JP4011406B2 - 使い捨てカイロ用表面材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、使い捨てカイロの表面材、より具体的には生分解性材料などにより繊維の配向を異方向にした不織布によって形成することにより、環境保全性、並びに、保水性にも優れ良好な風合いと強さを兼ね備えた表面材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、使い捨てカイロの表面材としては、特公平5−56912号に示されているように、ナイロン等の合成繊維を使用した不織布が多用されているが、肌触りがわるい、保水性が低いなどの難点が指摘され、また、環境保全の面から見ても、使用済後の処理に問題が残っている。
【0003】
即ち、使い捨てカイロ用の表面材としては、そのカイロ自体が使い捨てタイプであるため、一般焼却が可能であり、その際、悪臭や有毒ガスが発生しない自然環境の保全に寄与できる表面材の使用が要請され、この点に鑑み、埋立て処理しても、土中の微生物による分解される自然分解性の表面材として、セルロース系繊維からなる不織布の使用も試みられているが、未だ強度が十分でない等、使い捨てカイロとしての使い勝手の面で問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、使い捨てカイロ用の表面材の上記のような問題点を解消し、保水性に優れて風合いも良好であり、使用に際して十分な強度を発揮し、使用後の処理においても環境面での問題が生じない使い捨てカイロ用の表面材を提供することを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決することを目的としてなされた本発明使い捨てカイロ用表面材の構成は、セルロース系短繊維からなる不織布であって、該セルロース系短繊維の配向を交叉角が約 10 度〜約 90 度の異方向にした繊維からなる不織布を複数枚積層したことを特徴とするものである。
【0006】
また、本発明表面材において、セルロース系短繊維からなる不織布を積層したものでは、該セルロース系短繊維の配向を交叉角が約 10 度〜約 90 度の異方向にした繊維からなる不織布の層と、配向が同一方向のセルロース系短繊維からなる不織布の層とを積層した構成の使い捨てカイロ用の表面材とすることにより、さらに強度を高めると共に良好な風合いのものにすることができる。
【0007】
本発明において、繊維の配向を互に交叉した異方向にするには、配向が同一方向であるセルロース系短繊維のウエブをクロスラッパーにかけて異方向にする。また、本発明で用いるセルロース系短繊維には、精製セルロース繊維、或は、レーヨンやキュプラ等の再生セルロース系繊維、若しくは、麻や綿などの天然セルロース系繊維などがある。これらのセルロース系短繊維を用いた不織布は、水流交絡法などにより製造することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明使い捨てカイロ用表面材の詳細について説明する。
本発明表面材に使用する不織布を製造するためのセルロース系短繊維としては、綿,麻等の天然セルロース系繊維、レーヨン,キュプラ等の再生セルロース系繊維、精製セルロース繊維の例であるリヨセル(商品名:テンセル等)などがあるが、これらの中でも強度の点からいえば精製セルロース繊維を用いることが好ましい。
【0009】
また、本発明表面材に用いる不織布の材料としては、上記のセルロース系短繊維に、ポリエステル,ナイロン等の合成繊維の短繊維、又は、羊毛などを混紡したものでもよいが、いずれの場合にもセルロース系短繊維の配合量は10重量%以上、好ましくは、50重量%以上であることが望ましい。表面材としての風合いと剛直さとのバランスをとるためである。
【0010】
本発明表面材に用いる不織布では、セルロース系短繊維の配向を異方向にした繊維により形成する。ここで、異方向とは、図1,図2に例示するように、互いに異なる方向に配向された繊維が、交叉角度を約10〜約180度未満、好ましくは約50〜約110度とするものをいう。交叉角度はほぼ90度に近いほど強度の点から好ましい。また、交叉角度が約50度未満、或は、約110度を超えると、約50〜110度のものに比べ強度が少し落ちる。
