JP3998673B2 - ベビースリング(布製子守帯) - Google Patents

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この発明は育児に用いられ、ハンモック型子守帯で、親の肩からたすき掛けするタイプのベビースリングの構造に関する(以下、スリングと記載する)。
主として、子供を抱っこしたりおんぶしたりするための補助具として子守帯(「おんぶひも」とか「だっこひも」「ベビーキャリアー」等と総称することがある)がある。この子守帯には様々な種類があり形態で見ると、子供をバッグの中に収めるバック式(「リュックサック式」とか「カンガルー式」等と称されることもある)のものと、主として、ベルト状のもので子供の体を親の体に縛り付ける形態の縛り式(「オープン式」と称されることもあり単に、「おんぶひも」とか「だっこひも」「だっこバンド」等と称されることもある)のものと、1枚の布をハンモック状の子守帯にしたベビースリング(布製子守帯で主に「リングあり」と「リングなし」の2種類に分けられる)に大別できる。「リングなし」とは1枚の布を輪にしているもので長さの調節が出来ないが「リングあり」というのは1枚の布を2本のリングに通して輪にするものでテールを引く事で長さ調節が可能である。
バッグ式の子守帯は子供の胴体部分を収めるバッグと、このバッグを肩で吊るためのショルダーベルトや腰に固定するためのウエストベルト等から構成されていて、通常はウエストベルト等の留め具がバックル留めになっている。また、通常の縛り式子守帯は、子供の背中にあてがう背当てシートとその子供の脚の付け根辺りを通す脚通し部と背当てシートから左右に延びて親の体にその肩越しに巻きつける縛りベルト等から構成されている。
一方、スリングは面倒なバックル留めや縛りベルト等がなく、親がスリングを肩からたすき掛けにし、ポーチに子供を入れるだけで簡単に装着できる。ポーチとは子供を入れる部分で布の一番幅広になっている袋状の部分のことをいう。
バッグ式や縛り式の子守帯は親の肩部にあたる紐やベルトが比較的、幅狭なため、長時間使用するとベルトが親の肩へ食い込み、肩こりや頭痛を起しやすい傾向にある。またバックル等でいかにも子供が入れ込められてる状態は、子供にとっても長時間は辛いもので、中には初めから装着を嫌がる子供もいる。やむなく親が嫌がる子供にバッグ式や縛り式の子守帯を使って抱っこする場合もバックル留め等が愚図りにより大変になる。
バッグ式や縛り式の子守帯に対し、スリングは1枚布で出来ており、面倒なバックル留めもない。新生児の場合の横抱き(「ゆりかご抱き」とも言われる)に関しては母親のお腹の中に入るような抱っこ(「第二の子宮」と呼ばれる)になるので、子供も安心できる。また、肩幅の布が広いので、その分、重さが分散されて親も肩凝りや頭痛に悩まされることが少ない。しかも子供の頭(大きくなれば脇や肩部分)や脚にあたるレール部と親の肩にあたる部分にはあたりがいいようにクッション材を入れており、より快適さを追求している。なお、携帯性やコンパクト性を重視したスリングにおいては子供の頭や脚にあたるレール部分や親の肩にあたる部分にはクッション材である綿の入っていないものもある。レール部とはポーチ部の両端部のことをいう。
スリングで抱っこしていれば、授乳するときもわざわざスリングから下ろす事もなくスリングで授乳し易いように抱っこした状態で授乳出来、スリング自体が授乳の目隠しにもなる。また寝てしまっても、そのまま親が子供をスリングに入れたまま下ろし、スリングから親が頭を抜くことで子供を起こすことなく、またスリングがタオルケット代わりになるといった多くの利点がある。
ところが、従来の「リングなし」スリングはテールを引くことで調節出来る「リングあり」のようにスリングの長さの調整や抱っこしたときの布幅の調整が出来ない。長さは親のサイズで合うものを使えば問題ないが、布幅の調整が出来ないと、主に縦に抱く場合、子供の体型によって装着しても親と子供の間に余計な隙間が出来る状態になり、密着度を感じられない。
また「リングあり」の場合も使い始めの頃はテールの締め方にコツがいるため、なかなか思うように長さ調整が出来ず子供とのよりよい抱っこの位置が確保出来ず密着がとりにくい場合がある。
「リングあり」も「リングなし」も子供を抱っこして、子供がポーチに収まったときに親との密着感がないと不安定になり、子供によっては後ろに仰け反る子供もおり、よって親と子供の間に余計な隙間がある状態になっていると親も腰を反る体制になり易く、腰を痛める原因ともなる。また子供が反りかえるといった状態になると最悪、ずり落ちてしまう大変危険な状態に置かれることも考えられる。
