JP4010926B2 - 磁気記録装置およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フッ素と炭素とを含有する潤滑剤層を有する磁気記録媒体に関するものである。さらに、その磁気記録媒体を備えた磁気記録装置、その製造方法、磁気記録媒体の評価方法および評価装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ヘッドの浮上を伴う磁気記録装置(いわゆるハードディスクドライブ)はコンピュータや各種携帯情報端末、たとえばモバイルパーソナルコンピュータ、携帯電話、ゲーム機、デジタルカメラ、車載ナビゲーション等の外部記録装置として一般に広く使用されている。
【0003】
現在の磁気ディスクは、硬質非磁性基板上に良好な磁気特性を示すコバルト系の合金を薄膜磁性合金層として設けたものからなるが、磁性合金層は耐久性、耐蝕性に著しく劣るため、磁気ヘッドとの接触、摺動による摩擦、摩耗や湿気吸着による腐食発生のため磁気特性の劣化や機械的または化学的損傷が生じ易い。そこで現状では、磁性合金層表面に保護膜層を数nmの厚さで設け、さらにその直上を潤滑剤で被覆することで、耐久、耐蝕性の向上を図っている。
【0004】
上記保護膜層はSiO2やAl23など様々な材質が用いられるが、現状はアモルファス状の炭素系保護膜層が耐熱性、耐蝕性および耐摩耗性に優れている点から磁気記録媒体および磁気ヘッドの保護膜層として好適であるとされ、PVD法やCVD法など種々の方法によって作製されている。
【0005】
一方、潤滑剤はヘッドと磁気記録媒体との接触時における摩擦や磨耗を低減させることでヘッドクラッシュを防止するとともに、撥水表面を形成する性質により、大気中のコンタミネーションに起因する磁気記録層の腐食を抑制する役割がある。
【0006】
磁気記録媒体に用いられる潤滑剤は、入手や性能の面で−CF2O−(C24O)m−(CF2O)n−CF2−の主鎖を持つパーフルオロポリエーテル(PFPE)系ポリマーが一般的であり、保護膜層への付着性を高めるために末端には各種官能基が付与されることもある。保護膜層への付着性を高めるとは、潤滑剤が保護膜層表面に、物理的、化学的に引き付けられ、接触時における摩擦や磨耗によって容易に除去されがたい状態にすることを意味し、潤滑剤を構成するポリマーを保護膜層表面に平行に配向させることによって達成される場合が多い。潤滑剤の塗布方法としてはスピンコート法やスプレー法、気相蒸着法や浸漬法などが用いられる。
【0007】
ところで、近年の情報化社会ではあらゆる用途において取り扱う情報量が増大傾向にあり、これに伴って磁気ディスクに対しては、一層の高記録密度化、大容量化が切望されている。高記録密度化への要求に応えるためには、磁気記録層と磁気ヘッドの記録/読みとり部間の間隔、いわゆるマグネティックスペーシングを短縮することが不可欠であり、そのため磁気ヘッドの浮上量は年々縮小しており、さらには保護膜層自身の薄層化も進行している。
【0008】
しかしながら、保護膜層の薄膜化は微細な欠陥部の増加をもたらすため、湿気を有する雰囲気中では合金磁性層の腐食による磁気特性の劣化が生じるという欠点があり、記録媒体としての長期信頼性に問題が生じやすくなる。この劣化を防止する措置として保護膜層と磁気記録層との間に不動態層を設け、耐腐食性を向上させることが提案されている(たとえは特許文献1参照。)。しかしながら不動態層の存在は、マグネチックスペーシングの増加をもたらし、磁気記録媒体の高記録密度化の弊害となり得る。
【0009】
【特許文献1】
特開平7−320257号公報(特許請求の範囲)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような問題点を解決し、耐蝕性と高記録密度性とを同時に実現する磁気記録媒体技術を提供することを目的とする。
【0011】
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになるであろう。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の一態様によれば、基板上に磁性層と炭素を含有する保護膜層と潤滑剤層とを順次積層してなる磁気記録媒体を備えた磁気記録装置において、当該潤滑剤層に使用された潤滑剤が、主鎖にパーフルオロアルキレン結合とパーフルオロポリエーテル結合との少なくともいずれか一方を有するポリマーを含む潤滑剤であり、同軸型直衝突イオン散乱分光法により、15°のイオンビーム入射角度で、ヘリウムイオンを2keVで磁気記録媒体表面に照射し、散乱した当該ヘリウムイオンのエネルギー変化を測定することによって得られる、当該磁気記録媒体表面のフッ素と炭素との原子数比(F/C比)が1.5以上である磁気記録装置が提供される。潤滑剤層の膜厚は2nm以下であることが好ましい。
