JP4002747B2 - 薬剤混合用アダプタおよびそれを備える溶解液容器 - Google Patents

薬剤混合用アダプタおよびそれを備える溶解液容器 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薬剤バイアルと溶解液容器とを対向的に連結して収容物の注入、排出を行うのに用いられる薬剤混合用アダプタと、それを備える溶解液容器とに関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
バイアルに収容された薬剤を溶解させるべく生理食塩水等の溶解液を注入したり、あるいはその溶液を点滴静注の用に供したり、輸液バッグ等の薬液容器に移出したりする際には、当該注入・移出の操作を簡易かつ安全なものとすべく、バイアルと溶解液容器の口部を一体的に接続するための保持手段と、両者間を連通させるための両頭針と、を備えるアダプタが用いられている。
【0003】
従来の薬剤混合用アダプタでは、口部を保持する手段として、バイアル等の口部の径に応じた筒状部材が用いられており、実開昭56−171046号公報(実公昭61−32688号公報)には、バイアル85の口部の径が若干大きい場合であってもこれを保持し得るように、バイアル保持手段としての筒部(バイアル口保持具)81に切れ込み82を入れたアダプタ80が開示されている(例えば、同公報の第4図;本願の図7参照)。図7中、符号83は両頭針を、符号84は隔壁を、それぞれ示す。
しかしながら、上記公報に開示のアダプタ80の場合、バイアル保持手段である筒部81の水平断面形状がいずれも円弧状であって、柔軟性が乏しいことから、径の大きなバイアルを強引に差し込むと、当該筒部81が破損してしまうという不具合が生じる。
【0004】
一方、実公昭49−47507号公報の第1図には、バイアル保持手段を筒状の部材ではなく、円周上に所定の間隔をおいて配置された3枚の板状部材86としたアダプタが開示されている(同公報の第1図;本願の図8参照)。
しかしながら、このようなアダプタではバイアルを確実に把持、固定させることができず、両頭針83を穿刺させている間は、常にバイアルを手で支える必要が生じることから、使い勝手が悪くなる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、バイアルの口部や胴部を把持、固定して、溶解液容器と接続するのに用いられ、かつ、多様な径のバイアルに対応することのできる薬剤混合用アダプタと、それを備える溶解液容器とを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記課題を解決するための本発明に係る薬剤混合用アダプタは、略円盤状の隔壁と、当該隔壁の周縁に略垂直に立設されてなる筒状の土台部と、当該土台部の頂部に所定の間隔で立設されてなる、バイアルの胴部を保持するための板状のバイアル保持脚と、前記土台部の内側に、前記隔壁の表面から略垂直に立設されかつ筒状に配置されてなる、バイアルの口部を外側から保持するためのバイアル口部保持板と、前記隔壁の周縁に前記土台部とは逆側にかつ略垂直に立設されてなる、溶解液容器の口部を保持するための溶解液容器口部保持筒と、前記隔壁の両面にそれぞれ立設されて互いに連通する一対の針体からなる両頭針と、を備え、前記バイアル保持脚はその数が計6〜15枚で、前記土台部外周面側の表面に当該土台部の周方向に沿った溝部を備え、当該溝部で前記土台部の外周面側に折れ曲がり可能なものであり、かつ、前記隔壁、前記土台部、前記バイアル保持脚、前記バイアル口部保持板、前記溶解液容器保持筒、および前記両頭針が熱可塑性樹脂によって一体成形されていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る薬剤混合用アダプタによれば、前述のように、
(a) バイアルの胴部を保持する部分が、従来のアダプタに見られる剛直な筒状部材ではなく、筒状の土台部の頂部に所定の間隔で立設されてなる板状のバイアル保持脚であり、かつ、
(b) 当該バイアル保持脚の数が計6〜15枚であることから、
個々のバイアル保持脚の横断面形状が円弧状ではなく、略直線状となっている。
【0008】
さらに、
(c) 当該バイアル保持脚がその外表面に溝部を備えている(すなわち、薄肉部となっている)ことから、
