特許文献1及び特許文献2に記載の技術とも、ガスボンベを横向きの状態とした後、ガスボンベに洗浄水を、吹付け洗浄を行っている。これはガスボンベを起立状態で搬送しながら洗浄しようとすると、ガスボンベの底面部が洗浄できないことよる。液化石油ガス容器を取扱うガス充填施設などでは、毎日多数のガス容器を取扱っているため、ガス容器の洗浄は短時間に終了することが望ましい。またガス容器の数が多いことから、少ない洗浄水で効率的に洗浄できる方法であることが好ましい。特許文献1に記載の洗浄技術は、連続洗浄が可能であるが、起立状態のガスボンベを横向き状態に変更した後洗浄し、再度起立状態にするので、装置構成が複雑となり、一本のガスボンベ洗浄に多くの時間を必要とするなど、多数のガス容器を短時間に洗浄するには適していない。また、液化石油ガス容器は、ガス容器の下部にスカートが付いているため、さらに洗浄を難しくしている。これらは、液化石油ガス容器に限らず、他の高圧ガス容器についても同様である。
以上のことから、多数のガス容器を短時間に効率的に洗浄することが可能なガス容器洗浄装置の開発が待たれている。また、このガス容器洗浄装置が、洗浄後のガス容器を乾燥する手段を備えればより好ましく、洗浄後のガス容器を十分に保守する手段を備えれば、さらに好ましい。
本発明の目的は、簡単な構成で、十分な洗浄力を有し、短時間に多数のガス容器を効率的に洗浄することが可能なガス容器洗浄装置を提供することである。
本発明は、搬送コンベヤにより起立状態で搬送中の底部にスカートを備えるガス容器の底面部、上鏡板部、スカート部及び下鏡板部に主に洗浄水を噴射し、前記ガス容器の底面部、上鏡板部、スカート部及び下鏡板部を主に洗浄するガス容器洗浄装置であって、稼働中停止中によらず、平面視において搬送面の同じ位置に空間部を有する搬送コンベヤと、前記搬送コンベヤの途中に、搬送コンベヤを覆うように取付けられた両側面及び上面に壁面を有し、搬送方向が開口する第1覆い体と、前記第1覆い体に覆われた前記搬送コンベヤの搬送面の空間部の下方に、先端部が搬送面よりも僅かに低い位置に取付けられ、洗浄水を上方向に噴射し主に前記ガス容器の底面に洗浄水を吹付ける底洗浄ノズル、及び前記第1覆い体内に取付けられ、洗浄水を下方向に噴射し主に前記ガス容器の上鏡板部に洗浄水を吹付ける上洗浄ノズル、前記第1覆い体内に取付けられ、洗浄水を横方向に噴射し主に前記ガス容器のスカート部と下鏡板部とに洗浄水を吹付ける下洗浄ノズルを有する洗浄ノズルと、を含むことを特徴とするガス容器洗浄装置である。
また本発明のガス容器洗浄装置は、前記構成に加え、前記底洗浄ノズルは、複数のノズルからなり、複数のノズルの少なくとも一部は、搬送方向に対し、前後及び左右に傾斜していることを特徴とする。
また本発明のガス容器洗浄装置は、前記構成に加え、さらに、前記洗浄ノズルよりも下流側に位置し、搬送コンベヤにより起立状態で搬送中のガス容器に、空気を吹付け前記ガス容器に付着した洗浄水を除去する洗浄水除去装置を含むことを特徴とする。
また本発明のガス容器洗浄装置は、前記構成に加え、前記洗浄水除去装置は、前記洗浄ノズルよりも下流側であって、前記第1覆い体に覆われた前記搬送コンベヤの搬送面の空間部の下方に取付けられ、圧縮空気を上方向に噴射し、主に前記ガス容器の底面に付着した洗浄水を除去する底空気噴射ノズル、及び前記洗浄ノズルよりも下流側であって前記第1覆い体内に取付けられ、圧縮空気を斜め下方向に噴射し、主に前記ガス容器の上鏡板部に付着した洗浄水を除去する上空気噴射ノズルを有する空気噴射ノズルであることを特徴とする。
また本発明のガス容器洗浄装置は、前記構成に加え、さらに前記第1覆い体の下流側に位置し、前記搬送コンベヤを覆うように取付けられた両側面及び上面に壁面を有し、搬送方向が開口する第2覆い体を備え、前記洗浄水除去装置は、前記第2覆い体に覆われた前記搬送コンベヤの搬送面の空間部の下方に取付けられ、圧縮空気を上方向に噴射し、主に前記ガス容器の底面に付着した洗浄水を除去する底空気噴射ノズル、及び前記第2覆い体内に取付けられ、圧縮空気を斜め下方向に噴射し、主に前記ガス容器の上鏡板部に付着した洗浄水を除去する上空気噴射ノズルを有する空気噴射ノズルであることを特徴とする。
また本発明のガス容器洗浄装置は、前記構成に加え、前記洗浄水は、水と圧縮空気とを混合した状態で前記洗浄ノズルから噴射することを特徴とする。
また本発明のガス容器洗浄装置は、前記構成に加え、前記ガス容器は、液化石油ガスを充填するガス容器であって、大きさ及び型式の異なるガス容器からなり、前記上洗浄ノズルは、ガス容器の大きさに対応した設置高さの異なる複数の上洗浄ノズルからなり、複数の上洗浄ノズルは、それぞれ外部信号により開閉する弁を備え、さらに、前記第1覆い体内に前記上洗浄ノズルよりも上流側に取付けられガス容器の大きさ及び型式を検知するセンサと、前記センサの出力に基づき前記ガス容器の大きさ及び型式を判別し、前記弁に所定の信号を出力する制御装置と、を備えることを特徴とする。
また本発明のガス容器洗浄装置は、前記構成に加え、さらに、前記搬送コンベヤへ前記ガス容器を搬入する搬入コンベヤを有し、前記搬入コンベヤは、前記ガス容器を所定の間隔で前記搬送コンベヤへ搬出する搬出装置を備えることを特徴とする。
