JP4003260B2 - Icカード - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロセッサ等のICを内蔵したICカード及びその製造方法に関するものであり、特に、非接触の外部装置との間で、電磁波あるいは磁気による結合により、電力の受信および情報信号の送受信を非接触で行なうICカード及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、プロセッサ等のICを内蔵したICカードが電子マネーやプリペードカード等の記憶媒体として注目を集めいている。従来のICカードは、上位端末装置であるリーダー/ライターとの情報伝達を、接点を用いて行うものが主体であった。しかし、最近では、接点の接触不良が少なくて信頼性のある非接触式のICカードおよびリーダー/ライターの開発が進められている。
【0003】
非接触のICカードには、通信距離により、密着型と近接型および遠隔型があるが、最近このうちの密着型ICカードに関して、コイルの位置や形状、電気的特性などを定めた国際標準規格 ISO10536 が制定され、この規格に準拠したICカードおよびリーダー/ライターの開発が行われている。この国際標準規格によれば、ICカードとリーダー/ライターとの情報伝達を行う際には、互いの送受信用アンテナの位置精度が2mm程度に規定されている。
【0004】
これらの非接触のICカードは取扱性を考慮して薄形化が進んでいる。例えば、特開平8ー316411号の公開公報では、上下カバーシートの間にコンデンサや印刷コイル及び薄型集積回路を接着材によって充填することで500μm以下の厚さを実現したICカードが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来例によれば、薄形化を図ることにより携帯性が良好になるものの、薄形化を図ったために、ICカードの保護や意匠性を高めるための外装シートを薄く形成する必要がある。この結果、この外装シートを通して、内部の送受信用アンテナあるいはIC素子が外から透けて見えてしまう新たな課題が生じている。
【0006】
この内部が透けて見えてしまう課題は、利用者に何等のメリットがない内部構造を外表面に映して意匠性を損なうばかりか、中が見えてしまうばかりに、利用者に針などで回路やアンテナを傷つけてみたくなる無用な衝動を抱かせるものである。更に、この課題を解決するために、外装シートの表面に施す印刷を厚くすることとなるため、印刷工程の増加によるコスト高の課題がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、印刷工数を軽減して意匠性を高めるICカードを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために、ICカードの本体を、一対のカバーシートの間に、基板シートと、スペーサシートとを設けた薄い積層体で構成し、前記基板シートに外部装置との間で、電磁結合により、電力の送信および情報信号の伝達を行う送受信アンテナと、回路パタンと、情報を記憶するためのメモリを備えた制御部とを設け、前記スペーサーシートをその内部に前記制御部を位置するように前記基板シートに隣接して設け、前記基板シートに隣接する前記カバーシートは、その外表面を構成する第1の印刷面を備え、前記第1の印刷面の裏面となる他のカバーシートは、その外表面を構成する第2の印刷面を備え、前記第1の印刷面と第2の印刷面は、カバーシートを介して表面に現われる前記送受信外アンテナを隠蔽するように全面印刷が施され、前記第1の印刷面をカード発行者記載面とし、前記第2の記載面を注意説明記載面とする。
【0009】
この場合、前記カード発行者記載面を、前記注意説明記載面より明度を暗く形成し、更に、カバーシートを介して前記第1の印刷面に現われる前記送受信アンテナの明度より暗い印刷を施すようにする。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明をより詳細に説述するために、添付図面に従ってこれを説明する。先ず、図1に基づいて、本発明の実施例に係る非接触のICカードの概略構造と主な特徴について説明する。図1は非接触のICカードの展開図である。
【0011】
図1において、符号1で総括的に示すのは非接触のICカードであり、可撓性を有する複数の薄いシートを積層したカード本体2に集積回路等を内臓し、そのカード本体2の表面Aをカード発行者記載面4とし、前記表面Aの裏面となる表面Bに注意説明記載面6とすることで、印刷工数を軽減して意匠性を高めたものである。
【0012】
前記ICカード1は、カード本体2と、このカード本体2に内蔵された送受信アンテナ18と、制御部15、通信部16、電源部17等の複数チップ等から構成される。
【0013】
前記カード本体2は、一対のカバーシート11、12の間に、基板シート13と、スペーサシート14とを挟み込み込んだ積層構造としている。
【0014】
前記基板シート13は、ICカード1に内蔵される回路装置等を実装するシート材であり、前記カード本体2の一方の長辺2a側(図面上部側)に送受信アンテナ18、ICカード1の長手方向の一端2d側(図面右端側)に前記送受信アンテナ18と接続される回路パターン24が印刷され、前記制御部15と通信部16と電源部17が前記回路パターン24の両長辺2a側と2b側に分かれて取付けられている。
【0015】
更に、前記基板シート13には、ICカード1内の回路配線を検査する複数の端子から構成されるテスト端子部19a、19bが制御部15と電源部17の近傍に設けられている。
【0016】
ここで、図1の基板シート13は、説明の都合上、基板シート13の裏面を透過して図示している。実際には、基板シート13の裏面に回路パターン24が印刷され、その所定の位置に制御部15と通信部16と電源部17のチップが取付けられている。なお、送受信アンテナ18は裏表両面に印刷することでアンテナの巻線数を大きくしている。
【0017】
前記スペーサーシート14は、前記ICカード1に取付けられた前記複数のチップ(制御部15、通信部16、電源部17)の凸形状を吸収してICカード1の厚さを均一にするものであり、図面中の基板シート13の裏面に取付けられる前記チップの厚さを調整するために、前記チップに対応する位置に開口部20、21、22を形成している。また同様に、テスト端子19a、19bに対応する位置にも開口部23a、23bを形成している。
【0018】
前記一対のカバーシート11、12は、前記基板シート13とスペーサーシート14を保護するとともに、外表面A、Bに印刷を施して多様なICカード1を提供するものである。
【0019】
本実施例においては、前記カード本体2を構成する前記一対のカバーシート11、12及び前記基板シート13とスペーサーシート14を白色PET(ポリエチレンテレフタレート)シート材で構成している。この白色PETシートでは、前記カード本体2の厚さが0.5mm以内の薄さを備えているために、カバーシート11、12を通して基板シート13に印刷された前記送受信アンテナ18や前記回路パターン24あるいは前記制御部15と通信部16と電源部17等が透けて見えてしまう。特に、この実施例では、前記表面Aと、その裏面となる表面Bの内部の見え方に大きな違いがある。即ち、表面Aは、基板シート13に両面印刷された受信アンテナ18をカバーシト11のみでカバーしているので内部が見え易い。一方、表面Bは、カバーシート12と基板シート13との間にスペーサーシート14を設けているので、前記表面Aより内部が見え難い。また、一般に、カード発行者記載面4は、第三者に発行会社を明確に認識させるものであるため、各発行会社とも多様な色彩で全面印刷する。一方、前記表面Aの裏面となる表面Bの注意説明記載面6は、全面印刷を行ってはいるものの、説明文字を表記するために、その見易さから、背景を白を基調としている。
