JP4001395B2 - コレステロールアシルトランスフェラーゼ活性阻害剤及び組成物 - Google Patents

コレステロールアシルトランスフェラーゼ活性阻害剤及び組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コレステロールアシルトランスフェラーゼ活性(ACAT)阻害剤及びACAT阻害用の組成物に関し、詳しくは、テルペノイド化合物からなるACAT阻害作用に優れ且つ安全なコレステロールアシルトランスフェラーゼ活性阻害剤及び前記テルペノイド化合物を配合した生体内のコレステロール恒常性不調に起因する疾病の治療、予防又は改善用の食品や医薬品、化粧料等の組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
コレステロールは生体にとって重要な物質であり、コレステロールが様々な酵素反応を介して変換されて、生体に必要な色々な物質となることがよく知られている。従って、これらコレステロール関連物質の恒常性が崩れると様々な疾病の原因となる。この様なコレステロール関連物質の恒常性失調が誘発する疾患で近年最も問題になっているのは、コレステロールアシルトランスフェラーゼ活性(ACAT)の亢進に起因する動脈アテロームであり、この動脈アテロームにより動脈硬化症や動脈閉塞症が誘発され又は進行する。また、ACATの亢進により肌の脂質のバランスが崩れるとも言われている。
【0003】
上記コレステロール関連物質の恒常性失調が誘発する疾病に対して、ACAT阻害作用を有する物質の投与が有効であることが見出され、トリメトキシフェニルドデカンアミドやアンドロステノン誘導体等の各種化合物がACAT阻害剤として研究開発されているが、これら化合物はいずれも、細胞毒性を有していたり、リポ蛋白、アポリポ蛋白の抑制等の好ましくない作用を有していたりするために、実用にはまだ至っていない。そこで、ACAT阻害作用を有するとともに副作用の少ない安全な物質が求められているのが現状である。
【0004】
一方、後記一般式(I)に示されるようなテルペノイド化合物に、ACAT阻害作用があることは全く知られていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記観点からなされたものであり、ACAT阻害作用を有するとともに副作用の少ない安全な化合物からなるACAT阻害剤、及び前記化合物を配合した生体内のコレステロール恒常性不調に起因する疾病を有効に治療、予防あるいは改善する組成物を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために、安全性を考慮して各種漢方生薬由来の成分についてACAT阻害作用を指標にスクリーニングを重ねた結果、苦丁茶の極性溶媒抽出物にACAT阻害作用があることを見出した。更に、検討を重ねるうちに、下記一般式(II)で表される新規テルペノイド化合物を含む下記一般式(I)で表されるテルペノイド化合物が、上記苦丁茶の極性溶媒抽出物中のACAT阻害作用の有効成分の一つであることを見出し本発明を完成させた。
【0007】
すなわち本発明は、下記一般式(I)で表されるテルペノイド化合物からなるコレステロールアシルトランスフェラーゼ活性阻害剤である。
【0008】
【化7】
Figure 0004001395
【0009】
但し、(I)式中R1は水酸基を有してもよい炭素数6〜12の分岐、直鎖又は環状のアルケニル基を表し、R2水酸基及び/又は短鎖長アルコキシル基を有してもよい芳香環を表す
【0010】
ここで、上記一般式(I)式中のR1は水酸基を有してもよい炭素数6〜12の分岐、直鎖又は環状のアルケニル基を表すが、アルケニル基の2重結合の数あるいは位置は特に制限されない。上記一般式(I)式中のR2、水酸基及び/又は短鎖長アルコキシル基を有してもよい芳香環を表すが、短鎖長アルコキシル基とは炭素数1〜6程度のアルコキシル基をいい、R 2 として具体的には、フェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基やt−ブトキシフェニル基などのアルコキシフェニル基、ヒドロキシメトキシフェニル基やt−ブトキシヒドロキシフェニル基などのアルコキシヒドロキシフェニル基、ジメトキシフェニル基やビス(t−ブトキシ)フェニル基などのジアルコキシフェニル基等を挙げることができる。
