JP3999691B2 - 衛星信号受信伝送システム及び衛星信号再送信装置 - Google Patents

衛星信号受信伝送システム及び衛星信号再送信装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、衛星放送或いは衛星信号を受信して伝送する衛星信号受信伝送システムに関し、特に周波数帯が重複している2衛星の信号を受信する衛星信号受信伝送システム、及びそのシステムに好適な衛星信号再送信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
放送,通信に利用されている衛星としてはBS衛星、CS衛星の他、スカイパーフェクTV(登録商標)として利用されているJCSAT−3、JCSAT−4等の衛星が知られているが、放送,通信に使用されている衛星数は更に増加する傾向にある。このような衛星放送を受信する衛星放送システムとして、例えばBS,JCSAT−4衛星信号を地上波放送信号と共に1本の信号ケーブルで伝送すると共に、互いに周波数帯に重なり部を有する2つの衛星信号(例えば、JCSAT−3衛星信号とCS信号)を夫々異なる信号ケーブルで伝送し、4つの衛星信号及び地上波放送信号を合計3本の信号ケーブルで伝送して受信する構成のシステムが開示されている(特許文献1)。
【0003】
また、衛星から送信された放送信号を受信するための第1のアンテナと、このアンテナにより受信された放送信号を少なくとも増幅して受信放送信号と同一周波数からなる送信放送信号を出力するための無線回路部と、この無線回路部から出力された送信放送信号を受信する第2のアンテナからなり、衛星からの放送信号を直接受信できない不感エリアでも、大掛かりな設備を設けることなく確実に受信させることができるようにした衛星放送システムが案出されている(特許文献2)。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−298810号公報
【特許文献2】
特開平10−308695号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1のシステムは受信衛星数に対して1本少ない信号ケーブルで受信端に伝送できるものの、3本の信号ケーブルが必要であるため、信号ケーブルの引込み及び配線は厄介であるし、各部屋には夫々の信号ケーブルに対応した3個のテレビ端子が必要であった。更に、JCSAT−3とJCSAT−4の双方の信号を受信する場合は受信信号を切替える衛星切替手段が各テレビ端子毎に必要であった。
【0006】
また、特許文献2のシステムでは、再送信装置としてのギャップフィラー装置が同一の周波数で再送信するものであるため、受信端の規格周波数に対応できないことがあり、その場合には受信側の既存設備を利用できなかった。さらに周波数の重複する衛星を使用した場合には、新たに個別のケーブル敷設が必要となり設置作業に手間が掛っていた。
【0007】
さらに、再送信装置としては、重複する周波数を有する異なる偏波の組から成る衛星の信号を2組用いて、重複部分の無い配列に一列に周波数変換して無線伝送するものが知られている。しかし、この場合には、衛星毎に1GHz幅に周波数変換するため、合わせて2GHzの帯域幅が必要となる。従って、増幅器、混合器等の適用帯域幅を広くしなければならず、必要な部品点数が多くなると共に高価な部品が必要となり、製造コストが増加する問題があった。
【0008】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、設置作業が簡単にでき、無線伝送信号を狭帯域化できる衛星信号受信伝送システム及び衛星信号再送信装置の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明による衛星信号受信伝送システムは、12.20GHz〜12.75GHzの周波数帯の重複する周波数を有する垂直偏波および水平偏波の組から成る第1の衛星信号を受信する第1衛星受信アンテナと、12.20GHz〜12.75GHzの周波数帯の重複する周波数を有する垂直偏波および水平偏波の組から成る第2の衛星信号を受信する第2衛星受信アンテナと、BS衛星信号および110°CS衛星信号を受信し、内蔵されたコンバータで、BS衛星信号を1032MHz〜1489MHzに周波数変換するとともに、110°CS衛星の右偏波信号および左偏波信号を1595MHz〜2071MHzおよび2126MHz〜