【0020】
そこで、この実施例では、全面印刷を施すカード発行者記載面4を前記内部が見え易い表面Aとし、背景が白を基調とする注意説明記載面6を内部が見え難い表面Bとすることで、両面の印刷工数を低減している。また、カードの所有者欄5を受信アンテナ18や前記回路パターン24あるいは前記制御部15と通信部16が配置されていない長辺2b側でかつ電源部17を避けた位置に設けるようにしている。ここで、一般に、前記所有者欄5は前記注意説明記載面と同様、文字を主体としているために背景が白を基調としたものであるから、例え内部が見えても見えるものがないので意匠性を損なうことがない。
【0021】
このように、本実施例に係る非接触のICカード1によれば、基板シート13に送受信アンテナ18や回路パターン24を印刷して前記チップを取付け、一対のカバーシート11、12の間にスペーサーシート14とともに積層する構造としたので、製造が容易となる。しかも、前記主機能要素の凹凸を吸収するスペーサシート14を設けることで、ICカード1を簡単に均一の厚さにすることができる。そして、本実施例では、前記スペーサシート14を採用した薄形の積層構造を持つICカード1に生じる内部が見え易い表面Aと、見え難い表面Bとの違いを利用して、カード発行者記載面4と注意説明記載面6を特定してそのカバーシート11、12に印刷を施すことにより、印刷工数の低減と意匠性を向上している。
【0022】
更に、この実施例では、ICカード1の一方の長辺2a側に片寄って送受信アンテナ18が配置され、かつ両長辺2a、2b側に振り分けられて、かつ長手方向の片側2dに片寄って前記制御部15と前記通信部16と前記電源部17が配置されているので、前記送受信アンテナ18の反対側の機能要素のない長辺2b側にカードの所有者欄5を設けることで、印刷工数の低減と意匠性を向上している。しかも、このカード所有者欄5の内部には、他の機能要素が設けられていないので、該カード所有者の氏名等を例えば凹凸文字を施しても、ICカード1としての機能を損なうことが無いから、従来のエンボス加工による識別方式を採用することができるので他のカードとの併用を容易に図ることができる。
【0023】
更に、前記制御部15と前記通信部16と前記電源部17からなるチップをICカード1の中央から離れて配置したので、ICカード1の中央に発生する最大曲げ応力による前記チップの破損を軽減することができるから、携帯性を向上させることができる。加えて、前記チップ近傍にテスト端子部19a、19bを設けることで回路パターン24の配線を最短にすることができるとともに、検査をやり易くすることができる。
【0024】
以下、図1から図19を参照して、本発明に係るICカード1を詳細に説明する。
【0025】
先ず、図2に基づいて非接触のICカードの外形状を説明する。図2は非接触のICカードの外観図であり、(a)図は表面図、(b)図が裏面図である。
【0026】
本実施例のICカード1は、0.25mm程度の薄さを備えた各種のプリペードカード並みの厚さを有するとともに、その外観はキャッシュカードや各種のプリペードカードで採用されている大きさを備えた略長方形状としている。
【0027】
図2において、前記したように、この実施例に係るICカード1は、(a)図に示す内部が見え易い表面Aをカード発行者記載面4とし、前記表面Aに対して内部が見え易い(b)図に示す表面Bを前記注意説明記載面6としている。前記表面Aは、カード面全体に印刷を施す全面印刷の多色印刷が施され、前記カード本体2の一方の長辺2a側に、例えば「○○○○カード」等のICカード1の発行会社が記載されるカード発行者欄4aを備えてカード発行者記載面4が構成される。前記カード発行者記載面4は、そのカードの「顔」ともなるものであり、他のカードとの識別を可能とするため、あるいは目立たせるものであるため、ここでは、視覚的に「濃いめ」の色彩を備えた多色印刷を想定している。つまり、図面上においては、斜線で示しているが、例えば、カード発行者の象徴的な写真、図柄や、各種の風景写真や人物、文字等で構成される。また、カード発行者欄4aは、特にその配置が特定されるものではなく、カードの図柄等との組み合わせて、カードの識別効果があればよい。
【0028】
また、前記カード発行者欄4aの他方の長辺2b側には、カード発行者から譲渡されるなどして当該ICカード1を所有している所有者の氏名を、例えば「0101 666 999999 山田 太郎」等のように会員番号と氏名で表記した所有者欄5が設けられる。この実施例では、カード所有者情報の重要性を考慮して前記所有者欄5を表面Aに設けたが、表面Aの裏面となる表面Bの同じ位置に設けてもよい。このようにすれば、表面Aを前記カード発行者記載面4の専用エリアとして使えるので多様なデザインが可能となる。また、前記所有者欄5と送受信アンテナ18等の機能要素を分離して設けているので、例えば前記所有者欄5の表記をエンボス加工による凹凸文字で表現することも可能である。
【0029】
一方、図2の(b)図に示す前記ICカード1の裏面となる表面Bは、カード面全体に印刷を施す全面印刷の白色ベタ印刷が施され、カード使用上の注意を表記した注意説明欄6aが印刷される。
【0030】
ここで、この実施例では、シート材料を機械強度、価格の上で好ましいPETフイルムを採用している。しかし、このPETフイルムは、表面に光沢があり水をはじく性質があるために塗料ののりが悪く印刷し難い材料である。更に、PETフイルムでは、昇華、溶融、熱転写等の印刷による文字・記号等の印刷がし難い。そこで、この実施例では、前記課題を解決するためにUV(ウルトラバイオレット)硬化樹脂塗料で全面印刷を行っている。即ち、UV硬化樹脂塗料(紫外線硬化樹脂塗料)でオフセット印刷またはシルク印刷を行い、紫外線を照射して前記UV硬化樹脂塗料を乾燥させるものである。
【0031】
また、この実施例では、カード所有者に関する表記情報は、個人情報であるために、大量印刷する前記印刷時には付すことができないので、前記印刷時に受容層(コート材、表面処理幕等)を塗布して前記所有者欄5を作成し、その後、前記受容層に熱転写方式でカード所有者に関する文字・記号等を付すようにしている。例えば、被印刷物(ICカード1の表面)と印刷塗料との密着性を改善するために、前記被印刷物のSP値(溶解度パラメータ)と近いSP値を備えたプライマーを採用するとよい。この実施例が採用するPET材のSP値は10.7であるため、このSP値に近いSP値、例えば1.0以下のSP値のプライマーを受容層としてICカード1の表面に塗布して前記所有者欄5を作成する。また、印刷塗料は前記プライマーとして採用した材料に対して、酸変性(水酸基、水素基)等の反応性を備えた塗料を採用するとよい。
【0032】
また、前記受容層に変えて、前記所有者欄5の表面を物理的または科学的に荒らしてインクののりをよくして、他の部分と表面の荒さが異なるエリアを形成してもよい。例えば、細かなプラスッチックボールや細かな砂を多数吹き付けて行うブラスト加工を施してもよい。この場合、前記所有者欄5の内部には機能要素が設けられていないので、前記加工によりICカード1としての機能を損なうことがない。更には、前記所有者欄5を別のシート部材(シール)で作成し、接着材等で貼り付けてもよい。
【0033】
このように、本実施例に係るICカード1によれば、機械強度を維持しつつ多様なデザイン処理が可能な非接触のICカード1が提供される。しかも、凹凸文字での表記も可能な所有者欄5が設けられるので識別性を向上できる。
【0034】
次に、図3及び図4を参照して、本実施例に係る非接触のICカードを採用したシステム構成と非接触のICカードの回路構成を説明する。図3は本発明に係る非接触のICカードの周辺機器との関係を示すブロック図、図4は本発明に係る非接触のICカードの詳細ブロック図である。
【0035】
