JP3997755B2 - 印刷制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、用紙上への画像の印刷出力を制御するための印刷制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、コピー機能、スキャナ機能、プリント機能、FAX機能等といった複数の機能を1台の装置で提供する、いわゆる複合機が普及しつつある。通常、複合機は、画像を光学的に読み取る画像読取部(Image Input Terminal;以下「IIT」という)、画像の印刷出力を行う画像出力部(Image Output Terminal;以下「IOT」という)、必要に応じて画像データの処理を行う画像処理部(Image Processing System;以下「IPS」という)、公衆回線やLAN(Local Area Network)等のネットワークに接続する通信部、これらの各部の動作を制御するコントロールユニット部等を備えている。そして、コントロールユニット部がこれらの各部を適宜組み合わせて動作させることにより、様々な画像入出力ジョブをユーザに提供するようになっている。具体的には、IITで読み取った画像データをIOTで出力するコピージョブ、ネットワーク経由で受信したPDL(Page Description Language)等のデータをIPSでデコンポーズした後にIOTで出力するプリントジョブ、通信部で受け取ったFAXデータをIOTで出力したりIITで読み取った画像データを通信部からFAX送信したりするFAXジョブ等の実行が可能である。なお、これらのジョブ間では、予め実行の優先順位が定められていることが多い。これは、各ジョブが競合し得るのに対して、競合するジョブの組み合わせによっては例えばIOTのような共用部分が生じてしまうからである。
【0003】
このような複合機にて用いられるIOTは、カラー画像の印刷出力に対応したものが一般的である。カラー画像の印刷出力は、通常、周知の電子写真技術を利用しつつ、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、クロ(K)の各色のトナー像を用紙上に転写することで行われる。ただし、近年では、印刷出力処理の高速化を目的として、YMCK各色のトナー像の形成およびその基になる潜像の形成をそれぞれ並行的に行う、いわゆるタンデム方式が用いられることが多い。
【0004】
タンデム方式のIOTでは、カラー画像の印刷出力を行うのに際し、YMCKの各色に対応して並設されたROS(Raster Output Scanner)および感光体ドラムを用いて、潜像の書き込みおよびその潜像に基づくトナー像の形成を各色別に並行的に行う。そして、各色の感光体ドラムに沿って配された像担持体(例えば中間体ベルト)に各感光体ドラム上の各色トナー像を転写して合成した後に、その合成像を所定の転写位置で用紙上に転写することで、カラー画像の印刷出力を行うようになっている。
【0005】
その一方で、カラー画像を印刷出力すべき用紙サイズは多岐にわたることから、通常、IOTでは、複数の用紙トレイを備え、各用紙トレイの中から選択的に用紙を繰り出して、その繰り出した用紙をトナー像の転写位置まで搬送するように構成されている。このときの用紙搬送速度は、像担持体の移動速度と同期する必要があるため、繰り出し元の用紙トレイが異なっても常に一定である。ところが、トナー像の転写位置までの搬送距離については、繰り出し元の用紙トレイが異なれば、当該用紙トレイの配設位置に応じて相違することになる。
【0006】
これらのことから、タンデム方式のIOTを用いた複合機では、用紙トレイの配設位置によっては、例えばトナー像の転写位置の直近に配されたもののように、当該用紙トレイからトナー像の転写位置までの用紙搬送距離が、最も遠い感光体ドラムからトナー像の転写位置までの像担持体の移動距離よりも短くなる場合がある。したがって、このような用紙トレイから繰り出した用紙上に画像を印刷出力する場合には、ROSによる感光体ドラム上への潜像の書き込みを開始した後に、所定のタイミングで用紙トレイからの用紙の繰り出しを開始するように構成されている。
【0007】
ところで、複合機においては、IOTを用いたジョブの実行中に、当該ジョブの実行停止要求、すなわち印刷停止要求が発生する場合があり得る。その一例としては、IOTでの印刷出力処理中に、操作パネルのストップボタンが押下される等のユーザ操作があった場合が挙げられる。また、例えばプリントジョブの実行中にそれよりも優先度の高いFAXジョブの割り込みがあった場合にも、当該FAXジョブを優先して処理するために、プリントジョブを一時的に中断するための印刷停止要求が発生する。
