JP4007850B2 - 食器洗い機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、洗浄タンク内に収容された食器に向けて洗浄水を噴射することにより食器を洗浄することができる食器洗い機に関し、特に、食器を保持するための食器かごに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば流し台上のシンクの側方などに設置され、洗浄タンク内に収容された食器に向けて洗浄水を噴射することにより食器を洗浄することができる家庭用の食器洗い機が知られている。
通常、食器洗い機には、洗浄タンク内に収容され、洗浄すべき食器を保持するための食器かごが備えられている。洗浄タンクの下部には、例えば上方に向けて洗浄水を噴射するためのノズルが配置されていて、食器かごに保持された食器は、ノズルから噴射された洗浄水により洗浄されるようになっている。
【0003】
この種の食器洗い機の中には、より多くの食器を収容可能とするために、例えば上かごと下かごとを有する2段構成の食器かごを備えたものがある。例えば、下かごには、主に茶碗、汁椀、皿などの食器を保持することができるようになっており、上かごには、主にコップ、湯飲みなどの食器を保持することができるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
食器洗い機自体の寸法を大きくすることなく、より多くの食器を洗浄することができるようにするために、食器を効率よく収容できる食器洗い機が望まれる。
しかしながら、食器を効率よく収容できたとしても、食器の配置によっては、下方から噴射される洗浄水が下かごに保持された食器に遮られて、上かごに保持された食器を十分に洗浄できない場合がある。
【0005】
本発明は、かかる背景のもとでなされたもので、食器を満遍なく洗浄できる食器洗い機および食器かごを提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、洗浄すべき食器を効率よく収容できる食器洗い機および食器かごを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記目的を達成するための請求項1記載の発明は、洗浄タンク内に収容された食器に向けて洗浄水を噴射することにより食器を洗浄することができる食器洗い機であって、
主に茶碗、汁椀などの食器を、所定の隙間を空けて保持することができる下かごと、
上記下かごの上方に配置され、主にコップ、湯飲みなどの食器を保持することができる上かごと、
上記洗浄タンクの下部に配置され、上記下かごの下方から上方に向けて洗浄水を噴射する下ノズルとを含み、
上記上かごは、コップや湯飲みなどの食器を、それらの開口部が上記隙間側を向くように保持できる構成であり、
更に、上記上かごは、その後端部が上記下かごの後端部に連結された後かごと、この後かごの前端部に回動可能に取り付けられた前かごとを有しており、
上記後かごに保持される食器が滑らないように当該食器の開口部に挿通するピンを、上記後かごに上方突出するようにして設け、
上記前かごは、上記後かご側に回動させて折り畳むことができるようになっていて、上記後かご側に折り畳まれた状態でその裏面上に食器を保持することができる構成となっており、
上記後かごに設けられている上記ピンは、上記前かごが上記後かご側に折り畳まれた状態にて、上記前かごの裏面上に保持される食器が滑り落ちるのを規制すべく当該食器の開口部に挿通されることを特徴とする食器洗い機である。
【0007】
この構成によれば、下ノズルから上方に向けて噴射される洗浄水を、下かごに保持される食器の隙間を介して下かごの上方まで到達させ、上かごに噴射することができる。したがって、下ノズルから噴射される洗浄水により、下かごに保持された食器だけでなく、上かごに保持された食器まで満遍なく洗浄することができる。
【0008】
特に、上かごは、コップや湯飲みなどを、それらの開口部が上記隙間側を向くように保持できるので、上記隙間を介して上かごに噴射される洗浄水により、上かごに保持されたコップや湯飲みなどを良好に洗浄することができる。
【0010】
さらに、前かごを後かご側に回動させて折り畳むことにより、下かごの手前側上方が解放され、下かごの前側にフライパンや鍋などの調理器具を立てて保持することができる程度のスペース(Z)を形成することができる。したがって、洗浄すべき食器を効率よく収容できる。
【0012】