図3において、この実施例に係る非接触のICカード1は、内部に備えた送受信アンテナ18と、リーダー/ライター200等の外部装置に備えられた送受信アンテナ240との間で、電力と信号の送受信を行う。
【0036】
前記ICカード1は、電源回路部111とコンデンサ部112とから構成される電源回路110と、送受信制御回路120と、CPU130と、メモリ140と、一対の送受信アンテナ18を備えている。一方、リーダー/ライター2は、電力電送回路210と、リーダ/ライター制御回路220と、変調復調回路230と、送受信アンテナ240とを備えている。
【0037】
リーダー/ライター200は、信号線を介して上位コントローラ300、例えばパーソナルコンピュタ等と接続され、同上位コントローラ300の操作指示に基づいて、同上位コントローラ300の情報信号及び電力をICカード1に送信する。リーダ/ライタ制御回路220は、4.91MHzのクロック(電力供給用のキャリア信号でもある)を発生させ、上位コントローラ300からの信号を、変調復調回路230にてIS010536に定められた90度位相の2相PSK変調と、前記90度位相のPSK変調信号(ディジタル信号)から正弦波信号に変換し、増幅することでICカード1へのデータ(下りデータ)を発生させ、送受信アンテナ240をドライブしてICカード1側に電波(電磁波)で伝達する。
【0038】
また、ICカード1からリーダー/ライター200へのデータ(上りデータ)は送受信アンテナ240によって受信し、変調復調回路230にて、増幅、必要な波形を抽出、ディジタル信号変換、PSK復調を行って、データ(上りデータ)の復調再生を行ない、上位コントローラ300に信号を伝達する。
【0039】
一方、ICカード1は、送受信アンテナ18によって、上記信号を受信し、電源回路110で直流電圧を発生させると同時に、送信受信制御回路120によって、下りデータの復調と上りデータの変調を行なう。復調された信号は、CPU130を介してメモリ140にデータを書き込み、逆に、前記メモリ140から読みだされた上りデータは、CPU140と送信受信制御回路120を介して送受信アンテナ18をドライブして、リーダー/ライター200側に電波(電磁波)で伝達する。
【0040】
また、本実施例に係るICカード1は、前記CPU130とメモリ140で、第1図に示す制御部15のチップを構成し、前記送受信制御回路120と電源回路部111で通信部16のチップを構成し、前記コンデンサ部112で電源部17のチップを構成している。このICカード1の詳細な回路を図4を参照して更に説明する。
【0041】
図4において、先ず、制御部15を構成するCPU130は、VCC端子131と、DI01端子132と、DI02端子133と、CLK端子134と、RST端子135と、GND端子136を備えている。本実施例では、前記CPU130の動作状態を検査するために、最低限、前記VCC端子131とDI01端子132とDI02端子133とCLK端子134とRST端子135とGND端子136から、あるいは同端子に接続している相手端子から信号線を引出して前記テスト端子部19a、19bの各端子に接続している。この他、前記テスト端子部19a、19bには、第4図に示した通信部16のチップに設けた信号線の入出力端子(図面中で○で図示)に接続するテスト端子を設けて、より詳細な検査を可能にしてもよい。
【0042】
さて、ICカード1は、リーダー/ライター200の送受信アンテナ240との間で電磁結合された送受信アンテナ18によって、電力と信号を得ることができる。前記通信部16に導かれた信号は電源回路部111を介して前記CPU130のVCC端子131に接続される。電源回路部111では、整流回路113で直流電圧を発生させ、リミッタ114で電圧制限をかけるとともにパワー集中を軽減させ、定電圧回路115で所定の電圧に直流電源を安定させている。この電源回路部111では、前記整流回路113とリミッタ114の間に平滑コンデンサ(1)112aを設け、電流の平滑化を図るとともに、前記VCC端子131と通信部16のチップの間に平滑コンデンサ(2)112bを設けて電流の平滑化を図るとともに負荷変動による電圧低下を軽減している。
【0043】
また、定電圧回路115で安定化された電流はパワーオンRES回路116にも接続される。パワーオンRES回路116では、パワーオンを検知してICカード1の回路を初期化するPWERRESーN信号が出力され、同信号はタイミング発生回路127に入力される。タイミング発生回路127は、前記信号を受けて、IS010536に準拠するタイミングにしたがって、下りデータ復調回路124に信号の初期値を知らせるINITーN信号を出力するとともに、RST信号をCPU130のRST端子135に出力して、ICカード1の初期化が行われる。
【0044】
また、前記通信部16に導かれた信号は送受信制御回路120を介して前記CPU130のDI02端子132とCLK端子134及びRST端子135に接続される。送受信制御回路120では、送受信アンテナ18から分岐された受信信号を、クランプ回路121から二値化回路122でデジタル信号に変換し、該デジタル信号によって、下りデータ復調回路124で復調等の処理を行って、CPU130のDI01端子に接続する。クロック生成回路123で生成されるクロックは前記デジタル信号を基準にして生成され、更にクロック信号の立ち上がりによって、前記デジタル信号をサンプリングすることで復調信号を得る。クロック生成回路123のクロックは分岐してタイミング発生回路127と接続され、CPU130のCLK端子134とRST端子135に接続される。
【0045】
一方、CPU130からDI02端子を介して出力される出力信号(上りデータ)は、上りデータ変調回路125を介して変調され、ドライブ回路126、共振コンデーサ128を介して送受信アンテナ18に負荷を加えるようにドライブして出力される。
【0046】
次ぎに、図5、図6を参照して本実施例に係る非接触のICカード1の各部の印刷位置及び配置位置について説明する。図5は本発明に係る非接触ICカードの概略配置図、図6は本発明に係る非接触のICカードの配線図である。
【0047】
図5において、本実施例に係るICカード1は、前記制御部15と前記通信部16と前記電源部17の各チップが配置されるチップ配置面30の範囲を特定することで、ICカード1が曲げられた場合に、その曲げ応力による前記チップの破損を軽減している。
【0048】
即ち、ICカード1は、非常に薄く形成されているために、使用実態ではICカード1が曲げられる可能性が高い。この曲げ応力は(b)図に示すように、両側の辺から挟むような力(矢印)を受けやすく、この場合、ICカード1はその中央Y0に最大曲げ応力を受ける。
【0049】
また、ICカード1は、財布や定期券入れ等に収められて携帯されることなどから、前記財布などからはみ出したICカード1の周囲(角部や端部)にも曲げ応力を受け易い。そこで、本実施例に係るICカード1では、ICカード1の中央と周囲に隙間を設けて前記チップ配置面30を設定している。
【0050】
具体的には、ICカード1の四方(4つの角部)に第1のチップ配置面30a、第2のチップ配置面30b、第3のチップ配置面30c、第4のチップ配置面30dを設定している。その大きさは、カード本体2の長手方向の短辺2c、2dの端部から内側にX1、該短辺2c、2dの間の中央位置から前記短辺2c、2dの端部側にX2、前記長辺2a、2bの端部から内側にY1、前記長辺2a、2bの間の中央位置から前記長辺2a、2bの端部側にY2の大きさを残して形成される4つのチップ配置面30(30a〜30d)を設定している。本実施例では、ICカード1の長辺2a、2bの長さXを約86mm、短辺2c、2dの長さYを約54mm、厚さを0.25mm程度の薄さに設定し、この大きさのカードの実験的検証に基づいて、前記X1を5mmから8mm、前記X2を24から26mm、前記Y1を5mmから8mm、前記Y2を7mmから10mmの範囲を設定することで、曲げ応力を受けても前記チップが破損しにくいICカード1を実現している。
