JP4003991B2 - 電子撮像装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像入力装置の内、特に、固体撮像素子を用いた電子撮像装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子撮像装置は、特開平9−203838号公報等に記載されている如く被写体をレンズ系を通してCCD(電荷結合素子)等の固体撮像素子の受光部に結像させると共に、固体撮像素子で電気信号に変換させて画像処理などの制御部に転送するものである。図5はその従来の概略構成を示し、撮像部を配線基板に取り付けた状態で示している。図5の固体撮像素子51は、受光部である光電変換部51a、電荷蓄積部や転送部等を前面開口したケース52に内臓している。また、ケース52の前面開口部には透明の保護カバー53を装着し、ケース52の両側には後方へ突設された多数の端子54を有している。そして、固体撮像素子51は、配線基板50に対し、各端子54が基板表面から裏面に貫通孔を介し突出されて半田付けされることにより取り付けられる。レンズ組立体61は、各レンズ62,63,64がレンズホルダー65,66,67等を用いて鏡筒68内に組み付けられると共に、筒状マウント69内に保持されている。そして、レンズ組立体61は、筒状マウント69が固体撮像素子51を覆うように配線基板50上に配置されると共に、裏面側から複数のネジ70により基板側に取り付けられる。
【0003】
この構造では、被写体がレンズ組立体61のレンズ系を通し光電変換部51aの撮像面上に結像され、これが光電変換と電荷蓄積を続けて電荷蓄積部及び転送部から端子54を介して基板側制御部に電気信号として出力される。なお、固体撮像素子51は撮像面のサイズが1/3インチという小さなものも使用され、レンズ組立体61もそれに伴って小型化が図られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述した従来の電子撮像装置にあっては次のような問題があった。
第1に、レンズ組立体61が複数のネジ70を介し基板側に取り付けられる関係で、配線基板50にはそのネジ70に応じた数だけネジ孔50aが設けられる。このため、基板表裏面に設けられる回路配線は、ネジ孔50を避けなくてはならず、基板の高密度化及び小型化を図る上でネックになっている。
第2に、この不具合は、マウント69が小さくなると、図5の如く後端側に径大の取付部69aを追加し、後端面及び取付部39aを配線基板50に密接配置しなくてはならず、それに対応した基板表面の部分も配線回路部として利用できないことに発展する。
第3に、取付作業では、レンズ組立体61を配線基板50の表面に配置した状態で基板裏面側から各ネジ70を螺入操作しなくてはならない。このため、位置決め機構部が複雑になり、取付性に欠けていた。
【0005】
本発明の目的は、以上の問題を解消して、高密度化及び基板の小型化をより可能にすると共に、取付性に優れた電子撮像装置を提供することにある。更に他の目的は、以下に説明する内容の中で順次明らかにして行く。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明は、ケース付き固体撮像素子と、レンズ系を筒状マウント内に組み込んだレンズ組立体とが、配線基板に対し前記固体撮像素子を前記レンズ組立体の内側に位置し、かつ同軸に配設される電子撮像装置において、前記固体撮像素子のケース外周に設けられた段差状の係止部と、前記マウントの後端側に突設されて前記係止部にスナップ係合される爪部とを有し、前記レンズ組立体を前記固体撮像素子に対し前記係止部と前記爪部との係合を介し取り付けると共に、前記配線基板との間に隙間を持って配置されるようにしたものである。
【0007】
この構成によれば、レンズ組立体は固体撮像素子に対し取り付けられる。したがって、この構成では、従来の如く配線基板側に専用のネジ孔を設ける必要がなくなることから、従来構造に対し基板表裏面に設けられる回路配線の制約をなくして、基板の高密度化及び小型化を図ることを可能にする。同時に、レンズ組立体の取り付け作業は、配線基板に関係なく行えることに加え、例えば、配線基板に対し固体撮像素子を取り付けた後であっても、配線基板の表面側から行えるため作業性が良好になり、位置決め機構等を大幅に簡略化することも可能になる。また、この構成では、固体撮像素子側の係止部として、前記ケースの形状を多少変更するだけでよい。また、配線基板の表面側は、レンズ組立体が隙間を持って配設されることから、固体撮像素子の取付面に応じた面積だけを確保すればよく、従来の如くレンズ組立体側の取付部に相当する基板部分を配線回路部として有効に利用可能にする。
【0008】
以上の本発明は次のように具体化されることがより好ましい。
第1に、前記マウントが後端部に設けられた枠状の保持部を有し、該保持部の対向する板部分に前記爪部をそれぞれ形成しており、前記固体撮像素子が前記保持部に対し相対的に押し入れられることにより前記係合状態になる構造である。この構成では、固体撮像素子がレンズ組立体に対し保持部に押し入れられると同時に係止部と爪部との係合により取り付けられるため、枠状の保持部により係合が不用意に解除され難くなり、取付状態における安定性が保証される。
