JP3998731B2 - 通電部材の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、過酷な環境下でも長期間安定に使用することができる端子、コネクター、リレー、スイッチ、ブスバー、ボリューム、ブレーカー、接点ばね、ソケット、リードフレーム等の電気・電子回路部品もしくはそれらの素材として使用される通電部材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
上述したような電気・電子回路部材としては、Snめっきを施した銅板や銅合金板が従来から多く用いられている。
この種のSnめっき板を製造する場合、まず基材の表面を洗浄し、表面を活性化する等の前処理を施し、さらに必要に応じてCu下地めっきを行った後、電解または無電解めっき法で厚さ0.5〜1.5μm程度のSnめっき層を形成する。このSnめっき板を通電部材としてそのまま使用に供する場合もあるが、さらにリフロー(溶融)処理を行って、Snめっき層の表面を平滑化してから使用することも行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで近年、電気・電子回路部品については小型化および高密度化の要求が一層強くなり、通電に伴なう部品自体の発熱量が増大するばかりでなく、例えば自動車用の部品に関しては、スペース確保等の観点からエンジン回りなどにも取り付けられることが多くなってきた。
【0004】
しかし、自動車のエンジン回りは、温度的に過酷な環境にあるため、従来用いられている厚さ0.5〜1.5μm程度のSn層を形成した通電部材では、表面が黒変色するうえ、接触抵抗が大きくなって電気回路の安定性を害するという問題が生じている。
【0005】
上記問題を防ぐには、Snめっきを厚くすることが1つの解決策であるが、Sn層を厚くするとプレス加工を行う際にめっき粉が多く発生し、プレス金型の粉詰まりが起きやすい等の不都合が生じる。一方、Snめっきしたのちリフロー処理する場合には、Snめっきを溶融して凝固させるという処理方法のため、形成可能な厚さに限界がある。
【0006】
そこで本発明者らは、熱環境下でSnめっき表面の接触抵抗が高くなる原因を詳細に検討し、その結果、基材または下地めっき層中のCuがSnめっき表面まで拡散し、酸化銅あるいは亜酸化銅を形成することが原因の一つであることを見いだした。したがって、基材あるいは下地めっき層中のCuが表面まで拡散するのを抑制することが、通電部材表面の接触抵抗増加を防ぐ手段として有効と考えられる。
【0007】
Cuの拡散防止のためには、Au,Pt等の貴金属を拡散防止層として基材表面に直接めっきすることが考えられた。しかし、本発明者らが実験した結果、母材表面にそのようなめっき層を形成した場合、十分なCu拡散防止のためには一定以上の厚さを必要とし、コスト的に高いものとなることが判明した。
【0008】
ところが、Sn層上にAu,Pt等の貴金属をめっきして拡散防止層を形成した場合には、拡散防止層が薄くても十分なCuの拡散防止効果が得られ、コスト的に許容できることが判明した。
同様に、Ni,Cr等のめっき層をSn層上に拡散防止層として形成した場合も、膜厚の薄さにも拘わらず十分な拡散防止効果が得られるうえ、この場合特に拡散防止層が硬いため、通電部材として必要な曲げ特性や端子、コネクタ等として必要な挿抜特性を損なうことなく、耐熱性を付与することができることを見い出した。
また、Sn層上にZn,Pb等の異種金属をめっきした場合、さらには、Sn層上に形成方法の異なる別のSn層を形成した場合にも、拡散防止効果が得られることを見いだした。
【0009】