また本発明のガス容器洗浄装置は、前記構成に加え、さらに、前記第1覆い体、又は前記第1覆い体及び前記第2覆い体に覆われた前記搬送コンベヤの下方に取付けられ、前記ガス容器を洗浄した洗浄排水及び前記ガス容器の付着洗浄水を回収貯留可能な受器と、前記受器に回収された水に含まれる固形分を除去する固液分離装置とを備え、前記搬送コンベヤは、チェーンコンベヤであり、前記固液分離装置で固形分を除去した水を前記チェーンコンベヤのチェーンの潤滑剤の希釈剤として使用することを特徴とする。
また本発明のガス容器洗浄装置は、前記構成に加え、前記ガス容器は、キャップ付のガス容器であり、前記キャップは、キャップの内側にねじ部を有し、さらに、洗浄後のガス容器から取外された前記キャップのねじ部の一箇所に油を塗布する油塗布装置を備えることを特徴とする。
本発明のガス容器洗浄装置によれば、汚れのひどいガス容器の底面部と、ガス容器を管理するバーコードラベルが貼付されている上鏡板部とを集中的に洗浄することが可能なので、少ない水量で効率的に洗浄することができる。また洗浄ノズルが、搬送コンベヤの搬送面の空間部の下方に、搬送コンベヤの搬送面よりも僅かに低い位置に取付けられているので、洗浄水を搬送コンベヤに接触させることなく、ガス容器の底面に吹付けることができる。このようにガス容器の底面に非常に近い位置から、洗浄水を吹付けることができるので、洗浄力が高い。さらに、搬送コンベヤにより起立状態で搬送中のガス容器を洗浄することができるので、短時間に多数のガス容器を洗浄することができる。またガス容器のスカート表面と下鏡板表面も汚れが蓄積しやすく、形状が複雑なことから洗浄しにくい場所であるけれども、本発明のガス容器洗浄装置によれば、ガス容器のスカート表面と下鏡板表面とに、非常に近い位置から洗浄水を吹付ける下洗浄ノズルを備えるので、この部分の汚れを少ない水量で効果的に落とすことができる。
スカートの底部に比較的大きな折返し部が設けられているガス容器にあっては、この折返し部がじゃまとなって、真上に洗浄水を噴射させるだけではガス容器の底面の隅の洗浄が不十分となりやすい。本発明のガス容器洗浄装置によれば、前記底洗浄ノズルは、複数のノズルからなり、複数のノズルの少なくとも一部は、搬送方向に対し、前後及び左右に傾斜しているので、スカートの底部の折返し部にじゃまされることなく、ガス容器の裏面の隅々まで洗浄水を吹付けることができる。また、底洗浄ノズルを傾斜させているので、洗浄水の噴射タイミングを調整することで、スカートの表面及び下鏡板の表面も洗浄することができる。これにより、より高い洗浄力が得られる。
また本発明のガス容器洗浄装置によれば、さらに、搬送コンベヤにより起立状態で搬送中のガス容器に空気を吹付け、ガス容器に付着した洗浄水を除去する洗浄水除去装置を備えるので、洗浄後のガス容器に付着する洗浄水を連続的に除去することができる。また、洗浄後のガス容器に再度、埃などが付着しガス容器が汚れることを防止できるので、ガス容器をきれいなまま維持することができる。
また本発明のガス容器洗浄装置によれば、さらに、洗浄後のガス容器に付着する洗浄水を除去する空気噴射ノズルを、ガス容器の上部のみならずガス容器の底面部にも備えるので、短時間内にガス容器全体の付着水を除去することができる。また、この底空気噴射ノズルは、ガス容器の底面に近接した位置に取付けられるので、少ない空気量で水分を除去することができる。
また本発明のガス容器洗浄装置によれば、液噴射ノズルと空気噴射ノズルとを別々の覆い体に配置するので、洗浄水が空気噴射ノズル側に飛散することがなく、付着水の除去をより効率的に行うことができる。
また本発明のガス容器洗浄装置によれば、洗浄水は、水と圧縮空気とを混合した状態で洗浄ノズルから噴射するので、少ない水量で、かつ高速でガス容器に洗浄水を吹付けることができる。これにより、効率的かつ効果的に洗浄を行うことができる。
また本発明のガス容器洗浄装置によれば、大きさ及び型式の異なるガス容器の洗浄にも使用することができるので、本装置を液化石油ガス充填装置に取付け使用することができる。さらにガス容器の大きさ及び型式に対応した上洗浄ノズルから洗浄水を噴射することができるので、ガス容器に装着されたバルブなど水を嫌う場所に洗浄水を掛けることを回避することができる。
また本発明のガス容器洗浄装置によれば、ガス容器を所定の間隔で搬送コンベヤへ搬出する搬出装置を備えるので、ガス容器を所定の間隔を隔てて搬送コンベヤで搬送することができる。これにより、ガス容器のスカート部と下鏡板部も全周をよりきれいに洗浄することができる。
また本発明のガス容器洗浄装置によれば、洗浄排水及びガス容器の付着洗浄水を回収貯留可能な受器、及び受器に回収された水に含まれる固形分を除去する固液分離装置とを備え、搬送コンベヤは、チェーンコンベヤであり、固液分離装置で固形分を除去した水をチェーンコンベヤのチェーンの潤滑剤の希釈剤として使用するので水の有効利用が可能であり、経済的である。
また本発明のガス容器洗浄装置によれば、洗浄後のガス容器から取外されたキャップの内側のねじ部の一箇所に油を付ける油塗布装置を備えるので、ねじ部に油を付けることができる。本発明の洗浄装置は、必要最小限の場所にのみ、洗浄水を吹付け洗浄する方法であるから、ガス容器のねじ部に直接洗浄水が掛かることはないけれども、上鏡板部で反射した洗浄水が、ガス容器のねじ部に入り込むことがある。この場合であってもキャップのねじ部の一箇所に油が塗布されるので、さびが発生しにくく、かつキャップをスムーズに着脱できる。ねじ部の一箇所に油を塗布するだけであっても、キャップを取付ける際の回転で油がねじ部全体に広がるため、必ずしもねじ部全体に油を塗布する必要はない。これらによりガス容器を十分に洗浄、保守することができる。
