JP4010001B2 - 琴柱用補助部材、琴柱、琴柱構造および箏 - Google Patents
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ところが、この琴柱の左側を左手で押さえるという操作が、初心者には容易ではない。各絃はそれぞれ長さや張力が異なるため非常に難しいためである。この操作の習得には、平均でも数年の練習が必要であると割り出されており、この半音演奏が壁になって挫折する初心者も多いようである。
加えて、ここで、請求項1から請求項3に記載の発明の目的は、半音を奏でることを容易化するための琴柱用補助部材を提供することである。
また、請求項4および請求項5記載の発明の目的は、半音を奏でることを容易化する琴柱を提供することである。
また、請求項6および請求項12記載の発明の目的は、半音を奏でることを容易化する琴柱構造を提供することである。
また、請求項7、請求項11、請求項13および請求項14に記載の発明の目的は、初心者にも演奏しやすい箏を提供することである。
なお、上記の課題を解決する技術は、先行特許調査によっては発見できなかった。
請求項4および請求項5記載の発明は、新たな琴柱を提供することによって半音を奏でることを容易化することが特徴である。
請求項6および請求項12に記載の発明は、現在提供されている琴柱を改良するとともに、琴柱用補助部材を提供することで、上記の課題を解決する。
請求項7、請求項11、請求項13および請求項14に記載の発明は、全体として初心者にも演奏しやすい箏を提供することが特徴である。
請求項1記載の発明は、琴絃(40)の音程を調整するための琴柱(30)を、箏板(11)に対する所定の位置へ移動可能とするために琴柱(30)と箏板(11)との間に位置する琴柱用補助部材であって、琴柱(30)とかみ合うレール状の載置部材(20)を備え、
その載置部材(20)は、その長手方向が琴絃(40)方向と一致するように、箏板(11)に当接させて固定することによって、琴柱(30)を支持して琴絃(40)方向へ移動させることを可能とした琴柱用補助部材に係る。
レール状の載置部材(20)を、その長手方向が琴絃(40)方向と一致するように、箏板(11)に当接させて固定する。そして、その載置部材(20)に対して、移動可能であるように琴柱(30)を支持させる。
演奏において演奏者が琴絃(40)を爪弾く直前に、爪弾く側の琴絃(40)が長くなるように琴柱(30)を移動させれば、移動前よりも音程が下がる。爪弾く側の琴絃(40)が短くなるように琴柱(30)を移動させれば、移動前よりも音程が上がる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の琴柱用補助部材を限定したものであり、
載置部材(20)に対する琴柱(30)の移動範囲を規制する規制部材(21)を備えた琴柱用補助部材に係る。
なお、規制部材(21)と琴柱(30)との間に、別の部材(図7で例示するが、琴柱(30)に固定されて規制部材(21)に当接する当接部(31))を介在させてもよい。
規制部材(21)を備え、その規制部材(21)を琴柱(30)の位置として音程調整された場所へ固定する。すると、演奏時に琴柱(30)を移動させる際に、どの程度移動させればよいかをそれほど気にせずに済む。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の琴柱用補助部材を限定したものであり、
規制部材(21)を柔軟性材料にて形成するとともに、その規制部材(21)が琴絃(40)方向へ移動可能とした琴柱用補助部材に係る。
