JP2004276185A - 作業工具の設計支援システムおよび作業工具 - Google Patents

作業工具の設計支援システムおよび作業工具 Download PDF

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琢雄 荒川
Hironori Ikuta
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Abstract

【課題】作業工具の制振機構の最適化設計を容易化し、当該作業工具の設計作業を合理的に支援することが可能な技術を提供する。
【解決手段】直線運動によって所定の加工作業を行なう工具ビット137と、工具ビット137を駆動するための駆動モータと、駆動モータの回転出力を直線運動に変換して工具ビット137に伝達する駆動力伝達機構と、駆動力伝達機構における直線運動成分と対向状に直線運動することで制振を行なうカウンタウェイトを有する作業工具121につき、加工作業に基づく負荷Fwが工具ビット137に作用する負荷駆動時(A)、および加工作業に基づく負荷Fwが工具ビット137に作用しない無負荷駆動時(B)それぞれにおいて作業工具121に生じる振動量に基づき、カウンタウェイトの質量および直線移動量を決定し、これによって作業工具121の制振機構を最適化する作業工具の設計支援システム101を構築する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハンマやハンマドリル等のように一定の周期で工具ビットを駆動する作業工具の設計支援技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
実開昭51−6583号公報(特許文献1)では、制振装置が設けられた電動ハンマの構成が開示されている。この従来の電動ハンマでは、被加工材にハンマ作業を行なうための工具ビットを駆動するべく、駆動モータの回転出力を変換する運動変換機構と、当該運動変換機構を介して直線運動する打撃子が設けられている。さらに、電動ハンマに作用する振動を抑制するべく、上記打撃子の直線運動に対して対向状に駆動されるカウンタウェイトが設定されている。
【0003】
このようにカウンタウェイトは、駆動モータの回転出力を介して、打撃子と対向状に運動することで電動ハンマの制振を図る構成とされるが、その一方において、加工作業に基づく負荷が工具ビットに作用する負荷駆動時と、作用しない無負荷駆動時では、電動ハンマに作用する振動の性状が異なるため、負荷駆動時に合わせて制振効果が奏されるよう設計されたカウンタウェイトでは、無負荷駆動時において適切な制振効果が奏されないという事態が生じ得る。このため、各種の作業態様に応じて電動ハンマの振動を最大限に抑制するための設計支援を合理的に行なうことができる技術の開発が要請される。
【0004】
【特許文献1】
実開昭51−6583号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、作業工具の制振機構の最適化設計を容易化し、当該作業工具の設計作業を合理的に支援することが可能な技術を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するため、各請求項記載の発明が構成される。
請求項1に記載の発明によれば、作業工具の設計支援システムが構成される。このシステムの設計支援対象とされる作業工具は、直線運動によって所定の加工作業を行なう工具ビットと、工具ビットを駆動するための駆動モータと、駆動モータの回転出力を直線運動に変換して工具ビットに伝達する駆動力伝達機構と、駆動力伝達機構における直線運動成分と対向状に直線運動することで制振を行なうカウンタウェイトを有する。作業工具は、工具ビットを用いて所定の加工作業を行うものが広く包含されるが、典型的には電動ハンマがこれに該当する。
【0007】