【0013】
このような磁気記録装置では、記録密度の低下を抑制しつつ耐蝕性を著しく向上できる。
【0014】
本発明の他の一態様によれば、基板上に磁性層と、炭素を含有する保護膜層と、フッ素と炭素とを含有する潤滑剤層とを順次積層してなる磁気記録媒体を備えた磁気記録装置の製造方法において、潤滑剤の塗布と溶媒による洗浄との組み合わせを2回以上繰り返し行い、希ガスイオンを磁気記録媒体表面に照射し、散乱した当該希ガスイオンのエネルギー変化を測定することによって得られる、当該磁気記録媒体表面のフッ素と炭素との原子数比(F/C比)を所定の範囲内に調整することを含む磁気記録装置の製造方法が提供される。
【0015】
本発明の製造方法により、記録密度の低下を抑制しつつ耐蝕性が著しく向上した磁気記録媒体を備えた磁気記録装置が得られる。
【0016】
本発明のさらに他の一態様によれば、基板上に磁性層と、炭素を含有する保護膜層と、フッ素と炭素とを含有する潤滑剤層とを順次積層してなる磁気記録媒体の評価方法において、希ガスイオンを磁気記録媒体表面に照射し、散乱した当該希ガスイオンのエネルギー変化を測定することによって得られる、当該磁気記録媒体表面のフッ素と炭素との原子数比(F/C比)を潤滑剤層の被覆均一性の指標として用いる磁気記録媒体の評価方法が提供される。
【0017】
本発明の評価方法を採用すれば、記録密度の低下を抑制しつつ耐蝕性が著しく向上した磁気記録媒体を確実に得ることができる。
【0018】
本発明のさらに他の一態様によれば、希ガスイオンを磁気記録媒体表面に照射し、散乱した当該希ガスイオンのエネルギー変化を測定することによりF/C比を求める、磁気記録媒体の評価装置であって、磁気記録媒体のホルダーと希ガスイオンを発生するイオン源を具備するイオン照射部とを有し、磁気記録媒体に対するイオンビーム入射角度を0〜90゜の間で変更できる、磁気記録媒体の評価装置が提供される。
【0019】
本発明の評価装置により、上記評価を容易に行うことができる。
【0020】
なお、以下に説明する発明の実施の形態や図面の中で、本発明の更なる特徴が明らかにされる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図、実施例等を使用して説明する。なお、これらの図、実施例等および説明は本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の趣旨に合致する限り他の実施の形態も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。
【0022】
前記耐蝕性の問題点は保護膜層上に塗布される潤滑剤が保護膜層表面に理想的な状態、すなわち保護膜層表面で凝集状態にならず均一に濡れ広がらせることで解決できる。本発明における潤滑剤層の被覆均一性とはこのような濡れ広がりの良否を意味する。
【0023】
本発明に係る磁気記録媒体は、通常、図1に示すように、基板1、Ni−Pめっき層2、下地層3、磁性層4、保護膜層5、潤滑剤層6をこの順に積層してなる。下地層3にはCr、磁性層4にはCo合金を使用することができる。保護膜層5は炭素を含有する。
【0024】
本発明において、炭素を含有する保護膜層とは、たとえば炭化水素等を原料として使用し、PVD法やCVD法など種々の方法によって作製されているアモルファス状の炭素系保護膜層を含むが、その他どのような保護膜層であっても炭素を含有する場合には原理的に対象足り得る。
【0025】
このような磁気記録媒体について、潤滑剤層に使用された潤滑剤が、主鎖にパーフルオロアルキレン結合とパーフルオロポリエーテル結合との少なくともいずれか一方を有するポリマーを含む潤滑剤である場合には、同軸型直衝突イオン散乱分光法(Co−Axial Impact Collision Ion Scattering Spectroscopy、略称はCAICISS)により、15°のイオンビーム入射角度で、ヘリウムイオンを2keVで磁気記録媒体表面に照射し、散乱した当該ヘリウムイオンのエネルギー変化を測定することによって得られる、当該磁気記録媒体表面のフッ素(F)と炭素(C)との原子数比(F/C比)が1.5以上であると、磁気記録媒体の耐蝕性が著しく向上し、これより低いと磁気記録媒体の腐食が進行しやすいことが判明した。F/C比は2程度であることが好ましい。
【0026】
この理由としては潤滑剤凝集、または潤滑剤の絶対付着量が少ないために下地である保護膜層の表面露出量が多いことが挙げられる。すなわち、保護膜層の表面が露出していると、保護膜に由来する炭素が検出されるため、F/C比が低下することになるのである。
【0027】