図1は、本発明の第1実施形態としてのガス容器洗浄装置1の斜視図である。図2は、図1の切断線II−IIで切断して見た洗浄ノズルの配置を説明するための図であり、図3は、図1の切断線III−IIIで切断して見た洗浄ノズル及び空気噴射ノズルの配置を説明するための図であり、図4は、図1の切断線IV−IVで切断して見た空気噴射ノズルの配置を説明するための図である。図5は、図1のガス容器洗浄装置1の底洗浄ノズルの配置を示す平面図である。以下、ガス容器として液化石油ガス容器3を例に採り説明する。ここでは、ガス容器3は、20kgガス容器4、50kgガス容器5からなり、さらに50kgガス容器は、キャップ付ガス容器6と、プロテクタ付ガス容器7からなる。20kgガス容器は、プロテクタ付ガス容器である。
本実施形態に示すガス容器洗浄装置1は、起立状態で搬送中のガス容器3に洗浄水を噴射し洗浄する洗浄装置であって、ガス容器3を搬送する搬送コンベヤ20、ガス容器3に噴射する洗浄水などが周囲に飛散することを防止する覆い体40、ガス容器3に洗浄水を噴射する洗浄ノズル50、及び洗浄後のガス容器に付着する洗浄水を吹き飛ばす空気噴射ノズル70を備え、覆い体40の下方には、洗浄排水を回収し貯留する受器92を有する。本ガス容器洗浄装置1は、特に起立状態で搬送中のガス容器3であっても、停止させることなく、底面部8も洗浄できる点が特徴の一つである。
搬送コンベヤ20は、3条のチェーン21(21a、21b、21c)の上にガス容器3を起立状態で載置し、搬送するチェーンコンベヤであり、床面30を開口し取付けられている。このチェーンコンベヤ20は、平行離間する3条の無端状のチェーン21が各々上下2段チェーンレール22に支持されながら移動し、チェーン21の両側には、ガイドレール23が取付けられている。これらチェーンレール22及びガイドレール23は、搬送方向に直交する所定の間隔を有する複数のチェーンレールサポート24で支持され、このチェーンレールサポート24がフレーム25に取付けられ、図示を省略した駆動スプロケット、従動スプロケット、駆動モータなど介して駆動する。さらにチェーンコンベヤ20の下方には、ピット29が設けられている。
このチェーンコンベア20は、コンベヤが稼働中であっても、停止中であっても、搬送面26を平面視したとき、同じ位置に空間部28を有するコンベヤである。このようなコンベヤは、搬送面26を貫通するように垂直に棒を立てた状態とし、コンベアを駆動しても、何ら問題なくコンベアを駆動することができる。このようなコンベヤを使用するのは、この搬送面26の空間部28の下方に、図2、図3、及び図5に示すように、底洗浄ノズル52を設置することによる。このようなコンベヤを使用することで、ガス容器3を搬送中であっても、チェーン21に洗浄水が衝突することなく、効率的のガス容器3を洗浄することができる。よって、ベルトコンベヤのような搬送コンベアは使用することができない。
チェーンコンベヤの名称で呼ばれるコンベヤには、種々の型式のものが含まれるけれども、図2に示すような複数条のチェーン21が直接搬送面26を形成するチェーンコンベアが好ましい。複数条のチェーン21が直接搬送面26を形成するチェーンコンベアであって、チェーン同士を棒などで連結する型式のチェーンコンベヤは、使用することはできるけれども、駆動中にチェーン同士を連結する棒が、搬送面26を移動するため、底洗浄ノズル52から噴射される洗浄水に衝突し好ましくない。チェーンコンベヤ20以外には、ローラコンベヤを好適に使用することができる。なお搬送コンベヤは、必ずしもガス容器洗浄のための専用の搬送コンベヤである必要はなく、後述の実施例に示すように主に他の用途に使用される搬送コンベヤであってもよい。ただし、このコンベヤが、稼働中であっても停止中であっても、搬送面を平面視したとき、同じ位置に空間部を有するコンベヤであることが必要なことは言うまでもない。
覆い体40は、両側面43、44及び上面45に壁面を有し、ガス容器3の搬送方向にガス容器3が移動可能な開口部47を有する金属製の箱体である。両側面43、44にはそれぞれ、内部を視認可能な透明アクリル製の窓49が設けられている。この覆い体40は、搬送コンベヤ20の一部を覆うように設置されている。覆い体40の内部には、ガス容器3を洗浄するための洗浄ノズル50と、洗浄ノズル50よりも下流側に洗浄後のガス容器3に付着する洗浄水を除去する空気噴射ノズル70が取付けられている。また、ガス容器3の大きさ及び型式を判別するためのセンサ80が取付けられている。
この覆い体40は、ガス容器3を洗浄するための洗浄ノズル50から噴射される洗浄水、及び洗浄後のガス容器3に付着する洗浄水が圧縮空気により吹き飛ばされたとき、これらが周囲に飛散することを防止することを主目的とするためのものであるから、形状は特に箱形状に限定されるものではない。覆い体40の大きさは、覆い体40の内部に洗浄ノズル50及び空気噴射ノズル70が取付けられることから、これらの設置を可能とする大きさであると共に、洗浄後のガス容器3に付着する洗浄水を圧縮空気により吹き飛ばしている最中に、隣りのガス容器を洗浄している洗浄水が掛からない距離であることが望ましい。
