JP4011525B2 - ハイブリッド車両の動力伝達装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は動力源としてエンジンと電動モータとを併用したハイブリッド車両の動力伝達装置に関し、特に、前輪と後輪とに動力を伝達し得るようにした四輪駆動用の車両に適用して好適な動力伝達装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の動力源としてガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関と電動モータとを併用したハイブリッド車両の駆動方式には、シリーズ式とパラレル式とシリーズ・パラレル式とがある。シリーズ式はエンジンにより発電機を駆動して発電された電力をバッテリに充電し、電動モータにより車両を駆動するようにした車両であり、エンジンは発電のために使用される。パラレル式はエンジンを主として車両走行用の駆動源として使用し、エンジンに負荷がかかる発進時や加速時に電動モータにより駆動力を補助するようにした車両であり、エンジン効率が悪い軽負荷時には電動モータを発電機に変えてバッテリの充電を行うようにしている。
【0003】
一方、シリーズ・パラレル式は、エンジンと電動モータとに加えて発電機を有する車両であり、車両の駆動は走行状態に応じてエンジンによる駆動と電動モータによる駆動と両方の駆動源による駆動とのいずれかに切り換えられ、エンジンと電動モータとを効率の良い条件で使用することができる。この駆動方式の車両においては、駆動トルクが要求される発進時には電動モータを用いて車両を駆動し、車速が上昇するとエンジンによって車両を駆動し、登坂時などの高負荷時には電動モータとエンジンとによって車両を駆動しており、エンジンの低負荷時には走行しながら発電することができる。このようなハイブリッド車両においては、走行状態に応じて充分なエンジン出力を得るために、エンジン出力を変速機を介して出力軸に伝達するようにしたハイブリット車両が開発されている(特許文献1)。
【0004】
前輪と後輪の両方に動力を伝達することができるようにしたハイブリッド車両の四輪駆動装置としては、たとえば、特許文献2に開示されるように、車両床板のトンネル部内に電動モータを組み込むようにしたものが開発されている。
【0005】
【特許文献1】
特許第3286619号公報
【0006】
【特許文献2】
特開平11−99838号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
四輪駆動車にあっては、前輪と後輪のトルク配分を行うために、ビスカスカップリングや電子制御カップリングなどのトルク配分機構が車両に搭載される。このトルク配分機構を変速機と電動モータとの間に配置するようにすると、トルク配分機構の出力軸を後輪用のプロペラシャフトに連結するために、電動モータを迂回させて出力軸を設けなければならない。このため、四輪駆動装置の上下方向あるいは幅方向の寸法が大きくなってしまい、装置の大型化が避けられない。
【0008】
前輪のみを駆動するようにした2WD車両においては、トルク配分機構は搭載されないので、このトルク配分機構を変速機と電動モータとの間に配置するようにした構造の動力伝達装置の構成部材を前輪駆動用の車両に搭載することはできない。このため、前輪駆動用の車両と四輪駆動用の車両の動力伝達装置を製造する場合には、それぞれの車両に対応させて多数の部品を用意しておく必要があるので、車両の製造コストを高める要因となる。
【0009】
本発明の目的は、四輪駆動用に用いるハイブリッジ車両の動力伝達装置を小型化することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、前輪駆動用の部品を共用して低コストで四輪駆動用のハイブリッド車両の動力伝達装置を製造し得るようにすることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のハイブリッド車両の動力伝達装置は、縦置き型エンジンと電動モータを動力源とし、前輪および後輪に動力を伝達するハイブリッド車両の動力伝達装置であって、前記エンジンのクランク軸に入力クラッチを介して連結される変速機入力軸、および変速要素を介して前記変速機入力軸に連結される前輪出力軸を備える変速機と、前記入力クラッチおよび前記変速機を組み込むギヤケースと、前記電動モータのロータが固定され、一方の連結端部が前記前輪出力軸の基端部に連結されるモータシャフトと、前記電動モータのステータが固定され、前記ギヤケースに取り付けられるモータケースと、前記前輪に伝達されるトルクと前記後輪に伝達されるトルクを配分するトルク配分機構と、前記トルク配分機構を組み込み、前記モータケースに取り付けられるトランスファーケースと、前記前輪出力軸の先端部に連結され、左右の前記前輪に動力を伝達する前輪用の差動歯車機構と、前記モータシャフトの他方の連結端部に連結され、プロペラシャフトに動力を伝達する後輪出力軸と、前記プロペラシャフトに連結され、左右の前記後輪に動力を伝達する後輪用の差動歯車機構とを有することを特徴とする。
