JP4003442B2 - 磁気抵抗効果型磁気センサおよび磁気抵抗効果型磁気ヘッドの各製造方法 - Google Patents
磁気抵抗効果型磁気センサおよび磁気抵抗効果型磁気ヘッドの各製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気抵抗効果型磁気センサおよび磁気抵抗効果型磁気ヘッドの各製造方法に係わる。
【0002】
【従来の技術】
近年、HDD(Hard Disc Drive)などの磁気記録再生装置においては高記録密度化が急速に進められ、これに伴って高記録密度化に対応する磁気ヘッドが要求されている。
そして、このように高記録密度化がなされると、これに伴って磁気記録媒体に記録される記録ピットサイズが小さくなるために、信号磁界が小さくなる。したがって、従来一般の、信号磁界をリングコアによる電磁誘導によって間接的に検出する電磁誘導型磁気ヘッドでは、充分な検出感度を確保することができない。
【0003】
これに対し、磁気抵抗効果を利用することによって、磁気記録媒体からの記録情報に基く信号磁界を直接的に感知する磁気抵抗効果型磁気ヘッドが注目されている。
これは、この磁気抵抗効果型磁気ヘッドの感磁部を構成する磁気抵抗効果素子が、磁気記録媒体表面に対して近距離で例えば直接的に信号磁界を感知することができ、高感度再生を行うことができるということに因る。
【0004】
そして、現在では、磁気抵抗効果型磁気ヘッドとしては、スピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子(以下SV型GMR素子という)を用いた磁気ヘッドが主流をなしている。
【0005】
このSV型GMR素子において、その膜面と交叉する方向にセンス電流を通電する面垂直通電型いわゆるCPP(Current Perpedicular to Plane) 型構成による場合、SV型GMR素子において、効率良い動作をさせる上で、そのセンス電流は、SV型GMR素子において、その感度領域、更に最も高い感度を示す中央部に集中的に通電することが望まれる。このことは、特に高記録密度化に伴うトラック幅の縮小化において強く要望されるところである。
【0006】
図6は、このSV型GMR素子による磁気抵抗効果型磁気センサの概略断面図を示し、この場合、第1の電極101上に、SV型GMR素子100が形成される。このSV型GMR素子100は、いわゆるボトム型構成により、順次反強磁性層111、磁化固定層112、非磁性スペーサ層113、磁化自由層114が積層されて成る。
【0007】
この磁化自由層114上には、所要の幅WT の開口103Wが形成された安定化バイアス用反強磁性層103が、磁化自由層114と交換結合をもって被着される。
【0008】
この場合、反強磁性層111および103の磁化の向きは、それぞれ面内に沿って互いに交叉する方向であり、反強磁性層111は、SV型GMR素子100に導入される検出磁界の向きに沿う方向に磁化され、安定化バイアス用反強磁性層103の磁化の向きは、検出磁界の向きと交叉する向きに選定される。
【0009】
この構成によるSV型GMR素子100は、その磁化自由層114に交換結合して安定化バイアス用反強磁性層103が形成されることによって、この交換結合部においては、磁化自由層114の磁化の向きが固定されて、感度を示さないいわゆる不感知領域となる。
しかしながら、開口103W内においては、開口103Wの幅がWT 0.3μm程度以下に狭小となると、この安定化バイアス用反強磁性層103が結合されていない部分において、その両側の磁化の影響を受けて外部磁界(検出磁界)が与えられない状態では、磁化が所定の向きに設定され、検出外部磁界が印加されたときに、磁化の回転が生じる感知領域、すなわち動作領域を構成することができる。
【0010】
因みに、SV型GMR素子において、その磁化自由層に安定化バイアスを与える方法としては、着磁された安定化バイアス用硬磁性を被着する構成によるものが一般的であるが、この場合、上述した幅WT が、0.3μm以下となると、この動作領域にも強い磁界が与えられて、検出磁界によって磁化の向きが回転しないとか、しにくくなり、感度の低下を来す。
【0011】
これに対し、上述した交換結合による安定化バイアスが与えられる構成においては、その動作領域において安定した高い感度を示すことができる。