規制部材(21)を琴絃(40)方向へ移動可能とするには、例えば、両面テープで固定する方法がある。また、琴柱用補助部材(20)を樋状に形成するとともに規制部材(21)を琴柱用補助部材(20)の長手方向の断面形状に合わせてやや大きな形状とする。そのようにすれば、規制部材(21)を圧縮変形させた状態で音程調整位置に固定することが容易に行える。
規制部材(21)を柔軟性材料にて形成したことにより、演奏時に琴柱(30)を移動させる際に規制部材(21)と接触してもほとんど音が出ないため、演奏の邪魔にならない。また、音程調整位置を変更させることによる音程微調整が容易に行える。
請求項4記載の発明は、琴絃の音程を調整するための琴柱に係る。
すなわち、箏板(11)に当接する琴柱脚部(36)と、 琴絃(41)に接する絃接触部(37)と、 その絃接触部の先端が琴絃の長手方向へ移動するように絃接触部を琴柱脚部に対して回動自在とする回動規制構造とを備えた琴柱(35)であり、
前記の回動規制構造は、 前記の琴柱脚部および前記の絃接触部がなす回動角度を二段階で決定するために琴柱脚部および前記の絃接触部に二つの接触面を備えた形状をなすことを特徴とする。
回動規制構造を用いてその絃接触部(37)を琴絃(40)方向に琴柱脚部(36)に対して回動させる。それによって、琴絃(41)に接する絃接触部(37)の位置を変更することができる。このため、琴柱(30)の箏板(11)に対する位置を移動することなく琴絃(40)の音程を調整することができる。
請求項5記載の発明もまた、琴絃の音程を調整するための琴柱に係る。
すなわち、箏板(11)に当接する琴柱脚部(36)と、 琴絃(41)に接するとともに琴柱脚部(36)に対して移動可能な絃接触部(37)と、 その絃接触部(37)の移動方向を規制する移動方向規制部(34)と、 絃接触部(37)の移動範囲を規制する移動範囲規制部(33)とを備えた琴柱であって、
前記の移動方向規制部(34)は、琴絃(40)方向と一致するレール状をなし、 前記の絃接触部(37)は移動方向規制部(34)と係合し、 前記の移動範囲規制部(33)は、前記の移動方向規制部(34)の軸方向に直角な端面を両側に備えることによって移動範囲を規制することとしたことを特徴とする。
なお、移動範囲規制部(33)の補助部材として、絃接触部(37)と移動範囲規制部(33)との間に位置させて着脱可能な規制補助部材(スペーサ部材)を、別途備えることも可能である。
移動方向規制部(34)および移動範囲規制部(33)による制限の範囲で、絃接触部(37)を琴柱脚部(36)に対して移動させる。それによって、琴絃(41)に接する絃接触部(37)の位置を変更することができる。このため、琴柱(30)の箏板(11)に対する位置を移動することなく琴絃(40)の音程を調整することができる。
請求項6記載の発明は、琴絃(40)の音程を調整するための琴柱(30)を、箏板(11)に対する所定の位置へ移動可能とする琴柱構造に係る。
すなわち、箏板(11)に固定され、琴柱(30)を支持した琴絃(40)方向と一致するレール部材(25)と、そのレール部材(25)に噛み合ってレールの長手方向へ移動可能な琴柱(30)とを備えた琴柱構造であって、
前記のレール部材(25)には、琴柱(30)の移動範囲を規制するために当該レール部材を跨ぐストッパー(26)を備えたことを特徴とする。
レール部材(25)に噛み合っている琴柱(30)を、必要に応じてレールの長手方向へ移動させる。すると、琴絃(40)の音程を調整することができる。
請求項7記載の発明は、請求項1の構成を備えた箏であって、琴絃の音程を調整するために、箏板に対する所定の位置へ移動可能な琴柱を備えた箏に係る。
すなわち、箏板(11)に固定されるとともに、琴柱(30)を支持したレール状の載置部材(20)と、その載置部材(20)に支持されて琴絃(40)方向へ移動可能な琴柱(30)とを備え、前記の載置部材(20)は、その長手方向が琴絃(40)方向と一致するように、箏板(11)に当接させて固定することによって、琴柱(30)を支持して琴絃(40)方向へ移動させることを可能とした箏である。
