上述の様に股部分を開閉自在としたパンツ型オムツは、ズボン等の外衣を完全に脱がずにずり下ろすだけで着用することができるという利点があり、有用であるものの、工業的に連続して製造する方法については上記特許文献1,2にも示されておらず、大量生産を可能化ならしめる為には、連続的製造方法の実現が要望されている。
そこで本発明は、股部分を開閉自在とした使い捨てパンツ型オムツを連続的に製造する方法を提供することを目的とする。
以下で本発明を説明するにあたり、理解の助けとなる様に、後述する図に用いた符号を適宜付して述べるが、本発明は図に示す例に限定されるものではない。
本発明に係る使い捨てパンツ型オムツの製造方法は、前身頃41が腹部片42とこれに続く下方片(以下、前身頃下方片と称することがある)43を備え、後身頃44が背部片45とこれに続く下方片(以下、後身頃下方片と称することがある)46を備え、前記腹部片42と前記背部片45が脇線部51で接合されてこれらの上縁において胴周り開口52を形成し、前記腹部片に続く下方片43と前記背部片に続く下方片46がそれぞれの着脱域同士で着脱自在に取り付けられて左右一対の脚周り開口53を形成し、前記胴周り開口近傍及び前記脚周り開口近傍にそれぞれ弾性部材(弾性部材10,11,12等)が配置され、前記前身頃用のシート部材と前記後身頃用のシート部材が、積層した少なくとも第1,第2の2枚のシート27a,27b,28a,28bでそれぞれ形成されている使い捨てパンツ型オムツを、オムツ横方向(左或いは右方向)に進行させつつ連続的に製造する方法であって、
前記第1の前身頃シート27aの原料反127aと前記第1の後身頃シート28aの原料反128aとの相対応する前記着脱域(例えば第2の係合域14,第3の係合域34)の少なくとも一方に、上記両着脱域を着脱可能とする着脱部材を設ける着脱部材取付工程と、
この着脱部材取付工程の後、前記第1の前身頃シートの原料反127aと前記第1の後身頃シートの原料反128aを一部重ねる様にして供給し、前記両着脱域同士(例えば第2の係合域14と第3の係合域34)を取り付けて前記第1の前身頃シートの原料反127aと前記第1の後身頃シートの原料反128aを一体とする(原料反127aと原料反128aを連ねるようにする)シート一体化工程と、
このシート一体化工程の後、前記第2の前身頃シートの原料反127bと前記第1の前身頃シートの原料反127aの間、並びに前記第2の後身頃シートの原料反128bと前記第1の後身頃シートの原料反128aの間における前記脚周り開口近傍位置に前記弾性部材11,12を挟む脚周弾性部材配置工程と、
前記シート一体化工程の後、前記第1,第2の前身頃シートの原料反127a,127bのいずれか一方或いは両方により前記弾性部材10を挟み、また前記第1,第2の後身頃シートの原料反128a,128bのいずれか一方或いは両方により前記弾性部材10を挟む胴周弾性部材配置工程と、
前記シート一体化工程の後、オムツの股の位置に吸収性部材18を配置する吸収体配置工程と、
前記シート一体化工程の後、前記各原料反における前記脚周り開口部分36を切除する脚周開口形成工程とを備えたことを特徴とする。
以上の方法により、股部分の開閉自在な使い捨てパンツ型オムツを、工業的に連続して製造することができる。
尚上記脚周弾性部材配置工程,胴周弾性部材配置工程,吸収体配置工程,脚周開口形成工程の各工程は、いずれの順に行っても良く、要は製造過程におけるはじめの段階で、着脱部材取付工程を行ってその後シート一体化工程を行い、この後の工程はいずれの順番で行っても良いということである。
但し、吸収性部材18の股部分の幅よりも、前身頃用シート部材,後身頃用のシート部材(前・後身頃シート27a,27b,28a,28b)の股部分の幅が狭いものを製造したい場合には、前記吸収体配置工程より先に脚周開口形成工程を行うのが好ましい。これによれば、脚周り開口を空けてから、その開口内に多少はみ出す様にして吸収性部材18を配置することができる。尚上記の如く前・後身頃用シート部材の股部分の幅が狭いものは、股間部のフィット感に優れる。
ところで、股部分を開けることのできない通常の使い捨てパンツ型オムツ(以下、通常のパンツ型オムツと称することがある)の製造方法は、まず展開型オムツの如く左右の脇線部が開いた状態で各種部品の取り付け等を行い、製造過程の終盤でオムツの上下方向を折り返して左右の脇線部を接合するという方法がとられている。しかし本発明で対象とするのは股部分の開閉自在な使い捨てパンツ型オムツであるから、左右の脇線部を取り付けていない状態では、前身頃と後身頃が完全に分かれて存在し、この様なバラバラの状態では上記通常の使い捨てパンツ型オムツの製造方法が採用できない。
しかし本発明においては上述の様に、製造過程の比較的早い段階で、まず股部分の着脱域に着脱部材を設け[着脱部材取付工程]、そしてこの着脱域による取付力を利用して、予め第1の前身頃シートの原料反127aと第1の後身頃シートの原料反128aを一体としている[シート一体化工程]から、その後の工程としては通常のパンツ型オムツの製造方法をほぼ採用することができ、従って製造設備の大幅な改変や新規設備の導入を行わずに、既存の製造設備を利用することができる。よって設備コストをあまりかけることなく、工業生産が可能となる効果もある。
また股部分の開閉自在な使い捨てパンツ型オムツの製造方法として、前身頃と後身頃をそれぞれ独立して作製した後、組み合わせるという製造方法も考えられるが、この方法では独立した2系統の製造設備を必要とし、設備の大型化を招くと考えられる。しかし本発明の方法によれば、上述の様に始めに着脱部材取付工程とシート一体化工程を行った後は、1系統の製造設備で良く、製造装置が簡素化し、コンパクトとなる。
