WO2014034459A1 - プルオン着用物品 - Google Patents

Abstract

　着用者の肌に触れても刺激を与えることなく、安定的に留付けでき、かつ、操作性に優れたテープファスナを備えるプルオン着用物品の提供する。　第１及び第２ウエスト域（１４），（１３）のうちの少なくとも第１ウエスト域（１４）は横方向（Ｘ）において弾性を有しており、テープファスナ（２０）は、側域（１８）の近傍に固定された固定部（２１）と、テープファスナ（２０）を第２ウエスト域（１３）の外面に対して剥離可能である留付域（６８）を有する自由部（２２）とを含む。自由部（２２）は、留付域（６８）から横方向（Ｘ）の外側に延びる摘持部（６３）と摘持外端（２０ａ）とを有し、摘持外端（２０ａ）が第１ウエスト域（１４）の外側縁（１４ｄ）近傍の非肌対向面に分離可能に固定されており、第１ウエスト域（１４）における留付域（６８）と摘持外端（２０ａ）との間の領域が収縮することによって、摘持部（６３）が凸曲の形態をとることを特徴とする。

Description

プルオン着用物品

　本発明は、プルオン着用物品に関し、より詳しくは、テープファスナを有する使い捨てのいわゆるパンツ型おむつ、使い捨てのいわゆるトイレット・トレーニングパンツ等のプルオン着用物品に関する。

　従来、テープファスナを有する使い捨てのいわゆるパンツ型着用物品は公知である。例えば、特許文献１には、前後ウエスト域に複数条のウエスト弾性体が配設されており、前後ウエスト域を互いに継ぎ合わせるシーム部に固定された一対のテープファスナを備える使い捨てのいわゆるパンツ型の着用物品が開示されている。

実開平６－７７７１９号公報

　特許文献１に開示の着用物品によれば、着用中にテープファスナを使用することによって、ウエスト回りの大きさを調整して種々のサイズの着用者にもフィットさせてずり落ちを防止することができるとともに、着用後に、排泄物を包み込むように着用物品を丸め、テープファスナで丸めた状態を維持して、衛生的に廃棄することができる。

　しかし、かかる着用物品においては、ウエスト弾性体が物品のサイドシーム部においても伸長状態で固定されていてウエスト回り方向へ収縮するので、テープファスナの固定部がそれとともに収縮する一方、その自由端部はウエスト域に固定されていないので、着用者の身体に沿って曲状を有するウエスト域から離間して、その自由端部がウエスト域の外側へ突出し又は浮き起つことがある。通常、テープファスナは、操作中に変形、破断するのを防止するために、ウエスト域を形成するシート材料に比して高剛性のプラスチックシート等から形成されていることから、このように突出した自由端部が着用者の身体に触れることによって不快な刺激を与えるおそれがある。かかる問題を防止するために、自由端部のほぼ全体を仮止めした場合には、テープファスナを展開するときに、その自由端部の先端を摘持し難くなる。

　そこで、本発明の課題は、従来の技術の改良であって、着用者の肌に触れても刺激を与えることなく、安定的に留付けでき、かつ、操作性に優れたテープファスナを備えるプルオン着用物品を提供することにある。

　本発明は、縦方向及びそれに直交する横方向と、非肌対向面及びその反対側の肌対向面とを有し、前後ウエスト域の一方である第１ウエスト域と、前記前後ウエスト域の他方である第２ウエスト域と、前記第１及び第２ウエスト域間に位置するクロッチ域とを含み、前記第１及び第２ウエスト域において前記縦方向へ延びる側縁部が互いに接合され、前記第１ウエスト域の側域における前記非肌対向面にテープファスナが取り付けられたプルオン着用物品に関する。

　本発明のプルオン着用物品は、前記第１及び第２ウエスト域のうちの少なくとも前記第１ウエスト域は前記横方向において弾性を有しており、前記テープファスナは、前記第１ウエスト域の前記側域に固定された固定部と、前記テープファスナを前記第２ウエスト域の前記非肌対向面に剥離可能に留付けるための留付域を有する自由部とを含み、前記自由部は、前記留付域から前記横方向の外側に延びる摘持部と摘持外端とを有し、前記摘持外端が前記第１ウエスト域の前記側域における前記非肌対向面に分離可能に固定されており、前記第１ウエスト域における前記留付域と前記摘持外端との間の領域が収縮することによって、前記摘持部が凸曲の形態をとることを特徴とする。

　本発明に係る一つ以上のプルオン着用物品の実施形態によれば、第１ウエスト域の側域にテープファスナが取り付けられ、第１ウエスト域の収縮によってテープファスナの自由部のうちの摘持部が、第１ウエスト域の外面から離間する方向へ凸曲する形態をとるので、着用者又は着用補助者が摘持部を摘み易く、操作性に優れている。また、第１ウエスト域の収縮によって固定部が起伏形状を有し、自由部が第２ウエスト域に接着された状態においてそれを後方へ引っ張ろうとする力が作用するので、テープファスナがより安定的に取り付けられる。さらに、固定部が第１ウエスト域の収縮によって起伏するほどに、テープファスナが比較的に柔軟な材料から形成されていることから、自由部の端縁が着用者の肌に触れても刺激を与えることはない。

