JP4010777B2 - 立体映像表示装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、遮光板を用いて右眼映像を観察者の右眼に導き、左眼映像を観察者の左眼に導くことで立体視を認識させる立体映像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、特殊な眼鏡を必要とせずに立体映像表示を実現する方法として、パララックスバリア方式が知られている。このパララックスバリア方式における映像表示手段として液晶表示パネルを用いる場合、液晶パネルの解像度に限界があることから、通常は2眼式の立体映像表示装置としている。この2眼式の立体映像表示装置においては、図11に示すように、液晶表示パネル51に、両眼視差を有する右眼用映像(R)と左眼用映像(L)とを短冊状に交互に表示することとなる。液晶表示パネル51の前方には、パララックスバリア52が配置されており、このパララックスバリア52により、液晶表示パネル51から所定距離をおいた位置にて左眼用映像と右眼用映像とが眼間距離に対応した間隔で交互に導かれることになる。図示しない観察者は、その左眼に左眼用映像を受け且つ右眼に右眼用映像を受ける領域(正視位置)に位置するとき、立体映像を認識することになる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、観察者が前記正視位置から左または右に眼間距離の半分以上移動すると、左眼用映像と右眼用映像が入れ替わって見える逆視という状態が生じる。この逆視状態になると、観察者は頭がくらくらする等の不快感を覚える。一方、この逆視を無くすために、観察者の頭部位置をセンサーにて検知し、逆視領域に観察者が入ったときに、液晶表示パネル51上での左眼用映像と右眼用映像を入れ換えるという方法(いわゆるヘッドトラッキング法)があるが、コストが割高になるという欠点がある。
【0004】
この発明は、上記の事情に鑑み、観察者の頭部位置に追従させるトラッキング制御を行うことなしに、観察者が前記正視位置から左または右に眼間距離の半分以上移動しても、左眼用映像と右眼用映像が入れ替わって見える逆視という状態を回避することができる立体映像表示装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明の立体映像表示装置は、上記の課題を解決するために、左眼用映像と右眼用映像を水平方向に交互に表示する映像表示手段と、この映像表示手段から所定距離をおいた位置にて左眼用映像と右眼用映像を眼間距離に対応した間隔で交互に導くように前記映像表示手段の前方又は後方に配置された第1の遮光板と、前記映像表示手段から前記所定距離をおいた所定位置については左眼用映像及び右眼用映像を導く一方、当該所定位置から一つ目のサイドローブ領域への映像光の到来を遮蔽するように前記映像表示手段の前方又は後方に配置された第2の遮光板と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
上記構成であれば、観察者が所定位置から左または右に眼間距離の半分以上移動しても、一方の眼には前記第2の遮光板によって映像は導かれず、他方の眼に片眼用映像が見えることとなるから、かかる位置では立体視はできないものの、左右眼映像が入れ替わって見える逆視という状態は回避することができる。
【0007】
また、この発明の立体映像表示装置は、左眼用映像と右眼用映像を水平方向に交互に表示する映像表示手段と、この映像表示手段から所定距離をおいた位置にて左眼用映像と右眼用映像を眼間距離に対応した間隔で交互に導くように前記画像表示手段の前方又は後方に配置された遮光板と、前記映像表示手段から前記所定距離をおいた所定位置については左眼用映像及び右眼用映像を導く一方、当該所定位置から右側の一つ目のサイドローブ領域へは右眼用映像を導き、当該所定位置から左側の一つ目のサイドローブ領域へは左眼用映像を導く屈折部材と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
上記構成においては、観察者が所定位置から例えば左方向に眼間距離の半分以上移動したとすると、左右眼ともに左眼用映像を見ることになる。また、右方向に眼間距離の半分以上移動したとすると、左右眼ともに右眼用映像を見ることになる。これにより、前記所定位置から幾分ずれた位置では立体視はできないものの、左右眼映像が入れ替わって見える逆視という状態は回避することができる。また、両眼に映像が導かれるので、片眼への映像遮蔽を行う前述の構成に比べて不自然さが無くなり、また、観察者に与える映像光も増えることになる。
