JP4012955B2 - ドコサヘキサエン酸を産生する微生物及びドコサヘキサエン酸の製造方法 - Google Patents

ドコサヘキサエン酸を産生する微生物及びドコサヘキサエン酸の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はドコサヘキサエン酸(以下DHA)を産生する微生物であって、その産生温度の上限が22℃である微生物、及び該微生物を用いたDHA、特にDHAを含有するリン脂質を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
DHAは、生体内においては脳、網膜、心筋、精子などの細胞膜リン脂質に局在しており、生命の発生段階やホメオスタシスの維持に重要であることが知られている。また、他のn-3系列の高度不飽和脂肪酸と同様に、n-6系列のエイコサノイドの生成を競合的に抑制することによって、血栓性疾患による生活習慣病の発症を抑制することが知られている。即ち、生体内DHAの欠乏を避けることが健康維持につながるという考え方から、DHAトリグリセリドが健康食品として市販されるようになった。現在のDHA生産源は天然資源の魚油であるが、将来的に安定かつ大量供給できる生産源として微生物が検討されている。そのなかで、海洋から分離したバクテリアはDHA生産源としては唯一の原核生物であり、他のDHA生産源である真核生物と比較すると、DHAの生合成酵素群をコードした遺伝子の組み換え操作が容易であり、他の生物にDHA生合成能を付与することも可能である。
【0003】
これまでに分離されたDHA産生細菌の生育温度の上限は20℃以下である。DHA産生細菌の特長の一つは、DHA生合成遺伝子群をDHAの大量生産を可能にする酵母や油糧植物あるいは食品の原料となる他の生物に組み込み、これらの生物にDHA産生能が付与できることである。しかしながら、上述の生育温度の制限はDHA生合成遺伝子群についても当てはまる可能性が極めて高く、DHA産生能が付与できる他の生物種を著しく制限する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、20℃以上でもDHA生合成能を有するDHA生合成遺伝子群のクローニングを可能とするために、20℃以上で生育し、且つDHA生合成能を有するDHA産生細菌を新たに分離することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上述の課題を解決するために鋭意研究した結果、コルウエリア(Colwellia)属に属する微生物が、常圧、20℃以上でDHA特にDHA含有リン脂質を生産することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0006】
すなわち本発明は、コルウエリア属に属し、DHAを産生する微生物であって、その産生温度の上限が22℃である微生物、及びこの微生物を培養し、得られる培養物から脂質画分を単離することを特徴とするDHAの製造方法を提供する。本発明の製造方法においては、DHAは主にリン脂質の形で得られる。
【発明の実施の形態】
【0007】
(1)微生物
本発明の微生物は、コルウエリア属に属し、DHAを産生し、かつその産生温度の上限が22℃であるものであればいずれでもよく、このような微生物は自然界から新たに分離することができ、あるいはその変異株であってもよい。
【0008】
本発明のコルウエリア属に属する微生物としては新菌株であるSCRC-39013を挙げることができる。この菌株は1999年11月11日に、工業技術院生命工学工業技術研究所に受託番号FERM P-17640として寄託されている。
【0009】
前記新菌株は次のようにして分離した。
まず、表1に示す組成の培地を調製した。
【0010】
Figure 0004012955
【0011】
この組成の寒天平板培地に、各地の海洋より採取した海洋性生物体サンプルを滅菌した1/2濃度の人工海水で適度に希釈して接種し、4℃で3〜5日間培養した。出現したコロニーを、表1の培地組成から寒天を除いた液体培地に植菌して、4℃で静置培養した。さらに、20℃以上での振盪培養を行った。DHA産生能は得られた培養液より後記の方法により検定した。こうして22℃でDHAを生産する下記の株を得た。このサンプルは英国スコットランドのアバディーン近郊の海岸で採取された。
この菌株は次の表2に示す菌学的性質を有する。
【0012】
Figure 0004012955
Figure 0004012955
【0013】
上記の菌学的性質に基づき、これらの菌株を以下の文献に従って次のように同定した。
【0014】
SCRC-39013は運動性とカタラーゼオキシダーゼ活性を有するグラム陰性の桿菌であることなどから、文献イ、ロに従えばシュードモナス科のブレバンディモナス属ディミニュータ(Brevundimonas diminuta)に近い。しかしながら、B. diminutaが単極毛であるのに対し、SCRC-39013は2〜3本の極毛を持つ。また、炭水化物資化能については、アルテロモナス属ハネダイ Alteromonas hanedai に近いが、硝酸塩還元能及びゼラチン分解能がないので、A. hanedaiとは異なる。又、16SrRNAの塩基配列の相同性は南極の氷中から分離されたコルウエリア属サイクロエリサス(Colwellia psychroerythus)に最も近いが、完全には一致しない。従って、この株はコルウエリア属の新種と考えられる。
【0015】
文献
イ Bergey's Manual of Systematic Bacteriology, vol.1 (1984)