2602MHzに周波数変換して、住戸に引き込まれた1本の信号ラインに出力する第3衛星受信アンテナと、第1衛星受信アンテナで受信した衛星信号を、同一の周波数帯のまま住戸に無線送信する第1再送信アンテナと、第2衛星受信アンテナで受信した衛星信号を第1衛星受信アンテナで受信した衛星信号とは異なる11.00GHz〜11.55GHzの周波数帯に第1周波数変換部によって周波数変換し、第1周波数変換部の出力信号を住戸に無線送信する第2再送信アンテナと、第1再送信アンテナから無線送信された第1衛星受信アンテナの出力信号を住戸で再受信し垂直偏波信号と水平偏波信号とに偏波分離する第1再受信アンテナと、第2再送信アンテナから無線送信された第1周波数変換部の出力信号を住戸で再受信し垂直偏波信号と水平偏波信号とに偏波分離する第2再受信アンテナと、第1再受信アンテナまたは第2再受信アンテナの垂直偏波信号および水平偏波信号のうち、垂直偏波信号を1048MHz〜1533MHzの周波数帯に周波数変換するとともに、水平偏波信号を1590MHz〜2070MHzの周波数帯に周波数変換する第2周波数変換手段と、を備えて構成される。
【0011】
請求項の発明による衛星信号再送信装置は、前記第1送信アンテナと前記第2送信アンテナとの内、少なくとも一方の主ローブの半値角が、無線伝送の対象となる前記第1受信アンテナ及び第2受信アンテナの主ローブの半値角よりも大きいものであるように構成される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る衛星信号受信伝送システムのブロック図を示し、図2(a)〜図2(d)はこのシステムにおける受信周波数の変化を説明する周波数スペクトラムを示している。
【0015】
図1において、1はVHFアンテナ、2はUHFアンテナ、3はBS信号及び110・CS信号を受信する第3の衛星受信アンテナであり、VHF受信信号とUHF受信信号は混合器4で混合され、混合機能を有する第1ブースタ5に入力される。また、第3の衛星受信アンテナ3で受信したBS,CS信号は内蔵するコンバータにより図2(a)に示す周波数帯にIF変換されて出力され、第1ブースター5に入力される。具体的には、BS信号(BS)は1032〜1489MHzの周波数帯にIF変換され、CS右偏波信号(CS−R)は1595〜2071MHzにIF変換され、CS左偏波信号(CS−L)は2126〜2602MHzにIF変換される。
【0016】
第1ブースター5の出力は1本の信号ケーブル10で伝送され、例えば引込む住戸の数に応じて分岐器6a,6bにより分岐して引込まれ、引込まれた住戸内では分配器7が設けられ、例えば部屋数に応じて分配されている。そして分配された各信号は受信端となるテレビ端子11のうち一方の第1テレビ端子11aに接続される。この第1テレビ端子11aには分岐器24が設けられ、一方の分岐出力がBS/CSチューナ25に接続されてテレビ受像機26に接続され、他方の分岐出力は直接テレビ受像機26に接続される。こうして地上放送及びBS,CS信号が受信できる。
【0017】
図3に示すように、12は、JCSAT−3衛星からの衛星信号、すなわち重複する周波数を有する異なる偏波の組の衛星信号として、12.20〜12.75[GHz]の周波数帯f1の垂直偏波信号(以下「V1信号」とする)及び水平偏波信号(以下「H1信号」とする)の組の衛星信号(図2(b)参照)を受信する第1衛星受信アンテナである。第1衛星受信アンテナ12は、これらの衛星信号の受信部としての第1受信フィードホーン部41と、第1受信フィードホーン部41から入力されたV1信号及びH1信号を偏波分離する直交偏波分離用分波器(以下「第1OMT」とする)42と、第1OMT42の分波出力信号をV1信号用及びH1信号用の夫々の伝送線に伝送するための第1同軸導波管変換器43,43とから構成されている。第1衛星受信アンテナ12は、受信したV1信号及びH1信号を同一の周波数帯域のまま、受信側としての住戸に無線伝送するための第1送受信装置44に接続されている。
【0018】
第1送受信装置44は、第1衛星受信アンテナ12から出力されたV1信号及びH1信号を受信側に無線送信する第1再送信装置45と、第1再送信装置45から無線送信されたV1信号及びH1信号を受信するために、例えば住戸に設置された再受信装置46とから構成されている。
【0019】
