JP2005173515A - 三駒型一弦楽器 - Google Patents

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Abstract

【課題】三駒型一弦楽器において、高音域を発音し易くし、また、ビリツキ音を発生可能とし、更には、表現能力の向上を目指す。
【解決手段】表板側に必要数の自由形音響孔を有し、小胴側表板の該当位置へ駒A、緒止めを有する大胴側表板の該当位置へ駒Bを固定し、弦は、緒止めでのみ止めて、駒Bと駒Aの弦受け高峰に接触しつつ通過し、その先端へ手動で弦の張力を加減して音の高低を決定するための音程操作部材を有し、また、駒Aと駒Bの中間へは駒Cを設け、更に、小胴側頭部の側板部には、掌固定部材という鋭角度を利用した掌の滑り止め部材を有する構成とする。駒AB間における大弦長の長さの三分の一であって駒A寄りに駒Cを設ける事で、音程操作部材を操作して、大弦長・中弦長・小弦長を使い別けて、最低音の「低ソ音」から3オクターブ上の「高ソ音」までの表現を可能にする。
【選択図】図1

Description

発明の詳細な説明
産業上の利用分野
一弦楽器自体の構造は、先案(二駒型・音域2オクターブ)注1と同様で、これに駒Cを追加した三駒型一弦楽器(音域3オクターブ)の説明に関する。
注1
前記先特許案の一弦楽器は、前記大弦長での駒A・駒Bのみの二駒型であり、ギターの第3開放弦を「低ソ音」とする音域2オクターブの性能であった。
発明が解決しようとする課題
先案の二駒型一弦楽器は、最低音付近は音量が減少し、高音域は音質が固くなる傾向にあり、弦を釣糸10号より太くすると高音域が出ないので、低音域の音量と、高音域の音質を改善し、且つ、音域3オクターブを実現すること。
課題を解決するための手段
前記先案の二駒型一弦楽器は、前記大弦長にて釣糸10号一本弦の張力変化のみで最低音から最高音までの2オクターブ音域としたが、駒A・駒B間へ新たに駒Cを追加した本三駒型一弦楽器は、11号か12号に相当する少し太めの弦を使用できるので、前記「低ソ音」付近の音量は改善され、また、同音でも前記大弦長での高音域より、前記中弦長の方が張力が弱いため柔らかい音質を得られ、例えば、各弦長間で1オクターブづつ発音すれば3オクターブが可能となるが、通常は、可能な限り前記大弦長を用いる使用方にて、上記課題を解決する。
作用
前記小弦長と前記中弦長の長さは1対2の関係のため、前者は後者より常に1オクターブ高く発音するので、前記大弦長を省略して、三つの駒の弦受け高峰を一直線上に配列し、駒Cの背丈を最も高くすれば、弦長が短くなる分、太めの弦を使用する事で音域2オクターブ強の小・中両弦長のみの一弦楽器にもなる。
駒Cの形状は、上辺右側が弦受け高峰の場合、少し低い位置に左横方向へ伸びる段差部を設けた中峰・左右両側辺へも弦受け峰等々を設けることから、良音を得るための二本の駒足形は、必ず、駒Cの底部と左辺の切り込みを弦受け高峰へ向かう構造にすることで、弦受け高峰からの弦振動を表板側へ伝達し易くする。
[駒A・駒Bの使用方説明]
三駒型一弦楽器の前記大弦長での演奏方法は、前記先案の二駒型と同様であるが、この他に、駒Bの弦受け高峰より弦の圧力が弱い左峰上方に小さなキズをつけて、駒Bと緒止め3の間の弦を摘み、斜め上下に少し振り、小さな前記キズの周辺へ弦を擦り合わす発音方法もある。
[駒Cの使用方説明] (駒Bは全て弦受け高峰使用)
1, 弦を駒B・駒Cの高峰・駒Aの右峰へセットすると、前記中弦長と前記小弦長になり、弦長が2対1の関係のため、1オクターブ異なる同音階の交互発音(親指で前記小弦長を弾き、小指・薬指・中指の運指順で前記中弦長を弾くトレモロ奏法)・1オクターブ異なる二音の同時発音(親指で前記小弦長を弾き、同時に薬指か小指で前記中弦長を弾く奏法)等の演奏方法が可能である。
2, 弦を駒B・駒Cの左峰上・駒Aの右峰へセットすると、弦が対角線状になることから、両弦長の長さ調節は、駒Cの左峰上のみにて行い、演奏中のセットは難しいが、上記1より、明らかに高音域の音質が明瞭になる長所が有る。
