JP4854801B1 - 電気擦弦楽器および電気撥弦楽器−電気擦弦楽器変換キット - Google Patents

電気擦弦楽器および電気撥弦楽器−電気擦弦楽器変換キット Download PDF

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Abstract


【課題】 電気擦弦楽器として擦弦楽器で得られる長所を持ちつつ、フレット利用楽器で可能な和音演奏を可能とする電気擦弦楽器を提供する。
【解決手段】 電気擦弦楽器100は、ボディ本体110とネック120とヘッド130と複数本の弦140の部位を備えている。弦140はブリッジ112により弦面が凸曲面となるように支持されている。ネック120の上面には指板121と音程を決めるフレット122が設けられている。ネック120のローポジション120aでは、指板121と弦140の弦面が略平面に形成されるとともにフレット122が略平面に植設され、フレット122を用いてフレット利用単音擦弦奏法に加えてフレット利用和音擦弦奏法により和音を出すことも可能となっている。一方、ネック120のハイポジション120bでは、指板121と弦140の弦面が凸曲面に形成されるとともにフレット122を植設せず、フレット無し擦弦奏法が可能となっている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ピックアップを用いた電気式の擦弦楽器に関する。特に、擦弦楽器でありながら、フレット利用の撥弦楽器と同様の和音演奏表現などのフレット利用奏法と、擦弦楽器のビブラート奏法等の無音階での演奏表現などのフレット無し奏法の双方を可能とする擦弦楽器に関する。
弦楽器には、大きく分けて、弦を弾いて発音する撥弦楽器、弦を擦って発音する擦弦楽器、弦を打って発音する打弦楽器の3種類がある。それぞれ以下のように分類される。
撥弦楽器:ギター、ウクレレ、三味線など
擦弦楽器:バイオリン、チェロ、胡弓、ビオラ・ダ・ガンバ、アルペジョーネなど
打弦楽器:ピアノ、楊琴など
ここで、撥弦楽器は、弦をピックまたは指で弾いて演奏するフレットまたはそれに類する指標とボディ本体およびネックを備えた楽器であり、擦弦楽器は、弓で弦を擦って演奏する共鳴胴とネックを備え、フレットを備えていない楽器(ただし、ビオラ・ダ・ガンバ、アルペジョーネはフレットを備えている楽器)であり、打弦楽器は、弦を打弦手段によって打撃して演奏する共鳴板を備えた楽器である。
上記の各々の弦楽器にはそれぞれ特徴がある。擦弦楽器は擦弦をしている間は音を持続して発することができるが、バイオリンなどの擦弦楽器では、指板及び弦面が平面ではなく凸面を成しているため、複数の弦を一本の指あるいは複数の指で一度に押さえて演奏するフレット付撥弦楽器では可能な和音演奏に向かない。
一方、撥弦楽器や打弦楽器は、弦を弾いたり打撃したりして弦を振動させた後は次第に減衰してゆくので持続音を発音させることができず、擦弦楽器のような発音開始後の音量の強弱の表現ができない。また、従来のフレット利用撥弦楽器は音程を定めるためのフレットがあるがために従来のフレット無し擦弦楽器では可能な音程の微妙なゆれを表現するビブラート奏法等の無音階での演奏表現ができない。
また、従来のギターなどの撥弦楽器を、仮に弓で擦弦した場合、弦面が平面なため複数の弦を擦ることになり、その結果、和音演奏は可能だが、逆に単弦のみを選択的に擦ることができず、単音での演奏ができない。
つまり、各々の弦楽器はそれぞれ特徴を持って発展してきた経緯があり、擦弦楽器と撥弦楽器の長所を兼ね備えたような弦楽器は現在のところ存在していない。
上記のように、各々の弦楽器はそれぞれ特徴を持ったものであるが、弦から発する振動音をそのまま発するアコースティック楽器のほか、弦から発する振動音をピックアップにより電気信号として検知し、アンプにより電気信号を増幅してスピーカーから音を発する、いわゆるエレクトリック楽器が発展してきた。代表的なものにいわゆるエレクトリックギターがある。また、近年では、バイオリンにピックアップを設けたいわゆるエレクトリックバイオリンと呼ばれるものも登場している。
従来技術のエレクトリックバイオリンは、従来のアコースティックのバイオリンを模した電気弦楽器であり、バイオリン弦の振動をピックアップで検出し、その検出信号を増幅して出力するというものである。そのため、奏法に関しては、従来のアコースティックなバイオリンと変わらず、指を立てて単弦を押さえつつ弓で弦を擦弦する単音擦弦による演奏が中心となる。
従来技術のエレクトリックバイオリンとして、例えば、特開2003−150164号公報には、弦と、該弦を支持する駒と、該駒が立設される本体部とを備えた擦弦楽器であって、駒下に取り付けられ、当該駒の振動を電気エネルギーに変換する複数の圧電素子を有する振動検出センサを備え、前記複数の圧電素子が並列接続されたエレクトリックバイオリンが開示されている。
また、エレクトリックバイオリンとして、音程決めを容易とするフレットを指板上に植設したものとして、特開2005−283732号公報、米国特許7230174号などがある。これらは公報には、ボディ本体と、前記ボディ本体に連設された棹と、前記ボディ本体と前記棹の上方に張設された複数本の弦と、前記弦の音程を決めるフレットを有し前記棹の上面に接合された指板と、前記ボディ本体上に立設され前記弦の擦弦部付近を支持する駒と、前記弦の振動を検出し電気信号に変換するピックアップ装置とを備えたエレクトリックバイオリンが開示されている。これら特許は、一般のバイオリンが弦の音程を決める目印となるフレットやそれに類する指標を備えていないため熟練が必要とされていた点を解決する手段として、演奏を容易とするためにエレクトリックバイオリンにおいてすべてのポジションにフレットを設けたものである。つまり、従来のバイオリンなどのネック部分のすべてのポジションにフレットを設けたものである。特開2005−283732号公報には、バイオリンやチェロと同様に弦ごとの弓奏を容易にするという効果が紹介されている。
