JP4007811B2 - 負複屈折性フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、簡便な方法により負複屈折率を制御できる液晶表示素子用の負複屈折性フィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
負複屈折性(負の一軸性とも言う。)を有するフィルムは、液晶ディスプレイの視覚補償などに用いられている。このようなフィルムは、ディスコティック液晶から形成されていたり(特開平9−104656号公報、特開平9−194429号公報、特開平9−194430号公報)、あるいは延伸処理されたポリマーフィルムから製造されたり(米国特許5,138,474号)、あるいは未延伸のポリイミドフィルムから製造される(米国特許5,344,916号、米国特許5,480,964号、米国特許5,580,950号、米国特許6,238,753号)。
【0003】
これらの負複屈折性フィルムを得るにあたり、負複屈折率の制御は容易ではない。例えば、ディスコティック液晶は化学構造が複雑であり、合成が煩雑であることから、結果的にはコスト高になってしまう。
【0004】
延伸フィルムの場合は、延伸倍率や延伸方向を変えることにより制御される。しかし、この方法では延伸率を大きくした場合にフィルムが極薄となり、強度が劣ったり扱いにくくなるという欠点がある。また、厚膜のフィルムを作製してこれを延伸することで出来上がりの厚みを稼ぐという方法もあるが、厚膜フィルムの作製は厚みムラを生じやすく技術上極めて困難である。また仮に厚膜のフィルムを得ることができたとしても、これを精密に延伸するには高度な技術を要する。また、そもそも延伸による作製方法では歩留まりが悪いといった欠点もある。
【0005】
また、ポリイミド負複屈折フィルムの場合には、ポリイミドの構造を適宜変えることにより制御できることが、上記文献中に示されている。具体的には、ポリイミド主鎖の線状性及び剛直性を高めることにより負複屈折値を高めることができるが、ポリイミドの構造を変えるために必要な原料モノマー(ジアミン、酸二無水物)の入手が限られている場合がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、複屈折率の制御が容易であるとともに、かつ簡便な液晶表示素子用の負複屈折性フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、負複屈折性フィルム、特に固有負複屈折値を有するポリマーをキャストして得られる負複屈折性フィルムに関し、簡便な方法で負複屈折値を制御できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、ポリアリールエーテルケトンから形成される負複屈折性を有するポリマーフィルムにおいて、揮発速度の異なる溶剤を用いて調製したワニスからフィルムを作製することにより負複屈折率を制御することを特徴とする液晶表示素子用の負複屈折性フィルムの製造方法を提供する。負複屈折性フィルムの負複屈折率値は、好ましくは0.001〜0.6の範囲である。前記ポリアリールエーテルケトンは、主鎖の繰り返し構造単位中に少なくとも一つのフッ素原子を有するフッ素化ポリアリールエーテルケトンである。
【0009】
前記製造方法においては、ポリアリールエーテルケトンとしては、主鎖の繰り返し構造単位中に少なくとも一つのフッ素原子を有するフッ素化ポリアリールエーテルケトンである。
【0010】
また、本発明の製造方法においては、前記ポリアリールエーテルケトンが、一般式(1)の繰り返し構造単位を有するポリアリールエーテルケトンであってもよい。
【0011】
【化10】
【0012】
(式中、Fはフッ素原子であり、Aはハロゲン原子、低級アルキル基又は低級アルコキシ基であり、xおよびyは0〜4の整数であり、mは0又は1である。また、nは重合度を表し、R1は一般式(2)で表される基である。)
【0013】
【化11】
【0014】
(式中、Fはフッ素原子であり、A’はハロゲン原子、低級アルキル基又は低級アルコキシ基であり、zおよびx’は0〜4の整数であり、pは0又は1であり、R2は2価の芳香族基である。)
また、前記ポリアリールエーテルケトンが、一般式(3)の繰り返し構造単位を有するポリアリールエーテルケトンであってもよく、一般式(3)において、R1が一般式(4)で表される基であるのがよい。
【0015】
【化12】
【0016】
(式中、Fはフッ素原子であり、xは0〜4の整数であり、mは0又は1である。また、nは重合度を表し、R1は前記式(1)と同様である。)
【0017】
【化13】
【0018】
(式中、Fはフッ素原子であり、zは0〜4の整数であり、pは0又は1である。R2は2価の芳香族基である。)
また、一般式(2)および一般式(4)において、2価の芳香族基(R2)は下記式(5)からなる群から選ばれる少なくとも1種の基であることが好ましい。
【0019】
【化14】
【0020】
また、本発明の製造方法においては、前記ポリアリールエーテルケトンが、一般式(6)、(7)、(8)または(9)の繰り返し構造単位を有するポリアリールエーテルケトンであってもよい。
【0021】
【化15】
【0022】
【化16】
【0023】
【化17】
【0024】
【化18】
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法は、負複屈折値を有するポリマーをキャストしてフィルムを得る場合に有用である。負複屈折値を有するポリマーはポリアリールエーテルケトンである。用いるポリマーの質量平均分子量(Mw)は、2,000〜1,000,000、好ましくは3,000〜900,000、特に好ましくは4,000〜800,000である。質量平均分子量(Mw)が2,000未満の場合は、皮膜を形成した時に強度に劣る場合があり、一方、1,000,000を越える場合は、溶媒への溶解性が劣ったり、溶液の保存安定性が悪くなる場合がある。
【0026】
ポリアリールエーテルケトンとしては、主鎖の繰り返し単位中に、少なくとも一つのフッ素原子を有する。本発明でいうポリアリールエーテルケトンとは、繰り返し単位中にエーテル基(−O−)とケトン基(−C(=O)−)を有し、それらがアリール基で連結されているものをいい、一般式(1)で表される。
【0027】
【化19】
【0028】
(式中、Fはフッ素原子であり、Aはハロゲン原子、低級アルキル基又は低級アルコキシ基であり、xおよびyは0〜4の整数であり、mは0又は1である。また、nは重合度を表し、R1は一般式(2)で表される基である。)
【0029】
【化20】
【0030】
(式中、Fはフッ素原子であり、A’はハロゲン原子、低級アルキル基又は低級アルコキシ基であり、zおよびx’は0〜4の整数であり、pは0又は1であり、R2は2価の芳香族基である。)
中でも、一般式(1)において、好ましくはy=0のものであり、より好ましくはy=0かつx’=0のものである。これらのポリアリールエーテルケトンは下記一般式(3)の繰り返し構造単位を有するが、R1は下記一般式(4)で表される基であるのが好ましい。
【0031】
【化21】
【0032】
(式中、Fはフッ素原子であり、xは0〜4の整数であり、mは0又は1である。また、nは重合度を表し、R1は前記式(1)と同様である。)
【0033】
【化22】
【0034】
(式中、Fはフッ素原子であり、zは0〜4の整数であり、pは0又は1である。R2は2価の芳香族基である。)
また、上記の一般式(2)および一般式(4)において、2価の芳香族基(R2)は、下記式(5)からなる群から選ばれる少なくとも1種の基であることが好ましい。
【0035】
【化23】
【0036】
このような好ましいポリアリールエーテルケトンの具体例としては、以下の一般式(6)、一般式(7)、一般式(8)または一般式(9)で表されるようなものが挙げられる。これらの式中、nは重合度を表している。
【0037】
【化24】
【0038】
【化25】
【0039】
【化26】
【0040】
【化27】
【0041】
ポリエーテルニトリルでは特にポリアリールエーテルニトリルが良く、その中でも主鎖の繰り返し単位中に少なくとも一つのフッ素原子を有するものがよい。本発明でいうポリアリールエーテルニトリルとは、繰り返し単位中にエーテル基(−O−)とニトリル基(−CN)を有し、それらがアリール基で連結されているものを言い、一般式(10)で表される。
【0042】
【化28】
【0043】
(ただし、R3は二価の有機基、nは重合度を表す。)
このうち、好ましいものとしては、一般式(10)においてR3が二価の芳香族基のものである。このような好ましいものの具体例としては、下記の式(11)からなる群から選ばれる少なくとも一種の基が挙げられる。
【0044】
【化29】
【0045】
中でも、溶解性、透明性に優れている点から、一般式(12)で示されるポリアリールエーテルニトリルが好ましい。
【0046】
【化30】
【0047】
本発明で言う揮発速度とは、ある温度で溶剤を揮発させた時の初期の重量減少速度のことであり、実際に測定するにあたっては溶剤の入った容器を加熱し、一定時間ごとに重量を測定すればよい。尚、実際にフィルムを作製する場合には、溶剤の揮発速度は温度だけでなく炉の風量などにも左右されるため、これらの影響も考慮する必要がある。
【0048】
尚、揮発速度は溶剤の沸点にほぼ比例すると考えて良い。
【0049】
本発明において、ワニスの調製はポリマーを溶媒に溶解することにより行うことができる。一般に好ましいポリマー溶液濃度は1〜80wt%、さらに好ましくは2〜60wt%、特に好ましくは3〜50wt%であるが、使用する溶媒とポリマーの分子量、構造、塗工方式、目標とする膜厚により異なってくる。
【0050】
