JP3998874B2 - 4−アシロキシ−4’−ブロモビフェニル化合物の製造方法 - Google Patents

4−アシロキシ−4’−ブロモビフェニル化合物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、4−アシロキシ−4’−ブロモビフェニル化合物を高収率、高純度に製造できる製造方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
4−アシロキシ−4’−ブロモビフェニル化合物は、医薬、農薬、液晶関連化合物の原料として近年注目されている化合物である。
従来の合成方法としては、たとえば、以下のような方法が提案されている。
(1)4−ニトロビフェニルを原料とし、臭素化、ニトロ基の還元、ジアゾ化を経て4’−ブロモ−4−ヒドロキシビフェニルを合成し、アセチル化により4−アセトキシ−4’−ブロモビフェニルを合成する方法。〔J.Am.Chem.Soc.,61,3037−3039(1939)〕
(2)4−ベンゾイルオキシビフェニルを氷酢酸中、触媒として鉄粉を共存させ臭素化して、4−アシロキシ−4’−ブロモビフェニル化合物を得る方法。
〔J.Am.Chem.Soc.,61,1447−1449(1939)〕(3)4−アセトキシビフェニルを四塩化炭素中、ヨウ素を触媒として過剰の炭酸鉛を共存させ、過剰の臭素により臭素化する方法。〔Pros.Louisiana Acad.Sci.,10,205−209(1947)〕
(4)4−アセトキシビフェニルを無水酢酸と酢酸との混合溶媒中、ヨウ素を触媒として過剰の臭素により臭素化する方法。〔J.Chem.Soc.,3243−3245(1956)〕
(5)4−アセトキシビフェニルを無水酢酸と酢酸中で臭素により臭素化する方法。〔DE3525015〕
(6)4−アセトキシビフェニルを四塩化炭素中、塩化第二鉄と無水トリフルオロ酢酸の存在下、臭素により臭素化する方法。〔Polm.Prepr.31(1),81−82(1990)〕
(7)4−アシロキシビフェニルをハロゲン化アルカン中、炭酸アルカリ等の弱塩基共存下臭素で臭素化する方法。〔特開平1−172361〕
(8)4−アシロキシビフェニルを水または、水と水不溶性媒体中、臭素化する方法。〔特開平5−286898〕
しかしながら、たとえば、(1)の方法は工程数が多く工業的見地から見ると実用的な製造方法ではないなどの問題点があった。また、(2)〜(6)の方法は工業的に採用するには不純物が多いうえ、収率が十分でなく、使用溶剤(特に酢酸)の臭気や回収などの問題点があった。
【0003】
(7)の方法は、多量の無機塩の共存下で反応を行うため、無機塩の付着などにより反応装置の汚れが激しいという問題点があった。また後処理において多量の無機塩を取り除きそれらの廃棄物処理をしなければならず、作業面そしてコスト面においても問題があった。(8)の方法は、臭素化で発生する臭化水素を水に吸収させるため、装置内に強酸である臭化水素酸が存在することとなり、反応装置の腐食防止などのための特殊な工夫が必要となるなどの問題点があり、さらに多量の水が存在しないとアセチル基が加水分解されてしまうので、反応系の容量が大きくなるなどの問題点があった。
【0004】
そこで、本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意研究し、不活性媒体中、4−アシロキシビフェニルと臭素とを、オキシラン化合物の存在下に反応させれば、製造工程が少なく、しかも、(i)オキシラン化合物による臭化水素の捕捉によって、臭化水素による反応系内の副生成物の生成あるいは反応装置の損傷を抑制できるとともに、(ii)オキシラン化合物の溶剤としての役割を果たすので反応系の容量を小型化し、廃棄物の排出量を低減することができ、また、(iii)比較的低温での反応が可能であるので副生成物の生成を抑えることができ、(iv)密閉系での反応が可能であるので作業の安全性、効率性に優れており、さらに、(v)高収率、高純度に4−アシロキシ−4’−ブロモビフェニル化合物を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術にともなう問題点を解決しようとするものであって、効率よく、高収率、高純度な4−アシロキシ−4’−ブロモビフェニル化合物の製造方法を提供することを目的としている。
【0006】
【発明の概要】
本発明に係る4−アシロキシ−4’−ブロモビフェニル化合物の製造方法は、下記一般式[I]
【0007】
【化4】
Figure 0003998874
【0008】
[式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基である]