洗浄ノズル50と空気噴射ノズル70との距離を大きくすることが、ガス容器3の乾燥の上からは好ましいけれども、広い場所が必要となる。覆い体40をコンパクトするためには、洗浄ノズル50と空気噴射ノズル70との間に、エアーカーテン、又は短冊状の薄い可撓部材を上部から垂らすなどして水滴を遮断すればよい。
また、覆い体40は、1つに限定されるものではないので、洗浄ノズル50と空気噴射ノズル70とを別々の覆い体としてもよい。上流側に洗浄ノズル50用の覆い体40を下流側に空気噴射ノズル70用の覆い体(図示を省略)を設置し、各々の覆い体の内に洗浄ノズル50又は空気噴射ノズル70を取付ける。これにより洗浄時の洗浄水が洗浄後のガス容器3に飛び散ることを防止できる。洗浄ノズル50用の覆い体40と空気噴射ノズル70用の覆い体との距離を大きくし過ぎると、移動中に空気中の埃などが付着するため洗浄ノズル50用の覆い体40と空気噴射ノズル70用の覆い体との距離は、近い方が好ましい。さらに洗浄排水、及びガス容器に付着する洗浄水を回収、貯留するための受器92を設ける場合にあっては、この点からも近い方が好ましい。なお、覆い体を1つのみ設置する場合の覆い体を第1覆い体、覆い体を2つ設置する場合、上流側の覆い体を第1覆い体、下流側の覆い体を第2覆い体とする。
洗浄ノズル50は、ガス容器3に洗浄水を噴射し、ガス容器3に付着する土、泥、埃などの汚れを取除くためのものであって、底洗浄ノズル52、下洗浄ノズル54、上洗浄ノズル56からなる。底洗浄ノズル52は、覆い体40で覆われた搬送コンベヤ20の搬送面26の空間部28の下方に設置されている。底洗浄ノズル52の先端は、搬送コンベ20の搬送面26から僅かに低い位置に設置されているので、ガス容器3を搬送中であっても、ガス容器3に接触することはない。このとき底洗浄ノズル52の先端は、可能な限り搬送面26に近い方が好ましい。これにより噴射した洗浄水がチェーン21に掛かりにくくなり、また狭い空間部28であっても洗浄水を広角に噴射することが可能となり、効果的に洗浄することができる。底洗浄ノズル52は、3条のチェーン21の間に、計14本の洗浄ノズルが配置されている。両側面側に各1本、中央部よりに3本を一塊とした洗浄ノズルが4箇所設置されている。この底洗浄ノズル52を囲む円の大きさは、ガス容器3のスカート部の底面8とほぼ同じ大きさである。中央部に設置された3本を一塊とする洗浄ノズル53(53a、53b、53c、53d)は、搬送方向から見て扇型に配置されている。さらに3本を一塊とした洗浄ノズル53は、前後の洗浄ノズル53aと53b、53cと53dが互いに向き合う形で設置されている。
下洗浄ノズル54は、ガス容器3の下鏡板部10とスカート部9とに主に洗浄水を吹付けるものであって、覆い体40の下部の両側面に各々1箇所設置されている。下洗浄ノズル54(54a、54b)は、3本を一塊とした洗浄ノズルで構成され、搬送方向から見て扇型と配置されている。下洗浄ノズル54は、扇型に配置されるため上下に多少の広がりを持って洗浄水が噴射されるけれども、扇角は大きくなく、基本的にはほぼ真横に噴射される。下洗浄ノズル54の取付け高さは、スカート9の上端部とほぼ同じ高さである。スカート9の上端部近傍で下鏡板10とスカート9とが接続されるため、スカート9の上端部近傍には凹部が形成され、汚れが蓄積しやすい。汚れが蓄積しやすい部分にスポット的に洗浄水を吹付けることで効率的洗浄することができる。
上洗浄ノズル56は、50kgガス容器5用と20kgガス容器4用とが別々に設けられている。これはガス容器の高さが異なるため、50kgガス容器5用の上洗浄ノズルを用いて20kgガス容器4を洗浄しようとすると、20kgガス容器4のプロタクタ13、バルブ(図示を省略)に洗浄水が掛かるので、これを回避するためである。20kgガス容器4用の上洗浄ノズル58(58a、58b)は、覆い体40の両側面43、44部近傍に、各々2本づつ計4本のノズルが、先端部が斜め下向きに設置され、洗浄水は、主にガス容器4の上鏡板部11に噴射される。4本の洗浄ノズルは、搬送方向に直交する同一平面上に配置されている。なおここで言う同一平面には、完全な同一平面のみならず、略同一平面も含まれる。以降同じである。
50kgガス容器用の上洗浄ノズル60は、覆い体40の上面部45近傍に、4本のノズルが先端部を斜め下向きに設置され、洗浄水は、主に50kgガス容器5の上鏡板部11に噴射される。4本の洗浄ノズルは、搬送方向に直交する同一平面上に配置されている。また、20kgガス容器用上洗浄ノズル58と50kgガス容器用上洗浄ノズル60は、搬送方向に直交する同一平面内に配置され、下洗浄ノズル54も同一平面内である。
上記のように底洗浄ノズル52、下洗浄ノズル54、及び上洗浄ノズル56と局所的に洗浄ノズルを設置するのは、少ない洗浄ノズルで効率的かつ効果的にガス容器3を洗浄するためである。ガス容器3の汚れは、全体的に均一に汚れるのではなく、一般的にスカート部9及び下鏡板部10の汚れが酷い。これはガス容器3が屋外の地面、又は地面近傍に設置されるケースが多いこと、及びスカート部9を含めスカート部9近傍の形状が複雑であり、汚れが蓄積されやすいことによる。またこの部分は、汚れを落としにくい部分であり、従来のように単にガス容器3全体にシャワー状に洗浄水を掛けても、汚れを十分に落とすことはできない。本発明のガス容器洗浄装置1では、汚れの酷い部分に近接した状態で洗浄ノズル50を配置するので、効率的かつ効果的に洗浄することができる。
