JP4005775B2 - 同期モータの磁極認識方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、同期モータ(同期電動機ともいう)の自動磁極認識方法に関する。さらに詳述すると、本発明は、ポールセンサ等の位相検出センサを用いずにロータ(回転子ともいう)の磁極位置を認識するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
同期モータの制御にはロータの磁極位置の検出が必要であるが、従来、ポールセンサ等の位相検出センサに代え、位置決め用の位置検出センサであるエンコーダを利用し、ロータの磁極位置の検出を行なう方法がある。
【0003】
例えば、所定の固定子巻線に固定電流を流し、当該固定子巻線に発生した磁界に向かって磁極が引き付けられたときの位置情報を読み取り、以降その位置情報を基として磁極位置を計算する方法がある。
【0004】
また例えば、特開平2−241388号では、図4に示す手順で転流角指令(界磁位相指令ともいう。)αを初期化する方法が開示されている。即ち、同期モータの回転磁界を最大とするために励磁電流を最大とし(ステップ101)、初期化に必要な微小時間のタイマを設定し(ステップ102)、同期モータの出力軸が動いたか否か判定(ステップ103)する。出力軸が動いている場合は(ステップ103;Yes)、前回と同方向か否か判定し(ステップ104)、前回と同方向の場合には(ステップ104;Yes)、一定角度をXとして転流角指令α=(90度−X)だけ前回と同方向に位相をシフトする(ステップ107)。前回と逆方向の場合には(ステップ104;No)、転流角指令α=(90度−X)だけ前回と逆方向に位相をシフトし(ステップ105)、Nを任意の所定角度として、(X+N)を新しい角度Xとする(ステップ106)。同期モータの出力軸が動かなくなるまで上記動作を繰り返し、出力トルク0となる角度αを得る。そして、当該角度αより90度シフトした角度を最初の初期化転流角指令αとする(ステップ108)。
【0005】
出力トルク0となる回転磁界の位置より電気角で90度シフトした回転磁界位置が最大トルクとなるから、この位置を流転角指令とすることによって最大効率で同期モータを駆動することが可能となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の同期モータの磁極認識方法では次のような問題点がある。即ち、固定電流を流してそこに磁極が引き付けられたときの位置情報を読み取る場合においては、はじめに固定電流を流すことで同期モータが電気角の最大±180度の範囲で回転してしまう。このため、例えば同期モータがロボットのアーム制御等に使用されている場合、同期モータの回転範囲内に障害物がある場合等は、磁極位置を認識するに際して障害物に接触してしまう可能性がある。
【0007】
また、特開平2−241388号に係わる同期モータの磁極認識方法では、重力による負荷が考慮されていない。例えば同期モータがロボットのアーム制御等に使用されている場合に、常に重力負荷その他の外乱が同期モータのロータに加わったまま、上記操作を行なうと、その外乱分だけ測定値は誤差を持った値となり、精度は著しく劣化する。また、次の励磁の方向(位相)を前回の出力軸の回転方向だけで決めているために、一連のステップ毎の精度が十分であるとはいえず、結果繰り返しステップが多くなり、処理に時間がかかるという欠点がある。
【0008】
そこで、本発明は、同期モータの微小回転により重力負荷等の外乱の影響を受けず高精度にロータの磁極位置を認識できる同期モータの磁極認識方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため、請求項1記載の同期モータの磁極認識方法は、同期モータの電機子コイルに流す励磁電流によって決まる界磁位相の基準位相θ0から、d−q軸分解したときのd軸の角度がθずれているロータの磁極に対して、界磁位相指令を基準位相θ0にしたときの第一の変位情報を検出し、次に界磁位相指令を(θ0+180度)として第二の変位情報を検出し、次に界磁位相指令を(θ0−90度)として第三の変位情報を検出し、次に界磁位相指令を(θ0+90度)として第四の変位情報を検出し、第二の変位情報と第一の変位情報との差である変位情報差分Δ1と、第四の変位情報と第三の変位情報との差である変位情報差分Δ2を求め、変位情報差分Δ1を変位情報差分Δ2で除した値の逆正接関数値tan-1(Δ1/Δ2)から角度θを求めて、(θ 