JP4000980B2 - 光スイッチング素子およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスプレイ、プロジェクタ装置、印刷装置などに用いられるのが好適な光スイッチングデバイスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プロジェクタにおける空間光変調装置、すなわちライトバルブとして、マイクロミラーの角度を変えて光をオンオフする、例えばテキサツインスツルメンツ社のDMD(デジタル・マイクロ・ミラーデバイス)などのマイクロミラーデバイスが知られている。このマイクロミラーデバイスは、液晶デバイスより応答速度が速く、明るい画像が得られるので、小型で高品質なプロジェクタなどの画像表示装置を実現するのに適している。
【0003】
図1に、DMDにおけるスイッチング素子120の構造を拡大して示してある。各々のスイッチング素子120のマイクロミラー121は、中心軸に沿って水平な位置から角度θ(多くのケースでは±10度程度)だけ旋回できるようにポスト134を介して半導体基板131に支持されている。半導体基板131の表面にアクチュエータ130として機能する一対のアドレス電極132aおよび132bが形成されており、マイクロミラー121は、半導体基板131に作り込まれた駆動回路によりアクチュエータ130を介して駆動される。このスイッチング素子120では、アドレス電極132aに電圧が印加されると、マイクロミラー21は、破線で示すように支柱134を中心に旋回し、電極132a側に、本図では左側に傾く。このため、入射光束71が左側から入射していると、傾いたマイクロミラー121により入射光71が垂直方向に反射され、垂直方向に投射レンズが配置されていれば、出射光72が出射されるオン状態となる。
【0004】
一方、電極132bに電圧が印加されると、マイクロミラー121は反対側に旋回し、本図では右側に傾く。このため、入射光71の反射光は投射レンズから外れて出てこないので、無効光となる。したがって、スイッチング素子20はオフ状態となる。このように、このスイッチング素子120は、アクチュエータ130によりマイクロミラー121の角度(傾き)を変えて入射光71をスイッチングする。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
マイクロミラーデバイス120をライトバルブとして採用しているプロジェクタ1において、鮮明で明るく高コントラストの画像を表示するためには、オン状態のマイクロミラー121による反射率を上げることが必要である。そのためには、マイクロミラーを形成する材料として反射率の高いもの、たとえば金属が要求される。半導体の製造技術として公知のフォトリソグラフィー技術を用いてスイッチングデバイスを製造しようとした場合、もっともポピュラーで低コストな金属はアルミニウムであり、光沢があって反射率は高い。しかしながら、アルミニウムの反射率は90パーセントに満たないので、明るい画像が欲しい場合には、さらに反射率の高い金属を選択する必要がある。たとえば、銀であるが、銀を選択しても反射率は90%程度であり、高コストの割に反射率はアルミニウムと大差はない。銀とニオブの合金を用いることにより反射率が94〜95%と高いミラーを形成できるが高価であり、まだ、数パーセントのロスはある。
【0006】
さらに、反射率の高い金属によりマイクロミラーを形成しても、反射面が酸化したり、傷ついたりすれば、反射率は低下することになる。したがって、不活性ガスに封入したりすることが考えられているが、パッケージングを頑強にすれば、そのパッケージング材による吸収があるので、それによる反射率の低下も考えられる。
【0007】
そこで、本発明においては、反射率が高く、さらに耐久性および信頼性の高い光スイッチング素子、およびそれを用いた光スイッチングデバイスを実現することを目的としている。そして、そのスイッチングデバイスを用いて、高コントラストで明るい画像を表示あるいは出力でき、耐久性および信頼性の高い画像表示装置を実現することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明では、反射型の光スイッチング素子において、反射体の表面側に少なくとも1層の干渉性の層を設け、この干渉性の層の表面と支持体の反射性の表面あるいは干渉膜同士の干渉により、反射体の反射率を向上する。それと共に、少なくとも反射性の表面を保護することにより、酸化や損傷による反射率の低下を防ぐことができる。さらに、この干渉性の膜をマスクとして支持層をパターニングすることにより、製造後に剥離する必要がなくなり、製造時の反射体の表面の損傷を保護することも可能となる。したがって、これらの効果により高反射率で耐久性の高い光スイッチングデバイスを提供できる。
