JP4004999B2 - 往復動式電動工具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レシプロソー等の往復動式電動工具に関し、簡便な構造にもかかわらず被加工材を実際に加工作業する際の工具の挙動特性を考慮した実用的な制振技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
往復動式電動工具の一例として、特開2001−9632号(特許文献1)にレシプロソーの構成が開示されている。この先行技術に係るレシプロソーは、先端に工具が取付けられたスライダをモータの回転動作を介して往復動作させるための運動変換機構を有するとともに、当該運動変換機構にカウンタウェイトを設定する構成が開示されている。このカウンタウェイトは、スライダの往復動作に伴って当該スライダの往復動方向と逆向きに、すなわちスライダの往復動の位相に対し180度位相がシフトした状態で往復動するよう構成され、これによってスライダが往復動する際の振動を極力減殺し電動工具の振動抑制を図っている。
【0003】
かかるカウンタウェイトはスライダの往復動作と逆位相で往復動するので、スライダの長軸方向についてはスライダとカウンタウェイトとの間で慣性力を主体とする運動量の減殺が行え、合理的な制振が可能である。しかしながら、実際に工具を用いて被加工材を切断作業する場合と、切断作業に供せずに電動工具を空転状態で駆動する場合とでは、工具に作用する外部抵抗の有無によりカウンタウェイトによる減殺の最適タイミングが相違する。また被加工材の切断作業時においても、作業者が電動工具を被加工材側へ押し付ける際の押し付け圧力の大小等といった諸般の要素により、工具に作用する外部抵抗の大きさはある程度の幅があるので、この幅に応じて減殺のタイミングが異なってくることになる。一方、各作業形態に応じて異なる減殺タイミングにきめ細かく対応する手法を採用すれば、これらの要請に効果的に対処することが可能となる反面、電動工具の構造を簡便なものとしにくく、コストの面で不都合な場合が生じ得る。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−9632号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、往復動式電動工具において、工具を往復駆動して実際に被加工材を加工作業する際の工具の挙動ないし特性を考慮しつつ、簡便な構造にも関わらず効果的に振動を低減するのに有用な技術を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するため、各請求項記載の発明が構成される。請求項1に記載の発明によれば、モータと、往復動して被加工材に所定の加工作業を行う工具と、前記工具を駆動するべく往復動するスライダと、前記モータの回転出力を前記スライダの往復動作に変換する運動変換部とを有する往復動式電動工具が構成される。本発明における「往復動式電動工具」としては、木工、金工、石工等といった各種被加工材の加工作業に用いられる電動工具が包含され、さらにレシプロソー、ジグソー等の各種工具が広く包含されるものとする。「運動変換部」は、モータの回転出力を適宜スライダの往復動作に切り替えることが可能な一般的運動変換機構を広く包含する。
【0007】
上記運動変換部は、スライダが往復動するのに対向して往復動するカウンタウェイトを有する。カウンタウェイトは「バランサー」とも称呼される。スライダと当該スライダの往復動に対向して往復動するカウンタウェイトとの関係に関しては、本発明における往復動式電動工具では、スライダの往復動作とカウンタウェイトの往復動作の位相差につき、スライダが電動工具先端方向に最も移動した上死点へ到達するタイミングと、カウンタウェイトが電動工具奥部方向に最も移動した下死点へ到達するタイミングとが異なるように固定状に設定される。スライダが上死点へ到達するタイミングとカウンタウェイトが下死点へ到達するタイミングが異なることにより、スライダの往復動作による運動エネルギ(運動量)をカウンタウェイトが180度の逆位相で往復動して単純に減殺する場合に比べ、加工作業時に被加工材側から工具が受ける加工抵抗を加味しつつスライダの往復動作による減殺のタイミングを最適化し、可及的な制振対策を講じることが可能となる。
【0008】
本発明におけるスライダの往復動作と前記カウンタウェイトの往復動作の位相差は、上記のように各部材の上死点と下死点への到達タイミングが異なるように固定状に設定される。例えば、実際の加工作業において最も頻繁に生じ得る加工抵抗を措定しておき、実用上制振効果が一番期待できる位相差に固設するといった実施形態を採用することが可能である。
【0009】
