JP3999452B2 - 振動型ジャイロスコープ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、振動型ジャイロスコープに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近、自動車の車体回転速度フィードバック式の車両制御方法に用いる回転速度センサーに、振動型ジャイロスコープを使用することが検討されている。こうしたシステムにおいては、操舵輪の方向自身は、ハンドルの回転角度によって検出する。これと同時に、実際に車体が回転している回転速度を振動ジャイロスコープによって検出する。そして、操舵輪の方向と実際の車体の回転速度を比較して差を求め、この差に基づいて車輪トルク、操舵角に補正を加えることによって、安定した車体制御を実現する。
【0003】
こうした振動子は、固定基板などの固定部材に対して固定し、これを所定のパッケージ内に収容し、パッケージを車体へと取り付け可能とする必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これまで振動型ジャイロスコープが利用されてきた各種分野では、精密な観測機器であることから、周囲環境の温度変化が少ないことが多く、このため測定値に対する温度ドリフトの影響は少なかった。しかし、例えば車体制御システムにおいては、振動型ジャイロスコープおよびその振動子は、幅広い環境温度、即ち高温と低温とにさらされる。このような使用温度範囲は、通常は−30℃−+80℃(更には−30℃−+85℃、特に好ましくは−40℃−+85℃)の範囲にわたっており、一層厳しい仕様では更に広い温度範囲にわたる場合もある。更に、振動子を圧電性単結晶によって形成した場合には、圧電性単結晶の有する温度特性の影響がある。
【0005】
本発明者は、こうした振動子それ自体の有する温度特性をできる限り除去したが、振動子をパッケージ内に収容した後、−30℃−+85℃の温度範囲でジャイロ出力を測定したところ、大きな変動が見られた。具体的には、本発明者が、振動子が回転していないときのジャイロ出力の温度変化を測定したところ、図17に示すような結果を得た。このように、特定温度領域において、振動子が回転していないときのジャイロ出力が著しく変動することがあった。
【0006】
なお、図17においては、温度を−30℃から80℃へと上昇させながら各温度におけるジャイロ出力を測定し、次いで、温度を80℃から−30℃へと下降させながら各温度におけるジャイロ出力を測定する。温度上昇時と温度下降時とでは、ジャイロ出力のピークがずれる。このため、ジャイロ出力の真のピークは、40℃と60℃との中間、即ち50℃近辺にあるものと考えられる。
【0007】
本発明の課題は、振動子、振動子に駆動モードの振動を励振するための駆動手段、振動子の回転に対応して振動子中にコリオリ力によって生ずる検出モードの振動を検出するための検出手段およびパッケージを備えている振動型ジャイロスコープにおいて、振動子が回転していないときのジャイロ出力の温度ドリフトを低減することである。
【0008】
また、本発明の課題は、所定平面に沿って形成されており、駆動モードの振動が励起される駆動振動片と、駆動振動片と分離されている検出振動片とを備えている振動子、駆動手段、検出手段およびパッケージを備えている振動型ジャイロスコープにおいて、振動子が回転していないときのジャイロ出力の温度ドリフトを低減することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、回転角速度を所定温度範囲内で検出するための振動型ジャイロスコープであって、振動子、振動子に駆動モードの振動を励振するための駆動手段、振動子の回転に対応して前記振動子中にコリオリ力によって生ずる検出モードの振動を検出するための検出手段、および振動子をパッケージの内部空間に収容するためのパッケージを備えており、パッケージの相対向する一対の内壁面間の間隔が、所定温度範囲内のいずれの温度においても、内部空間内の雰囲気を伝搬する音波の波長の2分の1の整数倍に該当しないとともに、前記振動子が、前記駆動モードの振動が励起される駆動振動片と、前記駆動振動片と分離され、前記検出手段が設けられている検出振動片とを備えており、前記駆動振動片と前記検出振動片との間隔が、前記所定温度範囲内のいずれの温度においても、前記内部空間内の雰囲気の波長の1/2の整数倍に該当しないことを特徴とする。
【0010】
本発明者は、目的とする温度範囲における振動子が回転していないときのジャイロ出力の変化(以下、「0点温度ドリフト」と呼ぶ)の原因について種々探索した結果、駆動インピーダンスの温度特性が影響していることを突き止めた。即ち、図17に例示するような0点温度ドリフトが得られた振動型ジャイロスコープについて、種々の特性を測定したところ、図18に示すように、駆動インピーダンスの温度特性が0点温度ドリフトと著しく相関していることを突き止めた。
【0011】
本発明者は、この発見に基づき更に検討した結果、パッケージの相対向する一対の内壁面間の間隔が、所定温度範囲内のいずれの温度においても、内部空間内の雰囲気を伝搬する音波の波長の2分の1(以下、半波長と呼ぶ)の整数倍に該当しないようにすることで、図21に示すように駆動インピーダンスの温度変化が縮小し、0点温度ドリフトが図20に示すように縮小することを見出した。
【0012】
特に好ましくは、振動子が圧電性単結晶からなり、振動子が所定平面に沿って形成されており、パッケージが所定平面に略平行な互いに対向する一対の内壁面と、所定平面に略垂直な二対の内壁面とを備えており、所定平面に略垂直な各対の内壁面がそれぞれ互いに対向しており、所定平面に略垂直な各対の内壁面間の間隔が、それぞれ、所定温度範囲内のいずれの温度においても、内部空間内の雰囲気の半波長の整数倍に該当しない。
【0013】
本発明について、図1を参照しつつ更に説明する。
【0014】
振動型ジャイロスコープ1Aは、パッケージ2と、パッケージ2の内部空間に収容された振動子5とを備えている。
【0015】
振動子5は、圧電単結晶からなる平板状の振動子であり,所定平面に沿って形成されている。振動子5の基部6は、振動子の重心GOを中心として、4回対称の正方形をしている。基部6の周縁部6aから、四方に向かって放射状に、二つの駆動振動系7A、7Bと二つの検出振動系8A、8Bとが突出しており、各振動系は互いに分離されている。駆動振動系7Aと7Bとは、重心GOを中心として2回対称であり、検出振動系8Aと8Bとは、重心GOを中心として2回対称である。
