JP4002345B2 - 糖鎖結合性生理活性物質の測定法及び測定キット - Google Patents
糖鎖結合性生理活性物質の測定法及び測定キット Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は糖鎖結合性生理活性物質の測定法に関する。また、更に本発明は上記測定法に使用するための測定キットに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、生体内において生理活性を誘導する働きがある生理活性物質(例えば肝炎などの疾患において著しく増加し、肝実質細胞の成長を促進することが知られている肝細胞成長因子(HGF)などのサイトカイン等)が糖鎖と特異的親和性を示し、結合性を有することが明らかになってきている。
【0003】
このような生体内に存在する様々な生理活性物質と糖鎖の結合性を利用して生理活性物質の測定を行う方法としては、例えば、線維芽細胞増殖因子に対する抗体を固相担体に固着し、線維芽細胞増殖因子を含む検体をこの固相担体に接触させて抗原抗体反応に供し、抗体を介して固相担体に固着した線維芽細胞増殖因子を標識物質により標識したヘパリンと結合させることで検出する方法が知られている(特開平3−15758号)。また、特開平4−262257号では、ヘパリンを固相担体に固着させ、標識物質により標識した抗線維芽細胞増殖因子抗体を用いて、ヘパリンを介して固相担体に結合した線維芽細胞増殖因子を測定する方法が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
固相担体に抗体を固着させる生理活性物質の従来の測定法は、抗体を固相担体に結合させる際、及び長期保存の際に抗体の力価が低下することから、使用する固相担体の調製は測定の直前に行うか、抗体を固着した固相担体の保存に工夫を要したため、予め生理活性物質を特異的に結合できる物質を固着させ、長期保存が可能な固相担体を用いる測定法の開発が必要とされていた。
【0005】
また、糖鎖を固相担体に結合させる従来の測定方法においては、抗体を標識物質により標識することから、抗体が糖鎖結合性生理活性物質に対する親和性を失うこともあり、正確な測定を行うことができない場合も多かった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、固相担体に糖鎖を結合することにより、従来知られていた生理活性物質の測定法と比較して、より簡便で正確な測定が可能であることを見いだした。
【0007】
すなわち、本発明は、「生理活性物質に特異的に結合する糖鎖が結合した固相担体に検体を接触させ、検体中の糖鎖結合性生理活性物質を固相担体上の該糖鎖に結合させ、固相担体に結合した当該糖鎖結合性生理活性物質を検出することを特徴とする測定法」であり、糖鎖を結合した固相担体の使用による糖鎖結合性生理活性物質の測定法に特徴付けられる。
【0008】
また、更に本発明は、「検体中に含まれる二種以上の糖鎖結合性生理活性物質を測定する方法であって、糖鎖が結合した固相担体に検体を接触させて該糖鎖を介して固相担体に前記生理活性物質を結合させ、固相担体に結合した糖鎖結合性生理活性物質を、各糖鎖結合性生理活性物質に対する二種以上の抗体によって検出する糖鎖結合性生理活性物質の測定法」を提供し、単一の固相担体を使用して複数の糖鎖結合性生理活性物質を同時に測定することを可能とした。さらに、本発明は上述の測定法それぞれに適した糖鎖結合性生理活性物質の測定キットを提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を実施の形態により詳説する。
▲1▼本発明方法1
本発明方法1は、生理活性物質に特異的に結合する糖鎖が結合した固相担体に検体を接触させ、検体中の糖鎖結合性生理活性物質を固相担体上の糖鎖に特異的に結合させ、固相担体に結合した当該糖鎖結合性生理活性物質を検出することを特徴とする測定法である。
【0010】