　図面は、本発明の特定の実施形態を示し、発明の不可欠な構成とともに、選択的及び好ましい実施形態を含む。
本発明の第１実施形態におけるプルオン着用物品の一例として示す、背面側から視た使い捨ておむつの斜視図。 おむつのサイドシーム部を剥離して縦横方向に伸展した状態をその内面から視た一部破断展開平面図。 おむつの分解斜視図。 図２のＩＶ－ＩＶ線に沿う模式的断面図。 図２のＶ－Ｖ線に沿う模式的断面図。 図１のＶＩ－ＶＩ線に沿う模式的断面図。 テープファスナの使用状態を示す、正面側から視たおむつの斜視図。 テープファスナを使用して、おむつを丸めた状態を示す図。 図１のＩＸ－ＩＸ線に沿う断面図。 おむつの製造工程の一部を示す図。 第２実施形態におけるおむつの図６と同様の図。 第３実施形態におけるおむつの図６と同様の図。 第４実施形態におけるおむつの図６と同様の図。 第５実施形態におけるおむつの図６と同様の図。

＜第１実施形態＞
　図１～４を参照すると、本発明のプルオン着用物品の一例として示す使い捨ておむつ１０は、縦軸Ｐに平行な縦方向Ｙ及び横軸Ｑに平行な横方向Ｘと、肌対向面及びそれに対向する非肌対向面とを有する。

　おむつ１０は、ウエスト回り方向へ延びる環状の弾性ウエストパネル１１と、弾性ウエストパネル１１と接合される吸液構造体１２とを含み、かつ、前ウエスト域（第１又は第２ウエスト域の一方）１３と、後ウエスト域（第１又は第２ウエスト域の他方）１４と、前後ウエスト域１３，１４間に位置するクロッチ域１５とを含む。おむつ１０は、縦軸Ｐに関して対称に形成されており、弾性ウエストパネル１１は、前ウエスト域１３に位置する前ウエストパネル１６と、後ウエスト域１４に位置する後ウエストパネル１７と、後ウエストパネル１７の両側域１８、それぞれに連結されたテープファスナ２０とを含む。

　前ウエスト域１３は、横方向Ｘへ延びる内端縁１３ａ及び外端縁１３ｂと、縦方向Ｙへ延びる両側縁１３ｃ，１３ｄとによって画定された横長矩形状を有する。

　後ウエスト域１４は、横方向Ｘに延びる中間内端縁１４ａと、縦方向Ｙにおいて中間内端縁１４ａと離間対向して横方向Ｘに延びる外端縁１４ｂと、両外側縁１４ｃ，１４ｄと、両外側縁１４ｃ，１４ｄと中間内端縁１４ａとをほぼ曲状に結ぶ両側内端縁１４ｅ，１４ｆとによって画定され、横中心線Ｑ－Ｑへ凸の略台形状を有する。前ウエスト域１３の両側縁１３ｃ，１３ｄそれぞれと後ウエスト域１４の両外側縁１４ｃ，１４ｄそれぞれとは、互いに重ね合わされて、縦方向Ｙへ断続的なサイドシーム部２３によって接合され、ウエスト開口２４及び一対のレッグ開口とが画成される。サイドシーム部２３は、公知の接合手段、例えば、熱エンボス／デボス加工、ソニック加工等の各種の熱溶着手段によって設けられる。

　テープファスナ２０は、その長さ方向において互いに対向する第１端（摘持外端）２０ａ及び第２端（固定端）２０ｂと、後ウエスト域１４の両側域１８に固定された固定部２１と、固定部２１から連続的に延びる自由部２２とを含む。固定部２１は、後ウエストパネル１７の両側域１８の外面に固定される一方、摘持外端２０ａは、後ウエストパネル１７の両側域１８に分離可能に接着される。
　本実施形態において、テープファスナ２０は、後ウエスト域１４の両側域１８に取り付けられているが、その取り付け部位は、後記の本発明の効果を奏する限りにおいて、一方の側域１８であってもよいし、前ウエスト域１３の両側域であってもよい。

