JP4005527B2 - 間仕切耐力壁 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、間仕切壁に関するものであり、より詳細には、鋼製のスタッド材で構成された間仕切下地と、間仕切耐力ブレースと、を有する間仕切耐力壁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、建築物又は工作物の間仕切壁において、鋼製スタッドにより間仕切下地を構成したものがある。このような間仕切下地を使用する場合は、壁芯に沿って鋼製スタッドを所定間隔で配置し、その上端部及び下端部を天井ランナー及び床ランナーでそれぞれ支持し、鋼製スタッドの側面に壁面を形成するボードを貼設していた。
【0003】
上記構成の間仕切壁のうち、構造躯体の縦柱間に間仕切耐力ブレースが設けられた間仕切耐力壁において、間仕切耐力ブレースの位置でスタッド材を切断し、ブレース通し穴を設けたブレースソケットによりスタッド材同士を接続した構造が知られている。(例えば、特許文献1)。
【0004】
また、壁芯に沿って配設されたスタッドの両側面にそれぞれU字型断面のブレースを設け、ブレース部を除いたスタッドの側面部分にプラスターボード等の下地材を貼設するとともに、ブレース断面内部に充填材を貼着し、全体が面一となるよう構成した構造が知られている(例えば、特許文献2)。
【0005】
また、鋼製スタッドにより間仕切下地を構成した遮音間仕切壁が知られている。この遮音間仕切壁は、ランナー材の断面巾がスタッド材の断面巾よりも大きく形成されている。そして、ランナーでスタッドの端部を支持する際には、スタッドの側面がランナーの一方の内法面に接するように立設し、他方の内法面とスタッドとの間に遮音壁用スペーサーを装着して一定の間隔を保持し、遮音壁用スペーサー側の壁面材とスタッドとが連結しないように構成されている。そして、スタッドは、壁芯に沿って配設されるランナーの平行な内法面に、互い違いに接するように配置される(いわゆる千鳥桟)ことにより、壁面材同士が連結しない構造となっている(例えば、特許文献3)。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−82027号公報(第2頁、図3)
【特許文献2】
特許第2759629号公報(第2頁、図2)
【特許文献3】
特開平7−119226号公報(第2頁〜第3頁、図3、図5)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の技術は、いずれも、スタッド材の切断や、ビス固定による連結といった加工を現場で行わなければならず、さらには壁面を面一とするためにボードを所定形状に切断して貼設しなければならない等、施工が煩雑で手間を要するものであった。また、遮音壁の構造は、音の伝播を防止するために壁面材同士が連結しないようにしたものであるため、壁体の剛性としては劣るものであった。
【0008】
本発明の目的は、施工が容易で現場作業の簡略化を図ることができる間仕切耐力壁を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、壁体の剛性を確保できるとともに、汎用性の高い間仕切耐力壁を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の間仕切耐力壁の構造は、以下の通りである。(1)一対の間仕切耐力柱間に間仕切耐力ブレースを掛け渡して構成された耐力面を有する間仕切耐力フレームと、前記耐力面の両側に配設された一対の間仕切下地と、前記一対の間仕切下地を所定の間隔を保持して連結する連結部材と、を有する間仕切耐力壁であって、前記間仕切下地は、前記一対の間仕切耐力柱間に所定間隔をおいて配設される一対のランナーと、前記一対のランナーに両端部を支持されて配設されるスタッドと、を有し、前記連結部材は、前記間仕切下地を構成するスタッドに装着されることを特徴とする。
【0011】
そして、このような構成により、ブレース材とスタッド材が干渉しないので、スタッド材を切断して連結する作業が不要である。また、ブレース材と壁仕上材との間に間仕切下地を有するため、壁仕上材を施工するためにボード等を所定形状に切断して壁面が面一になるよう貼設するという作業が不要である。従って、施工を容易にするとともに現場作業を簡略化し、品質の安定化を図ることができる。
【0012】
(2)なお、前記一対のランナーは略コの字形状断面の長尺部材からなり、前記スタッドは角形断面の長尺部材からなり、前記一対のランナーは、前記一対の間仕切耐力柱の上端部間と下端部間とにそれぞれ前記略コの字形状断面の開放面を互に対向させて配設され、前記スタッドは、両端を前記一対のランナーによって挟持されて立設されるように構成すると良い。