0 +θ)を新たな基準位相θ 0 としてさらに新たな角度θを求め、新たに求めた角度θが十分に0度に近い設定基準値以下となるまで繰り返して角度θを求め、新たに求めた角度θが設定基準値以下となった場合にロータの磁極位置を(θ0+θ)であると認識するようにしている。
【0010】
したがって、下記に説明する原理によってロータの磁極位置を示す情報である角度θを求めることができる。
【0011】
例えば基準位相θ0を0度と仮定し、当該基準位相0度を界磁及び計測の基準とする。ロータの磁極は基準位相0度から角度θ度分ずれている。ここで、ロータの磁極に対して任意位相X度に界磁位相指令したときの発生トルクをTxで表し、その時のロータの角加速度をωx’で表すものとする。イナーシャ(慣性)をJで表し、重力荷重や摩擦等の定値外乱をgで表すと、基準位相0度及び基準位相0度と対角の位相180度にそれぞれ界磁位相指令したときの発生トルクT,T180は、各々数式1及び数式2により表すことができる。
【数1】
0=J×ω0’+g
【数2】
180=J×ω180’+g
界磁位相指令によるロータの変位が微小である場合、即ちθ±ΔθにおいてΔθが微小である場合は、数式3及び数式4が成立する。
【数3】
sinθ≒sin(θ±Δθ)
【数4】
cosθ≒cos(θ±Δθ)
また、発生トルクT0,T180は、定数Ktを用いて、各々数式5及び数式6によっても表すことができる。
【数5】
0=−Kt×sinθ
【数6】
180=Kt×sinθ
発生トルクT180と発生トルクT0との差は、数式1,数式2,数式5,数式6を用いて数式7で表すことができる。
【数7】
180−T0=2×Kt×sinθ=J×(ω180’−ω0’)
ここで、第一の変位情報をω0’とし、第二の変位情報をω180’として、(ω180’−ω0’)をΔ1で表すと、Δ1は数式8で表すことができる。
【数8】
Δ1=ω180’−ω0’={2×Kt/J}×sinθ
一方、基準位相0度及び位相180度と直交する位相(−90度)及び位相(+90度)に界磁位相指令したときの発生トルクT-90,T+90は、各々数式9及び数式10により表すことができる。
【数9】
-90=J×ω-90’+g=−Kt×cosθ
【数10】
+90=J×ω+90’+g=Kt×cosθ
発生トルクT+90と発生トルクT-90との差は、数式9及び数式10を用いて数式11で表すことができる。
【数11】
+90−T-90=2×Kt×cosθ=J×(ω+90’−ω-90’)
ここで、第三の変位情報をω-90’とし、第四の変位情報をω+90’として、(ω+90’−ω-90’)をΔ2で表すと、数式9からΔ2は数式12で表すことができる。
【数12】
Δ2=ω+90’−ω-90’={2×Kt/J}×cosθ
従って数式8及び数式12から数式13に示すようにtanθが求まり、数式14に示すように逆正接関数を用いて角度θを求めることができる。
【数13】
Δ1/Δ2=sinθ/cosθ=tanθ
【数14】
θ=tan-1(Δ1/Δ2)
即ち、(θ0+0度)→(θ0+180度)→(θ0−90度)→(θ0+90度)という一連の界磁位相指令を短期間に行って、同期モータを微小回転させる。換言すれば、短期間の内に、対角な界磁位相指令をペアで発生し、更にこれら界磁位相指令と直交する界磁位相指令をペアで発生して、同期モータを微小回転させる。この間に、界磁位相指令に対応する変位情報として、上記した角加速度ω0’,ω180’,ω-90’,ω+90’若しくは角加速度ω0’,ω180’,ω-90’,ω+90’に相当する変位に関する情報を得るようにする。得られた4つ変位情報から、変位情報差分Δ1と変位情報差分Δ2を算出し、逆正接関数値tan-1(Δ1/Δ2)から角度θを求めることができる。ここで、本発明方法によれば、角度θの導出の過程で、重力荷重や摩擦等の定値外乱gの項は相殺されており、求めた角度θの値から重力荷重や摩擦等の定値外乱gによる誤差が排除される。