　特に図３を参照すると、前ウエストパネル１６は、前ウエスト域１３を画定する矩形状の前ウエストシート２５を含む。前ウエストシート２５は、横方向Ｘに延び、互いに縦方向Ｙにおいて離間対向する内外端縁２５ａ，２５ｂと、縦方向Ｙに延び両側縁２５ｃ，２５ｄとから画定される。前ウエストシート２５は、吸液構造体１２の前端部１２ａから縦方向の外側に位置する折曲部２６を有し、該折曲部２６は、横方向Ｘ延びる折曲ライン２６ａに沿って縦方向Ｙの内側に折曲されて後記の前弾性シート４８及び吸液構造体１２の内面に固定される。前ウエストシート２５の折曲部２６から内方に位置する主体部２７と折曲部２６との間、主体部２７と吸液構造体１２の前端部１２ａとの間には、複数条の糸状・ストランド状又はストリング状の前ウエスト弾性体２８が横方向Ｘに伸長状態で収縮可能に固定される。
　前ウエストパネル１６は、前ウエストシート２５の主体部２７の内端縁２５ａ側に位置する少なくとも横方向Ｘに伸縮可能な前弾性シート４８をさらに含む。前ウエスト域１３は、前ウエスト弾性体２８と前弾性シート４８とによって全体が横方向Ｘに弾性化される。

　後ウエストパネル１７は、後ウエスト域１４を画定するほぼ台形状の後ウエストシート３０を含む。後ウエストシート３０は、横方向Ｘに延び、互いに縦方向Ｙにおいて離間対向する中間内端縁３０ａ及び外端縁３０ｂと、縦方向Ｙへ延びる両外側縁３０ｃ，３０ｄと、両外側縁３０ｃ，３０ｄと内端縁３０ａとを結ぶ凹曲状の両側内端縁３０ｅ，３０ｆとから画定される。後ウエストシート３０は、主体部３１と、吸液構造体１２の後端部１２ｂ縦方向Ｙの外側に位置し、両側縁３０ｃ，３０ｄ間において横方向Ｘへ延びる折曲ライン３２と、折曲ライン３２を介して縦方向Ｙの内側に折曲されて吸液構造体１２の後端部１２ｂの内面と主体部３１の内面とに固定される折曲部３３とを有する。
　後ウエストシート３０の主体部３１と、外折曲部３３及び吸液構造体１２の後端部１２ｂとの間には、複数条の糸状・ストランド状又はストリング状の後ウエスト弾性体３５が横方向Ｘに伸長状態で収縮可能に固定される。後ウエストパネル１７は、その内端縁４９ａが後ウエストシート３０の内端縁３０ａ、その両側縁が両側内端縁３０ｅ，３０ｆと両外側縁３０ｃ，３０ｄの一部とそれぞれ重なる後弾性シート４９をさらに含む。後ウエストシート３０の両側内端縁３０と後弾性シート４９との間には、横方向Ｘへ延びる糸状・ストランド状又はストリング状の臀部弾性体３６が固定される。後ウエスト域１４は、後ウエスト弾性体３５、後弾性シート４９及び臀部弾性体３６とによって、その全体が横方向Ｘに弾性化される。

　前後ウエストシート２５，３０としては、例えば、質量が約１０～４０ｇ／ｍ^２であり、繊維密度が約０．０３～０．１ｇ／ｃｍ^３である、スパンボンド繊維不織布、ＳＭＳ（スパンボンド・メルトブローン・スパンボンド）繊維不織布、エアスルー繊維不織布、プラスチックシート、またはそれらのラミネートシート等を用いることができる。前後ウエスト弾性体２８，３５及び臀部弾性体３６は、例えば、繊度が約３００～５００ｄｔｅｘ、伸長倍率が１．５～３．５倍の糸状・ストランド状又はストリング状の弾性材料を用いることができるところ、その繊度や伸長倍率は適宜変更することができる。前後ウエスト弾性体２８，３５と臀部弾性体３６とは、前後ウエスト域１３，１４が横方向Ｘに収縮するために、少なくとも横方向Ｘにおいて部分的に塗布されたホットメルト接着剤を介して固定されていることが好ましい。
　前後弾性シート４８，４９としては、例えば、質量が約２０～４０ｇ／ｍ^２、繊維密度が０．０１～０．０４ｇ／ｃｍ^３の範囲であるエラストマー繊維からなる伸縮性繊維不織布を用いることができる。前後弾性シート４８は、非伸長時の寸法よりも横方向Ｘに約２．４倍伸長された状態でそれぞれ前後ウエストシート２５，３０に固定される。

　吸液構造体１２は、ほぼ長方形状であって、前端部１２ａと、後端部１２ｂと、前後端部１２ａ，１２ｂ間に位置する中央部１２ｃとを有する。吸液構造体１２は、肌対向面側に位置し、透液性を有する繊維不織布製の身体側ライナ４０と、曲状の両側縁を有する吸収体４１と、吸収体４１の底面全体を覆う不透液性の防漏シート４２と、吸液構造体１２の非肌対向面全体を形成する疎水性の被覆シート４３とを含む。吸収体４１は、フラッフパルプと超吸収性ポリマー粒子等との混合物から形成された芯材と、芯材全体を被包するティッシュペーパ等の液吸収拡散性のコアラップシートとを含む。