【0009】
また、この発明の立体映像表示装置は、左眼用映像と右眼用映像を水平方向に交互に表示する映像表示手段と、この映像表示手段から所定距離をおいた位置にて左眼用映像と右眼用映像を眼間距離に対応した間隔で交互に導くように前記画像表示手段の前方又は後方に配置された遮光板と、前記映像表示手段から前記所定距離をおいた所定位置については左眼用映像及び右眼用映像を導く一方、当該所定位置から右側の一つ目のサイドローブ領域へは右眼用映像を導き、当該所定位置から左側の一つ目のサイドローブ領域へは左眼用映像を導く両面ミラー部材と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
上記構成においても、観察者が所定位置から例えば左方向に眼間距離の半分以上移動したとすると、左右眼ともに左眼用映像を見ることになる。また、右方向に眼間距離の半分以上移動したとすると、左右眼ともに右眼用映像を見ることになる。これにより、前記所定位置から幾分ずれた位置では立体視はできないものの、左右眼映像が入れ替わって見える逆視という状態は回避することができる。また、両眼に映像が導かれるので、片眼への映像遮蔽を行う前述の構成に比べて不自然さが無くなり、また、観察者に与える映像光も増えることになる。
【0011】
また、この発明の立体映像表示装置は、左眼用映像と右眼用映像を水平方向及び垂直方向に交互に表示する映像表示手段と、この映像表示手段から所定距離をおいた位置にて左眼用映像と右眼用映像を眼間距離に対応した間隔で交互に導くように前記映像表示手段の前方又は後方に配置された第1の遮光板と、前記映像表示手段から前記所定距離をおいた所定位置については左眼用映像及び右眼用映像を導く一方、当該所定位置から一つ目のサイドローブ領域への映像光の到来を遮蔽するように前記映像表示手段の前方又は後方に配置された第1パターン遮光部および当該第1パターン遮光部とは透過/遮蔽が逆パターンの第2パターン遮蔽部が垂直方向に連続して形成された第2の遮光板と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
上記の構成であれば、垂直方向解像度は低下するものの、実質的には、正面位置から右側に眼間距離だけ離れた位置においては、右隣の右眼用映像が導かれ、正面位置から左側に眼間距離だけ離れた位置においては、左眼用映像が収束されることになる。これにより、観察者が所定位置(正視位置)から例えば左方向に眼間距離の半分以上移動したとすると、左右眼ともに左眼用映像を見ることになる。また、右方向に眼間距離の半分以上移動したとすると、左右眼ともに右眼用映像を見ることになる。これにより、前記所定位置から幾分ずれた位置では立体視はできないものの、左右眼映像が入れ替わって見える逆視という状態は回避することができる。
【0013】
第2の遮光板、屈折部材、又は両面ミラー部材は、映像表示手段とこの前方に配置された第1の遮光板又は遮光板との間に配置されていてもよい。また、第2の遮光板、屈折部材、又は両面ミラー部材は、映像表示手段の前方に配置された第1の遮光板又は遮光板の前方に配置されていてもよい。また、前記所定位置は映像表示手段からみて正面位置であるのがよい。
【0014】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
以下、この発明の第1の実施形態の立体映像表示装置を図1及び図2に基づいて説明する。
【0015】
図1は立体映像表示装置の概略構成を示した平面図である。液晶表示パネル1には、両眼視差を有する右眼用映像(R)と左眼用映像(L)とが短冊状に交互に表示される。液晶表示パネル1の後方には図示しないバックライトが設けられており、液晶表示パネル1の前方には両眼視差を生じさせる遮光板であるパララックスバリア2が配置されている。そして、このパララックスバリア2と液晶表示パネル1との間には遮光板3が配置されている。
【0016】
