JP3999693B2 - 固体撮像装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体撮像装置、とくに、多画素化され、複数の感度を切り換えて設定して撮影するディジタルカメラ等に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
固体撮像素子を搭載したディジタルカメラには、複数の撮影感度を設定できるものがある。ここで、撮影感度とは、フィルム感度として用いられる、ISO(International Organization for Standardization)感度を意味している。ディジタルカメラには、低感度モードと高感度モードを切り換えて用いるものがある。低感度モードはISO感度100〜400に相当し、高感度モードはISO感度800以上に対応するように分類しているものがある。
【0003】
このようなディジタルカメラを用いて撮影した場合、露出時間が生成される信号電荷量に反映される。すなわち、一般に低感度モードで撮影すると、画素には長い露出時間に応じて蓄積される信号電荷量が多くなる。また、高感度モードで撮影すると、画素には短い露出時間に応じて蓄積される信号電荷量が少なくなる。
【0004】
このようにして画素に蓄積した信号電荷は垂直転送路に読み出されて、CCD(Charge Coupled Device)で形成された垂直転送路を水平転送路に向かって転送される。蓄積した信号電荷、すなわち電子は、熱拡散などにより時間経過にともなって失われることが知られている。信号電荷量には、時間とともに指数関数的に減少する特性がある。このため、同じ信号電荷量を生成しても、水平転送路近傍の信号電荷量と離れた位置での信号電荷量とに差が生じ、得られる画像の画質を劣化させてしまう。
【0005】
また、画質劣化は、これだけでない。蓄積した信号電荷は、転送素子のそれぞれに形成されるポテンシャル井戸を介して順次転送されるが、転送素子には、極微量ながら一定量の電子(信号電荷)が残る。このため、信号電荷は、この残りの信号電荷と次の転送による異なる色の信号電荷とが混じって混色を引き起こしてしまう。
【0006】
これらの原因により、1画素の信号電荷が1段移動(転送)するときの転送劣化を表したものが転送効率である。したがって、転送段数が多ければ多いほど混色が発生しやすくなる。この転送効率は、垂直方向の転送効率に限定されるものでなく、水平方向、すなわち水平転送路においても同様に問題となる。
【0007】
現在、固体撮像装置は、数百万から千数百万画素の多画素化およびシステムの高感度にともない高い水平転送効率が要求されている。この要求には、水平転送路の駆動周波数を上げてフレームレートを維持しようとしている。
【0008】
【特許文献1】
特開平6-268821号公報。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、固体撮像装置は、歩留まりの点で問題があることに加えて、前述した垂直転送路における転送効率の悪さと同様の原因によって水平転送路においても転送効率を劣化させてしまう。とくに、前述した後者の原因、すなわち一般的に入射光量に依存せずに、ある一定量の信号電荷を転送にともない取り残すことで高感度モードのように少ない信号電荷で画像を生成すると、元々信号電荷慮が少ない分、混色の影響が大きく、顕著になる。この混色は、前述した前者の理由、転送段数が多いほど大きな影響となる。具体的には、画像においてグレーや白色の部分があると、色ずれが目立ってしまう。
【0010】
本発明はこのような従来技術の欠点を解消し、転送効率劣化による混色の影響を防止して高品位な画像を得ることができる固体撮像装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の課題を解決するために、被写界からの入射光を光電変換し、読み出された撮像信号に信号処理を施して画像信号を得る固体撮像装置であって、この装置は、入射光を光電変換して信号電荷を生成する複数の受光素子が2次元に配設され、この受光素子のそれぞれが複数の感度設定のうちの一つに対応して信号電荷を生成し、この受光素子のそれぞれにて蓄積した信号電荷を垂直方向に転送する垂直転送路に読み出し、この信号電荷をこの垂直転送路およびこの垂直転送路に対して水平方向に配設された水平転送路と順次転送して撮像信号として読み出す固体撮像素子と、複数の感度設定のうち、一つの感度設定を選択し、この選択した感度設定を情報として出力する選択手段と、この選択した感度設定の情報に応じた制御信号を生成するシステム制御手段と、この制御信号に応じた固体撮像素子における信号電荷の転送タイミング信号を生成するタイミング生成手段とを含み、さらに、このタイミング生成手段は、選択した感度設定に応じて水平方向に信号電荷を転送する水平転送信号の周波数を通常の周波数より低くすることを特徴とする。
