JP4008324B2 - 光ファイバケーブル及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、多心の引き落とし光ファイバケーブル及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
構内、架空用の引き落とし光ファイバケーブル(ドロップケーブル)としては1、2心程度が通常であるが、FTTH(Fiber to the Home)の拡大と共に小規模マンションやビルなどに、4〜10心程度の多心化の需要が予想される。
【0003】
また、後分岐作業性の観点から、収納される光ファイバ心線としては、単独の素線(又は2芯程度のテープ光ファイバ心線)を用いたものが有効と考える。
【0004】
単光ファイバ心線を入れた多心の引き落とし光ファイバケーブルを設計しようとした場合、ルースチューブケーブルやスロットケーブルなどが考えられるが、いずれも外径が大きくなる上、コスト高であるため、図8に示されているような細径でシンプルな断面が矩形形状のドロップ・インドアケーブル101を踏襲したケーブルが有効である。
【0005】
すなわち、図8において、ドロップ・インドアケーブル101は単心の光ファイバ心線103と、この近傍に平行で両脇に配置された光エレメント用抗張力体105とをケーブルシース107で被覆したもので、前記各光エレメント用抗張力体105を結んだ方向に対して直交した方向の前記光ファイバ心線103の両側(図8において上下)におけるケーブルシース107の表面にノッチ部109を形成せしめたものである。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−176673号公報(〔0002〕および図6参照)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図9に示されているように、ドロップ・インドアケーブル101に単心の光ファイバ心線103の代わりに多心の素線111を収容しようとした場合、複数の素線111を束にして充実でシースすると、内部にシース材107が食い込み、口出し性に支障が生じる。
【0008】
一方、図10に示されているように、多心の素線111を押出しヘッドにおけるニップルの通し穴に連結されたパイプ内に入れてパイプから押し出すと、スカスカになるため施工後に光ファイバ心線を構成する素線111がケーブル内で移動してしまう恐れがある(クロージャ内で光ファイバ心線が曲がりロス増する恐れがある)。
【0009】
なお、上述したニップルの形状としては、図11に示されているように、ニップル113は円形状をしていると共に、多心の素線111,各光エレメント用抗張力体105を通す穴115,117は円形状の断面をしている。
【0010】
この発明は上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、細径でかつ損失特性、施工性に優れる光ファイバケーブルであり、且つドラムまたはボビンヘ巻き付ける時の歪み・損失特性の安定化を図ることができる光ファイバケーブル及びその製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために 請求項1によるこの発明の光ファイバケーブルは、左右方向へ長く、かつ上下方向へ短く形成された断面扁平形状の空洞領域内に収容した複数の素線または単心線からなる光ファイバ心線と、前記断面扁平形状の空洞領域内で前記複数の光ファイバ心線の回りに取り巻くべく縦添えされた耐熱性のプラスチックヤーンまたは有機系繊維もしくは無機系繊維からなる介在体と、前記断面扁平形状の空洞領域の左右方向側の両外側の近傍に平行で両脇に配置された光エレメント用抗張力体とをケーブルシースで被覆した長尺の光エレメント部からなると共に、前記各光エレメント用抗張力体を結んだ左右方向に対して直交した上下方向の前記介在体の両側におけるケーブルシースの表面にノッチ部を形成せしめてなる光ファイバケーブルであって、前記断面扁平形状の空洞領域(F)が、前記ケーブルシース(9)内に直接形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
