JP4006138B2 - ロック協調制御回路と保護継電装置 - Google Patents

ロック協調制御回路と保護継電装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はロック協調制御回路およびロック協調制御回路を備えた継電器を配電線に複数台直列的に設置して保護動作の協調を持たせた保護継電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
配電線の地絡事故を保護する継電器には、方向性をもたない無方向性の地絡継電器と、方向性をもつ地絡方向継電器がある。地絡継電器は、零相電流のみで動作する継電器であり、地絡方向継電器は、地絡事故時に零相電圧と零相電流を検出して、これらの電圧と電流の位相比較を行ない、その事故が零相変流器を境にして電源側か負荷側かの方向を判断して負荷側の地絡事故のときに保護動作を行う継電器である。
【0003】
これらの継電器を使用した保護継電装置は、一般に配電線に地絡方向継電器を数台直列的に設置し、各区間の地絡事故を検出して事故のあった配電線の負荷側をしゃ断し、電源側の健全な区間に影響を与えないように保護動作を行わせる。以下従来の保護動作を地絡保護継電装置に例をとって説明する。
【0004】
図5は配電線に複数台(4台)地絡方向継電器を設置した配電図で、1は電源側の変圧器、2はしゃ断器、3は電力供給元側に設置された地絡方向継電器、4,5,6,7は配電線側の配電線に設けられたしゃ断器、9,10,11,12は各しゃ断器4,5,6,7の負荷側に設けられた零相変流器、DGR1,DGR2,DGR3,DGR4は、前記零相変流器9,10,11,12に接続された地絡方向継電器で、電源側(上段)から負荷側(下段)に順次直列的に設置され、前記しゃ断器4〜7にしゃ断指令を与える。14は零相電圧リレー等の零相電圧信号発生部で、零相電圧をパルス状の信号VOに変換し、その信号を共通の信号線M,Nを介して地絡方向継電器DGR1〜DGR4に並列に印加する。
【0005】
次に動作を説明する。今、例えば零相変流器11の負荷側のE点に地絡事故が発生すると、各零相変流器9〜11に零相電流が、また零相電圧信号発生器14から零相電圧信号VOが発生して各地絡方向継電器に入力される。そして地絡事故の電源側の継電器DGR1〜DGR3が動作しようとする。この場合、地絡事故に最も近い電源側の地絡方向継電器DGR3のみが動作してしゃ断器6をしゃ断し、電源側の配電線に影響を及ぼさないように、各地絡方向継電器DGR1〜DGR4の間で動作時間の協調(以下、時間協調と称す)を持たせている。この時間協調は、しゃ断器のしゃ断時間を考慮して一般的には、下段側の地絡方向継電器DGR3からDGR1と順次動作時間をそれぞれ0.2秒,0.5秒,0.8秒及び1.0秒と順次長く設定され、例えば地絡方向継電器DGR3が動作してしゃ断器6をしゃ断して事故より下段の配電線を切り離し、上段の地絡方向継電器DGR2,DGR1が動作しないようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
電力供給元側の地絡方向継電器3の動作時間が0.5秒のように短い時間に設定される場合がある。この場合、配電線側の地絡方向継電器DGR1〜DGR4は0.5秒より順次短い時間に設定しなければならないが、地絡方向継電器のもつ慣性特性、しゃ断器の動作時間等に必要な最小時間があり、短縮できる時間には限界がある。特に容量の大きい配電線では第5図に示すように直列に4段又は5段構成となると動作時間の協調は事実上取れなくなるという問題がある。
【0007】
本願の出願人は、この問題を解決する地絡方向継電器及びその装置を先に提案した。(特公平5−31369号)この地絡方向継電装置は、ロック信号発生回路とロック信号選別回路を備えた地絡方向継電器を複数台配置するもので、地絡事故地点の電源側の継電器が、しゃ断指令信号を出した後、リレーが動作する前にロック信号を零相電圧信号のパルス間に発生させて零相電圧信号端子から共通の信号線に送出し、このロック信号とロック信号選別回路で、事故地点を判別し、事故地点に最も近い継電器のみが動作し、それより電源側の継電器をすべてロックするようにしたものである。
【0008】