【0009】
すなわち、本発明の光スイッチング素子は、反射面を備えた反射体が動いて入射光をスイッチングする光スイッチング素子であって、干渉により光を反射可能な透明または半透明の薄膜からなり、反射面を構成する干渉層と、この干渉層を支持する支持層とを反射体は有している。したがって、支持層が、光を反射する金属層であれば、金属表面による反射光に加えて、干渉層による干渉光も得られるので、この干渉膜は増反射膜として機能する。増反射膜による干渉性の反射光を得るためには、干渉層は、入射光に対して透明な1つの層(単層)であり、干渉層の屈折率がnで表され、入射光の中心波長がλで表されると、反射体がオン状態のときに入射光が当該干渉層を通過する光路長Lが以下の式(1)を満たすものである。ただし、mは整数であり、λは入射光の中心波長である。
L=m×λ/2n ・・・(1)
【0010】
マイクロミラーデバイスにおいては、反射面の向きが異なる。したがって、オン状態で上記(1)式が実現されるような膜厚を設定することにより、オン状態の反射面の向きが異なる状態では干渉層は、金属表面からの反射光を減ずる方向に作用する。このため、干渉層を設けることにより、さらにコントラストの高い光スイッチング素子およびデバイスを提供できる。反射率の高い支持層は、アルミニウム系または銀系の金属であり、反射率は若干落ちてもコストから考えるとアルミニウムが最も望ましく、本発明の増反射膜を設けることにより、高価な銀よりも高い反射率を得ることができる。また、銀であれば、反射率の高いニオブ系合金と同様の反射率を確保できる。また、もともと反射率の高いニオブ系合金であれば、最高で97%に達するような高い反射率を持った光スイッチング素子およびデバイスを提供できる。
【0011】
さらに、ライトバルブとして使用する光スイッチングデバイスにおいては、可視光が入射光となる。したがって、上記(1)式の光路長Lが得られるように膜厚を設定すると、可視光領域の中心波長で最も反射効率の高い光スイッチング素子を得ることができる。可視光域の中心波長は、比視感度の低い緑色の光の領域にあたるので、比視感度の低い緑色の反射効率が高く、カラーバランスの良い光スイッチング素子および光スイッチングデバイスを提供できる。すなわち、反射面の向きがオン状態とオフ状態で異なる、いわゆるティルトミラータイプの光スイッチング素子においては、上記の式(1)に示した光路長Lがオン状態の角度で得られるように干渉層の膜厚を設定しておけば良い。そして、本発明の光スイッチング素子を、アレイ状またはマトリクス状に2次元に配置することで、カラーバランスの良いライトバルブとなる光スイッチングデバイスを提供できる。このため、本発明の光スイッチングデバイスと、この光スイッチングデバイスに入射光を供給する光源と、光スイッチングデバイスで変調された表示光をスクリーンに投射する投射レンズとを有することで、明るく、鮮明でカラーバランスの良い高品質な画像を表示できるプロジェクタ等の映像表示装置を提供できる。
【0012】
干渉層を、複数の薄膜により干渉によって入射光を反射する誘電体多層膜により構成することも可能である。そして、誘電体多層膜であれば、層の組み合わせを選択することにより反射率を90数パーセントまで高めることは可能であり、また、酸化などによる反射率低下も起こりにくい。したがって、高反射率で耐久性の高い光スイッチング素子およびデバイスを提供できる。
【0013】
さらに、上述したように、支持層の上に、干渉により光を反射可能な透明または半透明の薄膜であって反射面を構成する干渉層を形成する工程と、形成した干渉層をマスクとして支持層をパターニングする工程とにより光スイッチングデバイスを製造すると、支持層をパターニングするためにマスクを形成する工程を省くことが可能となり、プロセス数が削減される。したがって、歩留まりが向上し、低コストで光スイッチングデバイスが製造できる。さらに、支持層の面に干渉層が密着した状態で製造されるので反射率も高く、耐久性も高い。
【0014】
干渉層を支持層をエッチングするためのマスクとして用いるためには、干渉層には、支持層のエッチャントに耐性があるものを選択する必要がある。金属製の支持層の表面に、透明なレジスト、あるいは透明または半透明な無機系の、例えば、硫化亜鉛(ZnS)により干渉性の層(薄膜)を形成する場合は、パターニングする工程では、塩素系ガスをエッチャントとして支持層をエッチングすることができる。
