JP4007180B2 - 光スイッチ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は静電アクチュエータ型ミラーが組み込まれた光スイッチ及びその製造方法に関し、特に、設計自由度及び形状精度が高く作製が容易な光スイッチ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光スイッチは、光通信において、光ファイバーから送られてくる光信号を任意の方向に振り分けることによってスイッチングを行うものであり、マイクロデバイスの1種である。マイクロデバイスとは、一般に、シリコン又はガラス等からなる基板上に立体的な造形物が形成された微小構造物であり、光スイッチの他にRFスイッチ及び加速度センサー等がある。このようなマイクロデバイスの作製においては、基板上に立体的にパーツを積み上げていくため、パーツ毎の接合技術又は膜の堆積技術が重要になる。
【0003】
光スイッチにおいて、現在主流になりつつある方式の一つとして、静電アクチュエータ型ミラーを使用する光スイッチがある。この光スイッチは、表面に電極が形成された電極基板と、複数個のマイクロミラーが回動可能に設けられたミラー基板とを、スペーサを介して積層させた構造になっている。そして、前記電極とミラーとの間に電圧を印加することにより、この電極とマイクロミラーとの間に静電力を発生させ、マイクロミラーの反射面の方向を制御する。これにより、このマイクロミラーに入射した光を任意の方向へ反射させることができる。
【0004】
この静電アクチュエータ型ミラーを使用する光スイッチは、製造方法の違いにより2種類に大別できる。第1の種類はサーフェス方式と呼ばれる方式により作製された光スイッチであり、シリコン基板上に薄膜を堆積していくことにより、電極、スペーサ及びミラー等を順次形成して作製されるものである(例えば、特許文献1参照。)。第2の種類はバルク方式と呼ばれる方式により作製された光スイッチであり、単結晶シリコンをエッチングしてミラーを形成し、このミラーを、スペーサを介して電極基板に貼り合わせることにより作製された光スイッチである(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
サーフェス方式により作製された従来の光スイッチについて説明する。図15は、特許文献1に記載されているサーフェス方式により作製された光スイッチを示す平面図である。図15に示すように、シリコン基板101上にポリシリコン層を堆積させ、このポリシリコン層をエッチングにより加工して電極パッド(図示せず)を形成する。次に、犠牲層(図示せず)を形成し、その上にポリシリコン層を形成する。そして、このポリシリコン層をエッチングにより加工してミラー102、フレーム103、2個のミラー固定部104、各2個のバネ105及び106、梁107を形成する。ミラー102の形状は円板状であり、フレーム103の形状は環状である。ミラー102はフレーム103の内部に配置されており、ミラー102は2個のバネ105を介してフレーム103に連結されている。また、ミラー固定部104の形状は矩形状であり、フレーム103を挟むように配置されており、2個のバネ106を介してフレーム103に連結されている。更に、ミラー固定部104の両端には夫々梁107の一端部が連結されており、梁107の他端部はシリコン基板101に連結されている。次に、犠牲層を除去した後、梁107を加熱して熱変形させて反りを発生させる。これにより、シリコン基板101から、ミラー102、フレーム103、ミラー固定部104、バネ105及び106からなるミラー構造体を、図示のZ軸方向、即ち、シリコン基板101の表面に垂直な方向に浮かび上がらせる。
【0006】
この従来の光スイッチにおいては、ミラー102と電極パッド(図示せず)との間に電圧を印加し、両者間に生じる静電力によりミラー102を回動させる。このとき、フレーム103がバネ106を軸としてミラー固定部104に対して図示のX軸回りに回動し、ミラー102がバネ105を軸としてフレーム103に対して図示のY軸回りに回動する。この結果、ミラー102の反射面は2軸(X軸、Y軸)を中心に回動して任意の方向を向くことができ、ミラー102に入射された光信号を任意の方向に反射させることができる。これにより、この光スイッチは、空間的に光路のスイッチングを行うことができる。
【0007】
次に、バルク方式により作製された従来の光スイッチについて説明する。図16は、特許文献2に記載されているバルク方式により作製された光スイッチを示す断面図である。図16に示すように、この従来の光スイッチにおいては、基板をエッチングして掘込111を形成して支柱112を形成し、次に、パターニング及びエッチングによりミラー113を形成することにより、ミラー基板114を作製する。一方、他の基板上に配線115を形成し、この配線115を絶縁膜116で覆い、この絶縁膜116を貫通し配線115に接続されると共に絶縁膜116の上面に露出する電極パッド117を形成する。これにより、電極基板118を作製する。このように、電極基板118とミラー基板114を夫々別々に作り、その後、PbSn半田等からなる接合層119を介して、両者を相互に接合している。これにより、光スイッチが作製される。
【0008】
なお、電極基板とミラー基板を接合する方法には、前述の半田を使用する方法の他に、静電接合がある。静電接合とは、ホウケイ酸ガラス、例えばパイレックス(登録商標)からなるガラス基板にシリコン基板を接触させ、約400℃程度の高温に加熱しつつ、ガラス基板を陰極、シリコン基板を陽極として数百Vの電圧を印加すると、ガラス基板とシリコン基板とが相互に接合されるというものである。その原理は、ガラス基板中のNa分子がイオン化して陰極に引き寄せられ、反対にシリコン基板との界面にNa分子から分離したマイナスイオンが大量に集まり、化学結合を生じて接合されることによる。
【0009】
【特許文献1】
米国特許6300619 B1(FIG.7)
【特許文献2】
PCT国際公開公報WO 01/56919 A2(FIG.8f)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来の技術には、以下に示すような問題点がある。先ず、サーフェス方式における課題を説明する。
【0011】
サーフェス方式の光スイッチにおける第1の課題は、プロセスが複雑になることである。この理由は、ポリシリコン層の積み上げ、パターニング、及び基板とポリシリコン層又はポリシリコン層同士を分離するための犠牲層のエッチングを繰り返すため、極めて入り組んだプロセスになりやすい。また、犠牲層をエッチングする際にも、基板にこの基板から分離すべきパーツが吸着する等の問題が生じやすく、製造歩留まりの点においても不利な要素をもっている。
【0012】
第2の課題は、光スイッチの立体化に限界があることである。この理由は、サーフェス方式は薄膜の堆積により構造物を積み上げていくため、立体的な造形物の作製には限界があるためである。即ち、各層の厚さは数μm程度以下であるため、数十μmを超える高さを持つ立体構造物を形成することは極めて困難である。このため、光スイッチの設計自由度が低くなる。
【0013】
第3の課題は、ミラー面の平滑性及び平坦性が十分に得られないことである。この理由は、本方式においては、ミラーをポリシリコン薄膜の堆積により形成するが、ポリシリコン薄膜はそれ自体が内部応力を持つため、ミラーに反りを生じやすく、平坦度(フラットネス)を確保することが難しいことによる。このため、反射した光信号が散乱し、所謂光スイッチにおける挿入光信号の強度損失(以下、挿入損失と記述する)が発生してしまう。また、マイクロミラーのような複雑な構造物の場合、ミラー形成後に表面を研磨することが難しいため、表面粗さを低減することができない。このため、ミラー面の平滑度(ラフネス)を向上させることが困難である。このように、サーフェス方式においては、光スイッチの形状精度が低くなる。
【0014】