本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、高温環境での黒変色や接触抵抗増加が防止できる通電部材の製造方法を提供することを課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係る第1の通電部材の製造方法は、電気・電子回路部品もしくはそれらの素材として使用される通電部材の製造方法であって、銅板または銅合金板からなる基材上に、厚さ0.1〜3.0μmのSnめっき層(以下、第1Snめっき層と称する)を形成する工程と、この第1Snめっき層上に拡散防止層を形成する工程とを有し、
この拡散防止層が前記通電部材の表面に配置され、
前記拡散防止層は、
(a)Au、Pt、Pdから選択される1種または2種以上からなる厚さ0.002〜0.2μmのめっき層、
(b)Ni,Cr,Agから選択される1種または2種以上からなる厚さ0.01〜1.0μmのめっき層、
(c)Zn,Pbから選択される1種または2種以上からなる厚さ0.05〜2.0μmのめっき層、
(d)前記Snめっき層とは異なる方法により形成された厚さ0.05〜2.0μmの第2Snめっき層、
から選択される1または2以上のめっき層によって構成され、
さらに、前記拡散防止層の厚さは2.5μm以下であることを特徴としたものである。
【0011】
前記第1Snめっき層は、電解めっき法または無電解めっき法により形成されたもので、基材中のCuが通電部材の表面に拡散して酸化することを抑制するとともに、端子やコネクターなど電気・電子回路部品として使用する際の嵌合性を良好にし、通電安定性を向上する作用を果たす。しかし、第1Snめっき層の厚さが0.1μm未満では前記作用が十分に得られず、逆に第1Snめっき層の厚さが3μmを越えると、通電部材をプレス加工する際にSn粉の発生が多くなり、プレス金型のカス詰まりが起こり易くなるという不都合を有する。このため、第1Snめっきの厚さを0.1〜3μmと定めた。より好ましい厚さ範囲は0.3〜2.0μmである。
【0012】
Au,Pt,Pd等からなるめっき層(a)は、基材からのCuの拡散を抑制するとともに、高温環境下でも化学的に安定であるから、電気・電子回路部品として通電時の接触抵抗を低く抑える作用を有する。ただし、めっき層(a)の厚さが0.002μm未満ではその作用が十分でなく、一方、0.2μmを越えると製造コストの負担が大きくなるので、その厚さを0.002〜0.2μmと定めた。より好ましい厚さ範囲は0.01〜0.1μmである。
【0013】
Ni,Cr,Ag等からなるめっき層(b)は、基材からのCuの拡散を抑制するとともに、電気・電子回路部品として高温環境下での長期的に使用した場合に、接触抵抗を低く押さえる作用を有する。ただし、その厚さが0.01μm未満では前記作用が十分ではない。一方、NiまたはCrでめっき層を形成した場合には、その厚さが1.0μmを越えると、プレス加工等での厳しい曲げ加工でクラックが生じ易くなる。また、Agでめっき層を形成した場合には、厚さが1.0μmを越えると製造コストの負担が大きくなる。よって、Ni,Cr,Agのいずれで形成した場合にも、めっき層(b)の厚さは0.01〜1.0μmと定めた。より好ましい厚さ範囲は0.03〜0.6μmである。
【0014】
Zn,Pb等からなるめっき層(c)は、第1Snめっき層からのCu拡散を抑制し、熱環境下での接触抵抗の増加を抑制する作用を有する。Zn,Pbのいずれからなる場合にも、その厚さが0.05μm未満では前記作用が十分ではなく、一方、その厚さが2.0μmを越えると、端子やコネクターとして利用する場合の挿抜抵抗が大きくなり過ぎるとともに、プレス打抜き時のめっき粉の発生が多く不具合が生じるようになる。したがって、その厚さを0.05〜2.0μmと定めた。より好ましい厚さ範囲は0.3〜1.5μmである。
【0015】