前述の、バイアル保持脚の横断面が略直線状であることと相俟って、その柔軟性が極めて良好なものとなっている。
それゆえ、例えば土台部の直径よりも径の大きな口部、胴部を備えるバイアルを挿入した場合であっても、バイアル保持脚が前記溝部で土台部の外周面側に折れ曲がって、バイアルを保持しようとする。従って、バイアル保持脚が損傷を受けることなく、バイアルを確実に把持、固定することができる。
【0009】
また、本発明の薬剤混合用アダプタは、前述のように、溶解液容器の口部を保持するための保持筒を備えることから、バイアルと溶解液容器とを両頭針によって接続した場合に、バイアルのみならず、溶解液容器をも把持、固定することができる。
それゆえ、バイアルと溶解液容器との間で薬剤を注入、移出する作業を行う際において、従来のアダプタを用いる場合のように、双方を手で固定して接続が外れるのを防止するという余分な労力を払う必要がなく、安全にかつ確実に薬剤の注入、移出作業を行うことができる。
【0010】
さらに、本発明の薬剤混合用アダプタによれば、隔壁、土台部、バイアル保持脚、溶解液容器保持筒、両頭針等の各部分が熱可塑性樹脂によって一体成形されていることから、アダプタの製造が簡易なものとなる。また、従来の、金属製両頭針を用いた薬剤混合用アダプタの場合、両頭針とその他の部分とを分別して廃棄する必要があったものの、本発明の場合は、使用後にそのままの形状で焼却処理に供することができる。それゆえ、薬剤混合用アダプタの取扱い性が極めて良好なものとなる。
さらに、本発明の薬剤混合用アダプタによれば、前記土台部の内側に、前記隔壁の表面から略垂直に立設されかつ筒状に配置されてなるバイアル口部保持板を備えていることから、バイアルが必要以上にアダプタ内に押入されるのを防止することができ、しかも、バイアルとアダプタとの接続を一層確実なものとすることができる。
【0011】
ところで、実開昭52−112194号公報(実公昭55−25296号公報)には、バイアル口保持筒87,87’の頂部を大きく起伏する3ピッチ以上の波形面88,88’としたバイアル薬液混合器や(同公報の第3図;本願の図9参照)、バイアル口保持筒87,87’の頂部に、両頭針83の尖端を保護するための、3枚以上の肉薄保護板89,89’を設けたバイアル薬液混合器(同公報の第6図;本願の図10参照)が開示されており、これらのバイアル薬液混合器におけるバイアル口保持筒87,87’は、一見、本発明の薬剤混合用アダプタにおける土台部およびバイアル保持脚と、その構造が近似しているように見える。
【0012】
しかしながら、上記公報の第3図および第6図(本願の図9および図10)に示されているバイアル薬液混合器のバイアル口保持筒87,87’は、あくまで剛直な部材であって、柔軟性を有しておらず、しかも当該保持筒に切れ込み、溝等を有するものではない。
従って、径の大きなバイアルを挿入すると前記保持筒が損傷を受けるおそれが極めて高く、この点において、本発明の薬剤混合用アダプタとは明らかに異なっている。
【0013】
本発明の薬剤混合用アダプタにおいて、バイアル保持脚の溝部は、前記土台部との付け根部分とバイアル保持脚の中間位置とに設けられているのが好ましい。
このように、土台部との付け根部分、すなわち土台部の頂部と、バイアル保持脚の中間部分との2箇所に溝部が設けられていることにより、バイアル保持脚の柔軟性がより一層向上し、バイアルの口部や胴部の径がどのような大きさであっても柔軟に対応させることができる。それゆえ、より一層確実にバイアルを把持、固定することができる。
【0014】
本発明の薬剤混合用アダプタにおいて、隣接するバイアル保持脚間の幅は当該バイアル保持脚の幅に対して50〜100%であるのが、バイアル保持脚の柔軟性とバイアルの把持性とのバランスをとる上で好ましい。また、隣接するバイアル保持脚間の幅が上記範囲で設定されていることにより、保持脚間からバイアルと針体との接続状況を容易に視認することができる。
本発明の薬剤混合用アダプタにおいて、前記隔壁の一方の表面から前記バイアル保持脚の先端までの高さは、バイアル保持脚側に伸びる針体の隔壁から尖端までの高さよりも高い方が好ましい。
このように設定することで、薬剤混合用アダプタの使用時に、前記針体の尖端で誤って手指を刺すといった事故が生じるのを防止し易くなる。
【0015】