第4の課題は、ミラー径を大きくできないことである。この理由は、ミラーを大口径化すると、前述のミラーの反りが顕在化してくるためである。また、このような反りを低減するために、ミラーの直径を小さくすると、入射した光信号がミラー面に入りきらず、所謂「けられ」が生じ、これも挿入損失を大きくする原因になる。
【0015】
光通信においては、光信号の強度が低下すると、光信号を増幅させるための設備を追加する必要がある。そのため、光スイッチ又はその他のデバイスを通過する際の挿入損失が大きいと、それだけ設備コストが増大する。つまり、光通信用のデバイスにおいては、挿入損失の低減が極めて重要な課題となる。従って、図15に示すような従来のサーフェス方式の光スイッチは、挿入損失という観点から致命的な問題を含んでいる。
【0016】
次に、バルク方式における課題を説明する。バルク方式の光スイッチにおける第1の課題は、電極基板とミラー基板とを相互に接合する際に、半田等のペースト状の材料を使用した場合、位置決め精度が低くなることである。この理由は、半田硬化時の位置ずれが大きいと共に、半田からなる接合層の厚さのムラ等によりミラー基板の高さにばらつきが発生するためである。特に、光スイッチにおいては、電極基板に形成した電極パッドとミラーとの間に発生する静電力でミラーを駆動するため、電極パッドとミラーとのギャップのばらつき及びミラーの中心位置のずれは大きな問題となる。
【0017】
第2の課題は、組み立てに静電接合を用いた場合は、製造歩留まりが低くなると共に使用する材料が限定され、また配線設計の自由度が低下し、プロセスが長時間化することである。
【0018】
静電接合によりミラー基板と電極基板とを接合すれば、接合層は化学結合により生じた酸化シリコン層なので、その厚さはオングストロームオーダーとなり、高さ精度には問題が生じない。また、接合層自体の体積が殆どないので、接合時にミラー基板が電極基板に対して横ずれしていくような現象もなく、位置精度が高い。
【0019】
しかし、静電接合は、高温雰囲気中で光スイッチに高い電圧を印加するため、放電による配線の破壊が生じたり、熱応力による破壊が生じたりすることがある。また、接合状態が接合表面の清浄度に敏感であり、接合面にわずかな有機物質が存在しても、又は接合面に数十nm程度の凹凸が存在しても接合不良を起こす危険があり、歩留まりが極めて不安定である。また、接合の原理からもわかるように、電極基板及びミラー基板を形成する材料が限定される。更に、静電接合面には配線が引き回せないので、ミラーを多数配置した光スイッチにおいては、その配線スペースの確保が困難になり、設計自由度が低下する原因となる。更にまた、静電接合が高温プロセスであるため、部材間の温度伸縮の違いにより、接合面に大きな熱応力が発生する。この熱応力を緩和するために、降温時の温度勾配をできるだけ緩やかにする必要があり、製造プロセスが長時間プロセスとなる。
【0020】
第3の課題は、バルク方式で作製した極薄パーツが破損しやすいことである。この理由は、ミラー基板はシリコン基板から作製されるため、ハンドリング上ある程度の厚さ、即ち、少なくとも200μm以上、好ましくは300μm以上の厚さが必要であるが、ミラーを静電駆動するためにはミラーと電極パッドとの間のギャップを100μm程度以下とする必要があるため、支柱とミラーの厚さを合計しても100μm前後になってしまうためである。従って、このような極薄のミラー基板を作製した後、電極基板に貼り合わせようとすると、そのハンドリングによりミラー基板を破壊してしまう可能性が高く、光スイッチの作製が困難である。なお、ミラー基板を電極基板に貼り合わせてからエッチングして薄くすることも考えられるが、この方法ではエッチング環境に電極基板及び接合部が曝されるため、使用できる材料の組み合わせ及び貼り合わせ方法等のプロセス条件の制約が大きくなる。このように、特許文献2に記載されたバルク方式では、ミラー基板のハンドリングが極めて困難であり、シリコンからなるミラー基板がすぐに破損してしまう。このため、実用上必要とされる歩留りを実現することができない。
【0021】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、設計自由度及び形状精度が高く、作製が容易な光スイッチ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0022】
本発明に係る光スイッチは、上面に第1の電源に接続される電極パッドが形成された電極基板と、固定部及びこの固定部により前記電極パッド上に回動可能に支持され第2の電源に接続され入射された光を任意の方向に反射するミラーを備えたミラー基板と、前記電極基板における前記電極パッドが形成されていない領域と前記固定部との間に設けられ前記電極パッドと前記ミラーとの間の距離を規定するスペーサと、前記スペーサの側面の直下に位置するように前記電極基板に形成された第1のくぼみ内部及びその第1のくぼみ内部から前記スペーサの側面の一部に達するように配置され、前記電極基板の第1のくぼみ内部、前記電極基板の上面に面する前記スペーサの下面のうち前記第1のくぼみに露出した一部及び前記スペーサの側面の一部に被着して、前記スペーサの下面を前記電極基板の上面に接触させつつ前記スペーサを前記電極基板に接着する第1の接着剤と、前記ミラー基板の側面における一部の領域及び前記スペーサの上面における前記一部の領域に接する領域の一部に被着することにより前記ミラー基板の下面を前記スペーサの上面に接触させつつ前記ミラー基板を前記スペーサに接着する第2の接着剤と、を有することを特徴とする。
【0023】
本発明においては、第1の接着剤によりスペーサの下面を電極基板の上面に接触させつつスペーサを電極基板に接着し、第2の接着剤によりミラー基板の下面をスペーサの上面に接触させつつミラー基板をスペーサに接着することにより、電極基板とスペーサとの間に第1の接着剤からなる接着剤層が形成されることがないと共に、スペーサとミラー基板との間に第2の接着剤からなる接着剤層が形成されることがない。これにより、ミラーと電極パッドとの間の距離をスペーサの厚さのみにより規定することができ、この距離を高精度且つ均一に制御することができる。特に、スペーサの側面の直下に位置するように前記電極基板に第1のくぼみを形成したので、第1の接着剤を第1のくぼみに逃がし、電極基板とスペーサとの間に第1の接着剤が浸入することをより確実に防止できる。
【0024】
た、前記ミラー基板の側面における、前記スペーサ上面に近い下方部分であって、前記第2の接着剤が被着している領域の少なくとも一部に第2のくぼみが形成されていることが好ましい。これにより第2の接着剤を第2のくぼみに逃がすことができ、スペーサとミラー基板との間に第2の接着剤が浸入することをより確実に防止できる。
【0025】
更に、前記第1及び第2の接着剤のうち少なくとも一方が、常温硬化型の接着剤であることが好ましく、UV硬化型接着剤、2液混合型接着剤及び嫌気性接着剤からなる群から選択された1種又は2種の接着剤であることがより好ましい。これにより、接着作業を常温で行うことができるため作業性が向上すると共に、接着後の温度変化に伴う位置ずれが発生することがない。
【0027】
本発明に係る他の光スイッチは、上面に第1の電源に接続される電極パッドが形成された電極基板と、
固定部、この固定部により前記電極パッド上に回動可能に支持され第2の電源に接続され入射された光を任意の方向に反射するミラー及び前記固定部の少なくとも一部に形成され下方に突出した張出部を備えたミラー基板と、
前記張出部の側面の直下に位置するように前記電極基板に形成されたくぼみ内部及びそのくぼみ内部から前記張出部の側面の一部に達するように配置され、前記電極基板のくぼみ内部、前記電極基板の上面に面する前記張出部の下面のうち前記くぼみに露出した一部及び前記張出部の側面の一部に被着して、前記張出部の下面を前記電極基板の上面に接触させつつ前記ミラー基板を前記電極基板に接着する接着剤と、を有することを特徴とする。
【0028】
また、前記固定部の厚さが200μm以上であることが好ましい。これにより、ミラー基板の強度が確保され、ミラー基板を単体でハンドリングすることが容易になる。