本発明では、溶剤はポリマーが溶解するものであれば特に制限なく用いることができる。例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;フェノール、パラクロロフェノール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、o−クレゾール、m−クレゾールなどのフェノール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼンなどの芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンなどのケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒;t−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオールなどのアルコール系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒;アセトニトリル、ブチロニトリルなどのニトリル系溶媒;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;あるいは二硫化炭素、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブなどを、単独あるいは混合して使用することが可能である。
【0051】
本発明のフィルムを得るための乾燥温度は、ポリマーや溶媒の種類等に応じて適宜選択され、一概に規定することはできないが、通常40℃以上400℃以下、好ましくは50℃以上300℃以下、さらに好ましくは60℃以上200℃以下である。塗膜の乾燥は、一定温度下において行っても良いし、段階的に温度を上昇させながら行っても良い。乾燥時間も適宜選択されるところではあるが、通常10秒以上30分以下、好ましくは30秒以上25分以下、さらに好ましくは1分以上20分以下である。
【0052】
ポリマー溶液が塗布される基板は、最終的に得られる光学フィルムが光学的に負の一軸性を示すフィルムとなる基板であれば特に限定されない。ガラス基板、プラスチックフィルム等のプラスチック基板、ステンレスベルトやステンレスドラム、銅箔等の金属基板等を用いることができる。中でも、偏光板との貼り合わせを考えると、プラスチック基板またはステンレスベルトやステンレスドラムを用いることが望ましい。可能であれば、偏光板に直接塗布しても良い。
【0053】
プラスチックフィルムとして、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)などのポリオレフィン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、セルロース系プラスチックス、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等から形成されるフィルムを挙げることができる。これらプラスチックフィルムは、光学的に等方性であっても、異方性であっても差し支えない。
【0054】
基板に使用されるプラスチックフィルムの中でも、耐溶剤性や耐熱性の観点からポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートの各フィルムが望ましい。基板となるプラスチックフィルムの厚みは、通常10μm以上、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上である。10μmより薄い場合は、基板の強度が弱いために製造時に切れてしまう等の問題が発生する恐れがある。
【0055】
本発明のフィルムを得るための塗布方法は、公知の方法をいずれも用いることができ、例えばスピンコート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、カーテンコート法、マイヤーバーコート法、ドクターブレード法、ナイフコート法、タイコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、オフセットグラビアコート法、リップコート法、スプレーコート法等を採用することができる。
【0056】
本発明の方法では、溶剤の揮発速度が速いほど高い負複屈折値を有するフィルムを得ることができる。この方法を用いることで、厚み0.1〜500μm、好ましくは0.3〜200μm、さらに好ましくは0.5〜100μmの光学フィルムで、負複屈折値が0.001〜0.6、好ましくは0.002〜0.6、さらに好ましくは0.004〜0.6の範囲の負複屈折性フィルムを、簡単に得ることができる。
【0057】
これらのポリマーは、フィルムの製造時、特に溶剤揮発時に自己配向過程を受けるために負複屈折を示すフィルムが得られるものと考えられている。従って、その自己配向過程に要する時間を制御することで、配向度及びそれに関連する負複屈折値を制御できるものと思われる。
【0058】
本発明の方法で製造したポリマーフィルムは、各種の光学フィルムとして用いることができる。光学フィルムは、フィルム単独または必要に応じて他の光学部材、例えば、他の屈折率構造を有する位相差フィルム、液晶フィルム、光散乱フィルム、回折フィルム、偏光フィルム(偏光板)、偏光子等と組み合せた積層体として、各種の光学用途、具体的には各種液晶表示素子の光学補償部材として利用することができる。例えば、工業的に製造されているヨウ素系や染料系の偏光子と、本発明の光学フィルムとを組み合わせ、偏光子の片面または両面に光学フィルムを積層することにより、液晶表示素子の複屈折性を補償、調整する機能を有する偏光板とすることができる。偏光子の片面に本発明の光学フィルムを積層する場合、偏光子の他方の面には通常の保護フィルムを積層することができる。