　被覆シート４３は、防漏シート４２の両側縁から横方向Ｘの外側に位置する両側部４４を有する。両側部４４は、その外側縁にスリーブ状の自由縁部４３ａが形成されていて、この自由縁部４３ａを除いて防漏シート４２の両側縁に沿って内側に折曲され、身体側ライナ４０の身体側内面と身体側ライナ４０との防漏シート４２の対向面とに固定される。自由縁部４３ａの内部には縦方向Ｙへ延びる複数条の糸状・ストランド状又はストリング状の弾性体４５が伸長状態で収縮可能に固定される。弾性体４５が収縮することによって、自由縁部４３ａが身体側ライナ４０から着用者の身体側へ離間し、着用者の大腿部にフィットして排泄物の漏れを防止する。また、被覆シート４３の両側部４４と防漏シート４２との間には、複数条の糸状・ストランド状又はストリング状のレッグ弾性体４６が固定される。

　特に図２を参照すると、後ウエスト域１４は、後ウエスト弾性体３５によって少なくとも横方向Ｘへの弾性化された第１弾性域５１と、第２弾性シート４９及び弾性体５０とによって少なくとも横方向Ｘへの弾性化された第２弾性域５２とを有する。テープファスナ２０の固定部２１（図１参照）は、後ウエスト域１４の両側域１８における第１弾性域５１に位置しており、後記のとおり、第１弾性域５１の収縮時においてその収縮力によって起伏形状を呈する。第１弾性域５１と第２弾性域５２とは、着用者の下腹部を圧迫することなくおむつ１０をフィットさせ、かつ、着用時におけるずり下がり等を防止するために、第１及び第２弾性域５１，５２の一方の、特に後者５２の単位面積当たりの伸長応力が前者５１のそれよりも高いことが好ましい。

　図５を参照すると、これは、後ウエスト域１４がその外面に後ウエスト域１４の弾性域の収縮によって、皺が形成されない程度に縦方向Ｙ及び横方向Ｘに伸長されたときのテープファスナ２０の状態を示す。後ウエスト域１４の側域１８の外面に接合部６０を介して固定された一対のテープファスナ２０は、断面Ｚ字型に折り畳まれた一連のテープ材料から形成される。テープファスナ２０の自由部２２は、固定部２１と連なりそれとテープファスナ２０の厚さ方向Ｚにおいて対向する第１自由部６１と、第１自由部６１に連なりそれと厚さ方向Ｚにおいて対向する第２自由部６２とを有する。固定部２１，第１及び第１自由部６１，６２は、積層された状態において第１及び第２折曲部５５，５６に位置する仮止め部６５，６６によって仮止めされる。自由部２２は、第１折曲部５５に位置する仮止め部６５から横方向Ｘの外側に延びる摘持部６３をさらに有する。仮止め部６５，６６間における第２自由部６２の内面には、メカニカルファスナのフック要素や粘着剤等（被留付対象物が繊維不織布シートであり、これに留めるときには、好ましくは、フック要素）から形成された留付域（ファスニング域）６８が配置される。テープファスナ２０の摘持外端２０ａは、シーム部２３の横方向Ｘの外側に位置する外側縁１４ｄを含むその隣接部位に接着部６９を介して分離可能に接着される。

　テープファスナ２０は、繊維不織布、少なくともその一部に、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の熱融着性の合成繊維を含むものであって、例えば、質量が約３０～１００ｇ／ｍ^２、好ましくは、約５０～８０ｇ／ｍ^２のスパンボンド繊維不織布を用いることができる。テープファスナ２０の摘持外端２０ａを外側縁１４ｄを含むその隣接部位に固定するための接着部６９として、ホットメルト接着剤等の各種公知の接着手段を用いるほかに、後記のとおり、おむつ１０の製造時におけるカッター等の切断手段の加熱を利用して外側縁１４ｄを形成する繊維不織布にテープファスナ２０の摘持外端２０ａを熱溶着させることもできる。

　接合域６０には、例えば、質量約５～２０ｇ／ｍ^２のホットメルト接着剤を使用することができる。仮止め部６５，６６は、公知の加圧処理や加圧加熱処理を施すことによって形成することができ、例えば、エンボス／デボス処理またはソニック処理によって形成することができる。加圧加熱処理をする場合には、テープファスナ２０自体が熱可塑性の合成繊維を有するものであるから熱融着によってより安定的に仮止めすることができる。

　図６を参照すると、これは、図１のＶＩ－ＶＩ線に沿う断面図であって、おむつ１０の着用状態及び非着用状態において、後ウエスト域１４全体は後ウエスト弾性体３５によって横方向Ｘに収縮される。したがって、後ウエスト域１４における後ウエスト弾性体３５が配置された第１弾性域５１（図２参照）には、横方向Ｘに連続する複数のギャザー７０が形成される。