【0016】
駆動振動系7A、7Bは、基部6の周縁部6aから突出する細長い直線状の支持部10と、支持部10の先端10b側から支持部10に直交する方向に延びる屈曲振動片9A、9B、9C、9Dとを備えている。各屈曲振動片には、それぞれ駆動電極12が設けられている。検出振動系8A、8Bは、細長い周方向屈曲振動片13からなり、各屈曲振動片13には検出電極14が設けられている。
【0017】
各屈曲振動片9A−9Dを、矢印Aのように、支持部10への付け根11を中心として屈曲振動させる(駆動モード)。この際には、各屈曲振動片9A−9Dの振動の全体の重心GDが、ほぼ重心GOまたはその近傍に位置するようにする。この状態で振動子5を所定平面内で回転させると、コリオリ力によって、各支持部10が、それそれ、基部5への付け根10aを中心として矢印Bのように屈曲振動する。これに対応して、各屈曲振動片13が矢印Cのように屈曲振動する。この際、各支持部10および各屈曲振動片13の矢印B、Cのような屈曲振動の全体の重心が、振動子の重心GOを中心として回転しないようになっている。言い換えると、任意の時点において、各支持部10の屈曲振動の位相は、重心GOを中心として点対称であり、即ちGOを中心として同じ回転方向に向かって変位している。また、任意の時点において、各屈曲振動片13の屈曲振動の位相は、重心GOを中心として点対称であり、即ちGOを中心として同じ回転方向に向かって変位している。そして、任意の時点において、支持部10の位相と、屈曲振動片13の位相とは、GOを中心として周方向に見たときに逆方向になっている。
【0018】
パッケージ2は、振動子5の存在する所定平面内において、二対の内壁面2a、2bを備えている。一対の内壁面2aは互いに対向しており、一対の底壁面2bも互いに対向しており、内壁面2aと2bとは略垂直をなしている。なお、パッケージ2は、図示しない、所定平面に対して略平行な一対の内壁面をも有している。
【0019】
本発明に従って、パッケージ2の相対向する一対の内壁面2a間の間隔PA、および相対向する一対の内壁面2b間の間隔PBが、所定温度範囲内のいずれの温度においても、内部空間3内の雰囲気の半波長の整数倍に該当しないようにする。
【0020】
内部空間3内の雰囲気の波長は、雰囲気を伝搬する音波の速度と音波の周波数とによって決定される。雰囲気を伝搬する音波の速度は、主として雰囲気の種類と温度とによって決定される。雰囲気を伝搬する音波の速度と、雰囲気の種類および温度との関係それ自体は周知である。
【0021】
例えば−30℃−+85℃の温度範囲内において、例えば図19に示すように、雰囲気を伝搬する音波の半波長はグラフAのように変化し、半波長の2倍はグラフBのように変化し、半波長の3倍はグラフCのように変化し、半波長の4倍はグラフDのように変化する。以下に−30℃と+85℃とにおける半波長と半波長の2倍、3倍、4倍の値を示す。
【0022】
【表1】
【0023】
この場合には、PA、PBを、約6.8mm以下にするか、あるいは約8.6−13.7mmにするか、あるいは約17.0−20.6mmにするか、あるいは約25.5−27.5mに調節することによって、−30℃−+85℃の温度範囲内において、PA、PBが音波の半波長の整数倍に該当しないようにする。
【0024】
好ましくは、パッケージの相対向する一対の内壁面の間隔が、所定温度範囲内で、内部空間内の雰囲気を伝搬する音波の波長の1/2の整数倍から、少なくとも1mm以上離れていることが特に好ましい。
【0025】
また、PA、PBが音波の波長の整数倍に該当した場合には、雰囲気の種類を変化させることによって、音波の半波長を変化させ、PA、PBが音波の波長の整数倍に該当しないようにすることができる。この際には、0℃、1気圧において窒素よりも早い音速度を有する気体を使用することが好ましく、ネオン、ヘリウム等の不活性ガスを使用することが特に好ましい。窒素よりも速い音速度を有する気体は、窒素や乾燥空気に対して混合できる。
【0026】
また、雰囲気の圧力を0.1気圧以下とすることによって、駆動インピーダンスの温度変化を更に減少させることができる。
【0027】
また、本発明は、回転角速度を所定温度範囲内で検出するための振動型ジャイロスコープであって、所定平面に沿って形成されている振動子、振動子に駆動モードの振動を励振するための駆動手段、振動子の回転に対応して前記振動子中にコリオリ力によって生ずる検出モードの振動を検出するための検出手段、振動子をパッケージの内部空間に収容するためのパッケージおよび少なくとも所定平面内でパッケージの内壁面と振動子との間に介在する充填材とを備えているとともに、前記振動子が、前記駆動モードの振動が励起される駆動振動片と、前記駆動振動片と分離され、前記検出手段が設けられている検出振動片とを備えており、前記駆動振動片と前記検出振動片との間隔が、前記所定温度範囲内のいずれの温度においても、前記内部空間内の雰囲気を伝搬する音波の波長の1/2の整数倍に該当しないことを特徴とする、振動型ジャイロスコープに係るものである。これによって、駆動インピーダンスの温度特性を減少させ、0点温度ドリフトを縮小させることができる。
【0028】
図2は、この実施形態に係る振動型ジャイロスコープ1Bを示す部分断面図であり、図3は図2のIII−III線断面図である。図1に示した各構成部分には図1と同じ符号を付け、その説明は省略する。
【0029】
本例のパッケージ2は、平板形状の台座2dと、蓋2cとからなる。パッケージ2の内壁面2a、2bに沿って、充填材16Aが収容されている。充填材16Aの本体16cの外形の輪郭は略正方形であり、充填材16Aの内部には空間17が形成されている。充填材16Aには、その内部空間17に面する2対の内壁面16a、16bが設けられている。内部空間17に振動子5が収容されている。
【0030】
こうした振動型ジャイロスコープにおいても、パッケージ2の内壁面2a間、あるいは2b間の共振現象に起因する駆動インピーダンスの温度変化が顕著に抑制される。
【0031】
