JP4007567B2 - 多色反射板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、反射型液晶表示装置のカラー表示化に好適な液晶ポリマーからなる多色反射板とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
反射型液晶表示装置は、透過型液晶表示装置と比較するとバックライトが不要であるという大きな特徴を有し、従って、表示装置が薄く、軽くすることが可能であり、しかもバックライトに必要な電力消費を削減することができる。かかる特徴は、液晶表示装置を備え、電源の容量が限られた携帯用の機器類、特に携帯用のノートパソコンの表示装置としての利用価値が大きい。
【0003】
この反射型液晶表示装置においては、透過型液晶装置に準じてカラー表示化を達成することが要求されており、これまでは透過型液晶表示装置で使用のカラーフィルターを用いたカラー化技術が使用されていた。しかるに、かかるカラー反射型液晶表示装置では表示が暗くなって視認性に乏しいものであることから、別個のカラー化技術が求められている。
【0004】
このような、反射型液晶表示装置における新たなカラー化技術としては、液晶の複屈折による着色変化(ECBモード)を利用したものが提案されている。しかしながら、表示色やその色数が限定されて多色カラー性に乏しく、また色純度にも劣って鮮明性に乏しい難点があった。
【0005】
一方、低分子量の液状コレステリック液晶による選択反射性を利用したカラー化技術も提案されている(J.Phys.D:Appl.Phys.,vol.8,1441;1975)。しかしながら、液状の液晶を用いるためガラス基板間等に挟持した構造とする必要があって重くて厚いものとなり、反射型の液晶表示装置には不向きであると共に、液晶の流動性が色区画の固定性を低下させ、また熱により色特性が変化しやすいという問題があった。
【0006】
他方、リオトロピック型の液晶ポリマーをモノマーに溶解させてそれを温度制御下に活性光線を使用して重合固定化したフィルムも提案されている(特開昭59−83113号公報)。しかしながら、この技術では、色制御を温度によって行う必要があること、また液晶ポリマーがリオトロピック性のためにフィルム形成時に基板挟持構造とすることが必要であること等のため、赤色領域、緑色領域、青色領域等の色区画を微細化することが困難であると共に大面積化や量産化も困難であった。
【0007】
また、従来のシッフ塩基含有コレステリック液晶ポリマーに光酸発生剤を添加し、紫外線等の活性光線の照射にて光学活性基の含有量を制御する技術が提案されている。しかし、色制御を行うための活性光線の照射において、多色反射板に応用する上で十分な多色化を行うためには、極めて大量の活性光線を露光する必要があって、エネルギーコスト的にも好ましくなく、またそのような大量の露光ではコレステリック液晶ポリマー自身にまで損傷が及ぶことが多く、量産化および品質の点でも好ましくない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、表示色や色数の制御が容易で色純度に優れ、反射型液晶表示装置における鮮明で豊富な多色カラーによる明るくて良視認性の表示を達成でき、かつ基板挟持構造の必要を回避できて軽くて薄く、色区画の固定性に優れて色特性が実用温度で変化しにくく、大面積化や量産が容易な光学素子を効率よく製造することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、光学活性基含有モノマーを一成分とする共重合体であるコレステリック液晶ポリマーがグランジャン配向して形成され、前記光学活性基の有効成分含有量の相違に基づいて反射波長の異なる反射領域が形成された非流動層を有する多色反射板の製造方法であって、前記非流動層を活性物質に複数回繰り返し暴露する工程を含み、かかる工程により前記光学活性基の有効成分含有量を制御することを特徴とする多色反射板の製造方法に関するものである。
【0010】
〔発明の効果〕
コレステリック液晶ポリマーを複数回に分けて活性物質に暴露することで、過分な活性物質や処理時間を省くことができ、活性物質を液晶ポリマーと混和する必要が無いので液晶ポリマーとの相溶性や、溶媒を使う場合の溶媒に対する溶解性などの制限を受けることが無く、従来のように活性光線を照射する必要が無いのでこれに必要なエネルギーを節約でき、これに加えて活性光線の照射や活性物質の混和による液晶ポリマーの配向性に対する悪影響や液晶ポリマー自身へ与える損傷を抑えることができる。また、基板で挟持する必要を回避できて軽さと薄さに優れるものとすることができ、色区画の固定性に優れて色特性が実用温度で変化しにくく大面積の多色反射板も容易に量産することができる。さらに、モノマー成分に基づく光学活性基の多少で反射波長の異なる領域が形成されることより、色区画の微細化、表示色や色数の制御が容易であり、色純度に優れて鮮明で豊富な多色カラーの、明るくて良視認性の高効率・高品質の反射型液晶表示装置を得ることができる。