潤滑剤のポリマー鎖中にある炭素の結合手の内、ポリマー鎖の形成に使用されていない2本の結合手がフッ素と結合している状態ではフッ素と炭素の原子数比は2であり、このことから、上記の如くF/C比が1.5以上であると、磁気記録媒体の耐蝕性が著しく向上するのは、潤滑剤が保護膜層表面を均一に被覆しており、保護膜層表面が露出していない、あるいはその露出が少ないためであると考えることができる。これに対し、F/C比が小さくなるのは、保護膜層表面の露出が増えるためと考えることができる。
【0028】
なお、上記磁気記録媒体表面における「表面」は、1〜2原子層ほどの深さを有するものであり、CAICISSにより、15°のイオンビーム入射角度で、ヘリウムイオンを2keVで磁気記録媒体表面に照射することで、このような1〜2原子層ほどの深さを有する表面のF/C比の測定が可能となっているものと考えられている。このような深さの表面の情報であれば、保護膜層表面が潤滑剤で被覆されているかどうかの情報が明確に得られる。
【0029】
これに対したとえばXPS(X線光電子分光法,X−ray Photoelectron Spectroscopy)で測定すると2nmを超える深さの表面の情報が得られ、保護膜層表面が潤滑剤で被覆されているかどうかの判断は困難になる。
【0030】
なお、保護膜層表面における潤滑剤の付着性を高めるためには潤滑剤を厚膜塗布するのが効果的ではあるものの、潤滑剤膜厚の増加は、必然的にマグネティックスペーシングの増加を伴うため、記録密度の向上とは相容れない関係にある。従って、潤滑剤層の膜厚は2nm以下が好ましい。この場合でも、F/C比は1.5以上であることが要求される。すなわち、F/C比が1.5以上であることにより、潤滑剤による被覆の均一性が確保されることになる。
【0031】
一つの磁気記録媒体について、F/C比の測定は、1回の測定でも1.5以上であれば、本発明の要件を充足するが、測定点数は磁気記録媒体の任意の箇所において数点取るのが好ましい。また、F/C比の測定の対象となる磁気記録媒体の表面積は任意に定めることができるが、この表面積がどの程度であるかを認識する必要はなく、たとえばイオンビームの照射する面積を採用すれば十分である。
【0032】
F/C比を2に近づけるには、潤滑剤が保護膜層上で、できるだけ均一に保護膜層を被覆するようにすることが条件となるが、それとともに、保護膜層への付着状態が強固であることが好ましい。特に、保護膜層の表面に対し、より高配向することが好ましい。
【0033】
使用できる潤滑剤としては、主鎖に、パーフルオロアルキレン結合とパーフルオロポリエーテル結合(−CF2O−(C24O)m−(CF2O)n−CF2−)との少なくともいずれか一方を有するポリマーを含む潤滑剤が好ましい。潤滑剤としての機能が優れ、付着性、配向性も良好であるものが多いからである。
【0034】
このポリマーは、直鎖状ポリマーであり、水酸基、アミノ基、ピペロニル基および下記構造式(I)
−CH(OH)CH2OH・・・・・(I)
で表される末端基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の末端基を有し、1000〜10000の間の数平均分子量を有するものが好ましい。これらの末端基は保護膜層への付着状態をより強固にし易くする。また、潤滑剤中のポリマーの平均数分子量は1000より小さいと摩擦係数が大きくなるため、CSS(コンタクトスタートストップ)特性が劣化し、一方10000より大きいとサイズ効果により浮上性が悪化し、データの読み込み不良、ヘッドの損耗等が生じやすくなる。これは、平均数分子量が10000より大きいと、保護膜層から離れやすくなったり、ヘッドに絡みつきやすくなったりするためであろうと推察されている。
【0035】
なお、この平均数分子量は、NMR(Nuclear Magnetic Resonance)法で測定することができる。
【0036】
本発明に係る潤滑剤はこのようなポリマーのみからなっていることが多い。ただし、本発明の趣旨に反しない限り他の物質を共存させてもよい。また、潤滑剤は溶媒に溶解または分散して保護膜層上に塗布されることが多いが、このための溶媒としては、本発明の趣旨に反しない限りどのようなものでもよい。フッ素系溶媒が好ましい場合が多い。
【0037】
このような磁気記録媒体を作製するには、潤滑剤の塗布と溶媒による洗浄との組み合わせを2回以上繰り返し行い、希ガスイオンを磁気記録媒体表面に照射し、散乱した当該希ガスイオンのエネルギー変化を測定することによって得られる、当該磁気記録媒体表面のF/C比を所定の範囲内に調整することが有用である。所定の範囲は、磁気記録媒体に対する所望の耐蝕性に応じて、任意に定めることができる。なお、本発明において「散乱した希ガスイオンのエネルギー変化」とは、散乱した希ガスイオンのエネルギーの照射希ガスイオンのエネルギーに対する変化を意味する。