特開2003−150164号公報 特開2005−283732号公報 米国特許7230174号
和音は、聴者に心地よい豊かな音色であるため、しばしば用いられる。和音は複数の弦を振動させる必要があるため、ギターのような撥弦楽器やピアノのような打弦楽器において多用されている。アコースティックギターやエレクトリックギターなどの撥弦楽器は、和音奏法と単弦奏法のいずれも選択的に可能であり、ピアノのような打弦楽器も和音奏法と単弦奏法のいずれも選択的に可能である。フレットが付いているフレット利用楽器は複数の弦の音程を決めやすいので和音奏法に向いている。
しかし、バイオリンなどの擦弦楽器では、指板及び弦面が平面ではなく凸面を成しており、また、ビブラート奏法等の無音階での演奏表現などを可能とするためフレットが設けられていないため、複数の弦を一本の指あるいは複数の指で一度に押さえて演奏する和音演奏に向かず、事実上、指を立てて単弦を押さえつつ擦弦する単弦奏法が中心であった。
バイオリンなどの擦弦楽器では、むしろ、確実に単弦を擦弦して他の弦には触れないようにするため、ネック先端の糸巻き部とボディ本体のテイルピースの間に、上面が凸曲面となっているブリッジを立てることにより、弦面が凸曲面となるように工夫していた。つまり、従来のアコースティックバイオリンおよびエレクトリックバイオリンのいずれにおいても、凸曲面のブリッジを立てることにより弦面を凸曲面とし、一本一本の弦を確実に単独で擦弦するものとなっていた。なお、弦面は、ブリッジに近いハイポジション(ボディ本体近くの弦の位置)のみならず、ネック先端に近いローポジション(ネック先端近くの弦の位置)においても凸曲面となっている。この点は、上記の特開2003−150164号公報、特開2005−283732号公報、米国特許7230174号に開示されたエレクトリックバイオリンも同様である。
そこで、もし、エレクトリック弦楽器において、従来のフレット無し擦弦楽器の長所、従来のフレット利用撥弦楽器の長所を併せ持ったものが可能であれば、従来にはない全く新しい演奏音を創出することができる電気擦弦楽器が得られることとなる。
つまり、(1)フレット付撥弦楽器のように、複数の弦を指で一度に押さえて演奏する和音演奏ができるとともに、(2)擦弦楽器のように、擦弦開始後も発音が持続して音量の強弱の表現ができ、(3)フレット付擦弦楽器でありながらも、従来のフレット無し擦弦楽器では可能である単弦のみを選択的に擦弦して音程の微妙なゆれを表現するビブラート奏法等の無音階での演奏表現ができるという、従来の擦弦楽器の長所、従来の撥弦楽器の長所を併せ持ったものが好ましい。
つまり、電気擦弦楽器として、フレット無し楽器同様に擦弦するフレット無し奏法を可能としつつ、フレット利用楽器同様に複数の弦を同時に擦弦して振動させるフレット利用和音奏法ができれば、従来にはない全く新しい演奏音を創出することができる電気擦弦楽器が得られることとなる。
上記問題点に鑑み、本発明は、フレット利用の撥弦楽器と同等のフレットを利用した和音演奏と、フレット無しの擦弦楽器のビブラート奏法等の無音階での演奏表現などのフレット無しの擦弦奏法を可能とする電気擦弦楽器を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の電気擦弦楽器は、ボディ本体と、前記ボディ本体に連設されたネックおよびヘッドと、前記ボディ本体と前記ヘッド間に張設された複数本の弦と、前記ネックの上面に接合された指板と、前記指板上の一部の領域に植設された音程を決めるフレットと、前記ボディ本体上に設置され前記弦の弦面を凸曲面に支持するブリッジと、前記ネック上に設置され前記弦の弦面を平面に支持するナットと、前記弦の振動を検出し電気信号に変換するピックアップ装置と、電気信号を外部音響機器に出力する出力端子を備え、前記ネックのローポジションのナットにおいて、前記弦が形成する弦面を平面に形成するとともに、前記ブリッジにおいて、前記弦が形成する弦面を凸曲面に形成することによって前記弦面を前記ネックのローポジションからハイポジションにかけて平面から凸曲面まで滑らかに変化させ、前記指板を前記弦面の変化に合わせた形に平面から凸曲面まで滑らかに変化させるとともに、前記ネックのローポジションからミドルローポジションにおいて前記フレットを植設し、前記ネックのミドルハイポジションからハイポジションにおいて前記フレットを植設せず、植設された前記フレットの形状を前記弦面の凸曲面の変化に応じて平面から凸曲面形状まで滑らかに変化するものとしたことを特徴とする電気擦弦楽器である。