【0011】
また、一般式(I)で表されるテルペノイド化合物として、例えば、下記一般式(II)で表される新規テルペノイド化合物が挙げられる。
【0012】
【化8】
Figure 0004001395
【0013】
但し、(II)式中R3は水素原子又は水酸基を表し、R4は水酸基及び/又は短鎖長アルコキシル基を有してもよい芳香環を表す。また、点線の結合はあってもなくてもよいが、これらのうちR3に結合する結合線を除く点線の結合の少なくとも1箇所は結合が存在するものとする。
【0014】
ここで、上記一般式(II)中のR4は、水酸基及び/又は短鎖長アルコキシル基を有してもよい芳香環を表すが、短鎖長アルコキシル基とは炭素数1〜6程度のアルコキシル基をいい、R4として具体的には、フェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基やt−ブトキシフェニル基などのアルコキシフェニル基、ヒドロキシメトキシフェニル基やt−ブトキシヒドロキシフェニル基などのアルコキシヒドロキシフェニル基、ジメトキシフェニル基やビス(t−ブトキシ)フェニル基などのジアルコキシフェニル基等を挙げることができる。
【0015】
また、本発明の阻害剤テルペノイド化合物として好ましくは、化9で表される7−ヒドロキシ−3,7−ジメチル−オクタン−2,5−trans−ジエン−1−イル)−3−O−(6−デオキシ−α−L−マンノピラノシル)]−[4−O−(3−(4−ヒドロキシフェニル)−2−trans−プロペニル)]−β−D−グルコピラノシド、化10で表される3,7−ジメチル−オクタン−2,6−trans−ジエン−1−イル)−3−O−(6−デオキシ−α−L−マンノピラノシル)]−[4−O−(3−(4−ヒドロキシフェニル)−2−trans−プロペニル)]−β−D−グルコピラノシド、化11で表される1−エテニル−1,5−ジメチル−4−ヘキセニル)−3−O−(6−デオキシ−α−L−マンノピラノシル)]−[4−O−(3−(4−ヒドロキシフェニル)−2−trans−プロペニル)]−β−D−グルコピラノシド等を挙げることができる。
【0016】
【化9】
Figure 0004001395
【0017】
【化10】
Figure 0004001395
【0018】
【化11】
Figure 0004001395
【0019】
尚、これらのテルペノイド化合物のうち、化9で表される化合物及び化10で表される化合物は、上記一般式(II)で表される文献未記載の新規テルペノイド化合物に含まれる。
【0020】
また、本発明は上記一般式(I)に表される化合物から選ばれる1種以上を配合したコレステロールアシルトランスフェラーゼ活性阻害用の組成物を提供する。前記本発明の組成物に配合される一般式(I)に表される化合物であるが、具体的には、上記化9で表される7−ヒドロキシ−3,7−ジメチル−オクタン−2,5−trans−ジエン−1−イル)−3−O−(6−デオキシ−α−L−マンノピラノシル)]−[4−O−(3−(4−ヒドロキシフェニル)−2−trans−プロペニル)]−β−D−グルコピラノシド、上記化10で表される3,7−ジメチル−オクタン−2,6−trans−ジエン−1−イル)−3−O−(6−デオキシ−α−L−マンノピラノシル)]−[4−O−(3−(4−ヒドロキシフェニル)−2−trans−プロペニル)]−β−D−グルコピラノシド、上記化11で表される1−エテニル−1,5−ジメチル−4−ヘキセニル)−3−O−(6−デオキシ−α−L−マンノピラノシル)]−[4−O−(3−(4−ヒドロキシフェニル)−2−trans−プロペニル)]−β−D−グルコピラノシド等を挙げることが可能である。
【0021】