【0008】
このような印刷停止要求が発生した場合に、従来の複合機では、コントロールユニット部がIOTに対して直ちに動作停止指示を与える。これにより、IOTは、速やかに印刷出力処理を停止して、次のコントロールユニット部からの動作指示を待つことになる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、コントロールユニット部が印刷停止要求に応じて直ちにIOTに動作停止指示を与えると、以下に述べるような難点が生じることが考えられる。例えばトナー像転写位置の直近の用紙トレイから用紙を繰り出す場合であって、ROSによる感光体ドラム上への潜像の書き込み開始後、用紙トレイからの用紙繰り出し前に印刷停止要求が発生した場合には、速やかに停止することを優先するため、用紙の繰り出しおよび搬送を行わずに、印刷出力処理を終了(または中断)することになる。つまり、この場合、コントロールユニット部が直ちに動作停止指示を与えることによって、感光体ドラム上への潜像書き込みおよび像担持体上へのトナー像の形成は行われるが、用紙トレイからの用紙の繰り出しおよび搬送は行われない。
【0010】
したがって、印刷出力処理を再開するとき、または新たな印刷出力処理を開始するときには、出力画質を高く維持するために、処理停止前に既に形成済みのトナー像(感光体ドラム上または像担持体上のもので、形成途中であったものも含む)のクリーニング処理を行うことが必須となってしまう。かかるクリーニング処理によって感光体ドラム上または像担持体上から除去されるトナーは、印刷出力処理に有効に使用されず浪費されることになるので、結果として多くのランニングコストをユーザに強いてしまうことになり得る。また、クリーニング処理が必須であるということは、それだけ再開後の印刷出力処理または新たな印刷出力処理の開始を待たせてしまうことになるので、結果として印刷出力の生産性低下を招いてしまうことにも繋がる。さらに、印刷出力処理を再開する場合には、除去された形成済み分について再び像形成等を行わなければならないため、その重複分が無駄であり、処理効率を向上させる上で好ましくない。
【0011】
そこで、本発明は、用紙上への画像の印刷出力を制御するために用いられる印刷制御装置において、印刷停止要求に応じた動作停止指示の発行タイミングの適切化を図ることにより、印刷停止要求に起因するトナー浪費や生産性低下等を回避可能にすることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために案出された印刷制御装置で、潜像の書き込みおよび当該潜像に基づくトナー像の形成を行うとともに当該トナー像を所定の転写位置で用紙上へ転写する画像形成手段と、前記トナー像が転写される用紙を少なくとも当該用紙を収納する収納トレイから繰り出して前記転写位置まで搬送する用紙搬送手段とのそれぞれに対し、これらの動作に必要となる動作指示を与える印刷制御装置であって、前記用紙搬送手段による収納トレイからの用紙の繰り出しに先立って前記画像形成手段での潜像書き込みを開始する場合において、前記画像形成手段に動作開始指示を与えた後、前記動作開始指示に応じた前記画像形成手段による潜像の書き込み開始前に印刷停止要求が発生した場合には、前記画像形成手段および前記用紙搬送手段に対して動作停止指示を与え、前記動作開始指示に応じた前記画像形成手段による潜像の書き込み開始後に印刷停止要求が発生した場合には、当該用紙上へのトナー像の転写および当該トナー像を転写した用紙の前記転写位置からの排出を完了し得るタイミングを待って、前記画像形成手段に次の用紙に対する動作停止指示を与えることを特徴とするものである。
また、本発明は、潜像の書き込みおよび当該潜像に基づくトナー像の形成を行うとともに当該トナー像を所定の転写位置で用紙上へ転写する画像形成手段と、前記トナー像が転写される用紙を少なくとも当該用紙を収納する収納トレイから繰り出して前記転写位置まで搬送する用紙搬送手段とのそれぞれに対し、これらの動作に必要となる動作指示を与える印刷制御装置であって、前記用紙搬送手段による収納トレイからの用紙の繰り出しに先立って前記画像形成手段での潜像書き込みを開始する場合において、前記画像形成手段に動作開始指示を与えた後、前記動作開始指示に応じた前記画像形成手段による潜像の書き込み開始前に印刷停止要求が発生した場合には、前記画像形成手段および前記用紙搬送手段に対して動作停止指示を与え、前記動作開始指示に応じた前記画像形成手段による潜像の書き込み開始後に印刷停止要求が発生した場合には、当該用紙の収納トレイからの用紙の繰り出し開始を待って、前記画像形成手段に次の用紙に対する動作停止指示を与えるとともに、繰り出された用紙に対しては当該用紙上へのトナー像の転写および当該トナー像を転写した用紙の前記転写位置からの排出をすることを特徴とするものである。