ここで、前記遮光板3を配置していないと仮定するとき、前記バックライトから照射されて液晶表示パネル1の画素部を透過した光は、従来と同様、パララックスバリア2のみによって適宜遮光され、液晶表示パネル1から所定距離をおいた位置にて左眼用映像と右眼用映像とが眼間距離に対応した間隔で交互に収束されることになる。一方、上記遮光板3を配置しているこの実施形態の立体表示装置であれば、前記液晶表示パネル1からみて正面の適視位置(以下、単に正面位置という)には左眼用映像と右眼用映像とが眼間距離に対応した間隔で収束されるので立体視が行えるが、この正面位置から一つ目のサイドローブ領域への映像光は遮光板3によって遮られるため、立体視は行えない。すなわち、図1の下側略中央においてRを付記した領域の右隣の映像収束領域(図では黒の文字を付記している)への映像がカットされ、また、下側略中央においてLを付記した領域の左隣の映像収束領域(同様に黒の文字を付記している)への映像がカットされることになる。従って、図示しない観察者は、図1の下側中央(正面位置)に頭部を位置させている場合には、その左眼に左眼用映像を受け且つ右眼に右眼用映像を受けることになるから立体映像を認識することになるが、観察者が正面位置から左または右に眼間距離の半分以上移動したときは、一方の眼には映像は導かれず、他方の眼に片眼用映像が見えることとなり、かかる位置では立体視はできないものの、左右眼映像が入れ替わって見える逆視という状態は回避される。
【0017】
次に、液晶表示パネル1、パララックスバリア2、及び遮光板3における開口幅、ピッチ、配置間隔等について説明していく。ここで、図2に示すように、液晶表示パネル1の画素ピッチをL、画素幅をM、パララックスバリア2の開口ピッチをB、開口部幅をb、遮光板3の開口ピッチをD、開口部幅をd、パララックスバリア2から適視位置までの距離をR、液晶表示パネル1とパララックスバリア2との間の距離をr、液晶表示パネル1と遮光板3との間の距離をr1 、遮光板3とパララックスバリア2との間の距離をr2 (r=r1 +r2 )、眼間距離をEとすると、下記に示す式が成立する。
【0018】
【数1】
図2の(a)の関係により、L:E=r:R
よって、L/E=r/R …第1式
【0019】
【数2】
図2の(b)の関係により、B:2L=R:r+R
よって、B/2L=R/(r+R) …第2式
第1式と第2式とにより、
B=2LE/(L+E) …第3式
【0020】
【数3】
また、図2の(b)の関係により、M:2L=D−d:D=b:B
よって、M/2L=(D−d)/D=b/B …第4式
【0021】
【数4】
また、図2の(c)の関係により、L−M:b=r1 :r2
よって、r1 /r2 =(L−M)/b …第5式
【0022】
【数5】
ここで、L:M=3:2と仮定すると、第4式により、
(D−d)/D=b/B=1/3 …第6式
また、L−M=L/3となるので、第5式及び第6式により、
r1 /r2 =L/B …第7式
また、第3式及び第7式により、
r1 /r2 =(L+E)/2E …第8式
また、第1式及び第8式により、
r1 =LR(L+E)/E(L+3E) …第9式
r2 =2LR/(L+3E) …第10式
【0023】
【数6】
図2の(b)の関係により、B:D=R:r2 +R
よって、B/D=R/(r2 +R) …第11式
第3式と第10式と第11式とにより、
D=6LE/(L+3E) …第12式
【0024】
なお、上記のごとく、L:M=3:2とするのが望ましいと考えられるが、パララックスバリア方式においては、クロストーク領域を減らすために、パララックスバリアの開口率を小さくする場合もあり、かかる場合においても、図1の構成を適用することができる。すなわち、L:M=3:2とすることに限定されるものではない。
【0025】
(実施形態2)
以下、この発明の第2の実施形態の立体映像表示装置を図3に基づいて説明する。液晶表示パネル1及びパララックスバリア2についての構成及び配置間隔等については、図1と同様であるので、説明を省略する。
【0026】
この実施形態においては、パララックスバリア2の前方(観察者側)に遮光板3Aが配置されている。遮光板3Aにおける開口ピッチや開口幅については、先の図1に基づいて説明した数式に準じて求めることができる。かかる図3の構成においても、図示しない観察者は、図3の下側中央(正面位置)に頭部を位置させている場合には、その左眼に左眼用映像を受け且つ右眼に右眼用映像を受けることになるから立体映像を認識することになるが、観察者が正面位置から左または右に眼間距離の半分以上移動したときは、一方の眼には映像は導かれず、他方の眼に片眼用映像が見えることとなり、かかる位置では立体視はできないものの、左右眼映像が入れ替わって見える逆視は回避される。