尚上記着脱部材取付工程において「相対応する前記着脱域の少なくとも一方に、…着脱部材を設ける」とは、例えば着脱可能な一対の着脱部材を第1の前・後身頃シート原料反にそれぞれ取り付けるか、或いは着脱可能な着脱部材を一方のみに取り付けるという意味である。着脱可能に着脱する部材としては面ファスナー等の機械的係合部材が代表例として挙げられるが、この機械的係合部材のうちの雌型係合部材にあっては、第1の前身頃シート或いは第1の後身頃シートとして、雄型係合部材と係合可能な不織布や編物を用いた場合には、その第1の前・後身頃シート自身が雌型係合部材としての役目を果たすことから、敢えて雌型係合部材を取り付ける必要がない。従ってこの様な場合には第1の前・後身頃シート原料反の一方のみに雄型係合部材を取り付ければ良い。
また上記「一体とする」とは、例えば原料反127aと原料反128aとの相対応する着脱域が雄型係合部材と雌型係合部材である場合においては、これら雄型係合部材と雌型係合部材を係合させて、原料反127aと原料反128aを連なったものとするという意味である。
また本発明により製造される使い捨てパンツ型オムツのタイプとしては、前記第1,第2の前身頃シート27a,27b,前記第1,第2の後身頃シート28a,28bのうちの外側のシートに不透液性シート(バックシートとなる)を用い、肌側(内側)のシートに透液性シート(トップシートとなる)を用い、これらの間に吸収性部材を挟むタイプ(挟みタイプ)であっても良く、或いは前身頃シート部材(前記第1,第2の前身頃シート27a,27b)及び/または後身頃シート部材(前記第1,第2の後身頃シート28a,28b)上に吸収性部材18が載置されるタイプ(別載せタイプ)であっても良い。尚別載せタイプの場合は吸収性部材自身に、透液性のトップシートと不透液性のバックシートを備えたものを用いると良い。
更に本発明では、前記シート一体化工程において、前記第1の前身頃シートの原料反127aと前記第1の後身頃シートの原料反128aを前記脚周り開口内(脚周り開口部分36)の箇所で接合する(この接合箇所は後述の図では仮接合部35にあたる)仮接合工程を備えることが好ましい。
これにより、第1の前身頃シートの原料反127aと第1の後身頃シートの原料反128aを、よりしっかりと一体化することができ、安定してこれらの原料反127a,128aを走行させることができる。
仮接合工程での上記接合の強さとして強力な接合とする場合には、接合箇所(仮係合部35)を脚周り開口内(脚周り開口部分36)にとどめておく必要があり、仮に脚周り開口内(脚周り開口部分36)からはみ出ていると、出来上がり製品において、股部分に接合箇所(仮係合部35)が残り、股部分を開けることが困難になるからである。但し剥離可能な程度に接合する場合には、接合箇所(仮係合部35)が脚周り開口内(脚周り開口部分36)からはみ出ても構わず、この場合は製品使用時に、上記はみ出た箇所の仮係合部35を剥離して、股部分を開ける様にすれば良い。また、脚周り開口内では強力に接合し、脚周り開口からはみ出た部分では剥離可能に接合する様にしても良い。
また本発明の製造方法においては、前記第1の前身頃シート27aの原料反127a及び前記第1の後身頃シート28aの原料反128aの表面側或いは裏面側に、それぞれ前記第2の前身頃シート27bの原料反127b,前記第2の後身頃シート28bの原料反128bを供給するにあたり、
前記第1の前身頃シートの原料反127aへの前記第2の前身頃シートの原料反127bの供給面側と、前記第1の後身頃シートの原料反128aへの前記第2の後身頃シートの原料反128bの供給面側を同じにし、
前記第2の前身頃シートの原料反127b及び前記第2の後身頃シートの原料反128bのうちの少なくとも一方を、前記第1の前身頃シートの原料反127aと前記第1の後身頃シートの原料反128aとの重なり部分を避けて供給するのが好ましい。
この発明について図10,11[第1の前・後身頃シートの原料反127a,128aへの第2の前・後身頃シートの原料反127b,128bの供給方向を説明する為の図]を用いて説明する。図10,11の(a)は、それぞれ原料反の流れ方向(図8に示すX方向)を横断する方向から見た部分断面図であり、いずれも図面における上側が肌側面となり、下側が外側面となる様に図示している。
第1,第2の前身頃シート27a,27b(原料反127a,127b)や第1,第2の後身頃シート28a,28b(原料反128a,128b)は、いずれが外装シート(外側のシート),内装シート(肌側のシート)になるかは任意であり、図10の例では第1の前身頃シート27a(原料反127a)及び第2の後身頃シート28b(原料反128b)が内装シートとなり、第2の前身頃シート27b(原料反127b)及び第1の後身頃シート28a(原料反128a)が外装シートとなるものである。
前述の様に本発明では先ず第1の前・後身頃シート原料反127a,128aが着脱域(係合部材14とその対向面の係脱域)により一体とされ、その後第2の前・後身頃シート原料反127b,128bが重ねられるものであるが、図10の例では、第2の前・後身頃シート原料反127b,128bが、一体となった第1の前・後身頃シート原料反127a,128aの表裏面からそれぞれ供給される、即ち第2の前身頃シート原料反127bは図の下側から、第2の後身頃シート原料反128bは図の上側からそれぞれ供給されるので、何ら問題なく供給できる。
一方、図11の例では、第1の前身頃シート27a(原料反127a)及び第1の後身頃シート28a(原料反128a)が内装シートとなり、第2の前身頃シート27b(原料反127b)及び第2の後身頃シート28b(原料反128b)が外装シートとなるものである。従って製造過程において、第2の前・後身頃シート原料反127b,128bは、一体となった第1の前・後身頃シート原料反127a,128aに対して同じ方向から(いずれも表面側から、或いはいずれも裏面側から)供給されることになるので、上記第2の前・後身頃シート原料反127b,128bが上記着脱域(係合部材14とその対向面の係脱域)の箇所に至る大きさであると、該着脱域の部分においてそれぞれ2枚の第1,2の前身頃シート,後身頃シートが互い違いに積層することになる。そこでこの様な互い違いにならない様にする為、上述の如く前記第1の前・後身頃シートの原料反127a,128aの重なり部分を避けて第2の前・後身頃シート原料反127b,128bを供給するものである。