【0012】
なお、上記原理よりtanθを求め、これより逆正接関数を用いて角度θを求めるものであれば、上記した(θ0+0度)→(θ0+180度)→(θ0−90度)→(θ0+90度)という一連の界磁位相指令の順番は、次のものであっても良いのは勿論である。即ち、(θ0+0度)→(θ0+180度)→(θ0+90度)→(θ0−90度)という一連の界磁位相指令の順番、(θ0+180度)→(θ0+0度)→(θ0−90度)→(θ0+90度)という一連の界磁位相指令の順番、(θ0+180度)→(θ0+0度)→(θ0+90度)→(θ0−90度)という一連の界磁位相指令の順番、(θ0−90度)→(θ0+90度)→(θ0+0度)→(θ0+180度)という一連の界磁位相指令の順番、(θ0−90度)→(θ0+90度)→(θ0+180度)→(θ0+0度)という一連の界磁位相指令の順番、(θ0+90度)→(θ0−90度)→(θ0+0度)→(θ0+180度)という一連の界磁位相指令の順番、(θ0+90度)→(θ0−90度)→(θ0+180度)→(θ0+0度)という一連の界磁位相指令の順番、のいずれであっても、上記原理よりtanθを求め、これより逆正接関数を用いて角度θを求めれば、結果は同じである。
【0013】
さらに、請求項1記載の同期モータの磁極認識方法では、求めた基準位相θ0からの角度θにより、(θ0+θ)を新たな基準位相θ0として、さらに新たな角度θを求め、当該新たに求めた角度θが十分に0度に近い設定基準値以下となるまで、繰り返して角度θを求めるようにしている。この場合、数式15に示すように、同期モータの電機子コイルに流す励磁電流によって決まる界磁位相の基準位相θ0に上記方法より求めた角度θを加算して、当該加算結果を新たな基準位相θ0とする。
【0014】
請求項に記載の発明は、請求項記載の同期モータの磁極認識方法において、新たな角度θを求める毎に、界磁位相指令における励磁量を増加していくようにしている。したがって、同期モータの回転量を必要最低限の微小回転量に抑えることができる。また、磁極位置を認識するに際して、同期モータが急に大きく回転してしまうことも回避される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0016】
図1から図3に本発明の同期モータの磁極認識方法の実施の一形態を示す。この同期モータ1の磁極認識方法では、同期モータ1の電機子コイルに流す励磁電流によって決まる界磁位相の基準位相θ0から、d−q軸分解したときのd軸の角度がθずれているロータ2の磁極に対して、界磁位相指令を基準位相θ0にしたときの第一の変位情報V0を検出し、次に界磁位相指令を(θ0+180度)として第二の変位情報V180を検出し、次に界磁位相指令を(θ0−90度)として第三の変位情報V-90を検出し、次に界磁位相指令を(θ0+90度)として第四の変位情報V+90を検出し、第二の変位情報V180と第一の変位情報V0との差である変位情報差分Δ1と、第四の変位情報V+90と第三の変位情報V-90との差である変位情報差分Δ2を求め、変位情報差分Δ1を変位情報差分Δ2で除した値の逆正接関数値tan-1(Δ1/Δ2)から角度θを求めて、ロータ2の磁極位置を(θ0+θ)であると認識するようにしている。
【0017】
本実施形態の同期モータ1は、図示しないが、例えばU,V,Wの三相電気子巻線を有し、当該三相電気子巻線に図示しない駆動回路から指令電流を供給し所期の励磁を行なって、例えば永久磁石より成るロータ2の回転制御を行なう。また、本実施形態では例えば既知のd−q軸変換を行ないロータ2の回転制御を行なう。図2はロータ2の磁極位置をロータ2のd軸及びq軸を用いて模式的に表したものである。
【0018】
基準位相θ0は、界磁及び計測の基準となる位相であり、例えば初期値は0度とする。実際のロータ2のd軸が界磁0度(即ち基準位相θ0)から角度θずれているとして、当該角度θを求めることでロータ2の磁極位置を(θ0+θ)であると認識することができる。