上記構成により、本発明の電気擦弦楽器において、ローポジションでは、指板および弦面が略平面である上にフレットが設けられており、いわゆるエレクトリックギターと同様の運指により指で複数弦を同時に押さえやすく、かつ、複数の弦を擦弦することにより和音演奏が可能となる。本発明ではこの奏法を「フレット利用和音擦弦奏法」と呼ぶ。なお、ローポジションでも一本の弦に指を立てて押さえて擦弦する単音擦弦演奏が可能である。本発明ではこの奏法を「フレット利用単音擦弦奏法」と呼ぶ。また、ハイポジションでは、指板および弦面が凸曲面となっており、かつ、指板上にはフレットを植設されていないので、いわゆるフレット無しのビブラート奏法等の無音階での演奏表現などの擦弦奏法が可能となっている。本発明ではこの奏法を「フレット無し擦弦奏法」と呼ぶ。つまり、本発明の電気擦弦楽器において、ローポジションでは、エレクトリックギターと同様、運指により指で複数弦を押さえつつ同時に複数の弦を擦弦する「フレット利用和音擦弦奏法」と一本の弦に指を立てて押さえ、単弦を擦弦する「フレット利用単音擦弦奏法」を選択に行うことができ、ハイポジションでは、従来の擦弦楽器と同様のフレット無しのビブラート奏法等の無音階での演奏表現などに代表される「フレット無し擦弦奏法」を行うことができる。
なお、ここで、弦面とは、ネックの幅方向における各弦の並びが形成する仮想的な曲面を意味する。
次に、本発明の電気擦弦楽器の上記構成において、前記ピックアップ装置が、個々の前記弦に対応している個々のピックアップ部材の高さを可変とする構造を備えたものが好ましい。
このように、ピックアップ装置が個々のピックアップ部材の高さを可変とする構造を備えることにより、個々の前記弦と個々の前記ピックアップ部材との距離を調整することによりバランスの取れた音量の出力が可能となる。
また、本発明の電気擦弦楽器の上記構成において、前記フレットが取り替え可能な構造を備えることが好ましい。例えば、金属製のフレット、木製または樹脂製のフレットを選択して取り付け可能となれば、擦弦後の残響音が欲しい場合には金属製のフレットを使用し、擦弦後の残響音を消したミュートの効いた音色が欲しい場合は木製あるいは樹脂製のフレットを使用すれば良い。
また、本発明の電気擦弦楽器の上記構成において、前記ボディ本体が共鳴用の共鳴胴を備えた構成とすることが好ましい。ボディ本体が共鳴用の共鳴胴を備えることにより、電気楽器として電気信号処理を経たスピーカーから出力される音と、共鳴胴を介した弦の直接の共鳴音の双方の音色を発音することができる。
次に、上記本発明の電気擦弦楽器の抱え方と、その抱え方を可能とするストラップについて述べる。
上記本発明の電気擦弦楽器は、左手(右利きの場合。以下、左利きの場合は逆の右手となる)によりいわゆるエレクトリックギターのような運指を行い、かつ、右手(右利きの場合。以下、左利きの場合は逆の左手となる)は弓による擦弦動作を行うため、抱え方に特徴がある。まず、左手の運指に関してはいわゆるエレクトリックギターのような和音演奏を可能とするため、いわゆるエレクトリックギターのように楽器全体を肩から吊り下げて腰前で構える。一方、右手による弓の擦弦動作を伴うため、楽器の重心位置と擦弦位置がずれている場合、回転モーメントが生じて楽器が擦弦動作につれて揺動してしまうことを抑えるため、腰に対して固定させる必要がある。そこで、本発明者は以下のストラップを開発した。
つまり、本発明の電気擦弦楽器のストラップは、一方を前記ネック先端付近またはヘッド付近に取り付け、他方を前記ボディ本体の後端付近に取り付けた第1のストラップと、一方を前記ボディ本体の先端付近に取り付け、他方を前記ボディ本体の後端付近に取り付けた第2のストラップを備えたものであり、前記第1のストラップを肩から吊り下げることにより楽器全体の重量を支えるとともに、前記第2のストラップを腰に巻き付けることにより楽器重心位置と擦弦位置とのずれにより演奏時に生じる楽器全体の左右揺動を抑制することを可能とした。
次に、従来の電気撥弦楽器を改変して、上記本発明の電気擦弦楽器を得るための、電気撥弦楽器−電気擦弦楽器変換キットについて述べる。
電気撥弦楽器−電気擦弦楽器変換キットの構成は、従来の電気撥弦楽器のネックに対して貼り付ける指板と、前記指板上に設けられたフレットと、従来の電気撥弦楽器のボディ本体に取り付けるブリッジとを含むものである。ここで、前記従来の電気撥弦楽器のネックのナットがが形成する弦面を平面に形成する形状であり、前記ブリッジが前記弦が形成する弦面を凸曲面に形成する形状であり、前記弦面を前記ネックのローポジションからハイポジションにかけて平面から凸曲面まで滑らかに変化させるものであり、前記指板が、前記弦面の変化に合わせて平面から凸曲面まで滑らかに変化する形状であり、前記フレットが、前記ネックのローポジションからミドルローポジションにおいて前記指板上に植設され、前記ネックのミドルハイポジションからハイポジションにおいて前記指板上に植設されず、植設された前記フレットの形状を前記弦面の凸曲面の変化に応じて平面から凸曲面形状まで滑らかに変化するものとしたことを特徴とするものである。
このような電気撥弦楽器−電気擦弦楽器変換キットを提供することにより、従来の電気撥弦楽器として広く普及しているエレクトリックギターを基に、電気撥弦楽器−電気擦弦楽器変換キットの指板の貼り付けやブリッジの取り付けにより、簡単に本発明の電気擦弦楽器を製作することができる。
本発明の電気擦弦楽器によれば、ローポジションでは、指板および弦面が略平面である上にフレットが設けられており、フレット利用楽器として、エレクトリックギターと同様の運指により指で複数弦を同時に押さえ、複数の弦を同時に擦弦する「フレット利用和音擦弦奏法」、一本の弦に指を立てて押さえ、当該弦のみを擦弦する「フレット利用単音擦弦奏法」を選択的に行うことができる。また、ハイポジションでは、指板および弦面が凸曲面となっており、かつ、指板上にはフレットを植設されていないので、フレット無し楽器としていわゆるビブラート奏法等の無音階での演奏表現などの「フレット無し擦弦奏法」ができる。