拡散防止層として、第2Snめっき層(d)を形成する場合には、第1Snめっきとは異なる方法で形成することが必要である。すなわち、第1Snめっき層を電解めっき法または無電解めっき法で形成した場合には、第2Snめっき層を蒸着法で形成し、第1Snめっき層をリフロー法で形成した場合には、第2Snめっき層を電着法あるいは蒸着法で形成すればよい。実施可能な組み合わせは、以下の通りである。
(第1Snめっき層形成方法/第2Snめっき層形成方法)
湿式めっき法/蒸着法(乾式めっき法)
蒸着法/湿式めっき法
リフロー法/湿式めっき法または蒸着法
溶融Sn接触法/湿式めっき法または蒸着法
【0016】
前記のように第1Snめっき層と異なる方法で第2Snめっき層を形成すれば、両者の界面において第1Snめっき層からのCu拡散が抑制され、熱環境下での黒変色や接触抵抗の増加を抑制する作用が得られる。ただし、第2Snめっきの厚さが0.05μm未満ではその作用が十分ではなく、逆に厚さが2.0μmを越えると、プレス金型のカスづまりが起こり易くなる。したがって、その厚さを0.05〜2.0μmと定めた。より好ましい厚さ範囲は0.3〜1.5μmである。なお、第1Snめっき層と第2Snめっき層との合計厚さは3.0μm以下であることが好ましい。
【0017】
拡散防止層として、上記の厚さ条件を満たした前記めっき層(a)〜(d)を2種以上積層して形成した場合にも本発明の効果を得ることができる。その場合には、それらの合計厚さが2.5μm以下であることが必要で、より好ましくは0.02〜1.8μmとされる。合計厚さが2.5μmを越えると、プレス打抜時のめっき粉発生が多くなり、プレス金型のかすつまりが起こり易くなる。
【0018】
前記のような通電部材を製造するには、銅または銅合金からなる基材上に、電解めっき法または無電解めっき法の少なくとも一方により第1Snめっき層を形成する。次に、前記第1Snめっき層上に、Au,Pt,Pd,Ni,Cr,Ag,Sn,Zn,Pbから選択される1種または2種以上の金属めっき層を、電解めっき法、無電解めっき法あるいは蒸着法から選択される1種または2種以上のめっき法により形成すればよい。
【0019】
次に、本発明に係る第2の通電部材の製造方法について説明する。第2の通電部材の製造方法は、銅板または銅合金板からなる基材上に厚さ0.1〜2.0μmのCu−Sn合金層を形成する工程と、このCu−Sn合金層上に厚さ0.05〜2.0μmの溶融後凝固したSn層を形成する工程と、このSn層上に拡散防止層を形成する工程とを有している。拡散防止層については、第1の通電部材の製造方法と同様であるから説明を省略する。
【0020】
前記Cu−Sn合金層の厚さが0.1μm未満、あるいは溶融後凝固したSn層の厚さが0.05μm未満であると、基材中のCuが通電部材の表面まで拡散して酸化することを十分に抑制できないうえ、端子やコネクターなど電気・電子回路部品として使用する場合の嵌合性が悪化し、通電安定性が低下する。
【0021】
一方、Cu−Sn合金層の厚さが2.0μmを越えると、熱環境下でCu−Sn合金層からSn層へ拡散するCu量が増加し、めっきの耐熱性に悪影響を及ぼす。また、溶融後凝固したSn層の厚さが2.0μmを越えると、プレス時のSn粉の発生や金型へのカス詰まりが起こり易くなる。したがって、Cu−Sn合金層の厚さを0.1〜2.0μm、溶融後凝固したSn層の厚さを0.05〜2.0μmと定めた。より好ましくはそれぞれ0.3〜1.2μm、0.15〜1.2μmである。
【0022】
上記のような構成からなる第2の通電部材を製造するには、まず、銅または銅合金からなる基材上に、電解めっき法または無電解めっき法の少なくとも一方によりSnめっき層を形成する。リフロー前のSnめっき層の厚さは3μm未満が好ましい。3μmを越えると、溶融時に液垂れが生じやすく、リフロー処理が難しくなる。
【0023】
次いで、前記基材をリフロー処理することにより、基材表面にCu−Sn合金層を形成するとともに、その上に溶融後凝固したSn層を形成する。リフロー処理は一般的に行われている方法でよく、具体的には、不活性ガスを満たした加熱炉内で240〜400℃に熱すればよい。