この図11の例においてはこの様な制約があるものの、次の様な利点を有する。
つまり図10の例では、上述の如く第1の前・後身頃シート原料反127a,128aに対する第2の前・後身頃シート原料反127b,128bの供給方向がそれぞれ反対側面であるから(図10の(a)における下側から原料反127bを供給し、上側から原料反128bを供給する)、第1,第2の前身頃シート原料反127a,127bの間に挟む脚用弾性部材11と、第1,第2の後身頃シート原料反128a,128bの間に挟む脚用弾性部材12の供給方向も両者で異なることになる。すると弾性材供給装置39が2箇所で必要となる(図10(b)は原料反の走行の様子をシート側縁から見た図)。弾性材供給装置は弾性材供給部や弾性材揺動ガイド等を有しており、比較的大がかりな装置であるから、この装置が2箇所で必要となると、設備コストが嵩む上、パンツ型オムツ製造装置全体のサイズとしても大きくなる。
この点、図11の例では、上述の様に第2の前・後身頃シート原料反127b,128bの供給方向が同じであるから(図11の(a)における下側から原料反127bと原料反128bの両方を供給する)、1つの弾性材供給装置89で済む(図11の(b)は原料反の走行の様子をシート側縁から見た図)。尚この場合において弾性材供給装置89には脚用弾性部材11,12の両方を供給可能なものを用いるので、上記図10の例で用いる弾性材供給装置39よりも大がかりなものとなるが、弾性材供給装置を2つ用いる場合に比べて安価で、またオムツ製造装置全体としてコンパクトとなる。尚図中、38はニップロールである。
上記の様に、第1の前・後身頃シート原料反127a,128aの重なり部分を避けて第2の前・後身頃シート原料反127b,128bのうちの少なくとも一方を供給する手法としては、上述の図11に示す如く、第2の前・後身頃シート原料反127b,128bのいずれもを、第1の前・後身頃シート原料反127a,128aの重なり部分を避けて供給する方法の他、図19[第1,2の前・後身頃シートの原料反の供給方向態様の他の例を説明する為の断面図]に示す様に、第2の前身頃シート原料反127bを重なり部分まで、即ち第1の前身頃シート原料反端部分127a1まで至る様に供給する方法等も挙げられる。図19の例では第2の前・後身頃シート原料反127b,128bが図の下側から第1の前・後身頃シート原料反127a,128aに向けて供給されるものであるが、この供給方向の場合は第1の前身頃シート原料反127aの方が第1の後身頃シート原料反128aよりも供給方向側に位置している為、仮に第2の後身頃シート原料反128bを上記重なり部分に至る様に供給すると、前・後身頃シート原料反が互い違いになってしまう。しかし第2の前身頃シート原料反127bの方であれば、互い違いにならずに積層できる。つまり上記重なり部分において、第1の前・後身頃シート原料反127a,128aへの第2の前・後身頃シート原料反127b,128bの供給面側に位置するのが第1の前身頃シート原料反127aであれば、第2の後身頃シート原料反128bを上記重なり部分を避ける様に供給し(図19参照)、上記供給面側に位置するのが第1の後身頃シート原料反128aであれば、第2の前身頃シート原料反127bを上記重なり部分を避ける様に供給すると良い。
尚図19に示す様に第2の係合域14部分の身頃シートを2重にしたものの場合は、1重のものに比べてよりコシが出て安定し、着脱に際して掴みやすいという利点がある。
ところで本発明の製造方法は、上記従来の使い捨てパンツ型オムツ(その1)77の様に、股部分における着脱域の組が1つのパンツ型オムツを連続的に製造することができるだけでなく、着脱域の組が2つのパンツ型オムツの場合にも連続的に製造することができる。この場合は2組の着脱域のうちの1組をシート一体化工程における一体化に利用する。即ち本発明の製造方法において、前記腹部片に続く下方片と前記背部片に続く下方片を着脱自在に取り付ける前記着脱域同士の組が2組あり、このうちの1組の着脱域が、前記シート一体化工程において前記第1の前身頃シートの原料反127aと前記第1の後身頃シートの原料反128aとの一体化を行うことが好ましい。
この様にシート一体化工程における第1の前・後身頃シート原料反127a,128aの一体化において、着脱域の2組ともシート一体化の為に使用する必要はなく、1組の着脱域同士を取り付けるだけでも良い。そして一方の着脱域の組だけで一体化する方法を採用することにより、製造過程のかなりはじめの段階(上流側)で一体化を行うことができ、既存の設備の利用程度が大きくなり、設備コストを低減できる。
また2組の着脱域を有するパンツ型オムツの製造方法について更に好ましい態様について述べると、
本発明において、前記腹部片42に続く下方片(前身頃下方片)43が、表側に位置する様に垂設される外側片48と、肌側に位置する様に垂設される肌側片17の2片を備え、前記肌側片17の外面に第1の着脱域(第1の係合域13)が設けられ、前記外側片48の肌側面に第2の着脱域(第2雄型係合部材14)が設けられたものであり、
前記背部片45に続く下方片(後身頃下方片)46が、前記後身頃用のシート部材と前記吸収性部材18を備えたものであり、後身頃下方片(背部片に続く下方片)46の外面に第2の着脱域と着脱可能な第3の着脱域(第3の係合域34)を有すると共に、後身頃下方片(背部片に続く下方片)46の前記吸収性部材18における肌側面に前記第1の着脱域13と着脱可能な第4の着脱域(第4雄型係合部材16)を有し、
