JP4007708B2 - 真空紫外レーザ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空紫外領域のレーザ光を発振する真空紫外レーザに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、真空紫外領域と呼ばれる約20nm〜200nm程度の波長を有する真空紫外光を発振させる真空紫外レーザが知られており、例えばArFレーザ(193nm)やF2レーザ(157nm)等がある。このような真空紫外レーザは、主としてレーザリソグラフィ等の精密加工に使用される。
【0003】
図7は、従来技術に係るF2レーザの構成図を表しており、以下同図に基づいて従来技術を説明する。
同図において、F2レーザ1は、レーザガスを封入してその内部で放電を起こし、真空紫外領域のレーザ光11を発振させるレーザチャンバ2と、このレーザチャンバ2から発振されるレーザ光11を狭帯域化する(即ち、レーザ光11の中心波長を安定させ、かつ波長のスペクトル幅を狭くする)狭帯域化ユニット10と、狭帯域化されたレーザ光11の波長特性(中心波長及びスペクトル幅)及びパワーを測定する波長測定装置3とを備えている。
【0004】
レーザチャンバ2の内部には、レーザガスとして例えばフッ素(F2)とヘリウム(He)とが所定の圧力比で封入されており、その所定位置には1組の放電電極5,5が設置されている。この放電電極5,5間に図示しない高圧電源より高電圧を印加することにより、約157nmの波長を有するレーザ光11を発振させている。
また、レーザチャンバ2は、その前端部(図中右端部)と後端部に、フロントウィンドウ7及びリアウィンドウ9(以後ウィンドウ7,9と総称する)を備えている。発振したレーザ光11は、リアウィンドウ9を透過してレーザチャンバ2から出射し、レーザチャンバ2の外部後方(図中左方)に配置された狭帯域化ユニット10に入射して狭帯域化される。狭帯域化されたレーザ光11は、レーザチャンバ2を通過し、その一部が外部前方に設けられたフロントミラー8を部分透過して、加工機15に入射する。
このとき、フロントミラー8から出射したレーザ光11は、波長測定装置3でその一部をサンプリングされ、波長特性及びパワーを計測されている。
【0005】
発振したレーザ光11は真空紫外光であり、空気中の酸素や水蒸気に非常によく吸収されるため、空気中を通ることによってパワーが減衰する。また、酸素に真空紫外光が照射されることにより、オゾン(O3)が発生し、光学部品の汚損を招く。さらに、空気中に含まれる有機物が光路に混入すると、この有機物が光学部品に付着し、光学部品の汚損を招く。
このようなパワーの減衰や光学部品の汚損を防止するため、レーザ光11の光路から空気を遮断し、酸素、水蒸気、有機物等の不純物が混入しないようにする技術が知られている。
即ち、同図に示すように、レーザ光11の光路は、波長測定装置3を覆う波長ボックス13、狭帯域化ユニット10を覆う狭帯域化ボックス14、及びこれらを接続するカバー22,22等からなる光路カバー13,14,22で覆われている。また、これらの光路カバー13,14,22の接続部にはOリング溝24が設けられ、その内部にはOリング25が嵌挿されて、光路カバー13,14,22内部の光路空間21を密封している。そして、光路カバー13,14,22にはパージ配管30が接続され、パージボンベ26から例えばN2等の不活性ガスをパージして、光路空間21への空気の混入を防止している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来技術には、次に述べるような問題点がある。
【0007】
即ち、前述したように、レーザ光11は不純物に吸収されるため、パージされる不活性ガスの中に不純物が混入していると、譬えその量が微量であっても、パワーが減衰する。これを防ぐためには、パージボンベ26に充填される不活性ガスの純度を高くしなければならない。光路空間21への不純物の混入を避けるためには、常に一定量の不活性ガスをパージし続けなければならず、不活性ガスの消費に伴い、ランニングコストが上昇するという問題がある。
【0008】