請求項8記載の発明は、請求項4の構成を備えた箏であって、箏板に対する位置を移動することなく琴絃の音程を調整するための琴柱を備えた箏に係る。
すなわち、その琴柱(30)は、箏板(11)に当接する琴柱脚部(36)と、琴絃(41)に接する絃接触部(37)と、その絃接触部の先端が琴絃の長手方向へ移動するように絃接触部を琴柱脚部に対して回動自在とする回動規制構造とを備えた琴柱(35)であり、
前記の回動規制構造は、前記の琴柱脚部および前記の絃接触部がなす回動角度を二段階で決定するために琴柱脚部および前記の絃接触部に二つの接触面を備えた形状をなすことを特徴とする。
請求項9記載の発明は、請求項5の構成を備えた箏であって、箏板に対する位置を移動することなく琴絃の音程を調整するための琴柱を備えた箏に係る。
その琴柱は、箏板(11)に当接する琴柱脚部(36)と、 琴絃(41)に接するとともに琴柱脚部(36)に対して移動可能な絃接触部(37)と、 その絃接触部(37)の移動方向を規制する移動方向規制部(34)と、 絃接触部(37)の移動範囲を規制する移動範囲規制部(33)とを備え、
前記の移動方向規制部(34)は、琴絃(40)方向と一致するレール状をなし、 前記の絃接触部(37)は移動方向規制部(34)と係合し、 前記の移動範囲規制部(33)は、前記の移動方向規制部(34)の軸方向に直角な端面を両側に備えることによって移動範囲を規制することとしたことを特徴とする。
請求項10記載の発明は、請求項6の構成を備えた箏であって、琴絃の音程を調整するための琴柱を、箏板に対する所定の位置へ移動可能とする琴柱構造を備えた箏に係る。
その琴柱構造は、箏板(11)に固定され、琴柱(30)を支持した琴絃(40)方向と一致するレール部材(25)と、そのレール部材(25)に噛み合ってレールの長手方向へ移動可能な琴柱(30)とを備え、前記のレール部材(25)には、琴柱(30)の移動範囲を規制するために当該レール部材の軸方向を跨ぐストッパー(26)を備えたことを特徴とする箏である。
請求項11記載の発明は、請求項7から請求項10のいずれかに記載の箏を限定したものであり、一般の箏(例えば和琴)とは、琴柱の配置を異ならせた箏に係る。
すなわち、複数の琴柱を、琴の手前側から見て左側から右奥へ順に連続させて配置させたことを特徴とする。
前述したように、一般の箏(例えば和琴)は手前側に配置された絃ほど音程が高く、奥側に配置された絃ほど音程が低い。一方、本請求項に係る発明に係る箏は、複数の琴柱を、琴の手前側から見て左側から右奥へ順に連続させて配置しているので、手前側に配置された絃ほど音程が低く、奥側に配置された絃ほど音程が高くなり、楽譜と一致するために、初心者にとっても扱いやすい。
請求項12記載の発明は、箏板(11)に対する位置を移動することなく琴絃(40)の音程を調整するための琴柱構造に係る。
すなわち、箏板(11)に固定された琴柱用レール(25)と、その琴柱用レール(25)に噛み合って当該琴柱用レール(25)の長手方向へ移動可能に支持された琴柱(30b)と、琴柱用レール(25)上に設けられ、琴柱(30b)の移動範囲を規制する規制部材(26)とを備え、前記琴柱(30b)は、琴柱用レール(25)に当接する琴柱脚部(36b)と、その琴柱脚部(36b)に対してピン(37c)を介して回動自在に支持されると共に、周面を琴絃(40)に接触させる円盤状のローラ部材(37b)とを備えるとともに、琴柱脚部(36b)には前記ピン(37c)を支持するピン受け部(38b)を備えたことを特徴とする。