本発明に係るシステムは、加工作業に基づく負荷が工具ビットに作用する負荷駆動時、および加工作業に基づく負荷が工具ビットに作用しない無負荷駆動時のそれぞれにおいて、作業工具に生じる振動量に基づいて、カウンタウェイトの質量および直線移動量を決定し、これによって作業工具の制振機構を最適化するよう構成される。「負荷駆動時」とは、典型的には、工具ビットを被加工材に押し当てて加工作業を行なう態様がこれに該当し、「無負荷駆動時」とは、典型的には、工具ビットを被加工材から離間してアイドリング状に駆動する態様がこれに該当する。また作業工具に生じる「振動量」とは、作業工具に生じる振動に関する指標を広く包含する趣旨であり、例えば周波数や振動数のみならず、作業工具に作用する加速度、応力といった指標を広く含む。また振動量の測定態様としては、XYZ軸の三軸座標、円筒座標、極座標等の座標系を適宜に採用可能である。
【0008】
本発明によれば、負荷駆動時および無負荷駆動時それぞれにおいて、作業工具に生じる振動量に基づいてカウンタウェイトの質量および直線移動量を決定する構成を採用することにより、作業工具の制振機構の最適化設計を容易化することが可能となり、作業工具の設計を合理的に支援することが可能となった。
【0009】
(請求項2に記載の発明)
請求項2に記載の発明によれば、上記請求項1に記載の設計支援システムにおいて、カウンタウェイトの運動エネルギに応じて変化する負荷駆動時の振動量および無負荷駆動時の各振動量の差が所定範囲内となる領域が決定される。本発明では、カウンタウェイトの運動エネルギに応じて当該カウンタウェイトによる制振能力が変化することに着目し、負荷駆動時および無負荷駆動時それぞれにおける作業工具の振動量が合致ないし近接するようにカウンタウェイトの設計値を決定するという設計支援が行なわれる。
【0010】
具体的には、カウンタウェイトの運動エネルギ、すなわちカウンタウェイトの制振能力を変化させた場合の、負荷駆動時における振動量の変化態様と、無負荷駆動時における振動量の変化態様とをそれぞれシミュレーションし、双方の振動量の差が所定範囲となる領域、すなわち各駆動態様における振動量を最も低減することが可能な領域が決定される。そして当該領域におけるカウンタウェイトの運動エネルギ値に応じて、カウンタウェイトの質量および直線移動量が決定される。これにより負荷駆動時および無負荷駆動時の双方において、電動ハンマの振動を可及的に低減することが可能なカウンタウェイトの質量および直線移動量を設計する過程を合理的に支援することが可能となる。
【0011】
なおカウンタウェイトは、典型的にはクランク機構によって直線運動状に駆動されるが、この場合の「カウンタウェイトの運動エネルギ」は、当該カウンタウェイトの質量と直線移動量の積算値に基づいて得られる。さらに、この場合のカウンタウェイトの「直線移動量」は、カウンタウェイトの回転中心からカウンタウェイト取付け箇所までの偏心量に基づいて定義可能とされる。また、負荷駆動時の振動量および無負荷駆動時の振動量の双方が「所定範囲となる」態様としては、両者の差が一定量以下となる場合のみならず、両者が概ね合致する場合を包含するものとする。
【0012】
(請求項3に記載の発明)
請求項3に記載の発明によれば、上記請求項1または2に記載の設計支援システムを介し、質量および直線移動量が決定されたカウンタウェイトを有する制振機構が設けられた作業工具が得られることとなる。
【0013】
(請求項4に記載の発明)
請求項4に記載の発明によれば、請求項1に記載の作業工具と実質的に同等の構成を有する作業工具につき、加工作業に基づく負荷が工具ビットに作用する負荷駆動時に当該作業工具に生じる振動量に基づき、カウンタウェイトの質量および直線移動量を決定することで作業工具の制振機構を最適化する設計支援システムが構成される。本発明では、負荷駆動時および無負荷駆動時のうち、特に負荷駆動時において作業工具に作用する振動を可及的に低減するべく、負荷駆動時において作業工具に作用する振動量に基づいてカウンタウェイトの最適値設計を支援する。この構成により、負荷駆動時における制振性能に重点をおいた作業工具の設計支援を合理的に遂行することが可能とされた。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。本発明の実施の形態では、「作業工具」の一例として電動式のハンマを用いて説明する。図1に示すように、本実施の形態において設計支援の対象物とされる電動ハンマ121は、モータハウジング125、ギアハウジング127およびツールホルダ129からなる本体部123によってその外郭が構成されている。本体部123の先端領域にはハンマビット137が配される。ハンマビット137は、本発明における「工具ビット」に対応する。