なお、上記本発明のACAT阻害剤となる、あるいはACAT阻害用の組成物に配合される上記一般式(I)で表されるテルペノイド化合物であるが、このテルペノイド化合物の範疇には、上記一般式(I)で表されるテルペノイド化合物のナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、カルシウムやマグネシウムなどのアルカリ土類金属塩、トリエチルアミンやトリエタノールアミンなどの有機アミン塩、リジンやアルギニンなどの塩基性アミノ酸塩等の塩類も含まれるものである。
【0022】
上記本発明のACAT阻害剤として用いられる、あるいは、ACAT阻害用の組成物に配合されるテルペノイド化合物は何れも、雲南苦丁茶、四川苦丁茶等の苦丁茶を極性溶媒で抽出して得られる抽出物を、シリカゲル、ODS、イオン交換樹脂等を充填したカラムを用いて分離精製することにより得られる。
【0023】
本発明の組成物の形態としては、食品、医薬品、化粧料等を挙げることができる。これらACAT阻害用の食品、医薬品、化粧料等は、それぞれの組成物において通常用いられている配合成分に適量の上記テルペノイド化合物を配合する以外は、それぞれの組成物における通常の方法で通常の剤形に製造される。この様にして得られる本発明の各種組成物は、生体内のコレステロールの恒常性の不調に起因する疾病、例えば、動脈硬化症、動脈閉塞症、動脈アテローム等の治療、予防又は改善用に好適に用いられる。
【0024】
本発明のACAT阻害用の組成物は、上記一般式(I)で表されるテルペノイド化合物を含有することにより、ACATを阻害する作用を有し、コレステロールの恒常性の不調を正常に戻すことができる。すなわち、血中のコレステロール量が多い高脂血症の人に食品又は医薬組成物として投与すれば血中のコレステロール量を低下せしめ、動脈硬化の人に食品又は医薬組成物として投与すればこれを改善し、動脈アテロームの人に食品或いは医薬組成物として投与すればやはりこれを改善する。更に、未発症の人に同様に投与すれば、発症を未然に防ぐことができる。また、ACATの亢進により、脂性に偏った肌に化粧料組成物として塗布すれば、これを正常の状態に戻すことができる。
【0025】
また、本発明に用いる一般式(I)で表されるテルペノイド化合物は、中国の四川地方或いは雲南地方で日常飲料として用いている茶を原料にしているため、このテルペノイド化合物よりなるATCT阻害剤及び、このテルペノイド化合物を含有するATCT阻害用の組成物は、安全性が高く長期の連続投与が可能である。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。まず、本発明のACAT阻害剤として用いられる、あるいは、ACAT阻害用の組成物に配合されるテルペノイド化合物及びACAT阻害剤について説明する。
【0027】
(1)本発明に用いるテルペノイド化合物及びACAT阻害剤
本発明のACAT阻害剤として用いられる、あるいは、ACAT阻害用の組成物に配合されるテルペノイド化合物は、上記一般式(I)に表される化合物である。この一般式(I)に示されるテルペノイド化合物は、苦丁茶の極性溶媒抽出物を分離精製する段階で新たに確認された上記一般式(II)で表される新規テルペノイド化合物を含むものである。
【0028】
また、この様な上記一般式(I)に表される化合物の内でも本発明に好ましく用いられるテルペノイド化合物としては、7−ヒドロキシ−3,7−ジメチル−オクタン−2,5−trans−ジエン−1−イル)−3−O−(6−デオキシ−α−L−マンノピラノシル)]−[4−O−(3−(4−ヒドロキシフェニル)−2−trans−プロペニル)]−β−D−グルコピラノシド(以下、「化合物1」と呼ぶ)、3,7−ジメチル−オクタン−2,6−trans−ジエン−1−イル)−3−O−(6−デオキシ−α−L−マンノピラノシル)]−[4−O−(3−(4−ヒドロキシフェニル)−2−trans−プロペニル)]−β−D−グルコピラノシド(以下、「化合物2」と呼ぶ)、1−エテニル−1,5−ジメチル−4−ヘキセニル)−3−O−(6−デオキシ−α−L−マンノピラノシル)]−[4−O−(3−(4−ヒドロキシフェニル)−2−trans−プロペニル)]−β−D−グルコピラノシド(以下「化合物3」と呼ぶ)が挙げられる。
【0029】
上記本発明に用いるテルペノイド化合物は何れも、上述のように苦丁茶の極性溶媒抽出物から得られるが、以下にその方法を説明する。