で表されるビフェニル化合物を不活性媒体中で、下記一般式[II]
【0009】
【化5】
Figure 0003998874
【0010】
[式中、R1、R2は互いに独立して水素、アルキル基、R3OCH2−基であり、R1とR2とは互いに結合したアルキレン鎖(−(CH2n−)であってもよく、nは3または4であり、R3はアルキル基である]
で表されるオキシラン化合物の存在下に、臭素と反応させ、下記一般式[III]
【0011】
【化6】
Figure 0003998874
【0012】
[式中、Rは上記一般式[I]のRと同義である]
で表される4−アシロキシ−4’−ブロモビフェニル化合物を得ることを特徴としている。
前記一般式[I]および[III]のRはメチル基であることが好ましい。また、前記不活性媒体は、有機ハロゲン化合物であることが好ましい。さらに、前記オキシラン化合物が、前記一般式[II]において、R1、R2がともに水素原子、R1またはR2の少なくとも一方がアルキル基、またはR1またはR2の少なくとも一方がR3OCH2基であってR3がアルキル基であるオキシラン化合物のいずれかであることが好ましい。
【0013】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る4−アシロキシ−4’−ブロモビフェニル化合物の製造方法について具体的に説明する。
本発明に係る4−アシロキシ−4’−ブロモビフェニル化合物の製造方法では、不活性媒体中、4−アシロキシビフェニルと臭素とを、オキシラン化合物の存在下に反応させて4−アシロキシ−4’−ブロモビフェニル化合物を得る。
【0014】
4−アシロキシビフェニル
原料となる4−アシロキシビフェニルは、下記一般式[I]
【0015】
【化7】
Figure 0003998874
【0016】
[式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基である]
で表される。
式中のRの炭素数1〜6のアルキル基としては、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。
このようなアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、secーブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。
【0017】
このような4−アシロキシビフェニルは、適宜公知の方法により製造することができる。たとえば、J.Am.Chem.Soc.,61,3037−9(1939)などに記載されている方法により、4−ヒドロキシビフェニルとアシル化剤とを反応させることにより容易に4−アシロキシビフェニルを製造することができる。より具体的には、4−ヒドロキシビフェニルを無水酢酸、塩化アセチルまたはジケテンなどと反応させることによりほぼ定量的に4−アシロキシビフェニルを製造することができる。
【0018】
臭素
本発明に使用する臭素は、特に限定されず、通常市販されているものを用いてもよいし、通常知られている方法により製造してもよい。
本発明に係る臭素の使用量は、4−アシロキシビフェニル1モルに対し、0.8〜2.5モル、好ましくは1.0〜1.5モルである。
【0019】
不活性媒体
本発明に係る不活性媒体としては、不活性であれば特に限定されないが、有機ハロゲン化合物が好ましく用いられる。このような有機ハロゲン化合物としては、たとえば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジブロモメタン、ブロモホルム、ブロモクロロメタン、ブロモジクロロメタン、ヨウ化メチル、ジヨードメタン、クロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、臭化エチル、1,2−ジブロモエタン、1,1,2,2−テトラブロモエタン、1−ブロモ−2−クロロエタン、ヨウ化エチル、ジヨードメタン、1−クロロプロパン、2−クロロプロパン、1,1−ジクロロプロパン、1,2−ジクロロプロパン、1,3−ジクロロプロパン、2,2−ジクロロプロパン、1,2,3−トリクロロプロパン、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタクロロプロパン、1−クロロ−2−メチルプロパン、2−クロロ−2−メチルプロパン、1,2−ジクロロ−2−メチルプロパン、1,3−ジクロロ−2−クロロメチル−2−メチルプロパン、1−ブロモプロパン、2−ブロモプロパン、1,2−ジブロモプロパン、1,3−ジブロモプロパン、2,2−ジブロモプロパン、1,2,3−トリブロモプロパン、1−ブロモ−2−メチルプロパン、2−ブロモ−2−メチルプロパン、1,2−ジブロモ−2−メチルプロパン、1−ブロモ−3−クロロプロパン、1−ブロモ−3−クロロ−2−メチルプロパン、1−ヨードプロパン、2−ヨードプロパン、1,3−ジヨードプロパン、1−ヨード−2−メチルプロパン、2−ヨード−2−メチルプロパン、1,1−ジヨード−2,2−ジメチルプロパン、1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1−クロロブタン、2−クロロブタン、1,3−ジクロロブタン、1,4−ジクロロブタン、2,3−ジクロロブタン、2−クロロ−2−メチルブタン、1−クロロ−3,3−ジメチルブタン、1−ブロモブタン、2−ブロモブタン、1,2−ジブロモブタン、1,3−ジブロモブタン、1,4−ジブロモブタン、2,3−ジブロモブタン、1−ブロモ−2−メチルブタン、1−ブロモ−3−メチルブタン、2−ブロモ−2−メチルブタン、1,2−ジブロモ−3,3−ジメチルブタン、1−ブロモ−4−クロロブタン、1−ヨードブタン、2−ヨードブタン、1,4−ジヨードブタン、1−ヨード−2−メチルブタン、1−クロロペンタン、2−クロロペンタン、ネオペンチルクロライド、1,5−ジクロロペンタン、3−クロロ−3−メチルペンタン、1−ブロモペンタン、2−ブロモペンタン、3−ブロモペンタン、ネオペンチルブロマイド、1,4−ジブロモペンタン、1,5−ジブロモペンタン、2,3−ジブロモペンタン、3−ブロモメチルペンタン、1−ヨードペンタン、ネオペンチルヨーダイド、1,5−ジヨードペンタン、1−フルオロペンタン、1−クロロヘキサン、1,6−ジクロロヘキサン、1−ブロモヘキサン、1,2−ジブロモヘキサン、1,6−ジブロモヘキサン、2,3−ジブロモヘキサン、3,4−ジブロモヘキサン、1−ヨードヘキサン、1,6−ジヨードヘキサン、1−フルオロヘキサン、パーフルオロヘキサン、1−クロロヘプタン、1−ブロモヘプタン、パーフルオロヘプタン、1−クロロオクタン、1−ブロモオクタン、パーフルオロオクタン、1−クロロノナン、1−ブロモノナン、パーフルオロノナン、1−クロロデカン、フルオロベンゼン、1,2−ジフルオロベンゼン、1,3−ジフルオロベンゼン、1,4−ジフルオロベンゼン、1、2、3−トリフルオロベンゼン、1,2,4−トリフルオロベンゼン、1,3,5−トリフルオロベンゼン、1,2,3,4−テトラフルオロベンゼン、1,2,3,5−テトラフルオロベンゼン、1,2,4,5−テトラフルオロベンゼン、ペンタフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、ブロモベンゼン、1,2−ジブロモベンゼン、1,3−ジブロモベンゼン、ベンゾトリフルオライドなどが好ましく用いられる。
【0020】
このうち、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ブロモクロロメタン、ブロモジクロロメタン、クロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、1−ブロモ−2−クロロエタン、1−クロロプロパン、2−クロロプロパン、1,3−ジクロロプロパン、2,2−ジクロロプロパン、1−ブロモプロパン、2−ブロモプロパン、1−ブロモ−3−クロロプロパン、1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1−クロロブタン、2−クロロブタン、1,4−ジクロロブタン、1−クロロ−3,3−ジメチルブタン、1−ブロモブタン、2−ブロモブタン、1,4−ジブロモブタン、2−ブロモ−2−メチルブタン、1−ブロモ−4−クロロブタン、1−クロロペンタン、2−クロロペンタン、ネオペンチルクロライド、1,5−ジクロロペンタン、3−クロロ−3−メチルペンタン、1−ブロモペンタン、2−ブロモペンタン、3−ブロモペンタン、ネオペンチルブロマイド、1,5−ジブロモペンタン、1−フルオロペンタン、1−クロロヘキサン、1,6−ジクロロヘキサン、1−ブロモヘキサン、1,6−ジブロモヘキサン、1−フルオロヘキサン、パーフルオロヘキサン、1−クロロヘプタン、1−ブロモヘプタン、パーフルオロヘプタン、1−クロロオクタン、1−ブロモオクタン、パーフルオロオクタン、1−クロロノナン、1−ブロモノナン、パーフルオロノナン、1−クロロデカン、フルオロベンゼン、1,2−ジフルオロベンゼン、1,3−ジフルオロベンゼン、1,4−ジフルオロベンゼン、1,3,5−トリフルオロベンゼン、1,2,4,5−テトラフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン、1,2−ジブロモベンゼン、1,3−ジブロモベンゼンなどが更に好ましく用いられる。