しかし、この地絡方向継電器(装置)は、零相電圧信号のパルス間にロック信号を発生させるようにしているので、本願の出願人が先に提案した特開平5−103417号のように、零相電圧の発生がしにくい配電系統(一線完全接地時の地絡電流が大きい配電系統)の地絡検出に適した地絡方向継電器にあっては、零相電圧が設定レベルに達しない場合でも、零相電流が設定レベルに達したとき動作する無方向性動作機能を備え、この無方向性動作機能は、零相電圧信号の検出が無い場合でも動作するので、前述のロック協調がとれない、という新な課題が発生した。
【0009】
本発明はこのような課題に鑑みなされたもので、零相電圧信号の発生とは無関係に動作するロック協調制御回路および該制御回路を備えた保護継電器装置を得ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明において上記の課題を解決するための手段は、地絡検出信号を入力し、動作出力信号の動作設定時間T1とT2(但し、T1<T2)に切り替えて動作出力信号を出力する出力信号切替手段と、前記地絡検出信号を入力し、この地絡検出信号を予め定めた優先順位に従って出力時間をt12…tnと順次遅らせて設定し、その一つを選択して出力するようにした優先順位設定手段と、前記地絡検出信号と優先順位設定手段の出力信号とのアンド条件が成立し、外部からのロック信号の無いことを条件にロック信号を出力するロック信号出力手段と、外部からのロック信号と優先順位設定手段の出力信号とのアンド条件が成立したとき、前記出力信号切替手段の動作設定時間をT1からT2に切り替えるとともに、ロック信号出力手段のロック信号の発生を抑える手段とを備えたロック協調制御回路となす。
【0011】
また、上記のロック協調制御回路にバックアップ保護機能(手段)を付設する。このバックアップ保護機能を付設するにあたっては、ロック協調制御回路に、出力信号切替手段の動作設定時間をT1からT2に切り替えた時に、ロック信号出力手段にロック信号停止の指令信号を与えるロック信号出力停止手段を設け、バックアップ保護手段は、前記の地絡検出信号を入力して、この地絡検出信号を動作設定時間T3(但し、T3はT1<T3<T2)に設定した遅延手段と、該遅延手段の出力信号を入力し、動作設定時間をT2とT4(但し、T4はT2<T4)に切り替えて動作出力信号を出力する出力信号切替手段と、前記遅延手段の出力信号を入力し、前記ロック協調制御回路の優先順位設定手段と連動して優先順位が設定される優先順位設定手段とを備え、該優先順位設定手段の優先順位2以下では、外部からのロック信号の有無を判断し、無いときに遅延手段の出力信号入力後、動作設定時間T2後に動作出力信号を出し、外部からのロック信号が有るときは、ロック信号出力手段にロック信号停止の指令信号を出力するとともに、バックアップ保護手段の出力信号切替手段の動作設定時間をT4に切り替えるように構成する。
【0012】
また、保護継電装置は、上記のバックアップ保護手段を備えないか又は備えたロック協調制御回路を継電器に設け、この継電器を配電線に複数台直列的に設置し、各継電器のロック信号端子を共通の信号線で接続するとともに、各継電器は配電線の負荷側から電源側に優先順位を定め、各継電器は、定められた優先順位に従ってロック協調制御回路内の優先順位設定手段の順位を設定するようにする。
【0013】
この配電線に設置する継電器は、地絡方向継電器無方向性動作機能を備えた地絡方向継電器のいずれでもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面によって説明する。
【0015】
図1は本発明の実施の形態の概念図で、前記の特開平5−103417号で提案した無方向性動作機能を備えた地絡方向継電器に本発明のロック協調制御回路を適用した場合の例である。
【0016】
図1において、20は零相電流要素で、該零相電流要素20は、電相変流器で検出した零相電流IOの基本波成分を取り出すフィルタ21と、該フィルタ21の出力を増幅器22で増幅し、設定レベルを越えたとき出力信号を出すレベル検出回路23と、フィルタ21の出力を矩形波に整形する波形整形回路24と、この波形整形回路24の出力とレベル検出回路23の出力のアンド条件が成立したときに零相電流分の信号を出力するアンド回路25により形成されている。
【0017】
