JP4000661B2 - 摺動抵抗体 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は,ポテンショメータ等に用いられる摺動抵抗体に関する。
【0002】
【従来技術】
自動車のポテンションメーターに利用される摺動抵抗器として,表面に固定接点となる摺動抵抗体が設けられた抵抗体基板と,該摺動抵抗体の表面を含む抵抗体基板の表面を該摺動抵抗体と電気的導通を保ちつつ摺動するよう構成され,可動接点となるコンタクトとよりなるものが知られている。
【0003】
上記コンタクトが上記摺動抵抗体の上を動くことにより,両者に接続された回路における電気抵抗値の変動からコンタクトに接続された物体の位置検出を行うことができる。
また,上記摺動抵抗体の多くはカーボンとバインダー樹脂とよりなる導電性樹脂から構成されている。
【0004】
従来より,摺動抵抗体の摺動寿命向上に関しては,該摺動抵抗体の摺動寿命を決定する摺動ノイズの発生原因となる抵抗体摩耗粉の発生量低減対策を採ることがよく知られている。
このような低減対策に関する公知技術の具体例としては,摺動抵抗体にアルミナ,シリカ等の無機フィラーを添加し,摺動抵抗体の強度を補強する技術(例えば特開平2−158657号)が知られている。このため,摺動抵抗体の摩耗が発生し難くなる。
また,テフロン,黒鉛等の固体潤滑剤を摺動抵抗体に添加する(例えば特公昭58−50003号)が知られている。このため,抵抗体表面の摺動性が改善され,抵抗体摩耗粉の発生量が減少する。
【0005】
なお,摺動抵抗体とコンタクトとの間に一定電流を流し,所定の端子間に出力される電圧値を抵抗値に換算して得られた摺動抵抗体とコンタクトとの間の接触抵抗(値)が摺動ノイズである。接触抵抗(値)が大きい時,摺動ノイズは高く,接触抵抗(値)が小さい時,摺動ノイズは低い。
【0006】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記従来技術には以下に示す問題点がある。
まず,無機フィラーの添加により,確かに抵抗体摩耗量は低減される。しかし,逆に摺動抵抗体の硬度が高まることから,これと摺動するコンタクトの摩耗が大きくなってしまい,コンタクトの寿命を短くするおそれがあった。
【0007】
更に,摺動抵抗体の表面に析出した無機フィラー表面に抵抗体摩耗粉が凝着し,抵抗体摩耗粉の払拭性が悪化するおそれがあった。この場合はかえって摺動ノイズが高まるおそれがあった。
また,テフロン等の固体潤滑材を添加した場合には,摺動抵抗体から脱落した固体潤滑剤自体が摺動ノイズの発生源となるおそれがあった。
【0008】
また,摺動抵抗体の本来の性能である,抵抗値が長期にわたって安定していることも,摺動抵抗体の要件として重要である。
しかしながら,従来知られている各種摺動抵抗体でこのような要件を充分満たしているものは知られていない。
特に,無機フィラーとして黒鉛等の導電性のフィラーを添加した添加した場合には,抵抗値の経時安定性が低下するおそれがあった。
【0009】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,摺動寿命が長く,抵抗の経時安定性に優れた摺動抵抗体を提供することにある。
【0010】
【課題の解決手段】
請求項1の発明は,カーボンブラックとバインダー樹脂とよりなる摺動抵抗体であって,
上記カーボンブラックはpH10のアセチレンブラックとpH6.3のファーネスブラックとがそれぞれ25/75〜75/25という混合比率で混合された混合物であり,
上記アセチレンブラック及びファーネスブラックの一次粒子径はそれぞれ40nmであり,
上記アセチレンブラック及びファーネスブラックのDBP吸油量はそれぞれ180ミリリットル/100gであり,
更に,上記ファーネスブラックの揮発分は0.7%であり,上記アセチレンブラックの揮発分は0.1%であることを特徴とする摺動抵抗体にある。
【0011】
一般的にカーボンブラックは大きくはその製法及び原料により分類でき,更には基本特性である形状(大きさ)及び表面の化学的な状態により分類される。