本明細書において、糖鎖とは生理活性物質が結合しうる糖鎖であれば特に限定はされないが、糖鎖としてはグリコサミノグリカン、多くのサイトカインはヘパリン又はヘパラン硫酸に特異的に結合することから、その中でも特にヘパリン又はヘパラン硫酸が好ましい。また本発明において上記糖鎖を結合するための固相担体としては、マイクロプレート、ビーズ、チューブ、メンブレン、ゲル、微粒子状固相担体〔例えばアガロース粒子、ゼラチン粒子、カオリン粒子、合成ポリマー粒子(ラテックス粒子等)〕等が挙げられ、これらの固相担体の中でも、特に正確な定量性とその実施に際しての簡便性を考慮すると、マイクロプレート、ビーズ、チューブ又は微粒子状固相担体を固相担体として用いることが好ましい。糖鎖を上記の固相担体に結合する方法は、アフィニティークロマトグラフィー担体の調製などで常用されている公知の結合法を用いることができる。糖鎖の結合が困難な素材(例えばポリスチレン製)の固相担体の場合、その素材とよく吸着し、併せて糖鎖にも吸着性を示すタンパク質など(例えば糖鎖としてヘパリン又はヘパラン硫酸を使用する場合には、フィブロネクチン、或いはその還元誘導体又はアルキル化誘導体などが例示される)を最初に固相担体に結合させ、前記タンパク質に糖鎖を結合させる方法が例示される。
【0011】
本発明方法により測定される糖鎖結合性生理活性物質としては、上述の糖鎖に結合性を有する生理活性物質であれば特に限定はされないが、例えばサイトカインが挙げられる。例えば上述の好ましい糖鎖として挙げたヘパリン及びヘパラン硫酸を用いる場合には、線維芽細胞増殖因子(FGF)、肝細胞成長因子(HGF)、及び血管内皮細胞成長因子(VEGF)、血管内皮細胞増殖因子(ECGF)、トランスフォーミング成長因子(TGF)、上皮細胞成長因子(EGF)、ミッドカイン(MK)、インターロイキン8(IL8)、ビトロネクチン(VN)、ヘパリン結合性脳細胞分裂誘発因子(HBBM)、ヘパリン結合性神経突起伸長促進因子(HBNF)等のサイトカインが挙げられるが、その中でも特に広い反応条件下で安定した結合性を示す線維芽細胞増殖因子、肝細胞成長因子及び血管内皮細胞成長因子が好ましく、より正確な測定が可能であるため肝細胞成長因子及び血管内皮細胞成長因子が最も好ましい。
【0012】
固相担体に糖鎖を介して結合した上記の糖鎖結合性生理活性物質の検出は、該糖鎖結合性生理活性物質に特異的に結合する物質を用いて行うことが好ましい。そのような物質としては、例えば前記糖鎖結合性生理活性物質に対する抗体等が親和性の強さから好ましい。前記抗体としてはポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体を用いることが可能であり特に限定はされない。上記検出において、上記糖鎖結合性生理活性物質に対する抗体を用いる場合は、当該抗体又は当該抗体に対する二次抗体を標識物質により標識することが、より正確な糖鎖結合性生理活性物質の測定が可能となるため好ましい。当該標識物質としては、例えば特異的結合対(例えばビオチンとストレプトアビジン等のアビジン類、又はレクチンとそのレクチンが認識する糖鎖等)の一方の物質;FITC、フィコエリトリン、ユーロピウム、フィコシアニン、ローダミン、テキサスレッド、ウンベリフェロン、トリカラー、シアニン又は7−アミノ−4−メチルクマリン−3−酢酸(AMCA)等の蛍光物質類;ルミノール、アクリジニウム又はルシゲニン等の発光物質類、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、ペルオキシダーゼ又はグルコースオキシダーゼ等の酵素類;ジニトロフルオロベンゼン、AMP(アデノシン一リン酸)又は2,4−ジニトロアニリン等のハプテン類;及び125I、131I、3H等のラジオアイソトープ類等を用いることが可能であり、特に限定されるものではない。標識物質の検出は、使用する標識物質に適した通常実施される方法により行うことが可能である。例えば、標識物質として上記酵素に分類されるペルオキシダーゼを用いた場合は、テトラメチルベンジジン(TMB)などの酸素受容体と過酸化水素(H2O2)などの酸素供与体を反応させることにより、溶液の着色により検出することが可能である。