【0051】
また、前記4つのチップ配置面30は、互いに離れて配置されているために、配線等を考慮した場合、極力1ケ所にチップを配置することが望ましい。例えば、図面左上の第1のチップ配置面30aを基準とした場合、この第1のチップ配置面30aに各チップを集中して配置することが望ましい。前記第1の配置面30aにチップを配置しきれない場合は、前記第1の配置面30aに一番近い前記第2の配置面30bと分散して設けることで、配線の長さを少なくして応力を受けにくい配置とすることができる。同様に、前記第2の配置面30bでも配置できない場合は、第3の配置面30c、更に第4の配置面30dの順番で配置する。
【0052】
本実施例では、図6に示すように、前記制御部15と通信部16を第1のチップ配置面30aに配置し、電源部17を第2のチップ配置面30bに設けている。ここで、本実施例のように、回路を複数のチップに分散する場合は、チップ間の信号のやり取りを高速に行う必要があるものを同一のチップ配置面に配置し、これと比較してさほど高速性が必要でないチップを他のチップ配置面に設けるようにする。本実施例では、信号のやり取りに高速性が必要な制御部15と通信部16を第1のチップ配置面30aに設け、第2のチップ配置面30bにさほど高速性を必要としない複数のコンデンサからなる電源部17を配置している。なお、この実施例では図4に示す平滑コンデンサ(1)112aと平滑コンデンサ(2)112b及び共振コンデンサ128を設けている。
【0053】
また、本実施例では、ICカード1の長手方向の両側に設定した第1のチップ配置面30aと第3のチップ配置面30cの間のデッドスペースを利用して送受信アンテナ18を設けている。前記送受信アンテナ18はIS010536の規格にしたがって90度位相の一対のアンテナ18a、18bを前記長手方向の中央の両側に設けている。
【0054】
この送受信アンテナ18を第1のチップ配置面30aに近接して設けたことにより、前記送受信アンテナ18と制御部15及び通信部16との配線を短くすることができる。また、この配置によれば、前記送受信アンテナ18の反対側の長辺2b側に、機能要素が配置されない空白のスペース5aを形成することができる。本実施例では、この空白のスペース5aに前記所有者欄5を設け、通常の所有者の会員番号や氏名を印刷するようにしている。しかも、この所有者欄5には、前記送受信アンテナ18や前記チップあるいは回路パターン24等の機能要素が設けられていないために、内部断面に大きく影響する凸文字のエンボス加工を施すことも可能である。
【0055】
また、図5または図6に示すように、本実施例では、テスト端子部19a、19bを、前記チップ配置面30と、長辺2a、2bまたは短辺2c、2dとの間に形成される領域(隙間)に設けている。この配置とすることにより、ICカード1内のデッドスペースの有効活用を図れるとともに、検査を行う際に、前記テスト端子部19a、19bをカードの端部側に設けることができるので、該テスト端子部19a、19bに接続する図示しない検査端子との接続を容易に行うことができる。
【0056】
また、図5において、本実施例に係るICカード1では、複数の前記チップ配置面30の中で、使用しない配置面を他の配置領域とすることができる。例えば、図6に示す実施例では、最も使用頻度の低い第4のチップ配置面30dを前記所有者欄5の配置面とすることで、前記所有者欄5を大きくして氏名等の視認性や取扱性を向上している。また、同様に、第1のチップ配置面30aにのみ前記チップを配置すれば、第2のチップ配置面30bを前記所有者欄5の配置面とすることができるので、更に視認性、取扱性を向上することができる。
【0057】
次に、図7に基づいて、断面構造を詳細に説明する。図7は内部断面図である。前記したように、本実施例のICカード1は、4枚のシートから構成される積層構造としている。基板シート13に送受信アンテナ18と配線パターン24、及び図示しないテスト端子部19a、19bが印刷され、制御部15(通信部16、電源部17も同様)が導電性接着剤26で取付けられる。そして、前記開口部21等を備えたスペーサシート14を、制御部15等のチップを配置した基板シート13の一面側に位置合せして接着剤で張り付け、更に前記基板シート13とスペーサーシート14を挟み込むようにカバーシート11、12を接着剤で張り付ける構造としている。
【0058】
また、この実施例に係るICカード1は、曲げ応力による前記チップの破損を軽減するために、制御部15等のチップをICカード1の厚みZ1の中央に位置するように設定している。即ち、スペーサーシート14の厚さZ3を制御部15等のチップの厚さと略同じに設定し、カバーシート11の厚さZ4、基板シート13の厚さZ2、カバーシート14の厚さZ5とした場合、Z4+Z2=Z5の関係が略成り立つように設定している。つまり、カバーシート12を他のシートより厚く設けている。
【0059】
上記構造を備えた本実施例に係るICカード1は、基板シート13に設けた機能要素が、表面AのP1から見た場合と、表面BのP2から見た場合とでは大きく相違する。これを、基板シート13に設けられた機能要素の中で最も大きな面積を占める送受信アンテナ18の場合で検証する。
【0060】
前記送受信アンテナ18は基板シート13の両面に設けられているので、前記P1から見た場合、前記送受信アンテナ18を遮るものはカバーシート11の厚みZ4だけである。一方、P2から見た場合は、前記送受信アンテナ18を、厚いカバーシ―ト12の厚さZ5とスペーサーシート14の厚さZ3で遮蔽することができる。したがって、本実施例の構造によれば、表面Aが表面Bより内部の機能要素が見え易い。
【0061】
本実施例では、前記シートを白色PET材料としているため、ICカード1の厚さZ1が免許証と同じ0.5mm以上あれば、光を透かして見ない限り基本的には内部が見えにくくなっている。しかし、本実施例のような0.5mm以下の薄型のICカード1の厚さZ1では前記シートを介して内部機能要素が透けて見える。特に表面Aから内部が見え易くなる。本実施例では、0.38mmのプリペードカードや、0.25mmの薄いカードを想定しているので、これは大きな課題である。なお、ICカード1の厚さZ1の違いは、前記カバーシート11、12の厚さを変更することで、基本設計を変えることなく容易に達成することができる。
【0062】
この内部が透けて見えてしまう課題は、利用者に何等のメリットがない内部構造を外表面に映して意匠性を損なうばかりか、中が見えてしまうばかりに、利用者に針などで回路やアンテナを傷つけてみたくなる無用な衝動を抱かせるものである。
【0063】
前記課題は、ICカード1の表面に厚い印刷を施すことで解消することができる。例えば、内部が見え易い表面Aを構成するカバーシート11の表面に施す印刷の厚さZ10を、内部が見え難い表面Bを構成するカバーシート12の表面に施す印刷の厚さZ11より厚くすることで解消できる。しかしながら、意匠的効果を損なわず、大きなたわみや曲げにも耐え、かつ華麗な多色印刷を可能とするには薄い塗装を複数回行う必要があり、印刷工程の増加によるコスト高となる。印刷機械や他の設備との関係で一概に特定できないが、薄い(例えば0.002から0.005mm程度)印刷を複数回行う必要がある。したがって、印刷して乾燥する印刷回数を削減できれば極めて有効である。
【0064】
そこで、本発明者らは、この種のカードが、印刷工程が多く装飾性が必要なカード発行者記載面4と、印刷工程が少なく文字による視認性を求める注意説明記載面6が表裏一体である点と、本ICカード1の特有の現象である、前記表面Aと表面Bの見えかたが違う点に着目し、この両者を効果的に組み合わせることで、印刷工数を削減して意匠性を高めるICカード1を実現している。この組合わせを図8に基づいて図2と図9を参照して説明する。