つまり、一台の擦弦楽器でありながらポジションによって、フレット利用楽器としての奏法とフレット無し楽器としての奏法が可能となり、ローポジションでは、複数の弦を指で一度に押さえて演奏する「フレット利用和音擦弦演奏」や「フレット利用単音擦弦演奏」ができるとともに、ハイポジションでは、擦弦を持続しつつ音程の微妙なゆれを表現するビブラート奏法等の無音階での演奏表現などの「フレット無し擦弦奏法」ができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の電気擦弦楽器および電気撥弦楽器−電気擦弦楽器変換キットの実施例を説明する。ただし、本発明の範囲は以下の実施例に示した具体的な用途、形状、本数、個数などには限定されないことは言うまでもない。
実施例1にかかる本発明の電気擦弦楽器の例を示す。
図1は、本発明の電気擦弦楽器100の構成例を模式的に示す図である。上側の図は平面図、下側の図は側面図となっている。この例では6弦の例となっている。
図1に示すように、本発明の電気擦弦楽器100は、ボディ本体110、ネック120、ヘッド130、弦140(弦140a〜140f)の各パーツを備えている。また、擦弦するための弓200(図1には図示せず)がある。ボディ本体110には、テイルピース111、ブリッジ112、ピックアップ装置113、音量調節ツマミ114、出力端子115が設けられており、ネック120には、指板121、フレット122、ナット123が設けられており、ヘッド130には糸巻き部131が設けられている。
ボディ本体110は、ネック120等を支える中心的部材であり、この構成例は、従来のエレクトリックギターと同様なソリッドタイプであり、特に共鳴胴は設けられていない例である。本発明の電気擦弦楽器のボディ本体110が、従来のアコースティックバイオリンやアコースティックギターのように共鳴用の共鳴胴を備えたものであれば、電気楽器として電気信号処理を経たスピーカーなどから出力される電気処理音と、共鳴胴を介した弦の直接の自然の共鳴音の双方の音色を発音することができるというメリットが得られる。
次に、ボディ本体110の概形について述べる。図1に示すように、本構成例のボディ本体の概形は独特なフォルムとなっている。このようなフォルムとなっている理由としては、装飾的なデザイン面のほかに機能面からの理由がある。演奏時に本発明の電気擦弦楽器を腰前に抱えつつ弓200を傾けて両端の弦を弓奏するときに、弓200がボディ本体103に当たらないようにする必要がある。その結果、擦弦箇所となるボディ本体の中央の側面部分が十分にくびれた形に形成されており、また、所要角度をもって傾斜するように形成されている。
テイルピース111は、弦140の後端部をしっかりと固定する部材である。この例では弦140a〜140fの6本の弦が等間隔で並べられて固定されている。
図2は、テイルピース111における各弦140a〜140fの固定位置を模式的に示した図である。図1におけるA−A線断面図となっている。図2に示すように、各弦140a〜140fの高さは略同一であり、水平に等間隔で並べられて固定されているものとなっている。
ブリッジ112は、各々の弦140a〜140fを上方に持ち上げてそれぞれ個別に高さを調整できる機能を持った板状体であり、ボディ本体の上面に立てるように取り付けられる。従来のバイオリンのブリッジと同様、その上面は凸曲面となっており、各々の弦140a〜140fを上方に持ち上げ、その弦面が凸曲面となるように張設せしめる。ブリッジ112の各弦の張設高さは十分な可動調整範囲を持っているものであることが好ましい。図2にはブリッジサドル位置調節ネジ1110が簡単に示されている。
図3は、ブリッジ112における各弦140a〜140fの固定位置を模式的に示した図である。図1におけるB−B線断面図となっている。ブリッジ112は、ブリッジサドル高さ調節ネジ1120を備え、各弦140a〜140fはブリッジ高さ調節ネジ1120によって高さが調節され、張設されている。図3に示すように、各弦140a〜140fの高さは両端にある弦140a、弦140fが低く、中央にある弦140c、弦140dが最も高く、弦面が凸曲面を形成するように張設されている。このように弦面が凸曲面となるように張設される理由は、バイオリンと同様、凸型とすることにより単弦の擦弦を可能とするものである。
このように、本発明の電気擦弦楽器100はブリッジ112を備えることにより、単音での擦弦演奏が可能となっている。
ピックアップ装置113は、弦140の振動を検出して電気信号に変換する装置である。ピックアップ装置113は、ボディ本体3の擦弦演奏に支障のない位置で、かつ弦140の真下に位置するように取り付けられている。
図4は、擦弦箇所付近の各弦140a〜140fの張設位置を模式的に示した図である。図1におけるC−C線断面図となっている。図4に示すように、各弦140a〜140fの高さは両端にある弦140a、弦140fが低く、中央にある弦140c、弦140dが最も高く、弦面が凸曲面を形成するように張設されている。各弦140a〜140fの張設位置はブリッジ112付近の張設位置よりも若干低くなっているが、弦面が十分な曲率を持った凸曲面となっているので、容易に一つ一つの弦140a〜140fを選択して擦弦することが可能となっている。