そして、上述した構成においては、その開口幅WT が、磁気ヘッドにおけるトラック幅となるものであるが、高記録密度化に伴ってそのトラック幅が狭小化された場合、上述した交換結合による安定化バイアスを印加する構成が、動作領域において高い感度を示すことができることから、感度の高い磁気抵抗効果型磁気センサ、したがって、磁気抵抗効果型磁気ヘッドを構成することができるものである。
【0012】
しかしながら、このような交換結合による安定化バイアスが与えられる構成とする場合、CPP構成において、第1および第2の電極101および102間にセンス電流Isの通電を行うとき、安定化バイアス用反強磁性層103にもセンス電流の分流が生じ、これによって、動作領域に対する電流集中が阻害され、感度の低下を来す。
【0013】
このような不都合を回避するには、安定化バイアス用反強磁性層103として、絶縁性を有するNiO、α−Fe2 O3 等を用いることが考えられるが、これら酸化物反強磁性層は、一般的に、ブロッキング温度が低く、耐熱性に問題が生じる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明においては、安定化バイアス用反強磁性層が用いられるSV型GMR素子による磁気抵抗効果型磁気センサおよび磁気抵抗効果型磁気ヘッドにおいて、上述した耐熱性の問題を来すことなく、SV型GMR素子の高感度領域にセンス電流の通電を行うことができる特性にすぐれた磁気抵抗効果型磁気センサおよび磁気抵抗効果型磁気ヘッドを、確実に製造することができる製造方法を提供するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明による磁気抵抗効果型磁気センサの製造方法においては、反強磁性層と、磁化固定層と、非磁性スペーサ層と、磁化自由層とが順次積層されるスピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子の構成膜を、磁化自由層を上層側に成膜する成膜工程と、その構成膜上の、最終的にスピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子の動作領域を形成する部分上にマスク層を形成する工程と、磁化自由層に対する安定化バイアス用反強磁性層をマスク層上から全面的に構成膜の膜面にほぼ垂直方向の指向性を有する被着方法によって成膜する工程と、その後、絶縁層をマスク層上から全面的にスピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子の構成膜の膜面に斜め方向に入射させて成膜する工程と、その後マスク層を除去して、このマスク層に付着された安定化バイアス用反強磁性層と絶縁層を選択的に除去する工程と、この絶縁層の選択的除去部を通じてスピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子の構成膜に接するように非磁性のギャップ膜を形成し、該ギャップ膜の上に電極を形成する工程とを採って目的のスピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子を得る。
【0016】
上述のマスク層の形成においては、幅広頭部とこれより基部側に幅狭ネック部とを形成するものであり、これによってこの上から形成する安定化バイアス用反強磁性層は、その垂直方向に指向性を有する成膜により、マスク層の幅広頭部下において非成膜部分を生じさせて磁化自由層上に被着させ、この磁化自由層に対して交換結合させる。
そして、その後の絶縁層の形成は、マスク層上から全面的に、スピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子の構成膜の膜面に斜め方向に入射させて成膜させて、マスク層のネック部が被着された部分以外において、マスク層の幅広頭部下にも入り込んで絶縁膜の形成を行うものである。
【0017】
この状態で、上述したように、マスク層を除去ものであり、このようにすることによって、マスク層の幅広頭部下以外において、安定化バイアス用反強磁性層が選択的に形成され、この安定化バイアス用反強磁性層にマスク層の幅広頭部の投影部に相当する開口が形成される。更に、この、安定化バイアス用反強磁性層上には、その開口の内側面を覆うように、絶縁層の形成がなされ、この絶縁層には、安定化バイアス用反強磁性層の開口より内側のマスク層のネック部が除去された部分に開口が形成され、この開口を通じて磁化自由層の露出がなされる。