【0029】
本発明に係る光スイッチの製造方法は、第1の基板の上面に第1の電源に接続される電源パッドを形成して電極基板を作製する工程と、
第2の基板に第2の電源に接続され入射された光を任意の方向に反射するミラーを形成すると共にこのミラーの周囲をこのミラーを回動可能に支持する固定部としてミラー基板を作製する工程と、
前記電極基板を作製する工程は、前記スペーサの側面の直下に位置するように、前記電極基板の上面に第1のくぼみを形成する工程を含み、前記電極基板の上面の一部にスペーサを接触させてこのスペーサの側面の一部に第1の接着剤を滴下することにより、この第1の接着剤を、前記電極基板の第1のくぼみ内部、前記電極基板の上面に面する前記スペーサの下面のうち前記第1のくぼみに露出した一部及び前記第1のくぼみ上方の前記スペーサの側面の一部に被着させて、前記スペーサの下面を前記電極基板の上面に接触させつつ、前記電極基板と前記スペーサとの界面に前記第1の接着剤を浸入させずに前記スペーサを前記電極基板に接着する工程と、
前記スペーサの上面の一部に前記ミラー基板を接触させて前記ミラー基板の側面の一部に第2の接着剤を滴下することにより、この第2の接着剤を前記ミラー基板の側面の一部及び前記スペーサの上面における前記ミラー基板に接触していない領域の一部に被着させて、前記スペーサと前記ミラー基板との界面に前記第2の接着剤を侵入させずに前記ミラー基板を前記スペーサに接着する工程と、を有することを特徴とする。
【0030】
【発明の実施の形態】
従来、光スイッチの作製において、電極基板とミラー基板との接合には、シリコンプロセスの延長から、半田接合又は静電接合が用いられてきた。しかしながら、半田接合及び静電接合には、前述の如く多くの問題点がある。そこで、本発明者等は、上述の課題を解決すべく鋭意実験研究を行い、接着剤を使用して電極基板とミラー基板とを高精度に接合する技術を開発した。
【0031】
一般に、シリコンプロセスにおいては、接合に接着剤を使用することは稀である。その理由は、接着剤が被着したデバイスは、耐熱性が劣ると共に、アウトガスによる装置の汚染を引き起こすため、その後のシリコンプロセスを通せなくなるからである。従って、本発明においても、接着剤により電極基板とミラー基板とを接合する工程は、光スイッチ製造工程の最終工程であることが必要である。即ち、ミラー基板にミラーを形成した後に、電極基板と接合する必要がある。
【0032】
しかしながら、ミラーの厚さは例えば10乃至20μm程度であり、この厚さの構造体のハンドリングは極めて困難である。そこで、本発明者等は、接着剤により電極基板とミラー基板とを高精度に接合する技術と併せて、ミラー形成後にミラー基板をハンドリングする技術を開発し、本発明を完成した。
【0033】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は本実施形態に係る光スイッチを示す平面図であり、図2はこの光スイッチを示す断面図であり、図3はこの光スイッチを示す斜視図であり、図4はこの光スイッチにおけるミラー基板を示す一部拡大平面図であり、図5はこの光スイッチの動作を示す断面図である。なお、図1に示すように、本実施形態に係る光スイッチにおいては、複数個のミラー17がマトリクス状に配列されているが、図2乃至図5においては、図を簡略化するため、1個のミラーのみを図示している。
【0034】
図1乃至図3に示すように、本実施形態に係る光スイッチ1においては、ガラスからなる電極基板2が設けられており、電極基板2の表面における電極パッド形成領域(図示せず)には、電極パッド3が設けられている。電極パッド3は、1個のミラー17の直下域に4つずつ設けられており、電極基板2の表面におけるミラー17の中心の直下に相当する点を中心として4回対称となる位置に配置されている。電極パッド3はミラー17との間に電圧が印加されることにより、ミラー17との間に静電気力を発生させるものである。また、電極基板2の表面には、電極パッド3に接続された配線4が設けられている。この複数の配線4は電極パッド3が形成されている領域から放射状に広がり、電極基板2の端部に形成されたボンディングパッド5に夫々接続されている。ボンディングパッド5は、電極パッド3を外部駆動回路(図示せず)に接続するものである。更に、電極基板2の表面にはくぼみ6が形成されている。そして、電極基板2上の全面には、電極パッド3、配線4及びボンディングパッド5を覆うように、絶縁膜(図示せず)が形成されている。
【0035】
そして、電極基板2上にはスペーサ7が設けられている。図1に示すように、スペーサ7は、電極パッド3が設けられている領域の周囲に、例えば4枚設けられている。スペーサ7は電極基板2に接触しており、且つ接着剤8を介して電極基板2に接着されている。スペーサ7は例えばステンレスにより形成されており、その厚さは例えば50μmである。くぼみ6は、スペーサ7の側面の直下に相当する領域の一部に形成されている。接着剤8は、くぼみ6の内部及び電極基板2の表面におけるくぼみ6の周辺領域のうちスペーサ7により覆われていない領域と、スペーサ7の側面の一部とに被着しており、これにより、電極基板2とスペーサ7とを相互に接着している。接着剤8は例えばUV(紫外線)硬化型の接着剤である。この結果、電極基板2とスペーサ7との間には接着剤層が形成されず、電極基板2とスペーサ7とは相互に接触している。
【0036】
また、スペーサ7上には電極パット3の形成領域を覆うように、矩形のミラー基板10が設けられている。ミラー基板10はスペーサ7の上面の一部に接触している。ミラー基板10の側面の下部にはくぼみ9が形成されており、スペーサ7とミラー基板10との接触面において、くぼみ9の分だけ内側に窪んでいる。ミラー基板10の側面の一部、この部分の下方に相当するくぼみ9の内部及びスペーサ7の表面の一部には接着剤11が被着している。これにより、ミラー基板10はスペーサ7に直接接触しつつ、ミラー基板10はスペーサ7に接着剤11を介して接着されている。この結果、ミラー基板10の四隅はスペーサ7により支持されており、ミラー基板10が電極基板2にスペーサ7を介して対峙した構造になっている。
【0037】
ミラー基板10はSOI(Silicon On Insulator)基板により形成されている。このSOI基板は、厚さが例えば525μmの裏打層12と、インシュレータ層13と、厚さが例えば20μmのデバイス層14とがこの順に積層されてなる3層構造になっている。デバイス層14の抵抗率は例えば1Ω・cm以下である。そして、デバイス層14は下面側、即ち、電極基板2側に配置され、裏打層12は上面側に配置されている。
【0038】
ミラー基板10の中央部、即ち、電極基板2の電極パッド形成領域(図示せず)の直上域は、ミラー形成領域15となっており、このミラー形成領域15には、複数の穴16がアレー状に形成されている。穴16の形状は、ミラー基板10の表面に垂直な方向から見て、例えば八角形となっている。穴16においては、裏打層12及びインシュレータ層13が除去されており、デバイス層14が穴16の内部に向かって張り出している。穴16内の底部には夫々1枚のミラー17が設けられている。ミラー17においては、デバイス層14が加工されてなるミラー本体17aの表面に、Ta層とAu層とがこの順に積層された2層膜(以下、(Au/Ta)2層膜ともいう)からなる反射膜17bが形成されている。ミラー17の形状は円板状であり、直径は例えば700μmであり、最大チルド角は例えば±3°である。また、ミラー17の周囲には、フレーム18が設けられている。フレーム18の構成の詳細は後述する。
【0039】