次に、ピックアップ装置113は弦の振動を検知して電気信号に置換する装置である。ピックアップ装置113の変換素子であるピックアップ部材としては、各弦140a〜140fの振動を磁束の変化として検出し電気信号に変換するマグネット−コイル式のもの、圧電素子と圧電素子の両面にそれぞれ形成された電極層を備えて各弦140a〜140fの振動に伴う両電極層間の電圧変化を電気信号として取出すピアゾ式のもの、その他も含め、多様なものがあり得る。
ピックアップ装置113は、ボディ本体110内に組み込まれている楽音を生成する信号処理回路(図示せず)に接続されており、電気信号が処理される。
なお、ピックアップ装置113において、個々の弦140に対応している個々のピックアップ部材の高さを可変とする構造(図示せず)を備えたものであることが好ましい。例えば、ネジの緩急による個々のピックアップ部材の高さを昇降できる構造などがある。電気擦弦楽器100を演奏することで発せられる音は、個々の弦と個々のピックアップ部材との距離に応じて変わるため、個々の弦と個々のピックアップ部材との距離を調節することができれば、各弦の間でバランスの取れた音量の出力調整が可能となる。
音量調節ツマミ114は、ピックアップ装置113で検知した電気信号の出力レベルを調整するツマミである。
出力端子115は、外部機器に接続するための部分であり、スタジオでレコーディング機器に接続して録音したり、アンプスピーカーに接続してコンサート等において大音量で演奏したりすることができるようになる。
ネック120は、ボディ本体110から延びた長尺のものであり、先端にはヘッド部130が設けられている。
ネック120は、奏者が指で弦140(この例では140a〜140f)を押さえる部分であり、この構成例では、後述するように、フレットを利用して指で複数弦を同時に押さえる「フレット利用和音擦弦奏法」と、フレットを利用して一本の弦に指を立てて押さえる「フレット利用単音擦弦奏法」、フレットを利用せずに演奏する「フレット無し擦弦奏法」を選択的に行うことができるものとなっている。
ネック120の上面には指板121が貼り合わされ、指板121の上の所定箇所には各弦140の音程を決めるフレット122が設けられ、ネック120の先端でヘッド130との境界付近にナット123が設けられている。フレット122は弦140と直交するように指板121の長手方向に所要の間隔をおいて植設されている。各フレット122の上面は、指板121の表面から上方に突出している。
なお、フレット122が設けられることにより演奏時に弦140がフレット122に触れつつ振動することとなるため、フレット122の素材により発せられる音の音色に影響を与える。金属製のフレットであれば残響音が出やすく、木製または樹脂製のフレットであれば、残響音が少なくなりミュートの効いた音が出やすい。このようにフレット122の素材選択は重要である。そこで、フレット122が取り替え可能な構造を備えておれば、例えば、フレット122の貼り付け、取り外しが自在にできるものとすれば、電気擦弦楽器100の奏者がフレット122の素材を選択して取り替えるという運用が可能となる。
次に、指板121の上面の形状について述べる。本発明の電気擦弦楽器100独特の形状を備えたものとなっている。また、指板121上にフレット122を設ける位置・範囲も本発明の電気擦弦楽器100独特の位置となっている。
指板121の上面は、ハイポジション付近では凸曲面、つまり、幅方向において、中央付近が最も高く、両端が最も低くなるように凸曲面に湾曲し、ローポジションに向かって行くほど徐々に凸曲面の曲率が小さくつまり山が低くなってゆき、ミドルローポジション付近では略平面近くになり、ローポジションでは平面になるように、ハイポジションからローポジションにかけて緩やかかつ滑らかに変化する形状となっている。
図5から図8は、指板121の上面の形状の変化と、指板121上に張設された弦140a〜140fの高さの変化を模式的に示した図である。
まず、図5は、指板121の後端付近であるいわゆるハイポジション付近における指板121の形状と各弦140a〜140fの張設位置を模式的に示した図である。図1におけるD−D線断面図となっている。図5に示すように、各弦140a〜140fの高さは両端にある弦140a、弦140fが低く、中央にある弦140c、弦140dが最も高く、弦面が凸曲面を形成するように張設されているが、擦弦箇所であった図4に示した張設位置より若干低くなっている。また、指板121の上面も凸曲面となっており、弦140a〜140fの弦面の凸曲面に応じた凸曲面となっており、各弦140a〜140fと指板121間の距離は概ね等しくなっており、どの弦140a〜140fも容易に指を立てて押さえる「単音擦弦奏法」に適していることが分かる。また、ハイポジション付近における指板121上にはフレット122が設けられていない。このように、ハイポジション付近ではフレット122が設けられておらず、従来のバイオリンと同様の「フレット無し擦弦奏法」に適した構造となっており、ビブラート奏法等の無音階での演奏表現などができる。
次に、図6は、指板121のいわゆるミドルハイポジション付近における指板121の形状と各弦140a〜140fの張設位置を模式的に示した図である。図1におけるE−E線断面図となっている。図6に示すように、各弦140a〜140fの高さは両端にある弦140a、弦140fが低く、中央にある弦140c、弦140dが最も高く、弦面が凸曲面を形成するように張設されているが、図5に示したハイポジションの張設位置よりさらに低くなっている。また、指板121の上面は弦140a〜140fの弦面の凸曲面に応じた凸曲面となっており、各弦140a〜140fと指板121間の距離は概ね等しくなっており、どの弦140a〜140fも容易に指を立てて押さえる「単音擦弦奏法」に適していることが分かる。