【0019】
また、例えば本実施形態の同期モータ1は、図示しないが、位置(速度)指令に応じて所定の電流指令を形成する位置・速度制御装置と、同期モータ1の回転軸に取り付けられロータ2の回転位置を検出できるエンコーダとを備えており、エンコーダの出力を検出することで、界磁位相指令に応じた変位情報を得ることができる。
【0020】
変位情報は、例えば界磁位相指令に対応するロータ2の角加速度、若しくは当該角加速度に相当する変位に関する情報である。例えば本実施形態では、ロータ2のd軸を基準位相θ0に界磁位相指令した時の微小変位(即ち速度に相当)を速度V0として測定し、第一の変位情報とする。同様に、第二の変位情報として、ロータ2のd軸を位相(θ0+180度)に界磁位相指令した時の微小変位即ち速度V180を測定する。第三の変位情報として、ロータ2のd軸を位相(θ0−90度)に界磁位相指令した時の微小変位即ち速度V-90を測定する。第四の変位情報として、ロータ2のd軸を位相(θ0+90度)に界磁位相指令した時の微小変位即ち速度V+90を測定する。
【0021】
ここで、ロータ2のd軸をある位相Xに界磁位相指令するとは、例えばロータ2のd軸を当該位相Xに吸引するように励磁する制御指令を行なうとの意味である。ただし、速度V0,V180,V-90,V+90は、ロータ2のd軸をそれぞれ位相θ0度,(θ0+180度),位相(θ0−90度),位相(θ0+90度)に界磁位相指令した時の微小変位であって、同期モータ1を微小回転させれば測定できる。例えば本実施形態では、界磁位相指令の励磁電流値Iの初期値I0として同期モータ1が微小に回転する程度の小さい値を設定し、後述する処理の過程の中で界磁位相指令の励磁電流値Iを徐々に増加するようにしている。なお、励磁電流値Iの初期値I0及びその増分値ΔIは、例えば、同期モータ1や負荷等の条件に見合った量(事例により具体的な数値は異なる)に、また、ロータ2が不都合なほど(例えば不具合を生じるほど)大きく一方へ回転してしまうことが無い程度に設定する。また、(θ0+0度)→(θ0+180度)→(θ0−90度)→(θ0+90度)という一連の界磁位相指令を、ロータ2が不都合なほど(例えば不具合を生じるほど)大きく一方へ回転してしまうことがないように短期間(短時間)に行って、同期モータ1を微小回転させるようにする。
【0022】
本実施形態における第二の変位情報と第一の変位情報との差である変位情報差分Δ1、即ち速度V180と速度V0の差は加速度に相当し、定数Kvを用いて数式8を変形し、数式16で表すことができる。
【数16】
Δ1=V180−V0=2×Kv×sinθ
同様に、本実施形態における第四の変位情報と第三の変位情報との差である変位情報差分Δ2、即ち速度V+90と速度V-90の差は加速度に相当し、定数Kvを用いて数式12を変形し、数式17で表すことができる。
【数17】
Δ2=V+90−V-90=2×Kv×cosθ
従って、変位情報差分Δ1と変位情報差分Δ2を算出し、逆正接関数値tan-1(Δ1/Δ2)から角度θを求めることができる。
【0023】
また、例えば本実施形態では、求めた基準位相θ0からの角度θにより、(θ0+θ)を新たな基準位相θ0として、さらに新たな角度θを求め、当該新たに求めた角度θが十分に0度に近い設定基準値N以下となるまで、繰り返して角度θを求めるようにしている。
【0024】
さらに、例えば本実施形態では、新たな角度θを求める毎に、界磁位相指令における励磁量、例えば界磁位相指令における励磁電流値Iの値を増加していくようにしている。
【0025】
本実施形態での同期モータ1の磁極認識方法による処理の一例を図1に示す。これらの処理は、例えばプログラムされて同期モータ1の図示しない制御装置に組み込まれており自動処理される。これにより、同期モータ1の自動磁極認識が可能となる。以下、フローチャートに従って処理の一例を説明する。
【0026】