また本発明ではスライダの往復動作とカウンタウェイトの往復動作の位相差を固定状に設定する構成を採用するため、例えば加工作業時に被加工材から工具が受ける加工抵抗の変動に併せて位相差を随時可変とするような態様と比較して、往復動式電動工具の構造が複雑になるのを回避することができる。すなわち、工具を往復駆動して実際に被加工材を加工作業する際の工具の挙動ないし特性を考慮しつつ、簡便な構造にも関わらず効果的に振動を低減することが可能となる。
【0010】
なおスライダの上死点とカウンタウェイトと下死点の各到達タイミングの遅早については、例えば、押し切りによって切断作業する工具、引き切りによって切断作業する工具などのように、工具が往復動作のいずれによって加工作業を遂行するかに応じて、被加工材から工具が受ける加工抵抗の発生タイミングが異なるため、実際の作業形態を総合的に判断して、スライダの上死点到達がカウンタウェイトの下死点到達よりも早い場合、遅い場合を適宜設定することが好ましい。
【0011】
(請求項2に記載の発明)
請求項2に記載の発明では、上記請求項1に記載の往復動式電動工具におけるスライダとカウンタウェイトの各往復動作の位相差につき、カウンタウェイトの前記下死点に到達するタイミングが、前記スライダの前記上死点に到達するタイミングよりも遅れた状態となるように固定状に設定される。例えば被加工材を工具によって切断作業する場合、被加工材から工具が受ける切断抵抗により、スライダの往復動の位相は、切断作業を遂行しない空転状態、すなわち工具が被加工材からの抵抗を受けない無負荷駆動状態の場合よりも遅れ側にシフトし易い。これに加え、実際の作業現場では、同種の加工作業を繰り返すことも多いため、スライダの往復動の位相に対する作業抵抗が定常的になる場合が多くある。そこで、かかる定常的な作業抵抗を措定した上で、スライダの往復動作の位相差がカウンタウェイトの往復動の位相差に対して逆位相となる状態よりもカウンタウェイトの往復動作が相対的に遅れた状態で固定されるように設定することで、往復動式電動工具の構造を複雑化することなく、簡便な構造で最大の制振効果を得ることが可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。
本発明の実施の形態では、図1に示すように往復動式電動工具の一例としてレシプロソー101を用いて説明する。図1に示すように、本実施の形態に係るレシプロソー101は、概括的に見て本体部103、本体部103に着脱自在に装着されるバッテリ105、本体部103からレシプロソー101の先端側(図中右側)に突出するスライダ107、スライダ107先端のチャック109に取付けられて被加工材(便宜上特に図示しない)を切断作業するブレード111を主体として構成されている。ブレード111は本発明における「工具」に対応する。本体部103はモータハウジング103a、ギアハウジング103b、ハンドグリップ103cが一体として構成されている。
【0014】
本体部103を構成するモータハウジング103a内にはモータ113(図2参照)が配設されており、作業者がトリガスイッチ115を投入操作することで当該モータ113が駆動され、これによってブレード111がスライダ107およびチャック109とともに図中左右方向に往復動し、被加工材を切断可能に構成される。
【0015】
本実施の形態に係るレシプロソー101の主要部の正面断面構成が図2に示される。なお図2では便宜上ハンドグリップ103c内の構造およびブレード111の図示を省略している。図2に示すように、先端にチャック109が設けられたスライダ107は、軸受107aによって長軸方向(図中左右方向)に往復動可能に支持されるとともに、本体部103のうちのギアハウジング103b内に設けられた運動変換機構121を介してモータ出力軸117と接続されている。
【0016】
運動変換機構121は、モータ出力軸117の回転運動をスライダ107の長軸方向(図2中左右方向)への往復直線運動に変換する機構であり、ベベルギア123、偏心ピン129、クランク131、ガイドピン133、カウンタウェイト139とを主体として構成される。クランク131は、モータ113の回転出力を介してスライダ107およびカウンタウェイト139をそれぞれ往復動させる部材であるが、スライダ107の往復動作の位相とカウンタウェイト139の往復動作の位相とが180度異なる逆位相の状態から見て、カウンタウェイト139の往復動作の位相の方が遅れるように設定されている。この点については後述する。
【0017】