【0065】
次に、図8はICカードの表面A、Bと印刷の組合わせを示した説明図、図9は部分印刷によるICカードの外観図である。先ず、ICカード1に印刷を施す場合、カードの全面に印刷を施す全面印刷と、カードの一部に印刷を施す部分印刷がある。
【0066】
前記図2に示すICカード1は全面印刷で行うことを想定したものである。この全面印刷によれば、ICカード1の表面A及び表面Bを全体にわたって印刷するので、内部を見えにくくする遮蔽効果及び意匠的効果が得られる。一方、図9に示すICカード1は部分印刷で行うことを想定したものである。この部分印刷によれば、印刷した部分は内部を見えにくくする遮蔽効果が得られるものの、印刷されない部分は、内部が見えてしまい前記遮蔽効果は半減し、大きな意匠的効果も得ることができない。しかしながら、印刷コスト面からみれば低く有効である。
【0067】
また、全面印刷の場合、基本的には重ね印刷であり、大別すると多色印刷とベタ印刷に分けることができる。多色印刷は多様な色彩を複数回印刷するものであり、カード発行者記載面4に適している。また、ベタ印刷は単色で行うものであり、注意説明記載面6の背景に適している。更に前記多色印刷は4色フルカラー印刷と特色多色印刷に分けることができる。前記4色フルカラー印刷はC、M、Y、K{シアン(青)、マゼンタ(赤)、イエロー(黄色)、黒}からなる4色の組合わせで多様な色彩を表現するもので、拡大すると無数の網点で表現され、カラー写真等の繊細な表現が可能である。また特色多色印刷は、特色(1色の色がその色で作られたインキ)を複数色使うものであり、図形表現等に適している。
【0068】
図8は、ICカード1における前記部分印刷と全面印刷の複数の組合わせを示したものである。
【0069】
先ず、ケース1はICカード1の両面を部分印刷で行った場合を示している。この場合、印刷による前記遮蔽効果が期待できないので、意匠的効果を優先させる。図9は、前記ケース1の実施例である。(a)図が表面B、(b)図が表面Aを示している。このICカード1によれば、使用頻度があり識別性や認識性、更にはある程度の意匠性を向上させるためにカード発行者記載面4を内部が見え難い表面Bに設け、使用頻度の低い注意説明記載面6を内部が見え易い表面Aに設けるようにする。このICカード1の実施例では、カード発行者欄4bを送受信アンテナ18を隠す長辺2a側に設け、反対側の長辺2b側には所有者欄5aをチップから外して設けている。
【0070】
これにより、透けて見える部分を少なくすることができるので、カード発行者欄4b及び所有者欄5aの視認性を向上するとともに、前記表面Bとの組合わせにより、意匠効果を向上することができる。なお、前記送受信アンテナ18をデザインの一部としてカード発行者欄4aと所有者欄5aを長辺b側に設けることでもよいが、この場合、前記送受信アンテナ18が明確に見える表面Aにする方がよい。しかし、この場合は、むしろ透明シートを採用する方がよい。
【0071】
このケース1によれば、コストを低く押さえることができるので、例えば、職場内でのIDカードや使用期間が限定された用途に適している。
【0072】
次に、ケース2とケース3は、ICカード1の一面に部分印刷、他の面に全面印刷を施したものである。この2つのケースでは、全面印刷を薄い色としたケース2では、ケース1と同様に表面Aを部分印刷の注意説明記載面6、表面Bを全面印刷のカード発行者記載面4とし、逆に、全面印刷を濃い色としたケース3では、前記表面Aを全面印刷のカード発行者記載面4、前記表面Bを部分印刷の注意説明記載面6とする。
【0073】
上記設定の理由は、全面印刷は部分印刷に比べてコストがかかるものの意匠的効果が大きいことから、ICカード1においては、「顔」とも言えるカード発行者記載面4を全面印刷することを前提にしている。また、ICカード1の印刷において、印刷する塗料の色により内部の見え方が大きく異なる。塗料の色によっても光の透過度が異なるが、全体に白色がかった薄い色は内部が見え易く、全体に黒色がかった濃い色は内部が見え難い。
【0074】
また、一般に、全面印刷を行う意味は、意図する図柄や写真等を表面に施すことであって意匠的効果が大きい。つまり、このことは、薄い色の印刷は、薄い色を基調としたデザインとすることであり、背景に無用な送受信アンテナ18等が映り込むことを期待したものではない。したがって、仮に、内部が見え易い表面Aに薄い色の全面印刷を施した場合は、内部を見えにくくするために印刷工数が増えコスト高ととなる。そこで、ケース2では全面印刷が薄い色の場合、表面Bをカード発行者記載面4として全面印刷し、逆にケース3のように濃い色の全面印刷を行う場合は、カード発行者記載面4を表面Aに設けるようにする。
【0075】
また、前記印刷の「薄い」「濃い」はカバーシート11または12を通して見える対象物(例えば送受信アンテナ18)の明度と比較して印刷される対象(塗料)の明度の数値が大きければ「薄く」、小さければ「濃い」と言うことができる。一般に色は「明度」「彩度」「色相」の3つで定義することができる。「明度」はマンセルの規定によれば0から10までの間で定義され、0が最も暗く(黒)、10が明るい(白)。彩度は0が最も鮮やかで、数値が大きくなるほど濁った色となる。また色相は色環を構成する赤色、黄色等である。
【0076】
前記3つの定義の中で「明度」が光の遮蔽性に最も影響する。例えば、明度8の送受信アンテナ18に同じ明度8の印刷を施せば、両者の明度差はなくなり送受信アンテナ18は見え難くなる。また、明度8の送受信アンテナ18に明るい明度9の印刷を施せば、暗い送受信アンテナ18が周囲から浮き上がって目立つこととなる。逆に、明度8の送受信アンテナ18に暗い明度7の印刷を施せば、明るい送受信アンテナ18は暗い印刷色に隠れて目立たなくなる。
【0077】
本実施例に係る0.25mmの厚さのICカード1では、白色PETシートを採用したカバーシート11、12の明度が9.6前後、内部が見え易い表面Aから見える送受信アンテナ18の明度が8.5前後、内部が見え難い表面Bから見える送受信アンテナ18の明度が9.1前後である。このことから、表面Aは明度9.5より小さい数値の明度を備えた色(濃い)、表面Bは明度9.5より小さい数値の明度を備えた色(濃い)を印刷すれば送受信アンテナ18を目立たなくすることができる。
【0078】
そこで、前記ケース2では、明度8.5より大きい数値の明度(薄い)の全面印刷においては、内部が見え易い表面Aの送受信アンテナ18を隠蔽しにくいので、表面Bに全面印刷を施すようにする。このようにすれば、表面Aで送受信アンテナ18を見えなくするより表面Bで見えなくする方が印刷工数(印刷の厚さ)を少なくすることができる。一方、部分印刷を施す面は、何れにしろ、内部は透けて見えてしまうので、さほど影響を受けることがない。なお、全面印刷面の明度のばらつきについては、その大きさや部位を考慮して適宜決定する。
【0079】
次に、ケース4からケース7は表面A、Bとも全面印刷を行う場合を示している。両方に、全面印刷を施す意図は、両面とも意匠的効果を得られることが前提となる。このケースでも、前記印刷の色の「薄い」、「濃い」による判断で表面A、Bを選定する。即ち、ケース4の「薄い」色と「濃い」色の組合わせでは、「薄い」色を内部が見え難い表面Bに施し、「濃い」色を内部が見え易い表面Aに施す。ICカード1の場合、注意説明記載面6は白を基調とした「薄い」色としているので、前記ケース4では、内部が見え易い表面Aに「濃い」色を基調とするカード発行者記載面4、内部が見え難い表面Bに「薄い」色を基調とする注意説明記載面6とする。
【0080】