【0027】
(実施形態3)
以下、この発明の第3の実施形態の立体映像表示装置を図4に基づいて説明する。液晶表示パネル1及びパララックスバリア2についての構成及び配置間隔等については、図1と同様であるので、説明を省略する。
【0028】
この実施形態においては、屈折部材4を液晶表示パネル1とパララックスバリア2との間に配置している。上記屈折部材4は、開口部4aと光屈折作用部4bとから成る。これら開口部4aと光屈折作用部4bとの配置関係は、図1における遮光板3の開口ピッチと開口幅の関係を適用することができる。図示しない観察者は、図4の下側中央(正面位置)に頭部を位置させている場合には、その左眼に左眼用映像を受け且つ右眼に右眼用映像を受けることになるから立体映像を認識することになる。
【0029】
そして、上記正面位置から右側に眼間距離だけ離れた位置においては、本来なら左眼用映像(L)が収束されることになるのであるが、左眼用映像(L)は前記光屈折作用部4bによって本来位置へは導かれず、この位置へは液晶表示パネル1の図において右隣の右眼用映像(R)が収束されることになる。一方、正面位置から左側に眼間距離だけ離れた位置においては、本来なら右眼用映像(R)が収束されることになるのであるが、右眼用映像(R)は前記光屈折作用部4bによって本来位置へは導かれず、この位置へは液晶表示パネル1の図において左隣の左眼用映像(L)が収束されることになる。従って、観察者が所定位置(正視位置)から例えば左方向に眼間距離の半分以上移動したとすると、左右眼ともに左眼用映像を見ることになる。また、右方向に眼間距離の半分以上移動したとすると、左右眼ともに右眼用映像を見ることになる。これにより、前記所定位置から幾分ずれた位置では立体視はできないものの、左右眼映像が入れ替わって見える逆視という状態は回避することができる。そして、実施形態1や実施形態2では正面位置でのRからその右側に一眼間距離離れた箇所(本来ならLとなる箇所)は映像無し(黒)となるが、この実施形態では、右眼用映像Rが見えることになる。また、同様に、実施形態1や実施形態2では正面位置でのLからその左側に一眼間距離離れた箇所(本来ならRとなる箇所)は映像無し(黒)となるが、この実施形態では、左眼用映像Lが見えることになる。これにより、映像無しとする実施形態1,2に比べて、多くの映像光を観察者に導びくことが可能となり、また、片眼のみに映像が導かれることからくる不自然さもなくなる。
【0030】
光屈折作用部4bの屈折率は、液晶表示パネル1の各画素からの光の入射角度とパララックスバリア2の所定の開口へ向かう出射角度とによって決められることになる。ここで、各光屈折作用部4bの屈折率をその位置に応じた屈折率に設定していない場合(全ての光屈折作用部4bの屈折率を同一にした場合)には、正面位置でのRからその右側に一眼間距離離れた箇所(本来ならLとなる箇所)に各右眼用画素からの光を集中させることはできず、広がりをもって導かれることになるが、RとRの間にRが広がって導かれるのであるから、不都合は生じない。同様に、正面位置でのLからその左側に一眼間距離離れた箇所(本来ならRとなる箇所)に各左眼用画素からの光を集中させることはできず、広がりをもって導かれることになるが、LとLの間にLが広がって導かれるのであるから、不都合は生じない。
【0031】
(実施形態4)
以下、この発明の第4の実施形態の立体映像表示装置を図5に基づいて説明する。液晶表示パネル1及びパララックスバリア2についての構成及び配置間隔等については、図1と同様であるので、説明を省略する。
【0032】
図5の構成例では、両側の面に反射面を有する両面ミラー5…を、液晶表示パネル1とパララックスバリア2との間であって、画素Lの細点線光路と画素Rの細点線光路との交差部上に配置している。上記両面ミラー5の配置間隔としては、図1における遮光板3の開口ピッチと開口幅の関係を適用することができる。各両面ミラー5は、かかる開口ピッチと開口幅の関係を適用して配置されるため、図示しない観察者は、図5の下側中央(正面位置)に頭部を位置させている場合には、その左眼に左眼用映像を受け且つ右眼に右眼用映像を受けることになるから立体映像を認識することになる。
【0033】