第1再送信装置45は、V1信号及びH1信号を夫々の分離した伝送線上で増幅すると共に不要信号を除去する第1低雑音増幅器(以下「第1LNA」)47と、伝送ケーブル16a,16aと、合成したV1信号及びH1信号を再送信する第1再送信アンテナ51とから構成されている。ここで、第1LNA47は、請求項5に記載の第2無線回路部を構成する。この第1LNA47は、V1信号及びH1信号の各伝送線上に、増幅機能を備えた増幅器47a,47aと不要な信号成分の除去機能を備えたBPF47b,47bとを配置して構成されている。
【0020】
第1再送信アンテナ51は、第1受信フィードホーン部41から入力されたV1信号及びH1信号を合成する第1直交偏波合成器(以下「第1合成器」とする)48と、合成されたV1信号及びH1信号の再送信部である第1送信フィードホーン部49とから構成されている。
【0021】
第1衛星受信アンテナ12の第1同軸導波管変換器43から出力されたV1信号及びH1信号は、第1LNA47に入力され、増幅器47a,47aで送信可能な状態に増幅され、BPF47b,47bを介して、第1再送信アンテナ51の第1合成器48に入力される。そして第1合成器48で合成されたV1信号及びH1信号は、図2(c)の周波数スペクトラムに示す周波数帯12.20〜12.75[GHz]の周波数帯f3及びf4のV1信号及びH1信号として、第1送信フィードホーン部41から住戸の再受信装置46に再放射される。
【0022】
一方、図4に示すように、13はJCSAT−4衛星、すなわち重複する周波数を有する異なる偏波の組の衛星信号として、12.20〜12.75[GHz]の周波数帯f2の垂直偏波信号(以下「V2信号」とする)及び水平偏波信号(以下「H2信号」とする)の組の衛星信号(図2(b)参照)を受信する第2衛星受信アンテナである。第2衛星受信アンテナ13は、第1衛星受信アンテナ12と同様に、第2受信フィードホーン部61と、第2OMT62と、第2同軸導波管変換器63とから構成され、第2衛星受信アンテナ13は、受信したV2信号及びH2信号を第1衛星受信アンテナ12のV1信号及びH1信号とは異なる周波数帯に変換して、受信側としての例えば住戸に無線伝送するための第2送受信装置64に接続されている。
【0023】
第2送受信装置64は、第2衛星受信アンテナ13から出力されたV2信号及びH2信号を受信側に無線送信する第2再送信装置65と、第2再送信装置65から無線送信されたV2信号及びH2信号を受信するために、住戸に設置された再受信装置46とから構成されている。
【0024】
第2再送信装置65は、V2信号及びH2信号を夫々分離した伝送線上で、増幅すると共に不要信号を除去する第2低雑音増幅器(以下「第2LNA」)67と、V2信号及びH2信号の周波数帯をV1信号及びH1信号とは異なる周波数帯に変換する第1周波数変換部としての第1コンバータ部66と、伝送ケーブル16b,16bと、合成されたV2信号及びH2信号を再送信する第2再送信アンテナ68とから構成されている。ここで、第2LNA67と第1コンバータ部66とは、請求項5の第1無線回路部を構成する。この第2LNA67は、V2信号及びH2信号の各伝送線上に、増幅機能を備えた増幅器67a,67aと不要な信号成分の除去するBPF67b,67bとを配置して構成されている。
【0025】
第1コンバータ部66は、V2信号及びH2信号を図2(c)に示す周波数帯f5及びf6に周波数変換するためのローカル周波数を生成する局部発振器66aと、ローカル信号を2分配する分配器66bと、BPF66cを介して分配器66bから分配出力されたローカル信号と前段の第2LNA67から出力されたV2信号とを混合してIF変換するミキサ69と、ミキサ69で周波数帯f5のIF−V2信号にIF変換された出力信号をBPF66dを介して増幅する増幅器66eとから構成されている。同様にH2信号も局部発振器66aによって周波数帯f6のIF−H2信号にIF変換される。また第2再送信アンテナ68は、第1再送信アンテナ51と同様に、第2直交偏波合成器(以下「第2合成器」とする)70と、第2送信フィードホーン部71とから構成されている。
【0026】
第2衛星受信アンテナ13の第2同軸導波管変換器63から出力されたIF−V2信号及びIF−H2信号は、夫々、第2LNA67で送信可能な状態に増幅されると共に成形され、第1コンバータ部66でIF−V2信号及びIF−H2信号にIF変換され、第2再送信アンテナ68の第2合成器70に入力される。そして第2合成器70で合成されたIF−V2信号及びIF−H2信号は、図2(c)の周波数スペクトラムに示す周波数帯11.00〜11.55[GHz]の周波数帯f5及びf6のIF−V2信号及びIF−H2信号として、第2送信フィードホーン部71から再受信装置46に再放射される。