また、従来技術においては、パージ配管30の内部やパージ配管30を接続する継手(図示せず)に水分や有機物等の不純物が付着していたとしても、これらの不純物の不活性ガス中への混入を防止するすべがないという問題がある。
【0009】
また、Oリング25は、材質が高分子材料であるため、微量の酸素や水蒸気を透過する。光路空間21内に微量の酸素や水蒸気が混入すると、前述したパワー減衰や光学部品の汚損の原因になるという問題がある。
【0010】
本発明は、上記の問題点に着目してなされたものであり、発振したレーザ光の減衰及び光学部品の汚損を防止する真空紫外レーザを提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
上記の目的を達成するために、第1発明は、レーザ光の通過する光路空間を覆う光路カバーと、光路カバーに設けられたOリング溝と、Oリング溝の内部に嵌挿されたOリングとを備え、真空紫外領域のレーザ光を発振させる真空紫外レーザにおいて、前記Oリング溝よりも外気側にトラップ収納部を設け、このトラップ収納部の内部に、酸素及び水蒸気の少なくともいずれか一方を除去する不純物トラップを収納している。
【0012】
第1発明によれば、Oリング溝よりも外気側に不純物トラップを備え、空気がOリングに接触する前に、不純物トラップによって空気から酸素及び水蒸気の少なくともいずれか一方の不純物を除去している。これにより、Oリングに接触する空気に含まれる酸素及び水蒸気の少なくともいずれか一方の不純物が少なくなるので、酸素又は水蒸気がOリングを通過して、光路空間やレーザチャンバの内部に混入することが少なくなる。従って、酸素又は水蒸気によるパワーの減衰や光学部品の汚損が起きにくく、真空紫外レーザを長期にわたって、安定に稼働させることが可能である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照しながら、本発明に係る実施形態を詳細に説明する。尚、各実施形態において、前記従来技術の説明に使用した図、及びその実施形態よりも前出の実施形態の説明に使用した図と同一の要素には同一符号を付し、重複説明は省略する。
【0016】
以下の実施形態では、真空紫外レーザの一例として、F2レーザを例にとって説明する。
まず、図1に基づいて、第1実施形態を説明する。図1は、本実施形態に係るF2レーザの構成断面図を示している。同図において、F2レーザ1は、レーザガスを封入し、その内部で放電を起こして真空紫外領域のレーザ光11を発振させるレーザチャンバ2と、このレーザチャンバ2から発振されるレーザ光11を狭帯域化する狭帯域化ユニット10と、狭帯域化されたレーザ光11の波長特性及びパワーを測定する波長測定装置3とを備えている。
【0017】
レーザチャンバ2は、その前端部と後端部に、略円筒形のウィンドウホルダ6,6をそれぞれ備え、それらの先端に、それぞれ所定の角度でフロントウィンドウ7及びリアウィンドウ9を固定している。
レーザチャンバ2の内部には、レーザガスとして例えばフッ素(F2)とヘリウム(He)とが所定の圧力比で封入されており、所定位置には1組の放電電極5,5が設置されている。この放電電極5,5間に、図示しない高圧電源から高電圧を印加することにより、放電によってレーザガスを励起し、約157nmの波長を有するレーザ光11を発振させている。
尚、一般にこのようなF2レーザ1において、高電圧はパルス状に印加され、レーザ光11はパルス発振する。
【0018】
レーザチャンバ2で発振したレーザ光11は、リアウィンドウ9を透過して、レーザチャンバ2の外部後方に設けられた狭帯域化ユニット10に入射する。
狭帯域化ユニット10は、例えば2個のプリズム32,32と、波長選択素子であるグレーティング33とを備えている。プリズム32,32によって拡大されたレーザ光11のうち、グレーティング33によって所定の波長特性のレーザ光11のみが入射光と同じ方向に折り返され、狭帯域化される。
狭帯域化されたレーザ光11は、狭帯域化ユニット10から出射してレーザチャンバ2を通過し、フロントウィンドウ7を透過する。フロントウィンドウ7を透過したレーザ光11の一部は、レーザチャンバ2の外部前方に設けられたフロントミラー8で部分反射されてレーザチャンバ2内に戻る。また、残りのレーザ光11は、フロントミラー8を部分透過して波長測定装置3に入射する。
【0019】