【0012】
本発明のハイブリッド車両の動力伝達装置は、前記前輪出力軸と前記モータシャフトとの回転中心を一致させて前記前輪出力軸と前記モータシャフトとを同心状に配置することを特徴とする。
【0013】
本発明においては、上述のようにギヤケースにモータケースが取り付けられ、モータケースにトランスファーケースが取り付けられるので、縦置き型エンジンとギヤケースとモータケースとトランスファーケースとがこの順で直列に配置されることになる。
【0014】
本発明にあっては、モータシャフトの一方の連結端部に前輪出力軸を連結し、他方の連結端部に後輪出力軸を連結したので、後輪出力軸を電動モータを迂回させて配置することが不要となり、動力伝達装置の上下方向や左右方向の寸法を短くすることができ、装置の小型化を達成することができる。特に、エンジン縦置きの車両に搭載する動力伝達装置においては、トルク配分機構を変速機と電動モータとの間に配置するようにした場合に比して、ギヤケースの車両進行方向の寸法を短くすることができ、ギヤケースが配置されるトンネル部の長さや幅を小さくして車室内空間を広く設定することができる。
【0015】
前輪に伝達されるトルクと後輪に伝達されるトルクを配分するトルク配分機構は、後輪出力軸と後輪用の差動機構との間に装着されることになり、トルク配分機構を変速機に隣接してギヤケース内に組み込む場合に比してギヤケースを小型化できる。
【0016】
トルク配分機構は後輪出力軸と後輪用の差動機構との間に装着され、変速機に隣接して配置することが不要となるので、四輪駆動用の動力伝達装置の構成部材を前輪駆動用の動力伝達装置としても共用することができ、車両の製造コストを低減することができる。
【0017】
前輪出力軸とモータシャフトを同心状に配置するようにしても良く、ずらして配置するようにしても良い。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態であるハイブリッド車両の動力伝達装置の前側部を示す概略図であり、図2は図1における2−2線に沿う拡大断面図であり、図3は図1の前側部に連結される動力伝達装置の後側部を示す概略図であり、図4は図3における4−4線に沿う方向から見た概略図である。
【0019】
この動力伝達装置は、変速機入力軸11と前輪出力軸12とが相互に平行となって回転自在に組み込まれるギヤケース10を有し、変速機出力軸である前輪出力軸12と変速機入力軸11は変速機9を構成している。ギヤケース10はエンジンルーム内に搭載されたエンジン13の後方に配置され、エンジン13は縦置きつまりクランク軸14が車両の進行方向を向くようにエンジンルーム内に搭載され、この動力伝達装置は縦置きとなって車両に搭載される。ギヤケース10内には電動機つまりモータとしての機能を有するジェネレータつまり発電機15が組み込まれており、発電機15はクランク軸14に取り付けられるロータ15aと、ロータ15aを囲むようにギヤケース10に固定されるステータ15bとを有している。
【0020】
ロータ15aの回転中心部には、エンジン出力軸16が回転自在に装着され、このエンジン出力軸16はロータ15aの内部の空間に組み込まれるダンパ17を介してロータ15aに連結されており、クランク軸14のエンジン動力は、ダンパ17により振動が減衰されてエンジン出力軸16に伝達される。これにより、発電機15のロータ15aとエンジン出力軸16とがエンジン13によって駆動される。エンジン出力軸16と変速機入力軸11との間には、入力クラッチ18が設けられており、入力クラッチ18が締結されるとエンジン動力は変速機入力軸11に伝達され、締結が解放されるとエンジン動力の伝達が遮断される。入力クラッチ18はエンジン出力軸16に固定されるクラッチハブ21と、変速機入力軸11に固定されるクラッチドラム22とを有し、クラッチハブ21には複数のクラッチプレート21aが装着され、クラッチドラム22にはクラッチプレート21aに係合する複数のクラッチプレート22aが装着されている。クラッチプレート21a,22aを相互に密着して係合させる締結状態と、係合を解いてクラッチ解放状態とさせるために、電磁コイル23がギヤケース10内に組み込まれている。