【0011】
なお、本発明にいう光学活性基の有効成分の含有量の変化は、単なる計算上の含有量の変化のみでなく、光学活性基の構造の変化により選択反射波長がシフトする効果が得られる場合も含むものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明において、コレステリック液晶ポリマーとしては、光学活性基含有のモノマー成分をネマチック性の液晶モノマーとの共重合体の状態で有するもの、すなわち、光学活性基含有のモノマー成分に基づいてコレステリック液晶性を示し、そのグランジャン配向の螺旋軸に対して平行に入射する自然光の内、ある特定の波長の光の約半分を右(又は左)円偏光として反射し、残りの約半分を左(又は右)円偏光として透過する特性を示すものは、特に限定されることなく使用することができる。
【0013】
上記の波長λは、式:λ=n・pで決定される(式中、nは液晶の平均屈折率、pはコレステリック相の螺旋ピッチである)。また反射円偏光の左右は、コレステリック相の螺旋状態で決定され、螺旋の旋回方向と一致する。
【0014】
ちなみにネマチック性の液晶モノマーとしては、下記の一般式〔化1〕にて表される化合物が例示される。
【0015】
【化1】
ただし、R1 は水素またはメチル基、mは1〜6の整数、X1 はエステル結合(COO基またはOCO基)であり、pおよびqは1または2で、かつp+q=3を満足する。
【0016】
一方、光学活性基含有モノマーとしては、下記の一般式〔化2〕で表されるものなどが挙げられる。
【0017】
【化2】
ただし、R2 は水素またはメチル基、nは1〜6の整数、X2 はエステル結合である。また、R3 は下記〔化3〕で表される7種の置換基から選択される置換基である。
【0018】
【化3】
なお、〔化3〕におけるR4 は〔化4〕に表される4種の置換基から選択され、R5 はメチル基、フェニル基、メトキシカルボニル基から選択され、R6 はメチル基、ベンジル基、t−ブチル基から選択される置換基である。
【0019】
【化4】
前記の一般式〔化1〕、一般式〔化2〕で表されるアクリル系モノマーは、公知の方法で合成することができる。具体例として、式(a1)で表されるアクリル系モノマーの合成例を下記〔化5〕に示した。
【0020】
【化5】
上記〔化5〕に示した反応について説明する。まずエチレンクロロヒドリンと4−ヒドロキシ安息香酸を、ヨウ化カリウムを触媒としてアルカリ水溶液中で加熱還流させてヒドロキシカルボン酸を得た後、そのヒドロキシカルボン酸をアクリル酸またはメタクリル酸と脱水反応させて(メタ)アクリレートとし、その(メタ)アクリレートを4−シアノ−4’−ヒドロキシビフェニルにてDCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)とDMAP(ジメチルアミノピリジン)の存在下にエステル化することにより目的物の(a1)を得ることができる。
【0021】
また、式(b1)で表されるアクリル系モノマーの具体的な合成例を下記〔化6〕に示した。
【0022】
【化6】
上記〔化6〕に示した反応について説明する。まずヒドロキシアルキルハライドと4−ヒドロキシ安息香酸を、ヨウ化カリウムを触媒としてアルカリ水溶液中で加熱還流させてヒドロキシカルボン酸を得た後、このヒドロキシカルボン酸をアクリル酸またはメタクリル酸と脱水反応させて(メタ)アクリレートとし、その(メタ)アクリレートを、4位に不斉炭素基を有するフェノールにてDCCとDMAPの存在下にエステル化することにより目的物の(b1)を得ることができる。
【0023】
なお4位に不斉炭素基を有するフェノールは、例えば下記〔化7〕の如く、4−ヒドロキシベンズアルデヒドと(S)−(−)−1−フェニルエチルアミンをトルエン中で共沸脱水することにより得ることができる。
【0024】
【化7】
従って一般式〔化1〕、一般式〔化2〕で表される他のアクリル系モノマーも、目的の導入基を有する適宜な原料を使用して上記の方法に準じて合成することができる。
【0025】
共重合体の調製は、例えばラジカル重合方式、カチオン重合方式、アニオン重合方式などの公知のアクリル系モノマーの重合方式に準じて行うことができる。なおラジカル重合方式を適用する場合、各種の重合開始剤を用いうるが、そのうちアゾビスイソブチロニトリルや過酸化ベンゾイルなどの分解温度が高くもなく、かつ低くもない中間的温度(60〜120℃程度)で分解するものが好ましく用いられる。