【0018】
そして、この絶縁層の開口を通じて非磁性のギャップ膜を形成し、その上に電極の形成を行うことによって、この絶縁層の開口によって規定された磁化自由層に対する電極コンタクトがなされるのである。
つまり、スピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子の構成膜の、安定化バイアス用反強磁性層および絶縁層が除去された領域をセンス電流の通電領域とするスピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子が形成される。
【0019】
また、本発明による磁気抵抗効果型磁気ヘッドの製造方法は、その感磁部が構成する磁気抵抗効果型磁気センサによるものであり、この磁気抵抗効果型磁気センサが、上述した本発明による磁気抵抗効果型磁気センサの製造方法によってなされる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明製造方法によって得る磁気抵抗効果型磁気センサを感磁部として有する磁気抵抗効果型磁気ヘッドの一例の要部の概略断面図を示す。
しかしながら、いうまでもなく本発明製造方法は、この例に限定されるものではない。
【0021】
磁気抵抗効果型磁気ヘッド50は、その感磁部が磁気抵抗効果型磁気センサ10によって構成される。
この例においては、例えば基板21上に、第1の電極31例えば第1の電極兼磁気シールドが形成され、この上に、反強磁性層11、これと交換結合する磁化固定層12、非磁性スペーサ層13、磁化自由層14とが順次形成されたいわゆるボトム型スピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子(SV型GMR素子)1が形成される。
【0022】
そして、このSV型GMR素子1の磁化自由層14上に、その動作領域となる部分に開口42Wが形成され、この動作領域となる部分を挟んでその両側に、磁化自由層14と交換結合する安定化バイアス用反強磁性層42が形成される。
更に、この安定化バイアス用反強磁性層42を覆ってその開口42W内に開口43Wが形成された絶縁層43が形成され、この上に、開口42Wを通じて磁化自由層14上と接して非磁性のギャップ層44が形成される。
【0023】
開口43W内を通じて磁化自由層14と電気的にコンタクトする第2の電極32例えば第2の電極兼磁気シールドが、絶縁層43に跨がって被着形成される。これら第1および第2の電極31および32間にセンス電流の通電がなされる。
【0024】
そして、この構成において、開口43Wの幅が、磁気ヘッドのトラック幅WT を規定するものである。このトラック幅WT 内に感度領域が形成される。
【0025】
この磁気抵抗効果型磁気センサ10を有する磁気抵抗効果型磁気ヘッド50を得る本発明による製造方法の一例を図2〜図5の概略断面図を参照して説明する。
この場合、図2に示すように、例えば例えばアルチック(AlTiC)より成る基板(図示せず)上に、例えばNiFe、あるいはFeAlSi等より成る第1の電極31もしくは電極兼磁気シールドをスパッタ等によって形成する。
【0026】
この上に、SV型GMR素子のSV構成膜63を成膜する。この構成膜63は、例えばPtMnより成る反強磁性層11と、これに交換結合する例えば2層のCoFe磁性層がRu層を介して積層された強磁性積層フェリ構造による磁化固定層12と、例えばCuよりなる非磁性スペーサ層13と、例えばCoFe磁性層とNiFe磁性層の積層構造による磁化自由層14とが順次積層成膜する。
【0027】
そして、図3に示すように、この構成膜63上の最終的に構成膜63によって構成されるSV型GMR素子の動作領域を構成する部分に、マスク層62を形成する。このマスク層62は、その基部側、すなわち構成膜63上に被着される部分が、幅狭のネック部62Aとされ、その上にネック部62Aより大なる幅を有する幅広頭部62Bが形成された構成を有する。
【0028】
このマスク層62の形成は、例えばネック部62Aを構成する第1のレジスト層と、これとはその現像液を異にする幅広頭部62Bを構成する第2のレジスト層とが順次積層された積層構造によることができる。