【0013】
このような構成により、壁厚を変更しても間仕切下地を構成するランナーとスタッドの部材品種を変更する必要がない。従って、汎用性の高い間仕切耐力壁を提供でき、部材品種の削減に寄与することができるため、好適である。
【0014】
(3)さらに、前記連結部材については、前記一対のスタッド間に所定の間隔を保持する間隔保持片と、前記一対のスタッドにそれぞれ嵌着する嵌着部とを有し、該嵌着部は、前記スタッドに当接する当接面と、該当接面に連続して設けられ、前記スタッドを挟持する一対の挟持片を有してなるように構成すると良い。
【0015】
このような構成により、ブレースに干渉しない位置であればどこでも連結可能であり、壁体の所要剛性に応じて連結部の位置や数を変更することができるため、汎用性の高い間仕切耐力壁を提供できる。また、ビス等の補助連結部材が不要であるため、施工を容易にするとともに現場作業の簡略化を図ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
【0017】
図1は本発明の間仕切耐力壁を示す斜視図であり、図2は本発明の間仕切耐力壁を、間仕切耐力フレームと間仕切下地と連結部材(スタッドスペーサー)とに分解した状態を示した斜視図である。そして、図3は水平断面図(図1のA−A'断面図)であり、図4は垂直断面図(図1のB−B'断面図)である。また、図5は本発明のスタッドスペーサーの斜視図であり、図6は本発明のスタッドスペーサーによるスタッドの連結方法を示す説明図である。
【0018】
本発明の間仕切耐力壁は、図1及び図2に示すように、一対の間仕切耐力柱1a,1a間に間仕切耐力ブレース1bを斜めに交差させて掛け渡して構成された耐力面を有する間仕切耐力フレーム1を備えている。
【0019】
前記耐力面の両側には、一対の間仕切下地2,2が設けられている。この間仕切下地2の構成は、以下の通りである。一対の間仕切耐力柱1a,1aの上端部間に上部ランナー2aを配設し、下端部間に下部ランナー2bを配設する。このとき、上部ランナー2a及び下部ランナー2bは、耐力面に対して同じ側に配設されている。そして、これら上部ランナー2aと下部ランナー2bとの間に複数のスタッド2cを配設して構成されている。さらに、スタッド2cの側面には壁面材4(例えば、石膏ボード)が貼設されて壁面が形成されている。
【0020】
前記上部ランナー2aと下部ランナー2bは、図3に示すように、略コの字形状断面の鋼製の長尺材からなり、略コの字形状の開放面が対向するように配設され、それぞれ天井部5と床部6とに固着部材8(例えば、ビス)により固定される。
【0021】
前記スタッド2cは中空部を有する角形断面の鋼製の長尺部材からなり、両端部をそれぞれ前記上部ランナー2aと下部ランナー2bに挟持されて立設されている。
【0022】
また、図3及び図4に示すように、前記スタッド2cは、耐力面をはさんで反対側にあるもう一方の間仕切下地を構成するスタッド2cと正対するように配設される。そして、正対するスタッド同士は、スタッドスペーサー3によって所定の間隔を保持して連結される。連結位置は各スタッドの端部から所定間隔ごととする。但し、間仕切耐力ブレース1bとスタッドスペーサー3が干渉する場合は、スタッドスペーサー3の位置を干渉しないところまでずらせるものとする。
【0023】
前記スタッドスペーサー3は鋼板を折り曲げ成形して形成され、図5に示すように、前記正対する一対のスタッド間に所定の間隔を保持する間隔保持片3aと、前記正対する一対のスタッド2c,2cにそれぞれ嵌着する略コの字形の嵌着部3b,3bとを有する。この嵌着部3bは、スタッド2cに当接する当接面3cと、当接面に連続して設けられ、前記スタッドを挟持する一対の挟持片3d,3dとを有する。
【0024】
前記スタッドスペーサー3を用いてスタッド同士を連結する際には、図6に示すように、まず、正対する一対のスタッド2c,2cをそれぞれ耐力面から離間する方向に撓ませる。そして、このようにスタッド同士の間隔を拡げてから、スタッドスペーサー3をその間に割り込ませる。そして、挟持片3d,3dと当接面3cで囲まれた略コの字形の嵌着部3bにスタッド2cを嵌着する。
【0025】
なお、図5に示すように、挟持片3dには、挟持力を強めてスタッドスペーサー3が簡単に落下しないようにするため、スタッド2c側に突出する突起部3eを設ける加工を施してもよい。また、当接面3cと間隔保持片3aとの間の折曲部には、補強のためにリブ3fを形成するようにしてもよい。
【0026】