上鏡板部11は、ガス容器3の下部に比較すると、汚れは少ないけれども、この部分には、ガス容器3を管理するためのバーコードラベルが貼付されているため、これを洗浄するため上洗浄ノズル56を設けている。洗浄水は、特別な洗浄水である必要はなく、工業用水、上水などを使用することができる。また洗浄水は、水を単独で使用してもよいけれども、水と圧縮空気とを混合して噴射することで、少ない水量でかつ高速で噴射できるので好ましい。水と圧縮空気との混合は、周知の水―空気混合エジェクタを使用することで簡単に作り出すことができる。
空気噴射ノズル70は、洗浄後のガス容器3に付着する洗浄水を除去するためのものであって、底空気噴射ノズル71と上空気噴射ノズル73からなる。底空気噴射ノズル71は、洗浄ノズル50の下流側であって、洗浄ノズル50からガス容器2本分程度の間隔を持って設置されている。底空気噴射ノズル71は、4本の空気噴射ノズル71a、71b、71c、71dからなり、底洗浄ノズル52と同様、覆い体40に覆われたチェーンコンベヤ20の搬送面26の空間部28の下方に配置され、ガス容器3の底面に付着する洗浄水を吹き飛ばす。底空気噴射ノズル71は、搬送方向に直交する同一平面内に、4本の空気噴射ノズルが、ガス容器底面8いっぱいに配置され、ほぼ真上に圧縮空気を噴出する。
上空気噴射ノズル73は、20kgガス容器4用と50kgガス容器5用と別々に設置されている。50kgガス容器5用の上空気噴射ノズル75は、洗浄ノズル50の下流側であって、洗浄ノズル50からガス容器1本分程度の間隔を持って設置されている。50kgガス容器5用の上空気噴射ノズル75は、覆い体40の上面45部近傍に取付けられた下向きの4本のノズル75a、75b、75c、75dと、覆い体40の上側面近傍に取付けられた斜め下向きの4本のノズル75e、75f、75g、75hからなり、ガス容器5の上端及び上鏡板部11を中心に圧縮空気を噴射し、この部分に付着する洗浄水を吹き飛ばす。この上空気噴射ノズル75は、搬送方向に直交する同一平面内に配置されている。
20kgガス容器4用の上空気噴射ノズル77は、洗浄ノズル50の下流側であって、洗浄ノズル50からガス容器2本分程度の間隔を持って配置されている。覆い体40内の両側壁近傍に各々5本づつ合計10本の空気噴射ノズル77a、77b、77c、77d、77e、77f、77g、77h、77i、77jが斜め下向きに設置され、ノズル先端部がガス容器4に近接している。各空気噴射ノズル77は、ほぼ同じ角度に取付けられている。この上空気噴射ノズル77は、ガス容器4の上端から下端まで圧縮空気を噴射することが可能であり、底面を除きガス容器全体に付着する洗浄水を吹き飛ばす。この上空気噴射ノズル77は、搬送方向に直交する同一平面内であって、底空気洗浄ノズル71と同一平面内に設置されている。
覆い体40内には、ガス容器3の大きさなどを検知するためのセンサ80が設置されている。ガス容器の種類が一種類で、しかもガス容器が連続的に搬送される場合は、センサは必ずしも必要ではない。ガス容器の大きさが異なる場合であっても、共用の洗浄ノズル、空気噴射ノズルを設けることで、センサを不要とすることもできるけれども、ガス容器の大きさにより噴射距離が異なり、効率的かつ効果的ではない。またプロテクタ付ガス容器にあっては、プロテクタ部13に洗浄水を掛けないことが重要であるから、このようなガス容器が混入するガス容器にあっては、型式を検知するためにセンサが必要となる。
以下、センサの設置及び制御方法の一例を示す。なお図3では、センサがオンとなる位置を表示する。ガス容器は、50kgキャップ付ガス容器6、50kgプロテクタ付ガス容器7、20kgプロテクタ付ガス容器4(20kgガス容器と略す)である。センサ80は、50kgプロテクタ付ガス容器洗浄ノズル用センサ81、50kgキャップ付ガス容器洗浄ノズル用センサ83、20kgガス容器洗浄ノズル用センサ85、50kgガス容器空気噴射ノズル用センサ87、20kgガス容器空気噴射ノズル用センサ89からなり、各センサ81、83、85、87、89はマイクロスイッチを使用した接触式のセンサである。
50kgプロテクタ付ガス容器洗浄ノズル用センサ81は、他のセンサに比較して一番上流側に設置され、50kg上洗浄ノズル60よりも上流側で、ガス容器7のプロテクタ13と同じ高さに設置されている。50kgキャップ付ガス容器洗浄ノズル用センサ83は、50kg上洗浄ノズル60よりも上流側、50kgプロテクタ付ガス容器洗浄ノズル用センサ81よりも下流側で、ガス容器6の中央付近の高さに設置されている。20kgガス容器洗浄ノズル用センサ85は、搬送方向に対し50kgキャップ付ガス容器洗浄ノズル用センサ83とほぼ同じ位置で、20kgガス容器4の中央付近の高さに設置されている。
50kgガス容器空気噴射ノズル用センサ87は、洗浄ノズル50よりも下流側、50kg上空気噴射ノズル75よりも上流側で、ガス容器6、7の中央付近の高さに設置されている。20kgガス容器空気噴射ノズル用センサ89は、50kg上空気噴射ノズル75よりも下流側、20kg上空気噴射ノズル77よりも上流側で、ガス容器4の中央付近の高さに設置されている。以上に設置されるセンサの出力は、制御装置90に送られ、制御装置90は、センサ80の出力信号に基づき、各ノズルに取付けらけれた開閉弁(図示を省略)を開閉するように制御する。制御装置90としては、シーケンサが例示される。
