JP4005652B2 - 高温空気加熱器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高温ガスの熱回収をする高温空気加熱器に係り、特に、都市ごみ焼却炉や産業廃棄物焼却炉における廃棄物(家庭やオフィスなどから出される都市ごみなどの一般廃棄物、廃プラスチック、カーシュレッダー・ダスト、廃オフィス機器、電子機器、化粧品などの産業廃棄物等、可燃物を含むもの)の焼却処理で発生する高温排ガスの熱エネルギーを空気と熱交換することにより回収し、熱エネルギーの有効利用を図る高温空気加熱器に関する。
【0002】
【従来の技術】
都市ごみ焼却炉や産業廃棄物焼却炉では、廃棄物の焼却処理で発生する高温の燃焼排ガス(以下、「高温排ガス」と云う)の熱エネルギーを回収して有効利用するため、高温空気加熱器が設けられている。高温空気加熱器は、金属製の伝熱管内に空気を流通させて、高温排ガスとの熱交換により空気を高温に加熱して熱回収するものであって、高効率の熱エネルギー回収システムである。しかして、回収された熱エネルギーは、廃棄物の熱分解、発電及びその他の施設に、その熱源として有効利用されている。
【0003】
そして、この高温空気加熱器は高温の燃焼排ガスが腐食性を有するため例えば本出願人が特開平8−94051号で提案しているように伝熱管を伝熱外管と伝熱内管内とより構成し、この伝熱外管を所定の間隙を有するように耐火材で被覆するようになっている。そしてこの伝熱管は高温ガス流路内にこのガス流路方向に延在するよう懸吊して配置されるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記都市ごみ焼却炉や産業廃棄物焼却炉で使用される高温空気加熱器における伝熱管は、高温排ガスの熱エネルギーを効率的に回収するため、伝熱管の長さが大となるばかりでなく重量も大となる。したがって伝熱管の支持も強固にする必要があり加えてメンテナンス時にガス流路から伝熱管を取出す場合その作業は大変面倒なものとなっている。又伝熱管の長さが大きいと熱歪による変形も受け易くなるという問題がある。
【0005】
本発明の課題は、高温ガスの熱エネルギーを空気によって熱回収し、熱エネルギーの有効利用を図る高温空気加熱器において、伝熱管の長さを小さくでき、かつ熱歪による変形を小さくすることにある。
【0006】
上記の課題を解決するため、第1の発明の高温空気加熱器は、先端が閉塞された伝熱外管内に伝熱内管を同軸に挿入し、該伝熱内管の先端を開口して前記伝熱外管内に連通させ、前記伝熱外管を耐火性保護材で被覆して伝熱管を形成し、該伝熱管により形成される第1と第2の空気加熱器を高温ガス流路内に配置して構成され、前記高温ガス流路は、鉛直方向に延在され上方で折り返して形成された上流側流路と下流側流路を有し、前記第1の空気加熱器は、前記上流側流路の前記折り返し部の流路天井を貫通させて懸吊して設けられ、前記第2の空気加熱器は、前記下流側流路の前記折り返し部の流路天井を貫通させて懸吊して設けられ、第2の空気加熱器の伝熱内管の上端は、被加熱空気の供給流路に連結され、第2の空気加熱器の伝熱外管の上端は、第1の空気加熱器の伝熱外管の上端に連結管で連結され、第1の空気加熱器の伝熱内管の上端は、被加熱空気の排出流路に連結された構成とする。また、これに代えて、第1と第2の空気加熱器の連結は、第2の空気加熱器の伝熱外管の上端を第1の空気加熱器の伝熱内管の上端に連結管で連結するようにしてもよい。
【0007】
また、第2の発明の高温空気加熱器は、第1の発明に代えて、第1と第2の空気加熱器を並列に接続したことを特徴とする。つまり、第1及び第2の空気加熱器の伝熱内管の上端は、被加熱空気の供給流路と連結され、第1及び第2の空気加熱器の伝熱外管の上端は、被加熱空気の排出流路と連結された構成とする。
【0008】
このように第1の発明及び第2の発明の如く構成された高温空気加熱器によれば、空気加熱器を高温ガス流路の上流側流路と下流側流路に分けて配置したことから、伝熱管の長さ及び重量を小さくすることができ、かつ熱歪による変形を小さくすることができる。したがって、懸吊するための支持構造を比較的軽構造とすることができるばかりでなく、メンテナンス時において伝熱管を高温ガス流路から上方に取出す場合の作業を簡略化することができる。そして、第1の発明における高温空気加熱器においては低温の被加熱空気が第2の空気加熱器に供給されて加熱される。この第2の空気加熱器を構成する伝熱外管と伝熱内管とは一端、具体的には下端において連通されている。ここで、低温の被加熱空気は第2の空気加熱器の伝熱内管内を経て伝熱外管内に供給されて加熱されるか、又は伝熱外管内を経て伝熱内管内に供給されて加熱されるかの何れか一方の方式を選択することができるが、熱効率の面から見れば前者の方式が好ましい。