先ず、同期モータ1の電機子コイルに流す励磁電流によって決まる界磁位相の基準位相θ0を設定する。ここでは初期値は例えば0度とする(ステップ1)。界磁位相指令における励磁電流値Iの初期値I0を設定する(ステップ2)。例えば、初期値I0は同期モータ1が微小に回転する程度の小さい値とする。
【0027】
位相θ度にある磁極に対して、励磁電流値Iで基準位相θ0に界磁位相指令し速度V0を測定する(ステップ3)。次に励磁電流値Iで位相(θ0+180度)に界磁位相指令し速度V180を測定する(ステップ4)。次に励磁電流値Iで位相(θ0−90度)に界磁位相指令し速度V-90を測定する(ステップ5)。次に励磁電流値Iで位相(θ0+90度)に界磁位相指令し速度V+90を測定する(ステップ6)。なお、(θ0+0度)→(θ0+180度)→(θ0−90度)→(θ0+90度)という一連の界磁位相指令(ステップ3〜ステップ6)は短期間(短時間)に行って、同期モータ1を微小回転させるようにする。
【0028】
第二の変位情報(即ち本実施形態では速度V180)と第一の変位情報(即ち本実施形態では速度V0)との差である変位情報差分Δ1を算出する(ステップ7)。また、第四の変位情報(即ち本実施形態では速度V+90)と第三の変位情報(即ち本実施形態では速度V-90)との差である変位情報差分Δ2を算出する(ステップ8)。そして、逆正接関数値tan-1(Δ1/Δ2)から角度θを求める(ステップ9)。なお、角度θの値は(−180度〜+180度)の範囲をとる。
【0029】
そして、角度θの測定値が十分に0度に近い設定基準値N以下となるまで、つまりθ0≒θ0+θとなるまで、繰り返して角度θを求めるべく、例えば、求めた角度θと設定基準値Nとを比較する(ステップ10)。なお、設定基準値Nは、例えば同期モータ1の使用条件等による許容誤差の範囲等により任意に設定可能である。
【0030】
求めた角度θが設定基準値Nより大きければ(ステップ10;Yes)、基準位相θ0に求めた角度θを加算して、当該加算結果を新たな基準位相θ0として設定する(ステップ11)。さらに、界磁位相指令時における励磁量を前回界磁位相指令時における励磁量よりも増加するべく、励磁電流値Iの値に増分値ΔIを加算する(ステップ12)。この増加された励磁電流値Iによって、新たに角度θを求めるようにする(ステップ3〜ステップ9)。
【0031】
やがて、角度θが設定基準値N以下となり(ステップ10;No)、所期の精度で、ロータ2の磁極位置を(θ0+θ)であると認識することができる(ステップ13)。
【0032】
図3に、界磁位相指令のシーケンスのイメージを表す。丸印3a,3b,3c,3dは、第一回目の界磁位相指令を(θ0+0度)→(θ0+180度)→(θ0−90度)→(θ0+90度)の順番に行なうことを表す。また、丸印3a,3b,3c,3dが描く円の半径は指令電流値即ち励磁電流値Iの大きさを表す。また、図中の矢印は界磁位相指令の方向を表す。丸印4a,4b,4c,4dは、第一回目で求まったθを新たに基準として開始して(即ちθ0=θ0+θとして)、第二回目の界磁位相指令を(θ0+0度)→(θ0+180度)→(θ0−90度)→(θ0+90度)の順番に行なうことを表す。第二回目では指令電流値即ち励磁電流値Iが大きくなっているので、丸印4a,4b,4c,4dが描く半径も大きくして丸印3a,3b,3c,3dより外側に記してある。
【0033】
なお、上記処理において(θ0+0度)→(θ0+180度)→(θ0−90度)→(θ0+90度)という一連の界磁位相指令におけるロータ2の回転量(初期位置から回転してしまう最大の変化量)が、ある一定値(例えばこれ以上回転して初期位置から移動すると何らかの不具合が発生する値)以上変化することのないように、ロータ2の角度を上記処理の開始から監視することで、同期モータ1の初期回転量を微小に抑えることができる。
【0034】
なお、角度θの値が0度に近づくと、位相(θ0+0度)や位相(θ0+180度)では殆どロータ2は動作しなくなり(即ち、角度θが0度の場合は変位情報差分Δ1は0となる)、位相(θ0−90度)と位相(θ0+90度)で最大の動作をするようになる(即ち、角度θが0度の場合は変位情報差分Δ2は最大値となる)。即ち、角度θの値が0度に近づく程に、直交する位相の変化の違い、即ち変位情報差分Δ1と変位情報差分Δ2との違いが明確となるため、微小変化であっても磁極位置の検出が可能になる。そして、対角な界磁位相指令をペアで順次発生することにより、微小回転量として尚且つ回転位置が元に戻るようになる。