充填材の材質は、音波を反射する性質を有する固体であれば特に制限はないが、音波の反射特性が高く、雰囲気中で長期にわたって安定であり、かつ温度変化に強いものが好ましい。これらの観点から、セラミックス(アルミナ、ジルコニア等)、ガラス、ステンレス、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、水晶、シリコン等が好ましい。
【0032】
本発明において、充填材16Aの一対の内壁面16a間、あるいは一対の内壁面16b間において、前記のような雰囲気の共鳴現象が生じ、温度ドリフトに影響を与える可能性もある。この影響はパッケージの内壁面間の雰囲気の共振現象の影響に比べると小さいと考えられるが、無視できない場合もある。このため、特に好ましくは、充填材の相対向する各対の内壁面間の間隔MA、MBが、それぞれ、所定温度範囲内のいずれの温度においても、雰囲気を伝搬する音波の半波長の整数倍に該当しないようにする。この具体的な調整方法については前述したとおりである。
【0033】
また、本発明者は、図1に示す形態の振動型ジャイロスコープにおいて、PA、PBを調節して、雰囲気を伝搬する音波の半波長の整数倍に該当しないようにすることで、例えば図21に示すような駆動インピーダンスの温度特性を得、40−60℃近辺の特有のピークを消去した。しかし、この後にも、例えば図20に示すように、0点温度ドリフトには30℃近辺に別のピークが見られることが分かった。ただし、このピークの絶対値は、図17に示すピークに比べるとはるかに小さいものであり、かつピークが現れる温度もシフトしていた。
【0034】
本発明者は、このピークが現れた原因について更に検討した結果、振動子5の駆動振動片9A−9Dと、検出振動片13との間の雰囲気の共鳴現象に起因するという仮説を立てた。そして、駆動振動片9A−9Dと検出振動片13との間隔V(図1参照)を、目的とする所定温度範囲内において、雰囲気を伝搬する音波の半波長の整数倍に該当しないようにした。この結果、前記の小さい方のピークもほぼ消失することが分かった。
【0035】
また、前記と同様の考え方から、所定平面内において、駆動振動片と検出振動片との間に音波反射体を介在させることが有効である。こうした音波反射体としては、前記の充填材を使用できる。図4−図9は、本発明のこの実施形態に係る振動型ジャイロスコープを示す。
【0036】
図4、図5の振動型ジャイロスコープ1Cにおいては、充填材16Bの内壁面から、4本の細長い音波反射体16dを突出させている。音波反射体16dは、それぞれ、駆動振動片9A−9Dと、検出振動片13との間に介在している。
【0037】
また、パッケージ2の内部空間3に占める充填材の体積の割合を大きくし、パッケージの内部空間に占める雰囲気の体積の割合を小さくすることで、0点温度ドリフトを一層低減できる。この観点から、内部空間3に占める充填材の体積の割合は、30%以上とすることが好ましく、70%以上とすることが一層好ましい。内部空間3に占める本充填材の体積の割合は、振動子、電子回路部品などの他の部品があることから、通常は最大でも95%である。
【0038】
図6、図7の振動型ジャイロスコープ1Dにおいては、充填材16Cが、更に4隅のコーナー部16eと、各コーナー部16eから突出する各音波反射体16fとを備えている。各コーナー部16eおよび各音波反射体16fの外周縁の形状を、振動子5の外形に対して近づけることによって、パッケージ2の内部空間3に占める充填材16Cの割合を増加させている。この結果として、充填材16cの内部空間21が細分されており、具体的には、各駆動振動系を収容する部分21c、基部を収容する部分21bおよび各検出振動片を収容する部分21aに分かれている。
【0039】
図8、図9の振動型ジャイロスコープ1Eは、振動型ジャイロスコープ1Dとほぼ同様のものであるが、各検出振動片を収容する部分21aの幅が若干大きくなっている。
【0040】
また、パッケージ2の内部空間に占める充填材の体積の割合を大きくするためには、好ましくは、充填材が、振動子の一方の主面を被覆し、振動子の一方の主面とパッケージとの間に介在する第一の主面被覆部を備えている。更に好ましくは、充填材が、振動子の他方の主面を被覆し、振動子の他方の主面とパッケージとの間に介在する第二の主面被覆部を備えている。図10、図11はこうした実施形態に係る振動型ジャイロスコープ11Fを示す。
【0041】
充填材16Eは、枠部16cと、枠部16cから内側へと突出する4隅のコーナー部16eと、各コーナー部16eから突出する各音波反射体16fとを備えており、これらの形態は図6、図7と同様である。充填材16Eは、更に、枠部16cの上部から内側へと突出する主面被覆部16gを備えている。主面被覆部16gは、振動子の基部、2つの検出振動片および支持部10のほとんどを被覆している。ただし、主面被覆部には2つの細長い孔22が形成されており、各孔22から 4つの駆動振動片9A−9Dから上方へと露出している。
【0042】
本発明においては、音波反射体が充填材から突出していることが好ましいが、必ずしもその必要はなく、単一または複数の音波反射体が駆動振動片と検出振動片との間に介在している場合も含まれる。図12、図13の振動型ジャイロスコープ1Gはこの実施形態に係るものである。
【0043】
パッケージ2の台座2dの上には、セラミック基板23が載置されており、セラミック基板23上には、振動子の支持ピン25と、例えば2つのプリアンプIC部品26Bと、例えば2つのチップ部品26Aが設置されている。各プリアンプIC部品26Bと各チップ部品26Aとは、それぞれ、振動子が延びている所定平面内において、駆動振動片9A、9Cと各検出振動片13との間に介在している。
【0044】
本例では、振動子5の重心GOを取り囲むように支持孔24が形成されており、支持ピン25が支持孔24内に挿入されており、支持孔24の内壁面と支持ピン25とが互いに接合されている。この支持方法は種々変更できる。
【0045】
パッケージとしては、プロジェクション溶接用パッケージ、シーム溶接用パッケージを使用できる。
【0046】
充填材を設け、充填材が相対向する少なくとも一対の平面状の内壁面を備えている場合には、内壁面間の距離が、所定温度範囲内のいずれの温度においても、内部空間内の雰囲気を伝搬する音波の波長の1/2の整数倍に該当しないようにすることが好ましい。
【0047】
好ましくは、充填材の相対向する一対の内壁面の間隔が、所定温度範囲内で、内部空間内の雰囲気を伝搬する音波の波長の1/2の整数倍から、少なくとも1mm以上離れていることが特に好ましい。