【0038】
潤滑剤の塗布の後に溶媒による洗浄を行うと、保護膜層への付着状態が不十分である潤滑剤は除去されるため、目的とするF/C比が得られたことを確実に把握できること、F/C比が保護膜層への付着状態の強固さを正確に反映できるようになること、潤滑剤が付着していない、あるいは除去された保護膜層表面が溶媒によって洗浄されることになり、次に潤滑剤を塗布する場合には、保護膜層への付着状態をより強固なものとし得、結局は高いF/C比を実現できること等の効果が得られる。
【0039】
潤滑剤の塗布と溶媒による洗浄との組み合わせは2回以上なら何回でも特に制限はない。実際には、目的とするF/C比が得られるように、潤滑剤の種類に応じて、溶媒の種類と潤滑剤と洗浄との組み合わせ回数を選択すればよい。なお、保護膜層表面の洗浄を考慮すると、潤滑剤の塗布に先だって溶媒による洗浄を行ってもよい。また、紫外線照射等の他の操作と適宜組み合わせてもよい。
【0040】
潤滑剤の塗布と溶媒による洗浄とにおける潤滑剤の種類は、必ずしも同一である必要はない。溶媒の種類も、必ずしも同一である必要はない。
【0041】
使用できる溶媒としては、公知のどのようなものを使用してもよいが、フッ素系の溶媒が好ましい。
【0042】
図2は、保護膜層5の上にある潤滑剤中のポリマーと保護膜層との付着状態をモデル的に表した図である。このモデル図は、多分このようなことが起こっているのであろうと想像して描いたものである。
【0043】
図2中、番号7は末端基を、番号8はポリマー主鎖を表す。ポリマー分子9,10は両末端基が保護膜層に付着しており、保護膜層表面に対し、良好な配向状態を保っている。ポリマー分子11は主鎖が保護膜層に付着しており、保護膜層表面に対し配向している。ポリマー分子9,10とポリマー分子11とのいずれが保護膜層により強固に付着しているかは、ポリマー主鎖や末端基の種類に依存するため一概に言うことはできない。ポリマー分子12は片方の末端基が保護膜層に付着し、片方の末端基は浮き上がった状態であり、ポリマー分子13は、二つのポリマー分子が絡み合って凝集し、保護膜層表面近傍にある状態を表している。
【0044】
多分このような、各種各様の形態のポリマー分子の中で、保護膜層表面との付着力の比較的弱いものが、洗浄により除去されるものと推察されている。
【0045】
なお、より一般的な磁気記録媒体の製造方法の観点からすると、上記製造方法は、基板上に磁性層と炭素を含有する保護膜層と潤滑剤層とを順次積層してなる磁気記録媒体であって、当該潤滑剤層に使用された潤滑剤が、主鎖にパーフルオロアルキレン結合とパーフルオロポリエーテル結合との少なくともいずれか一方を有するポリマーを含む潤滑剤である場合に限られず、より一般的に、基板上に磁性層と、炭素を含有する保護膜層と、フッ素と炭素とを含有する潤滑剤層とを順次積層してなる磁気記録媒体の製造に適用可能である。また、磁気記録媒体を構成要素とする磁気記録装置には、上記磁気記録媒体やその製造方法を同様に適用することができる。従って、上記磁気記録媒体を備えた磁気記録装置やその製造方法も、本発明の範疇に含まれる。
【0046】
また、上記技術を磁気記録媒体の評価方法の観点から見ると、基板上に磁性層と、炭素を含有する保護膜層と、フッ素と炭素とを含有する潤滑剤層とを順次積層してなる磁気記録媒体において、希ガスイオンを磁気記録媒体表面に照射し、散乱した当該希ガスイオンのエネルギー変化を測定することによって得られる、当該磁気記録媒体表面のF/C比を潤滑剤層の被覆均一性の指標として用いることが、磁気記録媒体の評価方法として有用性が高いことが理解されよう。
【0047】
上記の製造方法と評価方法とに関し、より具体的には、CAICISSにより、希ガスイオンを磁気記録媒体表面に照射し、散乱した当該希ガスイオンのエネルギー変化を測定することが好ましい。CAICISSはXPS等と異なり、表面の浅い層の測定に適しているからである。
【0048】
また、希ガスイオンを0.1〜10keVで、磁気記録媒体表面に対し5〜45°の入射角度で照射することが好ましい。
【0049】
0.1〜10keVの範囲より低いとスペクトルのS/N比が著しく劣化し、またこの範囲より高いとイオンのサンプル中への侵入深さが増大するため、F/C比に対し、保護膜層からのノイズが増大しやすくなる。
【0050】
磁気記録媒体表面に対し5〜45°の入射角度が好ましいのは、この範囲であると保護膜層からのノイズをより効率的に排除できるからである。10〜30゜がより好ましい。
【0051】
希ガスイオンとしては、He、Ne、Ar、Kr、Xeのイオンが使用できるが、フッ素や炭素などの軽元素の測定には、より原子量の小さいHeイオンであることが好ましい。
【0052】
