JP4003174B2 - 真空乾燥機への原料液供給方法並びにその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、原料液を凍結させた状態で乾燥することにより粉粒体状等の固体材料を得る装置に関するものであって、特に原料液がノズルの内部や先端部分で凍結してしまうことによる諸問題を回避することのできる真空乾燥機への原料液供給方法並びにその装置に係るものである。
【0002】
【発明の背景】
従来より、食品、医薬品、農薬、飼料、化学薬品等の粉粒体の加工において、溶液、懸濁液、スラリー等の液状原料(以下原料液という)を凍結させた状態で真空乾燥することにより粉粒体等を得る方法の一つとして、図11に示すような、内部空間を乾燥室10A′とした筐体1′に、この乾燥室10A′内を減圧するための真空発生装置6′を連通状態に接続して成る真空乾燥機D′を用いた手法が採られている。具体的には、前記乾燥室10A′内を減圧するとともにこの乾燥室10A′に投入した原料液Lを自己凍結させて得られた凍結物Gを真空乾燥して粉粒体状の固体材料を得るものであるが、真空乾燥機D′の構造上以下に示すような問題があった。
【0003】
すなわちこの種の真空乾燥機D′では乾燥室10A′内への原料液Lの供給を、乾燥室10A′あるいは乾燥室10A′と連通状態とした凍結部10B′内に配したノズル51′から行うものであり、これら乾燥室10A′または凍結部10B′内は真空発生装置6′の作用によって原料液Lの自己凍結域にまで減圧された状態となっている。このため原料液L供給開始前のノズル51′の内部も減圧状態となっており、ノズル51′内に至った供給開始直後の原料液Lはここで蒸発し、自己凍結してしまう。またノズル51′から噴出しはじめたばかりの原料液Lはノズル51′の先端部で自己凍結してしまう。このようにして原料液Lが自己凍結してしまうと、甚だしい場合にはノズル51′の噴出孔を閉塞してしまうことがある。
【0004】
そしてこのような事態を避けるためには、原料液Lの供給開始時に乾燥室10A′内または凍結部10B′内を、原料液Lが自己凍結しない程度にまで減圧度を低下させておき、この状態で原料液Lの供給を開始し、その後、乾燥室10A′または凍結部10B′内を原料液Lの自己凍結域にまで減圧する手法が採られている。
しかしながらこのような対策を行ったとしても、乾燥室10A′または凍結部10B′内の圧力が原料液Lの自己凍結域に達するまでの間に、ここに供給された原料液Lが、自己凍結域にまで圧力が達した時点で大きな凍結塊となってしまうことは避けられなかった。
【0005】
更に真空乾燥機D′の運転中に、ノズル51′の噴出孔が閉塞してしまった場合には、メンテナンスのために乾燥室10A′または凍結部10B′内の減圧状態をいったん解除しなければならず、この際、乾燥室10′内の凍結物Gは溶融して付着してしまうため再凍結時には大きな凍結塊となり乾燥が困難となる。
【0006】
【解決を試みた技術課題】
本発明はこのような背景を認識してなされたものであって、原料液がノズルの内部や先端部分で凍結してしまうこと回避することにより真空乾燥機の稼働率を向上することのできる、新規な真空乾燥機への原料液供給方法並びにその装置の開発を技術課題としたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち請求項1記載の真空乾燥機への原料液供給方法は、内部空間を乾燥室とした筐体に、この乾燥室内を減圧するための真空発生装置を連通状態に接続して成る真空乾燥機を用い、前記乾燥室内を減圧するとともにこの乾燥室に投入された原料液を自己凍結させて得られた凍結物を真空乾燥して粉粒体状の固体材料を得る方法において、前記筐体に対しては給液室が連通状態に設けられ、この給液室内に原料液を噴出するためのノズルが具えられ、更に前記給液室と乾燥室との間にバルブが具えられるものであり、前記乾燥室への原料液の投入は、前記給液室と乾燥室との間の経路を閉鎖して、乾燥室内を原料液が自己凍結する圧力以下の減圧状態としながらも、給液室内を乾燥室内の圧力よりも高い圧力とした状態で原料液をノズルから噴出させた後、前記給液室と乾燥室との間の経路を開放して、減圧状態の乾燥室内に原料液を供給することを特徴として成るものである。