第1および第2のフォトレジスト層は、互いにその現像液を異にするものであって、相互に他のフォトレジスト層に対する現像液に対して殆ど可溶性を示すことがないフォトレジスト層によって構成される。
【0029】
この場合、第1および第2のフォトレジスト層62Aおよび62Bを順次積層成膜し、図1で説明した安定化バイアス用反強磁性層42の開口42Wに対応するパターンの露光を行い、これを第2のフォトレジストに対する現像液によって現像して、開口42Wに対応するパターンの幅広頭部62Bを形成する。
続いて、第2のフォトレジスト層、すなわちこの幅広頭部62Bに対しては殆ど溶解することがなく、第1のフォトレジスト層62Aに対して高い溶解度を示す現像液による現像を、いわば幅広頭部62Bをマスクとして現像して、この幅広頭部62Bの縁部より内側に所要の幅をもって入り込んだ第1のフォトレジスト層による幅狭のネック部62Aを形成する。
【0030】
ここに、下層の第1のフォトレジスト層としては、例えばLOL−1000(シプレー・ファーイースト社製)を用いることができ、その現像液はSSFD−159(信越化学社製)を用いることができる。
また、第2のフォトレジスト層62Bは、例えばZEP−520−22(日本ゼオン社製)を用いることができ、その現像液はZEP−RD(日本ゼオン社製)を用いる。あるいは、第2のフォトレジスト層62Bは、例えばZEP−2000(日本ゼオン社製)を用い、その現像液がZMD−D(日本ゼオン社製)を用いる。
【0031】
次に、図4に示すように、例えばIrMnより成る安定化バイアス用反強磁性層42を、構成膜63の膜面に対し垂直方向の指向性を有する、例えばイオンビームスパッタ、ロングスロースパッタ等の異方性を有する被着方法によって形成する。
このようにすると、幅広頭部62B直下には、安定化バイアス用反強磁性層42が形成されず、此処に開口42Wが形成される。
【0032】
次に、図5に示すように、例えばアルミナ(Al2 O3 )による絶縁層43を、例えばイオンビームスパッタによって形成する。
この絶縁層43の成膜は、例えば基板21をアルミナの飛翔方向に対して例えば45°程度傾けて相対的に回転して成膜することによって、絶縁層43が、幅広頭部42B下にも入り込むように行う。
【0033】
その後、マスク層62を、このマスク層62に付着された安定化バイアス用反強磁性層42および絶縁層43と共にリフトオフして、図1に示すように、絶縁層43が、安定化バイアス用反強磁性層42の表面、すなわち開口42Wの内側面をも覆って形成され、かつこの絶縁層43にマスク層62のネック部62Aの除去によって開口43Wが形成される。
【0034】
このリフトオフは、例えばNMP(ナノメチルピロリドン)(液温80℃)およびIPA(イソプロピルアルコール)(液温23℃)を用い、それぞれ200W〜300W、50kHz〜60kHzによる超音波印加のもとで、第1および第2のNMPの槽によるそれぞれ60分および30分の処理と、その後同様の超音波印加による第3のIPAの槽での処理によって行うことができる。
【0035】
上述した構成において、下層の反強磁性層11においては、その膜面に沿い、かつ検出磁界に沿う方向に磁化される。すなわち、この向きに磁化固定層が磁化されるように設定する。
【0036】
一方、安定化バイアス用反強磁性層42は、その膜面に沿いかつ検出磁界の向きと交叉、すなわちほぼ直交する方向の磁化がなされて、これに交換結合する磁化自由層14にこの方向の磁化がなされるようにする。
このとき、開口42Wの幅は、上述したように、そのトラック幅が、例えば0.3μm以下とされることによって狭小な幅とされることによって、この開口42W内の直接的に安定化バイアス用反強磁性層42と交換結合されていない領域においても、上述した検出磁界の向きと交叉する向きの磁化が、少なくとも外部磁界、すなわち検出磁界が印加されない状態で得られるようにする。
【0037】
すなわち、この構成において、磁化自由層14の安定化バイアス用反強磁性層42が被着されてこれと交換結合された領域、すなわち開口42Wの形成部以外の領域においては、この安定化バイアス用反強磁性層42によってその磁化が、いわば固定されて、外部磁界、すなわち検出磁界によって磁化の向きが回転することがない不感知領域となり、開口42W内に相当する部分が、外部磁界によって磁化の向きが回転することができる磁気抵抗効果を奏する動作領域とされた構成膜63よりなるSV型GMR素子1が構成される。