したがって、光ファイバケーブルは、複数の光ファイバ心線と介在体が各光エレメント用抗張力体を結んだ方向に長く、かつ上下方向へ短く形成され、ケーブルシース内に直接形成された断面扁平形状の空洞領域内に収容されているので、複数の光ファイバ心線と介在体がそれぞれ上記の断面扁平形状の領域の長手方向に広がることができるので、光ファイバ心線と介在体が互いに影響しにくい構造である。その結果、このケーブルがドラムまたはボビンヘ巻き付けられるときに光ファイバ心線の微小な曲がりが防止されることから、伝送損失特性、歪み特性に優れた多心構造型の光ファイバケーブルである。
【0013】
また、ノッチ部からケーブルシースを裂いて光ファイバ心線の口出しを行う際に、ケーブルシースは耐熱性のプラスチックヤーンまたは有機系繊維もしくは無機系繊維からなる介在体に阻まれて光ファイバ心線内部まで食い込まないので容易に口出しが行われる。また、細径に製造されると共に介在体の例えば繊維が光ファイバ心線のクッションとなるので損失特性が安定する。さらに、光ファイバケーブルがシンプルとなり、集合工程がなく、加工費が小さくなる。
【0014】
請求項2によるこの発明の光ファイバケーブルは、請求項1記載の光ファイバケーブルにおいて、前記光エレメント部に、支持線をシースで被覆した長尺のケーブル支持線部が互いに平行に一体化されていることを特徴とすることを特徴とするものである。
【0015】
したがって、前記光エレメント部に、支持線をシースで被覆した長尺のケーブル支持線部が互いに平行に一体化されていることにより、光ファイバドロップケーブルとして利用されると共に、請求項1と同様の作用を有する。
【0016】
請求項3によるこの発明の光ファイバケーブルの製造方法は、複数の素線または単心線からなる光ファイバ心線と、この光ファイバ心線の回りに取り巻くべく縦添えされる耐熱性のプラスチックヤーンまたは有機系繊維もしくは無機系繊維からなる介在体と、これらの複数の光ファイバ心線と介在体とに隣接させずに平行で両脇に配置された光エレメント用抗張力体とをそれぞれ同時に走行せしめて押出ヘッドに送り出し、
前記押出ヘッド内で、前記複数の光ファイバ心線と介在体とを前記各光エレメント用抗張力体を結んだ左右方向に長く、かつ上下方向へ短く形成された断面扁平形状の通り穴に設けられた長手方向へ延伸した同形状のパイプに通過せしめると共に前記押出ヘッドに熱可塑性樹脂を押出して、
前記複数の光ファイバ心線と、この複数の光ファイバ心線の回りに取り巻くべく縦添えされた介在体と、これらの光ファイバ心線と介在体とからなる前記断面扁平形状の空洞領域の左右方向側の両外側の近傍に平行で両脇に配置された光エレメント用抗張力体とをケーブルシースで被覆した長尺の光エレメント部からなると共に、
前記各光エレメント用抗張力体を結んだ左右方向に対して直交した上下方向の前記介在体の両側におけるケーブルシースの表面にノッチ部を形成した光ファイバケーブルを製造することを特徴とするものである。
【0017】
したがって、複数の光ファイバ心線と介在体とが前記各光エレメント用抗張力体を結んだ左右方向に長く、かつ上下方向へ短く形成された断面扁平形状の通り穴に設けられた長手方向へ延伸された同形状のパイプを通過して押出ヘッド内でシースされるので、複数の光ファイバ心線と介在体がそれぞれ上記の断面扁平形状の空洞領域の左右方向に広がることができるので、光ファイバ心線と介在体が互いに影響しにくい構造のケーブルとなる。その結果、このケーブルがドラムまたはボビンヘ巻き付けられるときに光ファイバ心線の微小な曲がりが防止されることから、伝送損失特性、歪み特性に優れた多心構造型の光ファイバケーブルが製造される。
【0018】
また、ノッチ部からケーブルシースを裂いて光ファイバ心線の口出しを行う際に、ケーブルシースは耐熱性のプラスチックヤーンまたは有機系繊維もしくは無機系繊維からなる介在体に阻まれて光ファイバ心線内部まで食い込まないので容易に口出しが行われる。また、細径に製造されると共に介在体の例えば繊維が光ファイバ心線のクッションとなるので損失特性が安定する。さらに、光ファイバケーブルがシンプルとなり、集合工程がなく、加工費が小さくなる。
【0019】