さらに、前かごが折り畳まれた状態でも、その前かごの裏面上にコップや湯飲みなどの食器を保持することができるので、洗浄すべき食器をより効率よく収容できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下には、図面を参照して、本発明の実施形態について具体的に説明する。なお、以下の実施形態においては、まな板、フライパンおよび鍋などの調理器具を、便宜上、食器として説明する場合がある。
図1は、本発明の一実施形態に係る食器洗い機1の外観構成を示す正面図である。また、図2は、この食器洗い機1の側面図である。
【0023】
図1および図2を参照して、この食器洗い機1は、その外形が略矩形のキャビネット2により区画されている。このキャビネット2は、例えばその幅が約500mm、奥行きが約280mm、高さが約490mmに形成されている。
キャビネット2の内部には、洗浄すべき食器を収容するための洗浄タンク3が配置されている(図2参照)。この洗浄タンク3の前面には、当該洗浄タンク3内に食器を出し入れするための食器投入口30が形成されている。食器投入口30は、鉛直方向に対してやや上方を向いており、食器洗い機1の手前側上方から食器投入口30を介して洗浄タンク3内に食器を出し入れしやすくなっている。
【0024】
食器投入口30は、キャビネット2に対して回動可能に取り付けられた2枚の扉(上扉51および下扉52)により覆うことができるようになっている。各扉51、52の上下方向の長さは、例えば、上扉51が約120mm、下扉52が約225mmに形成されている。すなわち、上扉51の上下方向の長さと、下扉52の上下方向の長さとの比は、約3.5:6.5となっている。これにより、上扉51は、下扉52に対して補助的な寸法となっていて、食器投入口30の大部分を覆う相対的に大きい下扉52に対して、食器投入口30のうち上記下扉52で覆いきれない部分を補助的に覆うことができるようになっている。
【0025】
上扉51は、その上端部を左右方向に延びる回動軸53を中心に手前上方に回動可能となっている。一方、下扉52は、その下端部を左右方向に延びる回動軸54を中心に手前下方に回動可能となっている。本実施形態では、例えば下扉52の開閉に連動して、上扉51も開閉するようになっている。上扉51および下扉52を閉じた状態では、食器投入口30の手前側が覆われて、洗浄タンク3が水密に閉じられるようになっている。
【0026】
下扉52の上端部には、その左右方向の中央部に、当該下扉52を開く際にユーザが把持するための把持部55が配置されている。本実施形態では、下扉52が閉じた状態から開かないようにロックするためのロック機構(図示せず)が備えられていて、把持部55の下方(下扉52の略中央)には、下扉52のロックを解除するためのロック解除ボタン56が配置されている。この構成により、下扉52を開ける際には、ユーザは、ロック解除ボタン56を押して下扉52のロックを解除した後、把持部55を掴んで手前側に引くことにより、下扉52を下方に回動させ、これに連動して上扉51を上方に回動させることができる。なお、把持部55およびロック解除ボタン56の構成は、上記構成に限らず、例えばロック解除ボタンが把持部の近傍や把持部自体に組み込まれていて、把持部を握りつつロック解除ボタンを押すことにより、少ない動作で容易に下扉を開けることができるような構成になっていてもよい。
【0027】
キャビネット2の前面下部には、当該食器洗い機1の電源のオン/オフを切り替えるための電源ボタン21と、当該食器洗い機1の運転を開始させたり、洗浄コースなどの設定を行うための操作パネル22とが配置されている。洗浄タンク3内に食器を収容した状態で、操作パネル22を操作して当該食器洗い機1の運転を開始することにより、洗浄タンク3内で洗浄水が噴射され、食器が洗浄されるようになっている。この食器洗い機1は、例えば乾燥機能も有していて、洗浄後の食器は、温風により乾燥されるようになっている。
【0028】
図3は、食器洗い機1の内部構成を示す側面断面図である。また、図4は、食器洗い機1の正面図であって、一部を切り欠いて示している。
図3および図4を参照して、洗浄タンク3内には、洗浄すべき食器P(例えば皿など)を保持するための食器かご4が配置されている。食器かご4の底部には複数のころ41が取り付けられていて、この食器かご4は、上下扉51、52を開けた状態で食器投入口30を介して手前側に開いた下扉52上に引き出すことができるようになっている。
【0029】