【0048】
また、本発明者は、充填材が所定平面に垂直な曲面状の内壁面を備えており、実質的に平面状の内壁面を備えていない場合にも、振動子の振動と雰囲気との共鳴に起因する温度ドリフトを抑制できることを見出した。図14は、この実施形態に係る振動型ジャイロスコープ1Hを概略的に示す図である。
【0049】
ジャイロスコープ1Hにおいては、パッケージ2B内に充填材30が収容され、固定されている。充填材30の外側面30bはパッケージに密着している。充填材30の内壁面30aは、平面的に見て略円形であり、内壁面30aには平坦な部分がない。これによって、振動子5が振動したときに、雰囲気中を伝わる振動が、湾曲した内壁面30aによって乱雑に反射されるので、共鳴が起こらない。
【0050】
振動子が、駆動モードの振動が励起される駆動振動片と、駆動振動片と分離され、検出手段が設けられている検出振動片とを備えており、記充填材が所定平面に垂直な三つ以上の平面状の内壁面を備えている場合には、内壁面の各法線が、それぞれ、駆動振動片の振動方向に対して10°以上の角度をもって傾斜していることが好ましい。図15は、この実施形態に係る振動型ジャイロスコープ1Jを概略的に示す図である。
【0051】
ジャイロスコープ1Jにおいては、パッケージ2B内に充填材31が収容され、固定されている。充填材31の外側面31eはパッケージに密着している。充填材31は、4つの平坦な内壁面31a、31b、31c、31dを備えている。例えば、内壁面31aの法線Dと、駆動振動片9A−9Dの振動の方向Eとの角度θを10°以上とする。内壁面31b、31c、31dについても、同様の関係を満足するものとする。
【0052】
θが0であると、即ち法線Dと振動方向Eとが平行であると、駆動振動片が振動したときに、その振動が雰囲気を伝わり、内壁面31aで反射され、共鳴現象を引き起こす可能性がある。しかし、θを10°以上とすることによって、もとの駆動振動片の振動方向とは異なる方向へと、雰囲気を伝搬してきた振動が内壁面で反射される。従って、こうした反射を繰り返すうちに、雰囲気内を伝搬する振動の方向が乱雑となる。この観点から、θは30°以上とすることが好ましく、45°以上とすることが更に好ましい。また、幾何学的な関係から、θの上限は通常90°である。
【0053】
また、充填材が、所定平面に垂直な相対向する二対の平面状の内壁面を備えている場合には、各対において、相対向する内壁面を、それぞれ互いに10°以上の角度をもって傾斜させることによって、やはり前記の共鳴現象に起因する問題を解決できる。図16は、この実施形態に係る振動型ジャイロスコープ1Kを概略的に示す図である。
【0054】
ジャイロスコープ1Kにおいては、パッケージ2B内に充填材32が収容されており、その内部空間17に振動子5が収容されている。充填材32は、一対の相対向する内壁面32a、32cと、一対の相対向する内壁面32b、32dとを備えている。内壁面32aと内壁面32cとがなすα1は10°以上であり(F1は内壁面32cに平行な平面を示す)、内壁面32bと内壁面32dとがなすα2は10°以上である(F2は内壁面32dに平行な平面を示す)。α1、α2は、前述と同様の理由から、30°以上とすることが好ましく、45°以上とすることが更に好ましい。また、幾何学的な関係から、α1、α2の上限は通常180°である。
【0055】
また、内壁面32a、32cの法線Dと、駆動振動片9A−9Dの振動の方向Eとの角度θは10°以上である。
【0056】
【実施例】
(比較例)
図1に示す振動型ジャイロスコープ1Aを作製した。具体的には、厚さ0.3mmの水晶のZ板のウエハーに、スパッタ法によって、所定位置に、厚さ200オングストロームのクロム膜と、厚さ5000オングストロームの金膜とを形成した。ウエハーの両面にレジストをコーティングした。
【0057】
このウエハーを、ヨウ素とヨウ化カリウムとの水溶液に浸漬し、余分な金膜をエッチングによって除去し、更に硝酸セリウムアンモニウムと過塩素酸との水溶液にウエハーを浸漬し、余分なクロム膜をエッチングして除去した。温度80℃の重フッ化アンモニウムに20時間ウエハーを浸漬し、ウエハーをエッチングし、振動子の外形を形成した。メタルマスクを使用して、厚さ2000オングストロームのアルミニウム膜を電極膜として形成した。
【0058】
得られた振動子5の基部6の寸法は6mm×6mmであり、各検出振動片13の寸法は、幅1mm×長さ6mmであった。検出電極14の寸法は、幅0.6mm×長さ2.8mmであり、検出振動片13の付け根から1.2−4.0mmの位置に形成されていた。駆動振動片と検出振動片との間隔は7.7mmとした。
【0059】
振動子の中央部に0.75mm×0.75mmの正方形の支持孔を形成した。アルミナ基板上に、直径0.6mmの金属ピンを固定し、振動子の支持孔にに金属ピンを通し、金属ピンに対して振動子5を接着した。
【0060】
パッケージ2としては、プロジェクション溶接用パッケージを使用した。パッケージの電極配線部分はガラス封止されており、気密性を保持したままで電気信号の印加、取り出しが可能である。封止溶接に際しては、減圧容器中でパッケージとその内容物を加熱し、吸着ガス、水分を除去し、次いでパッケージとその内容物とを溶接室内に移動させた。溶接室も隔壁によって外部と遮断されている。溶接室内に乾燥空気を満たした。
【0061】
パッケージ2の内部空間3の寸法PA、PBは24.0mmとし、内部空間3の厚さは5mmとした。パッケージ2はプレス成形によって製作した。パッケージ内の雰囲気は乾燥空気とした。こうして振動型ジャイロスコープ1Aを得た。
【0062】
駆動振動の共振周波数を22kHzとし、目的とする温度範囲を−30℃−+85℃とした。パッケージ内に1気圧の乾燥空気を充填した。−30℃−+85℃の温度範囲において、ジャイロ出力と駆動インピーダンスとを測定したところ、図17、図18の結果を得た。
【0063】
(本発明例1)
比較例と同様にして振動型ジャイロスコープを作製した。ただし、PA、PBを27.0mmとした。27.0mmは、図19および表1に示した、85℃での半波長の3倍(25.4mm)と、−30℃での半波長の4倍(27.6mm)との間にある。駆動振動の共振周波数を22Hzとし、目的とする温度範囲を−30℃−+85℃とした。パッケージ内に1気圧の乾燥空気を充填した。−30℃−+85℃の温度範囲において、ジャイロ出力と駆動インピーダンスとを測定したところ、図20、図21の結果を得た。0点温度ドリフトは明らかに著しく減少しており、特に図17に存在していた40℃、60℃近辺の各ピークは消滅していた。ただし、より小さいピークが20℃近辺と35℃近辺に残留していることが分かった。
