JP4011934B2 - インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリンタ、複写機、ファクシミリ等の機能を有する記録装置、あるいはコンピューターやワードプロセッサ等を含む複合型電子機器やワークステーションなどの出力機器として用いられる記録装置(プリント装置)としては、画像情報(記録情報)に基づいて、紙、布、プラスチックシート、OHP用シート等の記録媒体(被記録材)に向けてインクを吐出することで記録を実行するインクジェット記録装置が普及している。
【0003】
また、これら記録媒体の材質に対する要求も様々なものがあり、近年では、これらの要求に対する開発が進み、通常の記録媒体である紙(薄紙や加工紙を含む)や樹脂薄板(OHPシート等)などの他に、布、皮革、不織布、更には金属等を記録媒体として用いる記録装置も使用されるようになっている。
【0004】
前記インクジェット記録装置は、被記録材の搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に記録ヘッドを複数回走査させながら画像を記録する方式が主体であり、再現性、一様性などの画像品位性に優れる、等の利点を有している。
【0005】
前記記録ヘッドは、インク吐出時に発生するインクミスト、あるいは吐出されたインクが被記録材に到達したときの衝撃で発生するスプラッシュ等により、記録ヘッドの吐出口面にインクが付着することがある。そのため、付着したインクが吐出口を塞いでしまい、その結果、インクの吐出不良を生じることがある。そこで、ゴム等のゴム状弾性からなるブレードを設け、このブレードを記録ヘッドの吐出口面に当接させた状態で該記録ヘッドを相対的に移動させることにより、吐出口周辺に付着したインクを拭き取り除去する構成が採られている。このような吐出回復動作をワイピング動作という。
【0006】
また、記録時には記録ヘッドの複数の吐出口より選択的にインクを吐出させて画像を形成するため、個々のノズルに関してみれば、インク吐出を伴わずに先端の吐出口が外気に触れたままの状態も起こる。このようなノズルはインクの乾燥が進み、インクの粘度が増大し、これによって吐出インク量の減少、吐出スピードの減少による吐出方向の偏向等の吐出不良を生ずることがある。そこで、乾燥して増粘したインクを除去する目的で、すべてのノズルから、記録に無関係なインク吐出を記録媒体以外の所定の場所で行うことで、吐出不良を未然に防止するようにしている。このような吐出回復動作を予備吐出動作という。
【0007】
また、連続してインクの吐出のために熱エネルギーをインクに供給すると、ノズル近傍に位置するインク溜り(共通液室)等に気体が泡として混入し、その気泡がある程度の大きさになるとノズルへのインクの供給を妨げ、インクが吐出されないことがある。そこで、記録ヘッドの吐出口が配設される面に対し、ゴム等の材料で形成されたキャップを当接させ、キャップを介してノズル近傍のインクを強制的に吸引する処理を行う。このような吐出回復動作を吸引動作という。
【0008】
このような記録ヘッドの吐出回復動作を画像形成前、画像形成終了後もしくは、画像形成途中の次の走査が始まるまでの待機時間中に行うことにより、記録ヘッドからのインクを正常に吐出させ、画像品位の低下を防ぎ、常に良好な品位の画像形成を行うことが可能となる。
【0009】
特に、バナー印字等のように連続した面積の大きな画像形成を行う際には、常に良好な品位の画像形成を行うために、画像形成途中の次の走査が始まるまでの待機時間中に吐出回復動作を行うことが必須となる。
【0010】
一方、画像形成中のインク温度は、連続してインクの吐出のための熱エネルギーをインクに供給するため、画像形成開始直後と比較して高くなっている。
【0011】
そのため、画像形成途中の次の走査が始まるまでの待機時間中に前記吐出回復動作としてワイピング動作を行うと、ワイピング動作中は連続して熱エネルギーをインクに供給しないため、また、画像形成途中のインク温度はインクジェット記録装置を設置している環境温度と比較して高くなっているため、吐出回復動作中の放熱により、画像形成を再開した時のインク温度は、吐出回復動作前と比較して低くなっている。
【0012】
同様に、画像形成途中の次の走査が始まるまでの待機時間中に前記吐出回復動作として予備吐出動作を行うと、予備吐出動作中は熱エネルギーをインクに供給するものの、画像形成中と比較すると連続的にインクに供給する熱エネルギーが少ないため、吐出回復動作中の放熱の影響が大きく、やはり画像形成を再開した時のインク温度は、吐出回復動作前と比較して低くなっている。
【0013】