規制部材(26)は、琴柱用レール(25)において規制部材(26)を挟むような位置に設け、琴柱(30b)の範囲を移動させて規制部材(26)に接触させると半音を上げる(または下げる)ことができるようにすることが一般的である。しかし、円盤状のローラ部材(37b)が滑りなく琴絃(40)と接触可能であるような構造を採用した場合には、所定範囲に規制することによってローラ部材(37b)の回転を規制し、結果として琴柱用レール(25)における琴柱(30b)の移動範囲を規制することによって半音上げる(または下げる)部材であっても良い。
なお、前述の『円盤状のローラ部材(37b)が滑りなく琴絃(40)と接触可能であるような構造』とは、例えば、ローラの周部分に細かい凹凸を設けることによって琴絃(40)と噛み合う構造である。このような構造を採用した場合には、ローラ部材(37b)に回動距離を制限した規制構造を採用することもできる。つまり、一方へ音程調整が達成できる距離だけ回動するとローラが停止し、また、同様に音程調整が達成できる距離だけ回動するとローラが停止する。
箏板(11)には、琴柱(30b)の移動範囲を規制する規制部材(26)を備えた琴柱用レール(25)が固定されている。琴柱(30b)には、円盤状のローラ部材(37b)がピン(37c)を軸に支持されている。つまり、絃接触部(37)に回動自在なローラ部材(37b)を用いている構成である。したがって、琴絃(40)の強力な張力に対して発生する下方向への圧力に対しても、スムーズなローラの回転力によって琴柱(30b)の移動が容易となっている。これにより、演奏者が半音を奏でることが容易となる。
請求項13記載の発明は、請求項12記載の構成を備えた箏であって、箏板(11)に対する位置を移動することなく琴絃(40)の音程を調整するための琴柱構造を備えた箏に係る。
すなわち、その琴柱構造は、箏板(11)に固定された琴柱用レール(25)と、その琴柱用レール(25)に噛み合って当該琴柱レール(25)の長手方向へ移動可能に支持された琴柱(30b)と、琴柱用レール(25)上に設けられ、琴柱(30b)の移動範囲を規制する規制部材(26)とを備え、前記琴柱(30b)は、琴柱用レール(25)に当接する琴柱脚部(36b)と、その琴柱脚部(36b)に対してピン(37c)を介して回動自在に支持されると共に、周面を琴絃(40)に接触させる円盤状のローラ部材(37b)とを備え、琴柱脚部(36b)には前記ピン(37c)を支持するピン受け部(38b)を備えたことを特徴とする。
請求項14記載の発明は、請求項13に記載の箏を限定したものであり、複数の琴柱を、琴の手前側から見て左側から右奥へ順に連続させて配置させたことを特徴とする。
一般の箏(例えば和琴)とは、琴柱の配置を異ならせた箏に係る。
すなわち、複数の琴柱を、琴の手前側から見て左側から右奥へ順に連続させて配置させ、上に配置される音符ほど高い音を表している楽譜と同じ配列としている。したがって、上に配置される音符ほど高い音を表している楽譜を見慣れた現代人にとって生理的に合う配置であり、初心者にもなじみやすい箏となる。
また、請求項4および請求項5記載の発明によれば、半音を奏でることを容易化する琴柱を提供することができた。
また、請求項6および請求項12記載の発明によれば、半音を奏でることを容易化する琴柱構造を提供することができた。
また、請求項7、請求項11、請求項13および請求項14に記載の発明によれば、初心者にも演奏しやすい箏を提供することができた。
図1は、琴絃(40)の音程を調整するための琴柱(30)と、箏板(11)に対する所定の位置へ移動可能とするために琴柱(30)と箏板(11)との間に位置する琴柱用補助部材としての載置部材(20)を示している。また、図3は、箏(10)の全体を示している。