上記形状に関しては,カーボンブラックの最小単位としては一次粒子が凝集したストラクチャーが用いられることから,一次粒子径とストラクチャーの大きさを表すDBP吸油量にて分類できる。
また,表面の化学的な状態はカーボン表面の残存官能基量の尺度であるpH及び揮発分で分類できる。
【0012】
本発明の摺動抵抗体を構成するカーボンブラックは,オイルファーネス法により作製されたファーネスブラックと,アセチレン法により作製されたアセチレンブラックとよりなる。
カーボン形状は摺動抵抗体の比抵抗及び強度を支配する要因であり,本発明においては,アセチレンブラック及びファーネスブラックとして共に一次粒子径が40nmで,DBP吸油量が180ミリリットル/100gである。
【0013】
一次粒子径及びDBP給油量が上記範囲から外れることにより,所定の抵抗値を得るためのカーボンブラックの配合量が増減するため,摺動抵抗体の硬度が適正値から外れてしまうおそれがある。
【0014】
また,カーボン表面の化学的な状態はバインダー樹脂との濡れ性及び経時安定性を支配する要因であり,本発明においては,ファーネスブラックはpH6.3,揮発分0.7%,アセチレンブラックはpH10,揮発分は0.1%である。
【0015】
pH及び揮発分が上記範囲から外れることにより,カーボンブラックとバインダー樹脂とを混合して,未だ硬化していない状態にある抵抗ペースト(実施形態例1参照)のレオロジー性が悪化するため,硬化して摺動抵抗体となった後の抵抗値の経時安定性が悪化するおそれがある。
なお,上記揮発分とは,空気との接触を絶って試料を加熱したときの質量減少率から水分を差し引いた値である。
【0016】
また,上記バインダー樹脂としては,ノボラック系フェノール樹脂,レゾール系フェノール樹脂,エポキシ樹脂等を挙げることができる。後述するごとく,これらの中でもっとも好ましいの物質はノボラック系フェノール樹脂である。
【0017】
また,本発明にかかる摺動抵抗体において,カーボンブラックとバインダー樹脂との混合比率(重量)は,25/75〜35/65とすることが好ましい。これにより,本発明の効果を確実に得ることができる。
カーボンブラックの混合比率が25未満である場合には,バインダー樹脂が多すぎるため,摺動抵抗体の比抵抗が大きくなりすぎたり,硬度が低くなるおそれがある。
一方,カーボンブラックの混合比率が35より大である場合には,バインダー樹脂が少なすぎるため,摺動抵抗体の比抵抗が小さくなりすぎたり,硬度が高くなるおそれがある。
【0018】
また,アセチレンブラックとファーネスブラックとの混合比率(重量)は,25/75〜75/25とすることが好ましい。
これにより,本発明の効果を確実に得ることができる。
アセチレンブラックの混合比率が25未満である場合には,ファーネスブラックが多すぎるため,抵抗値が経時的に増大するおそれがある。
一方,アセチレンブラックの混合比率が75より大である場合には,ファーネスブラックが少なすぎるため,抵抗値が経時的に減少するおそれがある。
【0019】
なお,本発明にかかる摺動抵抗体は,上述したカーボンブラック,またバインダー樹脂以外の成分として,分散剤,カップリング剤等を含むことができる。
【0020】
次に,本発明の作用につき説明する。
本発明にかかる摺動抵抗体はカーボンブラック及びバインダー樹脂よりなり,上記カーボンブラックは上述したごときアセチレンブラック及びファーネスブラックよりなる。
このような摺動抵抗体の表面微小硬度は例えば50〜60の範囲内といった硬すぎない,柔らかすぎない好ましい範囲となることができる。
このため,抵抗体摩耗粉の発生量が少なく,摺動ノイズも小さく,摺動寿命の長い摺動抵抗体を得ることができる。
【0021】
また,本発明にかかる摺動抵抗体を備えた摺動抵抗器は,この摺動抵抗体に対して摺動するコンタクトの摩耗が生じ難い。
このため,本発明によれば,摺動抵抗体の摺動寿命と共に,コンタクトの寿命を延ばすことができ,摺動抵抗器自身の寿命を延ばすことができる。
【0022】