また、本発明の薬剤混合用アダプタにおいて、前記溶解液容器口部保持筒側に伸びる針体の先端は鈍端である方が、薬剤混合用アダプタの使用時に、前記針体で誤って手指を刺すといった事故を防止する上で好ましい
【0016】
本発明の薬剤混合用アダプタにおいて、前記熱可塑性樹脂は、n−ヘキサン不溶分の立体規則性度98%以上、曲げ初期弾性率24000kg/cm3 以上、ロックウェル硬度(Rスケール)108以上、結晶化度70%以上、数平均分子量<Mn>に対する重量平均分子量<Mw>の比<Mw>/<Mn>が8以上のポリプロピレンであるのが好ましい。
上記熱可塑性樹脂は、特許第3005145号公報(特開平7−67937号公報)に開示されているように、耐熱性に優れている。従って、かかる樹脂で薬剤混合用アダプタを形成した場合には、これを溶解液容器等の口部に配置した状態で蒸気滅菌等の滅菌・殺菌処理に供することができる。
【0017】
また、上記熱可塑性樹脂を用いることにより、薬剤混合用アダプタを射出成形によって簡易に成形することができる。それゆえ、生産性の面でも優れている。さらに、上記熱可塑性樹脂は薬液による溶出成分がなく、医療用に使用する上での安全性や耐薬品性の面でも優れている。
しかも、上記熱可塑性樹脂は、穿刺針の用途に不可欠な高い硬度と、十分な剛性とを有している。
従って、上記熱可塑性樹脂は、本発明の薬剤混合用アダプタを形成する材料として好適である。
【0018】
本発明の薬剤混合用アダプタにおいて、前記溶解液容器口部保持筒は、その外周面に、当該保持筒の周方向に沿った係止部を備えていることが好ましい。
本発明の薬剤混合用アダプタは、例えば溶解液容器の口部上方にあらかじめ配置して、当該口部の栓体を貫通していない状態で保持させておくことができる。このような場合には、溶解液容器を使用する前の段階で薬剤混合用アダプタの両頭針が口部の栓体を刺通しないようにするために、さらには、薬剤混合用アダプタと溶解液容器の口部との接続を容易かつ確実なものとするために、当該アダプタを前記口部の上方に係止しかつ使用時において下方へ自在にスライドさせ得る筒状部材が用いられる。
ここで、薬剤混合用アダプタの溶解液容器口部保持筒における外周面に、あらかじめ当該保持筒の周方向に沿った係止部を設けておいた場合には、前記筒状部材内に薬剤混合用アダプタを係止させておくことができる。
【0019】
本発明の薬剤混合用アダプタを備える溶解液容器は、
可撓性を有するプラスチックからなる収容部と、当該収容部と連通する筒状の首部と、当該首部の開放端に配置される口部と、当該口部を閉鎖する弾性体からなる栓体と、前記口部の外周面に配置される筒状の穿刺ガイドとを備え、かつ、当該穿刺ガイドの内部に、上記本発明の薬剤混合用アダプタを配置してなるもの
であることを特徴とする。
【0020】
上記本発明の溶解液容器においては、口部の外周面に配置される筒状の穿刺ガイドが、本発明の薬剤混合用アダプタを溶解液容器の口部上方に係止する作用を示し、かつ、溶解液容器の使用時において前記アダプタの下方へのスライドを補助する作用を示す。
従って、本発明の溶解液容器によれば、バイアルの配置、当該バイアルの押入による溶解液容器およびバイアルの開栓、溶解液の流入とバイアル内の薬剤の溶解処理、ならびに溶解された薬剤の移出の各操作を、簡易にかつ安全確実に行うことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る薬剤混合用アダプタおよびそれを備える溶解液容器について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
〔薬剤混合用アダプタ〕
本発明に係る薬剤混合用アダプタ10は、例えば図1〜図3に示すように、略円盤状の隔壁12と、隔壁12の周縁に略垂直に立設されてなる筒状の土台部13と、土台部13の頂部13aに所定の間隔で立設されてなる板状のバイアル保持脚14と、隔壁12の周縁に土台部13とは逆側にかつ略垂直に立設されてなる溶解液容器口部保持筒18と、隔壁12の両面(12a,12b)にそれぞれ立設されて互いに連通する一対の針体(11a,11b)からなる両頭針と、を備えるものである。
【0022】
(バイアル保持脚)