【0035】
以上のように、本発明の同期モータ1の磁極認識方法によれば、角度θの導出の過程で、重力荷重や摩擦等の外乱の影響は理論的に相殺されており、求めた角度θの値から重力荷重や摩擦等の外乱による誤差が排除される。従って、例えば同期モータ1がロボットのアーム制御等に使用される場合であってロータ2に大きな重力負荷がかかっている場合であっても、当該重力負荷の影響を受けずにロータ2の磁極位置を示す情報である角度θを精度良く求めることができる。
【0036】
さらに、本発明によれば、(θ0+0度)→(θ0+180度)→(θ0−90度)→(θ0+90度)という一連の界磁位相指令における変位情報から直接的に、ロータ2の磁極位置を示す情報である角度θを求めているので、当初から比較的精度良い値が得られる。更に求めた角度θから新たに角度θを繰り返し求めるようにすれば一繰返し処理毎にロータ2の磁極位置を示す(θ0+θ)は高精度化されていく。したがって、例えば、次回励磁方向(位相)を前回の出力軸の回転方向だけで決めるようにする従来法に比すれば、繰り返しステップ数はずっと少なくて済む。
【0037】
さらに、本発明によれば、(θ0+0度)→(θ0+180度)→(θ0−90度)→(θ0+90度)という一連の界磁位相指令を短期間(時間)に行うことで、総合的な回転量を減らすことができる。即ち、同期モータ1や負荷等の条件に見合った量に対応するように界磁位相指令の大きさとなる電機子電流値即ち励磁電流値Iを適当に小さく、また、ロータ2が不都合なほど(例えば不具合を生じるほど)大きく一方へ回転してしまうことがないように適当に短い時間だけ指令する(即ち電流を流す)ことで、ロータ2の回転量を十分小さくすることができる。
【0038】
何故なら、0度と180度、−90度と+90度というように、対角な界磁位相指令をペアで順次発生し更に直交する対角な界磁位相指令をペアで順次発生することにより、一度その指令の方向に動こうとしても、すぐ次に逆方向の指令を発生させるようにしているため大きく回転することはないからである。即ち、その時の回転量を微小にしつつ回転位置を元に戻すことができるから、各界磁位相指令によるロータ2の回転位置の総和は0に近く、モータ軸の総移動量はきわめて少ない。また、角度θの値が0度に近づく程に、直交する位相の変化の違い、即ち変位情報差分Δ1と変位情報差分Δ2との違いが明確となるため、微小変化であっても磁極位置の検出は容易である。したがって、微小時間の微小指令により高精度に磁極位置を認識するとともに、同期モータ1の初期回転量を微小にすることができ、従来のように大きな初期回転を発生しなくて済む。さらに、徐々に界磁位相指令における励磁量を増加していくことで、同期モータの回転量を必要最低限の微小回転量に抑えることができ、また磁極位置を認識するに際して、同期モータ1が急に大きく回転してしまうことも回避できる。これにより例えば同期モータ1がロボットのアーム制御等に使用されている場合に、磁極位置を認識するに際してアームが障害物に接触してしまうといった事故を防止できる。
【0039】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
【0040】
例えば、上述の実施形態では、新たな角度θを求める毎に、界磁位相指令における励磁量を小さなものから徐々に大きくしていくようにしたが、必ずしもこの例に限定されず、初回から励磁を最大にして界磁位相指令をおこなうようにしても良い。
【0041】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1記載の同期モータの磁極認識方法によれば、角度θの導出の過程で重力荷重や摩擦等の外乱の影響は理論的に相殺され、当該重力等の影響を受けることなく精度良く磁極位置を認識することができる。さらに、(θ0+0度)→(θ0+180度)→(θ0−90度)→(θ0+90度)という一連の界磁位相指令を短期間に行うことで、磁極認識における同期モータの総合的な回転量を減らすことができる。したがって、高精度に磁極位置を認識するとともに、同期モータの初期回転量を微小にすることができる。