勿論、「リングあり」の場合はテールで長さや幅の調整が出来るので慣れていなくても装着して抱っこやおんぶをする際に子供を支えてくれる介助者がいればそれほど難儀することもないが、今日の家族構成ではそのような者の手助けが得られることは極めて少なく、また外出先ではどうしても単独で処理しなければならないため、スリングの良さは分かっていても使いこなせないまま、箪笥のこやしになる場合もある。
本発明は上記した従来の問題点を解決するためのものであり、子供を抱っこ・おんぶする際の親との密着度を子供の機嫌を損ねず、なおかつ子供の視界は狭めずに簡単に行う事が出来、親と子供が密着出来る抱っこのよりよい位置をすばやく見出せる調節部を設けたベビースリングを提供することを目的とする。
この目的を達成するために、本発明は子供を抱っこした時に、ポーチのレール部より内側に沿って調節部の紐を通す調節部を取り付け、それにより調節部に空洞が出来たところで紐を通し例えば両側に留め具を設ける。(この留め具とは主に、プラスチック製で紐を通す穴があり、突起部を押すと紐を通す穴が貫通する形状になり突起部を押してる手を離すと紐を通す穴がふさがり、紐が留まる仕組みになっている。)そして片側を固定させた状態で、子供の入ったポーチ部の布を締めるときは、片手は子供の背中に添えたままで、空いているもう片方の手で紐を引っ張って締めることで布にギャザーが寄るので密着可能となる。(これは左手で子供の背中に手を添えていれば右手で締めることができ、右手が子供の背中に添えられていれば左手で締めれるといったように両側どちらからでも締めることが可能である。)緩めるときは留め具を片手で緩めることで簡単に操作できる。また、左右どちらの肩に親が装着しても使用可能にするようにポーチ部のレール内側に其々取りつけるのがより望ましい。
このように調節部を設けることにより、従来のように親と子供の間に余計な隙間が出来ず密着でき、かつレール部の幅、例えばクッション材がある場合にはクッション材の幅は締めていないので子供の視界を阻むこともなく、それゆえ子供は圧迫感を感じないで密着可能となり、調節部の紐や留め具等があたって痛いということもない。子供が反りかえりそうになっても紐で締めて親と密着していることで反りかえりも軽減でき、親の腰の負担も減り、子供のずり落ち防止にもなる。
上記スリングにおいて調節部を締めるときは片方の手は子供の背中に添えたままで空いている片方の手で紐を引っ張ることが出来、緩めるときは留め具の突起部を押えて緩めるだけという片手操作が可能となるため、抱っこしていても、授乳するときや横抱きにする場合など、密着を解きたいときはすぐに片手で緩めることが出来、子供の機嫌を損ねることもない。特に留め具を紐の両側に設けた場合には、左手右手どちらか親が使い易い片側のみの操作が可能になる。
この発明に基づいたスリングによれば、子供と親との密着が簡単に、かつ子供の視界を狭めることなくクッション材の快適さもそのままで実現でき、子供の反りかえりを軽減し、より安全に使用することが可能になる。
以下、この発明に基づいた実施の形態におけるスリング100・200について図1および図5を参照しながら説明する。尚、図1は親1が本実施の形態におけるスリング100を装着して調節部を締めている状態を示す全体図であり、図2は親1が本実施の形態におけるスリング100を装着して調節部を締めていない状態を示す全体図、図3はスリング100を二つ折りにして上から見た図でひっくり返してみても対照になっている。図4はスリング200を二つ折りにして上から見た図で、図5は本実施の形態におけるスリングのクッション材や調節部の構造を示す部分の展開図である。図6は図3を縦二つに割ったときの断面図で左右対照になっているのが示されている。図7は図4を縦二つに割ったときの断面図でリング7とテール8を除いては左右対照になっている。
まず、本実施の形態におけるスリング100(リングなし)と200(リングあり)の構成はスリング100・200に適している布で形成されており、親1の肩部において、スリング100・200の肩パッド9がくるようにたすき掛けするように装着される。子供2は布幅の一番広いポーチ部10に入れて抱っこし、ポーチ部10の両端はレール11と呼ばれるが、そのレール11の子供の背中(生まれて数ヶ月までなら頭部分・ある程度大きい月齢になれば脇や肩部分)や脚にあたる部分にはクッション材3、例えば綿などを入れ、長時間の抱っこでも子供2に布が食い込んで痛いということも防ぐことが出来、快適に過ごすことが出来るようにした。
スリング100は肩パッド9が親1の肩部にくるようにたすき掛けに装着する。