【0021】
変速機入力軸11にはこれに回転自在に2つの駆動歯車24a,25aがそれぞれ装着され、それぞれの駆動歯車24a,25aと常時噛み合う2つの被駆動歯車24b,25bが前輪出力軸12に固定され、それぞれ変速要素としての低速段側の変速歯車列24と高速段側の変速歯車列25が変速機入力軸11と前輪出力軸12との間に装着されている。変速機入力軸11の回転を変速歯車列24を介して前輪出力軸12に伝達する状態と、変速歯車列25を介して前輪出力軸12に伝達する状態と、動力の伝達を遮断する状態とに切り換えるために、切換クラッチ26が変速機入力軸11に設けられている。この切換クラッチ26としてはシンクロメッシュ機構が用いられており、変速機入力軸11に固定される切換ハブ26aと、切換ハブ26aに対して軸方向に移動自在に装着される切換スリーブ26bとを有している。これにより、切換スリーブ26bを駆動歯車24aに設けられたクラッチギヤに噛み合わせると低速段側の変速歯車列24を介して変速機入力軸11から前輪出力軸12に動力が伝達され、切換スリーブ26bを駆動歯車25aに設けられたクラッチギヤに噛み合わせると高速段側の変速歯車列25を介して動力が伝達され、切換スリーブ26bを中立位置に設定すると動力伝達は遮断される。なお、シンクロメッシュ機構を構成するシンクロナイザーリングは図示省略されている。
【0022】
ギヤケース10内にはモータ入力軸27が回転自在に装着され、このモータ入力軸27に固定された駆動歯車28は前輪出力軸12に固定された被駆動歯車29に噛み合っている。図2に示すように、モータ入力軸27と前輪出力軸12は車幅方向にずれており、図1においては作図の便宜上、駆動歯車28とモータ入力軸27は破線により示されている。
【0023】
ギヤケース10にはモータケース30が取り付けられ、このモータケース30内には発電機としての機能を有する電動モータ31が組み込まれており、電動モータ31はロータ31aと、ロータ31aを囲むようにモータケース30に固定されるステータ31bとを有している。ロータ31aに設けられたモータシャフト32はロータ31aの両端からそれぞれ突出する連結端部33,34を有しており、それぞれの連結端部33,34にはスプライン孔が形成されている。一方の連結端部33はモータ入力軸27に設けられたスプライン部に結合されている。したがって、モータ動力は常時噛合い式の2つの歯車28,29を介して前輪出力軸12に伝達される。
【0024】
前輪出力軸12の先端部には終減速小歯車であるドライブピニオン歯車35が設けられ、この歯車35に噛み合う終減速大歯車であるリング歯車36がギヤケース10に回転自在に設けられており、リング歯車36はフロントデファレンシャルつまり前輪用の差動歯車機構37に装着されている。したがって、前輪出力軸12に伝達された動力は、リング歯車36に入力され前輪用の差動歯車機構37を介して車軸38に伝達され、車軸38により左右の前輪が駆動される。
【0025】
モータケース30にはトランスファーケース40が取り付けられ、このトランスファーケース40内には後輪出力軸41が回転自在に装着され、この後輪出力軸41はモータシャフト32の他方の連結端部34に設けられたスプライン孔に結合されている。トランスファーケース40内には後輪出力軸41に平行に動力伝達軸42が回転自在に装着され、動力伝達軸42には後輪出力軸41の動力が中間軸44を介して伝達されるようになっている。後輪出力軸41に固定された駆動歯車43aは中間軸44に固定された中間歯車43bに噛合い、中間軸44に固定された他の中間歯車43cは動力伝達軸42に固定された被駆動歯車43dに噛み合っている。
【0026】
トランスファーケース40内にはトルク配分機構として電子制御式のカップリ45が組み込まれている。このカップリング45は動力伝達軸42のスプライン部に結合される入力側軸46を備え、この入力側軸46に固定されたハブ47には摩擦プレート47aが装着されている。摩擦プレート47aに接触する摩擦プレート48aがドラム48に装着され、このドラム48は出力側軸49に固定されている。出力側軸49にはスプライン部が設けられ、このスプライン部にはジョイント51が装着される。トランスファーケース40内には電磁コイル50が組み込まれており、電磁コイル50に供給される電流を制御することにより、摩擦プレート47a,48b相互の押し付け力が調整され、前輪に伝達される動力と後輪に伝達される動力のトルク配分を変化させることができる。