原料として用いられる苦丁茶としては、雲南苦丁茶(リグストラム プルプラセンス)、四川苦丁茶(リグストラム ペドンクラレ)等が挙げられる。これらは、モクセイ科イボタノキ属の植物であり、中国雲南地方や四川地方で消炎、抗疲労などの効能があるとされ古くから用いられている漢方生薬である。これらの入手は、中華材料店等を通して容易に可能である。植物体の使用部位としては、特段の限定はないが、入手がしやすく、本発明のテルペノイド化合物の含有量が多いことが確認されている葉部を用いるのが好ましい。また、抽出に際して必要に応じて、これらの植物体に、切断、乾燥、粉砕等の前処理を施しても構わない。
【0030】
抽出に用いる極性溶剤としては、水、メタノールやエタノール等のアルコール類、ジエチルエーテルやテトラヒドロフラン等のエーテル類、クロロホルムや塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン類、アセトニトリル等のニトリル類等が好適に例示できる。これらは一種を単独で用いても、二種以上を混合して用いてもよい。より好ましい抽出溶媒は、安全性上問題の少ない、水あるいはアルコール類である。
【0031】
また、抽出は、植物体或いはその加工物に対して1〜10倍量の抽出溶媒を加え、室温であれば数日、抽出溶媒の沸点付近の温度であれば数時間、浸漬する等の方法で行われる。必要に応じて撹拌を加えることもできる。
【0032】
この様にして得られた抽出物は、必要に応じて濾過等による不溶物除去、溶媒の溜去等の処理が施された後、通常の方法に従って、シリカゲル、ODS、イオン交換樹脂等のカラムクロマトグラフィーで順次分画精製され、これらの画分から本発明のテルペノイド化合物を単離する。
【0033】
具体例を挙げると、雲南苦丁茶の水抽出物をダイアイオンHP−20(三菱化成製)を充填したカラムに流した後、このカラムに水、20%エタノール水溶液、エタノールを順次流し吸着物を溶出させ、得られたエタノールフラクションについて溶媒を溜去後、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;クロロホルム:メタノール=100:0→50:50)、ODSカラムを装着した分取高速液体クロマトグラフィー(溶出溶媒:35%アセトニトリル水溶液及び50%メタノール水溶液)で精製することにより、化合物1〜3が得られる。
【0034】
これらのテルペノイド化合物は何れも、後述の実施例で示す通りACAT阻害作用を有するものであり、これらが本発明のACAT阻害剤となる。
次に、上記一般式(I)で表されるテルペノイド化合物を配合した本発明のACAT阻害用の組成物について説明する。
【0035】
(2)本発明のACAT阻害用の組成物
本発明のACAT阻害用の組成物は、上記一般式(I)で表されるテルペノイド化合物の1種以上を配合した医薬品、食品、化粧料等の組成物(苦丁茶を除く)である。
【0036】
本発明の医薬品は、上記一般式(I)で表されるテルペノイド化合物と通常医薬品で用いられている製剤化のための任意成分を含有する。任意成分としては、賦形剤、増量剤、結合剤、被覆剤、糖衣剤、安定剤、崩壊剤、着色剤、滑沢剤、pH調製剤、可溶化剤、分散剤、増粘剤、等張剤等が例示できる。これら任意成分と一般式(I)で表されるテルペノイド化合物を通常の方法により製剤化すれば本発明の医薬品が得られる。また、本発明の医薬品は必要に応じて、メバロチン等の高脂血症剤やクロロプロマジン等の循環器用薬を配合することも可能である。
【0037】
上記医薬品の投与量に関しては、疾患の種類、症状、患者の年令、体重等により異なるが、成人1人1日あたり、一般式(I)で表されるテルペノイド化合物の量として5mg〜500mgを1回ないしは数回に分けて経口投与するか、1mg〜100mgを注射で投与するのが適当である。注射剤の投与方法としては、静脈内投与、動脈内投与、門脈内投与、腹腔内投与,、筋肉内投与、皮下投与等が例示できる。
【0038】