スリング200はまず2本のリング7にリング7が固定されていない方の布を通し、次にリング7 一本一本の間を戻るような形で通すことでベルトのように固定することで輪にし肩パッド9が親1の肩部にくるように装着するが、そのときリング7から出ている布部分をテール8といい、テール8を引くことで親1と子供2の抱っこのより良い位置が見出せる。リング7はステンレス製やプラスチック製があるが共に子供2を抱っこする重さに充分耐えられるものを使用している。
親1の肩部にあたる肩パッド9にもクッション材を入れて、クッション性を持たせているので親1の肩にかかる負担も軽減できる。調節部は、例えば綿入りであるクッション3の内側に沿って調節部用の布4を取り付け、紐5を通し、留め具6を取りつけて左右どちらか引き易い側の例えばアクリル製の紐5を引っ張ることで調節できるようにしている。クッション3の内側部分とは子供2を抱っこしたときに子供2の背中の脇あたり(新生児から数ヶ月位は頭部分)にくる位置で、レール11の端11aから10cm〜12cm程度内側の範囲のところに調節部用の布4の一辺4aがくるように取りつけるのが望ましい。反対側(脚にあたる部分)も背中部分にあたる位置に設けた調節部の布4と対称な位置に取りつけることにより、親1がどちらの肩に装着しても使用可能となる。
調節部用の布4はスリング100・200のクッション材3より内側に沿って、長い方の布の両側と真中を例えば糸で縫うことにより平行に等間隔で固定するように取り付け、空洞が出来たところで紐5を調節部用の布4に通し両端を留め具6で固定する。そのようにすることで紐を引っ張らない方の片側は固定されることになる。(図5・図10・図11)この留め具6とは主に、プラスチック製で紐5を通す穴があり、突起部12を押すと紐5を通す穴13が貫通する形状になっており突起部12を押してる手を離すと紐5を通す穴13がふさがり、紐5が留まる仕組みになっている。(図8・図9)
また、紐5は細すぎると紐5を留めている留め具6も、紐5が穴13をすり抜けて締めつけを緩めることもあると考えられ、太すぎると穴13に紐5が2本同時に通らないという事態も起こりうるので、直径3mm〜5mm位の太さの紐5が好ましい。
紐5を引っ張り留め具6で固定することにより、布にギャザーを寄せることで締めることが出来(図1)、また、留め具6を緩めると布のギャザーを緩めたりすることが容易に出来る。(図2)締めるとポーチ部分10の子供の背中にあたる布を寄せることが出来、親1と子供2の間に余計な隙間が無くなり、親1との密着が可能となる。またレール11やクッション3の布は締めていないので子供2の視界を圧迫することなく快適に密着可能となる。
上記構成からなるスリング100・200の使用状態においては図1に示すように親1の肩部にスリングの肩パッド9が来るようにたすき掛けにするように装着される。また子供2を抱っこする場合にはポーチ10に子供2を入れた後、紐5を左右引き易い側の手で密着出来るまで締め、留め具6で固定することにより親1と子供2の間に余計な隙間が無く密着できるようにすることが可能となる。
「実施形態の効果」
以上、本実施の形態におけるスリングによれば調節部を設けることでより親との密着を簡単に、かつ子供の視界を狭めることなくクッション部分の快適さもそのままで実現でき、子供の反りかえりを軽減し、より安全に使用することが可能になる。リングありスリング200においては初めにある程度はテールで締めておいて、すなわち粗調整をしておいてもう少し締めたいときに調節部の紐で締める、すなわち微調整をすると簡単に思い通りの密着がはかれる。
尚、この明細書で言う「子供」とはスリングを使用して抱っこ等をされる者の総称であり、「親」とはスリングを使用して抱っこ等をする者の総称である。
「他の実施形態」
以上、本発明は一つの実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、次のような別の形態を含めて、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても本発明に含まれる。
図面に示した実施の形態においてはポーチ10の両側のレール部11のクッション材3の入っている部分より内側に沿って調節部の紐5を通す調節部を設けたが利き肩が一定であれば、子供の背中にあたる部分片側にのみ設けるようにしても良く、このようにしても子供との密着には充分な効果がある。
また、図面に示した実施の形態においてはポーチ10の両側のレール部11にクッション材3を設けたスリングであるが、スリングの布の厚さやコンパクト性を重視するスリングによってはクッション材3を入れていなくてもよく、それでも尚、密着には充分な効果がある。