　したがってまた、後ウエスト域１４における、テープファスナ２０の固定部２１の配置領域には、ウエスト弾性体３５の収縮力によって、固定部２１はギャザー７０よりも凹凸が少ない横方向へ連続し起伏形状が形成される。

　かかる状態において、自由部２２の第１自由部６１とそれに積層された第２自由部６２の一部が仮止め部６５，６６間において固定部２１から離間する。そのため、摘持部６３は、固定部２１の固定端２０ｂからシーム２３までの間の直線長さ寸法が、前記離間前のそれよりも小さくなるとともに、側域１８から離間する方向、すなわち、側域１８の厚さ方向へ凸状に離間する。また、固定部２１が後ウエスト域１４とともに収縮して着用者の身体の形状に沿うので、摘持部６３がより後ウエスト域１４から離間した形態をとる。摘持部６３が後ウエスト域１４の側域１８から離間することによって、それらの間には縦方向Ｙに開口する空間６７が画定される。前記のとおり、テープファスナ２０の配置された領域において、後ウエスト弾性体３５が位置することによって、摘持部６３がその幅寸法全体において後ウエスト域１４の側域１８から離間するから、凸曲した摘持部６３全体を摘んで容易に引っ張ることができる。

　このように、摘持部６３が後ウエスト域１４の側域１８から離間した凸曲の形態をすることによって、テープファスナ２０を展開するときに摘み易く、摘持部６３が側域１８から離間していない場合に比して、操作性に優れる。本実施形態と異なり、後ウエスト域１４の収縮状態において、摘持外端２０ａを含めて摘持部６３全体が側域１８に非固着である場合には、摘持部６３の摘持外端２０ａが外側縁１４ｄよりも外側に延出し又は側域１８から浮き起ち、着用操作中に着用者又は着用補助者の肌に触れて刺激するおそれがある。

　本実施形態におけるテープファスナ２０によれば、摘持部６３が後ウエスト域１４の側域１８から厚さ方向の外側へ凸曲する形態をとるので、着用者及び着用補助者は、かかるループ状の摘持部６３を指で摘んで引っ張り上げることができ、比較的に簡易にテープファスナ２０を展開することができる。また、摘持外端２０ａが接着部６９を介して接着されていることから、摘持外端２０ａが着用者の肌に当たって刺激したりするおそれはない。さらに、テープファスナ２０は比較的に柔軟な材料である繊維不織布で形成されているので、後ウエスト域１４の後ウエスト弾性体３５の収縮作用を利用することによって摘持部６３に凸曲の形態をとらせることができるとともに、不意に接着部６９が解除されて摘持外端２０ａが着用者又は着用補助者の肌に触れたとしても、それが比較的に高剛性のプラスチックシートから形成されている場合に比して、強い刺激を与えるおそれはない。ただし、テープファスナ２０は、必ずしも繊維不織布で形成されることを最適とするのではなく、該不織布とほぼ同様の剛性を有する他の適当な材料、例えば、紙質材料、プラスチック材料からテープに形成されたものを採択することもできる。

　また、経験上、互いに積層された、固定部２１と第１自由部６１とが仮止めされ、第１自由部６１と第２自由部６２とがそれとは異なる位置で仮止めされている場合には、すべての仮止めを解除するために、摘持部６３を摘んだ状態でそれを後ウエスト域１４の内方へ一度折り返した後に、外方へ引っ張り上げる操作（ツーステップ）等が必要になるところ、本実施形態においては、固定部２１と、第１及び第２自由部６１，６２とが同じ仮止め部６６，６５において一緒に仮止めされているので、摘持部６３を摘んで摘持外端２０ａを外側縁１４ｄを含むその隣接部位から剥がした後、例えば、矢印Ｆの方向へ引っ張ることによって、仮止め部６５，６６が全て解除されるので、一度の操作（ワンステップ）でテープファスナ２０を展開することができる。

　図７を参照すると、摘持部６３を摘んで引っ張り上げてテープファスナ２０を展開し、自由部２２を留付域６８を介して前ウエスト域１３の外面に剥離可能に留付けることによって、前後ウエスト域１３，１４のウエスト回りを締付けることができ、着用者のウエスト回りの大きさが変化してもそれに合わせたサイズ調整が容易である。また、おむつ１０の内面には、前後弾性シート４８，４９が配置されている場合には、臍部近傍が比較的に柔らかな乳児に対して、テープファスナ２０によってウエスト回りの寸法を小さくして身体にフィットさせても、圧迫感を適宜抑制することができる。

　また、テープファスナ２０が比較的に剛性の高いプラスチックシートから形成されている場合には、前ウエスト域１３の外面に沿って曲がり難く、前ウエスト域１３全体を着用者の身体にフィットさせ難いおそれがあるところ、テープファスナ２０が繊維不織布又はそれと同効のシート材料から形成されている場合には、かかる留付状態において、自由部２２が前ウエスト域１３の外面から浮き上がることなくフィットして前ウエスト域１３を着用者の身体側へ押し付けることができる。