第2に、前記保持部を形成している板部分に径方向のネジ孔を設け、該ネジ孔から差し込まれるネジにより前記保持部内に入れられた固体撮像素子を係止可能にしている構造である。このネジ止めは、不可欠ではなく、信頼性を図るために上記した係合構造に追加するものである。このように係合構造に追加されるネジは1個で充分であり、また、保持部の径方向にネジ止めされることから上記した配線基板の小型化を損ねることもなく適用できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図1から図4により説明する。なお、この形態例は、本発明の好適な具体例であり、本発明の範囲を制約するものではない。
【0010】
図1は本発明を適用した電子撮影装置のレンズ組立体と固体撮像素子との関係を示す概略分解図であり、図2(a)は図3のA−A線断面を示し、図2(b)は図3のB−B線断面を示し、図3は本発明を適用した電子撮像装置について、レンズ組立体と固体撮像素子とを取り付けた状態で背面側から見た図である。
図において、電子撮像装置は、CCD等の固体撮像素子1及びレンズ組立体2とが配線基板3に対し固体撮像素子1をレンズ組立体2の内側に位置し、かつ同軸に配設されるが、その場合にレンズ組立体2の取付構造に工夫が施されている。なお、配線基板3は、図5の従来基板と同様に非導電性板の表裏面に回路を印刷等により形成し、かつ各種のチップを組み付けたものである。但し、この配線基板3には従来のレンズ組立体用の取付孔が省略されている。
【0010】
ここで、固体撮像素子1は、多数の画素を高密度で配列した受光部である光電変換部4、電荷蓄積部や転送部等を前面開口したケース5に内臓している点、ケース5の前面に透明の保護カバー6を装着している点、ケース5の両側壁から後方へ突設された多数の端子7を有している点、図5と同様に配線基板3に対して端子7を貫通孔から裏面側へ突出して半田付けにより取り付けられる点で従来と同じくしている。異なる構成は、ケース5の形状設定であり、前側部分5Aに対し後側部分5Bを若干小さく形成されている。これにより、ケース5は両部分5A,5Bの間に後方側を低くした段差状の係止部8を有している。この係止部8は、約1mm程度の幅の段差と、その段差の内側に位置している部分5Bの傾斜側面とで形成されている。そして、略矩形のケース5において、対向する各側部のうち、端子7が配置されない箇所の係止部8が用いられる。
【0011】
これに対し、レンズ組立体2は、レンズ系が3枚のレンズ10,11,12と1枚のフィルター13で構成されている。各レンズ10,11,12は、ホルダー14,15,16等を用いて鏡筒17内に組み付けられている。フィルター13は水晶複屈折板であり、筒状マウント18内に組み付けられている。この基本構造は従来とほぼ同様であるが、マウント18が従来品と大きく異なっている。すなわち、このマウント18は、前側18Aが後側18Bよりも径小に形成ていると共に、後側18Bの端面に突設された枠状の保持部19を有し、その保持部19に対し爪部20とネジ孔21aとが形成されている。
【0012】
前側18Aには、レンズ10,11,12を組み付けた鏡筒17が内周の雌ネジ22と鏡筒外周の雄ネジ23を介して装着される。後側18Bの内部には、前方の貫通孔24と、貫通孔24に通じる後側の貫通孔25とが設けられている。両貫通孔24,25は何れも矩形状をなし、貫通孔24が貫通孔25よりも大きく形成されている。また、貫通孔24は、ここに配置される矩形のフイルター13を押さえる部材26を配置する切欠部を有している。そして、フイルター13は、前記切欠部内の部材26及びネジ27を介し一方向に押し付けられることにより貫通孔24内に固定される。
【0013】
保持部19は、後側18Bの端面にあって、貫通孔25を中心として矩形の枠状に突出形成されている。保持部19内の大きさは、固体撮像素子2の外径にほぼ等しく、深さが図2(b)に示す如く固体撮像素子2を内部に配置した状態でケース5の後側部分5Bが外へ張り出すように設定されている。保持部19を形成している枠状の板部分のうち、1組の板部分19a,19aには複数の爪部20が一体に設けられている。一方の板部分19aには4個の爪部20が略等間隔に設けられている。他方の板部分19aには、爪部20が2個設けられ、この両爪部20の間にあって、外側に張り出した状態で膨出部21が設けられると共に、その膨出部26に径方向に貫通したネジ孔21aが形成されている。各爪部20は、保持部19の端面から片20aを後方へ突出し、その先端に内向きの爪20bを形成したものである。また、各爪部20は、板部分19a,19aに対し各片20aに対応してスリット19bを設けることにより、弾性変位可能つまりスナップ係合されるようになっている。
【0014】