【0013】
上記構成の印刷制御装置では、潜像の書き込み開始後に印刷停止要求が発生した場合には、用紙上へのトナー像の転写および当該トナー像を転写した用紙の転写位置からの排出を完了し得るタイミングを待って、画像形成手段に次の用紙に対する動作停止指示を与える。または、用紙の収納トレイからの用紙の繰り出し開始を待って、画像形成手段に次の用紙に対する動作停止指示を与えるとともに、繰り出された用紙に対しては当該用紙上へのトナー像の転写および当該トナー像を転写した用紙の転写位置からの排出をする。すなわち、用紙搬送手段による用紙搬送前に印刷停止要求が発生しても、所定単位(例えば1ページ分)の用紙については、用紙搬送手段に搬送させる。したがって、印刷停止要求の発生があっても、既に画像形成手段が開始した潜像書き込みにより形成されるトナー像については、用紙搬送手段によって搬送される用紙上に転写されて出力されることになる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明に係る印刷制御装置について説明する。ここでは、複合機に搭載されて用いられる印刷制御装置を例に挙げて説明する。
【0015】
先ず、複合機のシステム構成について簡単に説明する。図1は、複合機のシステム構成例を示すブロック図である。図例のように、複合機1は、画像を光学的に読み取るIIT2と、画像の印刷出力を行うIOT3と、必要に応じて画像データの処理を行うIPS4と、公衆回線やLAN等のネットワークに接続する通信部5と、ユーザが操作するためのユーザインタフェース(以下「UI」と略す)部6と、これらの各部の動作を制御するコントロールユニット部7と、を備えている。そして、コントロールユニット部7がこれらの各部2〜6を適宜組み合わせて動作させることにより、コピージョブやプリントジョブ等といった様々な画像入出力ジョブをユーザに提供するようになっている。
【0016】
続いて、このような複合機1にて用いられるIOT3について、さらに詳しく説明する。図2は、IOTの概略構成例を示す模式図である。図例のように、IOT3は、大別すると、印刷出力すべき画像の形成を行う画像形成部10と、複数の用紙トレイ21a,21b,21c…および排紙トレイ22を備えた用紙収納部20と、各用紙トレイ21a,21b,21c…から画像形成部10を経由して排紙トレイ22まで用紙を搬送する用紙搬送部30と、から構成されている。
【0017】
このうち、画像形成部10は、タンデム方式と呼ばれる構成を採用したもので、YMCKの各色に対応した潜像の書き込みおよびトナー像の形成をそれぞれ並行的に行うことで、画像形成処理の高速化を図ることを可能にしたものである。
【0018】
図3は、画像形成部の概略構成例を示す模式図である。図例のように、画像形成部10は、タンデム方式を採用していることから、像担持体として機能する中間体ベルト11に沿って、YMCKの各色に対応した感光体ドラム12y,12m,12c,12kがそれぞれ個別に配設されている。そして、各感光体ドラム12y,12m,12c,12kに対応して、レーザビームにより潜像の書き込みを行うROS13y,13m,13c,13kと、書き込まれた潜像をトナー像化するための現像器14y,14m,14c,14kとが、それぞれ付設されている。また、中間体ベルト11に沿って、その中間体ベルト11上の余分なトナーを除去するクリーナ15も備えている。
【0019】
このような構成の画像形成部10では、YMCKの各色に対応した面順次ビットマップデータが入力されると、そのうちのY色データに基づいて、Y色に対応したROS13yが感光体ドラム12yに対してレーザビームを照射して、その照射部分を帯電させる。そして、照射部分が帯電すると、現像器14yが、その帯電部分(潜像)にY色トナーを付着させて感光体ドラム12y上にトナー像を形成する。これと同様に、ROS13m,13c,13kおよび現像器14m,14c,14kも、感光体ドラム12m,12c,12k上に各色のトナー像を形成する。これら各色のトナー像は、Y色、M色、C色、K色の順に、それぞれが互いに重なり合うように、その中間体ベルト11上に転写されることになる。この転写のために、各感光体ドラム12y,12m,12c,12kおよび中間体ベルト11は、それぞれが同期して動作するものとする。また、中間体ベルト11上に形成された各色の合成トナー像は、その後、当該中間体ベルト11の動作に伴って移動し、用紙搬送部30により搬送されてきた用紙上に転写される。なお、転写後は、クリーナ15が中間体ベルト11上の余分なトナーを除去して、再び中間体ベルト11上に新たな合成トナー像を形成し得る状態にする。画像形成部10では、このような処理動作を、出力画像の1ページ分毎に繰り返して行うようになっている。
