JP4011943B2 - 有価証券処理システムと有価証券読み取り装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は有価証券の処理システムと有価証券読み取り装置に関する。
詳しくは、有価証券上に少なくとも1つの読み取り動作条件設定用部材と少なくとも1つのコード用部材が直線上に設けられており、これらを同一または異なる読み取りセンサーで読み取るとともに、初めに動作条件設定用部材を読み取り、それに基づいて読み取り装置の動作条件が設定され、その後にコード用部材の読み取りがされることを特徴とする。
これによりセキュリティ性が高く、かつ安価でコンパクト、利便性の高い有価証券処理システムを実現できる。
本発明の利用分野は、株券や商品券、ギフト券、搭乗券、クレジットカード、キャッシュカード、各種プリペイドカード、IDカード、通行券、定期券、切符、各種チケット等である。
【0002】
【従来技術】
従来から、有価証券や紙幣、交通機関乗車券等の分野においては、偽造品や模造品の使用を排除すべく媒体および取扱装置の両面から各種のセキュリティシステムが行われている。
媒体側からみると、有価証券に光学または磁気バーコードを付したり、ホログラム、磁気記録等することで、コードを形成し、そのコードを読み取ることで、有価証券の真偽判定を行い、セキュリティ性を確保することが行われている。
しかし、媒体が流通しセキュリティ技術が周知となると、その内容も見破られ複製技術の巧妙化とともに偽造品が現われるようになる。
これを新たなセキュリティを付加することで対応する際には、装置や媒体、システム変更に関わる負荷が大きくなる問題がある。
また、既に流通している媒体を回収し再発行するための負荷をも考慮する必要がある。以上のことから、媒体側のみからのセキュリティシステムには発展性が乏しい欠点があった。
【0003】
一方、取扱装置の面から見ると、金融機関用の現金自動取引装置や交通機関券売機、自動販売機に見られるように、有価証券の真偽を鑑定する鑑別部を有し、この鑑別部にて真と判別した有価証券に対してのみに入金、発券、商品販売等の処理を行っている。この鑑別部は、例えば取り込んだ紙幣の寸法や、磁気インクの磁気特性、印刷インクの分光特性等を各種センサによって検出し、検出データが所定のデータ範囲内であるものを真と判別するものである。
従来技術による鑑別部は、例えば磁気インクを例とすれば、有価証券に使用されている磁気インクの磁気特性、印刷インクの分光特性を調べるセンサと、それらのセンサを駆動/増幅/信号処理/真偽判定を行う制御部が一体のユニットとなったものが多く、電源が給電されれば、すぐにセンサが動作可能な状態になるもので、その状態で有価証券を検知させれば誰でもその有価証券の特性を調べることが出来るものが多い。
【0004】
しかし、有価証券取扱装置の鑑別部は、機器の廃棄の際に何らの破壊処理も行われずに廃品処理業者に渡り、さらには中古品として販売されることがあり、これを偽造、変造を目的とする者に悪用される可能性があるという問題があった。
これらの問題を解決するものとして特開平7-85339 号公報が提案され、同公報「有価証券取扱装置の鑑別部セキュリティ保護方法」は、装置の鑑別部(センサ)の動作条件を不正に解析されないように、装置駆動を制御する技術を提案しているが、やはり取扱装置側からのみの対応であって、動作条件が解読されたり鑑別部(センサ)全体が第三者に入手可能であるという問題は基本的には解決されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明では、従来の偽造、贋造防止技術とは観点を変え、媒体である有価証券と取扱装置(読み取り装置)とが協働してはたらくシステムを開発すべく研究してなされたものである。
すなわち、有価証券上に少なくとも1つの読み取り動作条件設定用部材と少なくとも1つのコード用部材を設け、これらを同一または異なる読み取りセンサーで読み取るとともに、初めに動作条件設定用部材を読み取り、その部材に基づいてその後に読み取るコード用部材の読み取り動作条件を設定すること、で偽造品の利用を防止できることを着想し本発明の完成に至ったものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の要旨の第1は、読み取り処理する有価証券に、読み取り動作条件設定用部材とコード用部材が、読み取り装置の読み取り方向に対して並列して設けられており、当該有価証券が読み取り装置により読み取られる場合は、これらを異なるセンサで読み取り、まず読み取り動作条件設定用部材が読み取られて、前記動作条件設定用部材の読み取りデータに基づいて、当該読み取り装置の前記コード用部材の読み取り動作条件が設定され、その後に、コード用部材のコードを読み取って真偽判断することを特徴とする有価証券処理システム、にある。
この場合において、読み取り動作条件設定用部材とコード用部材が有価証券面において、並列して設け異なるセンサで読み取る。
【0007】