このように50kgプロテクタ付ガス容器洗浄ノズル用センサ81と50kgキャップ付ガス容器洗浄ノズル用センサ83とを別々に設け、50kgプロテクタ付ガス容器洗浄ノズル用センサ81を50kgキャップ付ガス容器洗浄ノズル用センサ83の上流側に設置することで、50kgプロテクタ付ガス容器を一番初めに検知することが可能となる。この容器の場合、プロテクタ部13には、水を掛けない方がよいから、センサの信号を制御装置90へ送り、50kgガス容器用上洗浄ノズル60の洗浄水の噴射を停止すればよい。一方、圧縮空気の噴射は、50kgプロタクタ付ガス容器7に行っても何ら問題ないので、50kgキャップ付ガス容器6と区別するためのセンサは不要である。
50kgガス容器5用の上空気噴射ノズル75は、上記の通り20kgガス容器4用の上空気噴射ノズル77と異なり、ガス容器の下部の付着水を除去するノズルが設けられていない。しかしながら、50kgガス容器5は、20kgガス容器空気噴射ノズル用センサ89で検知されるため、この信号を用いて20kgガス容器用の上空気噴射ノズル77を作動させれば、ガス容器の上部は、上空気噴射ノズル75で、中央から下端にかけては、20kgガス容器用の上空気噴射ノズル77で付着洗浄水を除去することができる。このとき、50kgガス容器用上空気噴射ノズル75を20kgガス容器用上空気噴射ノズル77に比べ上流側に設置することが好ましい。まず、50kgガス容器用の上空気噴射ノズル75で圧縮空気を吹付け、付着洗浄水を除去すると共に、ガス容器に沿って流下する付着洗浄水を20kgガス容器用上空気噴射ノズル77で除去することが可能となり、効率的である。さらに50kgガス容器用上空気噴射ノズル75と20kgガス容器用上空気噴射ノズル77との作動に時間差を持たせることで、単位時間当たりの圧縮空気の使用量が低下するため、容量の大きな空気圧縮機を使用しなくてもよい。なお、ガス容器の大きさ、型式の判別、制御方法は、他の方法であってもよく、使用するセンサも非接触式センサなどを使用可能なことは当然である。
受器92は、覆い体40に覆われた搬送コンベヤ20の下方であって、洗浄ノズル50から噴射された洗浄水、洗浄排水、空気噴射ノズル70で除去されたガス容器3に付着する洗浄水を回収可能な位置に設置され、回収した洗浄排水などを貯留することができる。受器92を設けなくても、搬送コンベヤ20の下方に設けられたピット29を利用して、洗浄排水等を排出するができるけれども、洗浄排水を回収し、さらにこの水を再利用することで環境にやさしい装置とすることができる。ガス容器3の汚れは、主に土、泥などによるものであり、油など含まないため、土、泥などを分離することで簡単に再利用することができる。本実施形態のように搬送コンベヤにチェーンコンベヤ20を利用し、チェーン21に潤滑剤を使用する場合は、洗浄排水がチェーン21に当たり、潤滑剤が洗浄排水に混入するけれども、この場合であっても、この水を潤滑剤の希釈水として有効利用することができる。
以上の通り、第1実施形態に示すガス容器洗浄装置を使用することで、ガス容器を短時間に多数、効率的かつ効果的に洗浄することができる。図6(a)、(b)は、50kgキャップ付ガス容器6の外観図、20kgプロテクタ付ガス容器4の半断面図である。図6(a)、(b)に示すように液化石油ガス容器3にはスカート9が取付けられ、スカート9は、底部に折返し部14を有すると共に、側面に開口部16を有する。このような形状を有する部分は、円筒形状などに比較して、埃、泥など蓄積しやすく、また洗浄しにくい。これに対して本ガス洗浄装置1では、上記のように底洗浄ノズル52を配置し、上方向に洗浄水を噴射するので、搬送コンベヤ20でガス容器3を起立状態で搬送させながら洗浄することができる。さらにガス容器3が移動することで、洗浄ノズルを動かすことなく、ガス容器の全周に洗浄水を吹付けることができる。
また、本ガス容器洗浄装置1では、ガス容器3の底面部8を洗浄する底洗浄ノズル52を複数のノズルで構成し、底洗浄ノズル52の一部のノズル53を搬送方向に対し、前後及び左右に傾斜して取付けている。図6(b)に示すようなスカート9の底部に比較的大きな折返し部14が設けられているガス容器にあっては、この折返し部14がじゃまとなって、真上に洗浄水を噴射させるだけではガス容器の底面8の隅15の洗浄が不十分となりやすいけれども、底洗浄ノズル52を傾斜させることでスカート9の底の折返し部14にじゃまされることなく、ガス容器の裏面の隅々まで洗浄水を吹付けることができる。
図7は、底洗浄ノズル52の取付け角度と洗浄水の吹付け場所を模式的に示す図である。図7(a)は、搬送方向に対し横から見た図であり、図7(b)は、搬送方向に対し正面から見た図である。図7(a)からガス容器の底面8の隅15の洗浄を行うことが可能なことが分かる。また洗浄ノズルが真上に向いている場合は、スカート9の底部の折返し部14が隅15の洗浄にじゃまになることが分かる。また、このガス容器の場合、底面が凸状となっているため、壁面に衝突した洗浄水が反射し洗浄範囲が広がる。さらに図7(a)から分かるように、洗浄水の噴射のタイミングを早める又は遅くまで噴射させることで、底洗浄ノズル52は、下鏡板部10にも洗浄水を吹付けることができる。同様に、上洗浄ノズル56は、ガス容器3の中央部にも洗浄水を吹付けることができる。これにより洗浄効率が高まる。なお、洗浄ノズル及び空気噴射ノズルの本数などは、本実施形態に限定されないので、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更することが可能である。洗浄後のガス容器3に付着する洗浄水の除去についても、空気噴射ノズル70により圧縮空気を噴射する方法に換え、ブロワーで空気を吹きかけるような方法を使用することも可能である。