また、画像形成途中の次の走査が始まるまでの待機時間中に前記吐出回復動作として吸引動作を行うと、吸引動作中は連続して熱エネルギーをインクに供給しないため、また、吐出回復動作中の放熱に加えて、更に、記録ヘッドにインクを供給するインク供給路のインクが吸引動作によって記録ヘッド内に流入することにより、画像形成を再開した時のインク温度は、吐出回復動作前と比較して低くなっている。インク供給路のインクは画像形成中でも熱エネルギーを加えられていないため、環境温度に近いので、吸引動作後に画像形成を再開した時のインク温度の低下は、ワイピング動作後または予備吐動作後のインク温度の低下と比較して顕著に発生する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の吐出回復処理には改善の余地がある。すなわち、インクジェット記録ヘッドにおいて、そのインクの吐出量を一定に保つためには、インク温度が非常に重要なパラメータである。つまり、インクの粘度や表面張力は温度によって変化し、これにより吐出されるインクの吐出量が変化する。
【0015】
そのため、記録ヘッドからのインクを正常に吐出させ、画像品位の低下を防ぎ、常に良好な品位の画像形成を行うために、記録ヘッドの吐出回復動作を画像形成途中の次の走査が始まるまでの待機時間中に行うと、画像形成を再開した直後の記録ヘッドのインク温度は、吐出回復動作前の記録ヘッドのインク温度と比較して低くなっているので、インク吐出量が小さくなってしまい、濃度が低下してしまう。
【0016】
前記濃度低下は隣接した領域で発生するため、微小な濃度低下でも非常に目立ち大きな問題となる。
【0017】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、画像形成中に記録ヘッドの吐出回復処理を行った場合でも、吐出回復処理前後で画像の濃度や色味に差が生じることがないインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明のインクジェット記録装置は、複数のインク吐出口と、インクを吐出するための複数の電気熱変換体とを備える記録ヘッドを被記録材の記録領域に対して走査させる走査手段と、前記走査手段による前記記録ヘッドの走査方向と直交する方向へ前記被記録材を搬送させる搬送手段と、を有し、前記走査手段による記録ヘッドの走査と前記被記録材の搬送とを繰り返して前記被記録材に画像を記録するとともに、前記被記録材の1回当たりの搬送長さが小さいほど、1回の走査で前記記録ヘッドから吐出されるインク量が少なくなるインクジェット記録装置において、前記記録ヘッドの吐出回復処理を行う吐出回復手段と、前記記録ヘッドの周囲温度を検出する環境温度検出手段と、 前記記録ヘッドの温度を検出する温度検知手段と、前記記録ヘッドによる記録動作の途中で前記吐出回復手段が前記記録ヘッドの吐出回復処理を行なった後、前記記録ヘッドによる記録動作再開までの間に、制御温度と前記記録ヘッドの温度との比較結果に基づいて前記記録ヘッド内のインクの温度を制御する温度制御手段と、を備え、前記温度制御手段は、前記記録ヘッドの周囲温度と前記搬送手段による前記被記録材の1回当たりの搬送長さとに応じた前記制御温度と、前記記録ヘッドの温度と、を比較し、前記記録ヘッド内のインク温度を前記制御温度に到達させるように制御することを特徴とする。
【0019】
本発明のインクジェット記録方法は、複数のインク吐出口と、インクを吐出するための複数の電気熱変換体とを備える記録ヘッドを被記録材の記録領域に対して走査させる走査手段と、前記走査手段による前記記録ヘッドの走査方向と直交する方向へ前記被記録材を搬送させる搬送手段と、を含み、前記記録ヘッドの走査と前記被記録材の搬送とを繰り返して前記被記録材に画像を記録するとともに、前記被記録材の1回当たりの搬送長さが小さいほど、1回の走査で前記記録ヘッドから吐出されるインク量が少なくなるインクジェット記録装置におけるインクジェット記録方法において、前記記録ヘッドの吐出回復処理を行う吐出回復工程と、前記記録ヘッドの周囲温度を検出する環境温度検出工程と、前記記録ヘッドの温度を検出する温度検知工程と、前記記録ヘッドによる記録動作の途中で前記吐出回復工程によって前記記録ヘッドの吐出回復処理を行った後、前記記録ヘッドによる記録動作再開までの間に、制御温度と前記記録ヘッドの温度との比較結果に基づいて前記記録ヘッド内のインクの温度を制御する温度制御工程と、を含み、前記温度制御工程は、前記記録ヘッドの周囲温度と前記搬送手段による前記被記録材の1回当たりの搬送長さとに応じた前記制御温度と、前記記録ヘッドの温度と、を比較し、前記記録ヘッド内のインク温度を前記制御温度に到達させるように制御することを特徴とする。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態(実施例)について説明する。
【0027】