【0020】
また図2において、用紙搬送部30は、用紙収納部20の各用紙トレイ21a,21b,21c…から選択的に用紙を繰り出すフィード部31と、そのフィード部31が繰り出した用紙を中間体ベルト11上からの合成トナー像の転写位置Aまで搬送する供給搬送路32と、その転写位置Aで合成トナー像が転写された後の用紙を排紙トレイ22まで搬送する排出搬送路33とを有している。この用紙搬送部30が用紙を搬送する際の搬送速度は、その用紙上に合成トナー像を転写することから、中間体ベルト11の移動速度と同期する必要がある。したがって、フィード部31がどの用紙トレイ21a,21b,21c…から用紙を繰り出しても、常に一定である。ところが、トナー像の転写位置までの供給搬送路32上における距離については、繰り出し元の用紙トレイ21a,21b,21c…が異なれば、当該用紙トレイ21a,21b,21c…の配設位置に応じて相違することになる。
【0021】
これらのことから、タンデム方式のIOT3では、例えばトナー像の転写位置Aの直近に配された用紙トレイ21aからフィード部31が用紙を繰り出す場合には、その用紙トレイ21aから合成トナー像の転写位置Aまでの用紙搬送距離よりも、その転写位置Aより最も遠い感光体ドラム12yからの中間体ベルト11の移動距離のほうが大きくなるため、ROS13yによる感光体ドラム12y上への潜像の書き込みを開始した後に、所定のタイミングでフィード部31が用紙トレイ21aからの用紙の繰り出しを開始するようになっている。ただし、これは用紙搬送距離に起因するものであるため、転写位置Aの直近に配された用紙トレイ21aからの場合のみに限られるわけではないことは勿論である。
【0022】
なお、IOT3は、ここで述べた以外にも、例えば用紙上に転写されたトナー像を定着させるための定着器や、用紙の両面にトナー像を転写するための用紙反転機構や、用紙の搬送タイミングや搬送姿勢を整えるためのレジ調整機構等を備えているが、本発明の要旨には大きな影響を及ぼさないため、ここではその説明を省略する。
【0023】
以上のように構成されたIOT3は、図1に示すように複合機1を構成するものなので、その動作がコントロールユニット部7によって管理される。すなわち、コントロールユニット部7は、IOT3における画像形成部10および用紙搬送部30のそれぞれに対し、これらの動作に必要となる動作指示を与えるようになっている。なお、ここでいう動作指示には、動作開始指示と動作停止指示との両方が含まれるものとする。
【0024】
コントロールユニット部7は、所定プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)、その所定プログラムを格納したROM(Read Only Memory)、外部ユニット(IOT3等)とのインタフェース等の組み合わせからなるものである。このコントロールユニット部7が、本発明に係る印刷制御装置としての機能を持っている。
【0025】
次に、このコントロールユニット部7がIOT3に与える動作指示について、具体例を挙げて説明する。ただし、ここでは、例えばトナー像の転写位置Aの直近に配された用紙トレイ21aからフィード部31が用紙を繰り出す場合、すなわち画像形成部10が潜像の書き込みを開始した後に、用紙搬送部30が所定のタイミングで用紙の繰り出しを開始する場合を例に挙げて説明する。
【0026】
図4は、動作指示の一具体例を示すタイミングチャートである。図例のように、IOT3を用いたジョブを実行するのにあたり、コントロールユニット部7は、先ず、IOT3に対して出力パラメータのセットを行う(ステップ101、以下ステップを「S」と略す)。出力パラメータには、画像を出力すべき用紙のサイズや出力すべき全ページ数等といった印刷出力処理に必要な情報が含まれる。
【0027】