　図８を参照すると、これは、おむつ１０を廃棄する態様の一例を示すものであって、まず、おむつ１０の使用後に、前後ウエスト域１３，１４の両側縁部のシーム部を剥離してこれら域を離間させ、該両側縁部を内側へ折り曲げ、クロッチ域１５を前後ウエスト域１３，１４に向かって丸め込むように折り曲げる。次に、テープファスナ２０の自由部２２を留付域６８を介してクロッチ域１５の外面に留付ける。これにより、おむつ１０を丸めた状態を保持することができ、排泄物を外部に露出させたり漏らしたりすることなく衛生的に廃棄することができる。

　図９を参照すると、おむつの着用時であってテープファスナ２０が展開されてない状態において、接着部６９が後ウエスト域１４の外側縁１４ｄを含むその隣接部位に位置することによって、両側縁部全体が後方へ引っ張られ、僅かに後方へ反り返ったような状態となる。本実施形態に係るおむつ１０のように、弾性ウエストパネル１１と吸液構造体１２とが別体から形成されている場合には、おむつ１０の両側縁部が横方向Ｘへ張り出したような形状を有するところ、両側縁部が後方へ反り返ることによって、おむつ１０の正面視においてすっきりとした印象を与えることができる。

　図１０を参照すると、これは、おむつ１０の製造工程の一部を示す。おむつ１０の製造工程において、後ウエストシート３０の基材となる繊維ウエブ７５を機械方向ＭＤに搬送する。繊維ウエブ７５の第１面には、断面Ω状であって内面に一対のメカニカルファスナのフック要素等からなる留付域６８を備えた繊維不織布製のテープ基材７６が固定されている。テープ基材７６の固定両端部７８，７９間においてテープ基材７６とともに繊維ウエブ７５を機械方向ＭＤと交差する方向に延びるカットライン８０に沿って加熱されたカッター等を用いてカットすることによって、テープファスナ２０を有する複数の後ウエストシート３０を得ることができる。かかるカット工程において、テープ基材７６と繊維ウエブ７５とがカッターによって同時に切断されるとき、カッターの加熱で切断部位において繊維ウエブ７５とテープ基材７６とを構成する熱可塑性繊維が互いに熱融着され、テープファスナ２０の接着部６９が形成される。かかる製造方法によっておむつ１０を製造することによって、テープファスナ２０の摘持外端２０ａと後ウエスト域１４の外側縁１４ｄとは、テープファスナ２０の厚さ方向Ｚにおいてほぼ同じ端面となる。

　接着部６９を形成する方法として、かかるカット工程を利用する方法のほかに、繊維不織布のテープ基材７６と繊維不織布からなる後ウエストシート３０とをホットメルト接着剤や粘着剤で接着したり、エンボスピンで加圧して繊維を互いに機械的に交絡させてもよい。繊維を互いに機械的に交絡させてテープ基材７６と後ウエストシート３０とを剥離可能に接合する場合には、熱融着によって接合する場合に比して接着部６９が柔軟であって、着用者の肌に当たっても刺激を与えるおそれはない。

＜第２実施形態＞
　図１１を参照すると、本実施形態に係るテープファスナ２０は、固定部２１を形成する第１テープ片８１と、第１自由部６１を形成する第２テープ片８２及び第２自由部６２を形成する第３テープ片８３とを含む。第１テープ片８１と第２テープ片８２とは、第１接合部８４において互いに接合されており、第２テープ片８２と第３テープ片８３とは、第２接合部８５において互いに接合される。仮止め手段６５，６６は、第１及び第２接合部８４，８５に位置し、それらのテープ片の互いの積層状態が維持される。第１及び第２接合部８４，８５において、複数のテープ片が積層されるので、仮止め部６５，６６における加圧・加熱加工が施し易く、より強固に積層されたテープ片を互いに仮り止めすることができる。図示していないが、本実施形態のほかに、固定部２１が第１テープ片８１から形成され、第１及び第２自由部６１，６２を含む自由部６２全体が第２テープ片８２から形成されていてもよい。

＜第３実施形態＞
　図１２を参照すると、本実施形態に係るテープファスナ２０は、固定部２１と自由部２２とが一連のテープから形成されており、二つ折りに折曲されている。このように、テープファスナ２０が複数折曲されてない場合であっても、本発明による効果を奏することができる。

