しの方向を修正することができるという効果がある。
【0023】
また、マニピュレータが、指先にコンプライアンス特性を備え、かつ指先位置の検出手段を備える複数指を有するハンドを備えたものであっても、適用できる。
【0024】
即ち、移動軸方向が指令とずれていた場合でも、指令する動作の軸方向が随時修正されるので、移動の際の位置ずれが大きくならず、したがって無理な力が加わらずに挿入および引き出し動作を行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のブロック構成図とマニピュレータの斜視図である。
【図2】本発明における方向算出方法の説明図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態のブロック構成図とマニピュレータの斜視図である。
【図4】多指ハンドにおけるハンド位置姿勢検出手段の説明図である。
【符合の説明】
1 ハンド
2 マニピュレータ
3 マニピュレータ制御部
4 把持命令
5 移動命令
6 把持指令生成部
7 移動指令生成部
8 作業対象物体
9 移動(抜取)方向の修正命令
10 指令する軸方向
11 ハンド位置姿勢検出手段
12 位置姿勢記憶部
13 軸方向算出演算部
14 ハンド座標系
15 初めのハンド座標系位置
16 微少移動後のハンド座標系位置
17 実際の軸方向
18 多指ハンド
19 3本指の指先のなす平面
Claims (2)
- 周りから円筒拘束または直動拘束またはねじ拘束を受けた作業対象物体の挿入および引き出し操作を行うマニピュレータの制御装置であって、
先端にハンドを備えたマニピュレータを、入力される指令に従ってコンプライアンス制御するマニピュレータ制御部と、
把持命令を受けて、前記マニピュレータ制御部に前記ハンドにより前記作業対象物体を把持させる指令を生成する把持指令生成部と、
移動命令を受けて、前記マニピュレータ制御部に前記マニピュレータを移動させる指令を生成する移動指令生成部と、
ハンド部分に設定したハンド座標系の位置姿勢を検出するハンド位置姿勢検出手段と、
制御装置の制御周期毎の前記ハンドの位置姿勢を記憶する位置姿勢記憶部と、
前記位置姿勢記憶部より得られる複数の座標位置姿勢から、前記作業対象物体が挿入又は引き出される穴の実際の軸方向を算出して、前記移動指令生成部に送る軸方向算出演算部とを有し、
前記移動指令生成部は、移動命令を受けて、前記マニピュレータ制御部に前記マニピュレータを前記実際の軸方向に沿って移動させる指令を生成する、マニピュレータの制御装置。 - 周りから円筒拘束または直動拘束またはねじ拘束を受けた作業対象物体の挿入および引き出し操作を行うマニピュレータの制御装置であって、
多指ハンドを備えたマニピュレータを、入力される指令に従ってコンプライアンス制御するマニピュレータ制御部と、
把持命令を受けて、前記マニピュレータ制御部に前記多指ハンドにより前記作業対象物体を把持させる指令を生成する把持指令生成部と、
移動命令を受けて、前記マニピュレータ制御部に前記マニピュレータを移動させる指令を生成する移動指令生成部と、
指先位置検出手段とハンド座標算出手段によりハンドに設定した座標系の位置姿勢を算出するハンド位置姿勢検出手段と、
制御装置の制御周期毎の前記多指ハンドの位置姿勢を記憶する位置姿勢記憶部と、
前記位置姿勢記憶部より得られる複数の座標の位置姿勢から、前記作業対象物体が挿入又は引き出される穴の実際の軸方向を算出して、前記移動指令生成部に送る軸方向算出演算部とを有し、
前記移動指令生成部は、移動命令を受けて、前記マニピュレータ制御部に前記マニピュレータを前記実際の軸方向に沿って移動させる指令を生成する、マニピュレータの制御装置。
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