洗浄タンク3の下部には、例えば食器かご4の下方から食器Pに向けて洗浄水を噴射するための2つのノズルアーム7が、左右に並べて配置されている。これら2つのノズルアーム7は、共通のノズルベース12により、それぞれ中心線Cを中心にほぼ水平な面内で回転自在に保持されていて、このノズルベース12の内部を通って送られてきた洗浄水が、各ノズルアーム7に備えられた複数のノズル8から上方に噴射されるようになっている。ただし、ノズルアームは、2つに限らず、例えば1つであってもよいし、3つ以上設けられていてもよい。また、洗浄タンク3の下部だけでなく上方にもノズルを設けて、上方および下方の双方から洗浄水を噴射できるような構成であってもよい。
【0030】
洗浄タンク3の底面32の手前側には、洗浄水を溜めておくための水溜め部33が、一段低く形成されている。洗浄タンク3内には、例えば機外の給水設備から水道水を導入することができるようになっていて、洗浄タンク3内に導入された水道水は、水溜め部33を含む洗浄タンク3の下部に溜まるようになっている。食器の洗浄に使用する洗浄水は、例えば洗浄タンク3内に洗剤を投入することにより、その洗剤が洗浄タンク3内の水道水と混ざり合って生成される。ただし、洗剤の投入により洗浄水を生成する構成に限らず、例えば洗浄タンク3内の水道水に所定の処理を行い、洗剤を混入することなく水に洗浄性能を持たせることができるような構成であってもよい。
【0031】
水溜め部33は、吸込管9を介して洗浄ポンプ10に接続されている。そして、洗浄ポンプ10の吐出口は、吐出管11を介してノズルベース12に接続されている。洗浄ポンプ10はモータ13により駆動されるようになっていて、このモータ13が所定方向に回転することにより、洗浄水が水溜め部33から洗浄ポンプ10に吸い込まれ、ノズルベース12に向けて送り出される。
ノズルベース12に送られてきた洗浄水は、各ノズルアーム7を介して複数のノズル8から噴射される際に、ノズルアーム7に対して反力を与える。この反力により、各ノズルアーム7は、ノズル8から洗浄水を噴射しつつ、中心線Cを中心に回転することとなる。
【0032】
ノズルアーム7から噴射された洗浄水は再び洗浄タンク3の下部に溜まり、洗浄ポンプ10により吸い込まれる。このようにして、洗浄タンク3に溜められた洗浄水は、食器洗い機1内で循環されて、食器Pの洗浄に使用されるようになっている。
食器Pに付着している残滓は、複数のノズル8から噴射された洗浄水により食器Pから分離される。水溜め部33の上方には、残滓フィルタ6が着脱可能に配置されていて、食器Pから分離した残滓は、この残滓フィルタ6により受け止められ、水溜め部33への流入が阻止されるようになっている。
【0033】
水溜め部33には、洗浄水を機外に排水するための排水管15が接続されていて、この排水管15の途中には、モータ13により駆動される排水ポンプ14が設けられている。排水時には、モータ13が上記所定方向とは反対方向に回転することにより、洗浄タンク3内の洗浄水が水溜め部33から排水管15を通って排水ポンプ14に吸い込まれ、機外に排出されるようになっている。
図5は、食器かご4を右側方から見た側面図である。
【0034】
図5を参照して、この食器かご4は、例えば複数本の線材を用いて形成されていて、主に茶碗、汁椀、皿などの食器を保持することができる下かご42と、下かご42の上方に配置され、主にコップ、湯飲みなどの食器を保持することができる上かご43とを含む。
下かご42は、前枠421、後枠422および側枠423を有する略矩形形状に形成されている。この下かご42は、その幅および奥行きが、洗浄タンク3内の空間の幅および奥行きとほぼ同じ寸法に形成されていて、図5における紙面前後方向(左右方向)に長手の形状となっている。複数(例えば4つ)のころ41は、下かご42の底部の4隅に回転自在に取り付けられていて、この食器かご4は、下かご42の短手方向(前後方向)に沿って洗浄タンク3内から手前側に引出可能となっている。
【0035】
上かご43には、前後に並べて配置され、互いに回動可能に取り付けられた前かご44および後かご45が備えられている。下かご42の後枠422は上方に向かって突出して延びており、この後枠422の途中に、後かご45が回動可能に取り付けられている。
図6は、下かご42の平面図である。
図5および図6を参照して、下かご42は、食器の種類に応じた複数の保持部により区分けされている。具体的には、下かご42の右側の部分は、比較的大きな皿を保持することができる大皿保持部46となっていて、下かご42の左側は、その手前側が茶碗を保持することのできる茶碗保持部47、奥側が汁椀を保持することのできる汁椀保持部48となっている。すなわち、茶碗保持部47と汁椀保持部48とは、大皿保持部46の左側に前後に並べて配置されている。