【0038】
上述したように、反強磁性層11と安定化バイアス用反強磁性層42とは、その磁化の向きが互いに交叉する向きに設定されるが、この磁化の向きの設定は、それぞれ所定の向きの磁界印加の下でのアニール処理によって行うことができる。
このために、反強磁性層11と安定化バイアス用反強磁性層42とは、そのアニール温度が相違する反強磁性材料が用いられる。すなわち、例えば上述したように反強磁性層11はPtMnによって構成し、安定化バイアス用反強磁性層42は例えばIrMnによって構成するものである。
そして、例えばPtMnによる反強磁性層11は、所定の固定方向に例えば1000〔Oe〕以上の磁界印加の下で250℃〜320℃、2時間〜30時間、例えば265℃で4時間のアニール処理によって磁化し、その後、例えばIrMnによる安定化バイアス用反強磁性層42を、所定の方向の例えば20〔Oe〕〜800〔Oe〕の磁界印加の下で150℃〜250℃、1時間〜15時間、例えば240℃で2時間のアニール処理によって磁化する。
【0039】
そして、絶縁層43上に、その開口43Wを通じて露出する磁化自由層14上に接して、例えばTa、Au、Cu等による導電性を有する非磁性のギャップ層44を形成し、この上に、第2の電極32例えば電極兼磁気シールドを形成して、電極32のコンタクトを行う。
そしてこれら第1および第2の電極ないしは電極兼磁気シールド間に、センス電流を通電する。
このようにすると、開口43W内の、SV型GMR素子1の動作領域すなわち高い感度を示す領域に限定的にセンス電流の通電がなされる。
すなわち、SV型GMR素子の高感度領域にのみセンス電流の通電がなされる。
【0040】
尚、上述した磁気抵抗効果型磁気センサ、磁気抵抗効果型磁気ヘッドは、共通の基板(図示せず)上に、複数個同時に形成することができ、これらを分断することによって同時に複数の磁気抵抗効果型磁気センサ、磁気抵抗効果型磁気ヘッドを製造することができることはいうまでもない。
そして、その前方面を研磨して、例えばSV型GMR素子が直接的に露呈された磁気抵抗効果型磁気センサあるいは磁気抵抗効果型磁気ヘッドを構成することができる。そして、この前方面において、図1で示すように、安定化バイアス用硬磁性層43の開口幅が、例えば磁気抵抗効果型磁気ヘッドのトラック幅WT として、検出磁界、例えば磁気記録媒体上の記録信号磁界を導入してその再生がなされる。
すなわち、この前方面は、例えば磁気記録媒体に対して摺接するあるいは、磁気記録媒体に対して浮上対向するいわゆるABS(Air Bearing Surface)となる。
【0041】
あるいはSV型GMR素子の例えば前方に図示しないが磁気的に結合する磁束ガイド層が配置され、この磁束ガイド層の前方端が、磁気抵抗効果型磁気ヘッドの前方面に臨んで形成され、この磁束ガイド層を介して磁気記録媒体からの信号磁界を、SV型GMR素子1に導入する構成とすることができる。
更に、SV型GMR素子1の後端に後方磁束ガイド層を磁気的に結合して配置することによって検出信号磁界を有効にSV型GMR素子1に通ずる構成とすることもできる。
【0042】
尚、上述した例では、ネック部62Aおよび幅広頭部62Bを有するマスク層62の形成を2層構造のフォトレジスト層によって形成した場合であるが、例えば溶融促進剤が混入され、加熱処理、いわゆるポストエクスポージヤベーキングを行うことによって、溶融促進剤がフォトレジスト層の下層に偏析されるフォトレジスト層によって構成し、このフォトレジスト層に対し、パターン露光、現像処理を行うとき、この溶融促進剤の偏析によって、下方での溶解の進行度が促進されることによって下方にネック部は発生する構成とすることもできる。
【0043】
その他、本発明製造方法は、上述した例に限定されるものではなく、本発明構成において、種々の変形変更を行い得るものである。
【0044】
また、例えば本発明による磁気抵抗効果型磁気ヘッド上に、例えば電磁誘導型の薄膜記録ヘッドを一体に形成することによって、記録再生磁気ヘッドを構成することもできる。
【0045】
【発明の効果】