【0009】
このようにして第2の空気加熱器により所定の温度に加熱された被加熱空気は第1の空気加熱器を構成する伝熱外管内を経て伝熱内管内に供給されて過熱されるか又は伝熱内管内を経て伝熱外管内に供給されて過熱されるかの何れか一方の方式が選択されるが、好ましくは後者が採用される。
【0010】
一方第2の発明における高温空気加熱器においては低温の被加熱空気は第1の空気加熱器及び第2の空気加熱器に供給され加熱されるが、かかる構成による高温空気加熱器によれば高温ガス流路面積に対して被加熱空気の流路面積を大とすることができるため被加熱空気の圧力損失を低下させることができる。この場合、低温の被加熱空気は第2の空気加熱器の伝熱内管内を経て伝熱外管内に供給されて加熱されるか、伝熱外管内を経て伝熱内管内に供給されて加熱されるかの何れか一方の方式を選択することができるが、熱効率の面から見れば前者の方式が好ましい。そして第1の空気加熱器に供給される被加熱空気も第2の空気加熱器と同様にして伝熱内管内を経て伝熱外管内に供給されて加熱されるか又は伝熱外管内を経て伝熱内管内に供給されて加熱されるかの何れか一方の方式が選択される。この選択において後者の場合、高温ガスの入口部で空気温度、管壁温度や耐火物温度が高くなる傾向があり、そのため耐久性の点から見れば前者の方式が選択される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下図1乃至図5に基づき本発明による高温空気加熱の実施例を説明する。これらの図において同一符号は同一名称を示す。
【0012】
図5は、本発明に係る高温空気加熱器を備えた廃棄物処理装置1の一実施例を示す系統図である。本実施の形態の廃棄物処理装置1において、都市ごみ等の廃棄物aは、例えば二軸剪断式等の破砕機で、150mm角以下に破砕され、コンベア等により投入部12内に投入される。投入部12に投入された廃棄物aはスクリューフィーダ13を経て熱分解反応器14の回転するドラム本体内に供給される。廃棄物aは熱分解反応器14内で、燃焼炉、例えば熱分解残留物等を燃焼させ溶融させる燃焼溶融炉20の後流側に配置された熱交換器である高温空気加熱器2により加熱され被加熱空気ラインL1を介して供給される被加熱空気g(熱媒体)により300〜600℃に、通常は450℃程度に加熱される。
【0013】
熱分解反応器14から排出される低温被加熱空気g’は被加熱空気ラインL1’を経て再び高温空気加熱器2に供給されるようになっている。被加熱空気gにより加熱された廃棄物aは、熱分解して熱分解ガスG1と、主として不揮発性成分からなる熱分解残留物bとになり、排出装置15に送られて分離される。排出装置15で分離された熱分解ガスG1は、排出装置15の上部から熱分解ガスラインL2を経て燃焼溶融炉20のバーナ21に供給される。排出装置15の下部から排出された熱分解残留物bは、450℃程度の比較的高温であるため、冷却装置16により80℃程度に冷却され、例えば磁選式、うず電流式、遠心式又は風力選別式等の公知の単独又は組み合わされた分離装置17に供給され、ここで細粒の燃焼性成分c(灰分を含む)と粗粒の不燃焼性成分dとに分離され、不燃焼性成分dはコンテナ19に回収され再利用される。
【0014】
更に、燃焼性成分cは、粉砕機18により、例えば1mm以下に微粉砕され、燃焼性成分ラインL3を経て燃焼溶融炉のバーナ21に供給され、熱分解ガスラインL2から供給された熱分解ガスG1と押込送風機22により燃焼用空気ラインL4から供給された燃焼用空気eと共に1,300℃程度の高温域で燃焼され、このとき発生した灰分はその燃焼熱により溶融スラグfとなって、この燃焼溶融炉20の内壁に付着し、更に、内壁を流下し底部排出口23から水槽24に落下し冷却固化される。
【0015】