この発明によれば、ノズルから原料液が噴出する時点で、給液室内は原料液の自己凍結域に減圧された状態となっていないため、原料液がノズルの内部や先端部で自己凍結してしまうことがない。このため真空乾燥機の稼働率を向上することができる。
【0008】
また請求項2記載の真空乾燥機への原料液供給装置は、内部空間を乾燥室とした筐体に、この乾燥室内を減圧するための真空発生装置を連通状態に接続し、前記乾燥室内を減圧するとともにこの乾燥室内に投入された原料液を自己凍結させて得られた凍結物を真空乾燥して粉粒体状の固体材料を得る装置において、前記筐体に対しては給液室が連通状態に設けられ、この給液室内に原料液を噴出するためのノズルが具えられ、更に前記給液室と乾燥室との間にバルブが具えられたことを特徴として成るものである。
この発明によれば、乾燥室内を原料液が自己凍結する圧力以下の減圧状態としながらも、給液室内の圧力を乾燥室の圧力よりも高い状態で原料液をノズルから噴出させることができ、ノズルの内部や先端部で原料液が自己凍結してしまうことがない。その後、前記給液室と乾燥室との間の経路を開放して、減圧状態の乾燥室内に原料液を供給することにより、液状原料を凍結させた状態で真空乾燥し、粉粒体等を得ることができる。このため真空乾燥機の稼働率を向上することができる。
【0009】
更にまた請求項3記載の真空乾燥機への原料液供給装置は、前記請求項2記載の要件に加え、前記給液室は乾燥室の減圧状態を維持したまま分解可能に構成されたものであることを特徴として成るものである。
この発明によれば、真空乾燥機の運転中にノズルにトラブルが生じた場合であっても、乾燥室内の減圧状態を維持したままノズルのメンテナンスを行うことができる。このため乾燥室内の凍結物を溶融させてしまうことがない。
そしてこれら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明の「真空乾燥機への原料液供給方法並びにその装置」について説明するものであり、まず真空乾燥機D及び原料液供給装置5の構成について説明した後、これらの装置の作動態様と併せて「真空乾燥機への原料液供給方法」について説明する。なお真空乾燥機Dの構成については、一例として真空振動乾燥機を採用する。
【0011】
図1、2中符号Dで示すものが本発明の適用対象となる真空乾燥機であり、このものは内部空間を乾燥室10Aとした筐体1を、弾性体2を介在させた状態で基台Bに載置するとともに、筐体1に取り付けたマウントブラケット3に対してバイブレータユニット4を具えて成る。また前記筐体1における投入口15に対して凍結部10Bを連通状態に具えるものであり、この凍結部10Bの上方に対して原料液供給装置5を具えて成る。
更に真空乾燥機Dは、周辺機器として、コンデンサ、真空ポンプ等を具えて成る真空発生装置6及び熱媒循環機7を具えるものであり、前記凍結部10B及び乾燥室10A内を真空にするとともに乾燥室10A内を間接加熱するように構成される。
【0012】
このように構成される真空乾燥機Dは、原料液供給装置5における給液室50内において噴霧された液滴状の原料液L(以下噴霧液滴Mと記す)を凍結部10Bに導いて自己凍結させて細粒状の凍結物Gとし、続いてこの凍結物Gを乾燥室10A内に導き、前記バイブレータユニット4によって筐体1を加振することにより流動させながら凍結物Gの乾燥処理を行って粉粒体を得るものである。
【0013】
以下真空乾燥機Dを構成する諸部材について詳しく説明する。
まず前記基台Bについて説明すると、このものは一例として図1、2に示すように、鋼材を適宜組み合わせて構成したものであり、この基台Bに対して四本の支持柱Cが立設される。
また前記弾性体2は、バネ、防振ゴム等の弾性部材によって一例として柱状に形成された部材である。
【0014】