ここで、例えば複数ページ分の印刷出力を行う出力パラメータがセットされた場合を考えると、IOT3は、必要となるサイズの用紙切れ等の発生が無く印刷出力処理を実行可能な状態であれば、コントロールユニット部7に対して印刷出力の準備がOKか否か、すなわち印刷出力処理を開始してよいか否かを問い合わせる(S102)。そして、複数ページ分の画像データのデコンポーズ等が終了し、いつでもその画像データの印刷出力を行える状態であれば、コントロールユニット部7は、IOT3からの問い合わせに応じて、そのIOT3に対して動作開始指示(許可)を与える(S103)。
【0028】
この動作開始指示を受けると、IOT3では、画像形成部10が潜像の書き込みを開始する(S104)。すなわち、YMCKの各色に対応した面順次ビットマップデータに基づいて、ROS13y,13m,13c,13kが感光体ドラム12y,12m,12c,12k上への潜像の書き込みを開始する。そして、潜像の書き込みを開始した旨を、コントロールユニット部7に通知する。この通知は、複数ページ分の印刷出力を行う場合であれば、各ページ毎に行われる。
【0029】
また、画像形成部10が潜像の書き込みを開始した後には、所定のタイミングで(所定時間が経過した後に)、用紙搬送部30のフィード部31が用紙トレイ21aからの用紙の繰り出しを開始する(S105)。そして、用紙の繰り出しを開始した旨を、コントロールユニット部7に通知する。この通知も、複数ページ分の印刷出力を行う場合であれば、各ページ毎に行われる。なお、フィード部31が用紙の繰り出しを開始するタイミングは、画像形成部10と各用紙トレイ21a,21b,21c…との位置関係等を基に予め設定されているものとする。
【0030】
ところで、このようなIOT3を用いたジョブの実行中には、当該ジョブの実行停止要求、すなわち印刷停止要求が発生する場合があり得る。ここで、印刷停止要求が発生する場合の例について説明する。
【0031】
その一例としては、ユーザによりジョブの一時停止操作があり、これに応じて印刷出力処理を停止する場合が挙げられる。具体的には、用紙サイズの設定間違えた等の理由により、ユーザがUI部6の操作パネルに設けられたストップボタンを押下する場合がこれに該当する。
【0032】
また、他の一例としては、上述したようなユーザ側の都合ではなく、複合機1側(システム側)の都合で印刷出力処理を停止する場合がある。具体的には、例えばコピージョブまたはプリントジョブの実行中にFAXジョブが起動された場合のように、実行中のジョブよりも優先度の高いジョブの割り込みがあった場合には、先行ジョブで使用していた画像形成用メモリ資源の開放等が必要なるため、ユーザ側の都合に拘わらず、先行ジョブを一時的に中断するための印刷停止要求が発生する。
【0033】
さらには、上述のような競合するジョブ間ではなく、一つのジョブを構成する内部ジョブ同士の都合によっても、印刷停止要求が発生することがある。具体的には、コピージョブを例に挙げると、コピージョブは画像データの読み取りジョブ(スキャンジョブ)とその出力ジョブ(プリントジョブ)から構成されているため、そのスキャンジョブにて次原稿有無確認等を行うために読み取り動作が一時中断されると、これに伴ってプリントジョブでの印刷出力動作も一時停止する必要が生じる。このような場合には、ユーザ側の都合に拘わらず、実行中のジョブを一時的に中断するための印刷停止要求が発生することになる。
【0034】
なお、これらの印刷停止要求のうち、ユーザ側の都合によるものについては、UI部6からの通知情報に基づいて、コントロールユニット部7がその発生有無を判別する。その一方で、システム側の都合によるものについては、コントロールユニット部7が自らジョブの処理状態を把握しつつ印刷停止要求の発生有無を判別する。
【0035】
印刷停止要求が発生すると、コントロールユニット部7は、原則として、速やかに印刷出力処理を停止するために、IOT3に対して直ちに動作停止指示を与える。ただし、印刷出力すべき複数ページのうちのあるページについて、IOT3から画像形成部10が潜像の書き込みを開始した旨の通知があった後(S104)、用紙搬送部30のフィード部31が用紙トレイ21aからの用紙の繰り出しを開始した旨の通知がある前に(S105)、印刷停止要求が発生した場合には(S106)、コントロールユニット部7は、直ちには動作停止指示を与えずに、IOT3から用紙繰り出しを開始した旨の通知を待って、IOT3に対して動作停止指示を与える(S107)。
【0036】
したがって、この場合に、IOT3では、潜像の書き込み開始によって中間体ベルト11上に当該あるページの合成トナー像を形成するが、その後用紙繰り出しを開始するまでは動作停止指示が与えられないので、そのまま当該あるページ分の用紙を用紙トレイ21aから繰り出し、合成トナー像の転写位置Aを経て、排紙トレイ22まで搬送する。つまり、当該あるページについては、用紙上への印刷出力処理を行うことになる。