【0015】
また、干渉層は酸化シリコンで形成し、支持層を金属で形成する場合は、干渉層を形成する工程では、レジストをマスクとして酸化シリコンの干渉層を、フッ素系ガスのエッチャントによりエッチングし、パターニングする工程では酸素プラズマをエッチャントとして支持層をエッチングすることができる。パターニングする工程でレジストも同時に除去できるので、金属性の支持層に、酸化シリコンの増反射膜(干渉膜)が形成された光スイッチングデバイスを製造できる。
【0016】
干渉層は、無機系の誘電体層で形成し、支持層をシリコンで形成する場合は、干渉層を形成する工程では、レジストをマスクとして無機系の誘電体層を、塩素系またはフッ素系のエッチャントによりエッチングし、パターニングする工程では、酸素プラズマをエッチャントとして支持層をエッチングすることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。図2に、本発明の光スイッチング素子20のマイクロミラー21aを拡大して示してある。このマイクロミラー型の光スイッチング素子20は、先に図1にて説明した光スイッチングデバイスを構成するスイッチング素子120とほぼ同じ構成であり、マイクロミラー21aが水平から角度θ(10度程度)の範囲で傾いて入射光71をオンオフする。したがって、基本的な構造は上述した通りであり、本発明の特徴であるマイクロミラー21aの構成についてさらに詳しく説明する。
【0018】
図2に、マイクロミラー21aの片側を拡大して示すように、本例の光スイッチング素子20のマイクロミラー、すなわち反射体21aは、反射面22を形成する干渉層23と、この干渉層23を支持する支持層24とが積層された構造となっており、支持層24が構造層となってアクチュエータ30により駆動される。干渉層23は、可視光領域で透明または半透明の薄膜により形成されており、本例では、ポリイミド系の透明なレジストが製膜されている。支持層24は、アクチュエータ30により駆動可能な程度に充分な強度を備えた層であり、さらに、本例の光スイッチング素子20では反射性の高いアルミニウムにより形成されている。したがって、反射面21aに照射された光(入射光)71は、干渉層23の表面23aにおいて反射すると共に、一部は支持層24の表面24aで反射する。このため、本例の光スイッチング素子20のマイクロミラー21aにおいては、それぞれの表面23aおよび24aで反射された光が干渉により強め合うようになっている。
【0019】
干渉層23の表面23aで反射した光と、下方の金属層(支持層)24の表面24aで反射した光が強め合うある光路長Lは、干渉層23の屈折率をnとし、入射光71の中心波長をλとしたときに以下の式(1)で与えられる。なお、mは整数である。
L=m×λ/2n ・・・・(1)
【0020】
したがって、干渉層23の膜厚dは、マイクロミラー21aが角度θだけ傾いた、図2に示すオン状態で、垂直方向に反射される入射光、すなわち、表面23aの法線23nに対して角度θの方向から入射した光71を反射するときに光路差Lが上記の(1)式を満たすように設定される。具体的には、以下の式(2)の厚さdとすることが望ましい。ここでnは、干渉層23の屈折率である。
d=m×λ/2/√(n2−sin2θ)・・・・(2)
【0021】
このような膜厚dとなるように干渉層23が製膜されていれば、角度θ方向から入射した光が強められて反射されるので、マイクロミラー21aがオン状態に傾いていれば、垂直方向の投射レンズ96に向かって金属表面24aで反射された光に、干渉膜23aの表面で反射された光が重畳されて反射される。したがって、反射率は向上し、アルミニウム単体であると反射率が88%程度であるのに対し、その表面に干渉膜23を製膜することにより92%程度まで反射率を向上できる。さらに、金属性の支持層24が銀−ニオブの合金(AgNd)であれば、金属単体であれば反射率が94〜95%程度であるのに対し、その表面に干渉層23を製膜することにより、反射率を96〜97%に向上できる。このため、本発明により、光の利用効率の高い光スイッチング素子20を提供でき、明るい画像を表示することができる光スイッチングデバイス10を提供できる。
【0022】