図1は本発明を適用したインクジェット記録装置の実施の形態を示す模式的正面断面図である。図1において、1はキャリッジ、2は紙搬送系ユニットを含む装置本体、30A、30B、30C、30Dは記録手段としての記録ヘッドの吸引回復動作を行うための吸引機構及び記録ヘッド不使用時の記録ヘッドを保護する機構、31は予備吐出動作を行うための予備吐出インク受領箱、32はワイピング動作を行うためのワイピング機構、5は記録手段としての記録ヘッドである。キャリッジ1は、ガイド軸11に沿って移動可能に案内支持されており、ベルト13を駆動して往復駆動(往復移動)される。
【0028】
そして、このキャリッジ1は、装置本体が記録データを受け取ると、図示しない紙搬送ユニットによって送られる記録媒体(記録紙等)に記録すべく、ガイド軸11に沿った方向(主走査方向)に走査するように制御され、1バンド分の画像を記録すると、記録媒体はキャリッジ1と直行する方向(副走査方向)に1バンド分、紙搬送ユニットによって搬送される。キャリッジ1の近傍には該キャリッジの絶対位置を検出するためのエンコーダフィルム12が配設されており、該キャリッジ1に搭載されたエンコーダで該キャリッジの絶対位置を検出する。また、このエンコーダの位置検出に基づいてキャリッジ1のホームポジション(本実施例では、前記回復機構に対向する位置)が設定される。
【0029】
記録ヘッド5には、副走査方向に600dpi(ドット/インチ)間隔で、256個の吐出口が配列されており、各吐出口に連通したインク流路内には、インクを局所的に加熱して膜沸騰を起こさせ、その圧力によってインクを吐出させるための電気熱変換体がそれぞれ設けられている。
【0030】
また、インクジェット記録ヘッド5には、上記電気熱変換体が設けられた基板と同一の基板上に、温度検知用のセンサ50(図2参照)が設けられている。
【0031】
図2は本発明を適用したインクジェット記録装置における制御系の構成例を示すブロック図である。
【0032】
ここで、800は主制御部をなすコントローラであり、後述されるシーケンス等を実行する例えばマイクロコンピュータ形態のCPU801、その手順に対応したプログラムやテーブル、ヒートパルスの電圧値、パルス幅その他の固定データを格納したROM802及び画像データを展開する領域や作業用の領域等を設けたRAM803を有す。記録ヘッドの周囲温度を検出する環境温度センサ811で検出された環境温度はコントローラ800に入力される。805は画像データの供給源をなすホスト装置であり、画像データその他コマンド、ステータス信号等はインターフェース(I/F)804を介してコントローラと送受信される。806は記録データ等に応じて記録ヘッドの電気熱変換体(吐出用ヒータ)を駆動するためのヘッドドライバである。また、温度センサ50で検出された温度検出値はコントローラ800に入力される。809はキャリッジ2を主走査方向に移動させるための主走査モータ、807はそのドライバである。810は記録媒体を搬送(副走査)するための副走査モータで808はそのドライバである。
【0033】
以上説明したインクジェット記録装置において、画像形成途中で吐出回復処理を行った場合のインクの温度制御について、以下に説明する。
【0034】
本発明の実施例を説明する前に、比較例として画像形成途中に吐出回復処理として吸引動作を行った後にインクの温度制御を行わなかった場合のインク温度推移を図3に示す。図3中のA点は吸引動作を行った地点であり、A点より以前の画像形成中のインク温度は、連続してインクの吐出のための熱エネルギーをインクに供給するため、画像形成開始直後と比較して高くなっている。一方、A点より以後の画像形成を再開した直後の記録ヘッドのインク温度は、吸引動作中は連続して熱エネルギーをインクに供給しないため、また、吐出回復動作中の放熱に加えて、更に、記録ヘッドにインクを供給するインク供給路のインクが吸引動作によって記録ヘッド内に流入するために、吐出回復動作前と比較して低くなっている。
【0035】
図4に示すようにインク温度とインク吐出量は比例しているので、画像形成途中で吐出回復処理として吸引動作を行った後にインクの温度制御を行わない場合の画像濃度推移は図5に示すようになる。図5中のA点は吸引動作を行った地点であり、A点の前後で濃度変化が発生する。この濃度変化は隣接した領域で発生するため、微小な(例えばOD差で0.02程度)濃度低下でも非常に目立ち大きな問題となる。
【0036】
なお、吐出回復動作として、吸引動作以外のワイピング動作及び予備吐出動作についても画像形成途中で行うことにより、図5と同様に吐出回復動作の前後で濃度変化が発生する。
【0037】
次に本発明の実施例として、吐出回復処理として吸引動作を行った後に行うインクの温度制御について説明する。
【0038】