【0027】
図3に示されるように、出力側軸49はプロペラシャフト52を介してリアデファレンシャルつまり後輪用の差動歯車機構53に連結されるようになっており、プロペラシャフト52の一端にはジョイント51に固定されるジョイント54aが設けられている。図4に示されるように、差動歯車機構53は車体に搭載されるデファレンシャルキャリア55を有し、このキャリア55内にはデファレンシャルケース56が組み込まれている。このケース56にはプロペラシャフト52の他端に固定されたジョイント54bに連結されるジョイント57が設けられた駆動軸58が回転自在に装着され、この駆動軸58に設けられたドライブピニオン歯車58aが噛み合うリング歯車59がデファレンシャルケース56に取り付けられている。
【0028】
デファレンシャルケース56にはそれぞれ後輪に連結される車軸61a,61bが回転自在に装着され、それぞれの車軸61a,61bには傘歯車からなるサイド歯車62a,62bが固定され、デファレンシャルケース56に固定されたピニオンシャフト63にはそれぞれサイド歯車62a,62bに噛み合うピニオン歯車64a,64bが回転自在に装着されている。これにより、車両の直進走行時にはピニオン歯車64a,64bは回転することなく、リング歯車59の回転をサイド歯車62a,62bに伝達する一方、旋回時などのように左右の後輪の抵抗が相違すると、ピニオン歯車64a,64bは自転して左右の後輪の回転速度差を吸収する。なお、前輪用の差動歯車機構37も図3および図4に示す後輪用の差動歯車機構53と同様の構造となっている。
【0029】
上述した動力伝達装置が搭載されたハイブリッド車両は、エンジン13と電動モータ31に加えて発電機15を有し、車両の駆動は走行状態に応じてエンジン13と電動モータ31のいずれか一方による駆動と、両方による駆動とのいずれかに切り換えられる。たとえば、駆動トルクが要求される発進時には電動モータ31を用いて車両を駆動し、車速が上昇するとエンジン13によって車両を駆動し、登坂時などの高負荷時には電動モータ31とエンジン13とによって車両を駆動する。また、エンジンの低負荷時には走行しながら発電機15のロータ15aにより発電し、発電された電力エネルギーをバッテリに充電することができる。エンジン始動時には発電機15を電動モータとして機能させてクランク軸14を回転させることができ、さらに制動時には電動モータ31を発電機として機能させることにより、回生エネルギーにより発電された電力をバッテリに充電することができる。
【0030】
エンジン動力を前輪に伝達するには、入力クラッチ18を解放状態として発電機15を電動モータとして機能させてエンジンを始動させた状態のもとで、入力クラッチ18を締結状態とするとともに、切換スリーブ26bを低速段と高速段の一方の駆動歯車に噛み合わせる。これにより、エンジン動力つまりエンジントルクは変速機入力軸11から一方の変速歯車列24,25を介して前輪出力軸12に伝達され、前輪出力軸12から前輪用の差動歯車機構37を介して前輪にエンジン動力が伝達される。一方、モータ動力は歯車28,29を介して前輪出力軸12に伝達されるので、ステータ31bに設けられたコイルに電流を供給することによってモータシャフト32は電動モータ31により駆動され、モータ動力のみあるいはエンジン動力に加えてモータ動力を前輪に伝達することができる。
【0031】
モータシャフト32は歯車28,29により前輪出力軸12に連結されているので、エンジン動力が前輪出力軸12に伝達されるときには、エンジン動力はモータシャフト32にも伝達される。そして、モータシャフト32は後輪出力軸41に連結されているので、エンジン動力はモータシャフト32を介して後輪出力軸41に伝達され、プロペラシャフト52および後輪用の差動歯車機構53を介してエンジン動力が後輪に伝達される。一方、モータ動力はモータシャフト32に直接伝達されるので、モータ動力のみあるいはこれに加えてエンジン動力が後輪に伝達される。
【0032】
前輪に伝達されるトルクと後輪に伝達されるトルクの配分は、トルク配分機構としてのカップリング45の電磁コイル50に対する通電量を調整することによって、100:0〜直結の範囲において任意の配分に設定される。100:0は動力を前輪のみに伝達した状態であり、直結状態は入力側軸46と出力側軸49とを直結した状態である。トルク配分機構としては、図1に示すタイプのカップリング45以外に、油圧式カップリングやビスカスカップリングなど種々のタイプのトランスファー機構を用いることができる。
【0033】