【0024】
続いて、溶融後凝固したSn層上に、電解めっき法、無電解めっき法あるいは蒸着法から選択される1種または2種以上のめっき法により、Au,Pt,Pd,Ni,Cr,Ag,Sn,Zn,Pbから選択される1種または2種以上の金属めっき層を前述した厚さで形成すればよい。
【0025】
第2の通電部材の他の製造方法としては、銅または銅合金からなる基材を、溶融Snと接触させることにより、前記基材表面にCu−Sn合金層を形成するとともにその上に溶融後凝固したSn層を形成してもよい。具体的には、250〜400℃で溶融状態にあるSnに、基材を浸漬する等の方法が可能である。
【0026】
後は前記方法と同様に、溶融後凝固したSn層上に、電解めっき法、無電解めっき法あるいは蒸着法から選択される1種または2種以上のめっき法により、Au,Pt,Pd,Ni,Cr,Ag,Sn,Zn,Pbから選択される1種または2種以上の金属めっき層を形成すればよい。
【0027】
第1または第2の通電部材において、基材の表面に厚さ0.1〜1.0μmのCu下地めっき層が形成されていてもよい。このようなCu下地めっき層を形成するには、銅または銅合金母材上にCu下地めっきを施した基材を使用し、前述した製造方法を行えばよい。母材が純銅、黄銅(Cu−Zn合金)その他の銅合金の場合には、Cu下地めっき層を形成することにより、その上に形成したSnめっき層の光沢性、平滑性、密着性等を向上することができる。Cu下地めっき層の厚さが0.1μm未満であると前記作用は不十分となり、一方、Cu下地めっきの厚さが1.0μmを越えても前記効果はそれ以上向上せず、めっきの生産性が悪化するのみである。したがって、Cu下地めっきの厚さは0.1〜1.0μmであることが好ましい。
【0028】
ただし、例えばりん青銅(4〜8%のSnを添加したCu合金)等の特殊な銅合金を基材とする場合には、Cu下地めっき層を形成すると逆にSnめっき層の耐熱密着性に悪い影響を与えるので、Cu下地めっき層は基材の種類に応じて使い分ける必要がある。
【0029】
【作用】
本発明に係る通電部材の製造方法では、基材を形成する銅合金の種類にかかわらず、厳しい熱環境下においても基材から通電部材表面への銅の拡散が抑止でき、銅拡散に起因する変色や接触抵抗の増加等の問題を防止できる通電部材を製造することができる。したがって、例えば電気・電子回路部品として自動車のエンジン回りなどの過酷な環境下に置かれた場合にも、長期に亘って高い信頼性が得られる。
【0031】
【実施例】
次に、本発明の効果を実施例を挙げて具体的に説明する。
通常の銅板または銅合金板製造設備により、表1に示す組成からなる基材a〜nを製造した。なお、基材j,k,lとしては予め溶融Snめっきが施されている市販のりん青銅板を用いた。
【0032】
【表1】
【0033】
基材a〜nの表面に、電解めっき法または無電解めっき法により、必要に応じてCu下地めっき層を形成した後、Snめっき層を形成した。さらに、一部の基材については、不活性ガスで満たされた炉内において種々の条件でリフロー処理を施し、Sn皮膜を一旦溶融して表面を滑らかにした。
【0034】
こうして形成されたSnめっき層あるいは凝固Sn層上に、真空蒸着法、電解めっき法または無電解めっき法により、Au,Pt,Pd,Ni,Cr,Ag,Zn,Sn,Pbから選択された1種または2種以上の金属膜を形成し、試料1〜32とした。これらの膜構成を表2および表3に示す。各表中で(電)は電解めっき法、(無)は無電解めっき法、(蒸)は蒸着法で膜を形成したことを示している。また、各めっき層の膜厚を、電解式膜厚計(コクール膜厚計)、蛍光X線膜厚計あるいは断面SEM観察等の手段を用いて測定した。それらの測定値を表2および表3に併せて示す。各測定値は5回計測の平均値である。