【0021】
このような不活性媒体の使用量は、4−アシロキシビフェニル1重量部に対して0.5〜8重量部、好ましくは0.8〜4重量部であることが望ましい。
オキシラン化合物
本発明に係るオキシラン化合物は、下記一般式[II]
【0022】
【化8】
Figure 0003998874
【0023】
[式中、R1、R2は互いに独立して水素、アルキル基、R3OCH2−基であり、R1とR2とは互いに結合したアルキレン鎖(−(CH2n−)であってもよく、nは3または4であり、R3はアルキル基である]
で表されるオキシラン化合物である。
このようなオキシラン化合物のうち、本発明においては、前記一般式[II]において、R1、R2がともに水素原子、R1またはR2の少なくとも一方がアルキル基、またはR1またはR2の少なくとも一方がR3OCH2基であってR3がアルキル基であるオキシラン化合物のいずれかであることが好ましい。
【0024】
また、このようなR1またはR2に係るアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、R3に係るアルキル基としては、炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましい。
このようなオキシラン化合物としては、具体的には、
1、R2がともに水素原子であるエチレンオキシド、あるいは、
1,2−エポキシプロパン、1,2−エポキシブタン、2,3−エポキシブタン、1,2−エポキシペンタン、2,3−エポキシペンタン、1,2−エポキシヘキサン、2,3−エポキシヘキサン、3,4−エポキシヘキサン、エポキシシクロペンタン、エポキシシクロヘキサンなどの、R1またはR2の少なくとも一方がアルキル基であるオキシラン化合物、
メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、n−プロピルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、n−ブチルグリシジルエーテル、イソブチルグリシジルエーテル、sec−ブチルグリシジルエーテル、tert−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテルなどの、R1またはR2の少なくとも一方がR3OCH2基であるグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0025】
4−アシロキシビフェニルと臭素との反応において添加するこのようなオキシラン化合物の使用量は、臭素1モルに対し、好ましくは1〜5モル、更に好ましくは1〜2モルである。
4−アシロキシ−4’−ブロモビフェニル化合物の製造
本発明に係る、下記一般式[III]
【0026】
【化9】
Figure 0003998874
【0027】
[式中、Rは上記一般式[I]のRと同義である]
で表される4−アシロキシ−4’−ブロモビフェニル化合物の製造は、原料となる前記4−アシロキシビフェニル[I]と不活性媒体の混合液中に、前記オキシラン化合物[II]の存在下に、臭素を直接導入して行ってもよいし、不活性媒体に臭素を溶解させた溶液を導入して行ってもよい。
【0028】
反応温度は用いられる不活性媒体の沸点以下で行うことが好ましく、具体的には、−10〜100℃、好ましくは0〜40℃の範囲で反応を行うことができる。反応時間は使用する不活性媒体、反応温度などにより異なるが、臭素の添加時間を含めて1〜15時間、好ましくは4〜12時間である。
反応終了後、反応液をそのまま冷却するか、もしくは反応液を水洗後に冷却し、析出した結晶を濾過することにより、4−アシロキシ−4’−ブロモビフェニル化合物の粗結晶を得ることができる。
【0029】
この4−アシロキシ−4’−ブロモビフェニルの粗結晶は、高収率かつ高純度に得られ、さらに高純度の4−アシロキシ−4’−ブロモビフェニル化合物を得るには、トルエン、ベンゼン、キシレン、アルコールなどの適当な溶媒で再結晶するか、または粗結晶を洗浄すればよい。
なお、従来公知の4−アシロキシビフェニルの臭素化反応では、一般にヨウ素や鉄を触媒として行われ、相当量の異性体やポリブロム化合物を副生する。また、炭酸塩などの塩基の存在下で臭素化する方法では、後処理工程の困難や最終目的物中への無機塩の混在が避けられない。そのため、無機塩の除去に再結処理が必要で工業化するには収率の低下や工程の増加などの問題があった。さらに、水の存在下で臭素化する方法では臭素化で発生してくる臭化水素を水溶液として反応系内に留めておくため、反応装置が臭化水素酸によって腐食しやすくなるなどの問題もあった。またアセチル基が加水分解されない程度の酸濃度にするため、相当量の水の量が必要になり、大きな反応装置が必要となることから、工業化の視点からは問題があった。