そして、両面ミラー5は、液晶表示パネル1の左眼用画素部(L)から照射される左眼用映像光(細点線光)を、あたかもその右隣の右眼用画素部(R)から出射されたごとく光路を変更させ、また、液晶表示パネル1の右眼用画素部(R)から照射される右眼用映像光(細点線光)を、あたかもその左隣の左眼用画素部(L)から出射されたごとく光路を変更させるように傾けられて配置されている。従って、正面位置から右側に眼間距離だけ離れた位置においては、本来なら左眼用映像(L)が収束されることになるのであるが、左眼用映像(L)は前記反射作用によって本来位置へは導かれず、この位置へは液晶表示パネル1の図において右隣の右眼用映像(R)が収束される。一方、正面位置から左側に眼間距離だけ離れた位置においては、本来なら右眼用映像(R)が収束されることになるのであるが、右眼用映像(R)は前記反射作用によって本来位置へは導かれず、この位置へは液晶表示パネル1の図において左隣の左眼用映像(L)が収束されることになる。これにより、観察者が所定位置(正視位置)から例えば左方向に眼間距離の半分以上移動したとすると、左右眼ともに左眼用映像を見ることになる。また、右方向に眼間距離の半分以上移動したとすると、左右眼ともに右眼用映像を見ることになる。これにより、前記所定位置から幾分ずれた位置では立体視はできないものの、左右眼映像が入れ替わって見える逆視という状態は回避することができる。
【0034】
(実施形態5)
以下、この発明の第5の実施形態の立体映像表示装置を図6に基づいて説明する。液晶表示パネル1及びパララックスバリア2についての構成及び配置間隔等については、図1と同様であるので、説明を省略する。
【0035】
図6の構成例では、両側の面に反射面を有する両面ミラー6…を、パララックスバリア2の前面側であって、画素Lの細点線光路と画素Rの細点線光路との交差部上に配置している。上記両面ミラー6の配置間隔としては、図3における遮光板3Aの開口ピッチと開口幅の関係を適用することができる。各両面ミラー6は、遮光板3Aの開口ピッチと開口幅の関係を適用して配置されるため、図示しない観察者は、図5の下側中央(正面位置)に頭部を位置させている場合には、その左眼に左眼用映像を受け且つ右眼に右眼用映像を受けることになるから立体映像を認識することになる。
【0036】
そして、両面ミラー6は、液晶表示パネル1の左眼用画素部(L)から照射される左眼用映像光(細点線光)を、あたかもその右側の5画素離れた右眼用画素部(R)から出射されたごとく光路を変更させ、また、液晶表示パネル1の右眼用画素部(R)から照射される右眼用映像光(細点線光)を、あたかもその左側の5画素離れた左眼用画素部(L)から出射されたごとく光路を変更させるように傾けられて配置されている。従って、正面位置から右側に眼間距離だけ離れた位置においては、本来なら左眼用映像(L)が収束されることになるのであるが、左眼用映像(L)は前記反射作用によって本来位置へは導かれず、この位置へは5画素隣の右眼用映像(R)が収束される。一方、正面位置から左側に眼間距離だけ離れた位置においては、本来なら右眼用映像(R)が収束されることになるのであるが、右眼用映像(R)は前記反射作用によって本来位置へは導かれず、この位置へは5画素隣の左眼用映像(L)が収束されることになる。これにより、観察者が所定位置(正視位置)から例えば左方向に眼間距離の半分以上移動したとすると、左右眼ともに左眼用映像を見ることになる。また、右方向に眼間距離の半分以上移動したとすると、左右眼ともに右眼用映像を見ることになる。これにより、前記所定位置から幾分ずれた位置では立体視はできないものの、左右眼映像が入れ替わって見える逆視という状態は回避することができる。
【0037】
なお、両面ミラー6の一部は、画素R,Lの細実線光路上に幾分張り出しているため、細実線光による右眼用映像R([R]で表記している)及び細実線光による左眼用映像L([L]で表記している)の光量は幾分低下する。
【0038】
(実施形態6)
以下、この発明の第6の実施形態の立体映像表示装置を図7に基づいて説明する。液晶表示パネル1及びパララックスバリア2についての構成及び配置間隔等については、図1と同様であるので、説明を省略する。
【0039】
この実施形態の立体映像表示装置では、遮光板3Bは、液晶表示パネル1と図示しない光源との間に配置されている。遮光板3Bにおける開口ピッチや開口幅については、先の図1に基づいて説明した数式に準じて求めることができる。かかる図7の構成においても、図示しない観察者は、図7の下側中央(正面位置)に頭部を位置させている場合には、その左眼に左眼用映像を受け且つ右眼に右眼用映像を受けることになるから立体映像を認識することになるが、観察者が正面位置から左または右に眼間距離の半分以上移動したときは、一方の眼には映像は導かれず、他方の眼に片眼用映像が見えることとなり、かかる位置では立体視はできないものの、左右眼映像が入れ替わって見える逆視は回避される。