上記第1実施形態に示すガス容器洗浄装置1は、必要最小限の場所にのみ、洗浄水を吹付け洗浄する方法であるから、ガス容器3のねじ部に直接洗浄水が掛かることはないけれども、上鏡板部11で反射した洗浄水が、ガス容器3のねじ部19に入り込むことがある。ガス容器3のねじ部19に水が入り込むと、さびが発生し、キャップ18の着脱がスムーズに行えなくなるので、洗浄後のキャップ付ガス容器6にあっては、ガス容器3のねじ部19に油を塗布しておくことが好ましい。ねじ部19に油を吹付ける場合には、キャップ18のめねじに油を噴油することで、間接的にガス容器3のおねじ部へ油をつける方法が好ましい。ガス容器3のおねじ部へ直接油を噴油すると、噴油した油がガス容器3の上鏡板部11など不要な部分に付着しやすいが、キャップ18のめねじに噴油する方法ではこのような心配がない。
キャップ18に油を塗布し、このキャップ18をガス容器6に取付けると、キャップ18の油の一部がおねじ部に移るので、ガス容器6のおねじ部に油を付けなくてもよい。さらにキャップ18へ油を付ける場合も、一箇所に油を付けるだけで、キャップを取付ける際の回転で油がねじ部19全体に広がるため、必ずしもねじ部19全体に噴油する必要はない。さらにキャップ18のねじ部19に油を付ける場合、油を吹付けてもねじがキャップ18の内側にあるので、油がキャップ18内で飛散するだけで、周囲を汚さない。キャップ18のねじ部への油の塗布は、スプレー方式などの噴油方式、ブラシなどによる塗布であってもよく、短時間で塗布できる装置、方法であることが洗浄工程とのバランスから好ましい。
第1実施形態に示すガス容器洗浄装置1において、搬送コンベヤ20でガス容器3を搬送しながら洗浄する場合、搬送コンベヤ20上の隣合うガス容器3は、若干の距離を有し離れている方が、ぴったりくっついているよりも好ましい。ガス容器3のスカート部9、下鏡板部10の全周をきれいに洗浄するには、下洗浄ノズル54から噴射する洗浄水がこれらの全周に吹付けられる必要がある。搬送コンベヤ20上の隣合うガス容器3が、ぴったりくっついているとスカート部9、下鏡板部10の接触部分には洗浄水が掛かりにくい。以下、搬送コンベヤ20にガス容器3を搬入する搬入コンベヤ100から、一定の間隔でガス容器を搬出する要領を示す。
図8は、図1のガス容器洗浄装置1の搬送コンベヤ20に一定の間隔でガス容器を搬出する搬出装置110の概略的構成を示す図である。入荷コンベヤ102と搬送コンベヤ20との連結部には、ガス容器3の搬送コンベヤ20への乗移りを容易にするための乗継コンベヤ104が設置されており、入荷コンベヤ102と乗継コンベヤ104とで搬入コンベヤ100が形成される。この乗継コンベヤ104近傍には、ガス容器3を所定の間隔で搬送コンベヤ20へ搬出するための、センサ106、ゲート108及び制御装置(図示を省略)からなる搬出装置110が取付けられている。制御装置は、センサ106の出力信号に基づき予め定める手順に基づきゲート108を開閉するように制御する。
第1センサ106aがガス容器3を検知すると、ゲート108が開き、第1番目のガス容器3aが乗継コンベヤ104側へ移動し、搬送コンベヤ20へ乗移る。2番目のガス容器3bも1番目のガス容器3aに引続き、入荷コンベヤ102を移動する。第1センサ106aが2番目のガス容器3bを検知しても、第1番目のガス容器3aが第2センサ106b及び第3センサ106cで検知されている間は、制御装置は、ゲート108が開かないように制御する。第1番目のガス容器3aが移動し、第3センサ106cで検知されなくなると、ゲート108が開き、第2番目のガス容器3bが搬送コンベヤ側20へ移動する。これにより第1センサ106aと第3センサ106cとの距離の間隔を持ってガス容器3が搬入コンベヤ100から搬出される。
このほか、搬出装置としては、ゲート108とタイマとを設け、タイマにより所定の間隔でゲート108を開閉することでも、ガス容器3を所定の間隔で搬送コンベヤ20に搬出することができる。隣合うガス容器3に所定の間隔を開けるのは、下洗浄ノズル54による洗浄水が、ガス容器3にまんべんなく吹付けられることを確実とするために行うものであるから、必要以上に間隔を大きく取る必要はない。また、隣合うガス容器3の間隔が、全てのガス容器で同一でなくてもよい。
図9は、本発明の実施例であって、上記ガス容器洗浄装置1を組込んだガス充填設備120の概略的構成を示す図である。なお、第1実施形態に対応する部分には、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。本ガス充填設備120は、搬送コンベヤの速度が9.15m/min、容器洗浄数量が18本/minの能力を有し、一日当たり約5000本の液化石油ガス容器3を洗浄、充填するガス充填設備である。対象とするガス容器は、50kgキャップ付ガス容器6(外径370mm、高さ1408mm)、50kgプロテクタ付ガス容器7(外径370mm、高さ1385mm)、20kgプロテクタ付ガス容器4(外径320mm、高さ830mm)である。