更に、ミラー基板10の四隅におけるスペーサ7の直上域には接地端子部28が設けられており、この接地端子部28には穴19が形成されている。穴19においては、裏打層12及びインシュレータ層13が除去され、デバイス層14上に金属膜20が形成されている。この穴19の底部に形成された金属膜20には、ワイヤー21の一端部が接続されており、ワイヤー21の他端部は電極基板2上に形成された接地電極22に接続されている。なお、ミラー基板10における穴16及び穴19以外の部分、即ち、裏打層12及びインシュレータ層13が残留している部分が固定領域23となる。なお、固定領域23におけるミラー基板10の厚さは、200μm以上とすることが好ましい。これは、この厚さが200μm未満であると、ミラー基板10の強度が不足し、ハンドリングが困難になるからである。より好ましくは、300μm以上である。
【0040】
図4に示すように、穴16の内部には、2本のバネ24が設けられており、このバネ24で挟むように、フレーム18を支持している。即ち、バネ24の一端は固定領域23に連結され、他端はフレーム18に連結されている。フレーム18の形状は、1の円形部18aの両側に2の矩形部18bが連結された形状であり、2本のバネ24は円形部18aの両側部に夫々連結されている。また、円形部18a内にはミラー17が収納されており、矩形部18bには夫々バネ25が収納されており、ミラー17は、バネ25を介してフレーム18に連結されている。即ち、バネ25の一端はフレーム18の矩形部18bに連結され、他端はミラー17に連結されている。バネ25の伸縮方向はバネ24の伸縮方向に直交している。ミラー本体17a、フレーム18並びにバネ24及び25は、SOIウエハーのデバイス層14が加工されて形成されたものである。ミラー17、フレーム18、バネ24及び25により、ミラー部26が構成されている。
【0041】
そして、ミラー17の直下域には、4個の電極パッド3a乃至3d(総称して電極パッド3ともいう)が配置されている。電極基板2の表面に垂直な方向から見て、この4個の電極パッド3a乃至3dは、ミラー17の中心を中心とする円に沿って、相互に離隔して等間隔に配置されており、バネ24の直下域の近傍にはミラー3a及び3cが配置され、バネ25の直下域の近傍にはミラー3b及び3dが配置されている。
【0042】
なお、スペーサ7はミラー基板10の四隅の下に、配線4をよけるように配置されている。スペーサ7をステンレス等の金属材料により形成する場合、仮に配線4とスペーサ7とが近接していると、両者の間でショートが発生したり、不要なコンデンサーが形成されたりして、光スイッチ1の動作に悪影響を及ぼすからである。但し、スペーサ7を樹脂又はセラミック等の絶縁物により形成する場合は、このような心配はなく、スペーサ7を配線4上に配置することも可能である。
【0043】
また、前述の如く、ミラー基板10の四隅にはGND用の穴19が形成されており、この穴19の直下にスペーサ7が配置されている。これは、仮に穴19の直下にスペーサ7を配置しないと、穴19の底面におけるデバイス層14の厚さが20μmしかないため強度が低く、ワイヤー21をボンディングすることによってGNDへのつなぎ込みを行う際に、デバイス層14の破損を招く危険があるからである。そこで、このワイヤーボンディング時の衝撃を緩和する目的で、スペーサ7を穴19の直下に配置することが好ましい。
【0044】
次に、本実施形態に係る光スイッチ1の動作について説明する。図5に示すように、先ず、接地電極22に接地電位を印加し、ワイヤー21及び金属膜20を介して、デバイス層14全体を接地電位とする。これにより、ミラー17も接地電位となる。この状態で、ボンディングパッド5及び配線4(図1参照)を介して電極パッド3に電圧を印加する。これにより、この電極パッド3と、この電極パッド3の直上に位置するミラー17との間に静電気力が発生し、ミラー17に回転トルクが発生する。例えば、電極パッド3a及び/又は3c(図4参照)に電圧を印加すると、ミラー17に回転トルクが発生し、バネ25がねじれてミラー17がバネ24の配列方向に傾斜し、ミラーチルト角が発生する。また、電極パッド3b及び/又は3dに電圧を印加すると、バネ24がねじれてフレーム18が傾斜し、これに伴いミラー17がフレーム18と共にバネ25の配列方向に傾斜する。このように、電極パッド3a乃至3dに印加する電圧を調整することで、ミラー17を任意の向きにチルトさせることができる。図5に示すように、電極パッド3に電圧を印加することでミラー17を角度θだけチルトさせると、反射光の進行方向を角度2θだけ傾けることができる。
【0045】
本実施形態においては、電極基板2にスペーサ7を接着する接着剤8は、スペーサ7の側面及び電極基板2におけるスペーサ7により覆われていない領域に塗布されており、且つ、電極基板2に形成されたくぼみ6に接着剤8を積極的に逃がしている。また、ミラー基板10をスペーサ7に接着する接着剤11も、ミラー基板10の側面及びスペーサ7におけるミラー基板10に覆われていない領域に塗布されており、且つ、ミラー基板10に形成されたくぼみ9に接着剤11を積極的に逃がしている。そのため、電極基板2とスペーサ7との接合面、及びスペーサ7とミラー基板10との接合面には接合層が存在せず、スペーサ7は電極基板2及びミラー基板10に直接接触している。そのため、ミラー基板10と電極基板2との隙間は、スペーサ7の厚さによってコントロールすることができ、極めて高い寸法精度を得ることができる。
【0046】
また、本実施形態においては、ミラー基板10をSOI基板を加工して形成し、固定領域23において裏打層12を残しているため、ミラー基板10はそれ自体の剛性が極めて高い。従来の光スイッチでは、ミラー基板は最終的に10乃至20μm程度の厚さになってしまうため、単体でハンドリングすることができない。また、ミラー基板及びスペーサの合計の厚さもせいぜい100μm程度である。そのため、ミラー基板を形成した場合、ミラー形成領域の内部にも複数の支柱を設けて電極基板と接合し、薄いミラー基板を支える必要が生じる。仮に、このような薄いミラー基板を使用し、本実施形態のようにスペーサをミラー基板の四隅だけに配置すると、ミラー基板の中央部分が変形してしまい、電極基板との隙間を精度よく維持することができないだけでなく、他のミラーが動作したときの振動をひろう現象、所謂クロストークが顕在化し、大きな問題となる。それに対して、本実施形態においては、ミラー基板10は穴16及び19を除く固定領域23において裏打層12を残しており、ミラー基板10はそれ自体で十分な剛性を維持している。そのため、ミラー基板10の四隅を支持するだけのシンプルな接合方法によっても、ミラー形成領域15に変形及び振動外乱を生じることがない。
【0047】
更に、ミラー形成領域15に支柱を設ける必要がないため、配線の自由度を向上させることができる。従来の技術においては、ミラー基板を支持するために多数の支柱を必要とし、この支柱を電極基板に静電接合又はハンダ接合により接合していたため、配線はこれらの支柱をよけるように配置されていた。そのため配線ルートの幅が狭まり、配線の形成が極めて困難であった。これに対して、本実施形態においては、ミラー形成領域15に支柱を設ける必要がないため、支柱を避けて配線する必要がなく、幅広の配線を自由に配置することが可能である。
【0048】
更にまた、本実施形態においては、デバイス層14の抵抗率を1Ω・cm以下とし、穴19の底部におけるデバイス層14の表面に金属膜20を形成しているため、ミラー17の電位を確実に接地電位とすることができる。これにより、ミラー17を駆動する際に、ミラー駆動の応答速度及び姿勢安定性を向上させることができる。
【0049】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図6は本実施形態に係る光スイッチを示す断面図である。なお、図6においては、簡略化のためミラーは1個しか図示していないが、実際には図1に示すように、複数のミラーがマトリクス状に配列されている。前述の第1の実施形態においては、電極基板とミラー基板との間の隙間を形成するために、電極基板とミラー基板との間にスペーサを設けている。これに対して、本実施形態においては、図6に示すように、スペーサを設ける替わりに、電極基板41に高さがスペーサの厚さに相当する張出部42が一体的に形成されている。そして、接着剤11がミラー基板10の側面及び張出部42の上面におけるミラー基板10により覆われていない領域の一部に塗布されており、これにより、ミラー基板10は電極基板41の張出部42に接合されている。なお、このとき、接着剤11はミラー基板10のくぼみ9内に逃がされ、ミラー基板10と張出部42との界面に侵入することが防止されている。この結果、ミラー基板10は張出部42に直接接触している。本実施形態における上記以外の構成及び動作は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0050】