【0036】
大皿保持部46には、互いに上方に向かって逆ハ字状に拡がるように延びる1対のピン461が、左右方向に複数対(例えば6対)並べて配置されている。これらの隣接する1対のピン461の間に皿を挟むことにより、皿(主に大皿)を立てて保持することができるようになっている。大皿保持部46に皿を立てて保持した状態で、当該大皿保持部46の前後の隅などに隙間が生じた場合には、その隙間に小皿を立てて保持することもできる。
【0037】
茶碗保持部47には、茶碗の内面および外面に沿うように湾曲して形成されたピン471が、左右方向に複数(例えば7つ)並べて配置されている。これらの隣接するピン471の間に茶碗を挟むことにより、図6において二点鎖線で示すように、例えば茶碗を6つまで横向きに立てて保持することができるようになっている。
汁椀保持部48には、汁椀の内側に入り込むように折り曲げられて形成されたピン481が、左右方向に複数(例えば6つ)並べて配置されている。これらのピン481がそれぞれ汁椀の内側に入り込むように汁椀を横向きに立てて保持することにより、図6において二点鎖線で示すように、例えば6つまで汁椀を保持することができるようになっている。この汁椀保持部48には、主に汁椀が保持されるが、例えばどんぶりなどの他の食器を保持することも可能である。
【0038】
下かご42の前端部には、下かご42の左右側枠423間を長手に延びるまな板保持部49が配置されていて、このまな板保持部49には、まな板をその短手方向が上下方向に延びるように立てて保持することができるようになっている。このまな板保持部49には、まな板を保持しない場合は、小皿などを立てて保持することも可能である。
また、図示していないが、例えば大皿保持部46の左端部(下かご42の中央やや右寄りの位置)などには、箸やスプーンなどを収容するためのスタンドを着脱可能に取り付けることができるようになっていてもよい。
【0039】
以上のような構成により、下かご42には洗浄すべき食器(茶碗、汁椀、皿など)を効率よく収容できるようになっている。
食器かご4を洗浄タンク3内に収容した状態では、例えば大皿保持部46の下方に右側のノズルアーム7が位置し、茶碗保持部47および汁椀保持部48の下方に左側のノズルアーム7が位置するようになっている。各ノズルアーム7に備えられたノズル8は、ノズルアーム7の回転に伴って、それぞれ図6において一点鎖線で示すような軌跡を描く。これにより、大皿保持部46に保持された食器は、主に右側のノズルアーム7のノズル8から噴射される洗浄水により洗浄され、茶碗保持部47および汁椀保持部48に保持された食器は、主に左側のノズルアーム7のノズル8から噴射される洗浄水により洗浄されるようになっている。
【0040】
本実施形態では、茶碗保持部47に1列に並べて保持される茶碗と、汁椀保持部48に1列に並べて保持される汁椀とが、それぞれの縁が前後方向に沿って並ばないように、左右にずらして保持されるようになっている。これにより、茶碗および汁椀を効率よく収容できると共に、それぞれ1列に並べて保持される茶碗および汁椀の列間に比較的大きな隙間Sを形成することができ、この隙間Sを介して、左側のノズルアーム7から噴射される洗浄水を下かご42の上方まで到達させることができるようになっている。
【0041】
図7は、上かご43の平面図である。また、図8は、食器を保持した状態の食器かご4を右側方から見た側面図である。
上かご43は、その幅が下かご42の茶碗保持部47および汁椀保持部47の幅とほぼ同じになるように形成されていて、下かご42の後枠422の左側に取り付けられることにより、茶碗保持部47および汁椀保持部47の上方に位置するようになっている。
【0042】
図5、図7および図8を参照して、前かご44は、その両端部が後かご45に対して回動可能に取り付けられた枠体61と、この枠体61に対して左右方向に沿って架け渡された3本の架設バー62、63、64とを備えている。枠体61には、その前端部が上方に向けて略垂直に折り曲げられることにより、折曲部611が形成されている。また、最も手前側の架設バー62には、その両端部が上方に折り曲げられることにより折曲部621が形成されると共に、例えばその架設バー62の延びる方向に沿ってほぼ等間隔に4つのピン622が上方に突出して設けられている。各ピン622は、例えば略逆U字状に形成されている。
【0043】