燃焼溶融炉20で生じた高温排ガスG2は、本発明に係る高温空気加熱器2を経て煙道ガスラインL5を介して廃熱ボイラ25で熱回収され、集塵器27で除塵され、更に排ガス浄化装置28で有害成分が除去された後、低温のクリーンな排ガスG3となって誘引送風機29を介して煙突30から大気へ放出される。廃熱ボイラ25で生成した蒸気は、蒸気タービンを有する発電機26で発電に利用される。クリーンな排ガスG3の一部はファン31を介して排ガス循環ラインL6により冷却装置16に戻される。
【0016】
図1及び図2は上記廃棄物処理装置1に備えられた高温空気加熱器2の実施例を示すものであって、この高温空気加熱器2は高温ガス流路11の上流側に配置された第1の空気加熱器3と後流側に配置された第2の空気加熱器4とにより構成されている。詳述すればこの第1の空気加熱器3と第2の空気加熱器4とは夫々図示しない耐火性保護材で被覆された伝熱外管5,6とこの伝熱外管5,6と同一軸上に配置された伝熱内管7,8とよりなる伝熱管9,10により構成されている。この伝熱管9,10は耐熱性、耐食性に優れた例えばSUS310等が使用され、その伝熱外管5,6の下端は封鎖されるとともに伝熱内管7,8の下端とは所定の間隔mを有しかつ高温ガス流G2’方向に延在するようその上端部において高温ガス流路壁11aに懸吊されるよう配置されている。そして第1の空気加熱器3を構成する伝熱内管7は被加熱空気ラインL1に連結されるとともに第2の空気加熱器4の伝熱内管8は被加熱空気ラインL1’に連結されている。更に第1の空気加熱器3の伝熱外管5と第2の空気加熱器4の伝熱外管6とは連結管12により連結されている。
【0017】
かかる構成による高温空気加熱器2において、今被加熱空気ラインL1’から第2の空気加熱器4に供給される低温の被加熱空気g’は伝熱内管8内を経て伝熱外管6内に流れる間に高温の燃焼排ガスG2により加熱されこの加熱された被加熱空気g1は連結管12により第1の空気加熱器3の伝熱外管5内において過熱され、より高温の被加熱空気gとなって伝熱内管7及び被加熱空気ラインL1を経て熱分解反応器14に供給されるのである。
【0018】
図2は他の実施例を示すものであって、第2の空気加熱器4で加熱された高温の被加熱空気g1は連結管12を経て第1の空気加熱器3の伝熱内管7及び伝熱外管5内に供給され過熱によりより高温の被加熱空気gとなって被加熱空気ラインL1から熱分解反応器14に供給されるようになている。
【0019】
前記実施例においては低温の被加熱空気g’を先ず第2の空気加熱器4の伝熱内管8内に供給するよう構成した高温空気加熱器2について説明したが、もちろん、この低温の被加熱空気g’は必要に応じて第2の空気加熱器4の伝熱外管6内に供給するよう構成することもできる。
【0020】
図3及び図4は他の構成による高温空気加熱器2を示すものである。図3に示す高温空気加熱器2は参考例を示し、低温の被加熱空気g’は被加熱空気ラインL1’を経て一部が分岐管L1a’から第1の空気過熱器3の伝熱外管5内に、そして残部が分岐管L1b’から第2の空気加熱器4の伝熱内管8内に夫々供給されて加熱される。そしてこの第1の空気加熱器3及び第2の空気加熱器4で加熱された高温の被加熱空気gは被加熱空気ラインL1を経て熱分解反応器14に供給されるのである。
【0021】
図4に示す高温空気加熱器2は実施例を示し、低温の被加熱空気g’の一部が分岐管L1a’から第1の空気加熱器3の伝熱内管7内に、残部が分岐管L1b’から第2の空気加熱器4の伝熱内管8内に供給され加熱され高温の被加熱空気gとなって被加熱空気ラインL1より熱分解反応器14に供給されるのである。これらの実施例においては、低温の被加熱空気g’の一部は第1の空気加熱器3の伝熱外管5内に又は伝熱内管7内に供給されて加熱され、一方残部は第2の空気加熱器4の伝熱内管8内に供給されて加熱される場合について説明したが第2の空気加熱器4に供給される低温の被加熱空気g’の残部は必要に応じて伝熱外管6内に供給するよう構成してもよい。このように第1の空気加熱器3及び第2の空気加熱器4への被加熱空気g’の供給は必要に応じて種々選択することができるが、特に第1の空気加熱器3への供給は図4に示すように伝熱外管7内に供給するよう構成すれば比較的低温の被加熱空気g’が高温部である下端まで導かれるため、かかる部分での空気温度、管壁温度、耐火物温度の上昇を抑制することが可能となり、その結果高温空気加熱器の耐久性を向上させることができる。