本実施形態においては、スペーサに相当する張出部42を電極基板41と一体的に形成しているため、電極基板とスペーサとの接着工程が不要となり、光スイッチの製造工程が簡略化される。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0051】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図7は本実施形態に係る光スイッチを示す断面図である。なお、図7においても、簡略化のためミラーは1個しか図示していないが、実際には複数のミラーがマトリクス状に配列されている。図7に示すように、本実施形態においては、スペーサを設ける替わりに、ミラー基板51に高さがスペーサの厚さに相当する張出部52が一体的に形成されている。そして、接着剤8がミラー基板51の張出部52の側面及び電極基板2の上面における張出部52により覆われていない領域の一部に塗布されており、これにより、ミラー基板51の張出部52は電極基板2に接合されている。なお、このとき、接着剤8は電極基板2のくぼみ6内に逃がされ、電極基板2と張出部52との界面に侵入することが防止されている。この結果、ミラー基板51の張出部52は電極基板2に直接接触している。本実施形態における上記以外の構成及び動作は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0052】
本実施形態においては、スペーサに相当する張出部52をミラー基板51と一体的に形成しているため、ミラー基板とスペーサとの接着工程が不要となり、光スイッチの製造工程が簡略化される。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0053】
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。図8は本実施形態に係る光スイッチを示す部分断面図である。前述の第1の実施形態においては、図2に示すように、ミラー基板10のデバイス層14に接地電位を印加するために、裏打層12に穴19を形成し、穴19の底面に露出したデバイス層14上に金属膜20を形成し、この金属膜にワイヤーボンディングを行っている。これに対して、本実施形態においては、図8に示すように、ミラー基板61において、金属膜62が穴19の底面のみでなく、穴19の内面及び外部にも形成されている。そして、穴19の外部における裏打層12の表面において、ワイヤー21が金属膜62にボンディングされている。これにより、金属膜62が成膜されている領域のうち、裏打層12の上面から、ワイヤーボンディングにてワイヤー21を引き出し、接地電極に接続することができる。本実施形態における上記以外の構成及び動作は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0054】
本実施形態においては、ワイヤー21をミラー基板10の上面に接合することができるため、ワイヤー21の接合作業が容易になる。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0055】
次に、本発明の第1の実施形態に係る光スイッチの製造方法を説明する。図9(a)乃至(e)は、本実施形態におけるミラー基板の製造方法を工程順に示す断面図であり、図10(a)乃至(c)は、本実施形態における電極基板の製造方法を工程順に示す断面図であり、図11(a)乃至(c)は本実施形態における光スイッチの組立方法を工程順に示す断面図である。
【0056】
先ず、ミラー基板の製造方法について説明する。図9(a)に示すように、SOI基板29を準備する。SOI基板29は、裏打層12、インシュレータ層13及びデバイス層14がこの順に積層された3層構造になっている。裏打層12はミラー基板のハンドリングに必要な層で、強度を持たせるために、厚さが300乃至500μm程度であることが望ましい。本実施形態においては、裏打層12の厚さが例えば525μmのSOI基板を使用する。また、デバイス層14は、ミラーを支持するバネの剛性及びミラーの平滑性を最適化する必要があるため、厚さが10乃至20μm程度であることが望ましい。本実施形態においては、デバイス層14の厚さを例えば20μmとする。
【0057】
図9(b)に示すように、SOI基板29における裏打層12側に穴16及び19を、インシュレータ層13に到達するように形成する。この穴16は後に示す工程でミラー部26(図2参照)を形成するためのものであり、穴19は後に示す工程で接地電位に接続するための接地電極部28(図2参照)を形成するためのものである。従って、穴16はSOI基板29の中央付近に、後の工程において形成するミラーの個数と同じ数だけ、マトリクス状に形成する。また、穴19はSOI基板29の端部に数箇所、例えば4箇所形成する。
【0058】
次に、図9(c)に示すように、デバイス層14を選択的に除去し、デバイス層14にミラー部26(図2参照)を形成するためのミラーパターン27及び接着剤だまりとするためのくぼみ9を形成する。ミラーパターン27及びくぼみ9も、インシュレータ層13に到達するように、デバイス層14を貫通させる。
【0059】
続いて、図9(d)に示すように、穴16及び19の底部を構成するインシュレータ層13を除去し、デバイス層14を露出させる。これにより、穴16の底部に、ミラー本体17a、フレーム18並びにバネ24及び25(図4参照)が形成される。次に、このデバイス層14の露出部分に金属層を成膜し、穴16の底部におけるミラー本体17a上に反射膜17bを形成すると共に、穴19の底部に金属膜20を形成する。金属層としては、先ず、デバイス層14上にTa層を形成し、このTa層上にAu層を形成する。Ta層はシリコンからなるデバイス層14とAu層との間の密着力を向上させるものである。また、Au層はミラーとして高い反射率が得られ、GND部としてワイヤーボンディングとの親和性が優れるものである。これにより、ミラー部26及び接地端子部28が作製される。なお、Ta層の替わりに、Ti層等を密着層として形成してもよい。
【0060】
次に、図9(e)に示すように、SOI基板29を所定の大きさにダイシングする。これにより、ミラー基板10が製造される。
【0061】
なお、図9(b)乃至(e)に示す工程の順番は、エッチング装置及び成膜装置の制約等により、製造条件の出しやすさで決まるものであるため、前述の順番に限定されるものではない。例えば、図9(b)に示すように裏打層12側に穴16及び19を形成する前に、図9(c)に示すようにデバイス層14側のパターンを形成しておくことも考えられる。また、ミラー部26及び接地端子部28を形成する前に、図9(e)に示すダイシングを先に済ませておくことも、ダイシング時の衝撃によってミラーが破壊される心配がないため、有効な手段である。
【0062】
次に、電極基板の製造方法を説明する。電極基板は、絶縁性が優れるガラス基板30を加工して製造する。先ず、図10(a)に示すように、ガラス基板30の表面に、接着剤だまりとして、くぼみ6を形成する。このくぼみ6に大きさ及び深さについては、接着剤の塗布量との関係で最適化される。一例として、本実施形態においては、直径を5mm、深さを20μmとする。
【0063】
次に、図10(b)に示すように、ガラス基板30の表面に(Au/Ta)2層膜を形成し、この2層膜をパターニングすることにより、電極パッド3、配線4(図1参照)及びボンディングパッド5(図1参照)を形成する。
【0064】