ベベルギア123は、ベアリング127によって軸支されるとともに図中上下方向に延在する回転軸125の上端側に、当該回転軸125と一体に回転可能に取付けられている。ベベルギア123にはモータ回転軸117が噛み合い係合する。偏心ピン129は、その一端側がベベルギア123の回転中心から所定距離シフトした位置において当該ベベルギア123に螺着される。また他端側には当該偏心ピン129の大径頭部およびワッシャが設定されており、クランク131は、当該クランク131を構成するベース部131aが、当該偏心ピン129の大径頭部およびワッシャと、ベベルギア123との間に挟み込まれて偏心ピン129と一体化される。従って、ベベルギア123が回転軸125回りに自転した場合には、クランク131は、ベベルギア123の回転に伴って回転軸125回りに公転動作する偏心ピン129とともに一体状に公転する。かかる公転の結果、クランク131の先端部に取付けられたガイドピン133は、図2に示すように回転軸125の右上に位置する状態と、特に図示しないものの回転軸125の左上に位置する状態との間で動作可能とされる。
【0018】
当該ガイドピン133は、その図中下端側がクランク131を構成するスライダ駆動部131bの先端側に圧入されて固定状に取付けられている。一方、ガイドピン133の図中上端側は、スライダ107に形成されたスライダブロック137に対しベアリング135を介して嵌装される。ガイドピン133は、スライダ107に対し相対的に回転可能に取付けられている。
【0019】
クランク131を構成する部材であるベース部131aには、図2、およびクランク131の側面および底面構造を詳細に示す図5および図6から理解されるように、カウンタウェイト139が遊嵌状に取付けられたカウンタウェイト駆動部132が設定されている。カウンタウェイト駆動部132は、偏心ピン129が装嵌される取付孔129a(図4から図6参照)周りに形成されたカム状要素として構成される。かくしてカウンタウェイト139は、モータ出力軸117を介してベベルギア123が回転軸125回りに回転駆動された場合に、回転軸125を中心として偏心ピン129とともに公転するクランク131のベース部131aに設けられたカウンタウェイト駆動部132により、スライダ107の長軸方向(図中左右方向)に往復動可能に構成されている。
【0020】
なおカウンタウェイト139には、レシプロソー101の平面視である図3に示すように、長孔状の係合孔139aが形成されており、回転軸125(図2参照)回りのクランク131の公転運動のうち、スライダ107の長軸と水平面内で交差する方向の動作成分については当該長孔状の係合孔139aに逃がされ、クランク131の長軸方向への動作成分のみがカウンタウェイト139に伝達される構成とされている。すなわちカウンタウェイト139は、スライダ107の長軸方向への往復動のみが許容される構成とされている。なお図3に示すように、カウンタウェイト139は、本体部103側に取付けられた保持プレート143のスライドガイド部143aに摺動可能に保持されて、確実な往復動作が確保されるように構成されている。
【0021】
なお図2および図3では、スライダ107およびカウンタウェイト139の往復動作に関し、レシプロソー101先端方向(図中右方向)に最も移動した箇所を上死点、レシプロソー101の奥部方向(図中左方向)に最も移動した箇所を下死点と定義する。すなわち本実施の形態におけるスライダ107およびカウンタウェイト139は、それぞれ上死点と下死点との間で往復動作するよう構成される。
【0022】
図3から図6に示されるように、クランク131は、上記カウンタウェイト駆動部132を有するベース部131aと、スライダ駆動部131bとが一体成形された部材として構成されている。クランク131は回転軸125(図2参照)を中心に反時計方向(図4において符号Rで示される)に回転駆動されるが、当該回転軸125回りについて、ベース部131aとスライダ駆動部131bとが角度Dだけ曲折して一体化されており、この結果、スライダ駆動部131bの回転位相に対して、カウンタウェイト駆動部132の回転位相が当該角度Dに相当する分だけ遅れるように構成される。
【0023】
本実施の形態に係るレシプロソー101は上記のように構成される。次に当該レシプロソー101の作用および使用方法について説明する。図1に示すレシプロソー101のハンドグリップ103cに設けられたトリガスイッチ115を作業者が投入すると、バッテリ105からの駆動電流によりモータ113が通電駆動される。これにより図2に示すモータ出力軸117が回転駆動される。モータ出力軸117の回転により、当該モータ出力軸117に噛み合い係合したベベルギア123が回転軸125回りに水平面内にて回転駆動される。ベベルギア123の回転により回転軸125からオフセットして配置された偏心ピン129は回転軸125回りに公転する。この結果、クランク131は当該偏心ピン129とともに回転軸125回りに水平面内を公転する。
【0024】