また,本発明にかかる摺動抵抗体から発生する抵抗体摩耗粉は,上述のカーボンブラック及びバインダー樹脂よりなるため,抵抗体摩耗粉が無機フィラー表面に凝集し,摺動抵抗体表面に固着する等,コンタクトによる抵抗体摩耗粉の払拭を妨げることはない。
従って抵抗体摩耗粉はコンタクトにより容易に払拭され,コンタクトが抵抗体摩耗粉に乗り上げることは起こり難い。
このため,摺動ノイズが小さく,例えば200万回以上(後述する表1参照)といった長い摺動寿命を持った摺動抵抗体を得ることができる。
【0023】
また,本発明の摺動抵抗体におけるカーボンブラックは,アセチレンブラックとファーネスブラックとよりなる。これらのカーボンの表面化学状態の最適配合により,バインダー樹脂との濡れ性を良好にでき,摺動抵抗体にかかる摺動抵抗の変化率が例えば−10%〜+10%以内といった狭い範囲に抑制された(表1参照)優れた摺動抵抗体を得ることができる。つまり,摺動抵抗の経時安定性に優れた摺動抵抗体を得ることができる。
【0024】
以上により,本発明によれば,摺動寿命が長く,摺動抵抗の経時安定性に優れた摺動抵抗体を提供することができる。
【0025】
次に,請求項2の発明のように,上記バインダー樹脂はノボラック型フェノール樹脂であり,その融点は90〜100℃の範囲内にあることが好ましい。
これにより,カーボンを添加した際のペースト状態でのレオロジー性を良好に保つことができる。
また,上記融点が90℃未満である場合には,レベリング性の指標である粘度比が高すぎて摺動抵抗体の表面が粗くなるおそれがある。100℃より高い場合には,粘度比が低すぎて,版ぬけ性が悪化するおそれがある。
【0026】
【発明の実施の形態】
実施形態例
本発明の実施形態例にかかる摺動抵抗体及びこの摺動抵抗体より構成された摺動抵抗器について図1〜図3を用いて説明する。
本例にかかる摺動抵抗体はカーボンブラックとバインダー樹脂とよりなる。
上記カーボンブラックはアセチレンブラックとファーネスブラックとの混合物であり,両者の一次粒子径はいずれも40nmであり,アセチレンブラックのDBP吸油量は180ミリリットル/100g,ファーネスブラックのDBP吸油量は180ミリリットル/100gである。
【0027】
また,アセチレンブラックの表面の化学状態はpH10であり,ファーネスブラックの表面の化学状態はpH6.3である。更に,アセチレンブラックの揮発分は0.10%,ファーネスブラックの揮発分は0.70%である。
また,上記バインダー樹脂はノボラック系フェノール樹脂であり,その融点は98℃である。
【0028】
次に,本例にかかる摺動抵抗体の製造方法について説明する。
ブチルカルビトールアセテート及びアセトン等よりなる混合溶媒を準備し,該溶媒中にノボラック系フェノール樹脂を溶解させた。その後,アセチレンブラック及びファーネスブラックを添加した。また,必要に応じてリン酸エステル等の分散剤,チタネート系,アルミニウム系等のカップリング剤を添加した。
その後,これらをボールミル手段により攪拌し,溶媒中に均一にアセチレンブラック及びファーネスブラックを分散せしめた。
その後,得られた分散溶媒に対し自動乳鉢を用いて粘度調整を施し,抵抗ペーストとした。
【0029】
この抵抗ペーストを,例えば予め電極を設けておいた抵抗体基板(後述の図1〜図3参照)の表面にスクリーン印刷法等によりパターニングした。
その後,印刷された抵抗体基板を熱風循環炉に投入し,温度230〜250℃で1〜2時間加熱した。
以上により抵抗ペーストは硬化して摺動抵抗体となった。
【0030】
次に,本例にかかる摺動抵抗体を組み込んだ摺動抵抗器及びポテンショメータについて説明する。
本例の摺動抵抗器1は,図1〜図3に示すごとく,自動車のポテンショメータ10を構成するものである。
回転位置を検出するポテンショメータ10の抵抗体基板20上に上述したアセチレンブラックとファーネスブラックとノボラック系フェノール樹脂よりなる摺動抵抗体2が配設されている。符号101はポテンションメータの外郭を構成するケースである。
【0031】