【0027】
図5に示すように、再受信装置46は、V1信号及びH1信号の再受信部としての第1再受信アンテナ72と、IF−V2信号及びIF−H2信号の再受信部としての第2再受信アンテナ73と、第1及び第2受信アンテナ72,73の受信信号の内で増幅する信号を信号切替回路74で切替えて出力可能に構成されたRFアンプ部75と、RFアンプ部75の出力信号を周波数変換する第2周波数変換手段としての第2コンバータ部76とから構成されている。
【0028】
第1再受信アンテナ72は、受信したV1信号及びH1信号を偏波分離して個別の伝送線に出力可能に構成され、また第2再受信アンテナ73は、受信したIF−V2信号及びIF−H2信号を偏波分離して個別の伝送線に出力可能に構成されている。RFアンプ部75は、分離出力されたV1信号、H1信号、IF−V2信号及びIF−H2信号を夫々増幅するV1信号用増幅器77a、H1信号用増幅器77b、IF−V2信号用増幅器78a及びIF−H2信号用増幅器78bを備えている。これらの増幅器77a,77b,78a,78bは、増幅動作のON/OFFを切替制御するための制御端子を備え、制御端子はこれらの増幅器77a,77b,78a,78bを切替制御可能に構成された信号切替回路74に接続されている。
【0029】
V1信号用増幅器77a及びH1信号用増幅器77bの出力端は、後段の増幅器77に接続され、その増幅器77の出力端は第2コンバータ部76の一方の入力端子76aに接続されている。第2コンバータ部76は、BPFを介して入力されたV1信号及びH1信号を、図2(d)に示す周波数帯f7のIF−V1信号及びf8のIF−H1信号に周波数変換するためのローカル周波数の第1発振器79を備えている。第1発振器79によって周波数変換されたIF−V1信号及びf8のIF−H1信号は出力増幅器82で増幅されカップリングコンデンサC1を介して第2コンバータ部76の共通出力端子76cから出力される。
【0030】
またIF−V2信号用増幅器78a及びIF−H2信号用増幅器78bの出力端は、後段の増幅器78に接続され、その増幅器78の出力端は第2周波数変換手段としての第2コンバータ76の他方の入力端子76bに接続されている。第2コンバータ76は、IF−V2信号及びIF−H2信号を、図2(d)に示す周波数帯f9のIF2−V2信号及びf10のIF2−H2信号に、さらに周波数変換するためのローカル周波数の第2発信器81を備えている。IF2−V1信号及びIF2−H1信号は出力増幅器83で増幅されカップリングコンデンサC2を介して第2コンバータ76の入出力端子76cから出力される。
【0031】
そして、第2コンバータ76の入出力端子76cは、後述する信号切替器20に接続され、内蔵した分配器により4分配されて出力される。その出力は上記第1テレビ端子11aに隣接して設けられた受信端を構成する第2テレビ端子11bに接続される。また、第2テレビ端子11bはJCSAT−3及びJCSAT−4の衛星信号を受信するJCSAT用チューナ27に接続された後テレビ受像器26に接続される。こうして、JCSAT−3及びJCSAT−4の衛星信号が受信できる。
【0032】
信号切替器20は図6のブロック図に示すように構成され、30は分波器、33aは4分配する第2分配器、33bは4分配する第1分配器、34は出力切替手段である出力切替器である。分波器30は入力された図2(d)に示す受信信号を2分波して2つに分波出力する。第1分波出力30aは図2(d)のf7及びf8の周波数帯即ちJCSAT−3のIF−V1信号及びIF−H1信号を出力し、第2分波出力30bはf9及びf10の周波数帯即ちJCSAT−4のIF2−V1信号及びIF2−H1信号を出力している。そして、第1分波出力30aは第2分配器33aで4分配され、夫々出力切替器34の一方のポートに接続されている。また第1分波出力30bは第1分配器33bで4分配され、出力切替器34の他方のポートに接続されている。
【0033】
出力切替器34はリレーで構成され、受信端の第2テレビ端子11bに接続されるJCSAT用チューナ27から信号線を介して出力される例えばパルス信号からなる衛星識別信号で切替動作する。衛星識別信号は、信号線路に介在させた分離回路35aで分離されてリレー制御回路35bに入力され、リレー制御回路35bを動作させて出力切替器34を切替動作させている。さらに衛星識別信号は、第2コンバータ部76の入出力端子76cから出力端子76dを経由して前段の信号切替回路74に入力され、出力切替器34の切替動作と同期して所要の衛星信号を選択し増幅出力するように切替動作させている。