請求項4によるこの発明の光ファイバケーブルの製造方法は、複数の素線または単心線からなる光ファイバ心線と、この光ファイバ心線の回りに取り巻くべく縦添えされる耐熱性のプラスチックヤーンまたは有機系繊維もしくは無機系繊維からなる介在体と、これらの複数の光ファイバ心線と介在体とに隣接させずに平行で両脇に配置された光エレメント用抗張力体と、支持線とをそれぞれ同時に走行せしめて押出ヘッドに送り出し、
前記押出ヘッド内で、前記複数の光ファイバ心線と介在体とを前記各光エレメント用抗張力体を結んだ左右方向に長く、かつ上下方向へ短く形成された断面扁平形状の通り穴に設けられた長手方向へ延伸した同形状のパイプに通過せしめると共に前記押出ヘッドに熱可塑性樹脂を押出して、
前記複数の光ファイバ心線と、この複数の光ファイバ心線の回りに取り巻くべく縦添えされた介在体と、これらの光ファイバ心線と介在体とからなる前記断面扁平形状の空洞領域の左右方向側の両外側の近傍に平行で両脇に配置された光エレメント用抗張力体とをケーブルシースで被覆した長尺の光エレメント部からなると共に、
前記各光エレメント用抗張力体を結んだ左右方向に対して直交した上下方向の前記介在体の両側におけるケーブルシースの表面にノッチ部を形成し、
前記光エレメント部に、支持線をシースで披覆した長尺のケーブル支持線部が互いに平行に一体化された光ファイバケーブルを製造することを特徴とするものである。
【0020】
したがって、前記光エレメント部に、支持線をシースで被覆した長尺のケーブル支持線部が互いに平行に一体化されていることにより、光ファイバドロップケーブルとして利用されると共に、請求項3と同様の作用を有する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
図1を参照するに、この発明の実施の形態に係る光ファイバケーブル1は、複数の素線からなる光ファイバ心線3が左右方向へ長く、かつ上下方向へ短く形成された断面扁平形状の空洞領域F内に互いに縦添えされて収容されており、この複数の各光ファイバ心線3の回りに取り巻くべく例えば有機系繊維もしくは無機系繊維などの介在体5が上記の断面扁平形状の空洞領域F内で縦添えされている。さらに、この介在体5の断面扁平形状の空洞領域Fの左右方向側の両外側の近傍には平行で両脇に光エレメント用抗張力体7が配置されている。
【0023】
そして、上記の複数の光ファイバ心線3と複数の介在体5と2本の光エレメント用抗張力体7とが熱可塑性樹脂からなるケーブルシース9で被覆されて長尺の光エレメント部11からなっている。図1の記載から明らかなように、断面扁平形状の空洞領域Fが前記ケーブルシース9内に直接形成されている。
【0024】
前記各光エレメント用抗張力体7を結んだ左右方向に対して直交した方向(図1において上下方向)の前記介在体5の両側(上下)におけるケーブルシース9の表面にはノッチ部13が形成されている。
【0025】
上記構成により、光ファイバケーブル1は、複数の光ファイバ心線3と複数の介在体5が各光エレメント用抗張力体7を結んだ方向に長い断面扁平形状の領域F内に長手方向に広がった状態で収容されているので、複数の光ファイバ心線3と繊維5が互いに影響しにくい構造のケーブルとなる。したがって、光ファイバケーブル1がドラムまたはボビンヘ巻き付けられるときに光ファイバ心線3の微小な曲がりが防止されるので、伝送損失特性、歪み特性に優れた多心構造型の光ファイバケーブルとなる。
【0026】
しかも、ノッチ部13からケーブルシース9を裂いて光ファイバ心線3の口出しを行う際に、ケーブルシース9は介在体5に阻まれて光ファイバ心線3の内部まで食い込まないため容易に口出しを行うことができる。また、細径に製造することができると共に介在体5が光ファイバ心線3のクッションとなるので損失特性を安定化せしめることができる。その結果、光ファイバケーブル1がシンプルとなり、集合工程がなくなり、加工費を小さくすることができる。
【0027】
図2を参照するに、この発明の実施の形態に係る別の光ファイバケーブル1は、図1に示したものと同様に、複数の素線からなる光ファイバ心線3が断面扁平形状の空洞領域F内に互いに縦添えされて収容されており、この複数の各光ファイバ心線3の回りに取り巻くべく例えば有機系繊維もしくは無機系繊維などの介在体5が上記の断面扁平形状の空洞領域F内で縦添えされている。さらに、この介在体5の断面扁平形状の空洞領域Fの左右方向側の近傍には平行で両脇に光エレメント用抗張力体7が配置されている。