次に前記筐体1について説明すると、このものは内部空間を乾燥室10Aとした横置き円筒状の部材であり、筐体1の側周に固定脚11を四脚形成し、また円筒両開口部に側板12を開閉自在に具える。
またこれら筐体1及び側板12の内側にはジャケット内板13を設け、更に熱媒ノズル14を取り付けるとともに、この熱媒ノズル14に温水等の熱媒循環機7を接続する。
【0015】
更に前記筐体1の側周部には投入口15を形成し、その逆側に位置する側板12に排出口16を形成し、更に筐体1のほぼ中央に排気口17を形成するとともに、この排気口17にフレキシブルパイプF等を用いて真空発生装置6を接続する。また前記筐体1の適宜の個所に測定口18を形成するものであり、この測定口18には温度センサ、湿度センサ等が取り付けられ、図示しない適宜の制御盤に接続される。
【0016】
なお前記排出口16は蓋体16aによって開閉されるものであり、この蓋体16aはダクト16bに具えたハンドル16cの操作によって排出口16に接近離反するものである。もちろん蓋体16aの開閉を、適宜モータを用いる等して人手を要さないように構成することもできる。
また筐体1の下部にはドレン口19が形成される。なおこの実施の形態では、乾燥室10Aを、排出口16側を水平線に対して1〜2°下方に傾斜させて基台B上に設置した。
【0017】
そして前記投入口15に対して円筒状の凍結部10Bを具えるものであり、この凍結部10Bは乾燥室10Aに対して連通状態とするものである。
また前記凍結部10Bの上部には、原料液供給装置5を具えるものであり、この原料液供給装置5における給液室50と、乾燥室10Aとが凍結部10Bを介在させて連通状態となるようにした。
なおこの実施の形態では、前記給液室50を分解可能に構成するものであり、一例として図3に示すように上下一対の上片50a、下片50bをボルト締結して中空状の給液室50を構成するようにした。
またこの実施の形態では給液室50にガラス製ののぞき窓50cを形成するようにしたが、遮光性の要求される原料液Lを用いる場合にはのぞき窓50cを設けない構成とする。
【0018】
更に前記給液室50内には、一例としてスプレーノズル等を適用したノズル51が具えられるものであり、このノズル51に接続された管路に対して原料タンク52、ポンプ53及びバルブ54を具えることにより、原料タンク52に投入された原料液Lを給液室50内に噴霧できるように構成した。なお給液室50と外部との気密性を維持するために、適宜シリコーンゴムのシーリングやゴムパッキンを用いてノズル51を取り付けるものとした。またノズル51の材質としてフッ素樹脂を用いた場合や、ノズル51にフッ素樹脂をコーティングする等した場合には、原料液Lの付着防止に効果的である。
【0019】
更に前記給液室50と乾燥室10Aとの間にバルブ55を具えるものであり、この実施の形態では一例としてボールバルブを適用したバルブ55を、給液室50と凍結部10Bとの間に設けた。なおこのバルブ55の開閉は、一例として空気圧を動力源とした適宜のアクチュエータによって行うものであるが、メンテナンス時の作業性等を考慮して手動で行えるようにした。
【0020】
また前記筐体1の外周下部には、図1に示すようにマウントブラケット3を固着するとともに、このマウントブラケット3に対して偏芯錘を具えたバイブレータユニット4を固定する。
【0021】
本発明の原料液供給装置5並びにこのものが適用される真空乾燥機Dは一例として上述のようにして構成されるものであって、以下これら装置の作動態様と併せて本発明の「真空乾燥機への原料液供給方法」について説明する。
(1)装置のセッティング
まず真空乾燥機Dの運転操作に先立ち、側板12によって筐体1の両開口部を閉鎖するとともに、排出口16を蓋体16aによって閉鎖する。また乾燥室10A内に投入される凍結物Gの形状、粒径、重量等に応じて、バイブレータユニット4の回転数を決定し、振動周期、振幅の設定を行う。この実施の形態では一例として回転数を1800rpmとした。