【0026】
液晶ポリマー(共重合体)は、光学活性基を含有するモノマー単位の含有率に基づいてコレステリック液晶のピッチが変化し、反射波長は当該ピッチで決定されることより、前記含有率の制御で反射波長に基づく色を調節することができる。なお当該含有率が高いほどピッチが小さくなり、反射光が短波長側にシフトする。一方、当該含有率が過多では液晶性に乏しくなり、過少ではコレステリック液晶性に乏しくなる傾向にある。
【0027】
従って、前記の反射波長調節性やコレステリック液晶性等の点より好ましく用いうる液晶ポリマーは、ネマチック性の液晶モノマーの1種または2種以上と、光学活性基を含有するモノマーの1種または2種以上とを光学活性基含有モノマーの共重合割合が50〜3モル%、好ましくは45〜5モル%であり、特に40〜10モル%となるように共重合したものが好ましい。
【0028】
上記のモノマーを重合させて、液晶ポリマーを製造する共重合の方法は、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等のいずれであってもよい。
【0029】
液晶ポリマーの分子量は、重量平均分子量に基づき2k〜100kであることが好ましい。2k未満では非流動層としての成膜性に乏しくなり、100kを超えると液晶としての配向性、特にラビング配向膜等を介したモノドメイン化に乏しくなって均一な配向状態を形成しにくくなる。安定した成膜性と配向状態を得ることができる点で、特に2.5k〜50kであることが好ましい。
【0030】
液晶ポリマーは、その1種、または2種以上を混合して多色反射板の形成に用いることができる。得られる多色反射板の耐久性や、ピッチ等の配向特性の実用時における温度変化などに対する安定性、ないし無変化性などの点よりガラス転移温度が80℃以上の液晶ポリマーが好ましく使用される。
【0031】
液晶ポリマーからなるグランジャン配向の非流動層の形成は、従来の配向処理に準じた方法で行いうる。その具体的な例としては、基板上にポリイミドやポリビニルアルコール等からなる配向膜を形成してそれをレーヨン布等でラビング処理した後、その上に液晶ポリマーを展開してガラス転移温度以上、等方相転移温度未満に加熱し、液晶ポリマー分子がグランジャン配向した状態でガラス転移温度未満に冷却してガラス状態とし、当該配向が固定化された固化層を形成する方法等が挙げられる。処理効率の点より、ガラス転移温度よりも30〜70℃、特に、約50℃高い温度に加熱して配向処理することが好ましい。
【0032】
前記の基板としては、例えばトリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアリレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、エポキシ系樹脂等の樹脂を原料としたフィルム、あるいはガラス板などの適宜なものが使用される。基板上に形成した液晶ポリマーの非流動層は、基板との一体物としてそのまま多色反射板の形成に使用してもよく、また基板より剥離してフィルムなどからなる多色反射板の形成に用いることもできる。
【0033】
液晶ポリマーの展開は、加熱溶融方式によってもよいし、溶剤による溶液として展開することもできる。溶液として展開する際に使用する溶剤としては、例えば塩化メチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、N‐メチルピロリドンが例示され、使用する液晶ポリマーに応じて適宜選択して単独でもしくは2種以上を混合して使用することができる。展開は、バーコーター、スピナー、ロールコーターなどの公知の塗工機を適宜選択して行うことができる。
【0034】
形成する液晶ポリマーの非流動層の厚さは、薄すぎると選択反射特性(色特性)を示しにくくなり、厚すぎると均一配向性に劣って選択反射特性を示さなかったり、配向処理に長時間を要することなどより、0.5〜20μm、特に1〜10μmであることが好ましい。なお多色反射板の形成に際しては、当該液晶ポリマー以外のポリマーや安定剤、可塑剤などの無機化合物、有機化合物、金属やその化合物などの1種以上の添加剤を必要に応じて配合することができる。
【0035】
本発明の多色反射板の製造方法は、上記のように液晶ポリマーを展開固化させてなる非流動層における光学活性基の有効成分含有量の相違に基づいて反射波長の異なる領域を形成するためのものである。すなわち、螺旋ピッチの制御に寄与する有効な光学活性基の含有量を調節して、その含有量の相違により反射波長の異なる領域を形成するものである。
【0036】