30は零相電圧要素で、該零相電圧要素30は、零相電圧検出器で検出した零相電圧VOの基本波成分を取り出すフィルタ31と、これを増幅する増幅器32、増幅器の出力が設定レベルを越えたときに出力信号を出すレベル検出回路33、フィルタ31の出力を矩形波又はパルス状に波形整形する波形整形回路34、該波形整形回路34とレベル検出回路33の出力信号のアンド条件をとり、アンド条件が成立したときに零相電圧分の信号を出力するアンド回路35により形成されている。
【0018】
40は位相判別回路で、零相電流要素と零相電圧要素の信号を入力し、両信号の位相比較をし、地絡事故が零相変流器の電源側か、あるいは負荷側かを判断し、負荷側のとき地絡検出信号を出力し、該出力を直接又はオア回路ORを介して後述するロック協調制御回路50に送出する。
【0019】
10は零相電流動作回路で、この零相電流動作回路10は、アンド回路11とインバータ回路12を有し、このアンド回路11の一方の入力側に零相電流要素20側のレベル検出回路23の出力信号を入力し、他方の入力側に零相電圧要素30のレベル検出回路33からインバータ回路12を介して入力する。そして、アンド回路11の出力信号は直接又はオア回路ORを介してロック協調制御回路50に送出する。
【0020】
この零相電流動作回路10は、零相電圧が設定レベル値以下の場合でも、零相電流が設定レベル以上になれば地絡検出信号aを出力する。従って、一線完全接地時の地絡電流が大きい配電系統で、零相電圧の発生が小さく、設定レベル以下の場合でも動作し、電力会社との保護協調を保つことができる。
【0021】
そして、零相電圧が設定レベル値に達すると、零相電流動作回路10はロックされて地絡検出信号を停止するので、零相電流要素20と零相電圧要素30の出力を位相判別回路40で位相判別し、本来の地絡方向継電器の動作を行う。
【0022】
ロック協調制御回路50は、図2に示すように構成されている。
【0023】
このロック協調制御回路50は、継電器部Ryからの地絡検出信号aを入力する地絡検出信号端子Tiと、動作出力信号bを出力する出力端子TOと、ロック信号を入出力するロック信号入出力端子Tlを有する。
【0024】
51は、出力信号切替手段で、地絡検出信号aが入力されると、所定の動作設定時間T1(例えば、200msec)後に出力端子TOから動作出力信号bを出力するとともに、後述する切替指令信号Cが入力されると、動作出力信号を動作設定時間をT1からT2(例えば、350msec)に切り替えて遅らせる。
【0025】
52は優先順位設定手段で、配電線に設置される継電器の台数を予定し(本例では4台)予定した台数の数の遅延回路t1,t2,t3,t4を切替可能に設け、この遅延時間を負荷側から電源側に優先順位をP1,P2,P3,P4と定めて、順次時間を長くする。図2の例では、遅延回路t1からt4側に優先順位を下げ、夫々の遅延時間を20msec,40msec,60msec,80msecとした場合である。これを可動接触子52aにより、配電線に設置されたとき、定められた優先順位P1〜P4に従って設定する。例えば、図5の場合の例では、負荷側の地絡方向継電器DGR4が最も優先順位が高くP1となり、DGR3〜DGR1は、P2〜P4と順に順位が下がる。従ってDGR4は図2のように遅延回路t1(20msec)に設定されることになる。
【0026】
可動接触子52aによって遅延回路t1に設定されると、地絡検出信号が地絡検出信号端子Tiに入力されると、20msec後にOR回路53を介してアンド回路54の一方の端子に入力される。該アンド回路54の他方の端子には、地絡検出信号aが入力されるようになっているので、このアンド条件が成立し、信号を出力する。このアンド回路54からの出力信号はロック信号の発生を指令するロック指令信号dとしてロック信号出力回路55に入力される。
【0027】
ロック信号出力回路55は、ロック指令信号が入力されるとロック信号eを出力し、ロック信号入出力端子T1を介して共通の信号線Clに送出される。
【0028】
このロック信号eは、アンド回路56の一方の端子にも入力される。該アンド回路56の他方の端子は、優先順位設定手段52の遅延回路t2,t3,t4の出力側に接続され、アンド条件が成立したときに、その出力信号は、切替指令信号Cとして出力信号切替手段51とインシビット回路57のN端子に同時に入力される。出力信号切替手段51は、この切替指令信号Cが入力されると、動作設定時間をT1からT2(350msec)に切り替える。また、インシビット回路57は、ロック信号出力を抑える。