【0012】
本発明の固体撮像装置は、選択手段で感度設定し、この設定した情報をシステム制御手段に供給し、システム制御手段にてこの感度設定に応じた制御信号を生成し、タイミング生成手段に制御信号を送り、この制御信号に応じた周波数のタイミング信号を生成し、このタイミングに応じて固体撮像素子を駆動するうちで、選択した感度設定に応じて水平転送信号の周波数を通常の周波数より低く生成することにより、読出し完了までの時間を要する駆動が行われても、感度設定にともない生成される信号電荷量、すなわち電子数の減少が少ない特性になっていることから、1段あたりの転送効率が向上する。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に添付図面を参照して本発明による固体撮像装置の一実施例を詳細に説明する。
【0014】
本実施例は、本発明の固体撮像装置をディジタルカメラ10に適用した場合である。本発明と直接関係のない部分について図示および説明を省略する。以下の説明で、信号はその現れる接続線の参照番号で指示する。
【0015】
ディジタルカメラ10は、図1に示すように、光学系12、撮像部14、前処理部16、信号処理部18、システム制御部20、操作部22、タイミング信号発生器24、ドライバ26、モニタ28およびストレージ30を含んでいる。
【0016】
光学系12には、図示しないがメカニカルシャッタ、光学系レンズ、ズーム機構、絞り調節機構、およびオートフォーカス(AF: Automatic Focus)調節機構が含まれている。光学系12は、光学レンズを上述した各種の機構を調整して入射光を撮像部14に送る機能を有している。
【0017】
ズーム機構は、図示しないが被写界の画角を調整する。AF調節機構は、複数の光学レンズの配置を自動的に変位調節して被写体を焦点の合った位置関係に調節する機構である。機構のそれぞれには、上述した位置に光学レンズを移動させるためモータが配設されている。これらの機構は、各モータにドライバ26からそれぞれ供給される駆動信号32に応動して動作している。
【0018】
絞り調節機構は、具体的に図示しないが入射光量を調節するAE(Automatic Exposure)調節機構であり、ドライバ26からの駆動信号34に応じてリング部を回転させる。リング部は、羽根を部分的に重ならせてアイリスの形状を丸く形成し、入射する光束を通すようにアイリスを形成する。このようにして絞り調節機構はアイリスの口径を変えている。絞り調節機構は、メカニカルシャッタをレンズシャッタとして光学系レンズに組み込んでもよい。
【0019】
メカニカルシャッタは、撮像部14に撮影のとき以外に光が照射されないように遮光するとともに、露光の開始と終了により露光時間を決める機能を有している。メカニカルシャッタには、たとえば一眼レフカメラで使用されているようなフォーカルプレン式がある。この方式は、シャッタ幕が縦または横に走り、この瞬間にできるスリットで露光を行うものである。また、上述したようにレンズシャッタ式を用いてもよい。メカニカルシャッタは、ドライバ26から供給される駆動信号36に応じてシャッタを開閉する。
【0020】
撮像部14は、図示しないが光学ローパスフィルタおよび色フィルタが配された固体撮像素子38を備えている。光学ローパスフィルタは、入射光の空間周波数をナイキスト周波数以下にするフィルタである。固体撮像素子38は、電荷結合素子(CCD: Charge Coupled Device)で蓄積した信号電荷を垂直転送路に読み出すトランスファゲート(TG: Transfer Gate)が配設されている。固体撮像素子38にもドライバ26から駆動信号40が供給されている。駆動信号40は、固体撮像素子38の動作モードに応じた水平駆動信号、垂直駆動信号およびOFD(Over Flow Drain)信号等である。撮像部14は、固体撮像素子38から得られたアナログ電圧信号42を前処理部16に出力する。