ロ International Journal of Systematic Bacteriology, vol.44, 499-510.(1998)
ハ Cowan and Steel's Manual for the Identification of Medical Bacteria 3Ed.,(1993)
ニ Manual of Non-fermenting Gram-negative Bacteria (1985)
ホ Identification Method in Applied and Environmental Microbiology (1992)
ヘ International Journal of Systematic Bacteriology, vol.48, 1171-1180.(1998)
【0016】
以上、自然界から分離した菌株について詳述したが、これらの菌に変異を生じさせて一層生産性の高い菌株を得ることもできる。
本発明の菌株は常法に従って保存することができ、例えば寒天スラント培地上で、または凍結乾燥法により、またはグリセロール法により保存することができる。寒天スラント培地としては、例えば菌の分離に関して前記した培地を使用することができる。また、凍結乾燥保存、グリセロール保存の常法に従って行うことができる。
【0017】
(2)DHAの製造方法
前記の微生物を培養してDHA、特にDHA含有リン脂質を製造しようとする場合、基礎栄養培地として、本発明の微生物が増殖し得るものであればいずれを使用してもよい。この培地は窒素源として例えば酵母エキス、ペプトン、肉エキスなどの1種類または複数種類を含む。また、この培地には必要に応じて炭素源として各種の糖類を加えることができる。この培地には天然海水や人工海水を加えることが好ましい。培養は固体培地または液体培地のいずれを用いてもよいが、目的とするDHA、特にDHA含有リン脂質を多量に得るためには、液体培地を用い、静置培養もしくは振盪培養、通気・攪拌培養などにより好気的条件下で培養を行うことが好ましい。培養温度は菌が生育し、DHAが生産される温度範囲であればいずれの温度でもよく、4〜24℃である。pHは6〜9、好ましくは7〜8の範囲である。培養時間は採取し得る量のDHA含有リン脂質が生産される時間を選べばよく、通常10〜72時間である。
【0018】
次に得られた培養物からDHAを採取する。その方法としては、脂質を単離する通常の脂質製造方法を用いることができる。例えば、培養液から遠心分離、ろ過などの常用の手段によって菌体を集める。次にこの菌体を所望により水、食塩水、または緩衝液、例えばリン酸緩衝液などにより洗浄した後、これらの液中に再懸濁する。この懸濁液を脂質の抽出のために常用されている溶剤、例えばクロロホルム/メタノール混合物により抽出し、相分離してクロロホルム相を得る。次にこのクロロホルム相を蒸発除去することによりDHA含有リン脂質を含む材料が得られる。得られたDHA含有リン脂質を常法によりけん化することによって遊離のDHAまたはその塩を得ることができ、更にエステル化によりDHAエステルが得られる。
【0019】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0020】
【実施例】
実施例1;コルウエリアsp. SCRC-39013(FERM P-17640)からのDHA含有リン脂質およびDHAメチルエステルの生産
ペプトン1.0%、酵母エキス0.5%を50%濃度の人工海水に溶解し、pH7.0に調整した培地100mlを121℃、15分間加熱滅菌した後、コルウエリアsp. SCRC-39013(FERM P-17640)を接種し、22℃で48時間好気的に培養した。培養後、遠心分離機で菌体を採取して凍結乾燥を行い、乾燥重量0.29gの菌体を得た。菌体を5%塩酸メタノール溶液に溶解して1時間加熱して脂肪酸メチルエステルを調製した。これをガスクロマトグラフにて定量分析した結果、DHAメチルエステルとして0.09mg含まれていることがわかった。
【0021】
実施例2;コルウエリアsp. SCRC-39013(FERM P-17640)からのDHA含有リン脂質およびDHAメチルエステルの生産
ペプトン0.5%、酵母エキス0.1%を50%濃度の人工海水に溶解し、pH7.0に調整した培地100mlを121℃、15分間加熱滅菌した後、コルウエリアsp. SCRC-39013(FERM P-17640)を接種し、22℃で48時間好気的に培養した。培養後、遠心分離機で菌体を採取して凍結乾燥を行い、乾燥重量0.2gの菌体を得た。菌体を5%塩酸メタノール溶液に溶解して1時間加熱して脂肪酸メチルエステルを調製した。これをガスクロマトグラフにて定量分析した結果、DHAメチルエステルとして0.07mg含まれていることがわかった。
【発明の効果】
本発明の微生物を使用することにより、最高温度22℃までDHAを発酵生産することができる。すなわち、この微生物からクローニングされるDHA生合成遺伝子を他の生物に組み込んだ場合も、最高温度22℃までDHAを生産できるので利用可能な生物種が多様になる。
本発明で得られるDHA及びDHA濃縮物は医薬、薬物キャリヤー、食品添加剤、健康食品として用いられる。

Claims (2)

  1. ドコサヘキサエン酸を産生し、その産生温度の上限が22℃であるコルウエリア sp.SCRC-39013 FERM P-17640
  2. ドコサヘキサエン酸を産生し、その産生温度の上限が22℃であるコルウエリア属に属する微生物を培養し、得られる培養物から脂質画分を単離することを特徴とするドコサヘキサエン酸の製造方法。
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