図2,図3に示すごとく,摺動抵抗体2は,回転筒体30の回転中心突起302の抵抗体基板20側嵌合孔202を中心とする同心円状に形成された第1摺動抵抗体21(内側集電用)と,該第1摺動抵抗体21の外周に形成された第2摺動抵抗体22(外側出力用)とからなる。言い換えると,摺動抵抗体2は後述する2つのコンタクト3の移動軌跡に対応して円弧状に2列に並べた内側の第1摺動抵抗体21と外側の第2摺動抵抗体22とより構成されている。
【0032】
そして,内側の第1摺動抵抗体21の一端部と,外側の第2摺動抵抗体22の両端部は,ケース11に配された3つの電気端子12との電気的導通を図るための接点部23を形成している。
【0033】
図3(a),(b)に示すごとく,コンタクト3は回転筒体30の抵抗体基板20との対向面側に固定配設されている。回転筒体30の回転に伴い,摺動抵抗体2上を摺動することで,コンタクト3の位置に応じた電圧が端子23より出力される。
【0034】
また,図1,図2に示すごとく,本例の自動車用摺動抵抗器1を適用したポテンショメータ10は,ケース11と摺動抵抗体2を貼設した抵抗体基板20とにより囲まれたその中に接点室4が設けてある。
【0035】
また,図2に示すごとく,ポテンショメータ10のケース11内には,上記コンタクト3を有する回転筒体30を回動可能に配設してある。図3(a)に示すごとく,コンタクト3は導電板39から二股に分岐して設けられた第1コンタクト31と第2コンタクト32とにより構成されており,上記回転筒体30の上部に固定されている。
【0036】
また,回転筒体30は,その上方中央部に回転中心突起302を有しており,これに対応する中心穴202(図3(a)参照)が上記抵抗体基板20の中央部に設けられている。また,回転筒体30は,そのフランジ部分301の下方に配設されたスプリング18によって常に上方へ付勢されており,コンタクト3と摺動抵抗体2との接触状態を維持するよう構成されている。
【0037】
次に,本例にかかる摺動抵抗体よりなる上記ポテンショメータ10を用いて,本例にかかる試料1〜3にかかる摺動抵抗体の性能を比較試料C1,C2と共に評価した。
試料1〜3及び比較試料C1,C2の詳細については,表1に記載した。
なお,同表におけるアセチレンブラック及びファーネスブラックの一次粒子径はいずれも40nmである。また,アセチレンブラック及びファーネスブラックのDBP吸油量は180ミリリットル/100gである。
【0038】
また,アセチレンブラックの表面の化学状態はpH10であり,ファーネスブラックの表面の化学状態はpH6.3である。更に,アセチレンブラックの揮発分は0.1%,ファーネスブラックの揮発分は1.0%である。
なお,比較試料C1及び比較試料C2については,アセチレンブラック,ファーネスブラックのいずれか一方しか含んでおらず,また無機フィラーを含有している。
【0039】
性能の評価に当たっては,表1に示すごとき各値について測定を行った。
まず,摺動寿命について説明する。
各試料よりなる摺動抵抗体にて構成された図1〜図3にかかるポテンショメータ10を準備し,雰囲気温度120℃において,コンタクト3を摺動抵抗体2に対し摺動させた。このポテンションメータ10における摺動ノイズをモニタし,その値が10kΩ以上となった時の摺動回数を摺動寿命とした。
【0040】
また,雰囲気温度120℃において,上記ポテンションメータ10のコンタクト3を摺動抵抗体2に対し200万回摺動させた。その後,摺動抵抗体及びコンタクトの摩耗痕の深さを表面形状測定機にて計測した。この計測値が抵抗摩耗量及びコンタクト摩耗量である。
【0041】
また,抵抗値安定性の測定は次のようにして行った。
上記ポテンショメータにおける抵抗体基板と摺動抵抗体とを温度130℃にて1000時間放置した。
放置前の摺動抵抗体の抵抗値を,放置後の抵抗値と比較し,その変化率にて評価した。
以上の結果を表1に記載した。
【0042】
同表より知れるごとく,摺動寿命については,試料1〜3は摺動回数が200万回を越えても,特に異常等が認められなかった。