また、式(2)から分かるように、角度θが変わると干渉層23の表面23aで反射した光と、金属層24の表面24aで反射した光は弱めあって出射光の強度は減じられる。したがって、微小角だけ動くだけで無効な光の強度を減ずることができるので、コントラストの高い、鮮明な画像を表示するのに適した光スイッチング素子20およびデバイス10を提供するのに好適である。
【0023】
また、可視光のようなある程度の波長域がある光をスイッチングする場合は、その波長域のいずれかの波長を基に干渉層23の膜厚を決定する必要がある。その際、可視光領域の中心波長に合わせることにより、可視光領域の中心付近になる緑色の光の反射効率が最も高い干渉膜23が製膜される。緑色の光は、比視感度の最も低い光であるので、この反射率を上げることにより、光スイッチングデバイス10でスイッチングされた画像中の緑色の光の強度を増加することが可能となり、比視感度を考慮したときにさらにカラーバランスの良い映像を投影することができる。
【0024】
さらに、干渉層23は支持層24の表面24aを保護する機能も果たす。すなわち、アルミニウムや銀などの表面24aに干渉層23を形成することにより、これらの金属表面が空気に直に触れるのを防止でき、酸化や傷などによる金属表面の反射率が低下するのを防止できる。したがって、本例の光スイッチング素子20を用いたデバイス10は、パッケージングして不活性ガスでデバイス10の周囲をカバーしたり、真空雰囲気にしたりする必要がなく、パッケージングによる反射率の低下も防止でき、パッケージングのコストも省くことができる。このため、低コストで、さらに、コンパクトでありながら、光の利用効率の高く耐久性および信頼性の高い光スイッチング素子およびデバイスを提供することができる。
【0025】
以下に、この光スイッチング素子20がアレイ状に配置された光スイッチングデバイス10を製造する過程を、図3を参照しながら説明する。なお、アクチュエータ30となる電極などの製造プロセスは省略して示してある。
【0026】
先ず、図3(a)に示すように、犠牲層69に支柱34を形成するためのホール34aをパターニングし、その上からアルミニウムを製膜(蒸着)して適当な厚さの支持層24を形成する。犠牲層69は、ポリイミドなどの通常のレジスト材料から形成される。次に、図3(b)に示すように、金属製の支持層24の表面に、ポリイミド系の透明なレジストをスピンコート等によって塗布し、薄膜なレジスト層123aを製膜する。このレジスト層123aが、干渉層23となるように、上記(2)式で示した膜厚が得られるように膜厚を管理しながら製膜する。次に、このレジスト123層をUV照射によりパターニングし、図3(c)に示すように、マイクロミラー21aの鏡面22となる部分だけを残して干渉層23を形成する。
【0027】
このようにして干渉層23が形成されると、その干渉層23をマスクとして利用し、下方の金属製の支持層24をエッチングによりパターニングする工程に移る。この際に、エッチャント68aは、干渉層23に影響のないものを選択する必要があるので、エッチャント(エッチングガス)68aとして塩素系のガス(Cl2またはBCl3)を使用して、ドライエッチングをする。
【0028】
干渉層23をマスクとして支持層24をパターニングし、素子分離されると、図3(d)に示すように、犠牲層69をO2プラズマ(プラズマ酸素)を用いたエッチングにより除去することにより、アクチュエータ30とそれにより駆動されるマイクロミラー21aを備えたスイッチング素子20と、これら光スイッチング素子をアレイ状またはマトリクス状に配置され、ライトバルブとなる光スイッチングデバイス10が製造される。
【0029】
さらに、本発明の光スイッチング素子20のマイクロミラー(反射体)21aを構成する材料の組み合わせは上記に限定されない。金属としては、さらに反射率の高い、銀や銀とニオブあるいはアルミニウムとニオブの合金などを利用することができる。しかしながら、金属表面に干渉層23を形成して反射率増加膜とすることにより数%は反射率を向上できるので、低コストで従来のフォトリソグラフィー技術でハンドリングしやすいアルミニウムにより、銀と同様あるいはそれ以上の反射率を得ることができる。
【0030】
また、干渉層23は、透明な樹脂に限らず、無機材料で形成することも可能である。たとえば、干渉層23に、無機系の酸化シリコン(SiO2)を採用することも可能である。この光スイッチング素子20の反射体21bの製造プロセスを、図4(a)〜(e)に示してある。図4(a)に示すように、犠牲層69の上に、金属製の支持層24を形成した後に、図4(b)に示すように、支持層24の表面に透明な酸化シリコン(SiO2)の層123bを製膜する。この際、酸化シリコン層123bの膜厚は式(2)を満足するように制御される。