更に真空発生装置6によって調節される乾燥室10A内の圧力を設定し、熱媒循環機7によって循環する熱媒の温度及び流量を設定する。
【0022】
(2)乾燥室内の減圧
そして前記真空発生装置6を起動して乾燥室10A内及び凍結部10B内を減圧状態とし、また熱媒循環機7を起動して熱媒の循環供給を開始し、更にバイブレータユニット4を起動して筐体1を振動させる。
なおこのとき乾燥室10A及び凍結部10Bの内部を原料液が自己凍結する圧力以下の減圧状態としながらも、給液室50の内部を乾燥室の圧力よりも高い圧力状態とするものである。その方法は、バルブ54を閉鎖し、バルブ55を開放しておいて、乾燥室10A、凍結部B及び給液室50を連通状態として、真空発生装置6を起動して減圧し、原料液Lが自己凍結する圧力に達する前にバルブ55を閉鎖し、更に減圧して乾燥室10A及び凍結部10Bを、原料液Lが自己凍結する圧力以下になるまで減圧する。あるいは、最初からバルブ55を閉鎖して給液室50を常圧とし、乾燥室10A及び凍結部10Bを原料液Lが自己凍結する圧力以下になるまで減圧するようにしてもよい。
【0023】
(3)原料液の供給
続いてポンプ53を起動するとともにバルブ54の開度を適宜調節して、図4(a)に示すように原料液Lをノズル51から給液室50内に噴霧するものであり、原料液Lは霧状の噴霧液滴Mとなる。
【0024】
(4)バルブの開放と原料液の自己凍結
そして噴霧液滴Mの状態すなわちノズル51からの原料液Lの噴出を開始した後、図4(b)に示すようにバルブ55を開放し、給液室50と、乾燥室10Aと連通状態にある凍結部10Bとの間の経路を開放して、減圧状態の乾燥室10A内に原料液L(噴霧液滴M)を供給する。前記給液室50は原料液Lが自己凍結する圧力よりも高い圧力に維持されているので、原料液Lがノズル51から噴出され始めれば、バルブ55を開放してもノズル内部やノズル先端部で凍結することはない。従って、原料液Lの噴出から、バルブ55の開放までの時間は数秒あれば足りるものである。
そして噴霧液滴Mは、凍結部10B内を落下する過程において自己凍結するとともに直径0.3〜1.5mm程度の細粒状の凍結物Gとなる。その後、この凍結物Gは投入口15を通じて乾燥室10A内に落ち込むこととなる。
【0025】
(5)乾燥動作
次いで乾燥室10A内に至った凍結物Gは、バイブレーションユニット4からの振動力を受けて流動しながら乾燥室10Aの長手方向広域に分布し、この状態で熱媒からの熱を間接的に受けて昇華乾燥するものである。
またこの際に生じた水蒸気は排気口17から真空発生装置6に至り、適宜外部に放出される。
【0026】
(6)排出動作
やがて凍結物Gの水分値が所望のものとなったことを、温度センサ等によって検知した時点で、あるいは予め設定しておいた処理時間が経過した時点で、排出口16を開放し、所望の乾燥状態となった粉粒体とした外部に排出する。
【0027】
(7)メンテナンス
また真空乾燥機Dの運転中に、原料液Lに異物が混入する等の不測の事態によってノズル51が閉塞してしまったような場合には、ポンプ53を停止し、バルブ54を閉鎖して原料液Lの供給を停止するとともに、バルブ55を閉鎖する。続いて給液室50のボルト締結を解除してこのものを分解し、掃除あるいはノズル51の交換等を行うものである。このときバルブ55が閉鎖されているため、乾燥室10Aの内部空間は、原料液Lの自己凍結域に減圧された状態に維持される。このためメンテナンス中においても、乾燥室10A内の凍結物Gを溶融させてしまうことがない。
【0028】
上述したように本発明によれば、給液室50の内部空間は、ノズル51からの原料液Lの噴出が開始された後、乾燥室10Aの内部空間と同じ減圧状態となるため、原料液Lの噴出開始時点ではノズル51の内部は原料液が自己凍結する圧力よりも高い圧力となっており、ノズル51内に至った原料液Lはここであるいはノズル51の先端部分で自己凍結してしまうことがない。
【0029】
【他の実施の形態】