【0064】
(本発明例2)
比較例1と同様にして振動型ジャイロスコープを作製した。ただし雰囲気は、窒素とヘリウムとの混合雰囲気とした。前記した溶接室内に窒素とヘリウムとの混合雰囲気とを満たした。PA、PBはいずれも24mmである。雰囲気が乾燥空気である場合には、50℃近辺において、半波長の3倍が約24mmに相当する。しかし、ヘリウムの音速度は窒素よりもはるかに速い。このため、雰囲気中でのヘリウムの混合比率を35%−45%とすることによって、−30℃−+85℃の温度範囲内で雰囲気の共鳴現象が発生せず、温度ドリフトを抑制できた。
【0065】
(本発明例3)
本発明例1において、駆動振動片と検出振動片との間隔を6.8mmにすると、−30℃−+85℃の温度範囲内における非回転時のジャイロ出力の最大値と最小値との差は、6°/sに減少した。
【0066】
(本発明例4)
本発明例1において、雰囲気の圧力を0.1気圧とした。この結果、−30℃−+85℃の温度範囲内における非回転時のジャイロ出力の最大値と最小値との差は、6°/sに減少した。
【0067】
(本発明例5)
図4、図5に示す形態の振動型ジャイロスコープ1Cを作製した。ただし、振動子、パッケージは比較例と同様にした。ポリカーボネート樹脂によって充填材16Bを作製した。充填材16Bの本体16cの外形幅を24mmとし、厚さを2.3mmとし、高さを4.5mmとし、各音波反射体16dの幅を0.8mmとし、長さを8.5mmとした。非回転時のジャイロ出力の温度変化を図22に示し、駆動インピーダンスの温度変化を図23 に示す。−30℃−+85℃の温度範囲内における非回転時のジャイロ出力の最大値と最小値との差は、6°/sである。
【0068】
(本発明例6)
図10、図11に示す形態の振動型ジャイロスコープ1Fを作製した。ただし、振動子、パッケージは比較例と同様にした。ポリカーボネート樹脂によって充填材16Eを作製した。充填材16Eの本体16cの外形幅を24mmとし、厚さを2.3−5mmとし、高さを5mmとし、各音波反射体16dの幅を1−3.5mmとし、長さを6mmとした。主面被覆部16gの厚さを2mmとした。非回転時のジャイロ出力の温度変化を図24 に示し、駆動インピーダンスの温度変化を図25に示す。
【0069】
好適な実施形態においては、充填材をプラスチックの射出成形品によって形成できる。この場合には、特に振動子の外形輪郭に合致した複雑な形状の充填材を成形できるので、結果として充填材の内側壁面と振動子との間隔を最小限とし、本発明で問題とするノイズを更に低減できる。
【0070】
こうしたプラスチックとしては、ポリカーボーネート樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレンテレフタレート樹脂等のポリアルキレンテレフタレート樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、液晶ポリマー樹脂、ポリアミド樹脂を例示できる。
【0071】
図26は、こうした射出成形品からなる充填材16Fを利用した振動型ジャイロスコープ1Lを概略的に示す図であり、図27は、図16においてXXVII−XXVII線に沿って切ってみた断面図であり、図28は、図16においてXXVIII−XXVIII線に沿って切ってみた断面図である。
【0072】
本例においては、パッケージ2Cは、蓋2cと台座2dとからなる。台座2dと蓋2cのフランジ部2eとは溶接等により接合されている。台座2d上にはベース35が取り付けられている。ベース35上には支持台34が設置されており、支持台34上に接着剤層33を介して振動子5Aが接着されている。
【0073】
パッケージ内には充填材16Fが収容されている。図27に示すように、充填材16Fには、振動子の収容空間21が形成されており、この中に振動子5Aおよびピン37が収容されている。振動子5Aは、前述した振動子5と同様のものであるが、ただし各検出振動片13の先端に重量部39が設けられている。駆動振動片9A−9Dと検出振動片13との間は音波反射体16fが介在している。また、パッケージの内壁面2bと各駆動振動片9A−9Dとの間も音波反射体16iが介在する。
【0074】
図28に示すように、振動子5Aの上側には、振動子の上側主面を被覆する主面被覆部16gが設けられている。この主面被覆部16gには、所定形状の窓38および39が設けられている。
【0075】
こうした複雑な形状を有する充填材を利用することによって、振動子の周囲の空隙を最小限としつつ、電極用リード線、半導体チップ用リード線等の配線のためのスペースや、半導体チップの設置スペースを容易にとることができる。こうした複雑形状の充填材は、プラスチックの射出成形によって容易に得られる。
【0076】
好適な実施形態においては、充填材の表面に導電性膜を形成できる。あるいは、充填材を導電性材料によって形成できる。これによって、駆動振動片と検出振動片との間の結合容量に起因するノイズなどを一層低減できる。この理由は明確ではないが、充填材の本体、あるいは充填材の表面を接地電位とできるためと思われる。
【0077】
導電性膜の材質は限定されないが、金属膜が好ましく、特にAu,Ag,Pt,Ti,W,Cr,Cu,Ni,Feなどの膜が好ましい。また、導電性のカーボン樹脂でもよい。また、成膜手段は、特に限定されないが、めっき、蒸着、スパッタ、印刷、吹きつけ塗装などが好ましい。
【0078】
導電性材料は限定されないが、金属が好ましく、金属板が特に好ましい。金属板の加工によって充填材を形成した場合には、充填材をパッケージに対してスポット溶接によって接合できる。この場合には、パッケージに対して外部から衝撃が加わったときに、振動型ジャイロスコープからのノイズないし誤信号を一層低減できる。
【0079】
図29−図31は、この実施形態に係るものである。図29(a)は、本例で使用するパッケージ用蓋2cを示す。図29(b)は、本例の充填材41の断面図を示し、図30は、充填材41中に振動子5Aを収容した状態を示す斜視図であり、図31は、充填材41中に振動子5Aを収容した状態を示す平面図である。