波長測定装置3は、入射したレーザ光11の光軸上に、ビームスプリッタ12を有している。レーザ光11は、このビームスプリッタ12によって一部を図中下方に反射され、サンプル光11Aとなる。また、ビームスプリッタ12を透過したレーザ光11は、加工機15に入射し、その内部で精密加工を行なうための光源となる。
ビームスプリッタ12で下方に反射されたサンプル光11Aの一部は、第2のビームスプリッタ34で反射され、例えばフォトダイオード等を備えたパワー検出器35に入射してそのパワーを検出される。また、第2のビームスプリッタ34を透過したサンプル光11Aは、例えばエタロン等の分光手段を備えた波長検出器36に入射し、その波長特性を検出される。
狭帯域化ユニット10及び波長測定装置3は、それぞれ狭帯域化ボックス14及び波長ボックス13の内部に収納されている。狭帯域化ボックス14及び波長ボックス13は、それぞれレーザ光11の出入りする開口部14A,13Aを除いては密封構造となっている。
【0020】
以下の説明は、F2レーザ1の後方側(狭帯域化ボックス14側)のみについて行なうが、前方側(波長ボックス13側)もほぼ同様である。
狭帯域化ボックス14の一側面には、円筒状のカバー22の一端部に形成されたフランジ22Aが、図示しないボルトで固定されている。フランジ22Aの端面には、開口部14Aの外周に全周にわたってOリング溝24が形成されており、その内部にはOリング25が嵌挿されている。そして、このOリング25と狭帯域化ボックス14の一側面とが当接して光路空間21を密封している。
【0021】
また、レーザチャンバ2は、放電電極5,5間の放電から発生した熱によって、レーザ光11の光軸方向(図中左右方向)に膨張する。この膨張によって、狭帯域化ユニット10が押されて光軸がずれるのを避けるため、ウィンドウホルダ6は、狭帯域化ボックス14に固定されたカバー22に対して、光路空間21の密封を保ちながら光軸方向に摺動自在になっている。
即ち、略円筒状のウィンドウホルダ6の外周面上には、全周にわたってOリング溝24が設けられ、Oリング溝24の内部にはOリング25が嵌挿されている。ウィンドウホルダ6の外周には、略円筒状のカバー22が光軸方向に摺動自在に挿着され、このカバー22の内周面とOリング25との間で光路空間21を密封している。
【0022】
図2に、図1におけるP部の詳細断面図を示す。同図に示すように、Oリング溝24の外周部には、全周にわたってトラップ収納溝41が設けられている。このトラップ収納溝41の内部には、空気中の不純物を吸着する不純物トラップ42が収納されている。
【0023】
F2レーザ1のパワーを減衰させたり光路空間21内部の光学部品を汚損したりする不純物のうち、酸素及び水蒸気はOリング25を透過することがあり、このような不純物を含んだ空気がOリング25に触れないようにする必要がある。そのため、不純物トラップ42としては、1)酸素を吸着するジルコニア系合金やニッケル系触媒、2)水蒸気を吸着するゼオライト(例えばモレキュラーシーブ)等が有効である。
即ち、酸素又は水蒸気のうち、少なくともいずれか1種類を吸着する不純物トラップ42を、Oリング溝24より外気側に設けたトラップ収納溝41の内部に収納する。これにより、Oリング溝24内のOリング25に触れる空気中に含まれる不純物が、吸着されて除去される。従って、不純物がOリング25に触れることが少なくなり、Oリング25を透過して光路空間21内部に混入する不純物の量が少なくなる。
尚、酸素及び水蒸気の双方を除去するように、少なくとも2種類以上の不純物トラップ42,42をトラップ収納溝41の内部に収納するのが望ましい。
【0024】
図3に、Oリングに触れる不純物を減少させる手段の他の例として、図1のP部詳細断面図を示す。同図に示すように、Oリング溝24の外周部には、第2のOリング溝45が全周にわたって設けられ、その内部には第2のOリング46が嵌挿されている。これにより、Oリング25と第2のOリング46との間に閉じ込められた空気のみが、Oリング25に触れることになる。従って、不純物がOリング25に触れることが少なくなり、Oリング25を透過して光路空間21内部に混入する不純物の量が少なくなる。
【0025】