また、このミドルハイポジション付近における指板121上にもフレット122が設けられておらず、従来のバイオリンと同様の「フレット無し擦弦奏法」に適した構造となっており、ビブラート奏法等の無音階での演奏表現などができる。
次に、図7は、指板121のいわゆるミドルローポジション付近における指板121の形状と各弦140a〜140fの張設位置を模式的に示した図である。図1におけるF−F線断面図となっている。図7に示すように、各弦140a〜140fの高さは、両端にある弦140a、弦140fが低く、若干中央にある弦140c、弦140dが高く、弦面が緩やかな凸曲面を形成するように張設されているが、図6に示したミドルハイポジションの張設位置よりさらに低くなっており、弦面の凸曲面が略平面に近くなってきている。また、指板121の上面は弦140a〜140fの弦面に応じてその凸曲面が略平面に近くなっている。さらに、このミドルローポジション付近においては指板121上にフレット122が設けられている。つまり、弦面の凸曲面が略平面に近くなってきていることかつ指板121の凸曲面に応じた凸曲面状のフレットが設けられている2つの特徴から、弦140a〜140fの一つに指を立てて押さえて擦弦する「フレット利用単音擦弦奏法」のほか、指で複数弦を同時に押さえる「和音擦弦奏法」も可能となっている。つまり、ミドルローポジションでは「フレット利用単音擦弦奏法」と指で複数弦を同時に押さえる「フレット利用和音擦弦奏法」のいずれも選択して演奏できるようになっている。
次に、図8は、指板121のいわゆるローポジション付近における指板121の形状と各弦140a〜140fの張設位置を模式的に示した図である。図1におけるG−G線断面図となっている。図8に示すように、各弦140a〜140fの弦面が平面に張設されている。つまり、ナット123に近い位置であり弦面が平面になっている。指板121の上面も平面になっており、各弦140a〜140fと指板121間の距離は概ね等しくなっている。さらに、このローポジション付近においても指板121上にフレット122が設けられている。つまり、弦面が略平面かつ指板121にフレットが設けられている2つの特徴から、弦140a〜140fの一つに指を立てて押さえて擦弦する「フレット利用単音擦弦奏法」のほか、指で複数弦を同時に押さえる「和音擦弦奏法」も可能となっている。つまり、ローポジションでは「フレット利用単音擦弦奏法」と指で複数弦を同時に押さえる「フレット利用和音擦弦奏法」のいずれも選択して演奏できるようになっている。
以上、図5から図8に示したように、指板121の上面は、ハイポジション付近では凸曲面に湾曲し、ローポジションに向けて徐々に平坦に近くなって行き、ローポジションでは平面となるように、ハイポジションからローポジションにかけて緩やかかつ滑らかに変化する形状となっている。
次に、ヘッド130は、弦140の先端を固定する部分である。弦140の先端はヘッド130の各々の糸巻き部131に巻き付けられて固定されている。糸巻き部131は回転可能なようになっており、糸巻き部131を巻き締めたり巻き緩めたりして弦の張力を調整する調弦ができるようになっている。
弦140は、後端がテイルピース111に係止され、先端が糸巻き部131に係止され、所定の張力をもってそれぞれ張設されている。ピックアップ装置がマグネット−コイル式であれば、磁束の変化を捉えるため、弦140は金属弦となる。
弓200は、バイオリン等の擦弦楽器に用いられているものと同じもので良く、一般に木製からなるスティック201と、このスティック201の下面側に張設された馬の毛からなる弓毛202により構成されている。従来の擦弦楽器に用いられる弓と同様、松脂を塗っておくことも好ましい。
以上、本発明の電気擦弦楽器100の構成を説明したが、次に、本発明の電気擦弦楽器100の演奏の仕方について述べる。
図9は、本発明の電気擦弦楽器100を演者が抱えるためのストラップ300を併せて示した図である。ストラップ300は、一方をネック120先端またはヘッド130付近に取り付け、他方をボディ本体の後端付近に取り付けた第1のストラップ310と、一方をボディ本体110の先端付近に取り付け、他方をボディ本体110の後端付近に取り付けた第2のストラップ320を備えたものとなっている。
演者は、第1のストラップ310を肩から吊り下げて電気擦弦楽器100全体の重量を支えつつ、第2のストラップ320を腰に巻き付ける。第2のストラップ320を設ける意味は以下のとおりである。
図10は、電気擦弦楽器100の擦弦位置を示す図である。弓200により擦弦する場合、弓200を弓先から弓元へ運ぶアップボウ、弓元から弓先へ引くダウンボウの擦弦動作が繰り返される。弦140と弓200の擦弦により摩擦力が生じるが、アップボウのときに生じる摩擦力のベクトルと、ダウンボウのときに生じる摩擦力のベクトルが異なるため、アップボウ動作、ダウンボウ動作に応じて擦弦楽器100が揺動してしまう。また、擦弦楽器にも物理的な重心が存在しており、擦弦楽器が吊り下げられた状態で擦弦される場合、その重心位置と擦弦位置が概ね合致しておれば、擦弦という動作により左右に揺動する回転モーメントは小さいが、擦弦位置と重心位置がずれていれば回転モーメントが生じて左右に揺動しやすくなる。従来のバイオリンなどでは、たとえ擦弦位置と重心位置がずれていて回転モーメントが生じても、バイオリン全体を首と運指を行う指の2点で支えることによってこの回転モーメントによりバイオリンが揺動する問題は生じない。しかし、本発明の電気擦弦楽器100では、第1のストラップで首から吊り下げる状態であるので、擦弦位置と重心位置がずれていて回転モーメントが生じると左右に揺動することとなる。そこで、本発明の電機擦弦楽器100では第2のストラップ320を腰に巻き付けることにより、擦弦演奏時に生じる電気擦弦楽器100全体の左右揺動を抑制する。