本発明の食品(苦丁茶を除く)は、上記一般式(I)に表されるテルペノイド化合物と通常食品で用いられている任意成分を配合したものである。食品の種類としては、特段の限定はされず、例えば、パンやスパゲッティー等の主食類、クッキー、キャンディー、グミ等の菓子類、ジュースや清涼飲料等の飲料等が例示できる。これらの製造方法は、上記一般式(I)に表されるテルペノイド化合物を配合する以外は通常の食品類の製造法に則ればよい。食品への上記一般式(I)に表されるテルペノイド化合物の配合量は、食品の種類により異なるが、食品の味を損なわずに、且つ十分なACAT阻害効果が期待できる0.01〜10重量%であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜5重量%である。
【0039】
本発明の化粧料は、上記一般式(I)で表されるテルペノイド化合物と化粧料で通常用いられる任意成分を配合したものである。本発明の化粧料における一般式(I)で表されるテルペノイド化合物の配合量は特に限定されないが、化粧料全量に対して0.01〜10重量%の範囲で配合されることが好ましく、これを通常の使用方法により1日に1回ないしは数回使用すればよい。
【0040】
上記化粧料に配合する任意成分としては、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、ホホバ油やゲイロウ等のエステル類、牛脂、オリーブ油等のトリグリセライド類、ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸、セタノール、オレイルアルコール等の高級アルコール類、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、多価アルコール類、防腐剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、ビタミン類、西洋、東洋、漢方の各種ハーブエキス等が例示できる。また、化粧料の種類としては、特段の限定はされず、例えば、化粧水、乳液、クリーム等の基礎化粧料、ファンデーションやリップカラー、ネイルカラー等のメークアップ化粧料、ボディーローションや汗抑え等のボディー用化粧料、石鹸やボディーシャンプー等の洗浄料、シャンプー、リンス、ヘアローション等の頭髪用化粧料等が挙げられる。これらの製造は、上記一般式(I)で表されるテルペノイド化合物を配合する以外は、通常の製造方法と同様に行われる。
【0041】
【実施例】
以下に本発明の実施例を説明する。まず、はじめに本発明のACAT阻害剤として用いられる、あるいは、ACAT阻害用の組成物に配合される上記一般式(I)で表されるテルペノイド化合物の製造例を説明する。
【0042】
【製造例】
雲南苦丁茶100gに水1Lを加え、90℃で3時間加熱した後、濾過により不溶物を除去した。得られた抽出液をダイアイオンHP−20(三菱化成製)を充填したカラムに流した後、このカラムに水、20%エタノール、エタノールを順次3Lづつ流し吸着物を溶出させた。この内のエタノールのフラクションについてエタノールを溜去させた後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;クロロホルム:メタノール=100:0→50:50)、ODSカラムを装着した分取高速液体クロマトグラフィー(溶出溶媒:35%アセトニトリル水溶液及び50%メタノール水溶液)で精製し、化合物1を190mg、化合物2を280mg、化合物3を290mg得た。この様にして得られた化合物1〜3のうち新規なテルペノイド化合物である化合物1及び化合物2のFAB−MS、NMR測定結果を以下に示す。
【0043】
(化合物1)
FAB−MS:647[M+Na]+
1H−NMR(δppm;CD3OD)
1.09(3H d) 1.28(6H s) 1.69(3H s) 2.75(2H brd) 3.29(1H t) 3.40(1H dd)
3.52(1H m) 3.57(1H m) 3.58(1H dd) 3.56-3.62(2H m) 3.82(1H t)
3.92(1H dd) 4.27(1H br dd) 4.37(1H d) 4.38(1H br dd) 4.92(1H t)
5.20(1H d) 5.43(1H m) 5.61(1H dd) 5.64(1H dd) 6.33(1H d) 6.81(2H d)