【0013】
本明細書において検体とは、糖鎖結合性生理活性物質を含みうる液体であれば特に限定はされないが、特に生体内から取り出した体液検体(尿、血液、血漿、血清、組織液、リンパ液、腹水等)、臓器抽出液、細胞抽出液又は培養上清等が挙げられる。
【0014】
▲2▼本発明方法2
本発明方法2は、検体中に含まれる二種以上の糖鎖結合性生理活性物質を測定する方法であって、糖鎖が結合した固相担体に検体を接触させ、糖鎖を介して固相担体に結合した二種以上の糖鎖結合性生理活性物質を、糖鎖結合性生理活性物質に対する二種以上の抗体により測定する方法であり、且つ二種以上の糖鎖結合性生理活性物質に対する抗体、あるいはこれらの抗体に対する二次抗体がそれぞれ異なる標識物質により標識されていることが好ましい。
【0015】
本発明における、検体、糖鎖及び固相担体は上述の本発明方法1に記載したものと同様である。
本発明方法2は検体中に含まれる複数の糖鎖結合性生理活性物質を測定するための方法であるが、その測定の対象となる糖鎖結合性生理活性物質は、本発明方法によって測定できる限り限定されないが、前記の通りサイトカインが好ましい。例えば、糖鎖として上述の最も好ましい形態であるヘパリン又はヘパラン硫酸を用いた場合には、それに対して親和性が高く、且つ抗体の作成が可能である物質であるFGF、HGF又はVEGFなどが挙げられるが、その中でも本発明方法1と同様、安定した測定が可能となるためHGF及びVEGFが最も好ましいが、特に限定はされない。例えば前記HGF及びVEGFを同時に測定する場合は、それらに対する抗体(抗HGF抗体及び抗VEGF抗体)を使用できる。これらの抗体としてはポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体を利用することが可能である。本発明方法2で使用する生理活性物質に対する二種以上の抗体は、それぞれ判別して検出することが可能であるように、例えば一方はマウス由来のIgG抗体、他方はヤギ由来のIgG抗体と、それぞれ異なる生物種由来の抗体を使用する。例えば一方の抗体をマウス由来のIgG抗体、他方をヤギ由来のIgG抗体を用いた場合には、それらを判別、検出する手段としては、それぞれ異なる標識物質により標識した二次抗体である抗マウスIgG抗体及び抗ヤギIgG抗体を使用する。また、生理活性物質に対する二種以上の抗体は、それぞれ異なるサブクラスに属する抗体であってもよい。複数の二次抗体それぞれを標識する標識物質としては、上述の本発明方法1で列挙した物質が挙げられるが、その中でも特に一方の二次抗体を標識する標識物質としてラジオアイソトープ類又は蛍光物質類を使用することが好ましい。それぞれの標識物質を検出する方法は、選択する標識物質にあわせ、公知の方法から適宜選択することが可能である。
【0016】
▲3▼本発明キット1
本発明キット1は、少なくとも下記の▲1▼〜▲3▼の構成要素を含む糖鎖結合性生理活性物質の測定キットである。
▲1▼糖鎖を結合した固相担体;
▲2▼糖鎖結合性生理活性物質に対する抗体;
▲3▼標識物質により標識した抗糖鎖結合性生理活性物質抗体に対する二次抗体。
【0017】
本発明キット1は本発明方法1に記載された測定法を行うためのキットである。従って、本発明キット1における糖鎖、糖鎖結合性生理活性物質、糖鎖結合性生理活性物質に対する抗体、二次抗体は本発明方法1に記載したものと同様である。
本発明キット1における標識物質としては、本発明方法1に列挙した標識物質を使用することが可能であるが、特にキットとしての操作の簡便性を考慮すると、酵素類を使用することが好ましい。標識物質の検出は、使用する標識物質により適宜選択するべきであるが、例えば標識物質としてペルオキシダーゼを選択した際は、それを検出する手段としては、通常は過酸化水素及びTMBの反応による発色が挙げられる。
【0018】