また、ケース5の、両方とも「薄い」色の全面印刷の場合は、前記理由により、カード発行者記載面4を内部が見え難い表面Bとし、注意説明記載面6を内部が見え易い表面Aとする。更に、両方とも「濃い」色を基調とする全面印刷ケース6では、基本的にはケース7のように内部がほとんど見えない「黒色」の全面印刷のように、表面A、Bとちらに設定してもよいが、より内部が見えにくく意匠的効果を得るために、表面Aに注意説明記載面6、表面Bにカード発行者記載面4の印刷を施す方がよい。
【0081】
なお、注意説明記載面6の背景を濃い色として文字を浮き上がらせる場合は、前記ケース4の設定を逆に設定するとよい。また、内部透過率が低い不透明なインキ、例えば銀塗装等の金属塗料を施す場合は、両面であれば前記ケース6またはケース7に従い、片面であれば表面Aに施すようにする。
【0082】
次ぎに、図10を基に図6を参照して、テスト端子部19a、19bについて更に説明する。図10中、(a)図がICカード1のテスト端子部19bと制御部15の部分の断面図であり、(b)図が(a)図において検査端子25を突き刺して両端子を接続した状態を示している。
【0083】
前記したように、本実施例のICカード1では、テスト端子部19a、19bをチップ配置面30または、該チップ配置面30とICカード1の周囲端部との間に設け、各テスト端子部を1または複数のグループに区分けして設けている。
【0084】
図6に示す実施例では、第1のチップ配置面30aに配置される制御部15と長辺2aとの間に、通信部16と制御部15との接続に関連したテスト端子部、例えば図4で説明したDI01端子132、DI02端子133等の端子からなるテスト端子部19bを、点線で示した開口部23bに対応するエリア内に集中して配置している。また、第2のチップ配置面30bに配置される電源部17と短辺2dとの間に電源部17との接続に関連したテスト端子、例えば電源回路110に関連した端子を点線で示した開口部23aに対応するエリア内に集中配置している。
【0085】
このテスト端子部19a、19bについて第7図の断面図で更に説明する。図10において、基板シート13に配線パターン24、テスト端子部19a、19b及び図示しない送受信アンテナ18が印刷され、制御部15(通信部16、電源部17も同様)が導電性接着剤で取付けられる。そして、前記開口部21、23b等を備えたスペーサシート14を、制御部15等のチップを配置した基板シート13の一面側に、前記複数の開口部21、23bを対応する通信部16やテスト端子部19bに位置合せして接着剤で張り付け、更に前記基板シート13とスペーサーシート14を挟み込むように接着剤で張り付ける構造としている。前記したように、この構造によれば、厚みのある制御部15や通信部16は、スペーサシート13により、その厚さが一律化され、カード本体2を均一の厚さにすることができる。
【0086】
一方、前記テスト端子部19a、19bは、基板シート13とカバーシート12との間に形成される接着剤が充填された空間に設けられる。このため、図10(b)図に示すような、破壊検査では、検査端子25とテスト端子部19aとの接続に際し、スペーサーシート14を貫通させることなく、検査端子25をカバーシート14に貫通させればよいので、検査をやり易くすることができる。
【0087】
ここで、本実施例のICカード1では、2方式での回路基板の検査を想定して設計している。1つは、前記スペーサーシート14を張り付ける前に検査する非破壊検査で、図6に示す基板シート13の状態でテスト端子部19a、19bに図示しない検査端子25を接続して検査を行う。他の1つは、ICカード1として組み立てた状態で、動作状態に問題がある場合に、その原因を調査するための破壊検査である。この破壊検査では、図10の(a)に示すように、検査端子をカバーシート12側から突き刺して、前記検査端子25とテスト端子部19aとを接続して実施する。
【0088】
図10に示す構造によれば、組立て前の非破壊検査では、テスト端子部19a、19bがチップ配置面30の近傍に集中、かつ露出して設けられているので検査での取扱性を向上することができる。一方、ICカード1が組み立てられた後では、前記テスト端子部19a、19bはカード本体2内に密閉されるので、テスト端子部19a、19bを端部から露出させた際に生じる端子の腐蝕や、露出した端子から伝わる静電気による障害を排除することができる。更に、製造後の破壊検査では、検査端子25とテスト端子部19a、19bの接続を容易に図ることができる。
【0089】
次ぎに、図11を参照して、本実施例に係る非接触のICカード1の製造方法の概略を説明する。図11において、本実施例ではICカード1を以下の工程で製造する。
【0090】
(1)各シートを所定の大きさに切断する工程(ステップ500)
先ず、略長方形状のカード本体2を構成する一対のカバーシート11、12と、基板シート13と、スペーサシート14とを所定の大きさに切断する。この場合、大量生産する場合は1枚の全紙シート400で複数のICカード1を同時に製造し、後でICカード1の所定の大きさに切り離して製造する。例えば、図11では、3列3行で合計9個のICカード1を同時に製造し、後でICカード1の所定の大きさに型抜きする。カバーシート11、12及びスペーサシート14も基板シート13と同様に大きな全紙カバーシート411、412及び全紙スペーサシート414を前記全紙基板シート413に合わせて切断する。
【0091】
一方、小量生産の場合は、一対のカバーシート11、12と、基板シート13と、スペーサシート14を、この段階でICカード1の所定の大きさに切断する。
【0092】
なお、前記全紙シート400の大きさは、全紙シート400から1度に取れる個数を考慮して印刷製造ライン等の設備に合わせて設定する。
【0093】
本実施例では、ICカード本体2を構成する前記4枚のシートを白色のPETのシート材で形成する。この他、シート材としては絶縁材料である、ポリカーボネトフイルム、ポリエチレンフイルム、ポリイミドフイルム等の一般的なプラスチックフイルムやシートまたはガラス繊維強化プラスチックシート等の材料で形成することができるが、本実施例では機械強度、価格の上で好ましい前記白色のPETフイルムを採用している。
【0094】
(2)回路パタン・送受信アンテナの印刷(ステップ510)
前記全紙基板シート413において、各基板シート13に対応する長手方向の中央に配置される前記送受信アンテナ18と、前記基板シート13の長手方向の片側に配置される前記テスト端子部19a、19bと、前記テスト端子部19a、19bが配置される長手方向の片側に前記制御部15と送受信16と電源部17が取付けられる配線パターン24を印刷する。この印刷では、例えば、シルクスクリーン印刷によって、銀ペースト等の導電ペーストを塗布、乾燥して行う。
【0095】
(3)チップの取り付け(ステップ520)
前記配線パターン24の所定の位置に前記制御部15と通信部16と電源部17の各チップを導電性接着材26で取付ける。
【0096】
(4)検査(ステップ530)
前記各基板シート13に対応するテスト端子部19a、19bを介して、各ICカード1に対応する回路の動作確認を行う。
【0097】
(5)スペーサシートを製造する工程(ステップ540)
前記全紙スペーサシート414において、各スペーサシート14の所定の位置に前記制御部15と通信部16と電源部17の出張りを吸収する開口部20、21、22及び、前記テスト端子部19a、19bに対応する位置に開口部23a、23bを形成する。なお、この工程を前記(1)の工程で同時に行ってもよい。
【0098】
(6)カード本体の組み立て工程(ステップ550)
前記全紙基板シート413と前記全紙スペーサシート414とを夫々の前記制御部15と通信部16と電源部17とが前記開口部20、21、22に嵌合するように位置決めして、導電性接着剤を充填して、一対の全紙カバーシート411、412の間に、前記全紙基板シート413と前記全紙スペーサシート414を貼り合せ、前記全紙シート400を製造する。前記導電性接着剤としては、銀粒子、銅粒子等の導電粒子をポリエステル系、フエノール系、エポキシ系の樹脂に混合したものを採用する。