前記第1の着脱域(第1の係合域13)と第4の着脱域(第4雄型係合部材16)の組と、第2の着脱域(第2雄型係合部材14)と第3の着脱域(第3の係合域34)の組とで2組の係合域が構成されたパンツ型オムツを製造する方法であって、
前記シート一体化工程において一体化を行う着脱域が、前記第2の着脱域(第2雄型係合部材14)と第3の着脱域(第3の係合域34)の組であり、
前記肌側片17と吸収性部材18との相対応する着脱域の少なくとも一方に、これら着脱域を着脱可能とする着脱部材を設ける(例えば第4雄型係合部材16)第1・4着脱部材取付工程と、
前記吸収体配置工程の後、前記第4着脱域と前記第1の着脱域とを取り付けつつ(例えば第1の係合域13に第4雄型係合部材16を係合させる)、前記肌側片17の原料反117を前記吸収性部材18並びに前記第1,第2の前身頃シートの原料反127a,127b上に載置する肌側片載置工程とを備えたことが好ましい。
これにより、上記の如く前身頃下方片43が外側片48と肌側片17の2片を有し、第1〜4の着脱域を備えた使い捨てパンツ型オムツを製造することができる。
更に前記第1・4着脱部材取付工程において、吸収性部材18の第4の着脱域に着脱部材(第4雄型係合部材16)を形成するのが好ましい。第1,4の係合域のいずれか一方に着脱部材を設ける場合において、肌側片17の第1の着脱域に着脱部材を形成することに比べて、吸収性部材18に着脱部材を形成する方が、第4の着脱域への着脱部材(第4雄型係合部材16)の位置決めが容易だからである。
加えて前記肌側片載置工程において、前記肌側片17の原料反117として、予めシート29,49に保形部材15及び/または肌側片用弾性部材31を設けたものを用い、これを前記吸収性部材18並びに前記第1,第2の前身頃シート27a,27bの原料反上に載置するのが好ましい。この製造方法によれば、予め保形部材15や肌側片用弾性部材31を備えた肌側片17の原料反としてから、吸収性本体18に載せていく構成であるので、吸収性本体18に対する保形部材15の位置決めを行い易い。
以上の様に本発明に係る製造方法によれば、股部分を開閉自在とした使い捨てパンツ型オムツを連続的に製造することができ、工業的に大量生産することが可能となる。
<実施形態1>
以下に本発明に係る使い捨てパンツ型オムツの製造方法の実施形態1について説明するが、先ずこの実施形態1で製造される使い捨てパンツ型オムツ50の構成について説明する。尚このパンツ型オムツ50は上記別載せタイプ(前身頃シート部材(前記第1,第2の前身頃シート27a,27b)や後身頃シート部材(前記第1,第2の後身頃シート28a,28b)上に吸収性部材18が載置されるタイプ)であり、また上記各着脱域には係脱可能な係合部材を用いている。
図1は該使い捨てパンツ型オムツ50を示す正面図であり、図2は図1に示すB−B線断面図である。また図3,4はこの使い捨てパンツ型オムツ50の着用手順を説明する為の正面図であり、図5はこの使い捨てパンツ型オムツ50の両脇線部51を外して展開した状態を表す肌側面からの図、図6は図5に示すC−C線断面図、図7は図5に示すD−D線断面図である。
該パンツ型オムツ50は前身頃41と後身頃44からなり、前身頃41は腹部片42とこれに続く前身頃下方片43からなり、後身頃44は背部片45とこれに続く後身頃下方片46からなる。
この後身頃下方片46は、上記背部片45から連続する後身頃下方片シート47と、吸収性部材18からなり、この吸収性部材18は後身頃下方片シート47の肌側面にその垂下端47eを少し超えてはみ出る様に位置して取り付けられている。尚吸収性部材18と後身頃下方片シート47は接着剤32によって固定されている。この後身頃下方片46は着用者の股部を超えて腹部下方に至る長さとなっている。
上記背部片45及び後身頃下方片シート47は後側内装シート98aと後側外装シート98bのそれぞれ一続きのシートが積層されて構成されたものであり、これらシート98a,98bの間に後側脚用弾性部材12が挟まれる様にして接着されている。また後側内装シート98aの端縁を折り返してウエスト用弾性部材10を挟み、接着されている。後側外装シート98bは、後述の雄型係合部材(第2の着脱域)14(例えばフック型係合部材)が係合可能な不織布からなる。当該不織布としては、後述する様にスパンボンド不織布やポイントボンド不織布,エアースルー不織布等が挙げられ、要は雄型係合部材14と係合可能であれば良い。尚この後側外装シート98bにおける後身頃下方片シート47の下側部分が第3の着脱域(第3の係合域34)となる。また後側内装シート98aが上記第2の後身頃シート28bに対応し、後側外装シート98bが上記第1の後身頃シート28aに対応する。
上記吸収性部材18は肌側に透液性のトップシート20、外側に不透液性のバックシート21を配置して、これらシート20,21の間に吸収性コア(吸収体)19を挟んだ構造となっており、更に吸収性部材18の長手方向の両側縁部分には側縁取付シート26が取り付けられ、この側縁取付シート26に挟み込まれる様にして股下用弾性部材25が配置されている。また吸収性部材18の両側縁近傍にはその肌側に不透液性の横漏れ防止シート22が取り付けられている。この横漏れ防止シート22の中央側端縁22aは自由端になっており、この中央側端縁22a部分に立体ギャザー用弾性部材24が取り付けられている(長手方向側縁に弾性部材24が配されることとなる)。
また横漏れ防止シート22の垂下端46eの両角部分にはその肌側面に雄型係合部材16(例えばフック型係合部材)が取り付けられている。この2つの雄型係合部材16が第4の着脱域となる。尚以下、この係合部材16を第4雄型係合部材16と称することがある。