【0040】
また、この実施形態6及び実施形態1,2から分かるように、遮光板(3,3A,3B)は液晶表示パネル1の前面側に配置することもできるし、後面側に配置することもできる。そして、パララックスバリアについても、従来から液晶表示パネル1の後面側に配置する形態が知られている。従って、パララックスバリアを液晶表示パネル1の後面側に配置し、遮光板を液晶表示パネル1の前面側に配置する形態、或いは、パララックスバリアと遮光板の両方を液晶表示パネル1の後面側に配置する形態、更には、パララックスバリアを液晶表示パネル1の前後面に設けるダブルパララックスバリア方式において遮光板を設ける形態も採用することができる。
【0041】
(実施形態7)
以下、この発明の第7の実施形態の立体映像表示装置を図8乃至図10に基づいて説明する。
【0042】
液晶表示パネル1においては、図10(a)に示すように、水平方向に右眼用画素Rと左眼用画素Lが交互に配置されると共に、垂直方向にも右眼用画素Rと左眼用画素Lが交互に配置される。別言すれば、図示しない映像信号供給部によって、液晶表示パネル1には、図10(a)のごとく映像表示が行われる。パララックスバリア2は図1に示すものと同じである。そして、遮光板3Cについては、図10(b)に示すように、A断面と記した横ラインの遮光/開口パターンは図1に示した遮光板3の遮光/開口パターンに一致し、B断面と記した水平ラインの遮光/開口パターンは、A断面と記した水平ラインの遮光/開口パターンを逆転させたものとなっている。
【0043】
図8はA断面と記した水平ライン上での立体映像表示装置の断面図であり、図1と同じである。
【0044】
図9はB断面と記した水平ライン上での立体映像表示装置の断面図であり、図1を逆転したものとなっている。すなわち、図8において映像が導かれる箇所については図9では映像は導かれず、図8において映像が導かれない個所については図9では左眼用映像(L)と右眼用映像(R)がそれぞれ導かれることになる。
【0045】
かかる構成の立体映像表示装置は、垂直方向解像度は低下するものの、実質的には、実施形態3,4,5と同様、正面位置から右側に眼間距離だけ離れた位置においては、右隣の右眼用映像(R)が導かれ、正面位置から左側に眼間距離だけ離れた位置においては、左眼用映像(L)が収束されることになる。これにより、観察者が所定位置(正視位置)から例えば左方向に眼間距離の半分以上移動したとすると、左右眼ともに左眼用映像を見ることになる。また、右方向に眼間距離の半分以上移動したとすると、左右眼ともに右眼用映像を見ることになる。これにより、前記所定位置から幾分ずれた位置では立体視はできないものの、左右眼映像が入れ替わって見える逆視という状態は回避することができる。そして、かかる実施形態であれば、実施形態3,4,5とは異なり、屈折部材4や両面ミラー5,6を配置することが不要になる。
【0046】
ところで、観察者が正面位置で上下方向に頭部を移動させると、クロストークが生じ始め、或る位置で逆視の状態となるが、一般に液晶表示パネル1のドット形状(開口形状)が縦長(約1:3)であるのと、パララックスバリア2よりも遮光板3Cの方が液晶表示パネル1に近いため、適視範囲には割合と余裕が生じると考えられる。なお、遮光板3Cをパララックスバリア2と液晶表示パネル1との間に配置する構成に限定されるものではない。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、観察者の頭部位置に追従させるトラッキング制御を行うことなしに、観察者が前記正視位置から左または右に眼間距離の半分以上移動しても、左眼用映像と右眼用映像が入れ替わって見える逆視という状態を回避することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態の立体映像表示装置の断面図である。
【図2】図1の開口ピッチ等の説明図である。
【図3】この発明の第2の実施形態の立体映像表示装置の断面図である。
【図4】この発明の第3の実施形態の立体映像表示装置の断面図である。
【図5】この発明の第4の実施形態の立体映像表示装置の断面図である。