【0029】
次に、本発明のロック協調制御回路を備えた地絡方向継電器(以下、継電器と称す)を図5のように配電線に4台設置した場合について説明する。この種の保護継電装置では、地絡事故があった場合、極力電源側への影響を少なくするため、優先順位は、負荷側から設定される。従って、地絡方向継電器DGR4が1位で、該継電器DGR4の優先順位設定手段12の設定はP1の遅延回路t1の20msecに設定される。
【0030】
次の地絡方向継電器DGR3,DGR2,DGR1は夫々順次順位が下がりDGR3はP2(t2・40msec)、DGR2はP3(t3・60msec)、DGR1はP4(t4・80msec)に夫々設定される。
【0031】
今、図5の変流器12負荷側のE′点に地絡事故が発生すると、従来の技術で説明したように、零相電流および零相電圧が設定レベル以上の地絡事故の電源側の継電器DGR1〜DGR4は地絡検出信号aを発生する。
【0032】
このとき、継電器DGR4は優先順位設定手段52での遅延回路t1の設定は20msecであるから、地絡検出信号aが入力して20msec後に、優先順位設定手段52からロック信号出力回路55にロック指令信号dがアンド回路54を介して出され、ロック信号出力回路55からロック信号eが出力される。このロック信号eは共通の信号線Clを介して他の継電器DGR3〜DGR1に伝送される。このロック信号eはパルス信号ではなく連続信号とする。そして、地絡検出信号aが入力してから200msec後に出力端子TOから動作出力信号bを出力してしゃ断器7をしゃ断する。
【0033】
一方、継電器DGR3は、優先順位設定手段52での遅延回路t2の設定は40msecであるから、地絡検出信号aが入力して40msec後に遅延回路t2から信号を出力する。この信号と継電器DGR4からのロック信号eがアンド回路56に同時に入力し、アンド条件が成立して出力信号切替手段51に切替指令信号Cを出力して、出力切替手段51の動作設定時間をT2、即ち350msecに切り替えるとともに、インシビット回路57の出力を停止させ、ロック信号の発生を抑える。
【0034】
継電器DGR2およびDGR1も同様に、出力信号切替手段51の動作設定時間の切り替えを、夫々60msecおよび80msec後にT 2 に切り替える。
【0035】
次に、図5における零相変流器11の負荷側のE点で地絡事故が発生した場合は、事故のE点より電源側の継電器DGR1〜DGR3はすべて地絡検出信号aを出してロック協調制御回路50に入力する。このとき事故地点に最も近い継電器DGR3は、地絡検出信号aの入力後、40msecの時点で(他からのロック信号が無いので)ロック信号eを発生して共通の信号線Clに伝送するとともに、出力信号切替手段51の動作設定時間のT1(200msec)後に動作出力信号bを発生し、しゃ断器6をしゃ断する。
【0036】
このとき、継電器DGR2とDGR1は、60msecの時点および80msecの時点で他からのロック信号eの有無を判断するが、すでにDGR3がロック信号発生しているので、アンド回路56から切替指令信号eが出力され、出力信号切替手段51の動作設定時間をT1からT2に切り替える。
【0037】
以上のように本発明は、地絡検出信号の入力時点を基準に各継電器は、他の継電器からのロック信号の有無を時間をずらして判断するようにし、動作設定時間をT1のままとするかT2に遅延させるかを判断して動作時間の協調をもたせるようにしたので、入力する地絡検出信号は、図1の方向性をもった位相比較回路40からの信号でも、また、方向性を有しない零相電流動作回路10(図1)からの信号でもロック協調を取ることができる。
【0039】
図3は、図1の零相電圧要素30を設けずに、図5のように零相電圧信号発生部14から、零相電圧をパルス状の信号VOに変換し、その信号を共通の信号線M,Nを介して継電器に取り込む場合の適用例で、この場合は、零相電圧信号・ロック信号混成入出力回路60を設けて、零相電圧信号VOを分離して位相比較回路40に入力し、ロック信号を入出力する。