【0080】
充填材41は、金属板の曲げ加工によって形成された一対の加工品41aと41bとの溶接によって製造されている。加工品41aは、略H字形状の天板41cと、天板41cから見て垂直方向に延びる板状の音波反射体41eと、天板41cから見て垂直方向に延びる板状の音波反射体41fとを備えている。加工品41bは、略I字形状の天板41cと、天板から垂直方向に延びる板状の音波反射体41dを備えている。加工品41aの中央部と加工品41bの中央部とをスポット溶接し、一体化する。
【0081】
例えば前述した図26と同様に、回路基板50上に振動子5Aを固定し、この上に充填材41を載せる。充填材41の上に蓋2cを載せる。蓋2cを台座と接合し、パッケージ2Cを作製する。
【0082】
この状態では、図31に示すように、振動子5Aが存在する平面内において、振動子の各検出振動片13が、それぞれ加工品41bの音波反射体41dの間に挟まれている。また、振動子の各検出振動片9A、9B、9C、9Dが、それぞれ加工品41aの音波反射体41fと41eとの間に挟まれている。
【0083】
隣接する駆動振動片と検出振動片との間は、それぞれ2つの音波反射体41dおよび41eによって遮蔽されている。駆動振動片と蓋2cの内壁面との間は、それぞれ1つの音波反射体41fによって遮蔽されている。
【0084】
また、好適な実施形態においては、パッケージの蓋を型として使用し、プラスチックを成形することによって、充填材を成形できる。この成形方法としては、射出成形法や流し込み成形法が好ましい。このように蓋を型として充填材を成形する方法によって、パッケージの蓋に充填材を一体化させたものを量産できる。
【0085】
この実施形態においては、特に粘性の低い樹脂組成物を流し込み成形することが好ましい。樹脂としては、例えばシリコーン樹脂、熱硬化性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アラミド樹脂、テフロン樹脂が好ましい。
【0086】
図32(a)は、本例の充填材16Gを示す平面図であり、図32(b)は図32(a)のXXXIIb−XXXIIb線断面図であり、図33(a)は振動型ジャイロスコープ1Mを概略的に示す部分断面図であり、図33(b)は1Mの断面図である。
【0087】
本例のパッケージ2Cは蓋2cと台座2dとからなっている。台座2d上にベース35が載置されており、ベース35上にピンを介して回路基板46が設置されている。回路基板46上には、例えば支持台34および接着剤33を介して振動子5Aが接着支持されている。また、回路基板46上には半導体チップ43が設置されている。
【0088】
充填材16Gは、音波反射体16i、16j、16fを備えている。充填材16G内には振動子の収容空間21が形成されている。空間21については前述した。また、充填材16Gには半導体チップの収容空間42が形成されている。
【0089】
充填材を成形する際には、まず蓋2c内に所定の型を設置する。この型の形状は、空間21および42の形状に合わせる。この状態で蓋の中に樹脂組成物を流し込み、充填材16Gを成形する。振動子5Aおよび半導体チップ43を回路基板46上に固定した後、充填材の各空間21、42内に収容し、台座2dと蓋2cとを溶接する。
【0090】
好適な実施形態においては、パッケージが蓋を備えており、蓋の加工によって音波反射体を形成する。この実施形態では、充填材を利用することなく、蓋の加工によって音波反射体を成形できるので、量産上極めて有利である。
【0091】
本実施形態において、蓋の材質は限定されないが、例えば樹脂、金属、セラミックスを例示できる。蓋が樹脂からなる場合には、流し込み成形や射出成形法によって音波反射体を成形できる。蓋がセラミックスからなる場合には、セラミックスの鋳込み成形によって音波反射体を成形できる。蓋が金属板からなる場合には、プレス成形や曲げ加工によって音波反射体を容易に成形できる。
【0092】
図34は、本実施形態に係る蓋2f、振動子5A、回路基板35および台座2dを概略的に示す分解斜視図である。
【0093】
蓋2fは、プレス成形によって成形された金属板からなる。蓋2fは、平坦なフランジ部2e、天板2g、およびフランジ部2eと天板2gとを連結し、天板2gに対して垂直に延びる音波反射体2h、2iおよび2jを備えている。
【0094】
本例のピン37、台座2d、回路基板35および振動子5Aは、前述したものと実質的に同じである。これらの各部品を組み立て、振動子5Aを回路基板35上に固定する。そして、台座2dに対して蓋2fのフランジ部2eを当接させ、接合することによって、パッケージ2Eを形成する。
【0095】
この状態では、各検出振動片13は、それぞれ、一対の音波反射体2hの間に挟まれ、収容される。各駆動振動片9A、9B、9C、9Dは、それぞれ、一対の音波反射体2iと2jとの間に挟まれ、収容される。この結果、隣接する検出振動片13と駆動振動片9A−9Dとの間は、それぞれ1つの音波反射体2hおよび1つの音波反射体2iによって遮蔽される。各駆動振動片とパッケージ内壁面との間は、それぞれ1つの音波反射体2jによって遮蔽される。
【0096】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、振動子、振動子に駆動モードの振動を励振するための駆動手段、振動子の回転に対応して振動子中にコリオリ力によって生ずる検出モードの振動を検出するための検出手段、および振動子を収容するためのパッケージを備えている振動型ジャイロスコープにおいて、振動子が回転していないときのジャイロ出力の温度ドリフトを低減することができる。また、所定平面に沿って形成されており、駆動モードの振動が励起される駆動振動片と、駆動振動片と分離された検出振動片とを備えている振動子、駆動手段、検出手段およびパッケージを備えている振動型ジャイロスコープにおいて、振動子が回転していないときのジャイロ出力の温度ドリフトを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る振動型ジャイロスコープ1Aを概略的に示す部分断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態に係る振動型ジャイロスコープ1Bを概略的に示す部分断面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る振動型ジャイロスコープ1Cを概略的に示す部分断面図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る振動型ジャイロスコープ1Dを概略的に示す部分断面図である。