【0030】
これに対して本発明に係る4−アシロキシ−4’−ブロモビフェニル化合物の製造方法によれば、不活性媒体中、4−アシロキシビフェニルと臭素とを、オキシラン化合物の存在下に反応させるだけであり、製造工程が少なく、特殊な装置や薬品を必要としないので製造作業が容易である。しかも、(i)4−アシロキシビフェニルの臭素化の際に発生する臭化水素と、オキシラン化合物が直ちに反応するので、反応系内が強酸性になることを抑制することができる。このため、臭化水素による反応系内の副生成物の生成あるいは反応装置の損傷を抑制できるという利点がある。また、(ii)臭化水素の捕捉に用いるオキシラン化合物は、溶剤としての機能も有するので、不活性媒体の使用量を低減させることができ、結果として、反応系の容量を小型化することができるとともに、廃棄物の排出量を低減することができる。さらに、(iii)本発明に係る4−アシロキシビフェニルの臭素化反応は、比較的低温で反応が進行するので、高温下での反応に伴う反応副生成物の生成を抑えることもできる。また、(iv)本発明に係る4−アシロキシビフェニルの臭素化反応は、密閉系での反応が可能であるので作業の安全性、効率性に優れており、その結果、経済性にも優れている。しかも、(v)高収率、高純度に4−アシロキシ−4’−ブロモビフェニル化合物を得ることができる。
【0031】
【発明の効果】
本発明に係る4−アシロキシ−4’−ブロモビフェニル化合物の製造方法によれば、製造工程が少なく、しかも、(i)オキシラン化合物による臭化水素の捕捉によって、反応系内の副生成物の生成あるいは反応装置の損傷を抑制できるとともに、(ii)オキシラン化合物の溶剤としての機能から反応系の容量を小型化し、廃棄物の排出量を低減することができ、また、(iii)比較的低温での反応が可能であるので副生成物の生成を抑えることができ、(iv)密閉系での反応が可能であるので作業の安全性、効率性に優れており、さらに、(v)高収率、高純度に4−アシロキシ−4’−ブロモビフェニル化合物を得ることができる。
【0032】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、これらの実施例により本発明は限定されるものではない。
【0033】
【実施例1】
[4−アセトキシ−4’−ブロモビフェニルの製造]
還流冷却管、温度計、攪拌装置を装着した300mlの4つ口フラスコに、4−アセトキシビフェニル114.6g(0.54モル)、1,2−ジクロロエタン125.0gおよび1,2−エポキシプロパン56.5g(0.972モル)を導入した。フラスコ中の溶液の温度を15〜20℃付近に維持しつつ、フラスコ内の溶液を撹拌しながら、この溶液に滴下漏斗から臭素120.8g(0.756モル)を6時間かけて滴下した。
【0034】
臭素の添加終了後、反応溶液内の温度を15〜20℃にして反応溶液を2時間撹拌した。次に反応液を水50.0gで洗浄分液した後、5℃以下に冷却し、析出した結晶を濾過して、粗結晶140.9gを得た。プロトンNMRにより、得られた粗結晶が4−アセトキシ−4’−ブロモビフェニルであることを確認した。ガスクロマトグラフィーにより分析したところ、粗結晶の純度は98.7%であった。さらに、得られた粗結晶をトルエンで再結晶し、白色結晶121.1gを得た。収率は77%、純度は100%であった。白色結晶の融点は130〜130.5℃であった。
【0035】
【実施例2】
[4−アセトキシ−4’−ブロモビフェニルの製造]
還流冷却管、温度計、攪拌装置を装着した200mlの4つ口フラスコに4−アセトキシビフェニル69.2g(0.326モル)、1,2−ジクロロエタン82.1gおよび1,2−エポキシブタン42.3g(0.5868モル)を導入した。フラスコ中の溶液の温度を15〜20℃付近に維持しつつ、フラスコ内の溶液を撹拌しながら、この溶液に、滴下漏斗から、臭素72.9g(0.4564モル)を1,2−ジクロロエタン13.7gに溶解したものを6時間かけて滴下した。
【0036】
臭素の添加終了後、反応溶液内の温度を15〜20℃にして反応溶液を2時間撹拌した。その後、実施例1と同様の方法で、粗結晶88.3gを得た。プロトンNMRにより、得られた粗結晶が4−アセトキシ−4’−ブロモビフェニルであることを確認した。ガスクロマトグラフィーにより分析したところ、粗結晶の純度は99.1%であった。さらに、得られた粗結晶をトルエンで再結晶し、白色結晶84.2gを得た。収率は88.7%、純度は100%であった。白色結晶の融点は130〜130.5℃であった。
【0037】
【実施例3】