図6は副走査一回当たりの搬送長さ及び環境温度(記録ヘッドの周囲温度)をパラメータとした、画像形成途中で吐出回復処理を行った後のインク制御温度(以後Thと表す)のテーブルである。図7のフローチャートに示すように画像形成開始後、画像形成途中で吐出回復処理を行うと(S101)、吐出回復処理終了後、コントローラ800に格納されている副走査一回当たりの搬送長さ及び環境温度(記録ヘッドの周囲温度)に対応したThとインク温度との比較を行い(S102)、インク温度がThより低い場合にはThに到達するまで、図8に示すような記録ヘッドからのインク吐出には至らない短パルス加熱を行うことによりインクの温度制御を行い(S103)、インク温度がThに到達した後に画像形成を再開する(S104)。
【0039】
図9に示すように副走査一回当たりの搬送長さNが小さいほど、一回の主走査で記録ヘッドから吐出されるインク量は少ないので、連続的にインクに供給される熱エネルギーも少なくなる。したがって、副走査一回当たりの搬送長さNが小さいほど画像形成中のインク温度上昇は小さくなる。温度上昇が小さければ、画像形成途中での吐出回復動作によるインクの温度低下が発生した後のインク制御温度Thも小さくて良い。
【0040】
また、図10に示すように副走査一回当たりの搬送長さが等しく、画像形成中にインクに与える熱エネルギーが同量であっても、環境温度が低いほど、環境温度が高い場合と比較して画像形成中のインク温度上昇は小さくなる。温度上昇が小さければ、画像形成途中での吐出回復動作によるインクの温度低下が発生した後のインク制御温度Thも小さくて良い。
【0041】
続いて上述したインクの温度制御を用いて、画像形成途中で吐出回復処理を行った後に、インクの温度制御を行った場合の温度推移を図11に示す。図11中のA点は吸引動作を行った地点であり、A点より以前の画像形成中のインク温度は、連続してインクの吐出のための熱エネルギーをインクに供給するため、画像形成開始直後と比較して高くなっている。一方、A点における吸引動作終了直後の記録ヘッドのインク温度は、吸引動作中は連続して熱エネルギーをインクに供給しないため、また、吐出回復動作中の放熱に加えて、更に、記録ヘッドにインクを供給するインク供給路のインクが吸引動作によって記録ヘッド内に流入するために、吐出回復動作前と比較して低くなっている。しかし、吸引動作終了直後、画像形成を再開する前に、短パルス加熱によるインクの温度制御を行うことで、画像形成を再開する直前のインク温度は、図11中のThまで上昇している。
【0042】
ここで、A点は、吸引回復動作等の所定の地点であるので、当該地点の温度に対応するパラメータテーブルを事前に用意しておけばよく、当該地点の設定は任意に行い得る。これにより、簡易な構成で適正なヘッド内のインク温度の制御が可能となる。
【0043】
なお、本実施例では、副走査一回当たりの搬送長さ及び環境温度をパラメータとしたテーブルを用いたが、これに限定されるものではなくインク温度に影響を与える要因に基づいた所定のテーブルを使用することができる。例えば、副走査一回当たりの搬送長さのみをパラメータとしても良いし、環境温度のみをパラメータとしても良い。
【0044】
図4に示すようにインク温度とインク吐出量は比例しているので、画像形成途中で吐出回復処理として吸引動作を行った後に短パルス加熱によるインクの温度制御を行った場合の画像濃度推移は図12に示すようになる。図12中のA点は吸引動作を行った地点であり、A点の前後では濃度変化が発生しない。
【0045】
なお、吐出回復動作として、吸引動作以外のワイピング動作及び予備吐出動作についても画像形成途中で行った後に、同様なインクの温度制御を行ってから画像形成を再開することにより、図12と同様に吐出回復動作の前後で濃度変化が発生しない。
【0046】
このように、本実施例の場合には画像形成途中で吐出回復処理を行った後に、インクの温度制御を行ってから画像形成を再開することにより、画像形成中に記録ヘッドの吐出回復動作を行った場合でも、吐出回復動作前後で画像の濃度や色味に差を生じさせないことが可能となる。
【0047】
なお、本発明は複数のインク吐出口を備える記録ヘッドを有するインクジェット記録装置であれば、いわゆるシリアルタイプのヘッドやフルラインヘッド、同一又は異なる色彩のインクを用いて記録するカラー記録装置、あるいは同一色彩で異なる濃度で記録する階調記録装置、さらには、これらを組み合わせた記録装置の場合にも、同様に適用することができ、同様の効果を達成し得るものである。さらに、本発明は、記録手段とインクタンクを一体化した交換可能なインクジェットカートリッジを用いる構成、記録手段とインクタンクを別体にし、その間をインク供給用のチューブ等で接続する構成など、記録手段とインクタンクの配置構成がどのような場合にも同様に適用することができ、同様の効果が得られるものである。
【0048】