【0015】
モータハウジング125内には駆動モータ131が配置され、ギアハウジング127内には運動変換機構133および打撃機構135が配置されている。運動変換機構133は、駆動モータ131の回転出力を直線運動に変換する。具体的には、運動変換機構133は、駆動モータ131の出力軸132の回転運動をハンマビット137の長軸方向(図1において左右方向)への直線運動に変換するクランクアーム134を主体として構成される。そして打撃機構135においては、クランクアーム134の回転に伴って、シリンダ135a内を図中左右方向に摺動状に往復動する駆動子135bの空気バネの作用により、打撃子138が当該駆動子135bの摺動速度よりも高速で直線運動され、これによってハンマビット137に衝撃力を作用させてハンマ作業させる。なお電動ハンマ121におけるハンマビット137の駆動メカニズム自体は周知の事項ゆえ、詳細な動作説明は省略する。
【0016】
さらに運動変換機構133にはカウンタウェイト139が接続されている。カウンタウェイト139は、上記打撃子138の直線運動と逆位相にて対向状に直線運動するよう設定されている。具体的には、カウンタウェイト139は、その取付部139aが、当該カウンタウェイト139の駆動軸140の軸中心から所定距離離間するように配置されている。そして駆動モータ131が駆動されることにより、出力軸132を介してクランクアーム134が回転駆動される場合、当該クランクアーム134の上部に連接された駆動軸140を中心としてカウンタウェイト139がハンマビット137の長軸方向に直線状に駆動される。このとき駆動軸140は、クランクアーム134の回転動作に伴って周回動作を行うが、その周回動作の半径は、本実施の形態においては、ちょうどクランクアーム134の駆動軸134aの軸中心からカウンタウェイト139の取付部139aまでの水平離間距離と等しく、距離「r」となるように設定されている。換言すれば、クランクアーム134が駆動軸134aを中心として回転することにより、カウンタウェイト139は図中左右方向に「2r」だけ直線運動するよう構成される。
【0017】
カウンタウェイト139の駆動タイミングとしては、図2に示すように、ハンマビット137を被加工材Wに当接させるとともに、作業者が被加工材W方向への押し込み荷重を電動ハンマ121に作用させてハンマ作業を行なう駆動状態、すなわち加工作業に基づく被加工材Wからの負荷がハンマビット137に作用した負荷駆動状態において、当該ハンマビット137をハンマ駆動するべく直線運動する打撃子138に対して逆位相となるようにカウンタウェイト139が対向状に直線運動するよう構成されている。
【0018】
一方、本発明の実施の形態である設計支援システム101は、図2に示すように、コントローラ103と、当該コントローラ103に接続されたROM105、RAM107、加速度検出部109、相関関係出力部111および最適値出力部113を主体として構成されている。コントローラ103は、特に図示しないもののCPUを主体として構成されている。
【0019】
設計支援システム101の加速度検出部109には、異なる駆動状態におかれた電動ハンマ121がそれぞれ接続される。第1の駆動状態は、ハンマビット137が被加工材Wに当接するとともに、使用者が電動ハンマ121を被加工材W方向へ押圧することにより、ハンマ作業時の負荷が被加工材Wからハンマビット137へと反力Fwとして作用する負荷駆動状態として定義される(図中、符号(A)で示される)。第2の駆動状態は、ハンマビット137が被加工材Wに当接せず、ハンマ作業時の負荷がハンマビット137に作用しない無負荷駆動状態として定義される(図中、符号(B)で示される)。
【0020】
特に図示しないものの、電動ハンマ121の本体部には、適宜に設定されたXYZ軸毎に生じる加速度を測定するためのゲージが設定されるとともに、その検出値が加速度検出部109を介してコントローラ103に入力される。コントローラ103においては、各軸方向の加速度を合成するとともに、所定の周波数補正を行なった上で、3軸合成周波数補正加速度データ(単位はm/sec)が生成される。
【0021】