【0040】
共通の信号線は、図5のように、零相電圧信号線がある場合は、これを利用してもよいが、図1のように継電器内に零相電圧要素を有する場合は、共通の信号線を設ければよい。
【0041】
図2のロック協調制御回路50にあっては、地絡検出信号aを入力すると、すべて継電器は動作設定時間T1での動作準備をし、地絡事故地点に最も近い継電器がロック信号を発生して他の電源側の継電器をロックした後、動作設定時間T1後に動作して動作出力信号bを出力するようにし、ロック信号eを入力した継電器は、動作設定時間をT1からT2に切り替えて遅らせ、動作設定時間T2後の動作に備える。そして、最初に動作した継電器が何等かの事由でT1時間後動作しなかった場合、又は動作したがしゃ断器をしゃ断するに至らなかった場合(ミストリップと称す)は、動作設定時間をT2に切り替えた各継電器は、T2後に動作して動作出力信号を出力し、それぞれのしゃ断器をしゃ断して電源側への影響を抑える。この影響を最小限に抑えるためにバックアップ保護手段を設ける場合がある。
【0042】
図4はロック協調制御回路50にバックアップ保護回路(手段)を設けた場合の回路例で、基本的には、図2のロック協調制御回路50と同様の制御回路でバックアップ保護回路50Bを形成し、このバックアップ保護回路50Bへの地絡検出信号aの入力を、入力遅延回路58で動作設定時間をT3(例えば、280msec)だけ遅らせて入力するものである。なお、回路としてはロック協調制御回路50と同じ構成部分が多いので、同じ部分にはこれと同じ符号にBを付して詳細な説明を省略し、異なる点について説明する。
【0043】
バックアップ保護回路50Bの優先順位設定手段52Bは、ロック協調制御回路50の優先順位設定手段52と連動して優先順位が設定される。但し、優先順位P1は接続回路が無くP2の設定のときは、ロック信号出力回路55にロック指令信号dbを出力し、優先順位P3およびP4の設定では遅延時間t1(20msec)およびt2(40msec)後、他からのロック信号の有無を判断し、無いときはロック指令信号を出力し、あるときはロック指令信号を停止してロック信号の発生を抑えるとともに、出力信号切替手段51Bの動作設定時間をT2からT4(例えば、500sec)に切り替える。
【0044】
なお、これらの動作設定時間T1〜T4の設定時間の関係はT1<T3<T2<T4である。
【0045】
59はロック信号停止回路で、ロック協調制御回路50の出力信号切替手段52の1回目の切替動作時にロック信号出力回路55にロック信号停止のロック停止指令信号fを出す。
【0046】
今、前記の設例における図5のE′点に地絡事故が発生し、継電器DGR4がミストリップした場合、次の優先順位にある継電器DGR3は、優先順位設定手段52,52Bの優先順位がP2に設定され、且つ出力信号切替手段51はT2に切り替えられ、この切り替え時にロック信号停止回路59からの信号により、ロック信号の発生は停止しているので、地絡検出信号aが入力遅延回路58に入力された後、その動作設定時間T3(280msec)後、オア回路53B,アンド回路54Bを介してロック信号出力手段55にロック指令信号dbを出力し、ロック信号を他の継電器DGR2,DGR1に送出して、その動作を抑え、動作設定時間T2(350msec)後に出力信号切替手段51Bから動作出力信号bを出力ししゃ断器6をしゃ断する。
【0047】
このとき、継電器DGR2とDGR1は、DGR3からのロック信号で、出力信号切替手段51Bの動作設定時間をT2からT4に切り替えられる。従って、更に継電器DGR3にもミストリップがあったときには、DGR2とDGR1は500msec後同様に動作することになる。
【0048】
【発明の効果】
以上のように本発明は、従来のように零相電圧信号を用いることなく、地絡検出信号を用いるとともに、この地絡検出信号を基準にロック信号の有無を、各継電器は、優先順位に従って時間をづらして判断するようにし、動作設定時間T1で動作させるか、又はT2に遅延させるかを判断して協調をもたせるようにしたので、地絡方向継電器無方向性機能を備えた方向継電器に適用でき、しかもバックアップ保護機能も備えることができる等、極めて優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の概念図