【0021】
ここで、本実施例の固体撮像素子38は、複数の感度設定が可能なものである。ディジタルカメラ10は、複数の感度設定をグループに分けてたとえば、ISO感度100〜400程度の範囲を低感度モード、ISO感度800以上を高感度モードとする感度モード設定を行う機能を有している。さらに後段で固体撮像素子38の駆動について説明する。
【0022】
前処理部16には、ノイズ除去に相関二重サンプリング(Correlated Double Sampling: CDS)回路、ゲイン調整アンプ(GCA: Gain-Controlled Amplifier)、およびA/D変換器(Analog-to-Digital Converter)が含まれている。CDS回路には、タイミング信号発生器24からサンプリング信号としてCDSパルス44が供給され、A/D変換器には、変換クロック信号46が供給されている。前処理部16は、供給されるアナログ信号42に対してノイズ除去、波形整形、ディジタル化を行って得られた撮像データのすべてをディジタルデータ(画像データ)48として信号処理部18に出力する。
【0023】
信号処理部18は、AWB(Automatic White Balance)回路(図示せず)を含む評価値算出部50の他、図示しないが、ガンマ変換部、同時化処理部、補正部、圧縮/伸長処理部、カードインタフェース部、画像縮小部および画像メモリ等を有している。評価値算出部50は、たとえば予備測光等において供給されるガンマ補正後の画像データに基づいて絞り値・シャッタ速度、ホワイトバランス調整値および階調補正値を算出する演算回路を含み、この演算回路にて、供給される画像データを基に適切な各パラメータを演算処理により積算値を算出する。本実施例において信号処理部18は、算出された積算値52をパラメータとしてシステム制御部20に供給する。とくに、評価値算出部50においてAWBは、予備測光において供給されるディジタルデータ48の内、画像を構成する所定の領域のWBゲインを決定する機能を有している。
【0024】
なお、評価値算出部50は、信号処理部18への配設に限定することなく、システム制御部20に配設するようにしてもよい。このとき、信号処理部18は、ガンマ補正した画像データをシステム制御部20に供給すればよい。
【0025】
信号処理部18には、一般に画像信号としてディジタルデータ48がデータバスを介して画像メモリに供給される。信号処理部18における制御は、制御バスを介してシステム制御部20から供給される制御信号54に応じて制御される。信号処理部18には、タイミング信号発生器24から図示しないタイミング信号が供給されている。このタイミング信号は、水平同期信号HD、垂直同期信号VDおよび後述する各部の動作クロック等を含んでいる。
【0026】
前述した各構成について簡単に説明すると、ガンマ変換部は、たとえばガンマ補正用のルックアップテーブルを有している。ガンマ変換部は、画像メモリから供給される画像データをルックアップテーブルのデータを用いてガンマ補正する。ガンマ変換部は、ガンマ補正した画像データを画像メモリに格納する。
【0027】
本実施例のように撮像部14に単板式の原色の色フィルタを使用していることから、実際に受光素子(実画素)が配設されていても、配設された色フィルタセグメント以外の色に対応した画素データは存在しない。そこで、同時化処理部は、対象の画素に対して色フィルタセグメントにない原色を周囲の画素データを用いて補間により算出する演算回路を有している。この演算回路により、対象の画素に対する3つの原色が同時に揃えることができる。この処理を同時化と呼んでいる。
【0028】
また、ディジタルカメラ10が撮像部14に、いわゆるハニカム配列の固体撮像素子を配設していると、実際には受光素子のない仮想画素が設定されることになる。同時化処理部は、この仮想画素についても周囲の実画素や補間により得られた画素データを駆使することによって新たな画素データを生成してもよい。同時化処理部は、色Gの画素データや輝度データYを用いて補間処理し、生成する画素データを広帯域化してもよい。同時化した画像データが画像メモリに供給される。
【0029】