上記課題を解決するための本発明の要旨の第2は、上記有価証券処理システムに用いられる読み取り装置であって、読み取り装置の読み取り方向に対して並列して設けられた読み取り動作条件設定用部材とコード用部材とを、異なるセンサで読み取り、まず読み取り動作条件設定用部材が読み取られて、前記動作条件設定用部材の読み取りデータに基づいて、当該読み取り装置の前記コード用部材の読み取り動作条件が設定され、その後に、コード用部材のコードを読み取って真偽判断することを特徴とする有価証券読み取り装置、にある。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、上記のように、媒体と取扱装置(読み取り装置)とが協働してはたらくシステムであるので、有価証券や乗車券、あるいは磁気カードやプリペイドカード等である媒体側と取扱装置の両面からの対応が必要となる。
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の有価証券処理システムに使用する有価証券の例、図2は、他の有価証券の例を示す図である。
磁気カードである有価証券1には、通常のように磁気ストライプ11が設けられ、当該磁気ストライプにはコード用部材12が磁気データとして記録されている。本発明システムで用いる有価証券の特徴は、コード用部材12に加えて、読み取り動作条件設定用部材13が磁気カード面に記録されていることにある。
図1の実施形態の場合、磁気バーコードが動作条件設定用部材13としてコード用部材12と並列してカード面に設けられている。動作条件設定用部材13はバーコード等の場合は可視的な場合もあるが、コード用部材12を磁気記録した場合は視認し得ない場合もある。
【0009】
読み取り動作条件設定用部材13は、図1の場合、バーコードで表示されているが、部材13は、取扱装置が備えうるセンサで読み取りできるものであれば、特に制限されずに各種のものを使用することができる。
例えば、特定の反射色光を与える反射型色識別ラベルであっても良く、磁気的または光学的データであっても良く、バーコード、文字コードパターン、数字、OCR、OMER、回折格子、ホログラムパターン等であっても良い。
部材と表現するのは部品的なものも含む考えであるから、カード面の凹凸形状や切り欠き、磁性材や一定の抵抗値を与える金属部材や塗工面等であってもよい。
【0010】
有価証券に設ける読み取り動作条件設定用部材13は、図1のように、カード面に並列して設ける必要はなく、図2のように磁気ストライプ上に直線状に直列して動作条件設定用部材13を設けることもできる。直列の場合は同一の共通センサを使用でき、並列の場合は、同種または異なるセンサで、コード用部材12または動作条件設定用部材13を読み取りすることができる。ただし、直列的に設ける場合であっても共通または同種のセンサで読み取ることに限られない。
また、コード用部材12と動作条件設定用部材13を設ける面は、証券またはカードの同一面であっても異なる面であってもよい。
【0011】
図3は、読み取り装置が有価証券を読み取る状態を示す図である。有価証券1にコード用部材12と読み取り動作条件設定用部材13が並列して設けられている場合は、読み取り装置側も対応した装置とする必要がある。
図3の場合、読み取り装置2には読み取り部3と図示しない有価証券の搬送機構や回路を制御する全体制御部9を備えている。
読み取り部3は、例えば磁気カード1のコード用部材12である磁気記録データを読み取るセンサ4Aと、該センサ4Aを所定のパラメータにより駆動するセンサ駆動回路5Aと、磁気カードの動作条件設定部材13である磁気バーコードを読み取るセンサ4Bと、該センサ4Bを所定の動作条件パラメータにより駆動するセンサ駆動回路5Bと、これら駆動回路5A及び5Bに動作条件パラメータ、例えば駆動周波数、回路ゲイン、回路オフセット、リセット条件等を与えて制御するセンサ駆動制御回路6と、センサ4Bの検出信号に基づいて磁気カードの真偽を判定する認識回路7と、該認識回路7およびセンサ駆動制御回路6と全体制御部9との間で制御信号他の送受信を行うデータ送受信制御回路8とから構成されている。
【0012】
ここに動作条件パラメータとは、例えば、読み取り閾値レベル、認識アルゴリズム、駆動周波数、回路ゲイン、回路オフセット、リセット条件等をいう。
磁気カード1の動作条件設定用部材13である磁気バーコード13Aが、センサ5Bにより読み取られると、読み取りデータが認識回路7に送信され、認識回路7は読み取りデータ内容に基づいて、あらかじめ設定されている動作条件設定テーブルに基づいて、所定の動作条件に設定すべきことをセンサ駆動回路5Aに指令する。
【0013】
センサ駆動回路5Aが所定の動作条件条件に設定された後、センサ4Bは磁気カード1のコード用部材12の読み取りを開始する。この場合のコード用部材12とは、例えば、磁気記録されたIDコードや会員番号等である。これらは所定の動作条件においてのみ読み取り可能にされている。