ROM105には、カウンタウェイト139の質量値(単位はグラム)と直線移動量(単位はミリメートル)に関する指標データが格納され、さらに当該指標データと上記加速度データとに基づいてカウンタウェイト139の最適設計値を得るための決定プログラムが格納されている。なお当該決定プログラムの具体的手順については後述する。
【0022】
相関関係出力部111には、負荷駆動時および無負荷駆動時それぞれにおいて電動ハンマ121に生じる各加速度と、カウンタウェイト139の運動エネルギ値の相関関係がグラフとして出力される。その一例が図3に示される。また最適値出力部113には、かかる相関関係に基づいて電動ハンマ121の制振機能を最大限に確保するための最適設計値が出力される。
【0023】
上記のように構成される設計支援システム101の作用について説明する。なお詳細な説明の前提として、本実施の形態において用いられる各指標については、以下のように数式上の特定が可能である。すなわち、打撃子138の質量を「ms」、打撃子138の速度を「vs」、カウンタウェイトの質量を「mc」、カウンタウェイト139の駆動軸140と取付部139aの離間距離を「2r」、クランクアーム134の回転角速度を「w」、クランクアーム134における駆動子135bの取付け部(偏心ピン)とカウンタウェイト139の取付け部(偏心ピン)との位相差を「θ」、電動ハンマ121の質量を「M」、サンプル時刻を「t」、無負荷駆動時の電動ハンマ121に生じる振動の加速度の3軸合成値を「ANL」、負荷駆動時の電動ハンマ121に生じる振動の加速度の3軸合成値を「AL」とした場合、下記の関係が得られる。
【0024】
なお電動ハンマ121においては、クランクアーム134の水平面内の回転運動に起因する振動を除いては、殆どの振動がハンマビット137の長軸方向への振動として作用する。このため、特に電動ハンマ121では、クランクアーム134の回転による振動よりも、当該クランクアーム134によってハンマビット137の長軸方向に駆動され、ハンマビット137に強い衝撃力を作用させる打撃子138に起因する振動に対する制振性能が重視される。この点を勘案し、以下の説明では、上記3軸合成値「ANL」「AL」は、実質的には電動ハンマ121におけるハンマビット137の長軸方向への振動加速度と同視して説明している。
【0025】
カウンタウェイト139の往復状の直線運動に起因して生じる振動の加速度
(mc/M)・rwsin(wt+θ)
【0026】
無負荷駆動時において、ハンマビット137の長軸方向(図1にて左右方向)に生じる電動ハンマ121の振動の加速度
(mc/M)・rwsin(wt+θ)+ANL(t)
なおANL(t)は、無負荷駆動時において、クランクアーム134、駆動モータ131ないしコネクティングロッドの往復運動に起因して生じるハンマビット137長軸方向への加速度を示すものとする。
【0027】
打撃子135bの往復状の直線運動に起因して生じる振動の加速度
(1/M)・d/dt(ms・vs)
【0028】
負荷駆動時において、ハンマビット137の長軸方向(図1にて左右方向)に生じる電動ハンマ121の振動の加速度
(1/M)・d/dt(ms・vs)
+(mc/M)・rwsin(wt+θ)+AL(t)
なおAL(t)は、負荷駆動時において、クランクアーム134、駆動モータ131ないしコネクティングロッドの往復運動に起因して生じるハンマビット137の長軸方向への加速度を示すものとする
【0029】
さて、図2に示す設計支援システム101における加速度検出部109に対し、負荷駆動状態とされた電動ハンマ121および無負荷駆動状態とされた電動ハンマ121がそれぞれ接続される。電動ハンマ121は、各駆動状態におかれたものをそれぞれ準備して接続してもよいし、一台の電動ハンマ121を接続した上で各駆動状態に適宜切替え操作してもよい。本実施の形態では、一台の電動ハンマ121を設計支援システム101に接続した上で、負荷駆動状態と無負荷駆動状態とを適宜切替えて測定を行なっている。
【0030】