【図7】図6のVII−VII線断面図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係る振動型ジャイロスコープ1Eを概略的に示す部分断面図である。
【図9】図8のIX−IX線断面図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る振動型ジャイロスコープ1Fを概略的に示す部分断面図である。
【図11】図10のXI−XI線断面図である。
【図12】本発明の振動型ジャイロスコープ1Gを概略的に示す部分断面図である。
【図13】図12の振動型ジャイロスコープ1Gを示す断面図である。
【図14】振動型ジャイロスコープ1Hを概略的に示す図である。
【図15】振動型ジャイロスコープ1Jを概略的に示す図である。
【図16】振動型ジャイロスコープ1Kを概略的に示す図である。
【図17】比較例の振動型ジャイロスコープの非回転時のジャイロ出力の温度変化を示すグラフである。
【図18】比較例の振動型ジャイロスコープの非回転時の駆動インピーダンスの温度変化を示すグラフである。
【図19】本発明例1において、雰囲気内を伝搬する音波の波長の2倍、3倍、4倍の温度変化を示すグラフである。
【図20】本発明例1において、振動型ジャイロスコープの非回転時のジャイロ出力の温度変化を示すグラフである。
【図21】本発明例1の振動型ジャイロスコープの非回転時の駆動インピーダンスの温度変化を示すグラフである。
【図22】本発明例5において、振動型ジャイロスコープの非回転時のジャイロ出力の温度変化を示すグラフである。
【図23】本発明例5の振動型ジャイロスコープの非回転時の駆動インピーダンスの温度変化を示すグラフである。
【図24】本発明例6において、振動型ジャイロスコープの非回転時のジャイロ出力の温度変化を示すグラフである。
【図25】本発明例6の振動型ジャイロスコープの非回転時の駆動インピーダンスの温度変化を示すグラフである。
【図26】本発明の一実施形態に係る振動型ジャイロスコープ1Lを概略的に示す図であり、充填材16Fが樹脂の射出成形によって成形されている。
【図27】図26の振動型ジャイロスコープ1LをXXVII−XXVII線に沿って切ってみた断面図である。
【図28】図26の振動型ジャイロスコープ1LをXXVIII−XXVIII線に沿って切ってみた断面図である。
【図29】図29−図31は、金属板の加工によって得た充填材を使用した例であり、図29(a)は蓋2cを示す斜視図であり、図29(b)は充填材41を示す断面図である。
【図30】回路基板50上に振動子および充填材41を設置した状態を示す斜視図である。
【図31】充填材41内に振動子5Aを収容した状態を示す平面図である。
【図32】図32および図33は、蓋内での射出成形あるいは流し込み成形によって成形された充填材を利用した例であり、図32(a)は充填材16Gを示す平面図であり、図32(b)は、図32(a)のXXXIIb−XXXIIb線断面図である。
【図33】(a)は、パッケージ2C内に充填材16G、振動子5Aおよび回路基板46を収容した状態を示す模式図であり、(b)は(a)の断面図である。
【図34】蓋の加工によって音波反射体を成形した例を示し、蓋2f、振動子5A、回路基板35および台座2dを概略的に示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1J、1K、1L、1M 振動型ジャイロスコープ 2、2A、2B、2C、2E パッケージ 2a 所定平面に対して略垂直な一対の相対向する内壁面2b 所定平面に対して略垂直な一対の相対向する内壁面 2c、2f 蓋
2d パッケージを構成する台座 2e 蓋2cのフランジ部
2g 天板 2h、2i、2j 蓋の加工によって形成された音波反射体
3 パッケージの内部空間 5、5A 振動子 6 基部 9A、9B、9C、9D 駆動振動片 10 支持部13 検出振動片 16A、16B、16C、16D、16E、16F、16G、41 充填材 17、21 充填材の内部空間 16f、41d、41e 駆動振動片と検出振動片との間の音波反射体 16i、41f 振動子とパッケージとの間の音波反射体 16g 主面被覆部MA、MB 充填材の一対の内壁面の間隔 PA パッケージの一対の内壁面2aの間隔 PBパッケージの一対の内壁面2bの間隔 V 駆動振動片と検出振動片との間隔
Claims (25)
- 回転角速度を所定温度範囲内で検出するための振動型ジャイロスコープであって、
振動子、
前記振動子に駆動モードの振動を励振するための駆動手段、
前記振動子の回転に対応して前記振動子中にコリオリ力によって生ずる検出モードの振動を検出するための検出手段、および
前記振動子をパッケージの内部空間に収容するためのパッケージを備えており、
前記パッケージの相対向する一対の内壁面の間隔が、前記所定温度範囲内のいずれの温度においても、前記内部空間内の雰囲気を伝搬する音波の波長の1/2の整数倍に該当しないとともに、前記振動子が、前記駆動モードの振動が励起される駆動振動片と、前記駆動振動片と分離され、前記検出手段が設けられている検出振動片とを備えており、前記駆動振動片と前記検出振動片との間隔が、前記所定温度範囲内のいずれの温度においても、前記内部空間内の雰囲気の波長の1/2の整数倍に該当しないことを特徴とする、振動型ジャイロスコープ。 - 前記振動子が圧電性単結晶からなり、前記振動子が所定平面に沿って形成されており、前記パッケージが前記所定平面に略平行な互いに対向する一対の内壁面と、前記所定平面に略垂直な二対の内壁面とを備えており、前記所定平面に略垂直な各対の内壁面がそれぞれ互いに対向しており、前記所定平面に略垂直な各対の内壁面の間隔が、それぞれ、前記所定温度範囲内のいずれの温度においても、前記内部空間内の雰囲気を伝搬する音波の波長の1/2の整数倍に該当しないことを特徴とする、請求項1記載の振動型ジャイロスコープ。
- 前記雰囲気が、0℃、1気圧において窒素よりも速い音速度を有することを特徴とする、請求項1または2記載の振動型ジャイロスコープ。