上述したように、本発明は、いわゆるボトム型構成によるスピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子(SV型GMR素子)の磁化自由層に対する安定化バイアスを、安定化バイアス用反強磁性層4を交換結合することによって与える構成による磁気抵抗効果型磁気センサおよび磁気抵抗効果型磁気ヘッドを製造するものであるが、この場合に、この安定化バイアス用反強磁性層42の開口の形成、すなわち動作領域の設定と、この反強磁性層42を覆って形成する絶縁層43の開口の形成、すなわちセンス電流の通電領域の設定とを、同一マスク層の幅広頭部とネック部とを利用した各反強磁性層42と絶縁層43の成膜と、リフトオフによって形成したことにより、絶縁層43のセンス電流の通電を行う開口43Wを、確実にSV型GMR素子の磁気抵抗効果を有する動作領域、すなわち感度の高い領域に限定的に形成することができる。すなわち、導電性を有する安定化バイアス用反強磁性層を用いた場合においても、これに分流を生じることなくセンス電流の通電を、SV型GMR素子の高い感度を示す領域にのみ通電することができることから、検出出力が高い特性にすぐれた磁気抵抗効果型磁気センサおよびこれを有する磁気抵抗効果型磁気ヘッドを構成することができるものである。
【0046】
したがって、本発明によれば、特性にすぐれ、均一な特性を有する目的とする磁気抵抗効果型磁気センサおよび磁気抵抗効果型磁気ヘッドを高い歩留りをもって製造することができ、コストの低廉化、量産性の向上を図ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明製造方法によって製造する磁気抵抗効果型磁気センサを具備する本発明による磁気抵抗効果型磁気ヘッドの一例の概略断面図である。
【図2】本発明による磁気抵抗効果型磁気センサの製造方法の一例の各工程の要部の概略断面図である。
【図3】本発明による磁気抵抗効果型磁気センサの製造方法の一例の各工程の要部の概略断面図である。
【図4】本発明による磁気抵抗効果型磁気センサの製造方法の一例の各工程の要部の概略断面図である。
【図5】本発明による磁気抵抗効果型磁気センサの製造方法の一例の各工程の要部の概略断面図である。
【図6】従来方法による磁気抵抗効果型磁気センサの概略断面図である。
【符号の説明】
1・・・スピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子(SV型GMR素子)、10・・・磁気抵抗効果型磁気センサ、11・・・反強磁性層、12・・・磁化固定層、13・・・非磁性スペーサ層、14・・・磁化自由層、21・・・基板、31・・・第1の電極(兼磁気シールド)、32・・・第2の電極(兼磁気シールド)、42・・・安定化バイアス用硬磁性層、42W・・・開口、43・・・絶縁層、43W・・・開口、44・・・ギャップ層、50・・・磁気抵抗効果型磁気ヘッド、62・・・マスク層、62A・・・ネック部(第1のフォトレジスト層)、62B・・・幅広頭部(第2のフォトレジスト層)63・・・SV構成層、100・・・スピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子(SV型GMR素子)、101・・・第1の電極、102・・・第2の電極、103・・・安定化バイアス用反強磁性層、111・・・反強磁性層、112・・・磁化固定層、113・・・非磁性スペーサ層、114・・・磁化自由層
Claims (4)
- 反強磁性層と、磁化固定層と、非磁性スペーサ層と、磁化自由層とを有するスピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子の構成膜を、その磁化自由層を上層側に配置して成膜する成膜工程と、
上記構成膜上の、最終的にスピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子の動作領域を形成する部分上に、幅広頭部とこれより基部側に幅狭ネック部とが形成されたマスク層の形成工程と、
上記磁化自由層に対する安定化バイアス用反強磁性層を、上記マスク層上から全面的に上記構成膜の膜面にほぼ垂直方向の指向性を有する被着方法によって上記マスク層の幅広頭部下において、非成膜部分を生じさせ、上記磁化自由層に交換結合させて成膜する成膜工程と、
絶縁層を、上記マスク層上から全面的に上記構成膜の膜面に斜め方向に入射させる被着方法によって上記マスク層の幅広頭部下を含んで上記安定化バイアス用反強磁性層の表面を覆って形成する成膜工程と、