[4−アセトキシ−4’−ブロモビフェニルの製造]
還流冷却管、温度計、攪拌装置を装着した1lの4つ口フラスコに4−アセトキシビフェニル318.4g(1.5モル)、1,2−ジクロロエタン402.0gおよびn−ブチルグリシジルエーテル273.4g(2.1モル)を導入した。フラスコ中の溶液の温度を15〜20℃付近に維持しつつ、フラスコ内の溶液を撹拌しながら、この溶液に、滴下漏斗から、臭素319.6g(2.0モル)を6時間かけて滴下した。
【0038】
臭素の添加終了後、反応溶液内の温度を15〜20℃にして反応溶液を2時間撹拌した。次に反応溶液を0〜5°Cに冷却し、析出した結晶を濾過して、粗結晶404.6gを得た。プロトンNMRにより、得られた粗結晶が4−アセトキシ−4’−ブロモビフェニルであることを確認した。ガスクロマトグラフィーにより分析したところ、粗結晶の純度は99.6%であった。さらに、得られた粗結晶をメタノールで洗浄し、白色結晶395.8gを得た。収率は90.9%、純度は100%であった。白色結晶の融点は130.5〜131℃であった。
【0039】
【実施例4】
[4−ヒドロキシビフェニルからの4−アセトキシ−4’−ブロモビフェニルの製造]
還流冷却管、温度計、攪拌装置を装着した2lの4つ口フラスコに、4−ヒドロキシビフェニル553.2g(3.25モル)、p−トルエンスルホン酸水和物4.3g(0.02275モル)、1,2−ジクロロエタン800.0gを挿入した。この溶液を攪拌しつつ、溶液の温度を70℃付近に維持して、滴下漏斗により無水酢酸365.0g(3.575モル)を溶液に滴下した。70℃程度の温度で1時間撹拌した。4−ヒドロキシビフェニルのアセチル化反応終了後、反応溶液を50℃程度に維持し、反応溶液を水洗した後、有機相を分液して、2lの4つ口フラスコに、この4−アセトキシビフェニルを含有する有機相の溶液を導入した。この溶液を15〜20℃以下に冷却して、1,2−エポキシプロパン377.3g(6.5モル)を添加した。温度を15〜20℃付近に保持しながら、この溶液を撹拌しつつ、滴下漏斗より臭素675.2g(4.225モル)を6時間で添加した。
【0040】
臭素の添加終了後、反応溶液内の温度を15〜20℃にして反応溶液を2時間撹拌した。次に反応溶液を0〜5℃に冷却し、析出した結晶を濾過して、粗結晶927.2gを得た。プロトンNMRにより、得られた粗結晶が4−アセトキシ−4’−ブロモビフェニルであることを確認した。ガスクロマトグラフィーにより分析したところ、粗結晶の純度は99.8%であった。さらに、得られた粗結晶をエタノールで洗浄し、白色結晶899.8gを得た。収率は95.1%(4−ヒドロキシビフェニルからの収率)、純度は100%であった。白色結晶の融点は130.5〜131℃であった。

Claims (4)

  1. 下記一般式[I]
    Figure 0003998874
    [式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基である]
    で表されるビフェニル化合物を不活性媒体中で、下記一般式[II]
    Figure 0003998874
    [式中、R1、R2は互いに独立して水素、アルキル基、R3OCH2−基であり、R1とR2とは互いに結合したアルキレン鎖(−(CH2n−)であってもよく、nは3または4であり、R3はアルキル基である]
    で表されるオキシラン化合物の存在下に、臭素と反応させ、下記一般式[III]
    Figure 0003998874
    [式中、Rは上記一般式[I]のRと同義である]
    で表される4−アシロキシ−4’−ブロモビフェニル化合物を得ることを特徴とする4−アシロキシ−4’−ブロモビフェニル化合物の製造方法。
  2. 前記一般式[I]および[III]のRが、メチル基であることを特徴とする請求項1に記載の4−アシロキシ−4’−ブロモビフェニル化合物の製造方法。
  3. 前記不活性媒体が、有機ハロゲン化合物であることを特徴とする請求項1に記載の4−アシロキシ−4’−ブロモビフェニル化合物の製造方法。
  4. 前記オキシラン化合物が、前記一般式[II]において、
    1、R2がともに水素原子、
    1またはR2の少なくとも一方がアルキル基、または
    1またはR2の少なくとも一方がR3OCH2基であってR3がアルキル基
    であるオキシラン化合物のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の4−アシロキシ−4’−ブロモビフェニル化合物の製造方法。
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