補正部は、同時化した3原色の画像データに所定の係数を乗算し、色差マトリクス処理を行う。また、補正部は、この他にも生成した輝度データYに対して輪郭強調処理を施したり、生成した色データCb, Crに色強調処理を施す機能を有している。補正部は、輝度データY、色データ(色差データ)Cb, Crの画像データを画像メモリに供給する。なお、RAWデータ記録する場合、補正部および圧縮/伸長処理部の処理は行わない。
【0030】
圧縮/伸長処理部は、静止画や動画(ムービ)モードにおいて供給される画像データ(Y/C)や色差データ等にJPEG(Joint Photographic coding Experts Group)やMPEG(Moving Picture coding Experts Group)-1, MPEG-2等の規格でそれぞれ、圧縮処理を施す。圧縮/伸長処理部は、圧縮処理した画像データをカードインタフェース部に供給する。カードインタフェース部は、ストレージ30のカード記録媒体との書込み/読出しにおける電気的な特性を調整したり、タイミング調整したりする機能を有し、処理された画像データ56をストレージ30に出力している。また、圧縮/伸長処理部は、ストレージ部30に記録した画像データ56を読み出し、カードインタフェース部を介して伸長処理を施す。この伸長処理は、圧縮処理の逆処理である。
【0031】
画像縮小部は、生成した画像データや再生にともなって伸長した画像データ(Y/Cや色差データ)に対してRGB変換を行い、このRGB変換した画像データをモニタ28が表示可能な画素サイズにする機能を有している。画像表示におけるサイズは、間引き処理によって破綻のない画像を生成する。画像縮小部は、生成した画像データ58をモニタ28に供給する。
【0032】
画像メモリには、ディジタルデータ(画像データ)48が入力され、一時的に記憶される。また、画像メモリは、前述した各処理では一時記憶した画像データが読み出され、処理後に書き込まれている。画像メモリは、繰り返し読出しを行う場合、不揮発性メモリを用いることが好ましい。
【0033】
この他、信号処理部18は、図示しない信号発生回路を制御信号に応動して動作させる。信号発生回路は、複数の周波数を生成することができるPLL(Phase Locked Loop)回路を有している。信号発生回路は、源発の発振周波数を基準クロックとして逓倍して複数種類のクロック信号を生成し、図示しないがシステム制御部20およびタイミング信号発生器24に出力している。
【0034】
システム制御部20は、カメラ全体の汎用な部分やディジタル処理を行う部分を制御するマイクロコンピュータまたはCPU(Central Processing Unit)である。システム制御部20は、シーン判別部60や図示しないが係数を格納するEEPROMや動作手順の指示プログラムを格納するROM(Read Only Memory)等を含んでいる。シーン判別部60は、ソフトウェア的な処理が可能な処理部で、供給される積算値52とあらかじめ設定した所定の積算値とを比較し、この比較結果に応じてタイミング信号発生器24やドライバ26を制御する。
【0035】
システム制御部20は、操作部22から供給されるモードや操作のトリガを指示する指示信号62を受けて、指示信号62に応じてディジタルカメラ10を静止画撮影モード、動画撮影モード、低感度モードおよび高感度モード等に設定し、図示しないレリーズシャッタボタンから撮像タイミングの報知を受けて、積算値52に応じた制御信号54, 66, 68をそれぞれ、生成する。生成した制御信号54, 66, 68は、それぞれ、信号処理部18、タイミング信号発生器24およびドライバ26に供給される。
【0036】
システム制御部20は、信号処理部18内におけるライン補間や信号発生回路に対する制御および信号処理を行う上での制御も考慮した制御信号54を生成し、ストレージ30における制御信号70により読出し/書込み制御も行っている。また、図示しないが、システム制御部20は、前処理部16における動作タイミング制御も行っている。
【0037】
操作部22は、図示しないがモード選択部およびレリーズシャッタボタンを含んでいる。モード選択部は、静止画撮影モードおよび動画撮影モード、ならびに低感度モードおよび高感度モード等のようにいくつかあるモードのうち、いずれのモードにするか選択を行う。この低感度モードおよび高感度モードの選択は、ISO感度を考慮して対応設定することになる。また、モード選択は、たとえばISO感度100〜1600まで設定することができる。モード選択部は、選択したモードを指示信号62としてシステム制御部20に出力する。