本発明は上述した実施の形態を基本となる実施の形態とするものであるが、本発明の技術的思想に基づいて以下に示すような実施の形態を採ることもできる。 まず上述した基本となる実施の形態では、ノズル51から噴出する原料液Lを液滴状の噴霧液滴Mとなるようにしたが、適宜ポンプ53の圧力を調整して原料液Lを糸状で噴出するようにしてもよい。
また上述した基本となる実施の形態では、凍結部10Bの上方に原料液供給装置5を接続したが、凍結部10Bを具えない真空乾燥機Dの場合には、給液室50を乾燥室10Aに対して直接連通状態に具えるようにする。
【0030】
また本発明は、内部空間を乾燥室10Aとした筐体1に、この乾燥室10A内を減圧するための真空発生装置6を連通状態に接続し、前記乾燥室10A内を減圧するとともにこの乾燥室10A内に投入された原料液Lを自己凍結させて得られた凍結物Gを真空乾燥して粉粒体状の固体材料を得る装置を適用対象とするものである。従って前記装置の構成についてはいわゆる「真空乾燥機」のカテゴリーに属するものであれば、種々の形態のものを採ることができるものである。以下数種類の「真空乾燥機」に対して本発明を適用した実施の形態について説明する。
【0031】
〔円錐型リボン真空乾燥機〕
まず図5に示すように、真空乾燥機Dをいわゆる円錐型リボン真空乾燥機タイプのものとすることができる。このものは筐体1の一部または全てを逆円錐状に形成し、更にこの筐体1の内側にジャケット内板13を具えるとともに、筐体1とジャケット内板13との間の空間に加熱媒体を通過させることにより、乾燥室10A内に投入した被処理物の乾燥を図る装置である。
なお前記筐体1及びジャケット内板13の上部開口部を天板1bによって閉鎖することにより、筐体1の内部空間を乾燥室10Aとするものであり、この天板1bに乾燥室10A内を減圧するための真空発生装置6を連通する。
【0032】
また前記筐体1内には回転軸100に取りつけた回転翼101を具備するものであり、この回転翼101によって被処理物をジャケット内板13の内壁に沿って上昇させ、この上昇された被処理物を再度乾燥室10A下部に落下させることを繰り返し行いながら、被処理物の乾燥促進を図るものである。
更に前記天板1bに形成した投入口15に対して凍結部10Bを連通状態に具えるとともに、この凍結部10B内の上部に原料液供給装置5を具えるものであり、この原料液供給装置5における給液室50と、乾燥室10Aとが凍結部10Bを介在させて連通状態となるようにする。
【0033】
〔真空攪拌乾燥機〕
また図6に示すように、真空乾燥機Dをいわゆる真空攪拌乾燥機タイプのものとすることができる。このものは両端を閉鎖した円筒状の筐体1を横置きし、この筐体1内に実質的に構成される乾燥室10Aの長手方向に沿って具えた回転軸100に対して攪拌翼102を具備して成るものであり、この攪拌翼102によって被処理物を攪拌しながら、被処理物の乾燥促進を図るものである。
そして前記乾燥室10Aを周壁から加熱するとともに内部を減圧するための真空発生装置6を連通するように接続し、前記乾燥室10Aにおける投入口15に対して凍結部10Bを連通状態に具えるとともに、この凍結部10B内の上部に原料液供給装置5を具えるものであり、この原料液供給装置5における給液室50と、乾燥室10Aとが凍結部10Bを介在させて連通状態となるようにする。
【0034】
〔円盤乾燥機〕
更にまた図7に示すように、真空乾燥機Dをいわゆる円盤乾燥機タイプのものとすることができる。このものは縦置きした円筒状の筐体1内に実質的に構成される乾燥室10A内に、温水等の加熱媒体によって加熱される加熱プレート105を多段(この実施の形態では五段)に具えるとともに、これら加熱プレート105を貫通した状態で配した回転軸100に攪拌翼102を格段に具えて成るものである。そしてこの攪拌翼102によって加熱プレート105上の被処理物を攪拌・移動させながら落下口106に落とし込み、順次下段の加熱プレート105に送る過程で被処理物の乾燥促進を図るものである。