以上のレンズ組立体2と固体撮像素子1とは、固体撮像素子1が保持部19に対し爪部20の弾性変位を伴って押し込められることにより取り付けられる。この取付状態では、図2(a)に示す如く各爪部20がケース5の段差状の係止部8に係合し、その係合力に応じた強さで抜け止めされる。各爪部20は、ケース5の後側部分5Bの略中間位置まで達しており、後側部分5Bの取付面(裏面)、つまり配線基板3との間に所定の隙間が確保されるようになっている。また、この形態では、不用意な外れを防ぐため、ネジ28をネジ孔21aに螺入することにより、保持部19内に保持された固体撮像素子1がそのネジ28によっても抜け止めされるようにしている。但し、このネジ止めは不可欠ではなく、あくまでも補助的な固定力を得るもので、例えば、ネジ28に代えて保持部19とケース5との間に接着剤を流して接合するようにしたもよいものである。
【0015】
以上のように構成された電子撮像装置では、被写体が各レンズ体10,11,12及びフイルター13を通して固体撮像素子1側の光電変換部4の撮像面上に結像され、これが光電変換と電荷蓄積を続けて、電荷蓄積部及び転送部から端子7を介して基板側配線回路へ電気信号として出力される。この点は従来と同じであるが、この構成では配線基板3側にレンズ組立体2用のネジ孔を設ける必要がなくなる。これにより、この電子撮像装置においては、従来構造に対し前記ネジ孔を省略できることに起因し、基板表裏面に設けられる回路配線の制約をなくすることができ、その結果、基板構成のより高密度化及び小型化が比較的容易に達成される。また、レンズ組立体2の取り付け作業は、固体撮像素子2に対してなされ、配線基板3に関係なく行えるため、例えば、配線基板3に対し固体撮像素子2を取り付けた後であっても、配線基板3の表面側から行えるため作業効率を向上できる。
【0016】
図4は前記形態例を変形した電子撮影装置を図2(a)と同様な断面で示している。同図の電子撮像装置において、図1から図3と同様な部位には同じ符号を付して重複した説明を省略し、異なる構成のみ詳述する。
図4の電子撮像装置は、レンズ組立体2が単一のレンズ30の場合の構成例であり、マウント18の後側18B、爪部20付きの保持部19、固体撮像素子1自体は上記した形態例と実質的に同じくしている。すなわち、このレンズ組立体2は、レンズ30がホルダー31等を用いて鏡筒37内に組み付けられている。この場合、鏡筒37は内側に設けられた凹状部37aを有している。そして、レンズ30は、凹状部37aに対し配置された後、熱カシメ部32で固定されるリング状のホルダー31を介して保持される構成である。符号33は、鏡筒37がマウント18の前側18A内に組み込まれるときに使用されるスリ割である。このように、本発明は、請求項に記載した技術要素以外については上記各形態をベースにして種々変更することができるものである。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明の電子撮像装置にあっては、従来の如く配線基板側に専用のネジ孔を設ける必要がなくなり、それに対応して基板表裏面に設けられる回路配線の制約をなくし、基板の高密度化及び小型化を図ることができる。また、レンズ組立体の取り付け作業は、配線基板に関係なく行うことができ、例えば、配線基板に対し固体撮像素子を取り付けた後であっても、配線基板の表面側から行えることから、作業性が良好になり、位置決め機構等を大幅に簡易化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明形態例について、レンズ組立体と固体撮像素子との関係を示す概略斜視図である。
【図2】図3のA−A線とB−B線に沿う断面図である。
【図3】本発明形態例の電子撮像装置をレンズ組立体と固体撮像素子との組立状態で固体撮像素子側から見たときの背面図である。
【図4】本発明を適用した他の電子撮像装置例を示す断面図である。
【図5】従来の電子撮像装置を示す断面図である。
【符号の説明】
1は固体撮像素子、2はレンズ組立体、3は配線基板、5はケース
7は端子、8は係止部、18はマウント、19は保持部
19aは枠状保持部を構成している対向板部分、19bはスリット
20は爪部、21aはネジ孔、28はネジ

Claims (3)

  1. ケース付き固体撮像素子と、レンズ系を筒状マウント内に組み込んだレンズ組立体とが、配線基板に対し前記固体撮像素子を前記レンズ組立体の内側に位置し、かつ同軸に配設される電子撮像装置において、
    前記固体撮像素子のケース外周に設けられた段差状の係止部と、前記マウントの後端側に突設されて前記係止部にスナップ係合される爪部とを有し、前記レンズ組立体を前記固体撮像素子に対し前記係止部と前記爪部との係合を介し取り付けると共に、前記配線基板との間に隙間を持って配置される、ことを特徴とする電子撮像装置。
  2. 前記マウントが後端部に設けられた枠状の保持部を有し、該保持部の対向する板部分に前記爪部をそれぞれ形成しており、前記固体撮像素子が前記保持部に対し相対的に押し入れられることにより前記係合状態になる請求項1に記載の電子撮像装置。
  3. 前記保持部を形成している板部分に径方向のネジ孔を設け、該ネジ孔から差し込まれるネジにより前記保持部内に入れられた固体撮像素子を係止可能にしている請求項2に記載の電子撮像装置。
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