次に、図10(c)に示すように、ガラス基板30上の全面に、電極パッド3等を覆うように、絶縁膜31を成膜する。この絶縁膜31は、ミラー動作時等に放電破壊が発生することを防ぐ役割を果たす。なお、絶縁膜31と同じ材質及び膜厚の膜をガラス基板30の裏面にも形成し、絶縁膜31の膜応力によるガラス基板30の変形を抑制しておくことが望ましい。なお、本実施形態においては、絶縁膜31として、窒化シリコン膜を成膜する。これにより、電極基板2が製造される。なお、前述の図1乃至7においては、絶縁膜31は図示を省略されている。
【0065】
次に、本実施形態における光スイッチの組立方法について説明する。図11(a)に示すように、図10(a)乃至(c)に示す工程で製造された電極基板2に、スペーサ7を接着剤8により貼り合わせる。接着剤8には、例えば作業性が優れるUV接着剤を使用する。このとき、接着剤8をスペーサ7の側面におけるくぼみ6の上方に相当する位置に滴下する。これにより、スペーサ7の側面及び電極基板2の表面におけるスペーサ7に覆われていない領域のみに接着剤8が塗布されると共に、くぼみ6を接着剤8の逃げ場とすることにより、電極基板2とスペーサ7との間に接着剤8が浸入しなくなる。これにより、スペーサ7を電極基板2に直接接触させることができる。
【0066】
スペーサ7には、厚さ精度が優れるステンレスのシムを使用する。これにより、厚さ精度は1%程度に抑えられる。また、スペーサ7の厚さの絶対値は、ミラー17の直径及び必要とされる最大チルト角等によって決まるが、本実施形態においては、例えば、ミラー17の直径を700μm、チルト角を±3°とするため、スペーサ7の厚さは例えば50μmとする。
【0067】
次に、図11(b)に示すように、前述の図9(a)乃至(e)に示す工程で製造したミラー基板10を、接着剤11によりスペーサ7に貼り合わせる。接着剤11は例えばUV硬化型の接着剤である。このとき、接着剤11をミラー基板10の側面におけるくぼみ9の上方に滴下する。これにより、くぼみ9が接着剤11の逃げ場となり、ミラー基板10の側面及びスペーサ7の表面におけるミラー基板10に覆われていない領域のみに接着剤11が塗布され、スペーサ7とミラー基板10との間には接着剤11が浸入しなくなる。これにより、ミラー基板10をスペーサ7に直接接触させることができる。
【0068】
また、この接着工程においては、ミラー基板10と電極基板2との位置合わせが重要であり、例えば、±3μm以下程度の精度が必要となる。更に、繰り返し説明してきたように、静電駆動型の光スイッチ1においては、ミラー17と電極パッド3との隙間を高精度に制御することが要求される。そこで、この組立工程においては、ミラーと電極パッドの間に接着剤層を作らないことが大切であり、接着剤の塗布量及び粘度等の最適化が重要である。接着剤層を作らないことにより、ミラー17と電極パッド3との間の垂直方向の距離は、正確にスペーサ7の厚さと同一となり、この距離を高精度に制御することができる。
【0069】
次に、図11(c)に示すように、穴19内の金属膜20にワイヤー21の一端を接続し、このワイヤー21の他端を接地電極22(図1参照)に接続して、ミラー17を接地する。そして、電極基板2のボンディングパッド5(図1参照)を駆動回路(図示せず)に接続することにより、光スイッチ1をモジュールとして完成させる。
【0070】
本実施形態に係る光スイッチの製造方法においては、ミラー基板10をSOI基板29を加工して形成することにより、固定領域23に厚さが525μmの裏打層12を設けている。これにより、ミラー基板10の強度が確保され、ミラー基板10を単体でハンドリングできる。
【0071】
この結果、本実施形態においては、電極基板2及びミラー基板10を夫々独立に製造した後、両者を相互に接合して光スイッチ1を組み立てることができる。即ち、電極基板2とミラー基板10との接合を、光スイッチ1の製造工程の最終工程に実施することができる。これにより、この接合を接着剤により行うことができる。この理由は、接着剤を使用する接合を最終工程にて行えば、以後の工程においてシリコンプロセスを通すことがなく、装置の汚染及び熱による接着剤の劣化が起こらないからである。
【0072】
そして、本実施形態においては、電極基板2の表面にくぼみ6を形成し、ミラー基板10の側面にくぼみ9を形成することにより、これらのくぼみを接着剤の逃げ場として積極的に利用することができ、電極基板2とスペーサ7との接触界面及びスペーサ7とミラー基板10との接触界面に接着剤がしみ込むことを防止できる。このため、これらの接触界面に接着剤層が形成されることがなく、電極基板2とミラー基板10との間の距離をスペーサ7の厚さによってのみ決定することができる。これにより、ミラー17と電極パッド3との間の距離を高精度且つ均一に制御することができ、ミラー17の駆動の安定性を向上させることができる。
【0073】
また、本実施形態においては、電極基板2とスペーサ7との接合及びスペーサ7とミラー基板10との接合を半田接合及び静電接合により行わないため、前述の半田接合及び静電接合に伴う種々の問題点を回避することができる。即ち、半田接合において、半田硬化時の位置ずれ及び半田層の厚さのばらつきに起因して、位置決め精度が低くなる問題、並びに、静電接合において、製造歩留まりが低いという問題、使用する材料が限定されてしまうという問題、配線設計の自由度が低いという問題、及び、高温プロセスであるためプロセスが長時間化するという問題が回避できる。本実施形態においては、高温プロセスを必要としないため、昇温及び降温のための時間を要することがなく、また、温度変化に起因する形状精度の低下も発生しない。更に、半田接合及び静電接合において必要とされる大掛かりな装置も不要である。
【0074】
更に、本実施形態においては、バルク方式により光スイッチ1を作製するため、サーフェス方式における問題点、即ち、プロセスが複雑になる問題、製造歩留まりが低くなる問題、数十μm以上の高さを持つ構造物の製造が困難である問題、ミラー面の平滑性及び平坦性が十分に得られない問題、及びミラー径を大きくできない問題を回避できる。本実施形態においては、単純な工程により光スイッチを製造することができる。また、スペーサの厚さを選択することにより、光スイッチの高さを任意に選択することができる。
【0075】
更にまた、本実施形態においては、接着剤8及び11としてUV硬化型の接着剤を使用しているため、電極基板2とスペーサ7との位置合わせ中、及びスペーサ7とミラー基板10との位置合わせ中においては、接着剤を粘度が低い液体として扱うことができ、位置合わせ後に紫外線を照射することにより、接着剤を直ちに硬化させることができるため、作業性が高い。また、位置合わせを室温において行えるため、位置合わせ後の温度変化により位置合わせ精度が低下することがない。なお、接着剤8及び11はUV硬化型接着剤に限定されず、位置決めの方法及び要求精度によっては、2液混合タイプ等の常温硬化タイプ及び熱硬化型タイプの接着剤も適用可能である。
【0076】
このように、本実施形態によれば、設計自由度及び形状精度が高い光スイッチを、容易に製造することができる。
【0077】
次に、本発明の第1の参考例について説明する。前述の第1乃至第4の実施形態においては、光スイッチについて説明したが、本発明は光スイッチ以外のマイクロデバイスに適用することも可能である。図12は本参考例に係るマイクロスイッチを模式的に示す断面図である。
【0078】
本参考例においては、図12に示すように、ベース基板71、トップ基板72及びサポート基板73の3つのパーツからなるマイクロデバイスを示している。一般的に、各基板はシリコン、ガラス、金属若しくは合金、又は樹脂等の材質からなり、夫々エッチング等の手段により所定の形状に作製されてマイクロデバイスを形成するものである。具体的には、前述の光スイッチの他に、RFスイッチ及び加速度センサー等種々のアプリケーションが存在し、夫々の機能に適した形に詳細形成されるが、本参考例においては、その詳細形状は省略し、各パーツを単純なブロックで表す。また、本参考例においては、3つのパーツからなる構造を示したが、パーツ数は2つ又は4つ以上であってもよい。