【0028】
そして、上記の複数の光ファイバ心線3と複数の介在体5と2本の光エレメント用抗張力体7とが熱可塑性樹脂からなるケーブルシース9で被覆されて長尺の光エレメント部11からなっている。
【0029】
前記各光エレメント用抗張力体7を結んだ方向に対して直交した方向(図2において上下方向)の前記介在体5の両側(上下)におけるケーブルシース9の表面にはノッチ部13が形成されている。
【0030】
さらに、前記光エレメント部11に、例えば鋼線からなる支持線15をシース17で被覆した長尺のケーブル支持線部19が互いに平行に首部21を介して一体化されている。
【0031】
上記構成により、前記光エレメント部11に、支持線15をシース17で被覆した長尺のケーブル支持線部19が互いに平行に首部21を介して一体化されていることにより、光ファイバドロップケーブルとして利用することができると共に、図1における効果と同様の効果を有する。
【0032】
前記光ファイバ心線3は、複数の素線の他に単心線を用いるようにしても構わない。特に、0.25mmφの素線が最も好適に使用されるが、0.4〜0.9mmφ程度の単心線なども使用される。また、介在体5としての有機系繊維もしくは無機系繊維は、例えばナイロンやPPなどの耐熱プラスチックのヤーンやケプラー繊維、ガラスウール、コットン糸などが好適に使用されるものである。そして、その量は光ファイバ心線3を完全に取り巻く程度が望ましいが、実験の結果、光ファイバ心線3の外周の80%以上をカバーしていれば殆どシース引き裂き時に光ファイバ心線3がシースにくっつくことがなく、容易に光ファイバ心線3の口出しを行うことが確認されている。さらに、前記光エレメント用抗張力体7としては、鋼線やFRPなどが好適に使用されると共に支持線15は鋼線が使用される。
【0033】
次に、光ファイバケーブル1の製造方法について説明する。
【0034】
図3を参照するに、光ファイバケーブル1を成形する製造装置23としての製造ラインが図示されており、光ファイバ心線3、複数の繊維などの介在体5、光エレメント用抗張力体7、支持線15はそれぞれ、ボビン25,27,29,31から供給され、分線盤33を経て押出装置35の押出ヘッド37内へ送られる。
【0035】
図4を参照するに、上記の押出ヘッド37についてより詳しく説明すると、中心部には図5に示されているようなニップル部39が設けられている共に、このニップル部39の外周には図6に示されているように、例えば図1の光ファイバケーブル1の断面の外周形状とほぼ同形状のダイス孔41を備えたダイス部43が設けられている。このダイス部43と前記ニップル部39との間にはシースとしての熱可塑性樹脂が押し出される流路45が設けられている。
【0036】
また、前記ニップル部39には図5および図7に示されているように、光ファイバ心線3と介在体5が通る通り穴としての例えばニップル孔47が形成されており、このニップル孔47は各光エレメント用抗張力体7を結んだ方向(図5において左上と右下とを結ぶ斜め方向)に長い断面扁平形状であると共にニップル孔47の前方(図5において左方)には断面扁平形状のパイプ48が連結されている。また、ニップル孔47の断面扁平形状の長手方向の両外側には光エレメント用抗張力体7が通るニップル孔49、図5において左側のニップル孔49の外側(左側)には支持線15が通るニップル孔51が形成されている。
【0037】
上記構成により、図3において、光ファイバ心線3、複数の繊維などの介在体5、2本の光エレメント用抗張力体7、支持線15はそれぞれ引き出され、分線盤33を通過してから押出装置35の押出ヘッド37内へ送られる。複数の光ファイバ心線3及び複数の介在体5が押出ヘッド37内のニップル部39の断面扁平形状のニップル孔47およびパイプ48を通る際に、複数の各光ファイバ心線3は断面扁平形状の空洞領域Fの長手方向に広がるようにして通過し、複数の介在体5が各光ファイバ心線3の周りに取り巻くようにして通過する。また、2本の光エレメント用抗張力体7はニップル部39の各ニップル孔49を通って、さらには1本の支持線15はニップル孔51を通って図4、図5において左方向へ走行すると共にダイス部43の流路45から溶融した熱可塑性樹脂Pが充実に押し出されることにより、図2に示されているような、光ファイバケーブル1を得ることができる。