＜第４実施形態＞
　第１３図を参照すると、本実施形態にかかるテープファスナ２０は、固定部２１と自由部２２とが一連のテープから形成され、かつ、テープファスナ２０の摘持外端２０ａと固定端２０ｂとは、外側縁１４ｄとほぼ一致するように互いに重なって位置する。テープファスナ２０の摘持外端２０ａは、接着部６９を介して固定端２０ｂに剥離可能に固定され、摘持部６３は凸曲の形態をとる。テープファスナ２０の摘持外端２０ａと固定端２０ｂとは同一の繊維不織布から形成されるので、それらを加熱手段によって接合する場合には、異なる繊維から構成される場合に比べて繊維どうしが融着し易く、より安定的に仮止めすることができる。

＜第５実施形態＞
　図１４を参照すると、本実施形態にかかるテープファスナ２０は、固定部２１を形成する第１テープ片９１と、二つ折りに折り曲げられた、自由部２２を形成する第２テープ片９２と、自由部２２のうちの第２自由部６２において第２テープ片９２に積層された補助シート９５とから構成される。第１テープ片９１は、その一端が折り曲げられており、該折曲部において接合部９３を介して第２テープ片９２と固定される。第２テープ片９２は、接合部９３に隣接する第１端９２ａと、テープファスナ２０の摘持外端２０ａをなす第２端とを有する。かかる積層状態において、固定部２１と自由部２２とは、接合部９３に位置する仮止め部６５と、第２テープ片９２の折曲部近傍に位置する仮止め部６６及び第２テープ片９２の第１端９２ａに位置する仮止め部９４とによって仮止めされる。

　第１自由部６１は、１つのテープから形成されているので比較的に剛性が低く柔軟であって、後ウエスト域１４の収縮によって複数の皺が生じ、摘持部６３が安定的に凸曲の形態をとる。一方、留付域６８を有する第２自由部６２の剛性が比較的に低い場合には、テープファスナ２０の操作中に摘持部６３がちぎれたり、摘み難くなったりするおそれがある。本実施形態におけるテープファスナ２０においては、第２自由部６２に別体の補助シート９５が積層されているので、比較的に剛性が高く、テープファスナ２０を形成するテープの剛性を比較的に低くしても操作中に摘持部６３がちぎれたりするおそれはない。

　おむつを構成する各構成部材には、特に限定されている場合を除き、本明細書に記載されている材料のほかに、この種の分野において通常用いられている、各種公知の材料を制限なく使用することができる。また、おむつは、前ウエスト域と、後ウエスト域と、クロッチ域とが一連に形成された態様であってもよい。本明細書及び特許請求の範囲において、用語「第１」、「第２」及び「第３」は、同種の要素、位置等を単に区別するために用いられている。

　以上に記載の本発明に関する開示は、少なくとも下記事項に整理することができる。

　縦方向及びそれに直交する横方向と、非肌対向面及びその反対側の肌対向面とを有し、前後ウエスト域の一方である第１ウエスト域と、前記前後ウエスト域の他方である第２ウエスト域と、前記第１及び第２ウエスト域間に位置するクロッチ域とを含み、前記第１及び第２ウエスト域において前記縦方向へ延びる側縁部が互いに接合され、前記第１ウエスト域の側域における前記非肌対向面にテープファスナが取り付けられたプルオン着用物品において、前記第１及び第２ウエスト域のうちの少なくとも前記第１ウエスト域は前記横方向において弾性を有しており、前記テープファスナは、前記第１ウエスト域の前記側域に固定された固定部と、前記テープファスナを前記第２ウエスト域の前記非肌対向面に対して剥離可能に留付けるための留付域を有する自由部とを含み、前記自由部は、前記留付域から前記横方向の外側に延びる摘持部と摘持外端とを有し、前記摘持外端が前記第１ウエスト域の前記側域における前記非肌対向面に分離可能に固定されており、前記第１ウエスト域における前記留付域と前記摘持外端との間の領域が収縮することによって、前記摘持部が凸曲の形態をとることを特徴とする前記着用物品。

　上記段落００４４に開示した本発明は、少なくとも下記の実施の態様を含むことができる。下記の実施の態様は、単独又はそれらの組み合わせであってもよい。
（１）前記固定部と前記自由部とは、前記留付域よりも前記横方向の外側に位置する仮止め部において仮止めされており、前記仮止め部と前記摘持外端との間に前記摘持部が位置する。
（２）前記テープファスナが、繊維不織布から形成される。
（３）前記留付域は、メカニカルファスナのフック要素を含む。
（４）前記テープファスナと前記第１ウエスト域の前記側域における前記非肌対向面とは、それぞれ、熱可塑性繊維を含む繊維不織布から形成されており、前記摘持外端を含むその隣接部位は、繊維を互いに融着又は機械的に交絡させることによって分離可能に接合される。
（５）前記摘持外端と前記第１ウエスト域の前記側域の外側とがほぼ同じ端面を形成する。
（６）前記仮止め部は、前記テープファスナの積層された部分に加圧及び加熱加圧のいずれかの処理を施してある。
（７）前記自由部は、折曲された状態で前記固定部に仮止めされており、前記固定部と連なって前記テープファスナの厚さ方向において対向する第２自由部と、前記第２自由部と連なって前記厚さ方向において対向する第１自由部とを有し、前記固定部と前記第１及び第２自由部とがそれらを貫通する、互いに前記横方向において離間する一対の前記仮止め部において仮止めされており、前記留付域が前記一対の仮止め部間に位置する前記第１自由部の内面に位置する。
（８）前記テープファスナが、前記固定部を形成する第１テープ片と、前記自由部を形成する第２テープ片とを含み、前記自由部のうちの前記第２自由部において繊維不織布から形成された補助シートが積層される。
（９）凸曲状の前記摘持部とそれに対向する前記第１ウエスト域の前記側域との間において、前記縦方向に開口する空間が形成される。