上記前身頃41の前身頃下方片43は肌側片17と外側片48の2片に分かれており、肌側片17は外側片48よりも短く、外側片48は肌側片17の外側面を覆う位置であり、肌側片17が外観から隠れる様になる。腹部片42及び外側片48は前側内装シート97aと前側外装シート97bのそれぞれ一連のシートが積層されて構成されたものであり、これらシート97a,97bの間に前側脚用弾性部材11が挟まれる様にして接着されている。また前側外装シート97bの端縁を折り返してウエスト用弾性部材10を挟み、接着されている。尚前側内装シート97aが上記第1の前身頃シート27aに対応し、前側外装シート97bが上記第2の前身頃シート27bに対応する。
外側片48の垂下端48eの近傍にはその肌側面に雄型係合部材14が取り付けられている。この雄型係合部材14が第2の着脱域となる。尚以下、この係合部材14を第2雄型係合部材14と称することがある。
上記肌側片17は、吸水性を有する保形部材15(例えば上記吸収性コア19と同じ素材でサイズの小さいものを用いると良い)を肌側の肌側片肌面シート29と外側の肌側片外面シート49で挟んだものであり、この肌面シート29及び外面シート49の上端部分17uが上記腹部片42に接続された構造となっている。上記保形部材15の肌側片17における位置は、左右方向としてはその中央であり、高さ方向としては下方部分である。肌面シート29は透液性であり、また肌側片外面シート49は上記第4雄型係合部材16が係合可能な不織布からなる。当該不織布としては、上記と同様にスパンボンド不織布等が挙げられ、要は第4雄型係合部材16と係合可能であれば良い。尚この肌側片外面シート49において保形部材15の位置する箇所が第1の着脱域(第1の係合域13)となる。更に保形部材15の左右両側には糸状の肌側片用弾性部材31が左右方向に肌側片肌面シート29と肌側片外面シート49に挟まれる様にして配置されている。尚肌面シート29と肌側片外面シート49を一続きのシートから構成し、このシートで保形部材15や肌側片用弾性部材31を包む様に挟んでも良い。
また第1の係合域13と第2雄型係合部材14の高さ方向の位置関係としては、第2雄型係合部材14が第1の係合域13よりも下方に位置しており、これらが上記第3の係合域34、第4雄型係合部材16と係合したとき、これら2つの係合が厚み方向に重ならない様になっている。
前身頃41の腹部片42及び前身頃下方片43の上方部分と、後身頃44の背部片45とは左右の脇線部51で剥離可能に接合されており、腹部片42,背部片45の上縁において胴周り開口52が形成される。また前身頃下方片43と後身頃下方片46を係合した際に形成される左右一対の開口が、脚周り開口53となる。尚ウエスト用弾性部材10によって胴周りがフィットする様になっており、前身頃41の前側脚用弾性部材11及び後身頃44の後側脚用弾性部材12と股下用弾性部材25によって、脚繰りがフィットする様になっている。また上記脇線部51は、股部分を開けることのできない通常の使い捨てパンツ型オムツと同様に、はき脱ぎするときには破れず、使用後に外すときには手で破れる程度に接合されたものとなっている。
次にパンツ型オムツ50の各部分の素材についてより詳しく述べる。
前側内装シート97a,後側内装シート98aとしては、スパンボンド不織布,メルトブロー不織布,SMS不織布,ポイントボンド不織布,エアースルー不織布等の、通気性がある不織布材料が挙げられ、特に捲縮がかかった繊維を有するスパンボンド不織布が好適である。目付量としては10〜35g/m2が好ましい。その材料としてはポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロン、ポリアミド等が挙げられ、これらの単一成分からなる繊維であっても良いし、芯鞘型や分割型の配置とした複合繊維であっても良い。芯鞘型繊維の場合は、芯の位置を偏心させておくことにより、溶融紡糸させて延伸する際に容易に捲縮をかけることができる。また異形の断面形状としておけば、溶融紡糸して延伸する際に、空気抵抗を受けて捲縮がかかり易くなる。このうちでもポリプロピレン単一成分の繊維で、断面を異形形状とし、且つ捲縮が掛かった繊維がより好ましい。更に好ましくは、繊維同士を熱圧着する際のエンボスパターンが、2.0〜5.0mmピッチで、エンボス率が6.0〜8.5%、各エンボス部分の直径が0.2〜1.5mmのものである。また親水化(界面活性剤を塗布する、或いは親水性繊維(レーヨン、コットン等)を若干混ぜる)しても良い。親水化することにより、肌に当接した場合の感触がより良好になったり、また吸汗したりする効果が期待できる。
前側外装シート97b,後側外装シート98bとしては、スパンボンド不織布,メルトブロー不織布,SMS不織布(メルトブロー不織布を2枚のスパンボンド不織布で両側から挟み込みヒートエンボス加工して得られる不織布)等の、通気性があって撥水性である不織布材料が挙げられる。好ましくは、目付10〜25g/m2の撥水性不織布材料である。殊に後側外装シート98bに、捲縮のかかった繊維を有するスパンボンド不織布や、嵩高なエアースルー不織布を用いれば第3の係合域34の箇所において第2雄型係合部材14と係合し易くなって好ましい。尚第3の係合域34に相当する部分のみに第2雄型係合部材14と係合可能な不織布や編布,織布を別付けで配置する様にしても良い。
肌側片17の肌側片肌面シート29や肌側片外面シート49としては、透液性の不織布材料、例えばセルロース,レーヨン,コットン等の親水性繊維を用いた不織布材料、あるいは疎水性繊維(ポリプロピレン,ポリエチレン,ポリエステル,ポリアミド,ナイロン等)の表面を界面活性剤により処理して透液性とした不織布材料、また肌側面のみを親水化して通気性があり撥水性の不織布材料(スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、SMS不織布等)等が用いられる。殊に肌側片肌面シート29としては、目付10〜25g/m2の疎水性繊維の表面を界面活性剤により処理して透液性とした透液性の不織布材料(ポイントボンド不織布、エアースルー不織布、スパンボンド不織布等)が好適に用いられる。また肌側片外面シート49としては前述の様に第4雄型係合部材16と係脱自在な不織布であることが好ましく、例えば捲縮がかかった繊維を有するスパンボンド不織布や、嵩高なエアースルー不織布が好適に用いられる。尚第1の係合域13に相当する部分のみに、第4雄型係合部材16と係合が可能な不織布や編布,織布を別付けで配置する様にしても良い。