また、本発明は、特にインクジェット記録方式の中でも、熱エネルギーを利用してインクを吐出する方式の記録手段を使用するインクジェット記録装置において優れた効果をもたらすものである。かかる方式によれば、記録の高密度化、高精細化が達成できるからである。
【0049】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなごとく、本発明によれば、画像形成中に記録ヘッドの吐出回復処理を行った場合でも、前記吐出回復手段による吐出回復処理後、前記記録ヘッドによる記録動作再開までの間に、前記記録ヘッド内のインクの温度変化に影響を与える要因に基づいて記録ヘッド内のインクの温度制御を行うので、吐出回復処理前後で画像の濃度や色味に差が生じることがないインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法が提供できる。
【0050】
また、別の形態によれば、上記作用に加えて、環境温度(記録ヘッドの周囲温度)や被記録材の一回当たりの送り長さに基づき温度制御を行い、記録ヘッドの複数のインク吐出口からインクを吐出するには至らない程度に小さいエネルギーのパルスを前記記録ヘッドに対して印加して温度制御を行う構成としたので、簡易な温度制御で、吐出回復処理前後で画像の濃度や色味に差が生じることがないインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したインクジェット記録装置の実施の形態を示す模式的正面断面図である。
【図2】本発明を適用したインクジェット記録装置の制御系の構成例を示すブロック図である。
【図3】画像形成途中に吐出回復処理として吸引動作を行った後にインクの温度制御を行わなかった場合のインク温度推移を示すグラフである。
【図4】インク温度とインク吐出量の関係を示すグラフである。
【図5】画像形成途中に吐出回復処理として吸引動作を行った後にインクの温度制御を行わなかった場合の濃度推移を示すグラフである。
【図6】画像形成途中で吐出回復処理を行った後のインク制御温度Thのテーブルである。
【図7】画像形成途中で吐出回復処理を行った場合の画像形成再開までの動作を示すフローチャートである。
【図8】インクの温度制御に用いる短パルスを示す図である。
【図9】副走査一回当たりの搬送長さごとのインク温度推移を示すグラフである。
【図10】環境温度ごとのインク温度推移を示すグラフである。
【図11】画像形成途中に吐出回復処理として吸引動作を行った後にインクの温度制御を行った場合のインク温度推移を示すグラフである。
【図12】画像形成途中に吐出回復処理として吸引動作を行った後にインクの温度制御を行った場合の濃度推移を示すグラフである。
【符号の説明】
1 キャリッジ
2 装置本体(搬送系ユニットを含む)
5 記録ヘッド
11 ガイド軸
12 エンコーダフィルム
13 ベルト
30 吸引機構および記録ヘッド保護機構
31 予備吐出インク受領箱
32 ワイピング機構
50 温度センサ
800 コントローラ
801 CPU
802 ROM
803 RAM
804 インターフェース
805 ホスト装置
806 ヘッドドライバ
807 モータドライバ
808 モータドライバ
809 主走査モータ
810 副走査モータ
811 環境温度センサ
Claims (16)
- 複数のインク吐出口と、インクを吐出するための複数の電気熱変換体とを備える記録ヘッドを被記録材の記録領域に対して走査させる走査手段と、前記走査手段による前記記録ヘッドの走査方向と直交する方向へ前記被記録材を搬送させる搬送手段と、を有し、前記走査手段による記録ヘッドの走査と前記被記録材の搬送とを繰り返して前記被記録材に画像を記録するとともに、前記被記録材の1回当たりの搬送長さが小さいほど、1回の走査で前記記録ヘッドから吐出されるインク量が少なくなるインクジェット記録装置において、
前記記録ヘッドの吐出回復処理を行う吐出回復手段と、
前記記録ヘッドの周囲温度を検出する環境温度検出手段と、
前記記録ヘッドの温度を検出する温度検知手段と、
前記記録ヘッドによる記録動作の途中で前記吐出回復手段が前記記録ヘッドの吐出回復処理を行なった後、前記記録ヘッドによる記録動作再開までの間に、制御温度と前記記録ヘッドの温度との比較結果に基づいて前記記録ヘッド内のインクの温度を制御する温度制御手段と、
を備え、
前記温度制御手段は、前記記録ヘッドの周囲温度と前記搬送手段による前記被記録材の1回当たりの搬送長さとに応じた前記制御温度と、前記記録ヘッドの温度と、を比較し、前記記録ヘッド内のインク温度を前記制御温度に到達させるように制御することを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記設定手段は、前記記録ヘッドの周囲温度が低いほど前記制御温度を低くすることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