一方、後かご45は、前かご44の枠体61の両端部を回動可能に支持する左右の側枠71と、この左右側枠71に対して左右方向に沿って架け渡された4本の架設バー72、73、74、75とを備えている。4本の架設バー72〜75には、それぞれの両端部が上方に折り曲げられることにより折曲部721、731、741、751が形成されている。また、最も手前側の架設バー72には、例えばその架設バー72の延びる方向に沿ってほぼ等間隔に4つのピン722が上方に突出して設けられている。各ピン722は、例えば略逆U字状に形成されている。
【0044】
前かご44には、その手前側の2本の架設バー62、63上に、主に湯飲みなどの食器を、その開口部(飲み口)が下方を向くようにして保持することができる。前かご44には、例えば通常サイズの湯飲みを左右方向に最大4つまで並べて保持することができ、保持される湯飲みは、それぞれの開口部にピン622が挿通されるように配置される。
前かご44の最も後側の架設バー64は、図5および図8に示すように、後かご45の左右側枠71に当接して、前かご44が下方にそれ以上回動しないように規制する役割を果たしている。この架設バー64の働きにより、前かご44は、最も下方まで回動させた状態(図5および図8に示す状態)で、その手前側の方が低くなるように水平方向に対して傾斜した状態となる。この状態で前かご44上に湯飲みを載せた場合、湯飲みには手前側に滑ろうとする力が加わることになるが、枠体61の折曲部611により、手前側に滑ろうとする湯飲みを受け止めることができるようになっている。
【0045】
架設バー62の折曲部621は、前かご44の左右両端部に保持される湯飲みが前かご44から左右方向に滑り落ちないように規制する役割を果たしている。また、湯飲みの開口部に挿通されるピン622は、前かご44に湯飲みが保持された状態で、例えば引き出されている食器かご4が洗浄タンク3側(後方側)に押し込まれたときなどに、慣性力により湯飲みが手前側に転げ落ちるのを防止する役割を果たしている。
【0046】
後かご45は、図5および図8に示すように、下かご42に設けられた支持バー424により下方から支持されて、下方にそれ以上回動しないようになっている。後かご45の左右側枠71は、4本の架設バー72〜75のうち真ん中の2本の架設バー73、74がそれぞれ連結された位置の間で折れ曲げられて形成されている。これにより、後かご45を最も下方まで回動させた状態(図5および図8に示す状態)では、後かご45の手前側の部分は、その後側の方が低くなるように水平方向に対して傾斜した状態となり、後かご45の後側の部分はほぼ水平となる。
【0047】
後かご45には、その4本の架設バー72〜75上に、主にコップなどの食器を、その開口部(飲み口)が下方を向くようにして保持することができる。後かご45には、例えば手前側の2本の架設バー72、73上、および後側の2本の架設バー74、75上に、それぞれ通常サイズのコップを左右方向に最大4つまで並べて保持することができるようになっている。
後かご45上に前後に2列に並べて保持されるコップのうち、後列のコップは、後かご45の後側を上方に向かって延びる下かご42の後枠422により規制されて、後方に転げ落ちないようになっている。一方、前列のコップは、コップの開口部に挿通されるピン722により規制されて、後側に滑らないように保持される。
【0048】
また、4本の架設バー72〜75に設けられた折曲部721〜751は、後かご45の左右両端部に保持されるコップが後かご45から左右方向に滑り落ちないように規制する役割を果たしている。
本実施形態では、2つのノズルアーム7の他に、洗浄タンク3の後側の内面に取り付けられた固定ノズル16によっても洗浄水を噴射することができるようになっている。この固定ノズル16は、後かご45の後端部に対向して左右方向に延びており、後かご45の後列に保持されたコップに対して、斜め下方から洗浄水を噴射することができるようになっている。上述のように、後かご45の後側の部分はほぼ水平になっているので、後かご45の後列に保持されたコップは、それらの開口部がほぼ鉛直下向きになり、固定ノズル16からコップの開口部に向けて良好に洗浄水を噴射することができる。
【0049】