なお、ボディ本体110の中央部左側が十分にくびれているので、弦140aの擦弦時(左利きの人は弦140fの擦弦時)において弓200がボディ本体110に当たることなく弓200を移動させることができる。そしてボディ本体110に生じる回転モーメントは第2のストラップ320が腰に巻かれているため、その揺動を抑えることができる。同様にボディ本体110の中央部右側が十分にくびれているので、弦140fの擦弦時(左利きの人は弦140aの擦弦時)においても弓200がボディ本体110に当たることなく弓200を移動させることができる。そしてボディ本体110に生じる回転モーメントは第2のストラップ320が腰に巻かれているため、その揺動を抑えることができる。
このように、第2のストラップ320が腰に巻かれているため、ボディ本体110が腰に対して相対的に固定されているため、電気擦弦楽器100の演者の体に対する揺動を抑えることができる。
次に、ハイポジションからミドルハイポジションにおいて「フレット無し擦弦奏法」を行う場合の演奏の様子を説明する。
図11は、図6に示したミドルハイポジションにおいて、弦140eに対して指を立てて押さえつつ弓200で弦140eのみを擦弦している様子を、(a)ミドルハイポジションに対応する図1のE−E線断面図において示した図と、(b)弓200での擦弦箇所に対応する図1のC−C線断面図において示した図である。
図11(a)に示すように、ミドルハイポジションにおいて、弦140eに対して指を立てて押さえることにより弦140eのみが指板121に対して接触している。他の弦140a〜弦140d、弦140fは指板121に対して接触していない。
この状態において、図11(b)に示すように、弓200は擦弦箇所において弦140eのみが擦弦されて音が発せされている。なお、フレットが設けられていないので、運指を細かく揺らすいわゆるビブラート奏法等の無音階での演奏表現が可能となる。このように、ハイポジションからミドルハイポジションにおいて「フレット無し擦弦奏法」を行うことができる。
次に、ミドルローポジションからローポジションにおいて「フレット利用和音擦弦奏法」を行う場合の演奏の様子を説明する。
図12は、図8に示したローポジションにおいて、すべての弦140a〜弦140fに対して指で押さえつつ弓200で弦140a〜弦140fを滑らかに擦弦している様子を、(a)ローポジションに対応する図1のG−G線断面図において示した図と、(b)弓200での擦弦箇所に対応する図1のC−C線断面図において示した図である。
図12(a)に示すように、ローポジションにおいて、すべての弦140a〜弦140fに対して指で押さえることによりすべての弦140a〜弦140fが指板121に対して接触している。また、ミドルローポジションからローポジションでは、指板121および弦面が略平面である上にフレット122が設けられており、いわゆるエレクトリックギターと同様の運指により指で複数弦を同時に押さえやすくなっている。
この状態において、図12(b)に示すように、複数の弦を一気に擦弦することにより、和音を出すことができることが分かる。このように、ミドルローポジションからローポジションにおいて「フレット利用和音擦弦奏法」を行うことができる。図中では弓200が円弧を描きながら各弦140a〜140fを順に擦弦する動きを簡単に模式的に示している。
なお、ミドルローポジションからローポジションにおいても、単弦を演奏するいわゆる「フレット利用単音擦弦奏法」も可能である。
なお、本発明の電気擦弦楽器の演奏法として、弓200を用いた「フレット利用和音擦弦奏法」と「フレット利用単音擦弦奏法」と「フレット無し擦弦奏法」を示したが、弓200を用いず指やピックで弦140を弾いて演奏することも可能である。その場合は減衰音をベースとした演奏となる。したがって、演奏曲目や奏者の好みによって擦弦楽器としても撥弦楽器としても使用することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態を図示して説明してきたが、本発明は、電気擦弦楽器として広く適用することができ、本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。
本発明の電気擦弦楽器100の構成例を模式的に示す図である。 テイルピース111における各弦140a〜140fの固定位置を模式的に示した図である。 ブリッジ112における各弦140a〜140fの固定位置を模式的に示した図である。 擦弦箇所付近の各弦140a〜140fの張設位置を模式的に示した図である。 指板121の後端付近であるいわゆるハイポジション付近における指板121の形状と各弦140a〜140fの張設位置を模式的に示した図である。 指板121のいわゆるミドルハイポジション付近における指板121の形状と各弦140a〜140fの張設位置を模式的に示した図である。 指板121のいわゆるミドルローポジション付近における指板121の形状と各弦140a〜140fの張設位置を模式的に示した図である。 指板121のいわゆるローポジション付近における指板121の形状と各弦140a〜140fの張設位置を模式的に示した図である。 本発明の電気擦弦楽器100を演者が抱えるためのストラップ300を併せて示した図である。 電気擦弦楽器100の擦弦位置を示す図である。 ミドルハイポジションにおいて、弦140eに対して指を立てて押さえつつ弓200で弦140eのみを擦弦している様子を示す図である。 ミドルローポジションにおいて、すべての弦140a〜弦140fに対して指で押さえつつ弓200で弦140a〜弦140fを滑らかに擦弦している様子を示す図である。