【0038】
したがって、複数の光ファイバ心線3と複数の介在体5とが断面扁平形状のニップル孔47に通過する際に、それぞれ各光エレメント用抗張力体7を結んだ左右方向に広がることができ、この状態で押出ヘッド37内でシースされるので、複数の光ファイバ心線3と複数の介在体5が互いに影響しにくい構造の光ファイバケーブル1となる。その結果として、光ファイバケーブル1がドラムまたはボビンヘ巻き付けられるときに光ファイバ心線3の微小な曲がりを防止できるので、伝送損失特性、歪み特性に優れた多心構造型の光ファイバケーブル1となる。
【0039】
ちなみに、複数の光ファイバ心線3と例えば複数の繊維などの介在体5とが収容されている領域の断面がほぼ円形形状をしている光ファイバケーブル構造では、複数の光ファイバ心線3と介在体5が互いに影響し易くなる。さらには、ケーブルがドラムまたはボビンなどへ巻き付けされる時は、上記の光ファイバ心線3と介在体5がドラムまたはボビンの巻き付け面側から見て上部や下部へ偏ってしまい、下部にある光ファイバ心線3が上部の光ファイバ心線3や介在体5から圧迫を受けて、光ファイバ心線3に微小な曲がりが加わることになるために伝送損失特性、温度特性、機械特性が悪化する欠点がある。
【0040】
なお、上記の支持線15を供給せずに、別のダイス部を使用して図1に示したような光ファイバケーブル1をも得ることができる。
【0041】
(実施例1)
光ファイバ心線3として0.25mmφの素線8本を用い、介在体5としてアラミド繊維(ケプラー)1140デニール3本を用い、さらに光エレメント用抗張力体7として0.4mmφ鋼線を用い、これに支持線15としての鋼線を用い、これらを図3の分線盤33に通過せしめた後に、シースとして難燃ポリエチレンを用い、図4、図5および図6に示した押出ヘッド37でもって押出にてコーティングした。押出後ケーブルの断面を観察したところ、8心の心線3は図2に示されているように断面扁平形状の領域Fの長手方向に広がっており、8心の心線3の周りを介在体5が取り巻いており、これらを樹脂がしっかり包んでいて、前記光エレメント部11の寸法として2.7mm×3.5mmと非常に細径の光ファイバケーブル1が得られた。
【0042】
その評価結果して、ケーブル1の初期光伝送損失を評価したところ、すべての光ファイバ心線3が1.55μmで0.25dB/km以下であった。また、製造後の歪みをBOTDRで測定したが、すべての光ファイバ心線3とも伸び歪みは0.05%以下であった。
【0043】
さらに、機械特性に関しては、側圧、曲げとも良好な結果であった。例えば、側圧については加圧幅100mmの平板にケーブル1を挟み、上から1960Nの荷重をかけても損失増が認められず、良好な特性を示した。曲げについては60mmφの曲げ時においても損失増がなかった。
【0044】
また、心線口出し性/接続性は、ノッチ13からシース9を裂くことにより、介在体5が一緒にシースにくっつき、心線3は容易に8本バラバラに口出しできた。この心線3は容易に他の分岐ケーブルと接続が可能であった。
【0045】
(比較例)
上記の実施例1と同様の構成で、上記の実施の形態のニップル部39のニップル孔47に相当するニップル孔の形状が円形形状である押出ヘッドにて樹脂で一括シースした構造の比較例の光ファイバケーブルを試作した。このケーブルを7本、製作したところ、そのうちの2本のケーブルにおいて、1本の光ファイバ心線に0.4dB/kmの損失増が見られた。そのケーブルを調査したところ、そのロス増ファイバは若干の蛇行が認められた。
【0046】
なお,この発明は前述した実施の形態に限定されることなく、適宜な変更を行うことによりその他の態様で実施し得るものである。
【0047】
【発明の効果】