後かご45の後列に保持されたコップは、固定ノズル16から噴射される洗浄水により十分に洗浄することができるが、後かご45の前列に保持されたコップや前かご44に保持された湯飲みに向けて固定ノズル16から洗浄水を噴射しても、コップおよび湯飲みの開口部に洗浄水が入りにくく、十分に洗浄できない。そこで、本実施形態では、図6において説明したように、茶碗保持部47に並べて保持された茶碗の列と、汁椀保持部48に並べて保持された汁椀の列との間の隙間Sを介して、左側のノズルアーム7から噴射される洗浄水を下かご42の上方まで到達させることにより、その洗浄水で後かご45の前列に保持されたコップ、および前かご44に保持された湯飲みを洗浄できるようになっている。したがって、ノズルアーム7から噴射される洗浄水により、下かご42に保持された食器だけでなく、上かご43に保持されたコップや湯飲みなどの食器も満遍なく洗浄することができる。
【0050】
本実施形態では、上述のように、後かご45の手前側の部分が、その後側の方が低くなるように傾斜しており、前かご44が、その手前側の方が低くなるように傾斜しているので、後かご45の前列に保持されたコップ、および前かご44に保持された湯飲みは、それらの開口部が隙間S側を向くように、すなわち、ノズルアーム7から隙間Sを介して上方に噴射される洗浄水の噴射方向に開口部が対向するように保持される。この構成によれば、隙間Sを介して上かご42に噴射された洗浄水により、上かご42に保持されたコップや湯飲みなどを良好に洗浄することができる。
【0051】
なお、本実施形態では、前かご44の水平方向に対する傾斜角度が比較的大きいため、前かご44に湯飲みを保持した方が、湯飲みの底部に通常設けられている高台(環状段部)に水が溜まりにくく好適である。一方、後かご45の後側の部分はほぼ水平になっているので、後かご45の後列に湯飲みを保持するとその高台に水が溜まりやすい。したがって、後かご45の後列にはコップを保持するのが好ましい。ただし、前かご44にコップを保持することも可能であるし、後かご45に湯飲みを保持することも可能である。
【0052】
また、本実施形態では、上かご43を上記のような構成とすることにより、図8に示すように、茶碗保持部47の上方に汁椀保持部48の上方よりも比較的大きなスペースが形成されるようになっている。これにより、茶碗保持部47には、どんぶりなどの比較的大きな食器を保持することが可能となるので、より効率よく食器を収容することができる。
さらに、本実施形態では、前かご44の前端縁が下かご42の前端縁(前枠421)よりも後方に位置しているので、まな板を立てて収容するためのまな板保持部49を十分に確保することができ、より効率よく食器を収容することができる。
【0053】
図9は、前かご44を折り畳んだ状態の食器かご4を右側方から見た側面図である。また、図10は、前かご44を折り畳んだ状態の要部断面図である。
図9および図10を参照して、本実施形態では、前かご44を後側に回動させることにより、後かご45の上方に重ねて折り畳むことができるようになっている。前かご44は、折り畳まれることにより、その裏面上(架設バー62、63上)にコップや湯飲みなどの食器を保持することができるようになっている。
【0054】
具体的には、前かご44が折り畳まれると、後かご45の最も手前側の架設バー72に設けられたピン722が、前かご44の枠体61の内側を通って、前かご44の架設バー62、63よりも上方まで突出する。この状態で、前かご44の架設バー62、63上に例えば湯飲みを載せると、後かご45のピン722が湯飲みの開口部に挿通され、湯飲みが後側に滑り落ちるのを規制することができるようになっている。
【0055】
このようにして、前かご44の裏面上には、例えば通常サイズの湯飲みを左右方向に最大4つまで並べて保持することができるようになっている。また、前かご44が折り畳まれた状態では、その枠体61が架設バー62、63よりも上方に張り出して、架設バー62、63上の左右両端部に保持される湯飲みが左右方向に滑り落ちないように規制する役割を果たすようになっている。ただし、この前かご44の裏面上には、湯飲みに限らずコップを保持することも可能である。
【0056】
本実施形態では、前かご44を折り畳むことにより、下かご42の茶碗保持部47の上方が解放され、下かご42の前側にフライパンや鍋などの調理器具を左右方向に沿って立てて保持することができる程度のスペースZが形成されるようになっている。特に、上記スペースZは、食器かご4の長手方向に沿った幅広のスペースとなるので、大きなフライパンや鍋などでも十分に収容することができる。
【0057】
図11は、後かご45を折り畳んだ状態の食器かご4を右側方から見た側面図である。