【0099】
(7)印刷工程(ステップ560)
前記全紙シート400の表面A及び表面Bに対し、前記図8で述べた判断に基づいて印刷を施す。例えば、前記したように、図2で示す例では、表面Aに全面印刷の多色印刷(4色フルカー印刷)、表面Bに全面印刷のベタ印刷を施すために、図示しないUV樹脂塗料の塗料ラインで行う。前記塗料ラインは、印刷装置の筐体内にオフセット印刷と紫外線ランプを備え、位置決めされた前記全紙シート400をコンベアーを介して、前記印刷装置内を通過させることで、前記全紙シート400にUV樹脂塗料でオフセット印刷し、紫外線を照射して乾燥させて印刷する。
【0100】
また、この工程では、更に所有者欄5の所定の位置に受用層を塗布して所有者欄5を設ける。この場合、マスキングを行ってPETシートに直接受用層を印刷したり、あるいは前記印刷面に更に印刷する。また、前記したように科学的、あるいは物理的に所有者欄5を設ける。また、この時点では、特に所有者欄5を設けないで、所有者情報をエンボス加工で行ってもよい。
【0101】
(8)型抜き工程(ステップ570)
前記印刷された全紙シート400を、型抜き装置を介してICカード1の所定の大きさに切断する。この型抜き工程が終了することでICカード1が完成する。
【0102】
(9)カード所有者の印刷(ステップ580)
前記ICカードの所有者欄5に、カード発行会社から譲渡された、または貸し渡されたカード所有者の氏名や識別番号等の所有者情報を、前記所有者欄5に印刷する。印刷方法としては熱転写方式の印刷装置を採用するとよい。なお、シール等に前記所有者情報を印刷装置で印刷し、前記ICカード1の所有者欄5の所定の位置に貼り付けてもよい。また、エンボス加工で行ってもよい。
【0103】
なお、チップの破損を防止するために、凹凸金型によるオフセット印刷を行う場合は、ステップ550の前記組み立て工程前にカバーシート11または12あるいは両面を全面印刷を行う。この凹凸金型のオフセット印刷によれば、凹凸感ある印刷を施すことができる。この場合、印刷表面にクリアーコートを塗布するとより表面に光沢を得ながら凹凸感が得られる。なお、前記空白のスペース5aに部分的に凹凸を施す場合は、組み立て後に印刷してもよい。また、他の凹凸感をより表現する印刷方法として、塗料を印刷面から盛り上げるように行うスクリン印刷を採用してもよい。
【0104】
また、前記実施例では、塗料による印刷でICカード1の外観を装ったが、ICカード1の表面に模様が施された薄いシートを貼り付けてもよい。これにより、一層内部を見えなくすることができる。
【0105】
このように、本実施例によれば、前記制御部15と前記通信部16と前記電源部17の複数のチップを含めた精度の必要な製造工程を基板シート13の製造工程に集約し、更に複数のシートの積層構造とすることにより、製造の分散化によるコスト低減と精度向上を図ることができる。
【0106】
また、この実施例では、前記テスト端子部19a、19bを基板シート13の端部から離した位置に印刷し、前記スペーサシート14の前記テスト端子部19a、19bに対応する位置に開口部23a、23bを形成することにより、外部がから遮断してテスト端子部19a、19bからの腐食や誤動作等を防ぐことができるICカード1を、製造工程を増やすことなく製造することができる。
【0107】
次に、ICカード1の内部に設けられた前記チップ及び回路パターン24及びテスト端子部19の配置に関する他の実施例を、図12から図16を参照して説明する。図12〜図16は本発明に係る非接触のICカードの他の実施例の配線図である。
【0108】
先ず、図12は、前記実施例で2つに分離したテスト端子部19a、19bを一個所に集中配置することで、検査をやりやすくしたものである。図において、この実施例では電源部17と短辺2dとの間の隙間にテスト端子部19を短辺2dに沿って一列に配列している。他の部分については図1に示した実施例と同様な構成としている。
【0109】
図13の実施例は、回路パタン24の印刷時に、ICカード1の所定の大きさからはみ出した部分13aにテスト端子部19aを印刷し、検査終了後、ICカード1の端部近傍の斜線で示した回路パターン24aを除去して、組み立て終了後の前記型抜き工程において、前記テスト端子部19を備えた部分13aを切り落とすとっともに、ICカード1の組立て後に発生する可能性のある前記テスト端子部19aからの腐食や誤動作等を防ぐようにしたものである。例えば取り除く方法としては、銀ペーストで印刷された回路パターン24を溶剤などで拭き取るようにする
図13において、この実施例では、2つに分けて設けたテスト端子部19a、19bの内、一方のテスト端子部19bを図1の実施例と同様にICカード1の端部2aから離して設け、他のテスト端子部19aを組立て前に切り落とす部分に設けている。この構造によれば、組立て前の検査のみに使うテスト端子を前記テスト端子部19aに設け、組立て後の検査でも使うテスト端子をテスト端子部19bに設けるようにすることができる。もちろん、テスト端子部19bをテスト端子部19aのように形成してもよい。
【0110】
このように、この実施例に係るICカード1及び製造方法によれば製造時に多様なテストが可能なテスト端子部19aを備えて検査を容易にし、その後、製造後不要なテスト端子部19aを簡単に除去することができる。更に、テスト端子部19aの上部を他の部分と同様にスペーサーシート14で覆うことができるので、スペーサーシート14に開口部19bを形成することで生じる僅かな歪みを軽減することができる。
【0111】
図14及び図15は、第1のチップ配置面30aにチップを集中配置した実施例を示したものである。この実施例によれば、第1のチップ配置面30aが設けられた長辺2aと対向する長辺2b側のスペースを空白のスペース5aとすることができるとともに、前記チップ配置面30a近傍に配線パターン24を集約することができるので結線を短くすることができる。
【0112】
図14において、この実施例では、第1のチップ配置面30aに制御部15と通信部16、及び各コンデンサの小型化を図った電源部17の各チップを配置し、該第1のチップ配置面30aと長辺2aと短辺2dとの間にテスト端子部19a、19bを設けている。
【0113】
また、図15に示す実施例では、通信部16の省電力化や、電源部17を構成する平滑コンデンサ(1)112aと平滑コンデンサ(2)112b及び共振コンデンサ128の小型化を図ることで電源部17の機能を前記通信部16のチップ内に設けている。このため、この実施例では第1のチップ配置面30aに電源部17の機能を備えた前記通信部16と制御部15の2つのチップを配置し、第1のチップ配置面30aと短辺2dとの間にテスト端子部19を集中配置している。
【0114】
図16に示す実施例は、結果として前記図12と同様な構造を備えた実施例であるが、その製造方法を異にしたものである。この実施例では、テスト端子部19の開口部23cを短辺2d側に「コ字」状に切り欠いて形成し、組立て時に前記開口部23cの開放した部分を別部材23dで埋めるようにしてもよい。この場合、図13で説明した回路パターン23を除去する方法と組合わせてもよい。
【0115】
次に、図17を参照して、本発明に係るICカードの外観に係わる他の実施例を説明する。図17は非接触のICカードの外観図であり、(a)図は表面図、(b)図が裏面図である。
【0116】
この実施例に係るICカード1は、(a)図に示す内部が見え易い表面Aをカード発行者記載面4とし、前記表面Aに対して内部が見え易い(b)図に示す表面Bを前記注意説明記載面6としている。
【0117】