【0037】
そして、用紙の繰り出し開始後に、コントロールユニット部7から動作停止指示が与えられると、IOT3では、その後の動作を停止(中断)する。詳しくは、画像形成部10では、当該あるページの次のページについて、ROS13y,13m,13c,13kが潜像の書き込みを開始せず、また用紙搬送部30では、フィード部31が用紙トレイ21aからの用紙の繰り出しを行わない。
【0038】
以上のように、本実施形態で説明したコントロールユニット部7は、IOT3での潜像の書き込み開始後、用紙の繰り出し前に、印刷停止要求の発生があると、直ちにIOT3に対して動作停止指示を与えるのではなく、その用紙の繰り出し開始を待って動作停止指示を与えるようになっている。すなわち、処理中であるページの用紙搬送前に印刷停止要求が発生しても、そのページ分の用紙については、IOT3の用紙搬送部30に搬送させる。したがって、印刷停止要求の発生があっても、既に画像形成部10が開始した潜像書き込みにより形成される合成トナー像については、用紙搬送部30によって搬送される用紙上に転写されて出力されることになる。
【0039】
したがって、本実施形態のコントロールユニット部7を用いれば、あるページの処理中に印刷停止要求が発生しても、中間体ベルト11上に当該あるページの合成トナー像が残ってしまうことがなくなる。すなわち、中間体ベルト11上に合成トナー像が形成されると、その合成トナー像は、必ず用紙上に転写されて出力されることになる。そのため、従来のようなトナーが印刷出力処理に有効に使用されず浪費されてしまうといった事態を回避することができ、ランニングコストの面でユーザにとって非常に好ましいものとなる。
【0040】
さらには、中間体ベルト11上に合成トナー像が残らないので、印刷出力処理を再開するとき、または新たな印刷出力処理を開始するときであっても、従来のようなクリーニング処理を要することなく出力画質を高く維持することができ、またクリーニング処理が不要であることから再開後の印刷出力処理または新たな印刷出力処理の開始を待たせてしまうこともない。その上、印刷出力処理を再開する場合の重複処理を排除することもでき、結果として印刷停止要求に起因する処理効率の低下、すなわち印刷出力の生産性低下を極力抑制し得るようになる。
【0041】
特に、複合機1においては、ユーザ側の都合に拘わらず、内部ジョブ同士(スキャンジョブとプリントジョブ)の都合によって、印刷停止要求が発生することもあるが、その場合にスキャンジョブが一時停止しても、プリントジョブは連動して停止せず、その終了を待ってから停止することになる。したがって、ユーザが意図しない理由で一時停止状態が発生しても、それによる用紙上への印刷出力の遅延を極力回避し得るので、ユーザにとって見れば好ましいものとなる。
【0042】
なお、本実施形態では、IOT3からの用紙繰り出しを開始した旨の通知を待って、コントロールユニット部7がIOT3に動作停止指示を与える場合を例に挙げたが、これは用紙繰り出しを開始するとその用紙を必ず排紙トレイ22まで搬送するようにIOT3が構成されていることを前提としたものである。つまり、IOT3に動作停止指示を与えるのを禁止する期間(以下「指示禁止期間」という)の終期は、用紙搬送を完了し得るタイミングであればよく、必ずしも本実施形態で説明した例に限定されるものではない。したがって、指示禁止期間の終期は、IOT3の構成に応じて適宜決定すればよく、例えば供給搬送路32または排出搬送路33に設けられたセンサ等が用紙の通過または到達を検出した時点とすることも考えられる。
【0043】
また、本実施形態では、潜像の書き込み開始後、用紙の繰り出し前に、印刷停止要求の発生があると、必ず当該用紙の繰り出し開始通知を待って動作停止指示を与える場合を例に挙げたが、例えば印刷停止要求の発生時点でIOT3に何らかのトラブル(例えばデバイスエラーや用紙切れ)が発生している場合には、そのことがIOT3からの通知によって分かるので、コントロールユニット部7は、用紙の繰り出し開始を待たずに動作停止指示を与えるようにしてもよい。IOT3に何らかのトラブルが発生していると、用紙の繰り出し開始通知を待っても、用紙搬送を完了し得ないからである。
【0044】
また、本実施形態では、複合機1を構成するコントロールユニット部7が本発明の印刷制御装置として機能する場合を例に挙げて説明したが、IOT3での印刷出力を制御するためのものであれば、他部(例えばIOT3が有する制御部)が印刷制御装置としての機能を有していてもよい。さらに、本発明の印刷制御装置は、用紙上への画像の印刷出力を行うものであれば、複合機1のみならずプリンタ装置等についても用いることが考えられる。