バイアル保持脚14は、例えば図1,図2(a) および図3(a) に示すように、円盤状である隔壁12の周縁に沿って立設された土台部13の頂部に、所定の間隔をおいて計8枚設けられる。従って、従来の薬剤混合用アダプタのように、筒状の部材に切れ込みを入れただけのものや、隔壁の外周に沿って3〜4枚程度の横断面円弧状の脚を設けたものとは異なり、バイアル保持脚14自体が柔軟性に富んだものとなる。
【0023】
本発明の薬剤混合用アダプタ10においては、図2(a) の平面図において部分的に断面で示したように、バイアル保持脚の横断面形状が略直線状となっている。従って、図1からも明らかなように、バイアル保持脚14は、全体的に板状の部材である。
バイアル保持脚14の数は、計6〜15枚の範囲で設定される。バイアル保持脚14の数が計6枚を下回るとバイアルの保持性が低下することから、保持性の維持を目的としてその幅を拡げざるを得ず、その結果、横断面形状が円弧状となって柔軟性が損なわれるという問題が生じる。逆に、バイアル保持脚14の数が計15枚を超えると、個々のバイアル保持脚14に十分な幅をとることが困難になっていわゆるささら状となるため、バイアルの保持性が低下するという問題が生じる。
【0024】
バイアル保持脚14の数は、バイアル保持脚の柔軟性とバイアルの保持性とのバランスをより一層良好なものとする上で、上記範囲の中でも特に8〜10枚とするのが好ましい。
バイアル保持脚14は、前述のように土台部13の頂部に所定の間隔をおいて設けられたものであるが、バイアルの保持性を良好なものとする上で、図2(a) に示すように、等間隔に設けられているのがより好ましい。
【0025】
バイアル保持脚14の柔軟性とバイアルの保持性とのバランスを良好なものとするには、隣接するバイアル保持脚14間の幅w2 を当該バイアル保持脚14の幅w1 に対して50〜100%の範囲で設定するのがより好ましい。
バイアル保持脚14は、例えば図1および図3(a) に示すように、土台部外周面側mの表面に土台部13の周方向xに沿った溝部15を備えている。
薬剤混合用アダプタ10には、例えば図4に示すように、そのバイアル保持脚14側にバイアル40が挿入される。図4に示す例では、バイアルの口部42の外径がバイアル保持脚14の内径より小さいものの、バイアルの胴部44の外径はバイアル保持脚14の内径より大きくなっている。しかし、バイアル保持脚14の外周面側mの表面に溝部15が設けられ、当該箇所が薄肉部となっていることで保持脚14がより一層柔軟になっており、たとえ径の大きなバイアルを挿入したとしても、図4に示すようにバイアル保持脚14が外側に折れ曲がってバイアルの胴部44を支えることとなる。従って、バイアル保持脚14に損傷が生じることはなく、バイアル40を十分に把持、固定することができる。
【0026】
溝部15を形成する位置や数については特に限定されるものではないが、例えば図1および図3(a) に示すように、土台部の頂部13a(すなわち、バイアル保持脚14の付け根部分)と、バイアル保持脚14の中間位置との2箇所に設けるのが、より効果的に保持脚14を外周面側mに反らせることができることから好ましい。
バイアル保持脚14の高さは特に限定されるものではないが、両頭針を構成する針体(バイアル保持脚14側)11aの尖端11cが突出しないように設定するのが好ましい。従って、例えば図3(a) に示すように、隔壁12の表面12aから針体11aの先端11cまでの高さよりも、前記表面12aから土台部13を含めてバイアル保持脚14の先端14aに至るまでの高さの方が高くなるように設計するのが好ましい。
【0027】
(バイアル口部保持板)
バイアル口部保持板16は、例えば図2(a) および図3(a) に示すように、バイアル保持脚14の土台部13よりも内側にあって、隔壁12の表面12aから略垂直に立設されかつ筒状に配置されてなるものである。
このバイアル口部保持板16は、例えば図4に示すように、バイアル保持脚14の土台部13内に挿入されたバイアル40の口部41と嵌合し、これを保持するものである。
【0028】
バイアル口部保持板16の形状は特に限定されるものではなく、例えば筒状の土台部17を設けずに、隔壁12の表面12aから直接にバイアル口部保持板16を立設させてもよい。
バイアル40の胴部44の径は、バイアルの種類等によって大きく異なる場合が多いものの、通常、バイアルの口部41の径は一定であることから、バイアル口部保持板16の内径は、バイアルの口部41の径に応じて設定すればよい。なお、図4中、符号42はバイアルの栓体を、符号43はバイアルの首部を、符号45は栓体42を固定するバンドを、それぞれ示す。