図17の(a)図において、前記ICカード1の前記表面Aは、カード面全体に印刷を施す全面印刷の多色印刷(視覚的に濃い目の色彩の写真)が施され、前記カード本体2の一方の長辺2a側に、情報を記憶するための磁気ストライプ3と、カード発行者欄4aとを備え、他方の長辺2b側に会員番号と氏名を熱転写方式で付した所有者欄5を備えている。また、前記所有者欄5は、エンボス加工で所有者の氏名及び会員番号が表面側に浮き出るように加工したり、あるいは氏名等を印刷しても良く、また印刷したシールを貼り付けてもよい。
【0118】
一方、図17の(b)図に示す前記ICカード1の裏面となる表面Bは、カード面全体に印刷を施す全面印刷の白色ベタ印刷が施され、前記磁気ストライプ3の裏面の位置にカード使用上の注意を表記した注意説明欄(1)6b、前記カード発行者欄4の裏面の位置にカード所有者のサイン欄7、前記所有者欄5aの裏面の位置に注意説明欄(2)6cを備えている。なお、この実施例では便宜上、注意説明欄を2つに分け説明しているが、裏面全体に注意説明欄を設け、サイン欄7を前記所定の位置に設けてもよい。
【0119】
ここで、本実施例に係るICカード1は、図17の(b)図の左端に示すICカード1の長手方向の一端2d側に、チップを配置している。このため、前記所有者欄5を、右側に空白部9が形成されるように片寄って設けることで、エンボス加工時におけるICカード1の破損を無くしたり、印刷時の圧力によるチップの破損を軽減している。また、同様の理由により、前記サイン欄7は、左端に「サイン欄」の表記7aを行い、その右側に実質のサイン欄7bを設けることで、サインを行った際にペン圧によるチップの破損を軽減している。
【0120】
なお、前記実施例では、磁気ストライプ3を表面Aに備えたが、表面Bの同位置に設けてもよい。更に、所有者欄5もまた、表面Bの同位置に設けてもよい。このように表面Aをカード発行者欄4aのみが付記されたカード発行者記載面4とすることで、全面印刷による意匠的効果を向上させることができる。
【0121】
このように、本実施例に係るICカード1によれば、非接触のICカード1の機能を備えつつ、前記磁気ストライプ3、前記所有者欄6b、6c及び、サイン欄7を設けることで、非接触の使い方に加え、現在流通している磁気ストライプを備えたカードと同様な使い方をも可能とすることができる。
【0122】
次に、図18、19を参照して、本発明に係るICカードの積層構造に係わる他の実施例を説明する。図18及び図19は内部断面図である。前記図7の実施例では、制御部15等のチップをICカード1の厚みZ1の中央に位置させるために、Z4+Z2=Z5の関係が略成り立つように4枚のシートの厚さ、特にカバーシート12の厚さZ5が他のシートの厚さより大きくなるように設定した。しかし、これに限定されるものではなく、例えば、図18、図19に示す他の積層構造でも同様な効果を得ることができる。
【0123】
図18の実施例は、前記スペーサーシート14と前記カバーシート12との間に第5の厚さ調整シート14a(厚さZ6)を設けたものである。この構造によれば、カバーシート11と12の厚さZ4とZ5を同じ厚さにすることができるので、材料調達が容易であり、コストを低くすることができる。
【0124】
また、図19の実施例は、カバーシート11、12の厚さZ4、Z5を同じ厚さにして、スペーサーシート11の厚さZ3を厚く設定するものである。これにより、部品点数を多くすることなく、スペーサーシート11の厚さZ3を調整するだけで、前記図18と同様な作用効果を得ることができる。ただ、この実施例では、前記スペーサーシート11に凹部21a等を形成し、この凹部21aに制御部15等のチップの厚さを吸収するようにする。
【0125】
なお、前記図1から第19に示した複数のチップを設ける実施例で説明したが、1チップでも同様な作用効果を得ることができる。
【0126】
また、本実施例では、所有者欄5を送受信アンテナ18の反対側の長辺2b側の空白スペース5aに設けていればよいので、例えば、表面全体に前記カード発行者欄4を大きく設け、前記所有者欄5を裏面の所定の位置に設けてもよい。
【0127】
更に、前記実施例では送受信アンテナ18を備えた非接触のICカードとしたが、前記送受信アンテナ18を備えない接触形のICカードとしてもよい。この場合、1個または複数のチップや、リーダー/ライターとの接点を前記チップ配置面30に設けることで、前記実施例と同様な効果を得ることができる。
【0128】
【発明の効果】
本発明によれば、印刷工数を軽減して意匠性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るICカードの一実施例の展開図。
【図2】本発明に係るICカードの一実施例の外観図。
【図3】本発明に係るICカードの一実施例の周辺機器との関係を示すブロック図。
【図4】本発明に係るICカードの一実施例の詳細ブロック図。
【図5】本発明に係るICカードの一実施例の概略配置図。
【図6】本発明に係るICカードの一実施例の配線図。
【図7】本発明に係るICカードの一実施例の断面図。
【図8】本発明に係るICカードの一実施例の表面A、Bと印刷の組合わせを示した説明図。
【図9】本発明に係るICカードの他の実施例の外観図。
【図10】本発明に係るICカードの一実施例の断面図。
【図11】本発明に係るICカードの一実施例の製造工程図。
【図12】本発明に係るICカードの他の実施例の配線図。
【図13】本発明に係るICカードの他の実施例の配線図。
【図14】本発明に係るICカードの他の実施例の配線図。
【図15】本発明に係るICカードの他の実施例の配線図。
【図16】本発明に係るICカードの他の実施例の配線図。
【図17】本発明に係るICカードの他の実施例の外観図。
【図18】本発明に係るICカードの他の実施例の断面図。
【図19】本発明に係るICカードの他の実施例の断面図。
【符号の説明】
1…ICカード、2…カード本体、2a、2b…長辺、2c、2d…短辺、4…カード発行者記載面、4a…カード発行者欄、5…所有者欄、6…注意説明記載面、6a…注意説明欄、11、12…カバーシート、13…基板シート、14…スペーサシート、15…制御部、16…通信部、17…電源部、18…送受信アンテナ、19a、19b…テスト端子部、24…回路パターン、20、21、22、23a、23b…開口部、A…内部が見え易い表面、B…内部が見え難い表面。

Claims (2)

  1. ICカードの本体を、第1カバーシートと第2カバーシートとの間に、基板シートと、スペーサシートとを設けた薄い積層体で構成し、
    前記基板シートは、外部装置との間で、電磁結合により、電力の送信および情報信号の伝達を行う送受信アンテナと、回路パタンと、情報を記憶するためのメモリを備えた制御部とが設けられ、
    前記スペーサーシートは、その内部に前記制御部を位置するように前記基板シートと前記第2カバーシートの間に設けられ、
    前記基板シートに隣接する前記第1カバーシートは、その外表面を構成する第1の印刷面を備え、前記第1の印刷面の裏面となる第2カバーシートは、その外表面を構成する第2の印刷面を備え、
    前記第1の印刷面と第2の印刷面には、カバーシートを介して表面に現われる前記送受信アンテナを隠蔽するように全面印刷が施されており、
    前記第1の印刷面は多色印刷されたカード発行者記載面であり、前記第2の印刷面は背景色を白を基調として印刷された注意説明記載面であることを特徴とするICカード。
  2. 前記カード発行者記載面は、前記注意説明記載面より明度を暗く形成され、更に、第1カバーシートを介して前記第1の印刷面に現われる前記送受信アンテナの明度より暗い印刷で施されていることを特徴とする請求項1記載のICカード。
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