そして前記乾燥室10Aに対して内部を減圧するための真空発生装置6を連通するように接続し、前記乾燥室10Aにおける投入口15に対して凍結部10Bを連通状態に具えるとともに、この凍結部10B内の上部に原料液供給装置5を具えるものであり、この原料液供給装置5における給液室50と、乾燥室10Aとが凍結部10Bを介在させて連通状態となるようにする。
【0035】
〔ベルト式連続真空乾燥機〕
更にまた図8に示すように、真空乾燥機Dをいわゆるベルト式連続真空乾燥機タイプのものとすることができる。このものは両端を閉鎖した円筒状の筐体1を横置きし、この筐体1内に実質的に構成される乾燥室10Aの長手方向に沿ってベルトコンベヤ103を具えて成るものであり、このベルトコンベヤ103による搬送過程に蒸気加熱工程、温水加熱工程及び冷却工程を具えて被処理物の乾燥を図るものである。
そして前記乾燥室10Aに対して内部を減圧するための真空発生装置6を連通するように接続し、前記乾燥室10Aにおける投入口15に対して凍結部10Bを連通状態に具えるとともに、この凍結部10B内の上部に原料液供給装置5を具えるものであり、この原料液供給装置5における給液室50と、乾燥室10Aとが凍結部10Bを介在させて連通状態となるようにする。
【0036】
〔ダブルコーン型真空乾燥機〕
更にまた図9に示すように、真空乾燥機Dをいわゆるダブルコーン型真空乾燥機タイプのものとすることができる。このものは内部を実質的に乾燥室10Aとした二重円錐型の筐体1を支持柱Cに対して水平に具えた軸を中心に回転自在に支持して成るものであり、更にこの筐体1内にジャケット内板13を具えるとともに、筐体1とジャケット内板13との間の空間に加熱媒体を通過させることにより、筐体1内に投入した被処理物の乾燥を図る装置である。
なお筐体1を回転させる際には、一例としてシリンダ104に接続したアーム104aの作用によって凍結部10Bと筐体1とを切り離すことができるように構成した。
【0037】
そして前記乾燥室10Aに対して内部を減圧するための真空発生装置6を連通するように接続し、前記乾燥室10Aにおける投入口15に対して凍結部10Bを連通状態に具えるとともに、この凍結部10B内の上部に原料液供給装置5を具えるものであり、この原料液供給装置5における給液室50と、乾燥室10Aとが凍結部10Bを介在させて連通状態となるようにする。
【0038】
〔マイクロウェーブ式連続真空乾燥機〕
なおここまで例示した真空乾燥機Dは、加熱媒体を用いた間接加熱式のものであるが、被処理物を焦げ付かせてしまうことのない加熱手段としてマイクロ波を用いたいわゆるマイクロウェーブ式連続真空乾燥機タイプのものとして、真空乾燥機Dを構成することができる。
【0039】
まず図10に示すものは、内部を実質的に乾燥室10Aとしたタワー状の筐体1内に投入された被処理物を、このタワー内を落下する過程において、導波管80を通じてマイクロ波発生装置8から供給されたマイクロ波によって加熱することにより乾燥を図るものである。
また図8に示したベルト式連続真空乾燥機の加熱手段としてマイクロ波を適用することができる。すなわち導波管80を通じてマイクロ波発生装置8から供給されたマイクロ波をベルトコンベヤ103の搬送面に向けて照射するものであり、ベルトコンベヤ103上に位置する被処理物の乾燥を図るものである。
【0040】
そして前記乾燥室10Aに対して内部を減圧するための真空発生装置6を連通するように接続し、前記乾燥室10Aにおける投入口15に対して凍結部10Bを連通状態に具えるとともに、この凍結部10B内の上部に原料液供給装置5を具えるものであり、この原料液供給装置5における給液室50と、乾燥室10Aとが凍結部10Bを介在させて連通状態となるようにする。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、乾燥室10Aを原料液Lが自己凍結する圧力以下の減圧状態としながらも、給液室50内の圧力よりも高い状態で原料液Lをノズル51から噴出させることができるので、ノズル51から原料液Lが噴出する時点では、給液室50は原料液Lの自己凍結域に減圧された状態となっていないので、原料液Lがノズル51の内部や先端部で自己凍結してしまうことがない。従って、真空乾燥機Dの可動効率を向上させることができる。また、本発明によれば、給液室50は乾燥室10Aの減圧状態を維持したままでも分解可能に構成されている。従って真空乾燥機Dの運転中にノズル51にトラブルが生じた場合でも、乾燥室10Aの減圧状態を維持したままノズル51のメンテナンスを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の原料液供給装置並びにこのものの適用対象である真空乾燥機を一部破断して示す側面図である。
