JP4010700B2 - スローアウェイ式ドリルおよび切刃チップ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、新形状の切刃チップと、その切刃チップの装着されたスローアウェイ式ドリルに関する。
【０００２】
【従来の技術】
図５および図６は、従来のスローアウェイ式ドリルの事例を示すもので、後述するこの発明の実施形態と同一箇所には同符号を付したものである。このドリルにおいて、ドリル本体１１の一端に軸線に沿って設けられた一対の切屑排出溝１２の先端部には、溝の表面側からチップ座１３が座掘りされる。このチップ座１３に、切刃チップ１が締付ねじ１４により着脱自在に装着される。
【０００３】
切刃チップ１は、略三角形平板を呈し、切刃６の略中点Ｐが外方に突出して詳しくは異形の六角形をしている。中心部には取付穴２が穿設され、前記中点Ｐが最先端となるように配設されてドリル本体１１にねじ止め固定される。通常は、それぞれ外周刃，中心刃となる２個の切刃チップ１を組み合わせて、ドリルの主切刃が形成される。切削性能の改善のため、切刃６に沿って溝状のブレーカ８が設けられている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
スローアウェイ式ドリルにとって切屑処理は、ドリルの切削性能を決定づける大きな要素である。切屑処理の改善のために設けられるブレーカは、すくい角やブレーカ幅などに適正な形状が求められるが、ここで問題とするのは、小径のスローアウェイ式ドリルにおける切刃チップのブレーカ幅に関してである。
【０００５】
スローアウェイ式ドリルは、ドリル直径が小径となるのに対応させて、切刃チップも小さくする必要がある。しかしながら、小径になったからといって、切削条件が比例的に下がるわけではないので、ブレーカを相似的に小さくするわけにはいかない。相似的に狭くしたブレーカ幅は狭すぎて、切屑詰まりを起こしたり、切削抵抗を増大させたりして、切削性能の低下を引き起こす。
【０００６】
ところで、前記従来例の如きスローアウェイ式ドリルは、切刃チップが小さくなったときに適正なブレーカ幅を設定するだけのスペースがとれない。締付ねじの強度や耐久性を保つために、取付穴を過度に小さくすることもできず、ブレーカ幅の設定スペースは一層制限される。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
この発明は、前記の如き課題に鑑みなされたもので、略三角形平板状を呈し、その外側面がすくい面となるように、ドリル本体の先端面に着脱自在に装着される切刃チップであって、前記外側面には上面から底面方向に逃げ角が付与され、切刃となる上面外縁の各辺稜は、その略中点が高位にあってコーナに向かって次第に低位となる傾斜を有するように形成され、前記上面のコーナには、前記ドリル本体に装着されたときに外周側に配置されるコーナに対し、すくい面視において円弧状またはチャンファ状となる面取りが付設されるとともに、その付設の方向は、上面視において切刃に直角または鋭角となる方向にあることを特徴とする切刃チップを提供する。
上記発明においては、前記切刃チップの外側面には、切刃に沿ってブレーカが配設されて、ブレーカ付きのすくい面として作用するように形成されることとしてもよい。
【０００８】
また、本発明は、丸棒状をなすドリル本体の一端には軸線に沿って切屑排出溝が延在し、この切屑排出溝の配設されたドリル本体の先端面に、請求項１または請求項２に記載の切刃チップが着脱自在に装着されてなるスローアウェイ式ドリルにおいて、前記ドリル本体は、前記切刃チップの一側面をすくい面とし、少なくとも２個の前記切刃チップでもって、回転軌跡において、中心より外周まで繋がる切刃が創成されるように構成されることを特徴とするスローアウェイ式ドリルを提供する。
【０００９】
この発明は、同一の切刃チップを組み合わせて主切刃を創成できるようにしたものであり、しかも小径のドリル、具体的には直径２６ｍｍ程度以下の高性能スローアウェイ式ドリルの実現を可能とする。切刃チップは、ドリル本体の先端面の側から取付けられる、いわゆる立形チップの構成でありながら、ドリルとしての成立に必要な先端角を有するポジチップの形状となっている。すくい面と別な方向から取付穴が穿設されるので、切刃チップの大きさに関係なく、平板状のチップ厚さを変えることができる。そして、この厚くした側面をすくい面として、適切なブレーカ幅が自由に設定できるようになる。
【００１０】
いわゆる立形の切刃チップであっても、コーナに面取りを付設して刃先強化を図る形状とすることができる。そして、面取り部の外周逃げが確保できるように、面取りの付設する方向を制限している。
【００１１】
【発明の実施の形態】
次に、この発明の実施の一形態について、図を参照しながら説明する。図１ないし図３は本発明スローアウェイ式ドリルを、図４はその切刃チップを示したものである。