▲4▼本発明キット2
本発明キット2は、少なくとも下記の▲1▼〜▲5▼の構成要素を含む糖鎖結合性生理活性物質の測定キットである。
▲1▼糖鎖を結合した固相担体;
▲2▼第一の糖鎖結合性生理活性物質に対する抗体(抗体1);
▲3▼第二の糖鎖結合性生理活性物質に対する抗体(抗体2);
▲4▼第一の標識物質により標識した抗体1に対する二次抗体(二次抗体1);
▲5▼第二の標識物質により標識した抗体2に対する二次抗体(二次抗体2)。
【0019】
本発明キット2は本発明方法2に記載された測定法を行うためのキットである。従って、本発明キット2における糖鎖、固相担体、測定対象とする糖鎖結合性生理活性物質及びそれぞれの糖鎖結合性生理活性物質に対する二次抗体は本発明方法2の記載と同様である。
本発明キット2における標識物質としては、本発明方法2で列挙したものを使用することが可能であるが、その中でも特に二種の抗体(抗体1、抗体2)を明確に判別して検出することが可能であるように、異なる検出法により検出される標識物質の組み合わせを適宜選択することが好ましい。少なくとも、二種の二次抗体の一方がラジオアイソトープ又は蛍光物質により標識されたキットが、検出及び測定の正確性から好ましい。これらの標識物質により、検出の手段は適宜選択される。検出の手段としては、本発明方法1、本発明方法2及び本発明キット1で記載したものと同様である。
【0020】
【実施例】
以下に実施例により、本発明をより具体的に詳説する。
<1>ヘパリンを使用したHGFの測定
12本つながった0.25mlのマイクロチューブ(ヌンク社製)に、牛血清アルブミンを1%含む100μlの生理的リン酸緩衝液(BSA−PBSと記載する)にヒト組換えHGFを各種濃度(0μg、0.13μg、0.25μg、0.5μg、1μg、2μg、4μg、8μg)で含むように加えた溶液を分注した。このマイクロチューブに、洗浄したヘパリン結合粒子(ヘパリンアガロースビーズ(タイプI:シグマ社製)50μlを添加し、室温に30分間放置した。各チューブ中のヘパリン結合粒子をBSA−PBAで4回遠心により洗浄後、0.02%のTween-20を含むPBS(PBSTと記載する)で、遠心により4回洗浄した。各チューブに抗HGF抗体(ポリクローナルヤギIgG抗体:R&D システムス社製)を含むBSA−PBS(抗HGF抗体:BSA−PBS=1:500)を添加し、60分間室温に放置した。ヘパリン結合粒子をBSA−PBSTで4回遠心により洗浄し、1:1000で西洋ワサビペルオキシダーゼ結合抗IgG抗体(バイオラッド社製)を含むBSA−PBSを100μl添加し、室温で60分間放置した。その後、ヘパリン結合粒子をBSA−PBSTで4回、PBSTで4回、遠心により洗浄し、洗浄後のヘパリン結合粒子に100μlの西洋ワサビペルオキシダーゼ基質溶液(1.25mM TMB、2.21mM過酸化水素、1% DMSO、0.08M 酢酸緩衝液(pH4.9):バイオラッド社製)を添加して室温で30分間放置して発色させた。ヘパリン結合粒子を遠沈後、上清を96穴マイクロタイタープレート(ファルコン社製)に移し、イムノミニプレートリーダー(ヌンク社製)を使用して、414nmの吸光度を測定した(図1)。
【0021】
<2>ヘパリンを使用したVEGFの測定
<1>の方法と同様に、HGFをVEGF165に変えて、ヘパリン結合粒子を用によるVEGFの測定を行った(図2)。
【0022】
<3>HGF測定キット(本発明キット1)
本発明キット1の構成及び使用法の一例を以下に記載する。
本実施例における本発明キット1は、次の1〜8の要素からなる。
1.ヘパリンを固着させたイムノプレート(ブロッキング剤でブロッキング済):1枚
2.標準HGF溶液(1.3、2.5、5、10、20、40、80μg/mL、各0.1mL):1バイアルずつ
3.抗HGFヤギポリクローナルIgG抗体(R&Dシステムス社製)グリセロール溶液(10μL:PBSで100倍希釈して使用):1バイアル