保形部材15としては、上述の様に吸収体を用いるのが好ましく、透水性不織布やティッシュペーパーの間に高吸水性樹脂粉末を挟んだポリマーシートや、パルプ繊維を主体としたエアレイド不織布等のシート状吸収体が最も好ましい。
トップシート20としては、透液性の不織布材料が好ましく、例えば親水性繊維(セルロース,レーヨン,コットン等)を用いた不織布材料、あるいは疎水性繊維(ポリプロピレン,ポリエチレン,ポリエステル,ポリアミド,ナイロン等)の表面を界面活性剤により処理して透液性とした不織布材料が挙げられる。好ましくは、目付10〜25g/m2の疎水性繊維の表面を界面活性剤により処理して透液性とした不織布材料(ポイントボンド不織布、エアースルー不織布)が挙げられる。
バックシート21としては、撥水性不織布材料(スパンボンド不織布,メルトブロー不織布,SMS不織布等)やプラスティックフィルム、またその複合材料が挙げられる。尚上記プラスティックフィルムは通気性であっても非通気性であっても良いが、より好適な態様としては通気性プラスティックフィルムが望ましい。より好ましくは目付15〜40g/m2の通気性ポリエチレンフィルムである。
吸収性コア19としては、粉砕したパルプ繊維やセルロース繊維等の親水性繊維集合層に粒状の高分子吸水体を混合した吸収コアを、ティッシュペーパー等の紙シートあるいは透液性不織布シート等の被覆シートで包み、所定の形状に成形した吸収体が挙げられる。加えて、着用者が歩いたり、寝返りを打ったりしても形状を保持できる様にする目的で、親水性繊維集合体中やシートに所定の形状保持手段(ホットメルト接着剤を塗布したり、合成繊維を混合したりする)を施しても良い。また上記繊維や高分子吸水体をシート状に成形したシート状吸収体(例えばエアレイド吸収体)などを所定の形状(長方形、砂時計型等)に成形して用いても良い。
側縁取付シート26や横漏れ防止シート22の素材としては、スパンボンド不織布,メルトブロー不織布,SMS不織布等の、通気性があって撥水性である不織布材料が挙げられ、好ましくは目付10〜25g/m2の撥水性不織布材料が挙げられる。更に側縁取付シート26としては通気性のプラスティックフィルムやその複合材料であっても良い。
ウエスト用弾性部材10,前側脚用弾性部材11,後側脚用弾性部材12,股下用弾性部材25,立体ギャザー用弾性部材24の素材としては、使い捨ておむつに一般的に用いられる弾性伸縮材料を用いると良く(その形体としては糸条,紐状,或いはフィルム状のいずれであっても良く、具体的にはポリウレタン糸、ポリウレタンフィルム、天然ゴム等が挙げられる)、各種シートの間に伸張状態で、ホットメルト接着剤,熱接着,超音波接着等の好適な添設手段によって添設すると良い(添設手段としてはゴム系のホットメルト接着剤を用いることがより好ましい)。ウエスト用弾性部材10の場合は、繊度700〜2000デシテックスのポリウレタン糸を、倍率2.0〜4.0倍に伸張して添設するのが好ましく、前側脚用弾性部材11,後側脚用弾性部材12,股下用弾性部材25の場合は、繊度300〜1850デシテックスのポリウレタン糸を、倍率1.1〜3.0倍に伸張して添設するのが好ましい。立体ギャザー用弾性部材24の場合は、繊度300〜2000デシテックスのポリウレタン糸を、倍率1.1〜4.0倍に伸張して添設するのが好ましい。
尚各材料の接合方法としては、ホットメルト接着剤による接着、超音波シール、熱接合等の方法が挙げられる。ホットメルト接着剤としては、ゴム系,ポリオレフィン系,酢酸ビニル系等のホットメルト接着剤から適宜選択すると良く、接着剤の塗布方法としては、接着剤排出ノズルを接触させつつ塗布する方法、カーテンスプレーコータによるメルトブロー法やスパイラルスプレー法等の非接触式塗工法で網状に塗布する方法、ビード塗布法等が挙げられる。脇線部51については、熱接合による接合が好ましい。
次に使い捨てパンツ型オムツ50の製造方法の一例について述べる。
図8,9は本発明の実施形態1に係る使い捨てパンツ型オムツ50の製造方法を説明する為の図であり、オムツ製造ラインを表す。オムツ製造ラインは、出来上がりオムツ製品の横方向に進行し(横流れ法)、図8,9では左側から右側に向かって流れている(矢印X)。尚以下、位置関係を説明するにあたり、図における上側を上、下側を下と言うことがある。
この製造方法は図10の例の様に、第1の前身頃シート27a(原料反127a)及び第2の後身頃シート28b(原料反128b)が内装シート97a,98aとなり、第2の前身頃シート27b(原料反127b)及び第1の後身頃シート28a(原料反128a)が外装シート98b,98bとなるものである。
製造にあたっては図8の(a)に示す様に、先ず、第1の前身頃シート27a(前側内装シート97a)の原料反127aにおける上側の側縁近傍に、第2雄型係合部材(第2の着脱域)14(着脱部材)を接着する[着脱部材取付工程]。第1の後身頃シート28a(後側外装シート98b)の原料反128aとして、第2雄型係合部材14と係合可能な不織布を用い、この原料反128aの図での下側部分を原料反127aの図での上側部分に少し重ねつつ、第2雄型係合部材14を原料反128aに係合させる[シート一体化工程]。尚原料反128aにおけるこの係合箇所が第3の係合域(第3着脱域)34となる。但し実際に着用する際には原料反128aの他の箇所にも第2雄型係合部材を係合させることは可能であり、適宜深く重ねる、或いは浅く重ねる様にして係合させても良く、上記係合箇所付近の全体が第3の係合域34となる。