従って多色反射板の形成は、有効に機能する光学活性基の含有量を相違させることで達成できる。各色領域(色区画)の微細性や量産性、大面積物の容易形成性や色の制御性ないし再現性などの点より好ましい形成方式は、液晶ポリマーに活性物質の暴露によりその光学活性基が変性ないし失活するものを使用し、所定の配色パターンを形成したマスク等を使用して活性物質を複数回繰り返し暴露する方式である。
【0037】
前記において、光学活性基の変性ないし失活とは、光学活性基の結合基の切断や構造変化、異性化や転移などにより光学活性基がグランジャン配向における螺旋ピッチの形成に有効に寄与しない状態となることを意味する。従って本発明にいう活性物質とは、光学活性基の結合基を変性ないし失活させうる物質を意味し、具体的には、例えば光学活性基を液晶ポリマーに結合する結合基がシッフ塩基であれば酸性の液体ないし酸性の気体が使用される。
【0038】
一方、活性物質の暴露により光学活性基の連結基が変性ないし失活する液晶ポリマーとしては、上記した一般式〔化2〕で表されるモノマーを一成分として共重合したものなどが挙げられる。その場合、一般式〔化2〕におけるR3 が−CH=N−構造を有するシッフ塩基では、酸性液体または気体の暴露で光学活性基の結合基を切断でき、この切断は不可逆であることより状態の安定性に優れ、その結果多色反射板の変色防止性に優れている。一般式〔化2〕のR3 を例示した〔化2〕の置換基は、いずれもシッフ塩基、ウレタン結合、カーボネート結合を有している。
【0039】
前記において、酸性物質としては、例えば塩酸や硫酸などの無機酸、カルボン酸類やシアン酸類、スルホン酸類などの有機酸の適宜なものを用いうる。就中、取扱の容易さや液晶配向への無影響性などの点より、塩酸やカルボン酸類、スルホン酸類の使用が特に好ましい。
【0040】
前記したカルボン酸類の具体例としては、ぎ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、安息香酸、トルイル酸、フタル酸などが挙げられ、またスルホン酸類の具体例としては、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸などが挙げられる。これらの酸性物質は2種以上を併用してもよい。
【0041】
これらの酸性物質の溶媒としては、これを容易に溶かしうるもので、液晶ポリマーおよび基材に対する溶解性が低いものまたは溶解しないものは限定なく使用でき、例えば水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等が例示される。これらの溶剤も必要に応じて2種以上を併用してもよい。
【0042】
液体の酸性物質を使用して処理を行う方法は、公知の方法が使用でき、例えば溶液に浸漬する方法や、噴霧器により吹き付ける方法などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
酸性液体にて処理を行った場合には、処理後に酸性液体の調製に用いた溶媒もしくはその他の溶媒で処理面をすすぐことが望ましい。酸性物質が処理面に残ったまま加熱配向処理を行うと、溶媒の蒸発により酸が結晶化したり、酸が高濃度になりすぎたりして液晶ポリマー自身やその配向性に悪影響を与える恐れがある。すすぎに使うことのできる溶媒は、酸性液体の調製のための溶媒と同様に、使用している酸性物質の溶解性が高く、かつ使用している液晶ポリマーおよび基材に対し難溶もしくは不溶であるものが使用され、例えば水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、酸性液体処理の時に用いた溶媒と同じものでもよく、異なっていてもよい。
【0044】
また、酸性液体の使用に代えて、酸性気体を用いて非流動層を処理してもよい。処理方法は公知の方法が使用可能であり、例えば酸性気体を密閉容器内に充填し、その中に液晶ポリマーを保持して処理する方法、噴射器にて吹き付ける方法が例示されるが、これらに限定されるものでもない。酸性気体の発生方法は、公知の方法で行うことができる。具体的には高濃度の酸性液体を処理容器内に入れて揮発させる方法、別途容器内で酸性気体を合成ないし発生させて処理系内に送り込む方法、市販のボンベ入りの酸性気体を圧力や流量を制御して使用する方法が例示されるが、もちろんこれらに限定されるものでもない。
【0045】
前記した酸性気体については、例えば塩化水素、臭化水素、硫化水素、シアン化水素など任意の気体酸を用いることができるが、中でも安全性や取扱の容易性の面から塩化水素が好ましく用いられる。
【0046】
上述のように、本発明に好適な活性物質である酸性物質は、非流動層中に残存すると液晶ポリマー自身やその配向性に悪影響を与える恐れがあり、あらかじめ液晶ポリマー中に混入されていないことが好ましい。