【0042】
さらに、請求項に記載の同期モータの磁極認識方法では、求めた基準位相θ0からの角度θにより、(θ0+θ)を新たな基準位相θ0として、さらに新たな角度θを求め、当該新たに求めた角度θが十分に0度に近い設定基準値以下となるまで、繰り返して角度θを求めるようにしているので、所期の精度でロータの磁極位置を(θ0+θ)であると認識することができる。
【0043】
本発明では、一連の界磁位相指令における変位情報から直接的に角度θを求めているので、当初から比較的精度良い値が得られ、更に求めた角度θから新たに角度θを繰り返し求めることで一繰返し処理毎にロータの磁極位置を示す(θ0+θ)は高精度化されていく。したがって、例えば、次回励磁方向(位相)を前回の出力軸の回転方向だけで決め、徐々に真値に近づける従来法に比すれば、繰り返しステップ数はずっと少なくて済む。
【0044】
また、角度θの値が0度に近づく程に、直交する位相の変化の違い、即ち変位情報差分Δ1と変位情報差分Δ2との違いが明確となるため、微小変化であっても磁極位置の検出は容易である。したがって、高精度に磁極位置を認識するとともに、同期モータの初期回転量を微小にすることができる。
【0045】
さらに、請求項に記載の同期モータの磁極認識方法では、新たな角度θを求める毎に界磁位相指令における励磁量を増加していくようにしているので、同期モータの回転量を必要最低限の微小回転量に抑えることができ、また磁極位置を認識するに際して同期モータが急に大きく回転してしまうことも回避できる。これにより、例えば同期モータがロボットのアーム制御等に使用されている場合に、磁極位置を認識するに際してアームが障害物に接触してしまうといった事故を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の同期モータの磁極認識方法による処理の一例を示すフローチャートである。
【図2】本発明を適用した同期モータにおいてロータの磁極位置をd軸及びq軸を用いて表した模式図である。
【図3】本発明を適用した同期モータにおいてロータの磁極位置を表した模式図であり、界磁位相指令のシーケンスのイメージを表す模式図である。
【図4】従来の転流角指令を初期化する方法を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 同期モータ
2 ロータ

Claims (2)

  1. 同期モータの電機子コイルに流す励磁電流によって決まる界磁位相の基準位相θ0から、d−q軸分解したときのd軸の角度がθずれているロータの磁極に対して、界磁位相指令を上記基準位相θ0にしたときの第一の変位情報を検出し、次に界磁位相指令を(θ0+180度)として第二の変位情報を検出し、次に界磁位相指令を(θ0−90度)として第三の変位情報を検出し、次に界磁位相指令を(θ0+90度)として第四の変位情報を検出し、前記第二の変位情報と前記第一の変位情報との差である変位情報差分Δ1と、前記第四の変位情報と前記第三の変位情報との差である変位情報差分Δ2を求め、前記変位情報差分Δ1を前記変位情報差分Δ2で除した値の逆正接関数値tan-1(Δ1/Δ2)から前記角度θを求めて、(θ 0 +θ)を新たな基準位相θ 0 としてさらに新たな角度θを求め、当該新たに求めた角度θが十分に0度に近い設定基準値以下となるまで繰り返して角度θを求め、新たに求めた角度θが前記設定基準値以下となった場合に前記ロータの磁極位置を(θ0+θ)であると認識することを特徴とする同期モータの磁極認識方法。
  2. 新たな角度θを求める毎に、上記界磁位相指令における励磁量を増加していくことを特徴とする請求項記載の同期モータの磁極認識方法。
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