【0034】
こうして、JCSAT用チューナ27の操作でJCSAT−3の信号とJCSAT−4の信号を選択して受信でき、JCSAT−3の受信信号は規格化された標準の周波数帯に第2コンバータ部76でIF変換出力してJCSAT用チューナ27で受信可能となる。また、JCSAT−4の受信信号は第2衛星受信アンテナの第1コンバータ部66でIF変換した後、受信側の第2コンバータ部76で再びIF変換して、同様に規格化されたJCSAT用チューナ27で受信可能となる。
【0035】
このように、JCSAT−3及びJCSAT−4の衛星信号の偏波の組を変えずにJCSAT−4の衛星信号を周波数変換したので、無線伝送路での無線伝送信号の帯域幅を従来の約2GHz幅に比較して半分の約1GHz幅に狭帯域化できる。従って、広帯域化に対応した高価な部品を使用することなく、製造コストを低減できる。従来の規格化されたチューナで受信することが可能となる。
【0036】
また、本実施形態では、JCSAT−3、JCSAT−4の2衛星に対してビル陰となる等の不感エリアのシステム利用希望者や、伝送ケーブル等を追加して配線工事することが困難なマンション等の居住者等が、JCSAT−3,JCSAT−4の衛星信号を受信できる。一例として、第1及び第2衛星受信アンテナ12,13を、両衛星信号が受信できるビルの屋上に設置し、同屋上から地上の不感エリアに向けて第1及び第2再送信アンテナ51,68を配置すれば、不感エリア内の利用希望者は再受信装置46と信号切替器20とチューナ27(図1の2点鎖線内に示す機器)等を用意することによって、大掛かりな配線作業を無くし、設置作業を簡素化してこれらの衛星信号を受信できる。
【0037】
図7は、第1再送信装置45の第1再送信アンテナ51から放射された無線伝送信号の主ローブの半値角を表す指向性特性図であり、図8は、再受信装置46の第1再受信アンテナ72の主ローブの半値角を表す指向性特性図である。図7及び図8から分かるように、本実施形態に使用された第1再送信アンテナ51の半値角は、第1再受信アンテナ72の半値角よりも大きくなっている。本実施形態では、第1再送信アンテナ51の第1送信フィードホーン部49の開口径を、第1再受信アンテナ72のフィードホーン部の開口径よりも小さく形成することによって実現している。このように、第1再受信アンテナ72の主ローブを絞ったので、JCSAT−3、JCSAT−4から直接入射される衛星信号との混信を防止できる。また、再送信サービスエリアを広くでき、第1再送信アンテナ51の設置位置や設置方向が多少ずれた場合であっても、無線伝送信号の品質を劣化させることなく、再受信側の受信強度を確保できると共に、無線伝送効率を向上できる。
【0038】
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各部の形状並びに構成を適宜に変更して実施することも可能である。
(1)JCSAT−3及びJCSATッ4の衛星信号に加えて、BS信号及び110・CS信号も無線伝送してもよい。例えば、BS信号及び110・CS信号をその周波数帯及び円偏波の組を変更せずに無線伝送する場合には、第3の衛星受信アンテナ3を新たに設けた第3の送受信装置に接続し直すと共に、第1送受信装置44に、V1信号及びH1信号の周波数帯をIF−V2信号、IF−H2信号、BS信号及び110・CS信号の周波数帯とは異なる周波数帯に変換するコンバータ部(請求項2の第2周波数変換部として)を追加配置し、その周波数変換に伴う関連する構成を変更する。こうすれば、いわゆる共同受信設備の元々設けられていないマンション等においても、JCSAT−3及びJCSATッ4の衛星信号、BS信号及び110・CS信号を受信できる。
(2)第1及び第2送受信装置44,64による無線伝送を、直線偏波に限らず、右旋円偏波または左旋円偏波の円偏波を使用しておこなうこともできる。この場合には、第1及び第2再受信アンテナ72,73の偏波面調整が不要になる。また、JCSAT−3、JCSAT−4から直線偏波で直接入射される衛星信号との混信を防止できる。さらに、無線伝送信号がビルの壁面等で反射した場合であっても、伝送による信号品質の劣化を防止できる。また、例えば第1送受信装置44には直線偏波を使用し、第2送受信装置64には円偏波を使用する等、組み合わせて用いても良い。