このような分析方法を採用すると、保護膜層に達しない深さのF/C比が得られ、潤滑剤層による保護膜層の被覆の良否が判別しやすくなる。
【0053】
より具体的には、CAICISSにより、15°のイオンビーム入射角度で、ヘリウムイオンを2keVで磁気記録媒体表面に照射し、散乱した当該ヘリウムイオンのエネルギー変化を測定することによって、当該磁気記録媒体表面のF/C比を求めるのが、より好ましい評価方法の一つであり、このようにして求めたF/C比が1.5以上の範囲内になるように維持するように、潤滑剤の塗布と溶媒による洗浄との組み合わせを2回以上繰り返し行うことが、より好ましい製造方法の一つである。
【0054】
なお、以上のことから、上記したような本発明に係る磁気記録媒体や磁気記録媒体を備えた磁気記録装置を製造するという観点からは、その製造に際して、潤滑剤の塗布と溶媒による洗浄との組み合わせを2回以上繰り返し行うことを含むことが好ましいことはいうまでもない。
【0055】
上記のような評価を実行する装置としては、希ガスイオンを磁気記録媒体表面に照射し、散乱した当該希ガスイオンのエネルギー変化を測定することによりF/C比を求める、磁気記録媒体の評価装置であって、磁気記録媒体のホルダーと希ガスイオンを発生するイオン源を具備するイオン照射部とを有し、磁気記録媒体に対するイオンビーム入射角度を0〜90゜の間で変更できる磁気記録媒体の評価装置が有用である。
【0056】
イオンビーム入射角度が小さいほどより浅い表面について、FとCとの情報が得られる。従って、イオンビーム入射角度を変更することにより、深さの異なる表面についてFとCとの情報が得られるようになる。また、イオンビーム入射角度を0〜90゜の間で変更できれば、種々の深さの表面についての情報を得ることができる。
【0057】
なお、本発明において、イオンビーム入射角度は磁気記録媒体の表面に平行な方向を0°、磁気記録媒体の表面に直交する方向を90°として決められる値であり、磁気記録媒体の表面に直交する方向から、どちらの方位に傾いているかは問わない。従って、たとえば15°という場合は、磁気記録媒体の表面に直交する方向に対し、75°傾いた任意の方向を意味する。
【0058】
このような装置を、図3に例示する。図3は、CAICISSによりF/C比を測定する装置を表す。装置は、ターボ分子ポンプ303により減圧されている。ガス導入口304から導入された希ガスは流量計305を経て、イオン照射部313のイオン源306に至り、そこで発生した希ガスイオンは、チョッパー308、アパーチャ307を経て、ホルダー301に設置された磁気記録媒体302表面を照射し、散乱した希ガスイオンを検出器309で検出し、散乱した希ガスイオンのエネルギーを測定することにより、ADコンバータ311、データ処理装置312等を使用して、散乱した希ガスイオンのエネルギーの照射希ガスイオンのエネルギーに対する変化からF/C比が求められる。ゲートバルブ310は磁気記録媒体の交換等に使用される。
【0059】
ホルダー301は矢印の方向に回転でき、これにより、小さいイオンビーム入射角度で希ガスイオンを照射して、浅い表面部のF/C比を得ることが可能となる。ホルダー301を回転可能とする代わりに、イオン照射部313を回転可能としても同様の効果が得られる。このようにして、磁気記録媒体に対するイオンビーム入射角度を0〜90゜の間で変更できるようになる。
【0060】
なお、更にホルダー301が矢印に示すように上下に移動可能であったり、イオン照射部313が上下に移動可能であると、磁気記録媒体表面のより広い範囲を測定できるので好ましい場合がある。
【0061】
図4は、このような装置を用いて得たフッ素と炭素とのスペクトルを例示したものである。図4中、最上部はF/C比0.3、潤滑剤層の膜厚0.3nmの場合(比較例1)のデータ、中間のはF/C比1.1、潤滑剤層の膜厚1.3nmの場合(比較例2)のデータ、最下部はF/C比1.5、潤滑剤層の膜厚1.3nmの場合(実施例1)のデータである。F/C比は図4中のフッ素強度であるXおよびバックグラウンドを差し引くことで得られる炭素強度Yの値を用いることで求められる。またバックグラウンドには、たとえばへリウムイオンを2keVで照射した場合は6300ns付近に現れている酸素強度の裾野部であって炭素強度が現れる直前までの部分と、強度が充分減少する9500ns以上、好ましくは9800ns以上の実測値とを用いてフィッティングした相関係数が0.999以上となるローレンツ曲線を採用した。なお、図4中の酸素は潤滑剤の主鎖部がパーフルオロポリエーテル結合を有するため検出されたものであり、パーフルオロアルキレン結合などの酸素を持たない場合には、フッ素強度の裾野部から同様に手法で求めたフィッティング曲線を用いればよい。
【0062】
【実施例】
次に本発明の実施例および比較例を詳述する。なお、測定は次の方法によった。