また、スタッドスペーサーは、上記したものとは異なる形態であってもよい。図7は別実施例のスタッドスペーサーの斜視図であり、図8は図7に示すスタッドスペーサーによるスタッドの連結方法を示す説明図である。
【0027】
前記スタッドスペーサー3が耐力面の面外方向からスタッドに嵌着するものであるのに対して、このスタッドスペーサー7は、耐力面の面内方向からスタッド2cに嵌着するように構成されている。
【0028】
前記スタッドスペーサー7は、図7に示すように、間隔保持片7aと嵌着部7b,7bとを有し、嵌着部7bは、スタッド2cに当接する当接面7cと一対の爪片7d,7dとを有する。
【0029】
このような形状では、スタッドスペーサーによりスタッド同士を連結する際に、スタッド2cを耐力面から離間する方向に撓ませてスタッドスペーサー7を割り込ませる必要がないため、ランナーに近接する位置であっても容易にスタッド同士を連結することができ、より施工時の作業性が向上する。
【0030】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に係る発明によれば、スタッド材を切断して連結する作業が不要であり、壁仕上材を施工するためにボード等を所定形状に切断して壁面が面一になるよう貼設するという作業が不要である。従って、施工を容易にするとともに現場作業を簡略化し、品質の安定化を図ることができるという効果を奏する。
【0031】
また、請求項2に係る発明によれば、壁厚を変更しても間仕切下地を構成するランナーとスタッドの部材品種を変更する必要がなく、汎用性の高い間仕切耐力壁を提供でき、部材品種の削減に寄与するという効果を奏する。
【0032】
また、請求項3に係る発明によれば、ブレースに干渉しない位置であればどこでも連結可能であり、壁体の所要剛性に応じて連結部の位置や数を変更することができるため、汎用性の高い間仕切耐力壁を提供できるという効果を奏する。更に、ビス等の補助連結部材が不要であるため、施工を容易にするとともに現場作業の簡略化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の間仕切耐力壁の斜視図である。
【図2】本発明の間仕切耐力壁の分解斜視図である。
【図3】本発明の間仕切耐力壁の水平断面図(図1のA−A'断面図)である。
【図4】本発明の間仕切耐力壁の垂直断面図(図1のB−B'断面図)である。
【図5】本発明のスタッドスペーサーの斜視図である。
【図6】本発明のスタッドスペーサーによるスタッドの連結方法を示す説明図である。
【図7】別実施例のスタッドスペーサーの斜視図である。
【図8】別実施例のスタッドスペーサーによるスタッドの連結方法を示す説明図である。
【符号の説明】
1 間仕切耐力フレーム
1a 間仕切耐力柱
1b 間仕切耐力ブレース
2 間仕切下地
2a 上部ランナー
2b 下部ランナー
2c スタッド
3 スタッドスペーサー
3a 間隔保持片
3b 嵌着部
3c 当接面
3d 挟持片
3e 突起部
3f リブ
4 壁面材
5 天井部
6 床部
7 スタッドスペーサー
7a 間隔保持片
7b 嵌着部
7c 当接面
7d 爪片
8 固着部材
Claims (3)
- 一対の間仕切耐力柱間に間仕切耐力ブレースを掛け渡して構成された耐力面を有する間仕切耐力フレームと、前記耐力面の両側に配設された一対の間仕切下地と、前記一対の間仕切下地を所定の間隔を保持して連結する連結部材と、を有する間仕切耐力壁であって、
前記間仕切下地は、前記一対の間仕切耐力柱間に所定間隔をおいて配設される一対のランナーと、前記一対のランナーに両端部を支持されて配設されるスタッドと、を有し、
前記連結部材は、前記間仕切下地を構成するスタッドに装着されることを特徴とする間仕切耐力壁。 - 前記一対のランナーは略コの字形状断面の長尺部材からなり、前記スタッドは角形断面の長尺部材からなり、前記一対のランナーは、前記一対の間仕切耐力柱の上端部間と下端部間とにそれぞれ前記略コの字形状断面の開放面を互に対向させて配設され、前記スタッドは、両端を前記一対のランナーによって挟持されて立設されることを特徴とする、請求項1に記載の間仕切耐力壁。
- 前記連結部材は、前記一対のスタッド間に所定の間隔を保持する間隔保持片と、前記一対のスタッドにそれぞれ嵌着する嵌着部とを有し、該嵌着部は、前記スタッドに当接する当接面と、該当接面に連続して設けられ、前記スタッドを挟持する一対の挟持片とを有してなることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の間仕切耐力壁。
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