【0031】
次に、図4(c)に示すように、酸化シリコン層123bの表面に、酸化シリコン層123bをパターニングするためのレジスト層123aを形成し、レジスト層123aをマスクとしてフッ素系のガス(CF4、CHF3またはC48)により酸化シリコン層123bをドライエッチングして、スイッチング素子21bの反射面22となる干渉層23を形成する。
【0032】
そして、図4(d)に示すように、画素単位で形成された酸化シリコン製の干渉層23をマスクとして、金属製の支持層24をエッチングすることにより支持層24を画素分離し、マイクロミラー21bを形成する。アルミニウムなどの金属製の支持層24をエッチングするエッチャント68bとしてはO2プラズマを使用することができる。O2プラズマエッチングにより、酸化シリコン製の干渉層23の表面に残ったレジスト123aも除去されるので、干渉層23の表面23aが反射面22として表れる。
【0033】
最後に、犠牲層69を除去して図4(e)に示すような、金属を支持層24として無機製の干渉層23がその上に形成されたマイクロミラー21bを備えた光スイッチング素子20およびスイッチングデバイス10が形成される。
【0034】
このように、マイクロミラー21aあるいは21bを構成する支持層24と干渉層23とエッチャントとの組み合わせを制御することにより、干渉層23をマスクとして、支持層24をエッチングあるいはパターニングして画素分離することができ、スイッチングデバイス10の製造プロセスを減らすことができる。プロセスを減らすことにより、歩留まりが向上し製造コストが低減される。さらに、金属の支持層24を製膜した直後に干渉層23を製膜できるので、金属層24の表面が酸化やエッチングにより劣化することを防止でき、その状態のままマイクロミラーとして製品化できるので、金属層24の表面24aの反射率を最大限に活かした反射効率の高い光スイッチング素子を提供できる。さらに、支持層24と干渉層23との製膜をそれほど時間をあけずに実施できるので、これら2つの層の密着性も高く、耐久性も高い光スイッチング素子を提供できる。
【0035】
干渉層23を誘電体多層膜とすることにより、支持層24の表面の反射を期待しないで反射率の高い光スイッチング素子として形成することも有効である。このような反射体21cの製造プロセスを図5(a)〜(d)を参照しながら以下に説明する。この誘電体多層膜を備えた反射体21cは、支持層24からの反射を期待していないので金属ではなくシリコンなどを用いることができる。
【0036】
先ず、図5(a)に示すように、犠牲層69の表面にシリコンを蒸着し適当な厚さの支持層24を形成し、その上に複数の屈折率の異なる誘電体膜を積層して誘電体多層膜129を形成する。この際、それぞれの誘電体膜の厚さが上記の式(2)を満足するように形成する。個々の誘電体膜としては、例えば、酸化チタン(TiO)、硫化亜鉛(ZnS)または酸化シリコン(SiO2)などの屈折率の異なる薄膜を使用することができる。次に、図5(b)に示すように、誘電体多層膜129の表面にレジスト(フォトレジスト)123aを形成してレジスト層123aをマスクとして、エッチャント68cにCF4系ガス、Cl系ガスなどを用いてドライエッチングすることにより誘電体多層膜129による干渉層29を形成する。
【0037】
さらに、図5(c)に示すように、形成された干渉層29をマスクとして、シリコン製の支持層24をエッチングする。この場合には、O2プラズマをエッチャント68dとしたドライエッチング(プラズマエッチング)することができる。また、O2プラズマエッチングにより、レジスト123aは除去される。最後に、図5(d)に示すように犠牲層69を除去することにより、誘電体多層膜129の干渉層29を備えたマイクロミラー21cおよび光スイッチング素子20を製造することができる。
【0038】
誘電体多層膜129は、干渉条件を満たすように、適切な厚さの誘電体膜を積層することにより、反射率を高めることができ、上述した金属の支持層24と干渉膜23との組み合わせにより得られる反射率と同等の反射率を得ることが可能である。また、誘電体多層膜129を干渉膜として設けたマイクロミラー21cであると、支持層24は充分な強度が得られれば良く、もちろん金属でもよいが、上述したように無機系材料であるシリコンであっても良く、さらに、有機系材料である適当な樹脂で形成することも可能である。