【0047】
非流動層の多色化は、上記した如く光学活性基の有効成分含有量の相違に基づいて反射波長の異なる領域を形成することにより行うことができる。その場合、酸性物質を暴露する方式では、光学活性基の有効成分を減少させる処理となるので反射光を長波長化する処理となる。
【0048】
従って、反射型液晶表示装置のカラー表示化には、反射領域は、赤色領域、緑色領域、青色領域(RGB)からなることが好ましく、かつこれらの反射領域が規則的に形成されていることが好ましい。このような多色反射板を形成する場合には、当該青以下の反射波長を示す液晶ポリマーをベースに使用して、それを活性物質により所定の配色パターンとなるように長波長化処理する必要がある。
【0049】
多色反射板における色の数は、使用目的に応じた2色以上の適宜な数に設定でき、その配色パターンや色区画の大きさなどについても使用目的に応じて適宜に決定することができる。ちなみに反射型液晶表示装置に好適なRGB反射板では、例えばトライアングル状やストライプ状、格子状や市松模様状などの配置パターンが一般的である。また活性物質を暴露する際に、マスク等を介して暴露量を精度よくコントロールすることより、色区画の大きさを数ミクロンオーダーとすることも可能である。なお上記した活性物質の暴露方式において、暴露対象の非流動層は、配向処理されていないものであってもよいが、配向の再現性による発色精度などの点より、予め配向処理して所定の単色反射を示す非流動層に対して多色化するための暴露処理を施すことが好ましい。
【0050】
前記の多色化処理を施した非流動層における所定の配色は、上記した加熱配向処理を行うことにより発現させることができる。加熱配向処理前の状態、従って多色化処理を終えた状態のままでは目的の配色が発現せず、多色化処理前の状態を維持する。加熱配向処理は、多色化するための暴露処理と同時に施すこともできるが、装置が煩雑になったり、安全性が低下するなどの点から照射処理後に施す方が望ましい。
【0051】
上記の多色化処理を少量の暴露量で効率よく行うためには、多色化処理−加熱配向処理を交互に繰り返し行うことが好適である。繰り返し回数および1回あたりの活性物質の暴露量は、光学活性基の結合基などの種類や活性物質の種類、濃度、解離定数などにより異なるが、回数で言えばおおむね2〜50回、1回あたりの活性物質の暴露量は例えば室温・飽和条件下では5000秒以下が好ましい。回数・暴露量が過少であれば、十分な多色化が得られず好ましくない。一方、回数・暴露量が過多であれば、配向性や液晶ポリマー自身に悪影響を与えるので好ましくない。
【0052】
上記した通り、光酸発生剤などを用いて一般的に行われている多色化処理も含めて、青以下の選択反射を示す液晶ポリマーをベースに用いて1回の処理回数で十分な多色化を得るためには、活性物質に対し極めて多くの暴露量を必要とし、加えてそのような条件下では液晶ポリマーの配向性や液晶ポリマー自身に対しても悪影響を及ぼすことから、本発明の製造方法のように多色化処理−加熱配向処理を繰り返す工程が増えてもなお、従来法より短時間、少エネルギー量による高効率、および配向状態保持性の点で極めて有利である。
【0053】
本発明の製造方法は、例えば、液晶表示装置に好ましく用いうるRGB反射板では、青以下の反射波長を示す液晶ポリマーをベースに用いて、適宜のマスクを介し、まず緑、赤を示すべき領域がどちらも緑の反射波長を示す分だけ多色化処理を行い、加熱配向処理を施した後に、改めて赤を示すべき領域のみ、緑から赤に反射波長をシフトさせるだけの多色化処理を行い、加熱配向処理することによって、目的のRGB反射板を短時間に高品質で得ることができる。
【0054】
本発明の製造方法により得られる多色反射板は、多色カラーの反射板として種々の目的に用いることができ、特にRGB等の配色パターンからなる色区画の精度や微細性に優れるものも容易に得られることより反射型液晶表示装置の多色カラー表示等に好ましく用いることができる。
【0055】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
【0056】
〔実施例1〕
ネマチック性の液晶モノマーとして〔化8〕に示されるモノマー(a2)が75モル%、光学活性基を含有するモノマーとして〔化9〕に示されるモノマー(b2)が25モル%の共重合体からなる重量平均分子量が7000、ガラス転移温度が80℃、等方相転移温度が270℃でその間の温度でコレステリック構造を示す側鎖型コレステリック液晶ポリマーを使用した。
【0057】
【化8】
【化9】