【図2】本発明のロック協調制御回路の回路図
【図3】本発明の他の実施の形態の概念図
【図4】本発明のバックアップ保護手段を備えたロック協調制御回路の回路図
【図5】地絡保護継電装置の説明図
【符号の説明】
10…零相電流動作回路
20…零相電流要素
30…零相電圧要素
40…位相比較回路
50…ロック協調制御回路
50B…バックアップ保護手段
51,51B…出力信号切替手段
52,52B…優先順位設定手段
53,53B…オア回路
54,56,54B,56B…アンド回路
55…ロック信号出力手段
57,57B…インシビット回路
58…入力遅延回路
59…ロック信号出力停止回路
60…VO信号・ロック信号混成入出力回路

Claims (4)

  1. 地絡検出信号を入力し、動作出力信号の動作設定時間T1とT2(但し、T1<T2)に切り替えて動作出力信号を出力する出力信号切替手段と、前記地絡検出信号を入力し、この地絡検出信号を予め定めた優先順位に従って出力時間をt1,t2…tnと順次遅らせて設定し、その一つを選択して出力するようにした優先順位設定手段と、前記地絡検出信号と優先順位設定手段の出力信号とのアンド条件が成立し、外部からのロック信号の無いことを条件にロック信号を出力するロック信号出力手段と、外部からのロック信号と優先順位設定手段の出力信号とのアンド条件が成立したとき、前記出力信号切替手段の動作設定時間をT1からT2に切り替えるとともに、ロック信号出力手段のロック信号の発生を抑える手段とを備えたことを特徴とするロック協調制御回路。
  2. 地絡検出信号を入力し、動作出力信号の動作設定時間T1とT2(但し、T1<T2)に切り替えて動作出力信号を出力する出力信号切替手段と、前記地絡検出信号を入力し、この地絡検出信号を予め定めた優先順位に従って出力時間をt1,t2…tnと順次遅らせて設定し、その一つを選択して出力するようにした優先順位設定手段と、前記地絡検出信号と優先順位設定手段の出力信号とのアンド条件が成立し、外部からのロック信号の無いことを条件にロック信号を出力するロック信号出力手段と、外部からのロック信号と優先順位設定手段の出力信号とのアンド条件が成立したとき、前記出力信号切替手段の動作設定時間をT2に切り替えるとともに、ロック信号の発生を抑える手段と、前記出力信号切替手段の動作設定時間をT1からT2に切り替える時に、ロック信号出力手段にロック信号停止の指令信号を出力するロック協調制御回路を形成し、該ロック協調制御回路にバックアップ保護手段を付設するとともに、該バックアップ保護手段は、前記の地絡検出信号を入力して、この地絡検出信号を動作設定時間T3(但し、T3はT1<T3<T2)に設定した遅延手段と、該遅延手段の出力信号を入力し、動作設定時間をT2とT4(但し、T4はT2<T4)に切り替えて動作出力信号を出力する出力信号切替手段と、前記遅延手段の出力信号を入力し、前記ロック協調制御回路の優先順位設定手段と連動して優先順位が設定される優先順位設定手段とを備え、該優先順位設定手段の優先順位2以下では、外部からのロック信号の有無を判断し、無いときに遅延手段の出力信号入力後、動作設定時間T2に後に動作出力信号を出し、外部からのロック信号があるときはロック信号出力手段に、ロック信号停止の指令信号を出力するとともに、バックアップ保護手段の出力信号切替手段の動作設定時間をT4に切り替えるように構成したことを特徴とするロック協調制御回路。
  3. 請求項1又は2記載のロック協調制御回路を備えた継電器を配電線に複数台直列的に設置し、各継電器のロック信号端子を共通の信号線で接続するとともに、各継電器は配電線の負荷側から電源側に優先順位を定め、各継電器は、定められた優先順位に従ってロック協調制御回路内の優先順位設定手段の順位を設定するようにしたことを特徴とする保護継電装置。
  4. 請求項3の継電器は、地絡方向継電器又は無方向性動作機能を備えた地絡方向継電器であることを特徴とする保護継電装置。
JP17949299A 1999-06-25 1999-06-25 ロック協調制御回路と保護継電装置 Expired - Fee Related JP4006138B2 (ja)

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