【0079】
本参考例においては、ベース基板71にサポート基板73が接着剤74a及び74bによって接合されている。ベース基板71には、くぼみ71a及び71bが形成されており、接着剤が溜まるようになっている。
【0080】
また、サポート基板73上にはトップ基板72が接着剤74cによって接合されている。この場合も、トップ基板72には接着剤溜まりとしてくぼみ72aが設けられている。
【0081】
本参考例の最大の特徴は、マイクロデバイスの各パーツが接着剤層の厚さの影響を受けずに接合されていることである。マイクロデバイスは、静電駆動型アクチュエータ及び光信号導波路等を形成するため、パーツ間の隙間精度には極めて厳しい規格が要求される。そのため、パーツ間に接合層が存在するとそれだけパーツ間距離がばらつき、大きな問題となる。しかしながら、本参考例では、接着剤74a及び74cのように、接着剤をパーツ同士の接合面ではなくパーツの側面に滴下していること、及びくぼみ71a及び72aのように、その接着剤に対して接着剤だまりを設け積極的に接着剤の逃げを設けたことにより、パーツ間に接着剤層は形成されず、ベース基板71とトップ基板72との隙間はサポート基板73の厚さのみによって決まる構造になっている。
【0082】
接着剤としては、UV硬化型の接着剤がもっとも扱いやすい。一般的に、マイクロデバイスの作製においては、パーツ間の距離の他に、パーツ間の相対的な位置合わせも重要であることが多い。そして、その場合、接着剤としては、位置合わせ中は粘度が低く、位置決め後すぐに硬化するものが望ましい。また、室温で扱えることも作業性及び位置ずれの観点から有利である。その意味で、UV硬化型接着剤は、滴下時点では液体として扱え、UV照射によって即硬化させることができるため最適である。
【0083】
しかし、もちろん接着剤をUV硬化型接着剤に限定する必要はなく、位置決めの方法及び要求精度によっては、2液混合タイプ等の常温硬化タイプ及び熱硬化型タイプの接着剤も適用可能である。
【0084】
次に、本発明の第2の参考例について説明する。図13は本参考例に係るマイクロデバイスを模式的に示す断面図である。前述の第1の参考例においては、接着剤を使ったタイプのマイクロデバイスを挙げたが、パーツ間に接合層をもたないという考え方からは、この他にもいくつかの方法が考えられる。図13に示すように、本参考例においては、クランプ力によってパーツ同士を連結している。マイクロデバイスとしては、前述の第1の参考例と同様に、ベース基板81、トップ基板82、サポート基板83から構成される例を示す。このマイクロデバイスを位置決めした状態でクランプ材84a及び84bにより相互に固定する。この方法でも各パーツ間には接合層が存在しないので、高い隙間精度を得ることができる。
【0085】
次に、本発明の第3の参考例について説明する。図14は本参考例に係るマイクロデバイスを模式的に示す断面図である。図14に示すように、本参考例においては、ネジによりパーツ同士を連結している。図14に示すように、本参考例に係るマイクロデバイスにおいては、ベース基板91、トップ基板92及びサポート基板93が設けられている。そして、このマイクロデバイスをハウジング94上で位置決めし、その状態でカバー95をセットし、ネジ96によって固定する。この方法でも各パーツ間には接合層が存在しないので、高い隙間精度を得ることができる。
【0086】
なお、第2及び第3の参考例に示した方式では、マイクロデバイスを組み立てると同時に、クランプ材又はハウジングによって、マイクロデバイスをパッケージングすることができる。また、クランプ方式やネジ固定方式では、着脱が可能なため、位置合わせに失敗したときの再工事及び部品交換が可能である。
【0087】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、光スイッチにおいて、第1の接着剤によりスペーサの下面を電極基板の上面に接触させつつスペーサを電極基板に接着し、第2の接着剤によりミラー基板の下面をスペーサの上面に接触させつつミラー基板をスペーサに接着することにより、電極基板とスペーサとの界面及びスペーサとミラー基板との界面に接着剤層が形成されることがなく、ミラーと電極パッドとの間の距離をスペーサの厚さのみにより規定することができる。また、この光スイッチを、半田接合及び静電接合を使用せずに、バルク方式により作製することができる。これにより、設計自由度及び形状精度が高い光スイッチを、容易に作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光スイッチを示す平面図である。
【図2】この光スイッチを示す断面図である。
【図3】この光スイッチを示す斜視図である。
【図4】この光スイッチにおけるミラー基板を示す一部拡大平面図である。
【図5】この光スイッチの動作を示す断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る光スイッチを示す断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る光スイッチを示す断面図である。
【図8】本発明の第4の実施形態に係る光スイッチを示す断面図である。
【図9】(a)乃至(e)は、本発明の第1の実施形態におけるミラー基板の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図10】(a)乃至(c)は、本実施形態における電極基板の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図11】(a)乃至(c)は本実施形態における光スイッチの組立方法を工程順に示す断面図である。
【図12】本発明の第1の参考例に係るマイクロスイッチを模式的に示す断面図である。
【図13】本発明の第2の参考例に係るマイクロスイッチを模式的に示す断面図である。
【図14】本発明の第3の参考例に係るマイクロスイッチを模式的に示す断面図である。
【図15】サーフェス方式により作製された従来の光スイッチを示す平面図である。
【図16】バルク方式により作製された従来の光スイッチを示す断面図である。
【符号の説明】
1;光スイッチ
2;電極基板
3、3a〜3d;電極パッド
4;配線
5;ボンディングパッド
6;くぼみ
7;スペーサ
8;接着剤
9;くぼみ
10;ミラー基板
11;接着剤
12;裏打層
13;インシュレータ層
14;デバイス層
15;ミラー形成領域
16;穴
17;ミラー
17a;ミラー本体
17b;反射膜
18;フレーム
18a;円形部
18b;矩形部
19;穴
20;金属膜
21;ワイヤー
22;接地電極
23;固定領域
24、25;バネ
26;ミラー部
27;ミラーパターン
28;接地端子部
29;SOI基板
30;ガラス基板
31;絶縁膜
41;電極基板
42;張出部
51;ミラー基板
52;張出部
61;ミラー基板
62;金属膜
71;ベース基板
71a、71b;くぼみ
72;トップ基板
72a;くぼみ
73;サポート基板
74a、74b、74c;接着剤
81;ベース基板
82;トップ基板
83;サポート基板
84a、84b;クランプ材
91;ベース基板
92;トップ基板
93;サポート基板
94;ハウジング
95;カバー
96;ネジ
101;シリコン基板
102;ミラー
103;フレーム
104;ミラー固定部
105、106;バネ
107;梁
111;掘込
112;支柱
113;ミラー
114;ミラー基板
115;配線
116;絶縁膜
117;電極パッド
118;電極基板
119;接合層

Claims (23)

  1. 上面に第1の電源に接続される電極パッドが形成された電極基板と、
    固定部及びこの固定部により前記電極パッド上に回動可能に支持され第2の電源に接続され入射された光を任意の方向に反射するミラーを備えたミラー基板と、