- 前記設定手段は、前記前記搬送手段による前記被記録材の1回当たりの搬送長さが短いほど、前記制御温度を低くすることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
- 前記記録ヘッドは、前記被記録材の送り方向と直交する方向に複数回走査して画像を形成することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
- 前記温度制御手段は、前記記録ヘッドの複数のインク吐出口からインクを吐出するには至らない程度に小さいエネルギーのパルスを、前記記録ヘッドに対して印加する加熱手段を含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
- 前記吐出回復処理は、記録ヘッドから記録に関与しないインクを吐出させるものであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
- 前記吐出回復処理は、記録ヘッドの少なくとも吐出口が配設された面をブレードによってワイピングする処理であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
- 前記吐出回復処理は、前記複数の記録ヘッド内のインクを流動させて吐出口から排出させるものであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
- 複数のインク吐出口と、インクを吐出するための複数の電気熱変換体とを備える記録ヘッドを被記録材の記録領域に対して走査させる走査手段と、前記走査手段による前記記録ヘッドの走査方向と直交する方向へ前記被記録材を搬送させる搬送手段と、を含み、前記記録ヘッドの走査と前記被記録材の搬送とを繰り返して前記被記録材に画像を記録するとともに、前記被記録材の1回当たりの搬送長さが小さいほど、1回の走査で前記記録ヘッドから吐出されるインク量が少なくなるインクジェット記録装置におけるインクジェット記録方法において、
前記記録ヘッドの吐出回復処理を行う吐出回復工程と、
前記記録ヘッドの周囲温度を検出する環境温度検出工程と、
前記記録ヘッドの温度を検出する温度検知工程と、
前記記録ヘッドによる記録動作の途中で前記吐出回復工程によって前記記録ヘッドの吐出回復処理を行った後、前記記録ヘッドによる記録動作再開までの間に、制御温度と前記記録ヘッドの温度との比較結果に基づいて前記記録ヘッド内のインクの温度を制御する温度制御工程と、
を含み、
前記温度制御工程は、前記記録ヘッドの周囲温度と前記搬送手段による前記被記録材の1回当たりの搬送長さとに応じた前記制御温度と、前記記録ヘッドの温度と、を比較し、前記記録ヘッド内のインク温度を前記制御温度に到達させるように制御することを特徴とするインクジェット記録方法。 - 前記設定工程では、前記記録ヘッドの周囲温度が低いほど前記制御温度を低くすることを特徴とする請求項9に記載のインクジェット記録方法。
- 前記設定工程では、前記前記搬送手段による前記被記録材の1回当たりの搬送長さが短いほど、前記制御温度を低くすることを特徴とする請求項9または10に記載のインクジェット記録方法。
- 前記記録ヘッドを、前記被記録材の送り方向と直交する方向に複数回走査して画像を形成することを特徴とする請求項9ないし11のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
- 前記温度制御工程では、前記記録ヘッドの複数のインク吐出口からインクを吐出するには至らない程度に小さいエネルギーのパルスを、前記記録ヘッドに対して印加することを特徴とする請求項9ないし12のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
- 前記吐出回復処理は、記録ヘッドから記録に関与しないインクを吐出させるものであることを特徴とする請求項9ないし13のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
- 前記吐出回復処理は、記録ヘッドの少なくとも吐出口が配設された面をブレードによってワイピングする処理であることを特徴とする請求項9ないし13のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
- 前記吐出回復処理は、前記複数の記録ヘッド内のインクを流動させて吐出口から排出させるものであることを特徴とする請求項9ないし13のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
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