【００１２】
図４において、切刃チップ１は略三角形平板を呈して、その中心部には取付穴２が穿設され、外側面３には上面４から底面５の方向に逃げ角の付与された、いわゆる取付穴付きのポジチップとなっている。上面４の外縁にある各辺稜が切刃６とされ、切刃６はそれぞれ、その略中点Ｐが高位にあってコーナ７に向かって次第に低位となる傾斜を有した三角山形に形成される。
【００１３】
切刃チップ１は、外側面３がすくい面となる、いわゆる立形チップとして使用される。外側面３には切屑処理を行わしめるためのブレーカ８が切刃１に沿って具備される。ブレーカ８は、外側面３に溝状に凹設されたり、この形態のように凸設する段差面９を設けることでもって形成される。この構成は、切刃チップ１が小さいものであっても、チップ厚さを変えることにより、ブレーカ８の幅を適切な幅とするだけのスペースが確保できる。
【００１４】
切刃チップ１の上面４のコーナ７には、後述するドリル本体に装着されたときに外周側に配置されるコーナに対し、外側面３視、すなわちすくい面視において、図４（ｂ）のような円弧状またはチャンファ状となる面取り１０が付設される。そして、その付設の方向は、上面４視において切刃６となす角度αが直角または鋭角となる方向にとられる。
【００１５】
図１ないし図３において、ドリル本体１１は丸棒状をなして、その一端には軸線に沿って一対の切屑排出溝１２が延在している。切屑排出溝１２は、直溝またはねじれ溝に形成される。この切屑排出溝１２が配設された側のドリル本体１１の先端面には、チップ座１３が凹設される。チップ座１３には前記切刃チップ１が載置され、取付穴２に挿入した締付ねじ１４により、ドリル本体１１に着脱自在に締付け固定される。
【００１６】
チップ座１３は直径方向にずらして配置され、装着された２つの切刃チップ１は、それぞれ外周刃と中心刃として作用するようにする。回転軌跡において、外周刃と内周刃とは、軸線から外周まで繋がる主切刃が創成される。中点Ｐはドリルの最先端にあって、先端角を有した切刃６が形成される。切刃チップ１の外側面３は、適切な幅を有するブレーカ８の備わったすくい面となる。コーナ７には面取り１０が付設されて、コーナ部の強度強化が図られる。
【００１７】
なお、ドリル本体１１には油穴１５が貫通して先端で開口している。内部から供給される切削油剤が、切削熱の冷却と切屑排出を推進する。
【発明の効果】
この発明のスローアウェイ式ドリルおよび切刃チップは、小径のドリルにおける小形の切刃チップであっても、適切なブレーカ幅を設けることのできる構成となっている。立形チップの構成でありながら、ポジチップであってコーナの強化も図られているので、スラストが小さく、切屑排出性に優れる小径のスローアウェイ式ドリルが提供できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 この発明の実施の一形態であるドリル全体の斜視図である。
【図２】 ドリル先端の側面図である。
【図３】 図１のドリル先端部の拡大図である。
【図４】 この発明の実施の一形態である切刃チップを示し、（ａ）は正面図、（ｂ）は側面図、（ｃ）は（ｂ）のＰ点を通る横断面図である。
【図５】 従来のスローアウェイ式ドリルの事例を示す正面図である。
【図６】 図５の側面図である。
【符号の説明】
１ 切刃チップ
３ 外側面
４ 上面
７ コーナ
６ 切刃
８ ブレーカ
１０ 面取り
１３ チップ座
Claims (3)
- 略三角形平板状を呈し、その外側面がすくい面となるように、ドリル本体の先端面に着脱自在に装着される切刃チップであって、
前記外側面には上面から底面方向に逃げ角が付与され、切刃となる上面外縁の各辺稜は、その略中点が高位にあってコーナに向かって次第に低位となる傾斜を有するように形成され、
前記上面のコーナには、前記ドリル本体に装着されたときに外周側に配置されるコーナに対し、すくい面視において円弧状またはチャンファ状となる面取りが付設されるとともに、その付設の方向は、上面視において切刃に直角または鋭角となる方向にある
ことを特徴とする切刃チップ。 - 前記切刃チップの外側面には、切刃に沿ってブレーカが配設されて、ブレーカ付きのすくい面として作用するように形成されることを特徴とする請求項１に記載の切刃チップ。
- 丸棒状をなすドリル本体の一端には軸線に沿って切屑排出溝が延在し、この切屑排出溝の配設されたドリル本体の先端面に、請求項１または請求項２に記載の切刃チップが着脱自在に装着されてなるスローアウェイ式ドリルにおいて、
前記ドリル本体は、前記切刃チップの一側面をすくい面とし、少なくとも２個の前記切刃チップでもって、回転軌跡において、中心より外周まで繋がる切刃が創成されるように構成されることを特徴とするスローアウェイ式ドリル。
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