図1に示すように、変速機9が内蔵されたギヤケース10に、電動モータ31が組み込まれたモータケース30を取り付け、モータシャフト32の一端部に設けられた連結端部33に前輪出力軸12を連結し、他端部に設けられた連結端部34に後輪出力軸41を連結し、さらにモータケース30に取り付けられたトランスファーケース40内にトルク配分機構が組み込まれているので、変速機9と電動モータ31との間にトルク配分機構を配置するようにした場合のように電動モータ31を迂回させて配置されるシャフトにより後輪に動力を伝達することが不要となり、動力伝達装置の上下方向や左右方向の寸法を短くすることができ、装置の小型化を達成することができる。特に、この動力伝達装置をエンジン縦置きの車両に搭載する場合には、トルク配分機構を変速機9と電動モータ31との間に配置するようにした場合に比して、ギヤケース10の車両進行方向の寸法を短くすることができ、ギヤケース10が配置される車両のトンネル部の長さや幅を小さくして車室内空間を広く設定することができる。
【0034】
しかも、トランスファーケース40をモータケース30に装着することなく、モータケース30の端部をカバーにより覆うようにすれば、ギヤケース10およびモータケース30とこれらの内部に組み込まれた部材を、変速機9と電動モータ31を備えた2WDつまり前輪駆動用の動力伝達装置としても使用することができる。したがって、前輪駆動用車両と四輪駆動用車両を共通の部材により組み立てることができ、車両の製造コストを低減することができる。
【0035】
図5は本発明の他の実施の形態である動力伝達装置の前側部を示す概略図であり、図5においては図1に示された部材と共通する部材には同一の符号が付されている。図5に示すように、この動力伝達装置においては、前輪出力軸12の基端部にはスプライン部が設けられ、このスプライン部にモータシャフト32の一方の連結端部33が直接連結されている。したがって、前輪出力軸12とモータシャフト32は両者の回転中心が一致して同心状に配置されている。また、トランスファーケース40も図5に示すように、モータシャフト32の一方の連結端部34が直接入力軸46に連結されている。図1に示すタイプと図5に示すタイプの動力伝達装置のいずれを選択するかは、搭載される車体のレイアウトによって行われる。なお、図5に示すジョイント51には図1に示す場合と同様に図3に示すプロペラシャフト52が連結される。
【0036】
トルク配分機構を収容するトランスファーケース40は、図1および図5に示すようにモータケース30に取り付けるようにしても良く、プロペラシャフト52の中間部に取り付けるようにしても良く、さらにはプロペラシャフト52と後輪用の差動歯車機構53との間に取り付けるようにしても良い。
【0037】
図6は本発明の他の実施の形態である動力伝達装置の後側部を示す概略図であり、図6においては図3に示された部材と共通する部材には同一の符号が付されている。この動力伝達装置においては、モータケース30に取り付けられるエクステンションカバー65内に後輪出力軸41と動力伝達軸42が収容され、動力伝達軸42にプロペラシャフト52が連結されている。このプロペラシャフト52は前側部52aと後側部52bとに2分割され、これらの間にトランスファーケース40aが取り付けられている。つまり、トランスファーケース40aはプロペラシャフト52の中間部に設けられており、図示しない車体に固定されている。
【0038】
トルク配分機構としてのカップリング45は図1に示したものと同様であり、入力側軸46は連結軸66によりプロペラシャフト52の前側部52aに連結され、出力側軸49はこれにスプライン結合されるジョイント67により後側部52bに連結されている。このように、トルク配分機構をプロペラシャフト52の中間部に設けることにより、ギヤケース10とモータケース30とにより組み立てられる部分の容積を小さくすることができる。
【0039】
図7は本発明の他の実施の形態である動力伝達装置の後側部を示す概略図であり、図7においては図3に示された部材と共通する部材には同一の符号が付されている。この動力伝達装置においては、図6に示したものと同様に、モータケース30に取り付けられるエクステンションカバー65内に後輪出力軸41と動力伝達軸42が収容され、動力伝達軸42にプロペラシャフト52が取り付けられている。このプロペラシャフト52と後輪用の差動歯車機構53との間にはトランスファーケース40bが取り付けられ、このケース40b内にはトルク配分機構としてビスカスカップリング68が設けられている。
【0040】