１０　プルオン着用物品（使い捨ておむつ）
１３　前ウエスト域（第１又は第２ウエスト域）
１４　後ウエスト域（第１又は第２ウエスト域）
１５　クロッチ域
１８　側域
２０　テープファスナ
２０ａ　第１端（摘持外端）
２０ｂ　第２端（固定端）
２１　固定部
２２　自由部
６１　第１自由部
６２　第２自由部
６３　摘持部
６５，６６　仮止め部
６７　空間
６８　留付域
９１　第１テープ片
９２　第２テープ片
９４　補助シート

Claims (10)

1. 　縦方向及びそれに直交する横方向と、非肌対向面及びその反対側の肌対向面とを有し、前後ウエスト域の一方である第１ウエスト域と、前記前後ウエスト域の他方である第２ウエスト域と、前記第１及び第２ウエスト域間に位置するクロッチ域とを含み、前記第１及び第２ウエスト域において前記縦方向へ延びる側縁部が互いに接合され、前記第１ウエスト域の側域における前記非肌対向面にテープファスナが取り付けられたプルオン着用物品において、
   　前記第１及び第２ウエスト域のうちの少なくとも前記第１ウエスト域は前記横方向において弾性を有しており、
   　前記テープファスナは、前記第１ウエスト域の前記側域に固定された固定部と、前記テープファスナを前記第２ウエスト域の前記非肌対向面に対して剥離可能に留付けるための留付域を有する自由部とを含み、
   　前記自由部は、前記留付域から前記横方向の外側に延びる摘持部と摘持外端とを有し、
   　前記摘持外端が前記第１ウエスト域の前記側域における前記非肌対向面に分離可能に固定されており、
   　前記第１ウエスト域における前記留付域と前記摘持外端との間の領域が収縮することによって、前記摘持部が凸曲の形態をとることを特徴とする前記着用物品。
2. 　前記固定部と前記自由部とは、前記留付域よりも前記横方向の外側に位置する仮止め部において仮止めされており、前記仮止め部と前記摘持外端との間に前記摘持部が位置する請求項１に記載の着用物品。
3. 　前記テープファスナが、繊維不織布から形成される請求項１又は２に記載の着用物品。
4. 　前記留付域は、メカニカルファスナのフック要素を含む請求項１～３のいずれかに記載の着用物品。
5. 　前記テープファスナと前記第１ウエスト域の前記側域における前記非肌対向面とは、それぞれ、熱可塑性繊維を含む繊維不織布から形成されており、前記摘持外端を含むその隣接部位は、繊維を互いに融着又は機械的に交絡させることによって分離可能に接合される請求項１～４のいずれかに記載の着用物品。
6. 　前記摘持外端と前記第１ウエスト域の前記側域の外側とが前記テープファスナのほぼ同じ端面を形成する請求項１～５のいずれかに記載の着用物品。
7. 　前記仮止め部は、前記テープファスナの積層された部分に加圧及び加熱加圧のいずれかの処理を施してある請求項１～６のいずれかに記載の着用物品。
8. 　前記自由部は、折曲された状態で前記固定部に仮止めされており、前記固定部と連なって前記テープファスナの厚さ方向において対向する第２自由部と、前記第２自由部と連なって前記厚さ方向において対向する第１自由部とを有し、前記固定部と前記第１及び第２自由部とがそれらを貫通する、互いに前記横方向において離間する一対の前記仮止め部において仮止めされており、前記留付域が前記一対の仮止め部間に位置する前記第１自由部の内面に位置する請求項１～７のいずれかに記載の着用物品。
9. 　前記テープファスナが、前記固定部を形成する第１テープ片と、前記自由部を形成する第２テープ片とを含み、前記自由部のうちの前記第２自由部において繊維不織布から形成された補助シートが積層される請求項１～８のいずれかに記載の着用物品。
10. 　凸曲状の前記摘持部とそれに対向する前記第１ウエスト域の前記側域との間において、前記縦方向に開口する空間が形成される請求項１～９のいずれかに記載の着用物品。

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