この状態で、コントローラ103は、ROM105に格納されたカウンタウェイト139の最適設計値を得るための決定プログラムを実行する。当該プログラムの実行手順が図4に示される。そのステップS1においては、電動ハンマ121におけるカウンタウェイト139の質量値「mc」に、カウンタウェイト139の駆動軸140の周回半径「r」(カウンタウェイト139の駆動軸140と取付部139aの離間距離「2r」の半分に相当する)を乗じた値「mc×r」をROM105から取得する。この値は、カウンタウェイト139の運動エネルギに関する指標として用いられる。すなわち上述のように、カウンタウェイト139の往復状の直線運動に起因して電動ハンマ121に生じる振動の加速度は、「(mc/M)・rwsin(wt+θ)」として特定可能であるとともに、電動ハンマ121の質量Mは概ね定常値であるため、本実施の形態では、カウンタウェイトの運動エネルギに関する指標として「mc×r」の値を用いるものである。本実施の形態では、図3に示すように、当該「mc×r」値を0.0から4000.0の範囲における変数としてROM105に格納している。
【0031】
次に決定プログラムにおいては、負荷駆動時の電動ハンマ121の振動の加速度値を取得する(ステップS2)。この加速度値は、図2に示す加速度検出部109を介し実測値に基づいて取得される。同様に、無負荷駆動時の電動ハンマ121の振動の加速度値が実測値に基づいて取得される(ステップS3)。すなわち上記ステップS1において得られたカウンタウェイト139の運動エネルギに関する指標(質量および偏心量)を電動ハンマ121に採用した場合につき、負荷駆動状態および無負荷駆動状態それぞれにおける電動ハンマ121の振動に起因する加速度が実測されることとなる。
【0032】
このようにして、カウンタウェイト139の運動エネルギに関する指標である「mc×r」値を種々に異ならせ、それぞれの「mc×r」値に対応して、負荷駆動状態および無負荷駆動状態それぞれにおける電動ハンマ121の振動に起因する加速度が実測され、RAM107に順次格納されていく。この作業は、「mc×r」値が4000.0に至るまで繰り返し継続される(ステップS4)。この結果、「mc×r」を0.0から4000.0に至るまで適宜に変化させた場合の、負荷駆動状態および無負荷駆動状態それぞれにおける電動ハンマ121の加速度の変化が、図3に示すグラフとして相関関係出力部111(図2参照)に出力される。
【0033】
図3から理解されるように、無負荷駆動状態における電動ハンマ121の加速度の変化曲線(図3では菱形のプロット点の集合として示される)は、「mc×r」を増加状に変化させた場合、概ね一次関数的に増大する特性を有する。
【0034】
一方、負荷駆動状態における電動ハンマ121の加速度の変化曲線(図3では正方形のプロット点の集合として示される)は、「mc×r」を増加状に変化させた場合、下に凸の緩やかな放物線状に推移する特性を有する。
【0035】
図4に示す決定プログラムのステップS5では、このようにして得られた電動ハンマ121の振動特性と、カウンタウェイト121の運動エネルギ特性との相関関係に基づき、加速度設定値の決定が行なわれる。「加速度設定値」は、本実施の形態では、「mc×r」を変化させた場合の、負荷駆動状態における電動ハンマ121の加速度の変化曲線FLと、無負荷駆動状態における電動ハンマ121の加速度の変化曲線FNLとが交差する加速度値をいうものとする。図3においては当該交差箇所が符号「S」で示される。
【0036】
上述のように、無負荷駆動時における電動ハンマ121の加速度の変化曲線は一次関数的に推移し、負荷駆動時における電動ハンマ121の加速度の変化曲線は下に凸の放物線状に推移することから、両者が交差する領域は、負荷駆動時および無負荷駆動時の双方における電動ハンマ121の振動加速度を最大公約数的に最小化することが可能な領域として定義可能とされる。本実施の形態では、加速度設定値は概ね「8.0m/s」であり、両者が交差する領域における「mc×r」値は、概ね1000.0g・mmであることがコントローラ103(図2参照)によって決定される。
【0037】
次に、図4に示す決定プログラムのステップS6において、カウンタウェイト139の最適質量値および最適偏心量の決定が行なわれる。すなわち、上述のようにステップS5において加速度設定値が決定されるとともに、当該加速度設定値に対応する「mc×r」値が決定されたことを前提として、当該「mc×r」値を満たすカウンタウェイト139の質量値および偏心量が決定される。この過程は、本発明における「カウンタウェイトの運動エネルギに応じて変化する負荷駆動時および無負荷駆動時の振動量の差が所定範囲内となる領域を決定し、当該領域におけるカウンタウェイトの運動エネルギ値に応じて、当該カウンタウェイトの質量および直線移動量を決定する」構成に対応している。なお、本実施の形態では、「負荷駆動時および無負荷駆動時の振動量の差が所定範囲内となる領域」の一例として、「双方の振動量が概ね一致する領域」を採用している。