またシート一体化工程の際に、脚周り開口部分36となる箇所及びその近傍における上記原料反127aと原料反128aの重なった箇所で、これら原料反127a,128aを熱融着により接合する[仮接合工程]。この接合箇所を仮接合部35と称する。仮接合部35の接合強度は人が手で剥離できる程度とする。
次に第2の後身頃シート28b(後側内装シート98a)の原料反128bを第1の後身頃シート原料反128aの肌面側から供給しつつ(図8に示す様に、原料反128aに向かって図面の手前側から原料反128bを被せる様にする)、原料反128aと原料反128bの間に糸状の後側脚用弾性部材12を挟んで接着剤で接着すると共に、第2の前身頃シート27b(前側外装シート97b)の原料反127bを第1の前身頃シート原料反127aの外面側から供給しつつ(図8に示す様に原料反127aに向かって図面の奥側から原料反127bを被せる様にする)、原料反127aと原料反127bの間に糸状の前側脚用弾性部材11を挟んで接着剤で接着する(図8と合わせて図10を参照(尚図10は、図8(a)に符号Eでくくって示す箇所の製造過程を説明する図である。また図8ではニップロール38等は省略されている))[脚周弾性部材配置工程]。尚この際、脚用弾性部材11,12は脚繰りの開口に沿う様に揺動させて配置する。
他方、吸収性部材の原料反118として、トップシート20とバックシート21の間に吸収性コア19を挟み、この両側部分(脚繰り部分)に、股下用弾性部材25を挟んだ側縁取付シート26と、立体ギャザー用弾性部材24を挟んだ横漏れ防止シート22とを接着したものを製造する。この吸収性部材原料反118の切断線83の近傍の両角部分におけるその肌側面に、第4雄型係合部材16を接着する(図8(b))[第1・4着脱部材取付工程]。尚上記切断線83での切断端が、上記出来上がり製品における横漏れ防止シート22の垂下端46eに相当する。この横漏れ防止シート22の垂下端46eの両角部分はシートの段差の少ないところであるので、第4雄型係合部材16の位置決めをし易い。続いて切断線83で切断し、個々の吸収性部材18とする。
次いでこの吸収性部材18を、図8(a)に示す製造ライン本流に移動させ、第4雄型係合部材16を取り付けた方を図での下側にしつつ(第4雄型係合部材16の存在する方を前身頃の方に向けつつ)、オムツの股の位置に吸収性部材18を配置し、第2の後身頃シート原料反128bに対して接着剤32により接着する[吸収体配置工程]。
その後、上記の様にして積層された各原料反127a,127b,128a,128bにおける脚周り開口部分36を切除する[脚周開口形成工程]。尚図中、53は脚周り開口であり(尚脚周り開口部分36とは、脚周り開口53を空ける前の開口内シートのことを言う)、また点線で示す36aは切断予定線である。脚周り開口53形成後も、仮接合部35が完全には切断除去されずに少し残っているが、この仮接合部35は剥離可能な程度に接合されているだけであるので、問題は生じず、むしろ以降の工程においてシートの一体性を補強し続けることができて好ましい。
次に肌側片17の原料反117として、予めシート29,49に保形部材15及び肌側片用弾性部材31を挟んだものを用い、この原料反117を前記吸収性部材18上、並びに積層した前記第1,第2の前身頃シート原料反127a,127b上に載置して、図での下端縁(オムツ製品としては上端部分17u)で接着剤により接着する[肌側片載置工程]。
続いて糸状のウエスト用弾性部材10を供給しつつ、第2の前身頃シート原料反127bの図における下端部分(オムツ製品としては上端の胴回り部分)、及び前記第1の後身頃シート原料反128aの図における上端部分(オムツ製品としては上端の胴回り部分)をそれぞれ折返し(矢印G)、上記ウエスト用弾性部材10を挟んで接着する[胴周弾性部材配置工程]。
その後、図9に示す様に、オムツ製造ラインの流れの幅方向を2つ折りに折返し(矢印F)、脇線部51に相当する箇所を手で剥離可能な程度に接合する。この隣接する2つの脇線部51の間の切断線82で切断し、個々のパンツ型オムツ50に分離する。
以上の様にして図1に示す使い捨てパンツ型オムツ50が得られる。
<実施形態2>
上記実施形態1では、第1,第2の前・後身頃シートの積層態様として、図10の例の場合を示したが、実施形態2では、図11の例の様に、第1の前身頃シート27a(原料反127a)及び第1の後身頃シート28a(原料反128a)が内装シートとなり、第2の前身頃シート27b(原料反127b)及び第2の後身頃シート28b(原料反128b)が外装シートとなる様にして製造する方法である。
本実施形態2における上記実施形態1と異なる点について、図8に示す製造過程を参照しつつ説明すると、実施形態2では、(1)脚周弾性部材配置工程において(符号Eでくくった過程に相当)、第2の後身頃シート原料反128bを図面の奥側から供給して、同じく図面奥側から供給される後側脚用弾性部材12を第1の後身頃シート原料反128aとの間に挟むこと、(2)またこの脚周弾性部材配置工程において、第2の前・後身頃シート原料反127b,128bが重ならない様に位置させてこれらを供給すること、(3)胴周弾性部材配置工程において、後身頃側に、端部押さえシート81を更に積層し、これにウエスト用弾性部材10を挟んで接着することが実施形態1と異なる点であり、これらの点以外は、上記実施形態1と同様の製造工程により行われる。
前述の通り、この実施形態2では図11(b)に示す様に、弾性材供給装置89が1つで良いから、製造設備が簡素化され、コンパクトとなる。
尚実施形態2の製造方法により得られたパンツ型オムツ80について、これを両脇線部51で剥離して展開した状態の縦断面図として図18に示す。この図18は、実施形態1で得られるパンツ型オムツ50を表す図6と対応するものである。