上記マスク層を除去して、該マスク層に付着された上記安定化バイアス用反強磁性層と上記絶縁層を選択的に除去する工程と、
該絶縁層の除去部を通じてスピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子の構成膜に接するように非磁性のギャップ膜を形成し、該ギャップ膜の上に電極を形成する工程とを有し、
上記スピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子の構成膜の、上記安定化バイアス用反強磁性層および上記絶縁層が除去された領域をセンス電流の通電領域とするスピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子を形成することを特徴とする磁気抵抗効果型磁気センサの製造方法。 - 上記マスク層の形成工程が、第1のレジスト層と第2のレジスト層とが順次積層された積層構造によるレジスト層の成膜と、パターン露光と、現像処理とによってなされ、
上記第2のレジスト層は、上記第1のレジスト層に対する現像液に殆ど可溶性を示さない特性を有し、
上記現像処理は、上記第2のフォトレジスト層に対する現像処理と、その後の上記第1のフォトレジスト層に対する現像処理とによってなされ、上記第2のレジストによって上記幅広頭部を形成し、上記第1のレジスト層によって上記ネック部を形成することを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果型磁気センサの製造方法。 - 反強磁性層と、磁化固定層と、非磁性スペーサ層と、磁化自由層とを有する磁気抵抗効果型磁気センサを感磁部とする磁気抵抗効果型磁気ヘッドの製造方法であって、
スピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子の構成膜を、その磁化自由層を上層側に配置して成膜する成膜工程と、
上記構成膜上の、最終的にスピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子の動作領域を形成する部分上に、幅広頭部とこれより基部側に幅狭ネック部とが形成されたマスク層の形成工程と、
上記磁化自由層に対する安定化バイアス用反強磁性層を、上記マスク層上から全面的に上記構成膜の膜面にほぼ垂直方向の指向性を有する被着方法によって上記マスク層の幅広頭部下において、非成膜部分を生じさせ、上記磁化自由層に交換結合させて成膜する成膜工程と、
絶縁層を、上記マスク層上から全面的に上記構成膜の膜面に斜め方向に入射させる被着方法によって上記マスク層の幅広頭部下を含んで上記安定化バイアス用反強磁性層の表面を覆って形成する成膜工程と、
上記マスク層を除去して、該マスク層に付着された上記安定化バイアス用反強磁性層と上記絶縁層を選択的に除去する工程と、
該絶縁層の除去部を通じてスピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子の構成膜に接するように非磁性のギャップ膜を形成し、該ギャップ膜の上に電極を形成する工程とを有し、
上記スピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子の構成膜の、上記安定化バイアス用反強磁性層および上記絶縁層が除去された領域をセンス電流の通電領域とするスピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子を形成することを特徴とする磁気抵抗効果型磁気ヘッドの製造方法。 - 上記マスク層の形成工程が、第1のレジスト層と第2のレジスト層とが順次積層された積層構造によるレジスト層の成膜と、パターン露光と、現像処理とによってなされ、
上記第2のレジスト層は、上記第1のレジスト層に対する現像液に殆ど可溶性を示さない特性を有し、
上記現像処理は、上記第2のフォトレジスト層に対する現像処理と、その後の上記第1のフォトレジスト層に対する現像処理とによってなされ、上記第2のレジストによって上記幅広頭部を形成し、上記第1のレジスト層によって上記ネック部を形成することを特徴とする請求項3に記載の磁気抵抗効果型磁気ヘッドの製造方法。
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