琴柱(30)が二股の脚部を備えているので、各脚部に一本の載置部材(20)を備えることとしている。この載置部材(20)は、箏板(11)に固定されるとともに、琴柱(30)を支持して琴絃(40)方向へ移動させることが可能であるように、長手方向の垂直断面形状が凹字状をなす樋形状をしている。
演奏において演奏者が琴絃(40)を爪弾く直前に、爪弾く側の琴絃(40)が長くなるように琴柱(30)を移動させれば、移動前よりも音程が下がる。爪弾く側の琴絃(40)が短くなるように琴柱(30)を移動させれば、移動前よりも音程が上がる。
規制部材(21)を柔軟性材料にて形成したことにより、演奏時に琴柱(30)を移動させ、規制部材(21)と接触してもほとんど音が出ないため、演奏の邪魔にならない。また、音程調整位置を変更させることによる音程微調整が容易に行える。
図2は、琴柱(30)の向きを図1に示した場合から90度回転させ、ひとつの載置部材(20)にて琴柱(30)の二つの脚部を支持することとしたものである。琴柱(30)の立安定性は図1の場合よりもやや劣るが、載置部材(20)の数を減らすことができるというメリットがある。
図4は、琴柱のみによって、半音調整を可能とする構造を実現した実施形態である。すなわち、箏板(11)に当接する琴柱脚部(36)と、琴絃(41)に接する絃接触部(37)と、その絃接触部(37)を琴絃(40)方向に琴柱脚部(36)に対して回動自在とした回動規制構造とを備えた琴柱(35)である。
図示は省略するが、軸部(38)にウィングナットなどの締結部材を採用し、回動角度を無段階で調整可能な構造としてもよい。
図5は、図1に示す実施形態と類似する。すなわち、図1に示す載置部材(20)に代えて、琴柱(30)の脚部に係合する琴柱用レール(25)を採用したものである。この実施形態は、琴柱(30)に対して琴柱用レール(25)に係合するレール用の溝を設ける改造が必要であるものの、載置部材(20)よりも小さな部材で同等の機能を達成することができるというメリットがある。
琴柱用レール(25)には、ストッパー(26)を適宜固定できるようにしている。このストッパー(26)は琴柱用レール(25)に対して着脱自在であり、固定場所の調整が可能としている。
なお、この図では、隣合う琴柱(30)にてひとつの琴柱用レール(25)を共用している。図1に示す載置部材(20)でも、隣合う琴柱(30)にて共用することは可能である。
図6もまた、琴柱のみによって、半音調整を可能とする構造を実現した実施形態であるが、図4とは回転ではなくスライドによって達成している点が異なる。すなわち、箏板(11)に当接する琴柱脚部(36)と、琴絃(40)に接するとともに琴柱脚部(36)に対して移動可能な絃接触部(37)と、その絃接触部(37)の移動方向を規制するレール状の移動方向規制部(34)と、絃接触部(37)の移動範囲を規制する移動範囲規制部(33)とを備えた琴柱である。
なお図示は省略するが、移動範囲規制部(33)の補助部材として、絃接触部(37)と移動範囲規制部(33)との間に位置させて着脱可能な規制補助部材(スペーサ部材)を、別途備えることも可能である。また、図4に示す「首振り構造」との組合せによって、琴柱脚部(36)の寸法を抑えつつ実質的な移動範囲を大きくする構造を採用してもよい。
図7は、図1および図5に示す実施形態と類似する。すなわち、図1に示す載置部材(20)に代えて、琴柱(30)の脚部に係合する琴柱用レール(25)を採用するものの、琴柱(30)にレール用の溝を設けるのではなく、当接部(31)を脚部へ固定することによって達成する。
図8の[A]には、一般の箏(図では和琴)とは各琴柱の配置を異ならせ、複数の琴柱を、琴の手前側から見て左側から右奥へ順に連続させて配置した箏を示している。このような箏は、手前側に配置された絃ほど音程が低く、奥側に配置された絃ほど音程が高くなり、楽譜と一致するために、初心者にとっても扱いやすい。