図6と図18を比較すると分かりように、実施形態1,2の大きな違いはシート27a,27b,28a,28bの積層状態であり(例えば第2雄型係合部材14付近を参照)、実施形態2は図18に示す様に、積層される前・後身頃シート部材のうち、第1の前身頃シート27a(原料反127a)及び第1の後身頃シート28a(原料反128a)が肌側のシート(内装シート)となり、第2の前身頃シート27b(原料反127b)及び第2の後身頃シート28b(原料反128b)が外側のシート(外装シート)となる。そして第2の前・後身頃シート27b,28bが重ならない様になっている。また後身頃44において端部押さえシート81が設けられているので、この端部押さえシート81の分だけ、第2の後身頃シート28bが短くなっている(第2の後身頃シート原料反128bに幅の狭いものを用いる)。
尚上記端部押さえシート81としては、透液性の不織布材料であっても、撥水性の不織布材料であっても良く、透液性の不織布材料の場合は、例えば親水性繊維(セルロース,レーヨン,コットン等)を用いた不織布材料、あるいは疎水性繊維(ポリプロピレン,ポリエチレン,ポリエステル,ポリアミド,ナイロン等)の表面を界面活性剤により処理して(例えば界面活性剤を塗布する)透液性とした不織布材料、もしくは内面のみを親水化した通気性があり撥水性の不織布材料(スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、SMS不織布等)等が用いられる。また内面のみに親水性繊維(レーヨン,コットン等)の層を形成して内面を親水化したものであっても良い(肌に当接した際、感触が良く、また吸汗する効果が期待できる)。好ましくは目付10〜25g/m2の疎水性繊維の表面を界面活性剤により処理して透液性とした不織布材料(ポイントボンド不織布、エアースルー不織布、スパンボンド不織布等)が用いられる。撥水性の不織布材料の場合には、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、SMS不織布等の撥水性不織布材料が用いられ、好ましくは目付10〜25g/m2のものである。
以上本発明に係る使い捨てパンツ型オムツの製造方法に関して、例を示す図面を参照しつつ具体的に説明したが、本発明はもとより図示例に限定される訳ではなく、前記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
例えば上記実施形態では、2枚の第1,2の後身頃シート原料反128a,128b上に吸収性本体18を取り付けるものを示したが、2枚の第1,2の後身頃シート原料反128a,128bの間に吸収コアを配する様にしたもの(挟みタイプ)であっても良い。尚この場合は肌側(内装側)になるシート原料反に透液性シートを用い、外側(外装側)になるシート原料反に不透液性のシートを用いると良い。
また上記実施形態では2組の着脱域を有するパンツ型オムツ50,80を製造する方法を示したが、着脱域が1組のパンツ型オムツを製造しても良く、この場合は、例えば上記実施形態1における第2雄型係合部材14と第3の係合域34の組を当該1組の着脱域として製造し、第1の係合域13を備えた肌側片原料反117の取付や、吸収性部材18への第4雄型係合部材16の取付を省略すると良い。
上記実施形態では仮接合部35を熱融着により接合する場合を示したが、例えば超音波接着や、ホットメルト接着剤を用いた接着によって接合しても良く、またその他の接着剤や粘着剤等を用いて接合する様にしても良い。
また図20[第1,2の前・後身頃シートの原料反の態様の他の例を説明する為の断面図]に示す様に、第2,3の着脱域(第2雄型係合部材14と第3の係合域34)部分における第1の後身頃シート原料反128aの端部分128a1を折り返して2重にしても良く、この様に2重であれば1重よりもコシが出て安定するので、当該端部分128a1を掴み易いという利点がある。加えて、図11に示す例の如く第2の前身頃シート原料反127bが第1の前・後身頃シート原料反127a,128aの重なり部分を避けて供給される場合において、第2,3の着脱域部分における第1の前身頃シート原料反127aの端部分を折り返して2重にしても良く、この様に2重にすれば上記と同じくよりコシが出て掴み易くなる。
更に製造するパンツ型オムツとして、腹部片42や背部片45(ウエスト用弾性部材10と脚用弾性部材11,12の間の任意の位置)に横方向に複数のボディフィット用弾性部材を適宜配置したものを製造する場合には、(1)上記脚周弾性部材配置工程において、脚用弾性部材11,12を供給配置するのと同時、或いはその手前で上記ボディフィット用弾性部材を供給配置して原料反127aと原料反127bの間や原料反128aと原料反128bの間に挟んで接着する、或いは(2)上記胴周弾性部材配置工程において、ウエスト用弾性部材10を供給配置するのと同時、或いはその前後で上記ボディフィット用弾性部材を供給し、図18に示す端部押さえシート81と第1の後身頃シート28b原料反の間や、肌側片17原料反117と第1の前身頃シート27a原料反の間に挟んで接着する様にしても良い(図18に示す様に、端部押さえシート81や肌側片17が重なる分だけ第2の前身頃シート27bや第2の後身頃シート28bとして幅の狭いものを用いても良い)。
尚上記ボディフィット用弾性部材としては、使い捨ておむつに一般的に用いられる弾性伸縮材料を用いると良く(その形体としては糸条,紐状,或いはフィルム状のいずれであっても良く、具体的にはポリウレタン糸、ポリウレタンフィルム、天然ゴム等が挙げられる)、各種シートの間に伸張状態で、ホットメルト接着剤,熱接着,超音波接着等の好適な添設手段によって添設すると良い(添設手段としてはゴム系のホットメルト接着剤を用いることがより好ましい)。好適には繊度300〜2000デシテックスのポリウレタン糸を、倍率1.1〜5.0倍に伸張して添設することが挙げられる。