【0059】
ここでいう液晶表示素子には、例えばSTN(Super Twisted Nematic)セル、TN(Twisted Nematic)セル、IPS(In−Plane Switching)セル、VA(Vertical Alighned)セル、 OCB(Optically Alighned Birefringence)セル、HAN(Hybrid Alighned Nematic)セル、ASM(Axially Symmetric Alighned Microcell)セル、強誘電、反強誘電セルおよびこれらに規則正しい配向分割を行ったもの、ランダムな配向分割を行った物等の各種のセルが含まれる。光学フィルムが組み込まれる液晶表示素子は、単純マトリックス方式、TFT(Thin Film Transistor)電極やTFD(Thin Film Diode)電極等を用いたアクティブマトリックス方式、プラズマアドレス方式等のいずれの駆動方式であってもよい。
【0060】
また、光学フィルムは、バックライトシステムを備えた透過型・半透過型の液晶表示素子や、反射板を備えた反射型の液晶表示素子、さらには投写型の液晶表示素子等にも組み込むことができる。液晶表示素子における光学フィルムの設置箇所は、特には限定されないが、通常は偏光板と駆動セルとの問であって、駆動セルの上側および/または下側の位置に、一枚若しくは複数枚の光学フィルムを配置するのが一般的である。この場合、光学フィルムは、屈折率構造が異なる位相差フィルム、液晶フィルム、回折フィルム、光散乱フィルム、レンズシート等と組み合わせて設置することも可能である。
【0061】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。また、特に言及しない限り、「%」は「質量%」を意味する。
【0062】
(参考例1)
トルエン、シクロヘキサノン、2−メチルペンタノン、アセトン、酢酸エチルをアルミカップに2.0gずつ量り取り、100℃のホットプレート上に置いて溶剤の重量を一定時間ごとに測定した。始めの20秒間の溶剤の重量減少量から揮発速度(g/sec)を算出した。その結果、これらの溶剤の揮発速度は表1のようになり、アセトン>酢酸エチル>トルエン>メチルペンタノン>シクロヘキサノンの順に速いことがわかった。
【0063】
【表1】
【0064】
(実施例1)
下記の構造式(化31)で示されるポリイミド(Mw=210,000)を、シクロヘキサノン及び2−メチルペンタノンに溶解し、10wt%のワニスA及びワニスBを調製した。これらのワニスをガラス板上にスピンコートし、210℃で15分間乾燥してフィルムA、Bを得た。フィルムの負複屈折率(Δn)は表2の通りであり、揮発速度が速い2−メチルペンタノンを用いて調製したワニスから作製したフィルムの方が高いΔn値を得ることができた。
【0065】
【化31】
【0066】
【表2】
【0067】
(実施例2)
下記の構造式(化32)で表されるポリエーテルケトン(Mw=540,000)を、トルエン、2−メチルペンタノン、酢酸エチルに溶解し、10wt%のワニスC、ワニスD、ワニスEを調製した。これらのワニスをガラス板上にスピンコートし、150℃で15分間乾燥してフィルムC、D、Eを得た。フィルムのΔnは表3の通りであり、揮発速度が速い酢酸エチルを用いて調製したワニスから作製したフィルムの方が高いΔn値を得ることができた。
【0068】
【化32】
【0069】
【表3】
【0070】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明によれば、主鎖の繰り返し構造単位中に少なくとも一つのフッ素原子を有するフッ素化ポリアリールエーテルケトンから形成される負複屈折値を有するポリマーからキャスト法によりフィルムを作製する際、非常に簡便に負複屈折値を制御することができる。そのため、所望の負複屈折値を得るために複雑な構造のポリマーを合成する必要がなく、種々のポリマーに適用することができる。また、フィルム薄膜化のために精密延伸を行う等の高度な技術を要さず、きわめて簡単に薄膜フィルムを得ることができるので、工業上極めて有用である。
Claims (10)
- ポリアリールエーテルケトンから形成される負複屈折性を有するポリマーフィルムにおいて、揮発速度の異なる溶剤を用いて調製したワニスからフィルムを作製することにより負複屈折率を制御し、
前記ポリアリールエーテルケトンが、主鎖の繰り返し構造単位中に少なくとも一つのフッ素原子を有するフッ素化ポリアリールエーテルケトンであることを特徴とする液晶表示素子用の負複屈折性フィルムの製造方法。 - 負複屈折率値が0.001〜0.6の範囲である、請求項1に記載の負複屈折性フィルムの製造方法。
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