図4に、Oリング溝24近傍のトラップ収納溝41の他の例として、図1のP部詳細断面図を示す。同図に示すように、Oリング溝24の外周部には、不純物トラップ42を収納したトラップ収納溝41が設けられている。そして、このトラップ収納溝41の外周部には、第2のOリング溝45が全周に設けられ、その内部には第2のOリング46が嵌挿されている。
このように、不純物トラップ42の外周側を第2のOリング46で封止しているので、不純物トラップ42が、Oリング25と第2のOリング46との間に閉じ込められた空気から不純物を吸着すれば、新たに不純物を含んだ空気がOリング25に触れることがない。従って、不純物トラップ42が除去しなければならない不純物の量が、第2のOリング46が存在しない場合に比べて少なく、不純物トラップ42の不純物吸着能力が長期間にわたって保たれる。その結果、不純物トラップ42を交換する等のメンテナンスの間隔を延ばすことが可能となる。
【0026】
図5に、図1のQ部詳細断面図を示す。同図において、カバー22の外周面上には、Oリング溝24が全周にわたって設けられ、その内部にはOリング25が嵌挿されている。そして、Oリング溝24の外気側(図中右側)には、トラップ収納溝41が全周にわたって設けられ、その内部には不純物トラップ42が収納されている。
このように、カバー22とウィンドウホルダ6との接続部に設けられたOリング溝24の外気側にも、不純物を除去する不純物トラップ42を備えており、ここから光路空間21に不純物が混入するのを防止している。
【0027】
さらには、このような不純物トラップ42の配置は、カバー22,22と、狭帯域化ボックス14及びウィンドウホルダ6との接続部をそれぞれ密封するOリング25,25の外気側のみに限られるものではない。即ち、光路カバー13,14,22を封止する、図示しない他のOリングに関しても同様に、その外気側に不純物トラップ42を配置するのがよい。これにより、光路空間21への不純物の混入が防止されるので、不純物によるパワーの減衰や光学部品の汚損が起きにくく、真空紫外レーザを長期にわたって安定に稼働させることが可能である。
【0028】
また、図1において、光路空間21には、窒素(N2)等の不活性ガスが充填されたパージボンベ26と、パージバルブ27と、パージ配管30とを有するパージ手段が、パージ口39を介して接続されている。
このパージ配管30のパージ口39近傍には、不純物を除去するトラップ装置47が接続されている。不活性ガスは、このトラップ装置47を通過して光路空間21内に導入されるので、不純物が除去された清浄な不活性ガスをパージできる。
【0029】
上述したように、酸素、水蒸気又は有機物等の不純物が光路空間21に混入すると、パワー減衰や光学部品の汚損の原因となる。そのため、トラップ装置47としては、上記の1)酸素を吸着するジルコニア系合金やニッケル系触媒、2)水蒸気を吸着するゼオライトに加え、3)有機物を吸着する活性炭等の不純物トラップ42を密閉容器内に収納したものが有効である。
また、これらのトラップ装置47に加え、水蒸気を除去するトラップ装置として、4)低温トラップ装置も有効である。低温トラップ装置は液体窒素等で冷却する低温槽を備えており、特に水蒸気を凍らせて効率的に吸着することができる。また、低温槽の温度を上げることにより、吸着した水蒸気を外気に排出することができるので、長期間にわたって水蒸気の吸着能力を保つことが可能である。
【0030】
これらのトラップ装置47のうち、少なくともいずれか1種類をパージ配管30に接続することにより、パージ配管30やパージボンベ26中の不活性ガスに含まれる不純物が、光路空間21の内部に混入するのを防止できる。尚、酸素、水蒸気及び有機物をすべて除去できるように、上記1)〜3)の不純物トラップ42を同一の密閉容器内に収納するか、又は酸素、水蒸気及び有機物をそれぞれ除去可能な各トラップ装置47を直列に接続するのが最も好ましい。
【0031】
以上説明したように、光路カバー(本実施形態によれば、波長ボックス13、狭帯域化ボックス14、及びカバー22)で覆われた光路空間21は、Oリング25で密封されている。そして、本実施形態によれば、このOリング25が嵌挿されたOリング溝24の外気側にトラップ収納溝41を設け、このトラップ収納溝41の内部に空気中の不純物(実施形態によれば、酸素又は水蒸気の少なくともいずれか1つ)を除去する不純物トラップ42(実施形態によれば、ジルコニア系合金、ニッケル系触媒、又はゼオライト)を収納している。