以上のごとき発明の実施の形態の説明から理解されるように、請求項1の発明によれば、複数の光ファイバ心線と介在体が各光エレメント用抗張力体を結んだ方向に長く、かつ上下方向へ短く形成され、ケーブルシース内に直接形成された断面扁平形状の空洞領域内に収容されているので、複数の光ファイバ心線と介在体がそれぞれ上記の断面扁平形状の空洞領域の左右方向に広がることが可能である。その結果、光ファイバ心線と介在体が互いに影響しにくい構造となるため、光ファイバケーブルをドラムまたはボビンヘ巻き付けるときに光ファイバ心線の微小な曲がりを防止できるので、伝送損失特性、歪み特性に優れた多心構造型の光ファイバケーブルを提供できる。
【0048】
また、ノッチ部からケーブルシースを裂いて光ファイバ心線の口出しを行う際に、ケーブルシースは耐熱性のプラスチックヤーンまたは有機系繊維もしくは無機系繊維からなる介在体に阻まれて光ファイバ心線内部まで食い込まないので容易に口出しを行うことができる。また、細径に製造できると共に例えば繊維などの介在体が光ファイバ心線のクッションとなるので損失特性を安定せしめることができる。さらに、光ファイバケーブルがシンプルとなり、集合工程がなく、加工費を小さくすることができる。
【0049】
請求項2の発明によれば、前記光エレメント部に、支持線をシースで被覆した長尺のケーブル支持線部が互いに平行に一体化されていることにより、光ファイバドロップケーブルとして利用することができると共に、請求項1と同様の効果を有することができる。
【0050】
請求項3の発明によれば、複数の光ファイバ心線と介在体とが各光エレメント用抗張力体を結んだ方向に長く、かつ上下方向へ短く形成された断面扁平形状の通り穴に設けられた長手方向へ延伸された同形状のパイプを通過して押出ヘッド内でシースするので、複数の光ファイバ心線と介在体がそれぞれ上記の断面扁平形状の空洞領域の左右方向に広がることが可能である。その結果、光ファイバ心線と介在体が互いに影響しにくい構造となるため、光ファイバケーブルをドラムまたはボビンヘ巻き付けるときに光ファイバ心線の微小な曲がりを防止できるので、伝送損失特性、歪み特性に優れた多心構造型の光ファイバケーブルを提供できる。
【0051】
また、ノッチ部からケーブルシースを裂いて光ファイバ心線の口出しを行う際に、ケーブルシースは耐熱性のプラスチックヤーンまたは有機系繊維もしくは無機系繊維からなる介在体に阻まれて光ファイバ心線内部まで食い込まないので容易に口出しを行うことができる。また、細径に製造できると共に例えば繊維などの介在体が光ファイバ心線のクッションとなるので損失特性を安定せしめることができる。さらに、光ファイバケーブルがシンプルとなり、集合工程がなく、加工費を小さくすることができる。
【0052】
請求項4の発明によれば、前記光エレメント部に、支持線をシースで被覆した長尺のケーブル支持線部が互いに平行に一体化されていることにより、光ファイバドロップケーブルとして利用することができると共に、請求項3と同様の効果を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態の光ファイバケーブルの断面図である。
【図2】この発明の別の実施の形態の光ファイバケーブルの断面図である。
【図3】この発明の実施の形態の光ファイバケーブルの製造ラインの概略的な説明図である。
【図4】押出ヘッド部の断面図である。
【図5】ニップル部の斜視図である。
【図6】ダイス部の斜視図である。
【図7】図5に示したニップル部の平面図である。
【図8】従来の光ファイバケーブルの断面図である。
【図9】従来の他の光ファイバケーブルの断面図である。
【図10】従来の別の光ファイバケーブルの断面図である。
【図11】図10に示した光ファイバケーブルを製造する際の押出し機の一部を構成するニップル部の平面図である。
【符号の説明】
1 光ファイバケーブル
3 ファイバ心線
5 介在体
7 光エレメント用抗張力体
9 ケーブルシース
11 光エレメント部
13 ノッチ部
15 支持線
17 シース
19 ケーブル支持線部
23 製造装置
33 分線盤
35 押出装置
37 押出ヘッド
39 ニップル部
41 ダイス孔
43 ダイス部
47,49,51 ニップル孔
Claims (4)