【0038】
レリーズシャッタボタンは、2段階のストロークを有するボタンで、第1段のストロークでディジタルカメラ10を予備撮像の段階(S1)にし、第2段のストロークで本撮像の段階(S2)にするトリガタイミングを指示信号62としてシステム制御部20に出力する。操作部22には、この他、ズーム選択スイッチおよび十字ボタンを設けてもよく、液晶表示パネルに表示される条件を選択する機能を持たせてもよい。
【0039】
タイミング信号発生器24は、タイミング信号の動作周波数を生成する発振器(SG: Signal Generator)72を含む。SG 72は、制御信号66に応じて発振周波数を変える機能を有している。SG 72は、たとえばとくに水平転送信号の生成において通常に使用する第1周波数とこの周波数の半分程度に低下させた第2周波数を発振する。タイミング信号発生器24は、低感度モードで第1周波数と、高感度モードで第2周波数とに基づく水平転送信号を生成し、ドライバ26に供給している。具体的に、第1周波数をたとえば6 MHz と設定し、第2周波数を第1周波数の半分である 3 MHz と設定する周波数関係にするとよい。
【0040】
また、タイミング信号発生器24は、基準とするクロック信号(図示せず)を基に各種のタイミング信号を生成する。タイミング信号には、水平転送信号の他、垂直同期信号、水平同期信号、フィールドシフトパルス、垂直転送信号、および電子シャッタパルス等がある。また、タイミング信号発生器24は、CDSパルス44および変換クロック信号46も生成して前処理部16に供給している。タイミング信号発生器24は、これら生成した垂直同期信号、水平同期信号、フィールドシフトパルス、垂直転送信号、水平転送信号および電子シャッタパルスを含むタイミング信号74をドライバ26に供給している。
【0041】
ところで、固体撮像素子に供給する駆動パルス信号の周波数を読取り動作期間と読取り待機期間とで切り換えて固体撮像素子およびその周辺回路での発熱量を後者の期間中に抑制して固体撮像素子を駆動させる画像読取り装置の構成が提案されている(特許文献1を参照)。この構成は、各期間に応じた周波数の駆動パルス信号を供給するように2つの発振器2, 3を設け、2つの発振器2, 3がそれぞれに出力する発振クロックをスイッチング回路4の端子に供給する。スイッチング回路4は、読取り制御回路6からの制御信号に応じて端子の一つに切り換えてCCD駆動パルス発生回路7に発振クロックを供給している。
【0042】
特許文献1の構成は、本実施例のタイミング信号発生器24の構成と複数の周波数を生成し、使用期間に応じて生成した周波数を異ならせる点で類似している。しかしながら、特許文献1は発熱にともない生じる不安定な画質を向上させるものであり、本実施例のタイミング信号発生器24は信号電荷の読出しにより生じる色ずれ対策に基づくものであり、その発想はまったく違うものである。特許文献1を本実施例に適用しても、本実施例の混色は改善されない。
【0043】
ドライバ26は、供給されるタイミング信号74や制御信号68を基に駆動信号32〜36, 40を生成する駆動回路を有している。ドライバ26は、制御信号68を基に駆動信号32, 34, 36を光学系12の光学レンズおよび絞り調節機構にそれぞれ供給してAF調節やAE調節を行わせる。ドライバ26は、操作部22のレリーズシャッタボタンから供給される本撮像のタイミングに応動してメカニカルシャッタの開閉を行う駆動信号36をメカニカルシャッタに出力する。
【0044】
また、ドライバ26は、タイミング信号74を基に生成した駆動信号40を撮像部14の固体撮像素子38に供給し、各受光素子の感光領域に信号電荷を露光期間中に蓄積させ、蓄積した信号電荷を前述した条件に応じた制御により垂直転送レジスタに読み出して、水平転送レジスタに転送させ、さらに水平転送レジスタ、出力アンプを経てアナログ電圧信号42を出力している。
【0045】