【0029】
これとは別に、バイアル口部保持板についても、バイアル保持脚14と同様にしてその土台部17の頂部に所定の間隔で立設し、計6〜15枚の板状の部材とするとともに、その外周面側表面に土台部17の周方向に沿った溝部を設けてもよい。この場合、バイアル口部保持板にも柔軟性を付与することができ、たとえバイアルの口部41の径が大きい場合であっても、これを確実に把持、固定させることができる。
【0030】
(両頭針)
両頭針を構成する針体(11a,11b)のうち、バイアル保持脚14側の針体11aは、前述のようにバイアル保持脚14で保護することができることから、その先端部分についてはバイアル40の栓体42に対する穿刺性のみを考慮すればよい。従って、針体11aの先端部分は、図2(a) および図3(a) に示すように、尖端11cとするのが好ましい。
一方、溶解液容器口部保持筒18側の針体11bは、薬剤混合用アダプタ10単独では、外部に露出した構造となっている。それゆえ、その先端部分については、誤って手指を刺すことのないように鈍端11dとするのが好ましい(図2(b) および図3(b) 参照)。
【0031】
両頭針は、これに限定されるものではないが、例えば図1〜図6に示すように、流路が2ヶ所設けたもの(すなわち、針体11aでの開口部が符号11eと符号11fの2箇所で、針体11bでの開口部も符号11gと符号11hの2箇所であるもの)を用いるのが好ましい。流路を2ヶ所設けることにより、両頭針内の液の流通がスムーズになるという利点がある。
【0032】
(溶解液容器口部保持筒)
溶解液容器口部保持筒18は、例えば図1,図2(b) および図3(b) に示すように、隔壁12の表面のうち、バイアル保持脚14や土台部13が設けられているのとは逆側の表面12bから、当該隔壁12の周縁において略垂直に立設されてなる筒状の部材である。
この溶解液容器口部保持筒18は、例えば図4に示すように、バイアル40の栓体42と溶解液容器50の栓体52との双方に薬剤混合用アダプタ10の両頭針を穿刺させたときに、溶解液容器50の口部を把持、固定するものである。
【0033】
従って、各栓体(42,52)に薬剤混合用アダプタ10の両頭針を穿刺させると、その状態でバイアル40と溶解液容器50との双方が薬剤混合用アダプタ10に固定される。従って、バイアル40と溶解液容器50との間で薬剤を注入、移出する作業を行う際に、双方を手で固定して接続が外れるのを防止するという余分な労力を払う必要がなく、安全にかつ確実に薬剤の注入、移出作業を行うことができる。
【0034】
なお、図4においては、薬剤混合用アダプタ10の外周面に、後述する穿刺ガイド30が配置されているが、上記のようにバイアル40と溶解液容器50との双方を薬剤混合用アダプタ10に固定する場合において、この穿刺ガイド30を使用することが必須の要件となるものではない。
【0035】
通常、溶解液容器50の口部51の径は一定であることから、溶解液容器口部保持筒18の内径は、溶解液容器50の口部51の径に応じて設定すればよい。
溶解液容器口部保持筒の形状はこれに限定されるものではなく、例えば筒状部分をなす保持筒に、アダプタ10の軸方向に沿った切込みを設けてもよい。また、バイアル保持脚14と同様にして計6〜15枚の板状の部材とするとともに、その外周面側表面にアダプタ10の周方向に沿った溝部を設けてもよい。この場合、溶解液容器口部保持筒にも柔軟性を付与することができ、たとえ溶解液容器の口部51の径が大きい場合であっても、これを確実に把持、固定させることができる。
【0036】
(薬剤混合用アダプタの素材および製造方法)
本発明に係る薬剤混合用アダプタ10は、その各部分を熱可塑性樹脂によって一体成形したものである。
薬剤混合用アダプタ10を形成するのに用いられる熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチルペンテン〔例えば三井化学(株)の商品名「TPX」〕等のポリオレフィン;エチレン−テトラシクロドデセン共重合体〔例えば、三井化学(株)の商品名「アペル」〕等のポリ環状オレフィンなどの、医療用として許容される従来公知の種々の熱可塑性樹脂が挙げられる。