7.46(2H d) 7.66(1H d)
13C−NMR(δppm;CD3OD)
16.6 18.4 30.0 43.2 62.4 66.6 70.4 70.7 71.1 72.1 72.3 73.8 76.1 81.6
102.8 102.9 114.8 116.9 122.1 125.3 127.0 131.3 141.0 141.2 161.6 168.3
【0044】
(化合物2)
FAB−MS:631[M+Na]+
1H−NMR(δppm;CD3OD)
1.08(3H d) 1.62(3H s) 1.69(6H s) 2.10(4H brd) 3.35(2H m) 3.58(5H m)
3.82(1H t) 3.92(1H dd) 4.31(2H m) 4.38(1H d) 4.38(1H d) 4.90(1H m)
5.12(1H br t) 5.19(1H d) 5.38(1H t) 6.34(1H d) 6.81(2H d) 7.47(2H d)
7.66(1H d)
13C−NMR(δppm;CD3OD)
16.5 17.8 18.4 25.9 27.4 40.6 62.4 66.5 70.4 70.6 72.0 72.3 73.7 76.1
81.6 102.5 103.0 114.8 116.8 121.4 125.1 127.1 131.3 132.5 142.0 147.6
161.4 168.2
【0045】
<本発明のACAT阻害剤の評価>
上記製造例1で得られた化合物1〜3についてACAT阻害作用を以下の方法で測定し、本発明のACAT阻害剤の評価とした。
【0046】
チューブに80μMのウシ血清アルブミン水溶液4μl、2mMジチオスレイトール水溶液0.8μl、150mMリン酸2水素1カリウムバッファー(pH7)8μl、120μg/8μlのラット肝ミクロソーム水分散液8μl、100μMの[1−14C]オレオイルCoA水溶液5μl、水15.2μl、検体(表1に示す各種最終濃度となるように化合物1、2又は3を添加した水溶液)4μlを秤込み、30℃で5分間インキュベートした後、これにメタノール200μl、コレステリルオレート100μg、[7−14C]コレステリルオレート2μl、ヘキサン900μlを順次加え混合した。この混合液からヘキサン相0.6mlを採取し窒素ガスで乾固した後、これをクロロホルムに溶かし薄層クロマトグラフ板にスポットして石油エーテル:ジエチルエーテル:酢酸=85:15:3で展開した。これにより分画されたコレステリルオレートを沃素で発色させ、切りとり液体シンチレーターで放射線量を測定して、生成したコレステリルオレート量を算出した。
【0047】
また、上記測定において検体の替わりに同量の水を加えた以外は全く同様の測定を行いコントロールのコレステリルオレート量を求め、次式からACAT阻害値(%)を算出した。結果を表1に示す。
【0048】
【数1】
ACAT阻害値(%)=(コントロールのコレステリルオレート量−検体存在時のコレステリルオレート量)×100/コントロールのコレステリルオレート量
【0049】
【表1】
Figure 0004001395
【0050】
更に、非線形直線回帰式より、表1の結果をもとに化合物1及び3のIC50を算出したところ、それぞれ2.88×10-3M、2.69×10-4Mであった。これらの結果より本発明のACAT阻害剤はACAT阻害作用に優れることがわかる。
【0051】
次に、上記製造例で得られたテルペノイド化合物を配合した食品、医薬品、化粧料等の組成物の実施例を説明する。なお、以下に示す配合量は全て重量部である。
【0052】
【実施例1、2】
キャンディー
表2に示すA成分を150℃で加熱溶解し120℃に冷却後、B成分を添加、撹拌後、均一としたものを成型、冷却してキャンディーを作成した。
【0053】
【表2】
Figure 0004001395
【0054】
【実施例3、4】
グミ
表3に示すA成分を110℃で加熱溶解させ、別途膨潤溶解させたB成分を添加し、更にC成分を流し込み撹拌し、これを型に流し込み一昼夜放置し、型から外してグミを得た。
【0055】
【表3】
Figure 0004001395