3, 弦を駒B・駒Cの中峰・駒Aの左峰へセットし、前記小弦長側中央付近を強く弾くと、前記中弦長側が共鳴して同音を発生する。
4, 弦を駒B・駒Cの中蜂・駒Aの左峰へセットし、前記小弦長側中央付近を摘むか親指で持ち上げてから放すと、弦は駒Cの中峰へ衝突し、両弦長から1オクターブ異なる同音階の音を発生する。
5, 弦を駒B・駒Cの中峰段差部・駒Aの左峰へセットし、駒C近くの前記中弦長側の弦を摘み左右に振り前記段差部周辺へ擦り合わすと前記小弦長側に擦れ音が発生し、前記小弦長側を左右に振ると前記中弦長側に擦れ音が発生する。
6, 弦を駒B・駒Cの中峰・駒A左辺のa1へセットして弾くと、弦が駒Cの中峰該当位置へ僅かに接触して弱いビリツキ音を発生し、a2・a3へ下げるにしたがってビリツキ度は増して、a3位置では小太鼓に似た擬音が発生する。
音程操作部材の構造は、直接、手で弦の張力を操作する部材と、弦を必要な長さに巻取後に仮固定する回転部材との二部材で構成するものであり、前記操作部材側へ、前記回転部材を収納するに足る溝を掘り、前記回転部材の両端を四角柱のストッパーにする構造により、両者を合体させて4分の1回転で仮固定する。
前記掌固定部材は、小胴側頭部の側板部と表板との角度がほぼ直角のため、強い弦の張力に対して掌が滑らないように、鋭角度を利用して、掌の固定部分の摩擦力を増すための部材である。
以下、図面を参照して本発明の三駒型一弦楽器の実施例を説明する。
三駒型一弦楽器の胴そのものはギター胴の構造であり、胴長60cm弱・大胴幅23cm・小胴幅18cm・胴中央幅12cm・側板幅4、5cmで、弦には釣糸10号を使用し、自分が、前記大弦長にて最低音から2オクターブ上の「高ソ音」を出せる限界の弦長は41、7cmということで試作しており、共鳴胴の小胴側表板に駒A、緒止めを有する大胴側表板に駒Bを設け、駒A・駒Bの中間には駒Cを有し、弦は緒止め3にのみ止め、先端には弦を手動で引っ張り、音の高低を決定するための音程操作部材1を有する構造であり、駒Cは前記大弦長の三分の一の長さであって駒A側に近い位置へ設ける構造であり、駒は全て木工用ボンドでの糊付けであるが、現在まで禿げ落ちた事は無かった。(図1・図2・図3・図4)
胴の頭部側板へ前記掌固定部材2を上に厚く3cm弱・下に薄く角度をつけた部材を設け、強い弦の張力に対して掌が滑らないようにする。(図1の2)
細長い胴のため音響孔の形状・数について、その性能差を調べてみたが、優劣不明のため自由形として、一応、試作したものについてのみ下記へ記載したが、その他には、胴の中央へ楕円形音響孔を一つ設けた試作品もある。(図面省略)
1,胴の中央部へf字形音響孔5・小胴側へ円形音響孔4は(図2)であり、
2,大胴側と小胴側へ、円形音響孔4を二孔設けた例は(図3・f字孔を除く)
3,胴の中央部へ長いf字形音響孔5(図1=図3f字孔のみ・円形孔を除く)
4,胴の中央部へf字形音響孔5・小胴側へ変形音響孔4二孔は(図4)等々、
以上であるが、どれを選ぶかは優劣不明のため、好みによる。
「木目を横方向にした駒の構造説明」
駒Aは、試作では高さ4cm〜4,5cm程度・上辺厚0,6cm強・駒底へ向かうに従い厚くなり2cm弱で足幅は適当、人字形でほぼ対象型であるが、弦受け高峰を上辺左側の突起横へ設け、そこから右へ上昇して、弦が右肩から外れる位置に来たとき、自動的に駒C高峰の内側端の低凸部の上位置へに来るように駒Aと駒Cを設定し、駒A左辺には弦受け左峰の他、a1峰・a2峰・a3峰等を設けてビリツキ度の異なる音を発生させ、右辺には右峰のほか切り込みを入れ、これに楽器を使用しないときは弦を挟む構造である。 (図1・図5・図6・図7)
下記の駒Cを真似た駒Aの第2実施例で、二本の駒足形は、底部と右辺の切り込みを弦受け高峰へ向かうようにする構造であるが、未実験である。 (図8)