クランク131の公転とともにガイドピン133も自転しつつ回転軸125回りに公転する。ガイドピン133はベアリング135によってスライダブロック137に遊嵌されており、ガイドピン133の公転を介して、スライダ107は長軸方向(図2中左右方向)に上死点と下死点との間を直線状に往復動することとなる。なおガイドピン133の自転動作は、ベアリング135に受承されてスライダ107側には伝達されない。これによりスライダ107の先端に設けられたチャック109に取付けられたブレード111(図1参照)がスライダ107の長軸方向に往復動して被加工材を切断する。
【0025】
スライダ107が往復動する一方において、当該スライダ107の往復動作による運動エネルギ(運動量)を減殺してレシプロソー101の制振を図るべく、クランク131のベース部131aに設けられたカウンタウェイト駆動部132を介してカウンタウェイト139が上死点と下死点の間で往復動する。
【0026】
ところでレシプロソー101によって被加工材を切断作業する状態、すなわち被加工材切断に伴う有負荷駆動状態では、スライダ107、チャック109およびブレード111とが一体状に往復動することによって生じる慣性力に加え、さらに被加工材とブレード111との間に生じる切断時の抵抗による影響を考慮する必要が生じてくる。かかる被加工材による切断抵抗により、カウンタウェイト139による減殺のタイミングにずれが生じる場合があるからである。
【0027】
具体的には、慣性力は、スライダ107、チャック109およびブレード111の進行方向に向かって作用し、切断抵抗はこれらの要素の進行方向とは反対の方向に向かって作用する。また慣性力は、スライダ107、チャック109およびブレード111の加速度に基づいて規定されるのに対し、切断抵抗はこれらの要素の速度に基づいて規定され、両者の間には90度の位相差が存する。従って、スライダ107、チャック109およびブレード111による慣性力に対し、位相の異なる力(切断抵抗)が、速度を変数とする関数値として加わるため、有負荷駆動の際のレシプロソー101における振動抑制を合理的に行うには、こうした諸要素を勘案し、上記慣性力のみならず被加工材から受ける切断抵抗について配慮する必要がある。
【0028】
上記切断抵抗は、上記各要素の速度に基づいて規定されるが、実際の作業における各要素の速度は、ブレード111の被加工材への押圧力等のパラメータによって相応の範囲で変動する。このため、切断抵抗の変動に逐一対処してレシプロソー101の振動抑制を対策するのは機構の複雑化を招来する可能性があり、とりわけ量販機種などについては合理的でない場合もあり得る。
【0029】
以上より、本実施の形態では、レシプロソー101の構造を複雑化することなく可及的に振動抑制対策を講じるべく、頻繁に顕現する切断抵抗値を措定した上で、上記クランク131を構成するベース部131aとスライダ駆動部131bとの相対的な回転位置関係につき、図4に示すように所定角度Dだけスライダ駆動部131b側に対してカウンタウェイト139側が位相遅れを生じるように固定状に設定し、スライダ107の往復動とカウンタウェイト139の往復動との位相差が定常状態となるように構成して対応している。この所定角度Dは、上記措定した切断抵抗値に対応する角度とされており、本実施の形態では概ね15度程度に設定されている。
【0030】
この結果、ベース部131aとスライダ駆動部131bとが直列した状態と比べて、本実施の形態では、カウンタウェイト139の往復動の位相が、スライダ107の往復動の位相に対し、角度Dに対応する分だけ相対的に遅れることとなる。換言すれば、スライダ駆動部131bに対してベース部131aを相対的に遅れた状態に固定して回転させることで、スライダ107が上死点に到達するタイミングよりも、カウンタウェイト139が下死点に到達するタイミングが遅くなるように駆動される。例えば図2および図3では、カウンタウェイト139がその下死点に到達した際に、スライダ107が既にその上死点を越えて回転駆動された状態が示されている。
【0031】
上記した本実施の形態によれば、ベース部131aとスライダ駆動部131b間の相対的な位置関係は、ブレード111が被加工材から受ける一定の切断抵抗値を加味して固定状に設定され、この結果、スライダ107の往復動作とカウンタウェイト139の往復動作の位相差は、両部材の上死点と下死点への到達タイミングが異なるように固定状に設定される。従って、実際の加工作業において最も頻繁に顕現する切断抵抗を加味しつつ、実用上制振効果が一番期待できる位相差に固設し、レシプロソー101の構造を複雑化することなく可能な限り合理的な制振対策を講じることができる。
【0032】
なお本実施の形態では、カウンタウェイト139の位相につき、スライダ107の位相に対して180度シフトした逆位相の状態から所定量だけ遅れた状態に固定する構成を採用したが、これとは反対に、スライダ107の往復動の位相がカウンタウェイト139の往復動の位相に対して所定量だけ遅れる状態に固定することで減殺のタイミングを図る構成も好適に採用可能である。例えばブレード111の切断作業を、押し切りあるいは引き切りのいずれに設定するかに応じて適宜変更することが可能である。