【0038】
最適質量値および最適偏心量の決定に際しては、電動ハンマ121におけるカウンタウェイト139の取付部139aから当該カウンタウェイト139の駆動軸140の軸中心までの寸法(ないしはカウンタウェイト139の駆動軸140の周回半径値)に関する設計上の制約要素等を考慮しつつ適宜決定するのが好ましい。本実施の形態では、概ね1000.0g・mmと決定された「mc×r」値に基づき、カウンタウェイト139の最適質量値として115g、最適偏心量として9mmと決定した。
【0039】
かくして、この設計値に基づいて電動ハンマ121におけるカウンタウェイト139を構成することにより、負荷駆動時および無負荷駆動時の双方において振動を可及的に低減することが可能とされ、合理的な設計支援を行なうことが可能となった。
【0040】
本実施の形態によれば、電動ハンマ121の設計作業において、当該電動ハンマ121の負荷駆動時および無負荷駆動時それぞれにおいて電動ハンマ121に生じる振動量に基づき、カウンタウェイト139の質量「mc」およびクランクアーム134におけるカウンタウェイト139までの偏心量「r」の最適値を決定する構成を採用することで、電動ハンマ121の制振機構の最適化設計を容易化することが可能となった。
【0041】
なお上記実施の形態では、図4に示すステップS5において、負荷駆動時および無負荷駆動時の双方において電動ハンマ121に作用する振動による加速度が概ね一致する領域をもって加速度設定値とする構成を採用した。この点については、電動ハンマ121に作用する振動が可及的に低減すれば足りるとの見地より、両加速度の差が所定範囲内となる領域に基づいて加速度設定値を決定する構成を採用してもよい。
【0042】
あるいは電動ハンマ121における制振の要請は、無負荷駆動時よりも負荷駆動時の方が重視されるとの見地より、両加速度が概ね一致する領域よりも、負荷駆動時における加速度が低くなる側に若干シフトした上で、加速度設定値を決定する態様を採用してもよい。例えば図3に示す場合では、負荷駆動時における加速度は、交差領域Sよりも「mc×r」値が若干大きくなる領域において一層低減される傾向が見られるため、これに対応して加速度設定値を決定するといった態様が採用可能である。
【0043】
すなわち
「請求項1に記載の設計支援システムであって、
前記カウンタウェイトの質量および直線移動量に基づいて得られる当該カウンタウェイトの運動エネルギに応じて変化する前記負荷駆動時の振動量が、前記カウンタウェイトの運動エネルギに応じて変化する無負荷駆動時の振動量よりも小さくなる領域を決定し、
当該領域における前記カウンタウェイトの運動エネルギ値に応じて、当該カウンタウェイトの質量および直線移動量を決定するよう構成されていることを特徴とする設計支援システム。」
【0044】
このように構成することで、工具ビットに負荷が作用する負荷駆動時における制振性能に重点をおきつつ、さらに無負荷駆動時における制振性能にも対処することが可能な制振機構の設計を合理的に支援することが可能な構成が得られることとなる。
【0045】
また本実施の形態では、設計支援対象として電動ハンマを採用したが、レシプロソー等の他の作業工具を採用することも可能である。
【0046】
なお本発明の特質に鑑み、以下の態様が構成可能である。
(態様)
「直線運動によって所定の加工作業を行なう工具ビットと、前記工具ビットを駆動するための駆動モータと、前記駆動モータの回転出力を直線運動に変換して前記工具ビットに伝達する駆動力伝達機構と、前記駆動力伝達機構における直線運動成分と対向状に直線運動することで制振を行なうカウンタウェイトを有する作業工具の製造方法であって、
加工作業に基づく負荷が前記工具ビットに作用した負荷駆動時、および加工作業に基づく負荷が前記工具ビットに作用しない無負荷駆動時それぞれにおいて前記作業工具に生じる振動量に基づき、前記カウンタウェイトの質量および直線移動量を決定するステップを有することを特徴とする作業工具の製造方法。」
【0047】
あるいは