【0063】
(潤滑剤層の膜厚)
XPS測定から算出した。
【0064】
(数平均分子量)
NMRにより求めた。
【0065】
(耐蝕性評価:腐食量)
磁気記録媒体サンプルを、フッ酸、塩酸、酢酸および純水が、体積比で1:1:1:50の割合である混合液中に20分浸漬し、引き上げ乾燥した。その後顕微鏡を用いて観察した。光を斜めから当てることにより、腐食により生じた穴部分のみが白く反射する条件で写真を撮り、所定面積についての白い部分の面積の割合を求め、腐食量とした。図5は、F/C比0.3、潤滑剤層の膜厚0.3nmの場合(比較例1)の写真、図6は、F/C比1.1、潤滑剤層の膜厚1.3nmの場合(比較例2)の写真、図7は、データ、最下部はF/C比1.5、潤滑剤層の膜厚1.3nmの場合(実施例1)の写真である。
【0066】
[実施例1]
図1に従い、アルミ合金基板上にNi−Pめっきを施し、その上にCr系下地層および磁性層をスパッタリング法により順次積層形成した。続いて炭素系保護膜層としてプラズマCVD装置を用い、炭化水素および水素を原料ガスとして、プラズマ出力1000W、基板バイアス−300V、成膜室内圧力3Paの各条件下で4nmの膜厚の成膜を行った。
【0067】
次に、主鎖にパーフルオロポリエーテル結合を有し、末端基としてピペロニル基を有する、分子量約3000の直鎖状ポリマーである、イタリアのアウジモント社製のFomblin AM3001を3M社製のフッ素系溶媒、商品名フロリナートで0.02重量%に希釈した潤滑剤溶液を用いて、浸漬時間10秒、引き上げ速度50mm/分の条件で浸漬法により保護膜層表面へ潤滑剤を塗布した。塗布後にXPS測定から算出した潤滑剤の膜厚は0.7nmであった。
【0068】
続いて、この磁気記録媒体を溶媒(3M社製のフッ素系溶媒、商品名フロリナート)中に浸漬することで、保護膜層への付着状態の強固さの不足した潤滑剤を洗い出し、その後紫外線照射を施した。この紫外線照射は、保護膜層と潤滑剤末端基との固着性を高めるのに効果があると考えられている。処理後における潤滑剤の残存膜厚は0.3nmであった。
【0069】
F/C比の測定には、図3の装置を使用し、同軸型直衝突イオン散乱分光法により、Heイオンビームの加速電圧2kV、イオンビーム入射角度15゜の条件で、作製した磁気記録媒体表面の元素分析を行ったところ、F/C比は0.3であった。
【0070】
F/C比の測定後、引き続き塗布−洗浄−紫外線照射を繰り返し、F/C比が1.5、1.7および1.9となるサンプルを作製し磁気記録媒体の完成品とした。XPS測定から算出した潤滑剤の膜厚はそれぞれ1.3、1.5および1.8nmであった。
【0071】
作製した磁気記録媒体の耐蝕性を評価したところ、FC値が1.5〜1.9の全てのサンプルにおいて0.1%以下であった。
【0072】
[比較例1]
潤滑剤の塗布−溶媒による洗浄−紫外線照射の組み合わせの内容を変更した以外は実施例1と同様の条件で、F/C比が0.3、0.9である磁気記録媒体を作製した。XPS測定から算出した潤滑剤の膜厚はそれぞれ0.3nmと0.8nmであった。
【0073】
作製した磁気記録媒体の耐腐食性を観察したところ、F/C比が0.3である磁気記録媒体の腐食面積比は3.4%でありF/C比が0.9では1.2%であった。
【0074】
[比較例2]
AM3001を0.05重量%に希釈した潤滑剤溶液を用い、浸漬時間10秒、引き上げ速度100mm/分の条件で浸漬法により保護膜層表面へ潤滑剤を塗布し、その後、溶媒による洗浄や潤滑剤の塗布−溶媒による洗浄−紫外線照射の組み合わせを行わなかった以外は実施例1と同様にして、XPS測定から算出した潤滑剤の膜厚が1.3nm、CAICISSによる算出したF/C比が1.1である磁気記録媒体を作製した。
【0075】
作製した磁気記録媒体の耐蝕性を観察したところ、腐食面積比は0.8%であった。
【0076】
[実施例2]
AM3001を0.05重量%に希釈した潤滑剤溶液を用い、浸漬時間10秒、引き上げ速度400mm/分の条件で浸漬法により保護膜層表面へ潤滑剤を塗布した以外は実施例1と同様にして、XPS測定から算出した潤滑剤の膜厚が2.6nm、CAICISSにより算出したF/C比が1.7である磁気記録媒体を作製した。
【0077】
作製した磁気記録媒体の耐蝕性を観察したところ、腐食面積比は0.1%以下であった。
【0078】
以上のように、本発明を用いることで著しい耐蝕性を実現できることが判明した。一方、潤滑剤の絶対付着量が少ない比較例1や、潤滑剤の付着性が劣る比較例2ではF/C比が低いことから理解できるように耐蝕性が劣っていた。なお、実施例2のように潤滑膜厚が増加すると、耐蝕性は向上するものの記録密度は低下することになるので、潤滑剤層の厚さは実施例1のように2nm以下になっている方が好ましい。