4.ペルオキシダーゼ標識抗ヤギIgG抗体(バイオラッド社製)(100μg/mL、150μl:PBSで100倍希釈して使用):1バイアル
5.テトラメチルベンジジン溶液(1.25mM TMB、2.21mM H2O2、1% DMSO、0.08M 酢酸緩衝液、pH4.9、15mL):1バイアル
6.反応液(1% BSAを含むPBS(-)、40mL):1バイアル
7.洗浄液(0.05% Tween-20を含むPBS(-)、500mL):1バイアル
8.反応停止液(1N HCl、15mL):1バイアル
【0023】
この本発明キット1の使用に際しては、イムノプレートの各ウェルを予め洗浄液で洗浄し、各ウェルに反応液を100μLずつ分注した。その後、各種濃度の標準HGF溶液、劇症肝炎(血清中のHGF量が激増することが知られている)患者の血清又は健常人の血清を10μLずつ添加して室温で30分間静置した。その後、洗浄液で洗浄後、抗HGFヤギポリクローナル抗体溶液を100μLずつ添加して37℃に60分間静置した。洗浄液で2回洗浄した後、ペルオキシダーゼ標識抗ヤギIgG抗体を100μLずつ添加して37℃に30分間静置して反応させた。
【0024】
静置後、各ウェルを洗浄液で3回洗浄し、その後各ウェルにテトラメチルベンジジン溶液100μLを添加し、37℃で15分間反応させ、発色させた。
発色後、各ウェルに反応停止液を100μL添加して反応を停止し、ペルオキシダーゼによるTMBとH2O2との反応生成物の着色波長である450nmの吸光度(対照波長630nm)をウェルリーダー(SK601:生化学工業株式会社販売)で定量した。その結果、劇症肝炎患者の血清中のHGF量が健常人の血清中のHGF量を大きく上回ることが確認された。
【0025】
<4>HGF、VEGF同時測定用キット(本発明キット2)
本実施例における本発明キット2は、次の1〜11の要素からなる。
1.ヘパリンを固着させたイムノプレート(ブロッキング剤でブロッキング済):1枚
2.標準HGF溶液(1.3、2.5、5、10、20、40、80μg/mL、各0.1mL):1バイアルずつ
3.標準VEGF溶液(1.3、2.5、5、10、20、40、80μg/mL、各0.1mL):1バイアルずつ
4.抗HGFヤギポリクローナル抗体グリセロール溶液(10μL:PBSで50倍希釈して使用):1バイアル
5.抗VEGFマウスポリクローナル抗体グリセロール溶液(10μL:PBSで50倍希釈して使用):1バイアル
6.ペルオキシダーゼ標識抗ヤギIgG抗体(100μg/mL、150μl:PBSで50倍希釈して使用):1バイアル
7.131I標識抗マウスIgG抗体(100μg/mL、150μl:PBSで50倍希釈して使用):1バイアル
8.テトラメチルベンジジン溶液(1.25mM TMB、2.21mM H2O2、1% DMSO、0.08M 酢酸緩衝液、pH4.9、15mL):1バイアル
9.反応液(1% BSAを含むPBS(-)、40mL):1バイアル
10.洗浄液(0.05% Tween-20を含むPBS(-)、500mL):1バイアル
11.反応停止液(1N HCl、15mL):1バイアル
【0026】
この本発明キット2の使用に際しては、イムノプレートの各ウェルを予め洗浄液で洗浄し、各ウェルに反応液を100μLずつ分注した。その後、各種濃度の標準HGF溶液、各種濃度の標準VEGF溶液、劇症肝炎患者の血清又は健常人の血清を10μLずつ添加して室温で30分間静置した。その後、洗浄液で洗浄後、抗HGFヤギポリクローナル抗体溶液及び抗VEGFマウスポリクローナル抗体を50μLずつ添加して37℃に60分間静置した。洗浄液で2回洗浄した後、ペルオキシダーゼ標識抗ヤギIgG抗体及び131I標識抗マウスIgG抗体を50μLずつ添加して37℃に30分間静置して反応させた。
【0027】
静置後、各ウェルを洗浄液で3回洗浄し、その後各ウェルにテトラメチルベンジジン溶液100μLを添加し、37℃で15分間反応させ、発色させた。