100 電気擦弦楽器
110 ボディ本体
111 テイルピース
1110 ブリッジサドル位置調節ネジ
112 ブリッジ
1120 ブリッジサドル高さ調節ネジ
113 ピックアップ装置
114 音量調節ツマミ
115 出力端子
120 ネック
121 指板
122 フレット
123 ナット
130 ヘッド
131 糸巻き部
140 弦
200 弓
300 ストラップ
310 第1のストラップ
320 第2のストラップ

Claims (7)

  1. ボディ本体と、前記ボディ本体に連設されたネックおよびヘッドと、前記ボディ本体と前記ヘッド間に張設された複数本の弦と、前記ネックの上面に接合された指板と、前記指板上の一部の領域に植設された音程を決めるフレットと、前記ボディ本体上に設置され前記弦の弦面を凸曲面に支持するブリッジと、前記ネック上に設置され前記弦の弦面を平面に支持するナットと、前記弦の振動を検出し電気信号に変換するピックアップ装置と、電気信号を外部音響機器に出力する出力端子を備え、
    前記ネックのローポジションのナットにおいて、前記弦が形成する弦面を平面に形成するとともに、前記ブリッジにおいて、前記弦が形成する弦面を凸曲面に形成することによって前記弦面を前記ネックのローポジションからハイポジションにかけて平面から凸曲面まで滑らかに変化させ、前記指板を前記弦面の変化に合わせた形に平面から凸曲面まで滑らかに変化させるとともに、前記ネックのローポジションからミドルローポジションにおいて前記フレットを植設し、前記ネックのミドルハイポジションからハイポジションにおいて前記フレットを植設せず、植設された前記フレットの形状を前記弦面の凸曲面の変化に応じて平面から凸曲面形状まで滑らかに変化するものとしたことを特徴とする電気擦弦楽器。
  2. 前記ネックのローポジションにおいて、前記弦面に合わせた形に湾曲した前記フレットを用いたフレット利用和音擦弦奏法およびフレット利用単音擦弦奏法を可能とし、
    前記ネックのハイポジションにおいて、前記フレットを用いないフレット無し擦弦奏法を可能としたことを特徴とする請求項1に記載の電気擦弦楽器。
  3. 一方を前記ネック先端付近またはヘッド付近に取り付け、他方を前記ボディ本体の後端付近に取り付けた第1のストラップと、一方を前記ボディ本体の先端付近に取り付け、他方を前記ボディ本体の後端付近に取り付けた第2のストラップを備え、
    前記第1のストラップを肩から吊り下げることにより楽器全体の重量を支えるとともに、前記第2のストラップを腰に巻き付けることにより、楽器重心位置と擦弦位置とのずれにより演奏時に生じる楽器の左右揺動を抑制することを可能とした請求項1または2に記載の電気擦弦楽器。
  4. 前記ピックアップ装置が、個々の前記弦に対応している個々のピックアップ部材の高さを可変とする構造を備え、個々の前記弦と個々の前記ピックアップ部材との距離を調整することによりバランスの取れた音量の出力を可能としたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電気擦弦楽器。
  5. 前記フレットが取り替え可能な構造を備え、金属製のフレット、木製または樹脂製のフレットを選択して取り付け可能としたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電気擦弦楽器。
  6. 前記ボディ本体が共鳴用の共鳴胴を備え、電気楽器として電気信号処理を経たスピーカーから出力される音と、前記共鳴胴を介した前記弦の直接の共鳴音の双方の音色を発音することができることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電気擦弦楽器。
  7. 従来の電気撥弦楽器のネックに対して貼り付ける指板と、前記指板上に設けられたフレットと、従来の電気撥弦楽器のボディ本体に取り付けるブリッジとを含む電気撥弦楽器−電気擦弦楽器変換キットであって、
    前記従来の電気撥弦楽器のネックのナットがが形成する弦面を平面に形成する形状であり、前記ブリッジが前記弦が形成する弦面を凸曲面に形成する形状であり、前記弦面を前記ネックのローポジションからハイポジションにかけて平面から凸曲面まで滑らかに変化させるものであり、
    前記指板が、前記弦面の変化に合わせて平面から凸曲面まで滑らかに変化する形状であり、
    前記フレットが、前記ネックのローポジションからミドルローポジションにおいて前記指板上に植設され、前記ネックのミドルハイポジションからハイポジションにおいて前記指板上に植設されず、植設された前記フレットの形状を前記弦面の凸曲面の変化に応じて平面から凸曲面形状まで滑らかに変化するものとしたことを特徴とする電気撥弦楽器−電気擦弦楽器変換キット。
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