本実施例のドライバ26は、制御信号68に応じて駆動信号40の内、水平駆動電圧を変化させている。図示しないが、ドライバ26は、水平駆動信号を出力する駆動回路に供給する電圧を2種類設けて、切換スイッチの一端側に高電圧を印加し、他端側に低電圧を印加する。切換スイッチは、制御信号68により切り換える。本実施例で印加する電圧範囲は3V〜5Vの範囲である。水平駆動信号を出力する駆動回路には、高感度モードで高電圧(5V)を供給し、低感度モードで低電圧(3V)を供給するように切り換える。この構成は、タイミング信号発生器24がISO感度設定に対応していない場合、有効である。すなわち、ISO感度設定に対応した水平駆動信号の生成は、タイミング信号発生器24およびドライバ26のいずれか一方に備えていればよい。
【0046】
モニタ28は、図示しない表示コントローラにより供給される画像データ58が表示デバイスにて動作することにより画像表示される。モニタ28には、一般的に液晶モニタが用いられる。液晶モニタには、液晶表示コントローラが配設されている。液晶コントローラは、画像データ58を基に液晶分子の並び方や電圧の印加によりスイッチング制御している。この制御により液晶モニタは、画像を表示する。モニタ28は、液晶モニタに限定されず、小型、画像の確認および電力の消費が抑えられる表示機器であれば、十分に用いることができることは言うまでもない。
【0047】
ストレージ30は、半導体メモリ等を記録媒体として用いて、信号処理部18から供給される画像データ56を記録する。記録媒体には、光ディスクや光磁気ディスク等を用いてもよい。ストレージ30は、各記録媒体に適したピックアップやピックアップと磁気ヘッドを組み合わせて記録再生用ヘッドを用いてデータの書込み/読出しを行う。データの書込み/読出しは、図示しないがシステム制御部20の制御に応じて行われる。
【0048】
この構成によりISO感度または感度モードに応じて水平転送信号の周波数を切り換えて1段あたりの転送効率を向上させて、画質劣化の影響を抑えている。
【0049】
次にディジタルカメラ10の動作について図2および図3を参照しながら説明する。図2に示すディジタルカメラ10には、電源投入後、自動的に初期設定が施される。また、図示しないが、ユーザは、ディジタルカメラ10の操作部22を介してISO感度の設定をマニュアル操作により設定する。このとき、ディジタルカメラ10は、設定したISO感度から感度のモードを低感度モードおよび高感度モードのいずれか一方のモードに設定する。
【0050】
このような設定の後、ディジタルカメラ10は、予備測光の操作が行われたか否かを判断する。すなわち、操作部22のレリーズシャッタボタンが第1段ストローク分、押圧操作(S1操作)されたかを判断する(ステップS10)。S1操作されていない場合(NO)、この判断工程で待機する。S1操作された場合(YES)、駆動周波数決定処理に進む(サブルーチンSUBへ)。
【0051】
駆動周波数決定処理では、簡単に決定する場合、感度モードで判断する。高感度モードで駆動周波数を低い周波数に設定し、低感度モードでは高感度モードの駆動周波数より高い周波数にする。単に感度モードで判断するのでなく、個々の画像に応じて駆動周波数を決定するようにすることがより好ましい。この観点での処理についてはさらに後段で説明する。
【0052】
次に本撮像の指示の有無を判断する(ステップS12)。本撮像は、操作部22のレリーズシャッタボタンが第1段ストロークよりも深い第2段ストロークまで押圧操作(S2操作)されたか否かを判断する。S2操作されていない場合(NO)、この判断工程で待機する。S2操作された場合(YES)、ディジタルカメラ10は、図示していないがシステム制御部20にて予備測光のパラメータに基づいて固体撮像素子38を制御し、露出を開始する。露出の終了は、たとえばメカニカルシャッタの閉じるタイミングで決まる。
【0053】
この露出後、露出期間中に蓄積した信号電荷を読み出す(ステップS14)。固体撮像素子38の水平転送レジスタ(図示せず)に供給される水平駆動信号は、前述のサブルーチンにて決定した駆動周波数で供給されている。固体撮像素子38を低い周波数(または高感度モード)で水平駆動し、読出し時間を要しても、信号電荷量(電子数)の減少が少ないことから、画質を保つことができる。
【0054】
また、この場合、信号電荷量が少ないと、信号電荷の水平転送中に生じる極微量の残留電荷の影響は相対的に大きい。このような混色に対しては、固体撮像素子38に使用する色フィルタセグメントの色毎に水平転送レジスタを設ける。3原色RGBの場合、3つの水平転送レジスタと、各水平転送レジスタとの間にシフトゲートとを設けて同色同士の信号電荷をに転送するとよい。従来の転送段数分、混色が発生した信号電荷読出しに比べて混色の機会を大幅に減らすことができる。ポテンシャル井戸の形成は、画像として読み出す順序を考慮して行うとよい。