図9〜図11は、琴柱および琴柱用レールを用いて半音調整を可能とした実施形態である。図9は、琴柱構造を示した斜視図であり、図10は琴柱の部分斜視図であり、図11は、琴柱からローラ部材を取り出した状態を示した正面図である。
この琴柱(30b)は、琴柱用レール(25)に当接する琴脚柱部(36b)と、琴絃(40)に接するローラ部材(37b)と、ローラ部材(37b)を支持するピン受け部(38b)とを備えて構成されている。また、図5に示した実施形態同様、箏板(11)の長手方向には、琴柱用レール(25)が固定されている。琴柱用レール(25)上には、ストッパー(26)を適宜固定できるようにしている。このストッパー(26)は琴柱用レール(25)に対して着脱自在であり、固定場所の調整を可能としている。固定後は、琴柱(30b)の移動範囲を規制する。
図11に示すように、円盤状に形成されたローラ部材(37b)には、ピン(37c)が設けられている。このピン(37c)は、ピン(37c)を支持するためのピン受け部(38b)に回動自在に支持され、ピン(37c)の両端が外方へとやや突出するよう形成されている。すなわち、ローラ部材(37b)の周面であり、実質的に琴絃(40)と接する部位である絃接触部(37)に琴絃(40)が接することになる。そして、演奏において必要な時に、琴柱(30b)を琴絃(40)方向に移動させることで、琴の音程調整が可能となる。
上述したように、本実施形態では絃接触部(37)に回動自在なローラ部材(37b)を用いている。したがって、琴絃(40)の強力な張力に対して発生する下方向への圧力に対しても、スムーズなローラの回転力によって琴柱(30b)の移動が容易となっている。これにより、演奏者が半音を奏でることが容易となった琴柱および琴柱構造を提供することができる。
11 箏板
20 載置部材
21 規制部材
25 琴柱用レール
26 ストッパー
30,30b 琴柱
31 当接部
33 移動範囲規制部
34 移動方向規制部
35 回動機構付き琴柱
36,36b 琴柱脚部
36c 溝
37 絃接触部
37b ローラ部材
37c ピン
38 移動規制部
38b ピン受け部
40 琴絃
Claims (14)
- 琴絃の音程を調整するための琴柱を、箏板に対する所定の位置へ移動可能とするために琴柱と箏板との間に位置する琴柱用補助部材であって、琴柱とかみ合うレール状の載置部材を備え、
その載置部材は、その長手方向が琴絃の方向と一致するように、箏板に当接させて固定することによって、琴柱を支持して琴絃方向へ移動させることを可能とした琴柱用補助部材。 - 載置部材に対する琴柱の移動範囲を規制する規制部材を備えた請求項1記載の琴柱用補助部材。
- 規制部材を柔軟性材料にて形成するとともに、その規制部材が琴絃方向へ移動可能とした請求項2記載の琴柱用補助部材。
- 箏板に当接する琴柱脚部と、 琴絃に接する絃接触部と、 その絃接触部の先端が琴絃の長手方向へ移動するように絃接触部を琴柱脚部に対して回動自在とする回動規制構造とを備えた琴柱であって、
前記の回動規制構造は、 前記の琴柱脚部および前記の絃接触部がなす回動角度を二段階で決定するために琴柱脚部および前記の絃接触部に二つの接触面を備えた形状をなすことを特徴とする琴柱。 - 箏板に当接する琴柱脚部と、 琴絃に接するとともに琴柱脚部に対して移動可能な絃接触部と、 その絃接触部の移動方向を規制する移動方向規制部と、 絃接触部の移動範囲を規制する移動範囲規制部とを備えた琴柱であって、
前記の移動方向規制部は、琴絃の長手方向と一致するレール状をなし、 前記の絃接触部は移動方向規制部と係合し、 前記の移動範囲規制部は、前記の移動方向規制部の軸方向に直角な端面を両側に備えることによって移動範囲を規制することとしたことを特徴とする琴柱。 - 箏板に固定され、琴柱を支持した琴絃の長手方向と一致するレール部材と、そのレール部材に噛み合ってレールの長手方向へ移動可能な琴柱とを備えた琴柱構造であって、