なかでも、本発明の薬剤混合用アダプタ10に用いられる熱可塑性樹脂としては、前述のように、n−ヘキサン不溶分の立体規則性度98%以上、曲げ初期弾性率24000kg/cm3 以上、ロックウェル硬度(Rスケール)108以上、結晶化度70%以上、数平均分子量<Mn>に対する重量平均分子量<Mw>の比<Mw>/<Mn>が8以上のポリプロピレンが好適である。
【0037】
本発明に係る薬剤混合用アダプタ10の製造方法としては、前述のように各部分を一体成形するほかは特に限定されるものではなく、プラスチック製の両頭針等についての従来公知の製造方法と同様にすればよい。
【0038】
〔溶解液容器〕
本発明の溶解液容器50は、その口部51にあらかじめ本発明の薬剤混合用アダプタ10を配置してなることを特徴とするものである。
従って、溶解液容器自体、すなわち可撓性を有するプラスチックからなる収容部54と、収容部54と連通する筒状の首部53と、首部53の開放端に配置される口部51と、口部51を閉鎖する弾性体からなる栓体52と、については特に限定されるものではなく、従来公知の溶解液容器や薬液容器と同様のものを用いればよい。
【0039】
〔穿刺ガイド〕
本発明において、穿刺ガイド30とは、例えば図5および図6に示すように、溶解液容器50の口部上方にあらかじめ配置しておき、口部51の栓体52を貫通していない状態で保持させるための筒状の部材である。
かかる筒状部材としての穿刺ガイド30は、例えば図6に示すように、一方の開放端30aで溶解液容器50の口部51と係合させ、かつ、内表面に設けられた係止部31で薬剤混合用アダプタ10を係止させた上で用いられる。
【0040】
穿刺ガイド30の筒体内に係止された薬剤混合用アダプタ10をバイアル保持脚14側から押圧すると、穿刺ガイド30の内部で当該アダプタ10を自在にスライドして、図4に示すような穿刺状態を形成する。
すなわち、溶解液容器50の口部51の外周面に配置される筒状の穿刺ガイド30は、本発明の薬剤混合用アダプタ10を溶解液容器50の口部上方にて係止させる作用を示し、かつ、溶解液容器50の使用時において前記アダプタ10の下方へのスライドを補助する作用を示す。
【0041】
穿刺ガイド30の内表面30bに設けられた係止部31は、凸条または凸部であってもよく、溝または凹部であってもよい。凹凸のいずれを選択するかは、薬剤混合用アダプタ10の溶解液容器口部保持筒18に設けられた係止部19の形状に応じて決定すればよい。
なお、図5は、本発明の薬剤混合用アダプタ10を穿刺ガイド30の内部に挿入、係止させる方法を示す模式図である。
【0042】
穿刺ガイド30を形成するのに用いられる熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチルペンテン〔例えば三井化学(株)の商品名「TPX」〕等のポリオレフィン;エチレン−テトラシクロドデセン共重合体〔例えば、三井化学(株)の商品名「アペル」〕等のポリ環状オレフィンなどの、医療用として許容される従来公知の種々の熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0043】
穿刺ガイド30には、その外周面に螺合部32を形成して、保護キャップ33を螺設させてもよい。保護キャップ33を設けることによって、溶解液容器50の使用前に薬剤混合用アダプタ10が汚れたりするのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る薬剤混合用アダプタの一実施形態を示す図であって、(a) はその正面図、(b) は側面図を示す。
【図2】 (a) は図1に示す薬剤混合用アダプタの一部欠截平面図、(b) はその底面図である。
【図3】 (a) は図1に示す薬剤混合用アダプタのA−A断面図、(b) は図1(および図3(a) )のB−B断面図である。
【図4】薬剤混合用アダプタの使用状態を示す縦断面図である。
【図5】図1に示す薬剤混合用アダプタを穿刺ガイド内に挿入、係止させる方法を示す模式図である。
【図6】薬剤混合用アダプタを備える溶解液容器の一例を示す縦断面図である。
【図7】従来の薬剤混合用アダプタの一例を示す図であって、実開昭56−171046号公報(実公昭61−32688号公報)の第4図に開示のバイアル薬液混合器を示す縦截断面図である。