ガス容器3は、入荷コンベヤ102及び乗継コンベヤ104を介して、所定の間隔を経て搬送コンベヤ20に搬出される。乗継コンベヤ104は、入荷コンベヤ102と搬送コンベヤ20との連結部に設置され、ガス容器3をスムーズに搬送コンベヤ20へ送り出す。入荷コンベヤ102と搬送コンベヤ20との連結部近傍には、ガス容器3を所定の間隔で搬送コンベヤ20へ搬出するための、第1実施形態に示したセンサ106、ゲート108及び制御装置からなる搬出装置110が取付けられている。
入荷コンベヤ102及び乗継コンベヤ104から搬出されたガス容器3は、所定の間隔を有した状態で搬送コンベヤ20に搬入され、搬送コンベヤ20で移動しながら、搬送コンベヤ20の途中に設置されたガス容器洗浄装置1で洗浄される。ガス容器洗浄装置1を構成する覆い体40は、高さ1.7m、長さ1.8m、幅0.8mの大きさで、覆い体40内の上流側に洗浄ノズル50、下流側に空気噴射ノズル70が設置されている。洗浄ノズル50は、底洗浄ノズル52が14本、下洗浄ノズル56が6本、上洗浄ノズル56が4本の計24本で、上洗浄ノズル56は、50kgガス容器用、20Kgガス容器用とが別々に設置されている。空気洗浄ノズル70は、底洗浄ノズル71が4本、50kgガス容器用上空気噴射ノズル75が8本、20kgガス容器用上空気噴射ノズル77が10本である。
洗浄水には、エジェクタを用いて空気―水混合物とし、ガス容器3に約3.4秒間(移動距離で約520mm)洗浄水を噴射した。洗浄で使用する水量は毎分約1.5L、空気量は毎分約140L(空気圧0.6Mpa)で行った。空気噴射ノズル70では、50kgガス容器5に約5.2秒間(移動距離で約800mm)、20kgガス容器4に約2.6秒間(移動距離で約400mm)圧縮空気を噴射した。その時の空気噴射量は、毎分約650L(空気圧0.6Mpa)とした。なお、洗浄ノズル50、空気噴射ノズル70、センサ80の取付位置、制御要領は、第1実施形態に示したガス容器洗浄装置1と基本的に同一である。
洗浄排水は、搬送コンベヤ20の下方に設置した受器92で回収し、スライダ液の希釈剤として使用した。スライダ液とは、チェーンコンベヤ20のチェーン21の潤滑剤であって、市販の潤滑剤(スライダ原液)を水で希釈して使用している。この水に洗浄排水を使用した。図10に示すように洗浄排水を廃液貯槽150に送り、土、砂、汚泥などの固形分等を自然沈降させ分離した後、上澄液に含まれる固形分をラインフィルタ152でさらに除去し、ポンプ154でスライダ液調整槽156へ送水する。これにスライダ原液を所定量投入し、濃度調整を行う。このスライダ液を、チェーンコンベヤ同士を連絡する連絡部に設けられたタンク122(122a、122b)に投入すると、駆動中のチェーン21がスライダ液に漬かりチェーン21にスライダ液が付着し、チェーン21が保護される。
洗浄が終了したガス容器3は、さらに搬送コンベヤ20で搬送され、50kgキャップ付ガス容器6は、キャップ着脱装置(図示を省略)でキャップ18が取外される。取外されたキャップ18は、内側のネジ部の一箇所に油噴油装置130(130a、130b)で油が噴油される。図11は、油噴油装置130の概略的構成を示す図である。油噴油装置130は、搬送チェーン140の間に油噴射ノズル132を備え、圧縮空気を利用してスポット的にねじ部の一箇所に油を噴油する。キャップ18を取外した50kgガス容器6、50kgプロテクタ付ガス容器7、20kgプロテクタ付ガス容器4は、バーコードリーダ144(144a、144b)でガス容器3の上鏡板部11に貼付されたバーコードラベルが読取れられた後、ガス充填機146(146a、146b)で液化石油ガスが充填される。キャップ18を取外した50kgガス容器は、キャップ着脱装置でキャップが取付けられた後、他のガス容器と同様、搬送コンベヤ20で充填容器置場へ送られる。
本ガス充填設備120は、基本的には、従来から使用されているガス充填設備に、ガス容器洗浄装置1、キャップ油噴油装置130が組み込まれたものであり、既設のガス充填設備にも容易に本発明を適用することができる。ガス容器洗浄装置1は、できるだけ入荷コンベヤ102に近い場所に設置するか、入荷コンベヤ102に設置することが、汚れをガス充填設備に持込まない点から好ましい。本ガス充填設備120は、従来のガス充填設備などと比較し次ぎのような利点がある。ガス容器3に土、砂などが付着していると、搬送コンベヤ20が磨耗しやすいけれども、ガス容器3を洗浄することで、搬送コンベヤ20の磨耗を抑制することができる。このほか、ガス容器3の霜取りが可能となり、また夏場には、ガス容器3の温度を下げる効果もあるので、ガスの充填をスムーズに行うことができる。また上鏡板部11を十分に洗浄するので、バーコードリーダ144の読み取り精度がアップし、ガス充填設備の稼働率が高まる。さらにキャップ18に油を噴油するので、ガス容器配送時にキャップ18を外す音が全くしなくなり、早朝、夕方であってもお客様に迷惑がかからなくなるなどの利点がある。
なお、本実施形態、実施例では、ガス容器に液化石油ガス用のガス容器を使用する場合を例に採り説明したけれども、他のガス容器であってもよい。本発明のガス容器洗浄装置は、スカートを有さないガス容器に使用することが可能ことは当然であり、汚れやすく、洗浄が容易ではないスカート付ガス容器に好適に使用することができる。