これにより、Oリング25に接触する空気から酸素又は水蒸気を除去しているので、これらがOリング25を透過して光路空間21の内部に混入することが少ない。従って、不純物によるパワーの減衰や光路空間21内の光学部品の汚損が起きにくい。
さらに、酸素及び水蒸気の双方を吸着する不純物トラップ42,42を、不純物収納溝41の内部に収納しているので、パワーの減衰や光学部品の汚損を招く不純物が光路空間21内に殆んど混入せず、真空紫外レーザを長期にわたって安定に稼働させることができる。
【0032】
また、Oリング25,46を二重にしているので、Oリング25と第2のOリング46との間に閉じ込められた空気のみが、Oリング25に触れることになり、Oリング25に触れる不純物の量が少なくなる。従って、Oリング25を透過する不純物が少なくなり、光路空間21内に不純物が混入するのを防止することができる。
【0033】
また、Oリング25,46を二重にして、その間に不純物トラップ42を配置しているので、Oリング25と第2のOリング46との間に閉じ込められた空気のみが、Oリング25に触れることになる。不純物トラップ42は、この閉じ込められた空気から不純物を吸着すれば、新たに不純物を含んだ空気がOリング25に触れることがない。従って、除去しなければならない不純物の量が、第2のOリング46が存在しない場合に比べて少なく、不純物トラップ42が、長期間にわたって不純物吸着能力を保つことが可能である。その結果、不純物トラップ42を交換する必要がなく、メンテナンス間隔を延ばすことが可能となる。
【0034】
また、トラップ装置47により、光路空間21内にパージする不活性ガスから、不純物を除去している。これにより、パージ配管30の内部に付着したり、パージボンベ26に混入したりしている不純物が、光路空間21内に混入することが少なくなる。従って、不純物によるパワーの減衰や光学部品の汚損が起きにくく、真空紫外レーザを長期にわたって、安定に稼働させることが可能である。
また、パージボンベ26中の不活性ガスの純度を上げることなしに、清浄な不活性ガスを光路空間21内に導入可能であり、パージ時の不活性ガスの消費コストが低減される。
さらには、トラップ装置47をパージ口39近傍に配置しているので、トラップ装置47と光路空間21との距離が短い。そのため、トラップ装置47と光路空間21との間のパージ配管30中に付着している不純物が少なく、この不純物が光路空間21内に混入する量を少なくすることができる。
【0035】
また、レーザ光11のパワーの減衰や光学部品の汚損の原因として最も大きな影響を及ぼす不純物である、酸素、水蒸気、又は有機物の少なくともいずれか1つを不活性ガスから除去するようにしている。これにより、パワーの減衰や光学部品の汚損を効率的に防止できる。さらに、これらの不純物すべてを除去することにより、真空紫外レーザを長期にわたって安定に稼働させることが可能である。
尚、以上の説明では、不純物トラップ42を収納するトラップ収納部として、トラップ収納溝41を例にとって説明したが、このようなトラップ収納部は、必ずしも溝の形状を有している必要はない。また、トラップ収納部が、Oリング25の外気側を全周にわたって取り巻いている必要はない。
【0036】
次に、第2実施形態を説明する。第2実施形態に係るF2レーザ1の外観は、図7に示したものと同様であり、重複する説明は省略する。
【0037】
第2実施形態では、図7に示したF2レーザ1において、光路空間21を密封するためのOリング25に代えて、光路カバー13,14,22に設けられたOリング溝24の内部に金属ガスケット43を嵌挿している。図6に、図1におけるP部と略同一箇所の詳細断面図を示す。金属ガスケット43は、例えばアルミニウムや銅等の軟らかな金属で構成されている。同図に示すように、この金属ガスケット43を、Oリング溝24と狭帯域化ボックス14の側面との間で圧迫することによって潰し、光路空間21を密封している。
【0038】