この側鎖型コレステリック液晶ポリマーを溶解させた30重量%シクロヘキサノン溶液を、厚さ50μmのトリアセチルセルロースフィルムに厚さ約0.1μmのポリビニルアルコール層を設け、それをレーヨン布でラビング処理した処理面にスピンコータにて塗工し、乾燥後160℃で5分間加熱配向処理して室温にて放冷し、厚さが2.0μmで反射光の中心波長が440nmの液晶ポリマーからなる非流動層がトリアセチルセルロースフィルムと一体化した光学素子を得た。次に、前記光学素子の非流動層に、透過領域、不透過領域をそれぞれ100μm、200μmピッチでストライプ状に配列形成したマスクを使用して、塩化水素を室温にて飽和充填した密閉可能な容器内に600秒間保持し、暴露した後、160℃で5分間加熱配向処理して室温にて放冷した。これを再度、同じマスクを介して同じ位置に塩化水素を600秒間暴露し、マスクをストライプパターンの直交方向に100μm移動させて、さらに塩化水素を600秒間暴露した後、160℃で5分間加熱配向処理して室温にて放冷し、反射光の中心波長が610nm、540nmおよび440nmからなる3領域を100μmピッチのストライプ状配列で有する多色反射板を得た。
得られた多色反射板の反射スペクトルを(図1)に示した。
【0058】
〔実施例2〕
【化10】
化学式〔化9〕で表されるモノマーに代えて、上記の化学式〔化10〕で表されるモノマーを用いてなる、化学式〔化8〕で表したモノマー(a2)82モル%、化学式〔化10〕で表したモノマー(b3)18モル%の共重合体からなる重量平均分子量が8000でガラス転移温度が85℃、等方相転移温度が280℃の側鎖型コレステリック液晶ポリマーを溶解させた20重量%テトラクロロエタン溶液を用いて非流動層を形成したほかは実施例1に準じて、反射光の中心波長が610nm、540nmおよび440nmからなる3領域を所定ピッチで有する多色反射板を得た。
得られた多色反射板の反射スペクトルを(図2)に示した。
【0059】
〔実施例3〕
活性物質としてp−トシル酸の飽和水溶液を使用し、それを1回あたり700秒間浸漬処理し、水でリンスしたほかは実施例1に準じて、反射光の中心波長が610nm、540nmおよび440nmからなる3領域を所定ピッチで有する多色反射板を得た。
得られた多色反射板の反射スペクトルを(図3)に示した。
【0060】
〔比較例1〕
透過領域、不透過領域をそれぞれ200μm、100μmピッチでストライプ状に配列形成したマスクを介して600秒間暴露し、マスクを透過領域が100μm、不透過領城が200μmのものに代えて先に暴露した領域の半分をさらに3000秒問暴露した後、加熱配向した他は実施例1に準じて、反射光の中心波長が580nm、500nmおよび440nmからなる3領域を所定ピッチで有する、配向性に難のある多色反射板を得た。
得られた多色反射板の反射スペクトルを(図4)に示した。
これらの4種の反射スペクトルを比較すると、本発明の製造方法が優れたものであり、良好な多色反射板が得られることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において得られた多色反射板の反射スペクトルを示した図。
【図2】実施例2において得られた多色反射板の反射スペクトルを示した図。
【図3】実施例3において得られた多色反射板の反射スペクトルを示した図。
【図4】比較例1において得られた多色反射板の反射スペクトルを示した図。
Claims (5)
- 光学活性基含有モノマーを一成分とするコレステリック液晶ポリマーがグランジャン配向して形成され、前記光学活性基の有効成分含有量の相違に基づいて反射波長の異なる反射領域が形成された非流動層を有する多色反射板の製造方法であって、前記非流動層を活性物質に複数回繰り返し暴露して前記光学活性基の有効成分含有量を制御する工程を含むことを特徴とする多色反射板の製造方法。
- 前記光学活性基含有モノマーがシッフ塩基、ウレタン結合、またはカーボネート結合の少なくとも1種を有することを特徴とする請求項1に記載の多色反射板の製造方法。
- 前記活性物質が酸性液体または酸性気体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の多色反射板の製造方法。
- 前記活性物質をあらかじめ液晶ポリマーに混入する工程を設けないことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の多色反射板の製造方法。
- 前記反射領域が赤色反射領域、緑色反射領域、及び青色反射領域であり、これらの反射領域がそれぞれ規則的に形成されたものである請求項1〜4のいずれかに記載の多色反射板の製造方法。
Priority Applications (1)
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