- 左右方向へ長く、かつ上下方向へ短く形成された断面扁平形状の空洞領域(F)内に収容した複数の素線または単心線からなる光ファイバ心線(3)と、前記断面扁平形状の空洞領域(F)内で前記複数の光ファイバ心線(3)の回りに取り巻くべく縦添えされた耐熱性のプラスチックヤーンまたは有機系繊維もしくは無機系繊維からなる介在体(5)と、前記断面扁平形状の空洞領域(F)の左右方向側の両外側の近傍に平行で両脇に配置された光エレメント用抗張力体(7)とをケーブルシース(9)で被覆した長尺の光エレメント部(11)からなると共に、前記各光エレメント用抗張力体(7)を結んだ左右方向に対して直交した上下方向の前記介在体(5)の両側におけるケーブルシース(9)の表面にノッチ部(13)を形成せしめてなる光ファイバケーブルであって、前記断面扁平形状の空洞領域(F)が、前記ケーブルシース(9)内に直接形成されていることを特徴とする光ファイバケーブル。
- 前記光エレメント部(11)に、支持線(15)をシース(17)で被覆した長尺のケーブル支持線部(19)が互いに平行に一体化されていることを特徴とする請求項1記載の光ファイバケーブル。
- 複数の素線または単心線からなる光ファイバ心線(3)と、この光ファイバ心線(3)の回りに取り巻くべく縦添えされる耐熱性のプラスチックヤーンまたは有機系繊維もしくは無機系繊維からなる介在体(5)と、これらの複数の光ファイバ心線(3)と介在体(5)とに隣接させずに平行で両脇に配置された光エレメント用抗張力体(7)とをそれぞれ同時に走行せしめて押出ヘッド(37)に送り出し、
前記押出ヘッド(37)内で、前記複数の光ファイバ心線(3)と介在体(5)とを前記各光エレメント用抗張力体(7)を結んだ左右方向に長く、かつ上下方向へ短く形成された断面扁平形状の通り穴(47)に設けられた長手方向へ延伸した同形状のパイプ(48)に通過せしめると共に前記押出ヘッド(37)に熱可塑性樹脂を押出して、
前記複数の光ファイバ心線(3)と、この複数の光ファイバ心線(3)の回りに取り巻くべく縦添えされた介在体(5)と、これらの光ファイバ心線(3)と介在体(5)とからなる前記断面扁平形状の空洞領域(F)の左右方向側の両外側の近傍に平行で両脇に配置された光エレメント用抗張力体(7)とをケーブルシース(9)で被覆した長尺の光エレメント部(11)からなると共に、
前記各光エレメント用抗張力体(7)を結んだ左右方向に対して直交した上下方向の前記介在体(5)の両側におけるケーブルシース(9)の表面にノッチ部(13)を形成した光ファイバケーブル(1)を製造することを特徴とする光ファイバケーブルの製造方法。 - 複数の素線または単心線からなる光ファイバ心線(3)と、この光ファイバ心線(3)の回りに取り巻くべく縦添えされる耐熱性のプラスチックヤーンまたは有機系繊維もしくは無機系繊維からなる介在体(5)と、これらの複数の光ファイバ心線(3)と介在体(5)とに隣接させずに平行で両脇に配置された光エレメント用抗張力体(7)と、支持線(15)とをそれぞれ同時に走行せしめて押出ヘッド(37)に送り出し、
前記押出ヘッド(37)内で、前記複数の光ファイバ心線(3)と介在体(5)とを前記各光エレメント用抗張力体(7)を結んだ左右方向に長く、かつ上下方向へ短く形成された断面扁平形状の通り穴(47)に設けられた長手方向へ延伸した同形状のパイプ(48)に通過せしめると共に前記押出ヘッド(37)に熱可塑性樹脂を押出して、
前記複数の光ファイバ心線(3)と、この複数の光ファイバ心線(3)の回りに取り巻くべく縦添えされた介在体(7)と、これらの光ファイバ心線(3)と介在体(5)とからなる前記断面扁平形状の空洞領域(F)の左右方向側の両外側の近傍に平行で両脇に配置された光エレメント用抗張力体(7)とをケーブルシース(9)で被覆した長尺の光エレメント部(11)からなると共に、
前記各光エレメント用抗張力体(7)を結んだ左右方向に対して直交した上下方向の前記介在体(7)の両側におけるケーブルシース(9)の表面にノッチ部(13)を形成し、
前記光エレメント部(11)に、支持線(15)をシース(17)で披覆した長尺のケーブル支持線部(19)が互いに平行に一体化された光ファイバケーブルを製造することを特徴とする光ファイバケーブルの製造方法。
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