センサ4Aの検出信号に基づいて磁気カードの真偽が認識回路7で判定され、正しければ、磁気カード1の後続のデータのリードライトが進行し、不正カードと認識された場合は、全体制御回路9により磁気カード1はリジェクトされて排出される。リジェクトする理由が例えば、「このカードは取扱いできません。」のように表示されても良い。
【0014】
本発明システムに利用できるセンサとしては、現在の有価証券処理システムに採用されている各種のセンサを同様に利用できる。
反射色光を測定する場合は分光特性を識別するセンサが必要となり、磁気的データまたは光学的データであれば磁気ヘッドや光学的ピックアップ、バーコードであればバーコードリーダが必要となる。回折格子やホログラムパターンの回折光をセンシングするものには、特開平5- 73738号、特開平7-210071号公報に記載されるような発光素子と受光素子からなるセンサが適切と考えられる。
また、金属材料の抵抗値に感応する素子であってもよい。
【0015】
このように本発明システムは、媒体である有価証券と取扱装置(読み取り装置)とが協働してはたらくシステムとなっているのでセキュリティの段階的なレベルアップに迅速に対応できる利点がある。
例えば、有価証券1側を動作条件設定用部材13を含めて、そっくりそのまま偽造することは読み取り条件が分からないので困難と考えられるが、万一利用可能となる場合であっても、読み取り装置側の動作条件を状況に応じて速やかにレベルアップすることにより従来品の使用を不可能にすることができ、その際、新たなセキュリティシステムを検討する必要がない利点がある。
また、有価証券の価値(券面金額等)によって、セキュリティレベルの異なる複数種の証券を容易に発行し、運用処理することが可能となる。
【0016】
【実施例】
(実施例1)
厚み188μmの白色ポリエステルフィルム(東レ株式会社製「E−22」)の表面の全面に磁性材料を塗工して磁気記録層を設けた磁気カードにおいて、
(A)のカードは、その裏面に磁気バーコードAを設けて、読み取り動作条件設定用部材とすると共に、表面の磁気記録層に、磁気カード利用者のIDコードおよび所定の磁気記録データを読み取り装置の閾値が3〜5Vで読み取りできるように記録した。また、
(B)のカードは、その裏面に磁気バーコードBを設けて、読み取り動作条件設定用部材とすると共に、表面の磁気記録層に、磁気カード利用者のIDコードおよび所定の磁気記録データを読み取り装置の閾値が7〜10Vで読み取りできるように記録した。
【0017】
読み取り装置を、磁気バーコードAを読み取った際は、磁気記録層を閾値3〜5Vで読み取るように動作条件を設定し、磁気バーコードBを読み取った際は、磁気記録層を閾値7〜10Vで読み取るように動作条件を設定した。
当該読み取り装置により上記(A)、(B)のカードを読み取ったところ正常に読み取りすることが確認できた。
【0018】
【発明の効果】
以上詳しく説明したように本発明によれば以下の効果が得られる。
偽造品が現われても読み取り装置側の動作条件を状況に応じて速やかにレベルアップすることができる。その際、新たなセキュリティシステムを採用する必要がない。
また、有価証券の価値(券面金額等)によって、セキュリティレベルの異なる複数種の証券を容易に発行し、運用処理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 有価証券処理システムに使用する有価証券の例を示す図である。
【図2】 他の有価証券の例を示す図である。
【図3】 読み取り装置が有価証券を読み取る状態を示す図である。
【符号の説明】
1 有価証券、磁気カード
2 読み取り装置
3 読み取り部
4A,4B センサ
5A,5B センサ駆動回路
6 センサ駆動回路制御回路
7 認識回路
8 データ送受信制御回路
9 全体制御部
11 磁気ストライプ
12 コード用部材
13 動作条件設定用部材
Claims (2)
- 読み取り処理する有価証券に、読み取り動作条件設定用部材とコード用部材が、読み取り装置の読み取り方向に対して並列して設けられており、当該有価証券が読み取り装置により読み取られる場合は、これらを異なるセンサで読み取り、まず読み取り動作条件設定用部材が読み取られて、前記動作条件設定用部材の読み取りデータに基づいて、当該読み取り装置の前記コード用部材の読み取り動作条件が設定され、その後に、コード用部材のコードを読み取って真偽判断することを特徴とする有価証券処理システム。
- 請求項1の有価証券処理システムに用いられる読み取り装置であって、読み取り装置の読み取り方向に対して並列して設けられた読み取り動作条件設定用部材とコード用部材とを、異なるセンサで読み取り、まず読み取り動作条件設定用部材が読み取られて、前記動作条件設定用部材の読み取りデータに基づいて、当該読み取り装置の前記コード用部材の読み取り動作条件が設定され、その後に、コード用部材のコードを読み取って真偽判断することを特徴とする有価証券読み取り装置。
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