【0035】
(接触抵抗試験)
各試料から、幅:40mm×長さ:40mmの試験片をそれぞれ切り出し、先端を金めっきした直径:3mm、先端の曲率半径が1.5mmのプローブを接触荷重:50gで試験片表面に当接させ、接触抵抗を10回測定した。さらに、各試験片を大気中で温度160℃において500時間加熱したうえ、加熱後の試験片の接触抵抗を同条件で10回測定し、加熱前後の接触抵抗の平均値の差を接触抵抗の増加量として求めた。結果を表2および表3に示す。
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
表2および表3から明らかなように、基材の種類、Cu下地層の有無に拘わらず、比較品では接触抵抗の増加が200mΩ以上だったのに対し、本発明品では35mΩ以下だった。特に、本発明品は、比較品に比べてSn層の厚さを小さくした場合にも、160℃という厳しい熱環境下において接触抵抗の増加が効果的に防止できることが判明した。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る通電部材の製造方法では、基材を形成する銅合金の種類にかかわらず、厳しい熱環境下においても基材から通電部材表面への銅の拡散が抑制でき、銅拡散に起因する変色や接触抵抗の増加等の問題も防止できる通電部材を製造することができる。したがって、例えば電気・電子回路部品として自動車のエンジン回りなどの過酷な環境下に置かれた場合にも、長期に亘って高い信頼性が得られる。
Claims (3)
- 電気・電子回路部品もしくはそれらの素材として使用される通電部材の製造方法であって、
銅板または銅合金板からなる基材上に、厚さ0.1〜3.0μmのSnめっき層を形成する工程と、このSnめっき層上に拡散防止層を形成する工程とを有し、
この拡散防止層が前記通電部材の表面に配置され、
前記拡散防止層は、Au、Pt、Pdから選択される1種または2種以上からなる厚さ0.002〜0.2μmのめっき層、Ni,Cr,Agから選択される1種または2種以上からなる厚さ0.01〜1.0μmのめっき層、Zn,Pbから選択される1種または2種以上からなる厚さ0.05〜2.0μmのめっき層、および前記Snめっき層とは異なる方法により形成された厚さ0.05〜2.0μmのSnめっき層、から選択される1または2以上のめっき層によって構成され、
さらに、前記拡散防止層の厚さは2.5μm以下であることを特徴とする通電部材の製造方法。 - 電気・電子回路部品もしくはそれらの素材として使用される通電部材の製造方法であって、
銅板または銅合金板からなる基材上に厚さ0.1〜2.0μmのCu−Sn合金層を形成する工程と、このCu−Sn合金層上に厚さ0.05〜2.0μmの溶融後凝固したSn層を形成する工程と、このSn層上に拡散防止層を形成する工程とを有し、
この拡散防止層が前記通電部材の表面に配置され、
前記拡散防止層は、Au、Pt、Pdから選択される1種または2種以上からなる厚さ0.002〜0.2μmのめっき層、Ni,Cr,Agから選択される1種または2種以上からなる厚さ0.01〜1.0μmのめっき層、またはZn,Pbから選択される1種または2種以上からなる厚さ0.05〜2.0μmのめっき層、および前記Sn層とは異なる方法により形成された厚さ0.05〜2.0μmのめっき層、から選択される1または2以上のめっき層によって構成され、
さらに、前記拡散防止層の厚さは2.5μm以下であることを特徴とする通電部材の製造方法。 - 請求項1または2記載の通電部材の製造方法であって、前記基材の表面に、厚さ0.1〜1.0μmのCu下地めっき層を形成する工程を有することを特徴とする通電部材の製造方法。
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