しかしながら,比較試料C1,C2については,50〜100万回で摺動ノイズが10kΩ以上となったことが分かった。つまり,比較試料C1,C2の摺動寿命は本例にかかる試料に比べて短いことが分かった。
【0043】
また,試料及び比較試料のいずれの抵抗摩耗量はいずれも1μm以下であり,本例にかかる試料が従来品と同様の硬度を持った摺動抵抗体であることが分かった。
また,コンタクト摩耗量は,試料1〜3は5μm未満であり,比較試料C1,C2は10μmより大であった。これにより,比較試料の摺動抵抗体は硬すぎて,コンタクトまで摩耗させ,その寿命を短くしてしまうおそれがあることが分かった。
また,抵抗値安定性は,試料1〜3は−10%〜+10%の範囲内にあるが,比較試料C1,C2はこの範囲外であった。つまり,試料1〜3と比べて比較試料C1,C2の抵抗値はより変動し易いことが分かった。
【0044】
次に,本例にかかる摺動抵抗体の作用効果について説明する。
本例にかかる摺動抵抗体は,導電材料であるカーボンブラック及びバインダー樹脂よりなり,上記カーボンブラックは上述したごときアセチレンブラック及びファーネスブラックよりなる。
このような摺動抵抗体の表面微小硬度は硬すぎない,柔らかすぎないという好ましい範囲となることができる。このため,抵抗体摩耗粉の発生量が少なく,摺動ノイズも小さく,摺動寿命の長い摺動抵抗体を得ることができる。
【0045】
また,本例の摺動抵抗体を備えた摺動抵抗器は,この摺動抵抗体に対して摺動するコンタクトの摩耗が生じ難い。
このため,本例によれば,摺動抵抗体の摺動寿命と共に,コンタクトの寿命を延ばすことができ,摺動抵抗器自身の寿命を延ばすことができる。
【0046】
また,本例にかかる摺動抵抗体から発生する抵抗体摩耗粉は,上述のアセチレンブラック,ファーネスブラック,及びバインダー樹脂とよりなる。このような抵抗体摩耗粉の払拭性は,無機フィラー表面に凝集し,摺動抵抗体の表面に固着することがない。
このため,摺動ノイズが小さく,例えば200万回以上(表1参照)といった長い摺動寿命を持った摺動抵抗体を得ることができる。
【0047】
また,本例の摺動抵抗体におけるカーボンブラックはアセチレンブラックとファーネスブラックとよりなる。これらの粒子サイズ及び表面の化学的な状態により,バインダー樹脂との濡れ性がよい。よって,摺動抵抗体にかかる摺動抵抗の変化率が−10%〜+10%以内といった狭い範囲に抑制された(表1参照)優れた摺動抵抗体を得ることができる。つまり,摺動抵抗の経時安定性に優れた摺動抵抗体を得ることができる。
【0048】
以上により,本例によれば,摺動寿命が長く,摺動抵抗の経時安定性に優れた摺動抵抗体を提供することができる。
【0049】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例にかかる,摺動抵抗器を内蔵するポテンショメータの平面図。
【図2】実施形態例にかかる,摺動抵抗器を内蔵するポテンショメータ断面図。
【図3】実施形態例にかかる,(a)摺動抵抗器の平面図,(b)A−A矢視断面図,(c)摺動抵抗器の側面図。
【符号の説明】
1...摺動抵抗器,
10...ポテンションメータ,
20...抵抗体基板,
2...摺動抵抗体,
Claims (2)
- カーボンブラックとバインダー樹脂とよりなる摺動抵抗体であって,
上記カーボンブラックはpH10のアセチレンブラックとpH6.3のファーネスブラックとがそれぞれ25/75〜75/25という混合比率で混合された混合物であり,
上記アセチレンブラック及びファーネスブラックの一次粒子径はそれぞれ40nmであり,
上記アセチレンブラック及びファーネスブラックのDBP吸油量はそれぞれ180ミリリットル/100gであり,
更に,上記ファーネスブラックの揮発分は0.7%であり,上記アセチレンブラックの揮発分は0.1%であることを特徴とする摺動抵抗体。 - 請求項1において,上記バインダー樹脂は融点が90〜100℃の範囲内にあるノボラック型フェノール樹脂であることを特徴とする摺動抵抗体。
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