【図8】従来の薬剤混合用アダプタの一例を示す図であって、実公昭49−47507号公報の第1図に開示の液体移注具を示す正面図である。
【図9】従来の薬剤混合用アダプタの一例を示す図であって、実開昭52−112194号公報(実公昭55−25296号公報)の第3図に開示のバイアル薬液混合器を示す縦断正面図である。
【図10】従来の薬剤混合用アダプタの一例を示す図であって、実開昭52−112194号公報(実公昭55−25296号公報)の第6図に開示のバイアル薬液混合器を示す縦断正面図である。
【符号の説明】
10 薬剤混合用アダプタ, 11a 針体, 11b 針体, 11c 尖端, 11d 先端, 12 隔壁, 12a 隔壁の表面, 13 土台部,13a 頂部, 14 バイアル保持脚, 14a バイアル保持脚の先端,15 溝部, 16 バイアル口部保持板, 18 溶解液容器口部保持筒,19 係止部, 30 穿刺ガイド, 50 溶解液容器, 51 口部, 52 栓体, 53 首部, 54 収容部, m 土台部外周面側, w1 バイアル保持脚の幅, w2 隣接するバイアル保持脚間の幅, x 土台部13の周方向.

Claims (8)

  1. 略円盤状の隔壁と、
    当該隔壁の周縁に略垂直に立設されてなる筒状の土台部と、
    当該土台部の頂部に所定の間隔で立設されてなる、バイアルの胴部を保持するための板状のバイアル保持脚と
    記土台部の内側に、前記隔壁の表面から略垂直に立設されかつ筒状に配置されてなる、バイアルの口部を外側から保持するためのバイアル口部保持板と、
    前記隔壁の周縁に前記土台部とは逆側にかつ略垂直に立設されてなる、溶解液容器の口部を保持するための溶解液容器口部保持筒と、
    前記隔壁の両面にそれぞれ立設されて互いに連通する一対の針体からなる両頭針と、を備え、
    前記バイアル保持脚はその数が計6〜15枚で、前記土台部外周面側の表面に当該土台部の周方向に沿った溝部を備え、当該溝部で前記土台部の外周面側に折れ曲がり可能なものであり、かつ、
    前記隔壁、前記土台部、前記バイアル保持脚、前記バイアル口部保持板、前記溶解液容器保持筒、および前記両頭針が熱可塑性樹脂によって一体成形されている
    ことを特徴とする、薬剤混合用アダプタ。
  2. 前記溝部が、前記土台部との付け根部分と前記バイアル保持脚の中間位置とに設けられていることを特徴とする、請求項1記載の薬剤混合用アダプタ。
  3. 隣接するバイアル保持脚間の幅が当該バイアル保持脚の幅に対して50〜100%であることを特徴とする、請求項1または2記載の薬剤混合用アダプタ。
  4. 前記隔壁の一方の表面から前記バイアル保持脚の先端までの高さが、前記バイアル保持脚側に伸びる針体の隔壁から尖端までの高さよりも高いことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の薬剤混合用アダプタ。
  5. 前記溶解液容器口部保持筒側に伸びる針体の先端が鈍端であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の薬剤混合用アダプタ。
  6. 前記熱可塑性樹脂、n−ヘキサン不溶分の立体規則性度98%以上、曲げ初期弾性率24000kg/cm3以上、ロックウェル硬度(Rスケール)108以上、結晶化度70%以上、数平均分子量<Mn>に対する重量平均分子量<Mw>の比<Mw>/<Mn>が8以上のポリプロピレンであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の薬剤混合用アダプタ。
  7. 前記溶解液容器口部保持筒が、その外周面に、当該保持筒の周方向に沿った係止部を備えることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の薬剤混合用アダプタ。
  8. 可撓性を有するプラスチックからなる収容部と、当該収容部と連通する筒状の首部と、当該首部の開放端に配置される口部と、当該口部を閉鎖する弾性体からなる栓体と、前記口部の外周面に配置される筒状の穿刺ガイドとを備え、かつ、当該穿刺ガイドの内部に、請求項1〜7のいずれかに記載の薬剤混合用アダプタを配置していることを特徴とする、溶解液容器。
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