「直線運動によって所定の加工作業を行なう工具ビットと、前記工具ビットを駆動するための駆動モータと、前記駆動モータの回転出力を直線運動に変換して前記工具ビットに伝達する駆動力伝達機構と、前記駆動力伝達機構における直線運動成分と対向状に直線運動することで制振を行なうカウンタウェイトを有する作業工具の製造方法であって、
加工作業に基づく負荷が前記工具ビットに作用する負荷駆動時に前記作業工具に生じる振動量に基づき、前記カウンタウェイトの質量および直線移動量を決定し、これによって前記作業工具の制振機構を最適化することを特徴とする作業工具の製造方法。」である。
【0048】
この態様によれば、上記各請求項と実質的に同等の構成を有する作業工具を、合理的に製造することが可能な方法が構築されることとなる。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、作業工具の制振機構の最適化設計を容易化し、当該作業工具の設計作業を合理的に支援することが可能な技術が提供されることとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態で設計対象とされる電動ハンマの要部の構造を示す断面図として示す。
【図2】本発明の実施の形態に係る電動ハンマの設計支援システムの全体構成を示す。
【図3】本実施の形態における電動ハンマに生じる振動と、カウンタウェイトによる制振機構との相関関係を示すグラフを模式的に示す。
【図4】本実施の決定におけるカウンタウェイトの最適設計値決定のための手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
101 設計支援システム
103 コントローラ
105 ROM
107 RAM
109 加速度検出部
111 相関関係出力部
113 最適値出力部
121 電動ハンマ
123 本体部
125 モータハウジング
127 ギアハウジング
129 ツールホルダ
131 駆動モータ
132 出力軸
133 運動変換機構
134 クランクアーム
134a 回転軸
135 打撃機構
135a シリンダ
135b 駆動子
137 ハンマビット(工具ビット)
138 打撃子
139 カウンタウェイト
W 被加工材

Claims (4)

  1. 直線運動によって所定の加工作業を行なう工具ビットと、前記工具ビットを駆動するための駆動モータと、前記駆動モータの回転出力を直線運動に変換して前記工具ビットに伝達する駆動力伝達機構と、前記駆動力伝達機構における直線運動成分と対向状に直線運動することで制振を行なうカウンタウェイトを有する作業工具につき、
    加工作業に基づく負荷が前記工具ビットに作用する負荷駆動時、および加工作業に基づく負荷が前記工具ビットに作用しない無負荷駆動時それぞれにおいて前記作業工具に生じる振動量に基づき、前記カウンタウェイトの質量および直線移動量を決定し、これによって前記作業工具の制振機構を最適化することを特徴とする作業工具の設計支援システム。
  2. 請求項1に記載の設計支援システムであって、
    前記カウンタウェイトの運動エネルギに応じて変化する前記負荷駆動時および無負荷駆動時の各振動量の差が所定範囲内となる領域を決定し、
    当該領域における前記カウンタウェイトの運動エネルギ値に応じて、当該カウンタウェイトの質量および直線移動量を決定するよう構成されていることを特徴とする設計支援システム。
  3. 請求項1または2に記載の設計支援システムを介して質量および直線移動量が決定されたカウンタウェイトを有する制振機構が設けられていることを特徴とする作業工具。
  4. 直線運動によって所定の加工作業を行なう工具ビットと、前記工具ビットを駆動するための駆動モータと、前記駆動モータの回転出力を直線運動に変換して前記工具ビットに伝達する駆動力伝達機構と、前記駆動力伝達機構における直線運動成分と対向状に直線運動することで制振を行なうカウンタウェイトを有する作業工具につき、
    加工作業に基づく負荷が前記工具ビットに作用する負荷駆動時に前記作業工具に生じる振動量に基づき、前記カウンタウェイトの質量および直線移動量を決定し、これによって前記作業工具の制振機構を最適化することを特徴とする作業工具の設計支援システム。
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