駒Cは、上辺の弦受け高峰を右側に設けた場合、少し低い位置に左横方向へ伸びる段差部を設けた中峰と、左右両側辺にも弦受け峰を有し、前記大弦長の長さの三分の一で駒A寄り位置の表板へ固定し、二本の駒足形は、底部と左辺の切り込みを弦受け高峰へ向かう構造にする事を今回初めて完成し、駒の背丈は前記大弦長使用時の弦高により決定し、駒厚は駒Aより薄い。(図9・図10・図11)
駒Bは人字形対象型で弦受部の中央へ凹部を設けてけて弦受け高峰とし、左辺上方へ小さなキズを付けて、B駒による前記大弦長での擦れ音を発生させ、高さは2cm〜2,2cm程度であり、左右側面図は省略したが、上部厚0、5cm・下部厚1、6cm・足幅5cm弱程度で試作した。 (図12)
音程操作部材1は、長さ8cm・横幅1、5cm・図面縦幅1、6cmの本体を「コの字型」にして、この空間へ、中心部断面が丸形・両端の断面が四角形・外側に細い四角柱のストッパーから成る回転部材を嵌め込む構造であり、前記回転部材は四分の一回転で固定出来れば、弦を程良い長さに調節可能であり、使用方は、弦を本体中央の弦穴に通してから回転部材中央の弦穴へ通し、90度異なる左右の弦穴へ一度通してから回転部材に弦を巻きつけ長さを調節した後、本体の溝部へ嵌め込み固定する構造であり、弦を巻くと横方向の弦を締め付ける圧力で確実に弦は固定され、(図13・図14) 他に、木製以外の材質のストッパーでは回転部材の杭止め・旧カメラのフィルム巻き等の構造があるが図面は省略する。
「力木の説明」
力木は、大小両胴間の円形と変形の二孔4・f字形5等の各音響孔を避けて可能な限り長くする構造であり、中央に直棒・その両側へ「くの字」に曲げた長力木を対象に設けて三本入れ、必ず三つの駒A・B・C位置の表板裏面へは、横方向力木と駒裏補強を設けた三本一組を配置する構造 注2を骨子にし、本一弦楽器のような細長胴には、三つの駒A・B・Cの振動が表板を介して三本一組の同一長力木へ伝達されるので、最適力木配置方と言える。(図面必要の場合提出)
注2
「魂柱6の説明」
胴が細長いためか、魂柱6を小胴側の円形音響孔4では孔縁より少し奥へ設けて、変形音響孔4の右側縁直近の下か、または、f字形音響孔5に設ける場合は右上方の内側の縁下へ、別出願の魂柱案 注3を使用すると高音域が冴え、この事は、バイオリンのような擦弦楽器へ、従来の胴内魂柱と併用することにより、確実に有効なことを確認済みである。 (図1・図2・図3・図4)
注3
「緒止め3の説明」
緒止め3は自由形・ネジ止めで、確実に胴尻へ回転可能に設置する部材で、先端弦穴と駒Bの弦受け高峰との高さの関係を正しくし、弦の止め方はバイオリン等の弦と同様に弦尻へ止め玉を設けたものを使用し、簡単に弦が抜け落ちないように緒止め3へ巻き付けた後、先端の弦穴を通過する構造である。(図1の3)
発明の効果
先案の二駒型一弦楽器の音域が、前記大弦長のみの2オクターブに対し、三駒型一弦楽器では、駒Cを追加することにより、前記大弦長・前記中弦長・前記小弦長のように弦長を換える演奏方により、3オクターブ音域が可能となる。
更に、駒Cの追加により、前記中弦長と前記小弦長とでは1オクターブ異なる同音階を発音し、弦を駒Cに軽く接触したビリツキ音等、表現能力が向上する。
初心者には、前記先案の二駒型一弦楽器の弦長40cm以下(釣糸10号)で良く、単発音(ピック使用でゆっくりしたトレモロ)によるメロディー演奏・音感訓練等にも使えるが、他に…、二人で向き合い、一方が同テンポで弦を弾き、他方が、音程操作部材1を操作する演奏曲目当てゲームにも使え、また……、
上級者には、五本指の運指順の変化により、楽譜(音階名)を知らなくても、自分が正確音程で歌える曲は、全て、即興にて演奏可能であるが、反面……、
声帯での音程操作と同様のことを、一弦を用いて指で行う本格的演奏は、演奏方法を本気で開発し初めてから4年目のため未熟なこともあり、本三駒型一弦楽器は、弦楽器として最も高度の技量を要する楽器の一つである・・とも思う。