【0011】
本発明表面材に用いる不織布の目付けは、30〜80g/m2とするのが好ましい。30g/m2未満では、強度が不足し、80g/m2以上ではコストの面から好ましくないからである。
【0012】
また、不織布の厚みは0.25〜0.5mm程度にするのが好ましい。厚みが0.25mm未満では、風合いと強度の面で問題があり、0.5mm以上では風合いが良くなく剛直度も大き過ぎる。
【0013】
本発明表面材は、異方向の繊維からなる不織布のみでその表面材を形成してもよいが、この異方向の繊維からなる不織布に同方向の繊維からなる不織布を積層したもので形成してもよい。又、同方向と異方向の繊維による不織布の層を適宜複数組み合せてもよい。この場合において、使い捨てカイロの表面材として使用する際の外層を異方向の繊維からなる不織布の層とし、内層に同方向の繊維からなる不織布を積層することが好ましい。この層構成より、外層で使用時に受ける破損に対する抵抗力を持たせることができる一方、内層で断熱性等を持たすことができる。
【0014】
次に、本発明表面材に用いる不織布の製造方法について、図3を参照して説明する。
図には表されていないが、セルロース系短繊維の繊維塊を分離してコンベア上に積層してウエブを形成し、その後、カード1を通して繊維の配向を同方向(一軸配列)のウエブ2を形成する。このウエブ2をクロスラッパー3を通すことにより、前記ウエブ2の流れを90度変更すると同時に、ウエブの繊維が異方向に交互に積層されたウエブ4に形成し、コンベアC1により図3の右方に移送する。この時、ウエブ4にはドラフトをかけるのが望ましい。
【0015】
クロスラッパー3を通して積層した直後のウエブ4は、図1に示すように、ウエブ2の幅も、繊維の交叉幅P1〜P2=Ammと交叉角α1も小さい(90度以下)が、ドラフトをかけた後のウエブ4は図2に示すように、ウエブ2の元の幅が図の例では2倍程度に拡大し、この繊維の交叉幅P′1〜P′2=A′mmも2倍程度になり、かつ、交叉角α′1もほぼ90度に近くなる。このようにクロスラッパー3を通して異方向に交互に積層した後のウエブ4にドラフトをかけることにより、ウエブ4のランダム方向での強度を向上させることができる。
【0016】
一方、図3における繊維の配向が同一方向のウエブは、別のカード5を通して一軸配列のウエブ6に形成したまま前記のウエブ4と同じ方向にコンベアC2により移送する。配向が異方向の繊維によるウエブ4と配向が同方向の繊維によるウエブ6は、図示しないが、移送先において積層されることにより、本発明表面材の一例に形成される。
【0017】
ここで、各ウエブ4,6の繊維間を結合するには、種々の製法、例えば、湿式法,乾式法,スパンレース法,ニードルパンチ法等が使用できるが、スパンレース法が、生産性や接着剤等の薬剤を使用しなくてもよいため好ましい。
【0018】
(実施例)
次に、本発明表面材の実施例について説明する。
繊維長30〜60mmのテンセル短繊維を解繊してコンベア上でウエブとし、クロスラッパーで前記コンベアの移動方向の直角方向に移動中の第2コンベア上に振り落とした。第2コンベアによる移動中に、ドラフトをかけ、交叉角が約90度をなす異方向の繊維からなるウエブとした。その後、第3のコンベアから送られて来る同一方向に配向させた短繊維のウエブを、上記の第2コンベア上の異方向繊維からなる短繊維ウエブに積層して、目付を40g/m2に積層したウエブを水流交絡法により交絡させて本発明使い捨てカイロ用表面材の一例を製造した。
【0019】
上記で製造した本発明使い捨てカイロ表面材の物性は下記の通りであった
目付(g/m2) 40
厚み(mm) 0.26
引張強度(N/5cm)経 0.47
緯 0.85
【0020】