【0039】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1の発明によれば、システムの設置作業が簡単にでき、無線伝送信号を狭帯域化できる。
【0040】
請求項の発明によれば、再送信アンテナの設置位置や設置方向が多少ずれた場合であっても、再送信側の半値角が広いので、再受信側の受信強度を確保できると共に、無線伝送効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る衛星信号受信伝送システムの実施形態の一例を示すブロック図である。
【図2】図1の受信信号周波数の変化を示す周波数スペクトラムであり、(a)は地上波とIF変換後のBS,CSの伝送信号、(b)はアンテナに入力されるJCSAT−3及びJCSAT−4の衛星信号、(c)はIF変換したJCSAT−4の信号、(d)は更にJCSAT−4の信号をIF変換し、JCSAT−3の信号もIF変換した信号を示している。
【図3】図1の第1再送信装置のブロック図である。
【図4】図1の第2再送信装置のブロック図である。
【図5】図1の再受信装置のブロック図である。
【図6】図1の信号切替器のブロック図である。
【図7】図1の第1再送信アンテナの放射特性図である。
【図8】図1の第1再受信アンテナの放射特性図である。
【符号の説明】
3・・第3の衛星受信アンテナ、12・・第1衛星受信アンテナ、13・・第2衛星受信アンテナ、14・・第2周波数変換手段としての第2コンバータ、20・・信号切替器、27・・JCSAT用チューナ、34・・出力切替器、44・・第1送受信装置、45・・第1再送信装置、46・・再受信装置、47・・第1LNA、51・・第1再送信アンテナ、64・・第2送受信装置、65・・第2再送信装置、66・・第1コンバータ部、67・・第2LNA、68・・第2再送信アンテナ、72・・第1再受信アンテナ、73・・第2再受信アンテナ、74・・信号切替回路、75・・RFアンプ部、76・・第2コンバータ部。

Claims (2)

  1. 12.20GHz〜12.75GHzの周波数帯の重複する周波数を有する垂直偏波および水平偏波の組から成る第1の衛星信号を受信する第1衛星受信アンテナと、
    12.20GHz〜12.75GHzの周波数帯の重複する周波数を有する垂直偏波および水平偏波の組から成る第2の衛星信号を受信する第2衛星受信アンテナと、
    BS衛星信号および110°CS衛星信号を受信し、内蔵されたコンバータで、BS衛星信号を1032MHz〜1489MHzに周波数変換するとともに、110°CS衛星の右偏波信号および左偏波信号を1595MHz〜2071MHzおよび2126MHz〜2602MHzに周波数変換して、住戸に引き込まれた1本の信号ラインに出力する第3衛星受信アンテナと、
    第1衛星受信アンテナで受信した衛星信号を、同一の周波数帯のまま住戸に無線送信する第1再送信アンテナと、
    第2衛星受信アンテナで受信した衛星信号を第1衛星受信アンテナで受信した衛星信号とは異なる11.00GHz〜11.55GHzの周波数帯に第1周波数変換部によって周波数変換し、第1周波数変換部の出力信号を住戸に無線送信する第2再送信アンテナと、
    第1再送信アンテナから無線送信された第1衛星受信アンテナの出力信号を住戸で再受信し垂直偏波信号と水平偏波信号とに偏波分離する第1再受信アンテナと、
    第2再送信アンテナから無線送信された第1周波数変換部の出力信号を住戸で再受信し垂直偏波信号と水平偏波信号とに偏波分離する第2再受信アンテナと、
    第1再受信アンテナまたは第2再受信アンテナの垂直偏波信号および水平偏波信号のうち、垂直偏波信号を1048MHz〜1533MHzの周波数帯に周波数変換するとともに、水平偏波信号を1590MHz〜2070MHzの周波数帯に周波数変換する第2周波数変換手段と、
    を備えたことを特徴とする衛星信号受信伝送システム。
  2. 前記第1送信アンテナと前記第2送信アンテナとの内、少なくとも一方の主ローブの半値角が、無線伝送の対象となる前記第1受信アンテナ及び第2受信アンテナの主ローブの半値角よりも大きいものである請求項1に記載の衛星信号受信伝送システム。
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