【図6】この発明の第5の実施形態の立体映像表示装置の断面図である。
【図7】この発明の第6の実施形態の立体映像表示装置の断面図である。
【図8】この発明の第7の実施形態の立体映像表示装置を示す図であって、図10におけるA断面対応の断面図である。
【図9】この発明の第7の実施形態の立体映像表示装置を示す図であって、図10におけるB断面対応の断面図である。
【図10】この発明の第7の実施形態の立体映像表示装置を示す図であって、同図(a)は液晶表示パネルのR,L画素説明図であり、同図(b)は遮光板の開口/遮光パターンの説明図である。
【図11】従来の立体映像表示装置の断面図である。
【符号の説明】
1 液晶表示パネル
2 パララックスバリア
3 遮光板
3A 遮光板
3B 遮光板
3C 遮光板
4 光学部材
5 両面ミラー
6 両面ミラー
Claims (4)
- 左眼用映像と右眼用映像をパネル面の水平方向の交互の位置に同時に表示する映像表示パネルと、この映像表示パネルから所定距離をおいた位置であって眼間距離に対応した間隔の水平方向の交互の位置に前記左眼用映像と前記右眼用映像を同時に導くように開口を有し前記映像表示パネルの前方又は後方に配置された第1の遮光板と、前記映像表示パネルから前記所定距離をおいた所定の立体視領域については前記左眼用映像及び前記右眼用映像を導くように開口を有する一方、当該所定の立体視領域から一つ目のサイドローブ領域における当該所定の立体視領域側の映像収束領域への映像光の到来を遮蔽するように遮蔽部を有し前記映像表示パネルの前方又は後方に配置された第2の遮光板と、を備えたことを特徴とする立体映像表示装置。
- 左眼用映像と右眼用映像をパネル面の水平方向の交互の位置に同時に表示する映像表示パネルと、この映像表示パネルから所定距離をおいた位置であって眼間距離に対応した間隔の水平方向の交互の位置に前記左眼用映像と前記右眼用映像を同時に導くように開口を有し前記映像表示パネルの前方又は後方に配置された遮光板と、前記映像表示パネルから前記所定距離をおいた所定の立体視領域については前記左眼用映像及び前記右眼用映像を導くように開口を有する一方、当該所定の立体視領域から右側の一つ目のサイドローブ領域における当該所定の立体視領域側の映像収束領域へは前記右眼用映像を導き、当該所定の立体視領域から左側の一つ目のサイドローブ領域における当該所定の立体視領域側の映像収束領域へは前記左眼用映像を導くように屈折領域を有する屈折部材と、を備えたことを特徴とする立体映像表示装置。
- 左眼用映像と右眼用映像をパネル面の水平方向の交互の位置に同時に表示する映像表示パネルと、この映像表示パネルから所定距離をおいた位置であって眼間距離に対応した間隔の水平方向の交互の位置に前記左眼用映像と前記右眼用映像を同時に導くように開口を有し前記映像表示パネルの前方又は後方に配置された遮光板と、前記映像表示パネルから前記所定距離をおいた所定の立体視領域については前記左眼用映像及び前記右眼用映像を導くように間隙を有して配置され且つ、当該所定の立体視領域から右側の一つ目のサイドローブ領域における当該所定の立体視領域側の映像収束領域へは前記右眼用映像を導き、当該所定の立体視領域から左側の一つ目のサイドローブ領域における当該所定の立体視領域側の映像収束領域へは前記左眼用映像を導くように配置された複数の両面ミラー部材と、を備えたことを特徴とする立体映像表示装置。
- 左眼用映像と右眼用映像をパネル面の水平方向の交互の位置に同時に表示する映像表示パネルと、この映像表示パネルから所定距離をおいた位置であって眼間距離に対応した間隔の水平方向の交互の位置に前記左眼用映像と前記右眼用映像を同時に導くように開口を有し前記映像表示パネルの前方又は後方に配置された第1の遮光板と、前記映像表示パネルから前記所定距離をおいた所定の立体視領域については前記左眼用映像及び前記右眼用映像を導くように開口を有する一方、当該所定の立体視領域から一つ目のサイドローブ領域における当該所定の立体視領域側の映像収束領域への映像光の到来を遮蔽するように遮蔽部を有し前記映像表示パネルの前方又は後方に配置された第1パターン遮光部および当該第1パターン遮光部とは透過/遮蔽が逆パターンの第2パターン遮蔽部が垂直方向に連続して形成された第2の遮光板と、を備えたことを特徴とする立体映像表示装置。
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