    前記電極基板における前記電極パッドが形成されていない領域と前記固定部との間に設けられ前記電極パッドと前記ミラーとの間の距離を規定するスペーサと、
    前記スペーサの側面の直下に位置するように前記電極基板に形成された第1のくぼみ内部及びその第1のくぼみ内部から前記スペーサの側面の一部に達するように配置され、前記電極基板の第1のくぼみ内部、前記電極基板の上面に面する前記スペーサの下面のうち前記第1のくぼみに露出した一部及び前記スペーサの側面の一部に被着して、前記スペーサの下面を前記電極基板の上面に接触させつつ前記スペーサを前記電極基板に接着する第1の接着剤と、
    前記ミラー基板の側面における一部の領域及び前記スペーサの上面における前記一部の領域に接する領域の一部に被着することにより前記ミラー基板の下面を前記スペーサの上面に接触させつつ前記ミラー基板を前記スペーサに接着する第2の接着剤と、を有することを特徴とする光スイッチ。
  2. 前記ミラー基板の側面における、前記スペーサ上面に近い下方部分であって、前記第2の接着剤が被着している領域の少なくとも一部に第2のくぼみが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光スイッチ。
  3. 前記スペーサが絶縁材料により形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光スイッチ。
  4. 前記スペーサが金属又は合金により形成されており、このスペーサが、前記電極基板の上面における前記電極パッドを前記第1の電源に接続する配線が形成されている配線領域以外の領域上に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光スイッチ。
  5. 前記ミラー基板における前記ミラーが形成されていない領域の一部に端子が形成されており、前記ミラーはこの端子を介して前記第2の電源に接続されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光スイッチ。
  6. 前記端子は前記ミラー基板における前記スペーサの直上域の一部に形成された穴の底部に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の光スイッチ。
  7. 前記第1及び第2の接着剤のうち少なくとも一方が、常温硬化型の接着剤であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光スイッチ。
  8. 前記常温硬化型の接着剤が、UV硬化型接着剤、2液混合型接着剤及び嫌気性接着剤からなる群から選択された1種又は2種の接着剤であることを特徴とする請求項7に記載の光スイッチ。
  9. 上面に第1の電源に接続される電極パッドが形成された電極基板と、
    固定部、この固定部により前記電極パッド上に回動可能に支持され第2の電源に接続され入射された光を任意の方向に反射するミラー及び前記固定部の少なくとも一部に形成され下方に突出した張出部を備えたミラー基板と、
    前記張出部の側面の直下に位置するように前記電極基板に形成されたくぼみ内部及びそのくぼみ内部から前記張出部の側面の一部に達するように配置され、前記電極基板のくぼみ内部、前記電極基板の上面に面する前記張出部の下面のうち前記くぼみに露出した一部及び前記張出部の側面の一部に被着して、前記張出部の下面を前記電極基板の上面に接触させつつ前記ミラー基板を前記電極基板に接着する接着剤と、を有することを特徴とする光スイッチ。
  10. 前記接着剤が、常温硬化型の接着剤であることを特徴とする請求項9に記載の光スイッチ。
  11. 前記常温硬化型の接着剤が、UV硬化型接着剤、2液混合型接着剤及び嫌気性接着剤からなる群から選択された1種の接着剤であることを特徴とする請求項10に記載の光スイッチ。
  12. 前記固定部の厚さが200μm以上であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の光スイッチ。
  13. 前記ミラーは前記ミラー基板に形成された穴の底部に形成されていることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の光スイッチ。
  14. 前記穴が前記ミラー基板にマトリクス状に形成されていることを特徴とする請求項17に記載の光スイッチ。
  15. 前記ミラー基板が、裏打層、インシュレータ層及びデバイス層がこの順に積層されてなるSOI基板が加工されて形成されたものであり、前記固定部は、前記裏打層、前記インシュレータ層及び前記デバイス層がこの順に積層されて形成されたものであり、前記穴は、前記裏打層及び前記インシュレータ層が除去されて形成されたものであり、前記ミラーは、前記デバイス層が加工されて形成されたものであることを特徴とする請求項13又は14に記載の光スイッチ。
  16. 前記デバイス層の抵抗率が1Ω・cm以下であることを特徴とする請求項15に記載の光スイッチ。
  17. 前記第2の電源の電位が接地電位であることを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1項に記載の光スイッチ。
  18. 第1の基板の上面に第1の電源に接続される電源パッドを形成して電極基板を作製する工程と、
    第2の基板に第2の電源に接続され入射された光を任意の方向に反射するミラーを形成すると共にこのミラーの周囲をこのミラーを回動可能に支持する固定部としてミラー基板を作製する工程と、
    前記電極基板を作製する工程は、前記スペーサの側面の直下に位置するように、前記電極基板の上面に第1のくぼみを形成する工程を含み、前記電極基板の上面の一部にスペーサを接触させてこのスペーサの側面の一部に第1の接着剤を滴下することにより、この第1の接着剤を、前記電極基板の第1のくぼみ内部、前記電極基板の上面に面する前記スペーサの下面のうち前記第1のくぼみに露出した一部及び前記第1のくぼみ上方の前記スペーサの側面の一部に被着させて、前記スペーサの下面を前記電極基板の上面に接触させつつ、前記電極基板と前記スペーサとの界面に前記第1の接着剤を浸入させずに前記スペーサを前記電極基板に接着する工程と、
    前記スペーサの上面の一部に前記ミラー基板を接触させて前記ミラー基板の側面の一部に第2の接着剤を滴下することにより、この第2の接着剤を前記ミラー基板の側面の一部及び前記スペーサの上面における前記ミラー基板に接触していない領域の一部に被着させて、前記スペーサと前記ミラー基板との界面に前記第2の接着剤を侵入させずに前記ミラー基板を前記スペーサに接着する工程と、を有することを特徴とする光スイッチの製造方法。
  19. 前記ミラー基板を作製する工程は、前記第2の基板の側面における、前記スペーサ上面に近い下方部分であって、前記第2の接着剤が滴下される予定の領域の少なくとも一部に第2のくぼみを形成する工程を有することを特徴とする請求項18に記載の光スイッチの製造方法。
  20. 前記第1及び第2の接着剤のうち少なくとも一方を、常温硬化型の接着剤とすることを特徴とする請求項18又は19に記載の光スイッチの製造方法。
  21. 前記常温硬化型の接着剤を、UV硬化型接着剤、2液混合型接着剤及び嫌気性接着剤からなる群から選択された1種又は2種の接着剤とすることを特徴とする請求項20に記載の光スイッチの製造方法。
  22. 前記固定部の厚さを200μm以上とすることを特徴とする請求項18乃至21のいずれか1項に記載の光スイッチの製造方法。
  23. 前記第2の基板として、裏打層、インシュレータ層及びデバイス層がこの順に積層されてなるSOI基板を使用し、前記ミラー基板を作製する工程は、前記SOI基板の一部の領域において前記裏打層及び前記インシュレータ層を除去すると共に前記デバイス層を加工して前記ミラーを形成する工程を有することを特徴とする請求項18乃 至22のいずれか1項に記載の光スイッチの製造方法。
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