上記特性の本発明使い捨てカイロ表面材を用いて、次の要領で使い捨てカイロを作成した。即ち、上記表面材の不織布に通気性膜となる有孔フィルムを張り合わせて、複合化した包材とし、これに発熱組成物を収容して封止し貼付タイプの使い捨てカイロを作成した。この使い捨てカイロを実際に貼付して使用したところ、肌触り感は良好であり、またシール強度がアップしたため破損もしにくくなった。
【0021】
次に、本発明使い捨てカイロ用表面材と現行品の表面材との特性を比較してみた。
現行品の表面材 本発明表面材
材料 ナイロン セルロース繊維(リヨセル)
目付(g/m2) 39.7 40.6
シール強度(N/15mm) 縦 0.124 0.143
横 0.126 0.121
剛直度(mm) 68.5 48.0
比較の結果、本発明表面材は、横方向のシール強度は現行品のそれと殆んど変らないが、縦方向シール強度が現行品よりも大きく、しかも剛直度は逆に小さい。これによって本発明表面材は、良好なシール性を発揮する一方で、肌触り感が良いという特性を発揮する。
【0022】
【発明の効果】
本発明表面材は、セルロース系短繊維の配向を異方向にした不織布を用いて形成したので、使い捨てカイロ用の表面材として、以下の優れた効果がある。
(1) 肌触りがよく、保水性にも優れる。
(2) 通気性膜とのシール性がよい。
(3) 発熱剤が発熱開始とともに通気性膜に密着し、その発熱剤を移動しにくくすることができる。
(4) 短繊維に精製セルロースを使用すると、特に強度に優れた表面材から得られる。
(5) 一軸配列のウエブをクロスラッパーにより異方向配列となるように積層しているから、表面材として強度が一段と優れる。
(6) 積層タイプの表面材では、生分解性のセルロース繊維(綿,レーヨン,リヨセル,パルプなど)も使用可能である。
(7) 特に、生分解性のセルロース系短繊維を用いたものでは、使用済み後に、一般燃焼して問題ないことは勿論、埋立てしても問題がないという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 クロスラッパーを通した直後のウエブ4の部分を模式的に拡大した平面図。
【図2】 クロスラッパーを通した後、ドラフトをかけたウエブ4の部分を模式的に拡大した平面図。
【図3】 一軸配列のウエブ6と交叉配列のウエブ4の製造過程を模式的に示した平面図。
【符号の説明】
1,5 カード
2,6 一軸配列のウエブ
3 クロスラッパー
4 異方向配列のウエブ
C1,C2 コンベア
Claims (8)
- セルロース系短繊維からなる不織布であって、該セルロース系短繊維の配向を交叉角が約 10 度〜約 90 度の異方向にした繊維からなる不織布を複数枚積層したことを特徴とする使い捨てカイロ用表面材。
- セルロース系短繊維からなる不織布であって、該セルロース系短繊維の配向を交叉角が約 10 度〜約 90 度の異方向にした繊維からなる不織布の層と、配向が同一方向のセルロース系短繊維からなる不織布の層とを積層したことを特徴とする使い捨てカイロ用表面材。
- セルロース系短繊維が精製セルロース繊維(リヨセル)からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の使い捨てカイロ用表面材。
- セルロース系短繊維がレーヨン等の再生セルロース系繊維からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の使い捨てカイロ用表面材。
- セルロース系短繊維が綿などの天然セルロース系繊維からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の使い捨てカイロ用表面材。
- セルロース系短繊維が生分解性繊維であることを特徴とする請求項1乃至5に記載のいずれかの使い捨てカイロ用表面材。
- セルロース系短繊維の配向が同一方向であるウエブをクロスラッパーを通すことにより異方向に配向させて不織布を形成したことを特徴とする請求項1乃至6に記載のいずれかの使い捨てカイロ用表面材。
- 不織布を水流交絡法により製造したことを特徴とする請求項1乃至5又は7に記載のいずれかの使い捨てカイロ用表面材。
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