即ち、本実施形態によれば、光路空間21を覆う光路カバー13,14,22を、金属ガスケット43で密封している。この金属ガスケット43は、酸素、水蒸気、或いは有機物等の不純物を透過することが少ないので、光路空間21にこれらの不純物が混入することが少ない。従って、不純物によるパワーの減衰や光学部品の汚損が起きにくく、真空紫外レーザを長期にわたって、安定に稼働させることが可能である。
【0039】
以上説明したように、本発明によれば、光路空間21を覆う光路カバー13,14,22を密封するOリング25に、空気中の不純物が触れるのを防止している。これにより、Oリング25を空気中の不純物が透過することが少なくなるため、光路空間21内への不純物の混入を防止できる。従って、レーザ光11のパワーの減衰が少なく、また、光路空間21内の光学部品の汚損も少ない。
また、光路空間21をパージするパージ配管30の途中にトラップ装置47を設け、不活性ガス中の不純物を除去している。これにより、常に清浄な不活性ガスが光路空間21にパージされるので、光路空間21内の不純物を減少させることができる。従って、レーザ光11のパワーの減衰が少なく、また、光路空間21内の光学部品の汚損も少ない。
【0040】
また、光路空間21を覆う光路カバー13,14,22を、金属ガスケット43で密封しているので、不純物がこの金属ガスケット43を透過することが少なく、光路空間21に混入する量も少ない。従って、レーザ光11のパワーの減衰が少なく、また、光路空間21内の光学部品の汚損も少ない。
【0041】
尚、各実施形態では、真空紫外レーザとしてグレーティング33によって狭帯域化されたF2レーザを例にとって説明したが、狭帯域化のための波長選択素子は、グレーティング33に限らず、例えばエタロンや分散プリズムでもよい。さらに、狭帯域化されたレーザに限られるものではなく、狭帯域化ユニット10に代えてリアミラー等を配置してもよい。
また、本発明はF2レーザに限らず、前述したArFエキシマレーザ等の真空紫外光を発振する真空紫外レーザすべてにおいて適用可能である。即ち、放電以外の手段(例えばレーザビーム等)によって励起されるガスレーザや、ガスレーザ以外の真空紫外レーザに対しても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係るF2レーザの構成断面図。
【図2】図1のP部詳細断面図。
【図3】図1のP部詳細断面図。
【図4】図1のP部詳細断面図。
【図5】図1のQ部詳細断面図。
【図6】第2実施形態に係る金属ガスケットの詳細断面図。
【図7】従来技術に係るF2レーザの構成断面図。
【符号の説明】
1:F2レーザ、2:レーザチャンバ、3:波長測定装置、4:レーザコントローラ、5,5:放電電極、6:ウィンドウホルダ、7:フロントウィンドウ、8:フロントミラー、9:リアウィンドウ、10:狭帯域化ユニット、11A:サンプル光、11:レーザ光、12:ビームスプリッタ、13:波長ボックス、14:狭帯域化ボックス、15:加工機、21:光路空間、22:カバー、23:パージコントローラ、24:Oリング溝、25:Oリング、26:パージボンベ、28:真空ポンプ、29:真空バルブ、30:パージ配管、31:真空配管、32:プリズム、33:グレーティング、34:ビームスプリッタ、35:パワー検出器、36:波長検出器、41:トラップ収納溝、42:不純物トラップ、43:金属ガスケット、45:第2のOリング溝、46:第2のOリング、47:トラップ装置。

Claims (1)

  1. レーザ光(11)の通過する光路空間(21)を覆う光路カバー(13,14,22)と、光路カバー(13,14,22)に設けられたOリング溝(24)と、Oリング溝(24)の内部に嵌挿されたOリング(25)とを備え、真空紫外領域のレーザ光(11)を発振させる真空紫外レーザ(1)において、
    前記Oリング溝(24)よりも外気側にトラップ収納部(41)を設け、
    このトラップ収納部(41)の内部に、酸素及び水蒸気の少なくともいずれか一方を除去する不純物トラップ(42)を収納した
    ことを特徴とする真空紫外レーザ(1)。
JP04720299A 1999-02-24 1999-02-24 真空紫外レーザ Expired - Fee Related JP4007708B2 (ja)

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