発色後、各ウェルに反応停止液を100μLずつ添加して反応を停止し、ペルオキシダーゼによるTMBとH2O2との反応生成物の着色波長である450nmの吸光度(対照波長630nm)をウェルリーダー(SK601:生化学工業株式会社販売)で定量した。さらに、各ウェルの放射能をシンチレーションカウンターを使用して測定した。その結果、劇症肝炎患者の血清中のHGF量が著しく上昇し、VEGF量はほとんど変化していないことが明らかとなった。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、臨床現場などで必要とされている検体中に含まれる糖鎖結合性生理活性物質を正確且つ簡便に測定する方法が提供され、また、前記測定法を実施するためのキットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヘパリンを固着したアガロース粒子を用いて作成した、HGFの標準曲線を示した図面である。
【図2】ヘパリンを固着したアガロース粒子を用いて作成した、VEGFの標準曲線を示した図面である。
Claims (15)
- 検体中に含まれる二種以上の糖鎖結合性生理活性物質をそれぞれ測定する方法であって、糖鎖が結合した固相担体に検体を接触させて該糖鎖を介して固相担体に前記生理活性物質を結合させ、固相担体に結合した糖鎖結合性生理活性物質を、各糖鎖結合性生理活性物質に対する二種以上の抗体によって検出する糖鎖結合性生理活性物質の測定法。
- 二種以上の抗体の検出が、該抗体に結合した異なる種類の標識物質をそれぞれ測定することによって行うことを特徴とする請求項1記載の測定法。
- 二種以上の抗体の検出が、二種以上の各抗体に対する二次抗体であって別異の標識物質により標識された二次抗体によって行うことを特徴とする請求項1記載の測定法。
- 標識物質が、特異的結合対の一方の物質、蛍光物質、発光物質、酵素、ハプテン及びラジオアイソトープからなる群から選択される物質である、請求項2又は3記載の測定法。
- 標識物質として、蛍光物質又はラジオアイソトープが使用されることを特徴とする請求項2又は3記載の測定法。
- 固相担体に結合した糖鎖がグリコサミノグリカンであることを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項記載の測定法。
- グリコサミノグリカンがヘパリン又はヘパラン硫酸である請求項6記載の測定法。
- 糖鎖結合性生理活性物質がサイトカインである請求項1乃至7いずれか1項記載の測定法。
- 糖鎖結合性生理活性物質が肝細胞成長因子又は血管内皮細胞成長因子である請求項1乃至7いずれか1項記載の測定法。
- 少なくとも下記の(1)〜(5)の構成要素を含む糖鎖結合性生理活性物質の測定キット。
(1)糖鎖を結合した固相担体;
(2)第一の糖鎖結合性生理活性物質に対する抗体(抗体1);
(3)第二の糖鎖結合性生理活性物質に対する抗体(抗体2);
(4)第一の標識物質により標識した抗体1に対する二次抗体(二次抗体1);
(5)第二の標識物質により標識した抗体2に対する二次抗体(二次抗体2)。 - 固相担体がマイクロプレート、ビーズ、チューブ又は微粒子状固相担体である請求項10記載の測定キット。
- 第一及び第二の糖鎖結合性生理活性物質が、線維芽細胞増殖因子、肝細胞成長因子及び血管内皮細胞成長因子からなる群からそれぞれ選択される異なる物質であることを特徴とする請求項10又は11記載の測定キット。
- 抗体1及び抗体2が異なる生物種由来であることを特徴とする請求項10乃至12いずれか1項記載の測定キット。
- 第一及び第二の標識物質が、特異的結合対の一方の物質、蛍光物質、発光物質、酵素、ハプテン及びラジオアイソトープからなる群からそれぞれ選択される異なる物質である、請求項10乃至13いずれか1項記載の測定キット。
- 第一及び第二の標識物質のいずれか一方が、ラジオアイソトープ又は蛍光物質であることを特徴とする請求項10乃至13いずれか1項記載の測定キット。
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