【0039】
以上に説明したように、本例の支持層24と干渉層23または29を備えた反射体21a〜21cであれば、干渉を利用して反射率の向上を図ることができ、また、反射面の保護も図れる。したがって、低コストで高反射率の光スイッチング素子および光スイッチングデバイスを提供することが可能となる。また、反射面に干渉性の膜が製造されるので、角度依存による光スイッチング素子およびデバイスであると、コントラストをさらに高くすることが可能である。
【0040】
このため、例えば、図6に示すように、ライトバルブとして本例のマイクロミラーデバイス10を、画像表示装置の一例であるプロジェクタ1に用いることも有用である。このプロジェクタ1は、白色光源91と、この光源91からの光束71をを3原色に時分割する回転式のカラーフィルタ93とを備えている。このプロジェクタ1では、時分割された光束71を跳ね上げミラー94などによりマイクロミラーデバイス10に照射され、各色の光束71が変調されることによりマルチカラーの画像が生成される。変調された光束(表示光)72は、投射レンズ96によりスクリーン97に投影され、高コントラストで明るい、マルチカラー画像を表示することができる。もちろん、本発明は、角度依存のない反射性の光スイッチング素子、たとえば、マイクロミラーが平行に上下に動いてスイッチングするような素子、あるいはデバイスにも適用することが可能である。
【0041】
なお、本発明の干渉層を備えた光スイッチングデバイス10は、図6のプロジェクタに限られず、ラインプリンタ(光プリンタ)に適用することも可能であり、解像度が高く、コントラストの大きな鮮明な潜像を形成することが可能であり、印刷スピードを向上でき、さらに印字品質の高いプリンタとして提供できる。その他にも、本発明の光スイッチングデバイスは、TVやモニタに適した、スクリーンが一体となったリア型のプロジェクタなどの他の映像装置にも適用できる。
【0042】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の光スイッチング素子は、干渉により光を反射可能な透明または半透明の薄膜からなり、反射面を構成する干渉層を、支持層の上に形成するようにしている。したがって、支持層からの反射だけではなく、干渉層の反射を利用して反射率の増大を図ることが可能となり、さらに光の利用効率の高い光スイッチング素子および光スイッチングデバイスを提供できる。したがって、本発明の光スイッチングデバイスを採用することにより、さらに明るく鮮明な画像を投影できるプロジェクタなどの映像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光スイッチング素子の概略構成を示す図である。
【図2】本発明に係る光スイッチング素子のマイクロミラーを拡大して示す図である。
【図3】図2に示した光スイッチング素子の製造プロセスの概要を示す図である。
【図4】本発明の異なる例の光スイッチング素子の製造プロセスの概要を示す図である。
【図5】本発明のさらに異なる例の光スイッチング素子の製造プロセスの概要を示す図である。
【図6】本発明に係る光スイッチング素子(反射型の光スイッチングデバイス)を用いたプロジェクタの概要を示す図である。
【符号の説明】
1 プロジェクタ
10 光スイッチングデバイス
20 光スイッチング素子
21、21a、21b、21c 反射体(マイクロミラー)
22 反射面
23 干渉層
24 支持層
29 誘電体多層膜による干渉層
30 アクチュエータ
71 入射光
72 反射光

Claims (2)

  1. 反射面を備えた反射体が動いて入射光をスイッチングする光スイッチング素子が配列された光スイッチングデバイスの製造方法であって、支持層の上に、干渉により光を反射可能な透明または半透明の薄膜であって前記反射面を構成する干渉層を形成する工程と、前記干渉層をマスクとして前記支持層をパターニングする工程とを有する光スイッチングデバイスの製造方法。
  2. 請求項において、前記支持層は、光を反射する金属層であり、前記干渉層を形成する工程では、整数がmで表され、前記干渉層の屈折率がnで表され、前記入射光の中心波長がλで表されると、前記反射体がオン状態のときに前記入射光が当該干渉層を通過する光路長LがL=m×λ/2nをほぼ満たすように設定されている、光スイッチングデバイスの製造方法。
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