【0056】
【実施例5】
パン
表4に示す処方成分を全て秤込み良く混練りした後、40℃で1時間の一次発酵を行った。その後、15分間のベンチタイムをとり、成型して40℃で45分間の二次発酵を行った後、これを230℃のオーブンで蒸気入れをしながら25分間焼いてパンを得た。
【0057】
【表4】
Figure 0004001395
【0058】
【実施例6〜9】
顆粒剤
表5に示す処方成分を秤量し、A成分をグラッド造粒装置に投入し低速で混合した後、これにB成分を噴霧しながら高速回転で造粒した。これを40℃で48時間送風乾燥し篩過して顆粒剤を得た。
【0059】
【表5】
Figure 0004001395
【0060】
【実施例10】
化粧水
表6に示す処方成分を秤量し、80℃で加熱撹拌溶解し、冷却して化粧水を得た。また、同様に表6に示す処方成分を用いて、テルペノイド化合物を配合しない比較例の化粧水を製造した。
【0061】
【表6】
Figure 0004001395
【0062】
【実施例11】
ファンデーション
表7に示す処方成分をニーダーに秤込み、80℃で加熱混練りし、金皿に充填し加熱プレスして成型して、これをコンパクトにはめ込みファンデーションを得た。
【0063】
【表7】
Figure 0004001395
【0064】
【実施例12】
シャンプー
表8に示す処方成分を秤込み、80℃で加熱撹拌し可溶化し、冷却してシャンプーを得た。
【0065】
【表8】
Figure 0004001395
【0066】
【実施例13】
浴用剤
表9に示す処方成分をヘンシルミキサーに秤込み高速回転で混合し、浴用剤を得た。
【0067】
【表9】
Figure 0004001395
【0068】
<本発明の組成物の評価>
上記実施例10で得られた化粧水及び比較例1で得られた化粧水の実使用試験を行い本発明の化粧料の評価を行った。
【0069】
脂性に悩む20名のパネラーに、実施例10で得られた化粧水及び比較例1で得られた化粧水をそれぞれ1週間ずつ使用してテストして貰い、使用テスト終了後、どちらの方が脂性を改善したかを問うたところ、15名が実施例10の化粧水と答え、2名が同程度と答え、3名が比較例化粧水が良いと答えた。この結果より本発明の化粧料は脂性肌に対応していることがわかる。
【0070】
【発明の効果】
本発明のACAT阻害剤は、副作用の少ない安全な化合物からなり、優れたACAT阻害作用を有する。また、本発明のACAT阻害用の組成物は、ACAT阻害作用を有するとともに副作用の少ない安全な化合物を配合しているので、長期間の連続投与が可能であり、これにより生体内のコレステロール恒常性不調に起因する疾病を有効に治療、予防あるいは改善することが可能である。

Claims (2)

  1. 下記一般式(I)で表される化合物から選ばれる1種以上を配合したコレステロールアシルトランスフェラーゼ活性阻害用の食品(苦丁茶を除く)。
    Figure 0004001395
    但し、(I)式中R1は水酸基を有してもよい炭素数6〜12の分岐、直鎖又は環状のアルケニル基を表し、R2は水酸基及び/又は短鎖長アルコキシル基を有してもよい芳香環を表す。
  2. 一般式(I)に表わされる化合物が、(7−ヒドロキシ−3,7−ジメチル−オクタン−2,5−trans−ジエン−1−イル)−[3−O−(6−デオキシ−α−L−マンノピラノシル)]−[4−O−(3−(4−ヒドロキシフェニル)−2−trans−プロペニル)]−β−D−グルコピラノシド、(3,7−ジメチル−オクタン−2,6−trans−ジエン−1−イル)−[3−O−(6−デオキシ−α−L−マンノピラノシル)]−[4−O−(3−(4−ヒドロキシフェニル)−2−trans−プロペニル)]−β−D−グルコピラノシド、(1−エテニル−1,5−ジメチル−4−ヘキセニル)−[3−O−(6−デオキシ−α−L−マンノピラノシル)]−[4−O−(3−(4−ヒドロキシフェニル)−2−trans−プロペニル)]−β−D−グルコピラノシドの何れかである請求項1記載の食品。
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