【0055】
なお、垂直転送レジスタの駆動は、色フィルタセグメントの色配列を考慮して行うことは言うまでもない。たとえばGストライプRB完全市松パターンの場合、ディジタルカメラ10は、低感度モードで全画素読出しを行い、高感度モードでインタレース読出しを行う。後者の読出しは、各フィールドの読出しが同色の信号電荷による電荷混合になることから、混色が生じず、画質劣化を起こさない。
【0056】
読み出した信号電荷は、固体撮像素子38の出力アンプ(フローティングディフュージョンアンプ)に供給され、アナログ電圧信号42に変換される。アナログ電圧信号42が前処理部16を介して得られたディジタルデータ48を信号処理部18に送る。
【0057】
信号処理部18では、供給されるディジタルデータ48にガンマ補正等の処理、マトリクス処理および圧縮処理を施し、輝度データおよび色差データを生成する(ステップS16)。また、信号処理部18では、マトリクス処理後の輝度データおよび色差データからモニタ表示用のRGBのデータを画像縮小部にて生成する。
【0058】
次に前者の圧縮した画像データ56をストレージ30に配設されている記録媒体に記録する(ステップS18)。そして、後者の画像縮小した画像データ58をモニタ28に表示する(ステップS20)。このように記録・表示を経てディジタルカメラ10における1枚の撮影処理を終了する。
【0059】
次に駆動周波数決定処理の手順を説明する。図3に示すように、予備測光を行う(サブステップSS10)。予備測光は、固体撮像素子38に配設された受光素子の内、有効画面領域を分割して複数のエリアを設け、各エリアのRGB積算値をそれぞれ読み取る。
【0060】
次に予備測光から得られたRGBそれぞれのデータに対するホワイトバランスを調整し、決定する(サブステップSS12)。この決定は、評価値算出部50で行う。各ゲインは、たとえばR:G:Bの比で表す。
【0061】
この後、シーン判別部60で混色の目立つ画像か否か判断する(サブステップSS14)。混色は、白色やグレーの領域で目立つ傾向が知られている。判断には、各エリアのRGB積算値と決定したホワイトバランスゲインとを乗算した対象値を使用する。また、あるグレーの領域が多い画像におけるRGB積算値とホワイトバランスゲインとを乗算した値を所定の閾値としてあらかじめ設定する。この判断は、各エリアのRGB積算値とWBゲインR:G:Bの逆数比(1/R:1/G:1/B)とがほぼ等しい関係において、対象値と閾値とを比較する。
【0062】
測定する画像における対象値が閾値より大きいとき混色の目立つ画像と判断して(YES)、遅い駆動周波数設定に進む(サブステップSS16へ)。また、この対象値が閾値以下のとき混色が目立たない画像と判断する(NO)。これに応じて通常の駆動周波数設定に進む(サブステップSS18)。
【0063】
遅い駆動周波数設定では、たとえば対象の画像に対してフラグを0に設定する(サブステップSS16)。また、通常の駆動周波数設定では、たとえば対象の画像に対してフラグを1に設定する(サブステップSS18)。このフラグを制御信号66としてSG 72に出力する。この出力後、リターンに移行してサブルーチンを終了する。
【0064】
なお、本実施例で通常の駆動周波数を低感度モードに設定したが、高感度モードに設定してもよい。この場合、低感度モードの周波数は、通常の駆動周波数に比べて2倍程度高い周波数を生成するように設定するとよい。
【0065】
以上のように構成することにより、水平転送における駆動周波数を感度設定に応じて切換制御して混色の影響を大幅に低減することができる。この混色の影響は、駆動周波数に限定されるものでなく、駆動電圧の切換制御でも同様に抑制することができる。
【0066】
これにより、同じ被写体を撮影しても感度により色味が異なる問題を改善することができる。
【0067】
また、RGBの積算値とあらかじめ設定した閾値とを比較することにより、単に感度設定するよりも、実際の画像が有する混色の発生の可能性に則して判断することができる。
【0068】
【発明の効果】