三駒型一弦楽器に長めのf字形音響孔5を採用した斜視図である。 円形4・f字形5の両音響孔を採用した三駒型一弦楽器の正面図である。 二つの円形孔4か、長f字形音響孔5の場合の三駒型一弦楽器の正面図である。 変形小音響孔4・f字形音響孔5を採用した三駒型一弦楽器の正面図である。 駒Aを胴尻側から見た正面図である。 駒Aの右辺の側面図である。 駒Aの左辺の側面図である。 駒Aの第2実施例を胴尻側から見た正面図である。 駒Cを胴尻側から見た正面図である。 駒Cの右辺の側面図である。 駒Cの左辺の側面図である。 駒Bを胴尻側から見た正面図である。 音程操作部材1の側面図である。 音程操作部材1の底面図である。
符号の説明
A………小胴側駒
B………大胴側駒
C………中間の駒
1………音程操作部材
2………掌固定部材
3………緒止め
4………円形音響孔・変形音響孔
5………f字形音響孔
6………魂柱
注1
二駒型一弦楽器案
(提出日) 平成12年 4月12日
(出願番号) 特許願平成10−376222
(発明の名称) 弦の張力手動変更による一弦楽器の音程操作方法
(第2次補正受付番号) 20301390057 (第1次補正受付番号) 20000720018
本三駒型一弦楽器から、駒Cを除いた二駒型構造で、音域は2オクターブ、弦に釣糸10号使用の場合、駒A・B間の弦長は、35cm〜40cm程度が初心者には適当である。二駒型出願直後には既に三駒型構想は有ったが、駒Cの形状が定まらず、いくら実験を繰り返しても良音を得られなかったが、今回、4年の歳月を経てやっと辿り着いた駒C型が本分の(0007)(0018)(図9〜11)であり、この完成により、本三駒型一弦楽器案の出願に至った次第である。
注2
力木案 特許第2864013号
(発明の名称) 弦楽器の力木による棹振動と駒振動との同調構造
本力木案は、本文(0021)説明の構造において、左右の「くの字」形の長力木の先端を棹末端と直接に接続する構造により、棹と胴との振動を同調させること、即ち、前記長力木を棹の胴内延長部とする構想であるが、これを本一弦楽器に応用すれば、棹よりも感度の良い駒の振動を伝達することになり、最善の力木の配置方になるので、力木案の(0023)・図10を応用するが、本一弦楽器には棹が無いので長力木の先端は、従来の通りにしてある。
注3
新魂柱案
(提出日) 平成14年10月14日
(発明の名称) 右f字形音響孔の内側縁直下魂柱の使用方法
(出願番号) 特許願2002−334397号
(審査請求)(手続補正) 平成15年11月 5日
高音弦側f字形音響孔の内側縁の最も効果的位置に簡易移動する使用方の魂柱案で、摘み付き魂柱案の(図3)と従来の単純棒状胴内魂柱のどちらでも良い。

Claims (1)

  1. 小胴と大胴を有する細長い形状の共鳴胴の表板側に必要数の自由形音響孔を有し、前記小胴側表板の該当位置へ駒A、緒止めを有する前記大胴側表板の該当位置へ駒Bを固定し、弦は、前記緒止めでのみ止めて、前記駒Bと前記駒Aの弦受け高峰に接触しつつ通過し、その先端へ手動で弦の張力を加減して音の高低を決定するための音程操作部材を有し、また、前記駒Aと前記駒Bの中間へは駒Cを設け、更に、前記小胴側頭部の側板部には、掌固定部材という鋭角度を利用した掌の滑り止め部材を有する構成の一弦楽器であり、
    前記音程操作部材は、直接、手で弦の張力を加減操作する本体部材と、弦を必要な長さに巻取り後、本体へ回転可能に一時固定する部材との二部材で構成し、
    前記駒Cは、上辺の弦受け高峰を右側に設けた場合、少し低い位置に左横方向へ伸びる段差部を有した中峰と、左右両側辺にも弦受け峰を有する形状として、駒Aと駒B間の長さの三分の一で駒A寄り位置の表板へ固定する構造により、
    駒A・駒B・前記駒Cの弦長関係は、駒A・駒B間を大弦長、 駒A・駒C間を小弦長、 駒C・駒B間を中弦長として、前記音程操作部材を操作し、各音域に合う弦長を選択して演奏する弦楽器であり、この弦長換えにより3オクターブ音域を可能にした、三駒型一弦楽器の上記構成を特徴とするものである。
    以上の構成から成る、三駒型一弦楽器。
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