【0022】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように本発明による高温空気加熱器によれば、第1の空気加熱器と第2の空気加熱器とにより所定の被加熱空気を得るようにしたため長さが小さくなり、その結果懸吊する場合の支持構造を軽構造とすることができるばかりでなく、メンテナンス等を行なう場合においてこの高温空気加熱器を高温ガス流路から上方へ取出すときの作業を大巾に簡略化することができる。
【0023】
加えて特に第2の発明によれば、高温ガス流路面積に対する被加熱空気流路面積を充分に取ることができ、その結果所定の被加熱空気を得るための流速を低下させるこができる。このことは圧力損失を減少させることができるという効果となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の高温空気加熱器の一実施例を示す概略断面図である。
【図2】 本発明の高温空気加熱器の他の実施例を示す概略断面図である。
【図3】 本発明の高温空気加熱器の参考例を示す概略断面図である。
【図4】 本発明の高温空気加熱器のさらに他の実施例を示す概略断面図である。
【図5】 本発明の高温空気加熱器を備えた廃棄物処理装置の一実施の形態を示す系統図である。
【符号の説明】
2 高温空気加熱器
3 第1の空気加熱器
4 第2の空気加熱器
5、6 伝熱外管
7、8 伝熱内管
9、10 伝熱管
G2、G2’ 高温排ガス
g、g’、g1 被加熱空気
Claims (3)
- 先端が閉塞された伝熱外管内に伝熱内管を同軸に挿入し、該伝熱内管の先端を開口して前記伝熱外管内に連通させ、前記伝熱外管を耐火性保護材で被覆して伝熱管を形成し、該伝熱管により形成される第1と第2の空気加熱器を高温ガス流路内に配置して構成され、
前記高温ガス流路は、鉛直方向に延在され上方で折り返して形成された上流側流路と下流側流路を有し、
前記第1の空気加熱器は、前記上流側流路の前記折り返し部の流路天井を貫通させて懸吊して設けられ、
前記第2の空気加熱器は、前記下流側流路の前記折り返し部の流路天井を貫通させて懸吊して設けられ、
第2の空気加熱器の伝熱内管の上端は、被加熱空気の供給流路に連結され、
第2の空気加熱器の伝熱外管の上端は、第1の空気加熱器の伝熱外管の上端に連結管で連結され、
第1の空気加熱器の伝熱内管の上端は、被加熱空気の排出流路に連結されている高温空気加熱器。 - 先端が閉塞された伝熱外管内に伝熱内管を同軸に挿入し、該伝熱内管の先端を開口して前記伝熱外管内に連通させ、前記伝熱外管を耐火性保護材で被覆して伝熱管を形成し、該伝熱管により形成される第1と第2の空気加熱器を高温ガス流路内に配置して構成され、
前記高温ガス流路は、鉛直方向に延在され上方で折り返して形成された上流側流路と下流側流路を有し、
前記第1の空気加熱器は、前記上流側流路の前記折り返し部の流路天井を貫通させて懸吊して設けられ、
前記第2の空気加熱器は、前記下流側流路の前記折り返し部の流路天井を貫通させて懸吊して設けられ、
第2の空気加熱器の伝熱内管の上端は、被加熱空気の供給流路に連結され、
第2の空気加熱器の伝熱外管の上端は、第1の空気加熱器の伝熱内管の上端に連結管で連結され、
第1の空気加熱器の伝熱外管の上端は、被加熱空気の排出流路に連結されている高温空気加熱器。 - 先端が閉塞された伝熱外管内に伝熱内管を同軸に挿入し、該伝熱内管の先端を開口して前記伝熱外管内に連通させ、前記伝熱外管を耐火性保護材で被覆して伝熱管を形成し、該伝熱管により形成される第1と第2の空気加熱器を高温ガス流路内に配置して構成され、
前記高温ガス流路は、鉛直方向に延在され上方で折り返して形成された上流側流路と下流側流路を有し、
前記第1の空気加熱器は、前記上流側流路の前記折り返し部の流路天井を貫通させて懸吊して設けられ、
前記第2の空気加熱器は、前記下流側流路の前記折り返し部の流路天井を貫通させて懸吊して設けられ、
第1及び第2の空気加熱器の伝熱内管の上端は、被加熱空気の供給流路と連結され、
第1及び第2の空気加熱器の伝熱外管の上端は、被加熱空気の排出流路と連結されている高温空気加熱器。
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