【図2】 同上正面図及び背面図である。
【図3】 原料供給装置を示す側面図である。
【図4】 原料供給装置に具えたバルブの開閉操作の様子を示す骨格図である。
【図5】 他の実施の形態で示した円錐型リボン真空乾燥機タイプの真空乾燥機を示す側面図である。
【図6】 他の実施の形態で示した真空攪拌乾燥機タイプの真空乾燥機を示す側面図である。
【図7】 他の実施の形態で示した円盤乾燥機タイプの真空乾燥機を示す側面図である。
【図8】 他の実施の形態で示したベルト式連続真空乾燥機タイプの真空乾燥機を示す側面図である。
【図9】 他の実施の形態で示したダブルコーン型真空乾燥機タイプの真空乾燥機を示す側面図である。
【図10】 他の実施の形態で示したマイクロウェーブ式連続真空乾燥機タイプの真空乾燥機を示す側面図である。
【図11】 既存の真空乾燥機を示す縦断面図である。
【符号の説明】
D 真空乾燥機
1 筐体
1b 天板
10A 乾燥室
10B 凍結部
11 固定脚
12 側板
13 ジャケット内板
14 熱媒ノズル
15 投入口
16 排出口
16a 蓋体
16b ダクト
16c ハンドル
17 排気口
18 測定口
19 ドレン口
100 回転軸
101 回転翼
102 攪拌翼
103 ベルトコンベヤ
104 シリンダ
104a アーム
105 加熱プレート
106 落下口
2 弾性体
3 マウントブラケット
4 バイブレータユニット
5 原料液供給装置
50 給液室
50a 上片
50b 下片
50c のぞき窓
51 ノズル
52 原料タンク
53 ポンプ
54 バルブ
55 バルブ
6 真空発生装置
7 熱媒循環機
8 マイクロ波発生装置
80 導波管
B 基台
C 支持柱
F フレキシブルパイプ
G 凍結物
L 原料液
M 噴霧液滴
Claims (3)
- 内部空間を乾燥室とした筐体に、この乾燥室内を減圧するための真空発生装置を連通状態に接続して成る真空乾燥機を用い、前記乾燥室内を減圧するとともにこの乾燥室に投入された原料液を自己凍結させて得られた凍結物を真空乾燥して粉粒体状の固体材料を得る方法において、前記筐体に対しては給液室が連通状態に設けられ、この給液室内に原料液を噴出するためのノズルが具えられ、更に前記給液室と乾燥室との間にバルブが具えられるものであり、前記乾燥室への原料液の投入は、前記給液室と乾燥室との間の経路を閉鎖して、乾燥室内を原料液が自己凍結する圧力以下の減圧状態としながらも、給液室内を乾燥室内の圧力よりも高い圧力とした状態で原料液をノズルから噴出させた後、前記給液室と乾燥室との間の経路を開放して、減圧状態の乾燥室内に原料液を供給することを特徴とする真空乾燥機への原料液供給方法。
- 内部空間を乾燥室とした筐体に、この乾燥室内を減圧するための真空発生装置を連通状態に接続し、前記乾燥室内を減圧するとともにこの乾燥室内に投入された原料液を自己凍結させて得られた凍結物を真空乾燥して粉粒体状の固体材料を得る装置において、前記筐体に対しては給液室が連通状態に設けられ、この給液室内に原料液を噴出するためのノズルが具えられ、更に前記給液室と乾燥室との間にバルブが具えられたことを特徴とする真空乾燥機への原料液供給装置。
- 前記給液室は、乾燥室の減圧状態を維持したまま分解可能に構成されたものであることを特徴とする請求項2記載の真空乾燥機への原料液供給装置。
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