図面の示した実施の形態においては調節部用の布の空洞が出来たところに各々1本ずつ紐を通し各々両端の紐を同時に留め具で固定するようにしているが、左右どちら側の手で紐を引っ張るかが一定であれば、図12のように紐を引く側の端を留め具で留めるように1本の紐を往復する形で通しても充分な効果がある。
図面の示した実施の形態においては留め具の穴は1つのものを使用しているが、紐の本数によっては2つ穴以上の留め具を使用しても効果に変わりはない。
図面の示した実施形態においては調節部用の布の取りつけ方法は布の長い方の両端と真中を等間隔で固定するように取りつけて空洞を2つ設けているが、図13のように真中部分の取りつけは布の両端部分のみ2つの穴を作るように固定し、中の空洞は一つにして紐2本を通しても布を狭める効果は充分ある。しかし、ギャザーを美しく出すよう見た目を良くするためには真中も固定して2つの空洞を作って紐を通す方が望ましい。また、ギャザーを寄せることが出来れば空洞は2つまでと固執することはなくそれ以上でも構わない。
上記スリングにおいては、締めたり緩めたりが自由自在なため、抱っこしていても、授乳するときや横抱きにする場合はすぐに片手で緩めることが出来、簡単操作のため子供の機嫌を損ねることなく状況に応じてすぐに締めたり緩めたりが可能になる。
図3に示すスリングに子供を保持させ調節部を締めた状態を示す平面図である。 図3に示すスリングに子供を保持させ調節部を緩めた状態を示す平面図である。 本発明の実施の形態に係る「リングなしスリング」100を二つ折りにした平面図である。 本発明の実施の形態に係る「リングありスリング」200を二つ折りにした平面図である。 図3・図4に示すスリングに調節部を取りつける部分を示す拡大図である。 図3に示す「リングなしスリング」100の断面図である 図4に示す「リングありスリング」200の断面図である 留め具6の拡大図である。 図8に示す留め具6の突起部を押して穴が貫通した状態の拡大図である。 図5に示すスリングに調節部を取りつけた部分の拡大図である。 図10の断面図である。 調節部の紐を往復に通し、片側のみを留め具で固定した図である。 調節部の布を真中は両端部分を縫い中は一つの空洞にした場合の図である。
符号の説明
100 リングなしスリング 200 リングありスリング
1 親 2 子供 3 クッション材 4 調節部用の布 5 紐
6 留め具 7 リング 8 テール 9 肩パッド 10 ポーチ
11 レール 12 突起部 13 穴 14 縫い合わせ用の糸
4a 調節部用の布の端 11a レールの端

Claims (5)

  1. 布を輪状にして一方の肩にたすき掛けにし、前記布の幅広の袋状部分であるポーチ部に子供を入れて抱っこするためのベビースリングであって、
    前記ポーチ部の幅方向の端部であるレール部の内側に沿って調節部が取り付けられており、
    前記調節部は、
    前記レール部の内側に沿った3列に前記ポーチ部に縫い付けられることにより前記レール部に沿って並ぶ2本の空洞を形成する布部と、
    前記2本の空洞に挿通された紐と、
    前記布部の端部から外に延びる2本の前記紐に取り付けられることで前記布部を締めたり緩めたりすることを可能にする留め具と、を有しており、
    前記留め具は、突起部とその収容部とに穴が形成されており、前記突起部を押すと前記穴が貫通し、前記突起部を押さなければ前記穴がふさがる構造のものであり、前記穴に前記2本の紐が一緒に挿通されているベビースリング。
  2. 前記レール部にクッション材取り付けられており、
    前記調節部は、前記クッション材の内側に沿って取り付けられている請求項1記載のベビースリング。
  3. 前記紐は、前記2本の空洞のうち一方を行き、他方を戻りとするように1本が往復しており、使用時に肩に近い側の前記布部の端部から外に延びる2本の前記紐にのみ前記突起部が取り付けられている請求項1または2記載のベビースリング。
  4. 前記調節部は、前記ポーチ部の幅方向の両端部である双方のレール部の内側に沿って、2箇所に取り付けられている請求項1ないし3のいずれかに記載のベビースリング。
  5. 前記布部は、幅方向の両端と中央とが前記ポーチ部に縫い付けられた帯状であり、前記レール部との距離が10cm〜12cm程度である請求項1ないし4のいずれかに記載のベビースリング。
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