このように本発明の固体撮像装置によれば、選択手段で感度設定し、この設定した情報をシステム制御手段に供給し、システム制御手段にてこの感度設定に応じた制御信号を生成し、タイミング生成手段に制御信号を送り、この制御信号に応じた周波数のタイミング信号を生成し、このタイミングに応じて固体撮像素子を駆動するうちで、選択した感度設定に応じて水平転送信号の周波数を通常の周波数より低く生成して、読出し完了までの時間を要する駆動が行われても、感度設定にともない生成される信号電荷量、すなわち電子数の減少が少ない特性を反映させて1段あたりの転送効率を向上させて、混色の影響を大幅に低減することができる。これにより、多画素化およびシステムの高感度化にともなう画質劣化しない固体撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る固体撮像装置を適用したディジタルカメラの概略的な構成を示すブロック図である。
【図2】図1のディジタルカメラにおける動作手順を説明するフローチャートである。
【図3】図2に示したサブルーチンの具体的な動作手順を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
10 ディジタルカメラ
12 光学系
14 撮像部
16 前処理部
18 信号処理部
20 システム制御部
22 操作部
24 タイミング信号発生器
26 ドライバ
38 固体撮像素子
50 評価値算出部
60 シーン判別部
72 SG(信号発生器)
Claims (5)
- 被写界からの入射光を光電変換し、読み出された撮像信号に信号処理を施して画像信号を得る固体撮像装置であって、該装置は、
前記入射光を光電変換して信号電荷を生成する複数の受光素子が2次元に配設され、該受光素子のそれぞれが複数の感度設定のうちの一つに対応して信号電荷を生成し、該受光素子のそれぞれにて蓄積した信号電荷を垂直方向に転送する垂直転送路に読み出し、該信号電荷を該垂直転送路および該垂直転送路に対して水平方向に配設された水平転送路と順次転送して撮像信号として読み出す固体撮像素子と、
前記複数の感度設定のうち、一つの感度設定を選択し、該選択した感度設定を情報として出力する選択手段と、
該選択した感度設定の情報に応じた制御信号を生成するシステム制御手段と、
該制御信号に応じた前記固体撮像素子における前記信号電荷の転送タイミング信号を生成するタイミング生成手段とを含み、
さらに、該タイミング生成手段は、水平方向に前記信号電荷を転送する水平転送信号に用いる周波数の信号が複数生成可能にあって、選択した前記感度設定が所定の感度より高い感度で用いる前記水平転送信号の周波数に、前記所定の感度より低い感度で用いる前記水平転送信号の周波数より低い周波数を選択して、用いることを特徴とする固体撮像装置。 - 請求項1に記載の装置において、該装置は、前記タイミング生成手段から供給されるタイミング信号を供給先の駆動に応じた電圧に変換して出力する駆動変換手段を含み、
該駆動変換手段は、前記感度設定における前記高い感度の選択に応じて水平方向の駆動電圧を上げて、出力することを特徴とする固体撮像装置。 - 請求項1または2に記載の装置において、該装置は、前記固体撮像素子からの前記撮像信号を画像とし、該画像を領域毎に分けてそれぞれ白色バランスを測定し、該測定に応じて領域の画像に対する色毎のゲインを調整するゲイン調整手段を含み、
前記システム制御手段は、該各領域に含まれる画素に対応する色毎の積算値を生成し、さらに、該積算値と前記色毎のゲインとを乗算して対象値を生成し、該積算値と前記色毎のゲインの逆数比とがほぼ等しい関係において、前記対象値と所定の閾値とを比較して該画像のシーンを判別し、判別した結果と前記感度設定とのいずれかに応じて前記タイミング信号に関する前記制御信号を生成することを特徴とする固体撮像装置。 - 請求項3に記載の装置において、前記システム制御手段は、該画像のシーンが色ずれの目立つシーンとの判別に応じて前記タイミング信号の周波数を低くする制御信号を生成することを特徴とする固体撮像装置。
- 請求項3に記載の装置において、前記システム制御手段は、該画像のシーンが色ずれの目立つシーンとの判別に応じて前記駆動変換手段の出力電圧を上げる制御信号を生成することを特徴とする固体撮像装置。
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