【0079】
なお、上記に開示した内容から、下記の付記に示した発明が導き出せる。
【0080】
(付記1) 基板上に磁性層と炭素を含有する保護膜層と潤滑剤層とを順次積層してなる磁気記録媒体を備えた磁気記録装置において、
当該潤滑剤層に使用された潤滑剤が、主鎖にパーフルオロアルキレン結合とパーフルオロポリエーテル結合との少なくともいずれか一方を有するポリマーを含む潤滑剤であり、
同軸型直衝突イオン散乱分光法により、15°のイオンビーム入射角度で、ヘリウムイオンを2keVで磁気記録媒体表面に照射し、散乱した当該ヘリウムイオンのエネルギー変化を測定することによって得られる、当該磁気記録媒体表面のフッ素と炭素との原子数比(F/C比)が1.5以上である
磁気記録装置。
【0081】
(付記2) 前記ポリマーが、
直鎖状ポリマーであり、
水酸基、アミノ基、ピペロニル基および下記構造式(I)で表される末端基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の末端基を有し、
−CH(OH)CH2OH・・・・・(I)
1000〜10000の間の数平均分子量を有する、
付記1に記載の磁気記録装置。
【0082】
(付記3) 前記潤滑剤層の膜厚が2nm以下である、付記1または2に記載の磁気記録装置。
【0083】
(付記4) 基板上に磁性層と、炭素を含有する保護膜層と、フッ素と炭素とを含有する潤滑剤層とを順次積層してなる磁気記録媒体を備えた磁気記録装置の製造方法において、
潤滑剤の塗布と溶媒による洗浄との組み合わせを2回以上繰り返し行い、希ガスイオンを磁気記録媒体表面に照射し、散乱した当該希ガスイオンのエネルギー変化を測定することによって得られる、当該磁気記録媒体表面のフッ素と炭素との原子数比(F/C比)を所定の範囲内に調整することを含む
磁気記録装置の製造方法。
【0084】
(付記5) 同軸型直衝突イオン散乱分光法により、希ガスイオンを磁気記録媒体表面に照射し、散乱した当該希ガスイオンのエネルギー変化を測定する、付記4に記載の磁気記録装置の製造方法。
【0085】
(付記6) 希ガスイオンを0.1〜10keVで、磁気記録媒体表面に対し5〜45°の入射角度で照射する、付記4または5に記載の磁気記録装置の製造方法。
【0086】
(付記7) 希ガスイオンがヘリウムイオンである、付記4〜6のいずれかに記載の磁気記録装置の製造方法。
【0087】
(付記8) 付記1〜3のいずれかに記載の磁気記録装置の製造方法であって、潤滑剤の塗布と溶媒による洗浄との組み合わせを2回以上繰り返し行うことを含む、磁気記録装置の製造方法。
【0088】
(付記9) 基板上に磁性層と、炭素を含有する保護膜層と、フッ素と炭素とを含有する潤滑剤層とを順次積層してなる磁気記録媒体において、
希ガスイオンを磁気記録媒体表面に照射し、散乱した当該希ガスイオンのエネルギー変化を測定することによって得られる、当該磁気記録媒体表面のフッ素と炭素との原子数比(F/C比)を潤滑剤層の被覆均一性の指標として用いる
磁気記録媒体の評価方法。
【0089】
(付記10) 同軸型直衝突イオン散乱分光法により、希ガスイオンを磁気記録媒体表面に照射し、散乱した当該希ガスイオンのエネルギー変化を測定する、付記9に記載の磁気記録媒体の評価方法。
【0090】
(付記11) 希ガスイオンを0.1〜10keVで磁気記録媒体表面に対し5〜45°の入射角度で照射する、付記9または10に記載の磁気記録媒体の評価方法。
【0091】
(付記12) 希ガスイオンがヘリウムイオンである、付記9〜11のいずれかに記載の磁気記録媒体の評価方法。
【0092】
(付記13) 希ガスイオンを磁気記録媒体表面に照射し、散乱した当該希ガスイオンのエネルギー変化を測定することによりF/C比を求める、磁気記録媒体の評価装置であって、
磁気記録媒体のホルダーと希ガスイオンを発生するイオン源を具備するイオン照射部とを有し、
磁気記録媒体に対するイオンビーム入射角度を0〜90゜の間で変更できる、磁気記録媒体の評価装置。
【0093】
(付記14) ホルダーとイオン照射部との少なくともいずれか一方が回転可能であり、これにより、磁気記録媒体に対するイオンビーム入射角度を0〜90゜の間で変更できる付記13に記載の磁気記録媒体の評価装置。
【0094】
(付記15) 基板上に磁性層と炭素を含有する保護膜層と潤滑剤層とを順次積層してなる磁気記録媒体において、
当該潤滑剤層に使用された潤滑剤が、主鎖にパーフルオロアルキレン結合とパーフルオロポリエーテル結合との少なくともいずれか一方を有するポリマーを含む潤滑剤であり、
同軸型直衝突イオン散乱分光法により、15°のイオンビーム入射角度で、ヘリウムイオンを2keVで磁気記録媒体表面に照射し、散乱した当該ヘリウムイオンのエネルギー変化を測定することによって得られる、当該磁気記録媒体表面のフッ素と炭素との原子数比(F/C比)が1.5以上である