前記のレール部材には、琴柱の移動範囲を規制するために当該レール部材を跨ぐストッパーを備えたことを特徴とする琴柱構造。 - 琴絃の音程を調整するために、箏板に対する所定の位置へ移動可能な琴柱を備えた箏であって、
箏板に固定されるとともに、琴柱を支持したレール状の載置部材と、その載置部材に支持されて琴絃の長手方向へ移動可能な琴柱とを備え、
前記の載置部材は、その長手方向が琴絃の長手方向と一致するように、箏板に当接させて固定することによって、琴柱を支持して琴絃の長手方向へ移動させることを可能としたことを特徴とする箏。 - 琴絃の音程を調整するための琴柱を備えた箏であって、
琴柱は、箏板に当接する琴柱脚部と、 琴絃に接する絃接触部と、 その絃接触部の先端が琴絃の長手方向へ移動するように絃接触部を琴柱脚部に対して回動自在とする回動規制構造とを備えた琴柱であり、
前記の回動規制構造は、前記の琴柱脚部および前記の絃接触部がなす回動角度を二段階で決定するために琴柱脚部および前記の絃接触部に二つの接触面を備えた形状をなすことを特徴とする箏。 - 琴絃の音程を調整するための琴柱を備えた箏であって、
その琴柱は、箏板に当接する琴柱脚部と、 琴絃に接するとともに琴柱脚部に対して移動可能な絃接触部と、 その絃接触部の移動方向を規制する移動方向規制部と、 絃接触部の移動範囲を規制する移動範囲規制部とを備え、
前記の移動方向規制部は、琴絃の長手方向と一致するレール状をなし、 前記の絃接触部は移動方向規制部と係合し、 前記の移動範囲規制部は、前記の移動方向規制部の軸方向に直角な端面を両側に備えることによって移動範囲を規制することとしたことを特徴とする箏。 - 琴絃の音程を調整するための琴柱を、箏板に対する所定の位置へ移動可能とする琴柱構造を備えた箏であって、
その琴柱構造は、箏板に固定され、琴柱を支持した琴絃の長手方向と一致するレール部材と、そのレール部材に噛み合ってレールの長手方向へ移動可能な琴柱とを備え、
前記のレール部材には、琴柱の移動範囲を規制するために当該レール部材の軸方向を跨ぐストッパーを備えたことを特徴とする箏。 - 複数の琴柱を、琴の手前側から見て左側から右奥へ順に連続させて配置させたことを特徴とする請求項7から請求項10のいずれかに記載の箏。
- 琴絃の音程を調整するための琴柱構造であって、
箏板に固定された琴柱用レールと、 その琴柱用レールに噛み合って当該琴柱レールの長手方向へ移動可能に支持された琴柱と、 琴柱用レール上に設けられ、琴柱の移動範囲を規制する規制部材とを備え、
前記琴柱は、琴柱用レールに当接する琴柱脚部と、
その琴柱脚部に対してピンを介して回動自在に支持されると共に、周面を琴絃に接触させる円盤状のローラ部材とを備え、
前記琴柱脚部には、前記ピンを支持するピン受け部を備えたことを特徴とする琴柱構造。 - 琴絃の音程を調整するための琴柱構造を備えた箏であって、
その琴柱構造は、 箏板に固定された琴柱用レールと、 その琴柱用レールに噛み合って当該琴柱レールの長手方向へ移動可能に支持された琴柱と、 琴柱用レール上に設けられ、琴柱の移動範囲を規制する規制部材とを備え、
前記琴柱は、琴柱用レールに当接する琴脚柱部と、
その琴脚柱部に対してピンを介して回動自在に支持されると共に、周面を琴絃に接触させる円盤状のローラ部材とを備え、
前記琴柱脚部には、前記ピンを支持するピン受け部を備えたことを特徴とする琴。 - 複数の琴柱を、琴の手前側から見て左側から右奥へ順に連続させて配置させたことを特徴とする請求項13に記載の箏。
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