トランスファーケース40bにはドライブピニオン歯車58aが固定されており、トランスファーケース40bにはプロペラシャフト52に連結されるインナーシャフト71が組み込まれており、ケース40bとインナーシャフト71との間には、インナーシャフト71に取り付けられたインナープレート71aとケース40bに取り付けられたアウタープレート69とが交互に複数枚配置されるとともにシリコンオイルが充填されている。このタイプのカップリング68を有する動力伝達装置にあっては、通常は前輪に動力を伝達して車両を走行し、低μ路面で前輪がスリップした場合などのように、前輪が後輪よりも高回転となったときには、後輪にもトルクが伝達されることになる。
【0041】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。たとえば、図示した動力伝達装置は、エンジン縦置きの車両に搭載されているが、クランク軸が車幅方向となるようにエンジンを横置きにしたタイプの車両にもこの動力伝達装置を搭載するようにしても良い。また、トルク配分機構としては、前述したカップリングに限られず、種々のタイプのものを用いることができる。さらに、図示する変速機9は低速段用と高速段用の2つの変速歯車列24,25を有する歯車式の変速機であるが、変速機としては無段変速機(CVT)を用いるようにしても良い。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、動力伝達装置の幅寸法を短くすることができ、装置の小型化を達成することができる。特に、エンジン縦置きの車両に搭載する動力伝達装置においては、ギヤケースが配置されるトンネル部の長さや幅を小さくして車室内空間を広く設定することができる。
【0043】
トルク配分機構は後輪出力軸と後輪用の差動機構との間に装着され、変速機に隣接して配置することが不要となるので、四輪駆動用の動力伝達装置の構成部材を前輪駆動用の動力伝達装置としても共用することができ、車両の製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態であるハイブリッド車両の動力伝達装置の前側部を示す概略図である。
【図2】図1における2−2線に沿う拡大断面図である。
【図3】図1の前側部に連結される動力伝達装置の後側部を示す概略図である。
【図4】図3における4−4線に沿う方向から見た概略図である。
【図5】本発明の他の実施の形態である動力伝達装置の前側部を示す概略図である。
【図6】本発明の他の実施の形態である動力伝達装置の後側部を示す概略図である。
【図7】本発明の他の実施の形態である動力伝達装置の後側部を示す概略図である。
【符号の説明】
9 変速機
10 ギヤケース
11 変速機入力軸
12 前輪出力軸
13 エンジン
14 クランク軸
24,25 変速歯車列(変速要素)
30 モータケース
31 電動モータ
32 モータシャフト
33,34 連結端部
37 前輪用の差動歯車機構
41 後輪出力軸
45 カップリング(トルク配分機構)
53 後輪用の差動歯車機構
Claims (2)
- 縦置き型エンジンと電動モータを動力源とし、前輪および後輪に動力を伝達するハイブリッド車両の動力伝達装置であって、
前記エンジンのクランク軸に入力クラッチを介して連結される変速機入力軸、および変速要素を介して前記変速機入力軸に連結される前輪出力軸を備える変速機と、
前記入力クラッチおよび前記変速機を組み込むギヤケースと、
前記電動モータのロータが固定され、一方の連結端部が前記前輪出力軸の基端部に連結されるモータシャフトと、
前記電動モータのステータが固定され、前記ギヤケースに取り付けられるモータケースと、
前記前輪に伝達されるトルクと前記後輪に伝達されるトルクを配分するトルク配分機構と、
前記トルク配分機構を組み込み、前記モータケースに取り付けられるトランスファーケースと、
前記前輪出力軸の先端部に連結され、左右の前記前輪に動力を伝達する前輪用の差動歯車機構と、
前記モータシャフトの他方の連結端部に連結され、プロペラシャフトに動力を伝達する後輪出力軸と、
前記プロペラシャフトに連結され、左右の前記後輪に動力を伝達する後輪用の差動歯車機構とを有することを特徴とするハイブリッド車両の動力伝達装置。 - 請求項1記載のハイブリッド車両の動力伝達装置において、前記前輪出力軸と前記モータシャフトとの回転中心を一致させて前記前輪出力軸と前記モータシャフトとを同心状に配置することを特徴とするハイブリッド車両の動力伝達装置。
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