磁気記録媒体。
【0095】
(付記16) 前記ポリマーが、
直鎖状ポリマーであり、
水酸基、アミノ基、ピペロニル基および下記構造式(I)で表される末端基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の末端基を有し、
−CH(OH)CH2OH・・・・・(I)
1000〜10000の間の数平均分子量を有する、
付記15に記載の磁気記録媒体。
【0096】
(付記17) 前記潤滑剤層の膜厚が2nm以下である、付記15または16に記載の磁気記録媒体。
【0097】
(付記18) 基板上に磁性層と、炭素を含有する保護膜層と、フッ素と炭素とを含有する潤滑剤層とを順次積層してなる磁気記録媒体の製造方法において、潤滑剤の塗布と溶媒による洗浄との組み合わせを2回以上繰り返し行い、希ガスイオンを磁気記録媒体表面に照射し、散乱した当該希ガスイオンのエネルギー変化を測定することによって得られる、当該磁気記録媒体表面のフッ素と炭素との原子数比(F/C比)を所定の範囲内に調整することを含む
磁気記録媒体の製造方法。
【0098】
(付記19) 同軸型直衝突イオン散乱分光法により、希ガスイオンを磁気記録媒体表面に照射し、散乱した当該希ガスイオンのエネルギー変化を測定する、付記18に記載の磁気記録媒体の製造方法。
【0099】
(付記20) 希ガスイオンを0.1〜10keVで、磁気記録媒体表面に対し5〜45°の入射角度で照射する、付記18または19に記載の磁気記録媒体の製造方法。
【0100】
(付記21) 希ガスイオンがヘリウムイオンである、付記18〜20のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
【0101】
(付記22) 付記15〜17のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法であって、潤滑剤の塗布と溶媒による洗浄との組み合わせを2回以上繰り返し行うことを含む、磁気記録媒体の製造方法。
【0102】
【発明の効果】
本発明により、記録密度の低下を抑制しつつ耐蝕性が著しく向上した磁気記録媒体、その製造方法、その磁気記録媒体を備えた磁気記録装置、その製造方法、そのような磁気記録媒体を得るための評価方法および評価装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁気記録媒体の断面構造を示すモデル図である。
【図2】潤滑剤中のポリマー分子の保護膜層への付着状態をモデル的に表した図である。
【図3】本発明に係る、CAICISSによりF/C比を測定する装置を表すモデル図である。
【図4】CAICISSによる、フッ素と炭素とのスペクトル図である。
【図5】耐蝕性評価の写真の例である。
【図6】耐蝕性評価の他の写真の例である。
【図7】耐蝕性評価のさらに他の写真の例である。
【符号の説明】
1 基板
2 Ni−Pめっき層
3 下地層
4 磁性層
5 保護膜層
6 潤滑剤層
7 末端基
8 ポリマー主鎖
9,10,11,12,13
ポリマー分子
301 ホルダー
302 磁気記録媒体
303 ターボ分子ポンプ
304 ガス導入口
305 流量計
306 イオン源
307 アパーチャ
308 チョッパー
309 検出器
310 ゲートバルブ
311 ADコンバータ
312 データ処理装置
313 イオン照射部

Claims (4)

  1. 基板上に磁性層と炭素を含有する保護膜層と潤滑剤層とを順次積層してなる磁気記録媒体を備えた磁気記録装置において、
    当該潤滑剤層に使用された潤滑剤が、主鎖にパーフルオロアルキレン結合とパーフルオロポリエーテル結合との少なくともいずれか一方を有するポリマーを含む潤滑剤であり、
    同軸型直衝突イオン散乱分光法により、15°のイオンビーム入射角度で、ヘリウムイオンを2keVで磁気記録媒体表面に照射し、散乱した当該ヘリウムイオンのエネルギー変化を測定することによって得られるフッ素強度および炭素強度から求められる、当該磁気記録媒体表面のフッ素と炭素との原子数比(F/C比)が1.5以上である
    磁気記録装置。
  2. 前記潤滑剤層の膜厚が2nm以下である、請求項1に記載の磁気記録装置。
  3. 請求項1または2に記載の磁気記録装置の製造方法であって、潤滑剤の塗布と溶媒による洗浄との組み合わせを2回以上繰り返し行うことを含む、磁気記録装置の製造方法。
  4. 前記原子数比(F/C比)を潤滑剤層の被覆均一性の指標として用いて前記磁気記録媒体を評価することを含む、請求項3に記載の磁気記録装置の製造方法。
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