図11を参照して、本実施形態では、前かご44を後かご45の上方に重ねて折り畳んだ後、後かご45を前かご44と共に上方に回動させることにより、上かご43を下かご42の後枠422に沿って折り畳むことができるようになっている。このように、前かご44および後かご45の両方を折り畳むことにより、下かご42の茶碗保持部47および汁椀保持部48の上方が解放され、下かご42にさらに大きな調理器具などを収容することができる。
【0058】
本発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
例えば、食器かご4に保持される食器の配置は、上述した配置に限られるものではない。下かご42は、茶碗や汁椀などの食器を前後に2列に並べて保持する構成に限らず、例えば3列以上に並べて保持できるような構成であってもよい。また、上かご43は、コップや湯飲みなどの食器を前後に3列に並べて保持する構成に限らず、例えば2列以下に並べて保持できるような構成であってもよいし、4列以上に並べて保持できるような構成であってもよい。
【0059】
また、上かごは、コップや湯飲みなどの食器を、それらの開口部が下かご42の茶碗保持部47に1列に並べて保持された茶碗と、汁椀保持部48に1列に並べて保持された汁椀との列間の隙間Sを向くように保持する構成に限らず、例えば、大皿保持部46と、茶碗保持部47および汁椀保持部48との間の隙間を向くように保持するような構成であってもよい。
前かご44を後かご45の上方に重ねて折り畳んだ状態で、前かご44の裏面上にコップや湯飲みなどの食器を保持する場合、それらの食器が滑り落ちるのを規制する手段は、上記実施形態のように前かご44の枠体61や後かご45のピン722に限らず、例えば前かご44の裏面に別個に設けられた規制部などであってもよい。
【0060】
上記実施形態では、上扉51が下扉52に対して補助的な寸法に形成された構成について説明したが、本発明は、例えば上扉および下扉の上下方向の長さがほぼ同じ長さに形成された食器洗い機にも適用可能であるし、食器投入口を1枚の扉で覆うような構成の食器洗い機にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る食器洗い機の外観構成を示す正面図である。
【図2】この食器洗い機の側面図である。
【図3】食器洗い機の内部構成を示す側面断面図である。
【図4】食器洗い機の正面図であって、一部を切り欠いて示している。
【図5】食器かごを右側方から見た側面図である。
【図6】下かごの平面図である。
【図7】上かごの平面図である。
【図8】食器を保持した状態の食器かごを右側方から見た側面図である。
【図9】前かごを折り畳んだ状態の食器かごを右側方から見た側面図である。
【図10】前かごを折り畳んだ状態の要部断面図である。
【図11】後かごを折り畳んだ状態の食器かごを右側方から見た側面図である。
【符号の説明】
1 食器洗い機
3 洗浄タンク
4 食器かご
7 ノズルアーム
8 ノズル
16 固定ノズル
42 下かご
43 上かご
44 前かご
45 後かご
46 大皿保持部
47 茶碗保持部
48 汁椀保持部
61 枠体
62、63 架設バー
722 ピン
S 隙間
Z スペース

Claims (1)

  1. 洗浄タンク内に収容された食器に向けて洗浄水を噴射することにより食器を洗浄することができる食器洗い機であって、
    主に茶碗、汁椀などの食器を、所定の隙間を空けて保持することができる下かごと、
    上記下かごの上方に配置され、主にコップ、湯飲みなどの食器を保持することができる上かごと、
    上記洗浄タンクの下部に配置され、上記下かごの下方から上方に向けて洗浄水を噴射する下ノズルとを含み、
    上記上かごは、コップや湯飲みなどの食器を、それらの開口部が上記隙間側を向くように保持できる構成であり、
    更に、上記上かごは、その後端部が上記下かごの後端部に連結された後かごと、この後かごの前端部に回動可能に取り付けられた前かごとを有しており、
    上記後かごに保持される食器が滑らないように当該食器の開口部に挿通するピンを、上記後かごに上方突出するようにして設け、
    上記前かごは、上記後かご側に回動させて折り畳むことができるようになっていて、上記後かご側に折り畳まれた状態でその裏面上に食器を保持することができる構成となっており、
    上記後かごに設けられている上記ピンは、上記前かごが上記後かご側に折り畳まれた状態にて、上記前かごの裏面上に保持される食器が滑り落ちるのを規制すべく当該食器の開口部に挿通されることを特徴とする食器洗い機。
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