【0033】
また本実施の形態では、往復動式電動工具の一例としてレシプロソー101を用いて説明したが、工具が往復動して被加工材を加工作業する形態、例えばジグソー等にも広く適用が可能である。
【0034】
上記した実施の形態も加味し、下記の態様が構成可能である。
(態様1)
「前記運動変換部は、前記モータによる回転動作を前記スライダの往復動作へ変換するべく回転可能な第1の運動変換部と、前記モータによる回転動作を前記カウンタウェイトの往復動作へ変換するべく回転可能な第2の運動変換部とを有し、
前記第2の運動変換部の回転運動の位相は、前記第1の運動変換部の回転運動の位相に対して180度よりも遅れた状態に固定状に設定されることを特徴とする往復動式電動工具。」
この態様によればスライダとカウンタウェイトの往復動の位相差を、第1および第2の運動変換部の回転運動の位相の調整により簡便に固定状に設定することが可能となる。
【0035】
(態様2)
「態様1に記載の往復動式電動工具であって、
前記第1および第2の運動変換部の相対位置は、各運動変換部が所定の相対位置に固定状に設定された状態から、異なる相対位置に固定状に設定された状態へと切換え可能に構成されることを特徴とする往復動式電動工具。」
この態様によれば、第1および第2の運動変換部の相対位置を複数の固設状態間で適宜切替えることによって、スライダとカウンタウェイトの往復動の位相差を簡便に切替えて固設することが可能となる。
【0036】
さらに上記した実施の形態では、ベース部131aとスライダ駆動部131bとは曲折状に一体成形されたクランク131として構成したが、ベース部131aとスライダ駆動部131bとを別体で形成するとともに、ネジやボルト等の締結手段で連結してクランク131を構成する形態も採用可能である。この場合、締結手段を緩めてベース部131aとスライダ駆動部131bとの相対的位置関係を異ならしめることで、スライダ107の往復動作の位相とカウンタウェイト139の往復動の位相とが異なるように設定した上で締結手段を締め直し、カウンタウェイト139による減殺タイミングを変化させることが可能となる。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、往復動式電動工具において、工具を往復駆動して実際に被加工材を加工作業する際の工具の挙動ないし特性を考慮しつつ、簡便な構造にも関わらず効果的に振動を低減するのに有用な技術が提供されることとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係るレシプロソーの全体構成を示す。
【図2】本実施の形態に係るレシプロソーの主要部の構成を示す部分的断面図である。
【図3】運動変換機構の構成を平面視で示す。
【図4】クランクの詳細な構造を平面視で示す。
【図5】クランクの詳細な構造を正面断面視で示す。
【図6】クランクの詳細な構造を背面視で示す。
【符号の説明】
101 レシプロソー
103 本体部
105 バッテリ
107 スライダ
109 チャック
111 ブレード(工具)
113 モータ
115 トリガスイッチ
117 モータ出力軸
121 運動変換機構
123 ベベルギア
125 回転軸
127 ベアリング
129 偏心ピン
131 クランク
131a ベース部
131b スライダ駆動部
132 カウンタウェイト駆動部
133 ガイドピン
135 ベアリング
137 スライダブロック
139 カウンタウェイト

Claims (2)

  1. モータと、往復動して被加工材に所定の加工作業を行う工具と、前記工具を駆動するべく往復動するスライダと、前記モータの回転出力を前記スライダの往復動作に変換する運動変換部とを有する往復動式電動工具であって、
    前記運動変換部は、前記スライダの往復動に対向して往復動するカウンタウェイトを有するとともに、
    前記スライダの往復動作と前記カウンタウェイトの往復動作の位相差は、前記スライダが電動工具先端方向に最も移動した上死点へ到達するタイミングと、前記カウンタウェイトが電動工具奥部方向に最も移動した下死点へ到達するタイミングとが異なるように固定状に設定されていることを特徴とする往復動式電動工具。
  2. 請求項1に記載の往復動式電動工具であって、
    前記スライダの往復動作と前記カウンタウェイトの往復動作の位相差は、当該カウンタウェイトの前記下死点に到達するタイミングが、前記スライダの前記上死点に到達するタイミングよりも遅れた状態となるように固定状に設定されることを特徴とする往復動式電動工具。
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