- 前記雰囲気の圧力が0.1気圧以下であることを特徴とする、請求項1−3のいずれか一つの請求項に記載の振動型ジャイロスコープ。
- 前記振動子が、前記駆動モードの振動が励起される駆動振動片と、前記駆動振動片と分離され、前記検出手段が設けられている検出振動片とを備えており、少なくとも前記所定平面内で前記駆動振動片と前記検出振動片との間に介在する音波反射体を備えていることを特徴とする、請求項1−4のいずれか一つの請求項に記載の振動型ジャイロスコープ。
- 回転角速度を所定温度範囲内で検出するための振動型ジャイロスコープであって、
所定平面に沿って形成されている振動子、
前記振動子に駆動モードの振動を励振するための駆動手段、
前記振動子の回転に対応して前記振動子中にコリオリ力によって生ずる検出モードの振動を検出するための検出手段、
前記振動子をパッケージの内部空間に収容するためのパッケージおよび
少なくとも前記所定平面内でパッケージと前記振動子との間に介在する充填材とを備えているとともに、前記振動子が、前記駆動モードの振動が励起される駆動振動片と、前記駆動振動片と分離され、前記検出手段が設けられている検出振動片とを備えており、前記駆動振動片と前記検出振動片との間隔が、前記所定温度範囲内のいずれの温度においても、前記内部空間内の雰囲気を伝搬する音波の波長の1/2の整数倍に該当しないことを特徴とする、振動型ジャイロスコープ。 - 前記パッケージの内部空間の雰囲気が、0℃、1気圧において窒素よりも早い音速度を有することを特徴とする、請求項6記載の振動型ジャイロスコープ。
- 前記パッケージの内部空間の雰囲気の圧力が0.1気圧以下であることを特徴とする、請求項6または7記載の振動型ジャイロスコープ。
- 前記振動子が、前記駆動モードの振動が励起される駆動振動片と、前記駆動振動片と分離され、前記検出手段が設けられている検出振動片とを備えており、前記充填材が、少なくとも前記所定平面内で前記駆動振動片と前記検出振動片との間に介在する音波反射体を備えていることを特徴とする、請求項6−8のいずれか一つの請求項に記載の振動型ジャイロスコープ。
- 前記充填材が、前記振動子の一方の主面を被覆し、前記振動子の前記一方の主面と前記パッケージとの間に介在する第一の主面被覆部を備えていることを特徴とする、請求項6−9のいずれか一つの請求項に記載の振動型ジャイロスコープ。
- 前記充填材が、前記振動子の他方の主面を被覆し、前記振動子の前記他方の主面と前記パッケージとの間に介在する第二の主面被覆部を備えていることを特徴とする、請求項10記載の振動型ジャイロスコープ。
- 前記充填材が相対向する少なくとも一対の平面状の内壁面を備えており、前記内壁面間の距離が、前記所定温度範囲内のいずれの温度においても、前記内部空間内の雰囲気を伝搬する音波の波長の1/2の整数倍に該当しないことを特徴とする、請求項6−11のいずれか一つの請求項に記載の振動型ジャイロスコープ。
- 前記振動子が、前記駆動モードの振動が励起される駆動振動片と、前記駆動振動片と分離され、前記検出手段が設けられている検出振動片とを備えており、前記充填材が前記所定平面に対して垂直な三つ以上の平面状の内壁面を備えており、前記内壁面の各法線が、それぞれ、前記駆動振動片の振動方向に対して10°以上の角度をもって傾斜していることを特徴とする、請求項6−11のいずれか一つの請求項に記載の振動型ジャイロスコープ。
- 前記充填材が前記所定平面に対して垂直な相対向する二対の平面状の内壁面を備えており、各対の内壁面が、それぞれ互いに10°以上の角度をもって傾斜していることを特徴とする、請求項6−11のいずれか一つの請求項に記載の振動型ジャイロスコープ。
- 前記充填材が前記所定平面に対して垂直な曲面状の内壁面を備えていることを特徴とする、請求項6−11のいずれか一つの請求項に記載の振動型ジャイロスコープ。
- 前記充填材の表面に導電性膜が形成されていることを特徴とする、請求項6−15のいずれか一つの請求項に記載の振動型ジャイロスコープ。
- 前記充填材が導電性材料からなることを特徴とする、請求項6−15のいずれか一つの請求項に記載の振動型ジャイロスコープ。
- 前記充填材がプラスチックの射出成形品からなることを特徴とする、請求項6−16のいずれか一つの請求項に記載の振動型ジャイロスコープ。
- 前記振動子が圧電性単結晶からなることを特徴とする、請求項6−18のいずれか一つの請求項に記載の振動型ジャイロスコープ。
- 回転角速度を所定温度範囲内で検出するための振動型ジャイロスコープであって、
所定平面に沿って形成されており、駆動モードの振動が励起される駆動振動片と、前記駆動振動片と分離されている検出振動片とを備えている振動子、
前記振動子に前記駆動モードの振動を励振するための駆動手段、
前記振動子の回転に対応して前記検出振動片にコリオリ力によって生ずる検出モードの振動を検出するための検出手段、
前記振動子をパッケージの内部空間に収容するためのパッケージ、および
少なくとも前記所定平面内で前記駆動振動片と前記検出振動片との間に介在する音波反射体を備えていることを備えていることを特徴とする、振動型ジャイロスコープ。 - 前記パッケージが前記所定平面に略平行な互いに対向する一対の内壁面と、前記所定平面に略垂直な二対の内壁面とを備えており、前記所定平面に略垂直な各対の内壁面がそれぞれ互いに対向しており、前記所定平面に略垂直な各対の内壁面の間隔が、それぞれ、前記所定温度範囲内のいずれの温度においても、前記内部空間内の雰囲気の波長の1/2の整数倍に該当しないことを特徴とする、請求項20記載の振動型ジャイロスコープ。
- 前記雰囲気が、0℃、1気圧において窒素よりも早い音速度を有することを特徴とする、請求項20または21記載の振動型ジャイロスコープ。
- 前記雰囲気の圧力が0.1気圧以下であることを特徴とする、請求項20−22のいずれか一つの請求項に記載の振動型ジャイロスコープ。
- 少なくとも前記所定平面内でパッケージの内壁面と前記振動子との間に介在する充填材とを備えていることを特徴とする、請求項20−23のいずれか一つの請求項に記載の振動型ジャイロスコープ。
- 前記パッケージが蓋を備えており、この蓋の加工によって前記音波反射体が形成されていることを特徴とする、請求項20−23のいずれか一つの請求項に記載の振動型ジャイロスコープ。
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