【0045】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明に係る印刷制御装置によれば、印刷停止要求に応じた動作停止指示の発行タイミングの適切化を図ることにより、印刷停止要求の発生があっても、既に潜像書き込みによって形成されたトナー像については、用用紙上に転写されて出力されることになる。したがって、印刷停止要求に起因するトナー浪費や生産性低下等を極力回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る印刷制御装置が用いられる印刷処理システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】 本発明に係る印刷制御装置によって制御される画像出力部の概略構成例を示す模式図である。
【図3】 図2の画像出力部における要部の概略構成例を示す模式図である。
【図4】 本発明に係る印刷制御装置が与える動作指示の一具体例を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1…複合機、3…IOT、7…コントロールユニット部、10…画像形成部、11…中間体ベルト、12y,12m,12c,12k…感光体ドラム、13y,13m,13c,13k…ROS、14y,14m,14c,14k…現像器、30…用紙搬送部、31…フィード部、32…供給搬送路、33…排出搬送路、A…転写位置
Claims (4)
- 潜像の書き込みおよび当該潜像に基づくトナー像の形成を行うとともに当該トナー像を所定の転写位置で用紙上へ転写する画像形成手段と、前記トナー像が転写される用紙を少なくとも当該用紙を収納する収納トレイから繰り出して前記転写位置まで搬送する用紙搬送手段とのそれぞれに対し、これらの動作に必要となる動作指示を与える印刷制御装置であって、
前記用紙搬送手段による収納トレイからの用紙の繰り出しに先立って前記画像形成手段での潜像書き込みを開始する場合において、
前記画像形成手段に動作開始指示を与えた後、前記動作開始指示に応じた前記画像形成手段による潜像の書き込み開始前に印刷停止要求が発生した場合には、前記画像形成手段および前記用紙搬送手段に対して動作停止指示を与え、
前記動作開始指示に応じた前記画像形成手段による潜像の書き込み開始後に印刷停止要求が発生した場合には、当該用紙上へのトナー像の転写および当該トナー像を転写した用紙の前記転写位置からの排出を完了し得るタイミングを待って、前記画像形成手段に次の用紙に対する動作停止指示を与える
ことを特徴とする印刷制御装置。 - 潜像の書き込みおよび当該潜像に基づくトナー像の形成を行うとともに当該トナー像を所定の転写位置で用紙上へ転写する画像形成手段と、前記トナー像が転写される用紙を少なくとも当該用紙を収納する収納トレイから繰り出して前記転写位置まで搬送する用紙搬送手段とのそれぞれに対し、これらの動作に必要となる動作指示を与える印刷制御装置であって、
前記用紙搬送手段による収納トレイからの用紙の繰り出しに先立って前記画像形成手段での潜像書き込みを開始する場合において、
前記画像形成手段に動作開始指示を与えた後、前記動作開始指示に応じた前記画像形成手段による潜像の書き込み開始前に印刷停止要求が発生した場合には、前記画像形成手段および前記用紙搬送手段に対して動作停止指示を与え、
前記動作開始指示に応じた前記画像形成手段による潜像の書き込み開始後に印刷停止要求が発生した場合には、当該用紙の収納トレイからの用紙の繰り出し開始を待って、前記画像形成手段に次の用紙に対する動作停止指示を与えるとともに、繰り出された用紙に対しては当該用紙上へのトナー像の転写および当該トナー像を転写した用紙の前記転写位置からの排出をする
ことを特徴とする印刷制御装置。 - 前記印刷停止要求は、ユーザ操作によって発生するものである
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の印刷制御装置。 - 前記印刷停止要求は、実行中のジョブよりも優先度の高いジョブの割り込みがあった場合に発生するものである
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の印刷制御装置。
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